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発明の名称 ホログラム転写箔
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−118466(P2007−118466A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−315567(P2005−315567)
出願日 平成17年10月31日(2005.10.31)
代理人 【識別番号】100111659
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 聡
発明者 田島 真治
要約 課題

保護層が充分な高耐久性を持ち、転写性がよいホログラム転写箔を提供する。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
基材と、該基材の一方の面へ離型層、保護層、ホログラム層、反射層、及び接着層を設けてなるホログラム転写箔において、上記離型層がメラミン系樹脂であり、上記保護層が(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物、及びポリエチレンワックスを含み、かつ、上記ホログラム層が(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物を含んでいることを特徴とするホログラム転写箔。
【請求項2】
上記保護層のポリエチレンワックスの含有が質量基準で、電離放射線硬化樹脂:ポリエチレンワックス=100:0.01〜10であることを特徴とする請求項1に記載のホログラム転写箔。
【請求項3】
上記保護層と上記ホログラム層の合計厚味が10μm以上で、かつ厚みの割合が上記保護層:上記ホログラム層=1:2〜10であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のホログラム転写箔。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラム転写箔に関し、さらに詳しくは、耐擦傷性などの高耐久性や、意匠性及び/又はセキュリティ性に優れるホログラムを転写性よく転写することができるホログラム転写箔に関するものである。
【0002】
本明細書において、配合を示す「比」、「部」、「%」などは特に断わらない限り質量基準であり、「/」印は一体的に積層されていることを示す。
また、「PET」は「ポリエチレンテレフタレート」の略語、同意語、機能的表現、通称、又は業界用語である。
【背景技術】
【0003】
(主なる用途)本発明のホログラム転写箔を用いて転写した製品の主なる用途としては、社員証、会員証、学生証などのIDカード、ギフト券、入場証、通行証、サービスポイントなどの、一定の金額を払い込んだ(プリペイドという)権利や資格などを証明する媒体が適用できる。しかしながら、意匠性及びセキュリティ性に優れ、かつ、耐擦擦性などの耐久性が要求される用途であれば、特に限定されるものではない。
【0004】
(背景技術)従来、金券類、カード類、及び各種証明書類などのは、資格証明や一定の経済的価値や効果を持つため、不正に偽造、変造、不正使用することが絶えない。特に、カラーコピー機の精度向上が著しく、各種の媒体類の偽造を容易にしている。
これを防止するため各種の偽造防止手段が施されている。光輝性、特にホログラム、回折格子などのレリーフ形状を有する転写箔は、特異な装飾像や立体像を表現できる意匠性と、これらホログラムや回折格子は高度な製造技術を要し、容易に製造できないことから、偽造防止としてセキュリティー性の向上に利用されている。上記の如きカ−ド類などは意匠性、セキュリティ性に優れているが、繰り返し使用することにより、外力などで摩擦されて、傷が付いたり、剥れたりすることが多く、その結果、カ−ド全体としての意匠性やセキュリティ性が損われるという問題が生じる。該問題は、保護層(ハ−ドコ−ト層、OP層ともいう)を厚くしたり、硬化樹脂とすることによって解決されるが、転写時の箔キレが悪く、転写性が著しく低下するという問題点もある。
従って、ホログラム転写箔は、カードなどの媒体へ転写する際の箔キレなどの転写性がよく、かつ別途保護層を設けなくても、転写箔自身に構成されている保護層でも充分な耐擦傷性などの高耐久性を有することが求められている。
【0005】
(先行技術)従来、ホログラム転写箔の保護層は、ベースフィルムとホログラム形成層との間に剥離性を与え、しかも転写後の表面のホログラム形成層の保護等を与えるための役割を果たし、その材質としてはアクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂、アミド系樹脂、エボキン系樹脂等が知られている(例えば、特許文献1〜2参照。)。しかしながら、これらいずれの保護層では、表面の耐擦傷性が未だ充分ではないという欠点がある。
【0006】
【特許文献1】特開昭61−160481号公報
【特許文献2】特開2004−188799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明はこのような問題点を解消するためになされたものである。その目的は、特別に高耐久性保護層を設けなくても、転写箔自身に構成されている保護層でも充分な高耐久性を持ち、かつ、カードなどの媒体へ転写する際の転写性がよく、意匠性及び/又はセキュリティ性に優れたホログラムを転写することのできるホログラム転写箔を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明に係わるホログラム転写箔は、基材と、該基材の一方の面へ離型層、保護層、ホログラム層、反射層、及び接着層を設けてなるホログラム転写箔において、上記離型層がメラミン系樹脂であり、上記保護層が(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物、及びポリエチレンワックスを含み、かつ、上記ホログラム層が(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物を含んでいるように、したものである。
請求項2の発明に係わるホログラム転写箔は、上記保護層のポリエチレンワックスの含有が質量基準で、電離放射線硬化樹脂:ポリエチレンワックス=100:0.01〜10であるように、したものである。
請求項3の発明に係わるホログラム転写箔は、上記保護層と上記ホログラム層の合計厚味が10μm以上で、かつ厚みの割合が上記保護層:上記ホログラム層=1:2〜10であるように、したものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の本発明によれば、カードなどの媒体へ転写する際の箔キレなどの転写性がよく、かつ別途保護層を設けなくても、転写箔自身に構成されている保護層でも充分な耐擦傷性などの高耐久性を有するホログラム転写箔が提供される。
請求項2〜3の本発明によれば、転写時に箔切れがよりよく、転写操作で容易に転写させることができるホログラム転写箔が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例を示すホログラム転写箔の断面図である。
図2は、本発明のホログラム転写箔を用いて、転写した被転写体の断面図である。
【0011】
(ホログラム転写箔)本発明のホログラム転写箔10は、図1に示すように、基材11と、該基材の一方の面へ離型層13、保護層14、ホログラム層15、反射層17、及び接着層19の層構成において、保護層14及びホログラム層15が特定の材料からなる。該離型層13及び保護層14は特定のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物を主成分とし、保護層14のみへポリエチレンワックスを含むようにする。好ましくは、保護層14のポリエチレンワックスの含有が質量基準で、電離放射線硬化樹脂:ポリエチレンワックス=100:0.01〜10であり、さらに好ましくは、上記保護層14と上記ホログラム層15の合計厚味が10μm以上で、かつ厚みの割合が上記保護層14:上記ホログラム層15=1:2〜10であるようにする。
【0012】
(基材)基材11としては、耐熱性、機械的強度、製造に耐える機械的強度、耐溶剤性などがあれば、用途に応じて種々の材料が適用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルなどのビニル系樹脂、ポリメチルメタアクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート、セロファン、セルロースアセテートなどのセルロース系フィルム、などがある。好ましくは、耐熱性、機械的強度の点で、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂のフィルムで、ポリエチレンテレフタレートが最適である。該基材の厚さは、通常、2.5〜50μm程度が適用できるが、4〜25μmが転写性の点で好ましい。
【0013】
該基材は、これら樹脂を主成分とする共重合樹脂、または、混合体(アロイを含む)、若しくは複数層からなる積層体であっても良い。また、該基材は、延伸フィルムでも、未延伸フィルムでも良いが、強度を向上させる目的で、一軸方向または二軸方向に延伸したフィルムが好ましい。該基材は、これら樹脂の少なくとも1層からなるフィルム、シート、ボード状として使用する。該基材は、塗布に先立って塗布面へ、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー(アンカーコート、接着促進剤、易接着剤とも呼ばれる)塗布処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理、などの易接着処理を行ってもよい。また、必要に応じて、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を加えても良い。
【0014】
(離型層)離型層13としては、離型性樹脂、離型剤を含んだ樹脂、電離放射線で架橋する硬化性樹脂などがあるが、本発明ではメラミン系樹脂を用いる。該メラミン系樹脂を用いることで、後述する保護層保護層14との組合わせで安定した剥離性を発揮する。
【0015】
離型層13の形成は、該樹脂を溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、プレーコートなどの印刷又はコーティング方法で、少なくとも1部に塗布し乾燥して塗膜を形成する。また、要すれば、温度30℃〜120℃で加熱乾燥、あるいはエージングしてもよい。離型層13の厚さとしては、通常は0.01μm〜5μm程度、好ましくは0.5μm〜3μm程度である。該厚さは薄ければ薄い程良いが、0.1μm以上であればより良い成膜が得られて剥離力が安定する。
【0016】
(保護層)保護層14の材料としては、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂と(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化物、及びポリエチレンワックスを含み、かつ、ホログラム層は(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂(本明細書では「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と呼称する)、及び必要に応じて(メタ)アクリレートオリゴマーの硬化物、並びにポリエチレンワックスを含むようにする。
【0017】
(電離放射線硬化性樹脂組成物M)「電離放射線硬化性樹脂組成物M」としては、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂の硬化物、具体的には、特開2001−329031号公報で開示されている光硬化性樹脂が好ましい。
即ち、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物である。
【0018】
((メタ)アクリレートオリゴマー)必要に応じて加える(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、耐熱性のあるオリゴマーであればよく、例えば、日本合成化学社の商品名;紫光6630B、7510B、7630B、7600B、7550B、505−6などが例示できる。含有させる質量基準での割合としては、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」100部に対して10〜30部程度、好ましくは15〜25部である。この範囲未満では耐熱性が不足し、この範囲を超えては耐熱性はよいが、ヒビ割れしやすい。
【0019】
(ポリエチレンワックス)ポリエチレンワックスとしては、球状ビーズが好ましい。但し、ポリエチレンワックスを添加すると、箔切れ性は低下するので、その添加量は、電離放射線硬化樹脂100質量部に対して、0.01〜10質量部程度、好ましくは0.1〜5質量部とする。
【0020】
(保護層の形成)保護層14の形成は、上記の電離放射線硬化性樹脂、反応性シリコーン、及びポリエチレンワックス、必要に応じて光重合開始剤、可塑剤、安定剤、界面活性剤等を加え、溶媒へ分散または溶解して、ロールコート、グラビアコート、コンマコート、ダイコートなどの公知のコーティング方法で塗布し乾燥するか、乾燥、若しくは乾燥した後のエージング(硬化)処理、又は電離放射線で反応(硬化)させればよい。保護層14の厚さは、通常は1〜10μm程度、好ましくは2〜6μmであるが、滑性を向上させるために、ポリエチレンワックスの直径より小さく、ポリエチレンワックスの頭部が保護層14の表面より突出しているようにする。保護層14の厚さとポリエチレンワックスの直径は、保護層14の表面にポリエチレンワックスの頭部が突出するように、上記の範囲で調整すればよい。
【0021】
(ホログラム層)ホログラム層15の材料としては、(1)分子中にイソシアネート基を3個以上有するイソシアネート類、(2)分子中に水酸基を少なくとも1個と(メタ)アクリロイルオキシ基を少なくとも2個有する多官能(メタ)アクリレート類、又は(3)分子中に水酸基を少なくとも2個有する多価アルコール類の反応生成物であるウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含有する電離放射線硬化性樹脂(本明細書では「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と呼称する)、必要に応じて(メタ)アクリレートオリゴマー、及び反応性シリコーンの硬化物を含むようにするが、保護層14へ含ませたポリエチレンワックスは含ませない。
【0022】
保護層14及びホログラム層15はポリエチレンワックスを除き、同じ「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と(メタ)アクリレートオリゴマーは同じものを用いることが、保護層14及びホログラム層15の層間の密着性から好ましい。
【0023】
(反応性シリコーン)必要に応じて加える反応性シリコーンとしては、電離放射線で硬化時に樹脂と反応し結合して一体化するもので、アクリル変性、メタクリル変性、又はエポキシ変性などで変性した反応性シリコーンで、該反応性シリコーンを含有させる質量基準での割合としては「電離放射線硬化性樹脂組成物M」100に対して、0.1〜10部程度、好ましくは0.3〜5部である。この範囲未満ではレリーフの賦型時にプレススタンパとの剥離が不十分であり、プレススタンパの汚染を防止することが困難で賦型性が悪い。また、この範囲を超えてはホログラム層面への反射層の密着性が低く、ホログラム層と反射層との間で剥離し商品価値を失ってしまう。従来のシリコーンオイルの添加では、反射層との密着性が悪い。
【0024】
このように、保護層14は「電離放射線硬化性樹脂組成物M」、及びポリエチレンワックスを含ませ、必要に応じて(メタ)アクリレートオリゴマーも含ませて硬化物としてもよい。ホログラム層15は、保護層14と同じ「電離放射線硬化性樹脂組成物M」、必要に応じて(メタ)アクリレートオリゴマー、及び反応性シリコーンを用いることで、次の作用効果を兼ねさせることができるのである。
【0025】
(1)ホログラム層15へはポリエチレンワックスは含ませないことで、箔切れ性がよく、転写後のホログラム層のブツブツ感もなくすることができる。(2)転写後の保護層14は最表面層となり、極めて過酷な環境での使用、長期間にわたる使用、及び/又は多数回の繰り返し使用などでも、溶剤、機械的な摩擦、及び摩耗からホログラムを保護し、傷付きにくく耐久性に優れる。(3)保護層14はメラミン系樹脂を用いた離型層13と界面を接しているので、安定した剥離性を有し、転写時には箔切れがよく、バリなどの発生も極めて少なくすることができる。
【0026】
(ホログラム層の形成)ホログラム層15は、上記の樹脂及び必要に応じて添加剤を、溶媒へ分散又は溶解して、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、コンマコートなどの公知のコーティング方法で、少なくとも1部に塗布し乾燥して塗膜を形成したりすれば良い。ホログラム層15の厚さとしては、通常は1μm〜30μm程度、好ましくは2μm〜20μm程度である。複数回の塗布でもよい。
【0027】
(保護層の厚味、厚味比)また、保護層14の厚さは通常1〜10μm程度、好ましくは2〜6μmであり、ホログラム層15の厚さは通常4〜50μm程度、好ましくは8〜30μmである。保護層14とホログラム層15の厚味の比は、保護層:ホログラム層=1:2〜10であるようにすることで、剥離がよく、箔切れがよく、保護層14とホログラム層15とを1回の転写操作で転写することができる。なお、保護層:ホログラム層=1:10超過でも機能はするが、コストが高くなる。保護層14とホログラム層15の合計厚味が10μm以上で、好ましくは15μm以上であるようにすることで耐久性が高まり、極めて過酷な環境での使用、使用期限がなかったり、長期にわたる使用、及び/又は多数回の繰り返し使用などでも、化学的機械的な外力から保護できるホログラム転写箔が得られる。
【0028】
(ホログラム)次に、ホログラム層15の表面には、ホログラムなどの光回折効果の発現する所定のレリーフ構造を賦型し、硬化させる。ホログラムは物体光と参照光との光の干渉による干渉縞を凹凸のレリーフ形状で記録されたもので、例えば、フレネルホログラム等のレーザ再生ホログラム、及びレインボーホログラム等の白色光再生ホログラム、さらに、それらの原理を利用したカラーホログラム、コンピュータジェネレーティッドホログラム(CGH)、ホログラフィック回折格子などがある。レリーフ形状は凹凸形状であり、特に限定されるものではなく、微細な凹凸形状を有する光拡散、光散乱、光反射、光回折などの機能を発現するものでもよく、例えば、フーリエ変換やレンチキュラーレンズ、光回折パターン、モスアイ、が形成されたものである。また、光回折機能はないが、特異な光輝性を発現するヘアライン柄、マット柄、万線柄、干渉パターンなどでもよい。
【0029】
これらのレリーフ形状の作製方法としてはホログラム撮影記録手段を利用して作製されたホログラムや回折格子の他に、干渉や回折という光学計算に基づいて電子線描画装置等を用いて作製されたホログラムや回折格子をあげることもできる。また、ヘアライン柄や万線柄のような比較的大きなパターンなどは機械切削法でもよい。これらのホログラム及び/又は回折格子の単一若しくは多重に記録しても、組み合わせて記録しても良い。これらの原版は公知の材料、方法で作成することができ、通常、感光性材料を塗布したガラス板を用いたレーザ光干渉法、電子線レジスト材料を塗布したガラス板に電子線描画装置を用いてパターン作製する電子線描画法をなどが適用できる。
【0030】
(レリーフの賦型)ホログラム層15面へ、上記のレリーフ形状を賦形(複製ともいう)する。ホログラムの賦型は、公知の方法によって形成でき、例えば、回折格子やホログラムの干渉縞を表面凹凸のレリーフとして記録する場合には、回折格子や干渉縞が凹凸の形で記録された原版をプレス型(スタンパという)として用い、上記樹脂層上に前記原版を重ねて加熱ロールなどの適宜手段により、両者を加熱圧着することにより、原版の凹凸模様を複製することができる。
【0031】
(レリーフの硬化)ホログラム層15は、スタンパでエンボス中、又はエンボス後に、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる。上記の電離放射線硬化性樹脂は、レリーフを形成後に、電離放射線を照射して硬化(反応)させると電離放射線硬化樹脂(ホログラム層15)となる。電離放射線としては、電磁波が有する量子エネルギーで区分する場合もあるが、本明細書では、すべての紫外線(UV‐A、UV‐B、UV‐C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線を包含するものと定義する。従って、電離放射線としては、紫外線(UV)、可視光線、ガンマー線、X線、または電子線などが適用できるが、紫外線(UV)が好適である。電離放射線で硬化する電離放射線硬化性樹脂は、紫外線硬化の場合は光重合開始剤、及び/又は光重合促進剤を添加し、エネルギーの高い電子線硬化の場合は添加しないで良く、また、適正な触媒が存在すれば、熱エネルギーでも硬化できる。ホログラム層15として、熱硬化性樹脂を用いた場合には、使用する熱硬化性樹脂の硬化条件に応じた温湿度環境下で、エージングを行い硬化させればよい。なお、保護層14の硬化はホログラム層15と同時でもよく、予め硬化させておいてもよい。
【0032】
(レリーフの絵柄)ホログラム層15の絵柄を擬似連続絵柄とすることが好ましい。擬似連続絵柄はプレス型(スタンパという)を作成する際に、小さなレリーフ版の複数を、精度よく突合せてつなぎ目を目立たなくしたり、つなぎ目を樹脂で埋めたりすればよい。このように、擬似連続絵柄とすることで、できるだけ大きな面積、又は好ましくは全面とすることもできる。大面積又は全面のホログラム絵柄を背景とし他の任意な印刷絵柄と、同調させたり、合わせたりして、さらなる特異な意匠性を向上させることができる。印刷絵柄は、層間又は層表面に、公知の印刷法などで適宜設ければよく、印刷絵柄はホログラム転写箔、及び/又は収縮フィルムのいずれへ設けてもよい。
【0033】
(反射層)反射層17は、所定のレリーフ構造を設けたホログラム層15面のレリーフ面へ、反射層17へ設けることにより、レリーフの反射及び/又は回折効果を高めるので、ホログラム層15の反射率のより高れば、特に限定されなず、例えば金属薄膜が適用できる。該反射層17に用いる金属としては、金属光沢を有し光を反射する金属元素の薄膜で、Cr、Ni、Ag、Au、Al等の金属、及びその酸化物、硫化物、窒化物等の薄膜を単独又は複数を組み合わせてもよい。上記の光反射性の金属薄膜の形成は、いずれも10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの真空薄膜法で得られるが、その他、メッキなどによっても形成できる。反射層17の厚さがこの範囲未満では、光がある程度透過して効果が減じ、また、それ以上では、反射効果は変わらないので、コスト的に無駄である。
【0034】
また、反射層17として、ほぼ無色透明な色相で、その光学的な屈折率がホログラム層のそれとは異なることにより、金属光沢が無いにもかかわらず、ホログラムなどの光輝性を視認できるから、透明なホログラムを作製することができる。例えば、ホログラム層15よりも光屈折率の高い薄膜、および光屈折率の低い薄膜とがあり、前者の例としては、ZnS、TiO2、Al23、Sb23、SiO、SnO2、ITO等があり、後者の例としては、LiF、MgF2、AlF3がある。好ましくは、金属酸化物又は窒化物であり、具体的には、Be、Mg、Ca、Cr、Mn、Cu、Ag、Al、Sn、In、Te、Fe、Co、Zn、Ge、Pb、Cd、Bi、Se、Ga、Rb、Sb、Pb、Ni、Sr、Ba、La、Ce、Au等の酸化物又は窒化物他はそれらを2種以上を混合したもの等が挙げられる。またアルミニウム等の一般的な光反射性の金属薄膜も、厚みが200Å以下になると、透明性が出て使用できる。
【0035】
透明金属化合物の形成は、金属の薄膜と同様、ホログラム層15のレリーフ面に、10〜2000nm程度、好ましくは20〜1000nmの厚さになるよう、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVDなどの真空薄膜法などにより設ければよい。さらには、ホログラム層15と光の屈折率の異なる透明な合成樹脂を使用してもよく、接着層19材料とホログラム層15材料の屈折率が十分に異なる場合には、接着層19が反射層19を兼ねることもできる。
【0036】
(接着層)接着層19としては、公知の加熱されると溶融または軟化して接着効果を発揮する感熱接着剤が適用でき、具体的には、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。該接着層19には、マイクロシリカなどのフィラーを含むことが、箔切れ性の点で好ましい。また、接着層19の樹脂としては、95℃程度の低温で溶融接着し、60℃程度になると固化して接着する融点が60〜95℃ものが好ましい。融点が上記範囲未満であると、支持体との接着性が不十分であり、形成された画像を使用する温度が制限される。また、融点が上記範囲を越えるとサーマルヘッドによる加熱では転写性が不十分となり、又、ハードコート層の箔切れ性が低下し、解像性の良い転写が困難となる。該材料樹脂を溶剤に溶解または分散させて、適宜顔料などの添加剤を添加して、公知のロールコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティングなどの方法で塗布し乾燥させて、厚さ1〜30μmの層を得る。
【0037】
(転写)このようにして得られた本発明のホログラム転写箔10を用いて、図2のように、保護層14、ホログラム層15、反射層17、及び接着層19を、被転写体101へ転写する。保護層14が最表面に位置し、表面を保護し耐久性を高める。転写時には離型層13と保護層14との間で剥離するが、若干離型層13の1部が保護層14へ移行する場合もあるが、本発明の範囲内である。
【0038】
(転写法)被転写体101への形成方法としては、公知の転写法でよく、例えば、熱刻印によるホットスタンプ(箔押)、熱ロールによる全面又はストライプ転写、サーマルヘッド(感熱印画ヘッド)によるサーマルプリンタ(熱転写プリンタともいう)などの公知の方法が適用できる。スポット状、文字、数字、イラストなどの任意の形状を転写してもよい。異なる任意の形状を連続操作できたり、オンデマンドで印画できるサーマルプリンタが好ましい。
【0039】
また、背景技術で説明したように、極めて過酷な環境での使用、長期にわたる使用期限、及び/又は多数回の繰り返し使用などでは、未だ充分な耐久性が得られていなかった。保護層を厚くすればよいが、厚くすると箔切れが著しく悪くなるので、保護層を2回重ねて転写していた。本発明のホログラム転写箔10によれば、耐久性の高い保護層14及びホログラム層15を厚さが厚くても剥離性及び箔切れ性がよく、1回で転写することができる。保護層14は表面に存在し、機械的化学的な損傷から長期間にわたって保護し、極めて過酷な環境で使用されるガソリンスタンドカードや工事現場カード、及び、使用期限がなかったり、長期にわたる入退室カードやポイントカード、金融機関などの多数のセキュリティ管理された部屋への入退室を繰り返す入退室カードなどのも使用することができる。
【0040】
(被転写体)被転写体101としては、特に限定されず、例えば天燃繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、転写時の熱で変形しないプラスチックフイルム、ガラス、金属、セラミックス、木材、布などの媒体等いずれのものでもよい。また、被転写体101の媒体はその少なくとも1部が、画像、着色、印刷、その他の加飾が施されていてもよい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明するが、これに限定されるものではない。
【0042】
(実施例1)基材11として厚さ25μmのPETフィルムを用い、該基材11の一方の面へ、グラビアコート法で、メラミン樹脂塗工液を乾燥の厚さが2μmになるように塗布し乾燥して離型層13を形成した。
該離型層13面へ、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが4μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させて、保護層14を形成した。
・<電離放射線硬化性樹脂組成物の作製手順>
まず、「電離放射線硬化性樹脂組成物M」は以下の手順で、生成した。撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、酢酸エチル206.1g及びイソホロンジイソシアネートの三量体(HULS社製品、VESTANAT T1890、融点110℃)133.5gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだのち、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.38g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製品、ビスコート300)249.3g及びジブチル錫ジラウレート0.38gを仕込んだ。80℃で5時間反応させたのち酢酸エチル688.9gを添加して冷却した。
該「電離放射線硬化性樹脂組成物M」と、造膜性樹脂(アクリル系オリゴマー)、反応性シリコーン、光重合開始剤、及び溶媒を下記の組成で配合して電離放射線硬化性樹脂組成物を調製した。
・<保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 30質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.3質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
該保護層14面へ、下記の電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビアリバースコーターで乾燥後の厚さが6μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、ホログラム層15を形成した。
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光6630B)5質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−2445) 0.2質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
酢酸エチル 70質量部
次に、該ホログラム層15面へ、2光束干渉法による回折格子から2P法で複製した擬似連続絵柄としたスタンパを複製装置のエンボスローラーに貼着して、相対するローラーと間で加熱プレス(エンボス)して、微細な凹凸パターンからなるレリーフを賦形させた。賦形後直ちに、高圧水銀灯を用いて紫外線を照射して硬化させた。
該ホログラム層15のレリーフ面へ真空蒸着法で厚さが100nmのアルミニウム薄膜を形成して反射層17を形成した。
該反射層17面へ、下記の接着層組成物をグラビアコーターで乾燥後の塗布量が2μmになるように、塗工し100℃で乾燥させて、接着層19を形成して、実施例1のホログラム転写箔10を得た。
・<接着層組成物>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 20質量部
アクリル樹脂 10質量部
溶媒(酢酸エチル:トルエン=2:5) 70質量部
【0043】
(実施例2)保護層14及びホログラム層15の電離放射線硬化性樹脂組成物として、それぞれ下記の電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、反射層17として真空蒸着法で厚さが300nmの酸化チタン薄膜を形成する以外は、実施例1と同様にして、実施例2のホログラム転写箔10を得た。
・<保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 30質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光7510B)5質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径5μm) 0.3質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
溶媒(酢酸エチル:メチルイソブチルケトン=1:1) 70質量部
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 25質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光7510B)5質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−1602) 0.2質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア907) 0.9質量部
酢酸エチル 70質量部
【0044】
(実施例3)保護層14及びホログラム層15の電離放射線硬化性樹脂組成物として、それぞれ下記の電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、保護層14の厚さを2μmとする以外は、実施例1と同様にして、実施例3のホログラム転写箔10を得た。
・<保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 24質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光7000B)6質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径3μm) 0.3質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 0.9質量部
酢酸エチル 70質量部
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 24質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光7000B)6質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−1602) 0.1質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 0.9質量部
酢酸エチル 70質量部
【0045】
(実施例4)保護層14及びホログラム層15の電離放射線硬化性樹脂組成物として、それぞれ下記の電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、保護層14の厚さを2μmとする以外は、実施例1と同様にして、実施例3のホログラム転写箔10を得た。
・<保護層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 24質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光505−6)6質量部
ポリエチレンワックス(平均粒径3μm) 0.3質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 0.9質量部
酢酸エチル 70質量部
・<ホログラム層の電離放射線硬化性樹脂組成物>
「電離放射線硬化性樹脂組成物M」 24質量部
メタアクリレートオリゴマー(日本合成化学社製、商品名紫光505−6)6質量部
反応性シリコーン(信越化学社製、商品名X−22−1602) 0.1質量部
光重合開始剤(チバ社製、商品名イルガキュア184) 0.9質量部
酢酸エチル 70質量部
【0046】
(評価)実施例1〜4のホログラム転写箔10を用いて、公知のポリ塩化ビニル製でクレジットカードサイズのカードの表面へ、公知のサーマルプリンターで、転写した。カード表面に転写されていたホログラムは、バリや欠けなどの転写不良もなく、転写性がよく、意匠性及びセキュリティ性に優れたホログラムが転写されていた。JIS−K−5400に準拠して測定した表面の鉛筆硬度試験は2Hの硬度を有しており、高耐久性を有していた。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の1実施例を示すホログラム転写箔の断面図である。
【図2】本発明のホログラム転写箔を用いて、転写した被転写体の断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10:ホログラム転写箔
11:基材
13:離型層
14:保護層
15:ホログラム層
17:反射層
19:接着層
101:被転写体







 

 


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