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発明の名称 筆記具用インク補充容器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−21822(P2007−21822A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−205103(P2005−205103)
出願日 平成17年7月14日(2005.7.14)
代理人 【識別番号】100115440
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 光子
発明者 坂口 友有子
要約 課題
直接インクを貯留し、外観からインク残量を視認することができるタイプの筆記具用インク補充容器において、特別な装置を用いず、その内部に比較的安価で容易な方法で密着性に優れた撥インク層を設けることができ、長期にわたりインク残量を瞬時に視認することを可能とした筆記具用インク補充容器を提供すること。

解決手段
粘度が1〜20mPa・s(25℃)のインクを筆記具に補充するための、全体もしくは一部が透明または半透明の材料から構成されてなる直接インクを貯留するタイプのインク補充容器であって、そのインク貯留部がカルボキシル基およびスルホン酸基の中から選ばれる少なくとも1種の親水基を分子内に有する高分子界面活性剤を0.01〜10質量%含有する熱可塑性樹脂を構成材料とし、該インク貯留部の内面にパーフルオロアルキル基を有するフッ素樹脂からなる撥インク層が設けられていることを特徴とするインク補充容器。
特許請求の範囲
【請求項1】
粘度が1〜20mPa・s(25℃)のインクを筆記具に補充するための、全体もしくは一部が透明または半透明の材料から構成されてなる直接インクを貯留するタイプのインク補充容器であって、
そのインク貯留部がカルボキシル基およびスルホン酸基の中から選ばれる少なくとも1種の親水基を分子内に有する高分子界面活性剤を0.01〜10質量%含有する熱可塑性樹脂を構成材料とし、該インク貯留部の内面にパーフルオロアルキル基を有するフッ素樹脂からなる撥インク層が設けられていることを特徴とするインク補充容器。
【請求項2】
前記筆記具が、繊維収束体にインクを吸蔵するタイプの筆記具である請求項1に記載のインク補充容器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、直接インクを貯留し、外観からインク残量を視認することができるタイプの筆記具用インク補充容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境配慮からインク補充に対応した筆記具が増えてきている。使いきりの筆記具では、インクがなくなってしまうと、そのまま廃棄していたが、インク補充に対応した筆記具では、インクを補充すれば、軸やペン先、キャップなどの部品はそのまま使用することができるので廃棄物を減らすことができる。
【0003】
従来から、万年筆・ボールペン・マーキングペンなどの低粘度インクを吐出する筆記具において、インクを貯留する方法としては、繊維収束体にインクを吸蔵させる中綿方式と、直接インク貯留部に貯留する直液方式とが知られている。これらの筆記具にインクを補充する方法として、中綿式では、インクを吸蔵させた繊維収束体ごと取り替える方法、繊維収束体にスポイトを用いてインクを注入する方法、ペン先からインクを吸蔵する方法などが知られている。また、直液式では、筆記具のインク貯留部にスポイトを用いてインクを注入する方法、インク貯留部がカートリッジ式になっておりインクの入ったカートリッジと交換する方法などが知られている。
【0004】
これらの補充方法のうちインクを吸蔵させた繊維収束体ごと取り替える方法以外は、全てインク貯留部にインクを直接貯留する直液式のインク補充容器である。直液式の補充容器の場合、インクの残量が外観から視認できることが好ましい。インク残量の視認は、インク貯留部を透明または半透明な材質で成形することによって可能となるが、主溶剤としてアルコールのように表面張力の低い溶剤を使用したインクや、主溶剤として水を使用していても界面活性剤が添加されていて表面張力が低くなっているインクでは、オレフィン樹脂のように臨界表面張力が低い樹脂でインク貯留体を成形したとしても、インク貯留部がインクで濡れてしまうため、インク残量を瞬時に視認することが困難となる。
【0005】
インク補充容器のインク残量視認性を向上させるためには、インク貯留部に撥液処理を施してやればよい。表面張力の低い液体の撥液には、パーフルオロアルキル鎖を有するフッ素樹脂が効果的である。一般に筆記具のインク貯留体の成形材料として使用されている熱可塑性樹脂に撥液性のあるフッ素樹脂を導入する手段としては、インク貯留体表面にフッ素樹脂液を塗布・乾燥してコーティングする方法や、インク貯留体を形成する樹脂にフッ素樹脂を練り込む方法などがある。フッ素樹脂は比較的高価であるため、少量で効果が発現する形で使用するのが好ましい。この観点から、これらの方法を比較すると、フッ素樹脂を練り込む方法では添加したフッ素樹脂のうち全てが表面に分布するわけではないので効率が悪く、一方コーティングする場合では、フッ素樹脂層が表面にだけ分布するので効率良く期待する効果が得られるものと考えられる。
【0006】
しかし、コーティングを行う場合には、フッ素樹脂層と基材との密着性が問題となる。特に基材がオレフィンのように極性のない材質の場合、静電的な相互作用による密着性発現が期待できないので、フッ素樹脂層と基材との密着性は極めて弱いものとなる。フッ素樹脂層と基材の密着性が悪いと、樹脂層が剥離し、効果が継続しなくなってしまう。フッ素樹脂層と基材との密着性を向上させるには、基材の表面改質や、フッ素樹脂と基材との間に接着成分を導入する方法が有効である。表面改質の手段としては、サンドペーパーやサンドブラストなどを利用して基材表面を粗面化する方法や、コロナ放電、プラズマ処理、低波長UV照射、火焔処理など利用して基材表面に活性基を導入する方法が知られている。
【0007】
特許文献1〜4には、筆記具インクのインク残量視認性を向上させるために、フッ素による撥インク処理を行った例が開示されている。特許文献1では、熱可塑性樹脂で形成されたインキ収容室の内面にエポキシ系樹脂とパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系熱硬化性樹脂とからなるインキ反発層を形成したインキ貯留体が提案されている。また、特許文献2には、インキ収容管の内壁表面が、フッ素界面に形成されてなるボールペンが開示されている。また、撥インク層の密着性について、特許文献4ではプラズマ処理やコロナ処理のような活性化処理を施して表面改質を行う方法、特許文献3では使用するフッ素樹脂との親和性を考慮してポリシロキサン構造とメタクリル酸メチルを有する接着層を設ける方法が開示されている。
【特許文献1】特開平7−81290号公報
【特許文献2】特開平8−90982号公報
【特許文献3】特開2002−293085号公報
【特許文献4】特開2005−81627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、これらの方法はフッ素樹脂と基材との密着性を向上させるのには有効な手段と言えるが、特別な装置や工程が必要となり、さらには複雑な形状のインク補充容器では加工すること自体が困難である。
【0009】
本発明は、前記従来の問題点に鑑み、直接インクを貯留し、外観からインク残量を視認することができるタイプの筆記具用インク補充容器において、特別な装置を用いず、その内部に比較的安価で容易な方法で密着性に優れた撥インク層を設けることができ、長期にわたりインク残量を瞬時に視認することを可能とした筆記具用インク補充容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記従来技術の課題等について鋭意検討を重ねた結果、分子内にカルボキシル基またはスルホン酸基を有する高分子界面活性剤を含有する熱可塑性樹脂でインク補充容器の一部もしくは全部を構成することにより、特別な装置を用いず、直接インクを貯留するタイプの複雑な形状のインク補充容器においてもインク貯留部の内部に比較的安価でかつ容易な方法で、密着性に優れた撥インク層を設けることができ、これにより、フッ素樹脂の密着性が向上し、長期にわたりインク残量の視認が瞬時に可能になることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明は、粘度が1〜20mPa・s(25℃)のインクを筆記具に補充するための、全体もしくは一部が透明または半透明の材料から構成されてなる直接インクを貯留するタイプのインク補充容器であって、そのインク貯留部がカルボキシル基およびスルホン酸基の中から選ばれる少なくとも1種の親水基を分子内に有する高分子界面活性剤を0.01〜10質量%含有する熱可塑性樹脂を構成材料とし、該インク貯留部の内面にパーフルオロアルキル基を有するフッ素樹脂からなる撥インク層が設けられていることを特徴とするインク補充容器を提供する。本発明のインク補充容器は、直接インクを貯留するタイプのインク補充容器において、インク残量を視認するのに大いに効果を発揮するものであり、特に、数回分のインクを貯留する大容量のインク補充容器、あるいは、カートリッジとして後に筆記具に搭載されて使用されるインク補充容器として好適である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高分子型界面活性剤を添加することによりポリプロピレン樹脂等の表面が親水化されるので、特別な装置を用いなくても、その内部に比較的安価でかつ容易な方法で密着性に優れた撥インク層を設けることができ、しかも、長期にわたりインク残量を瞬時に視認することを可能とした筆記具用インク補充容器を提供できる。
【0013】
また、上記の効果に加えて、染料成分が樹脂容器内に移行することによって生じる外観の悪化や視認性の低下を防止することができ、例えば使用中にニグロシン黒染料が移行して容器が黄変あるいは褐変して、インク残量が見えなくなる現象等を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の筆記具用のインク補充容器に用いる熱可塑性樹脂としては、インク残量の視認性を持たせるために透明性または半透明性を有する樹脂が用いられる。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、スチレンブタジエン共重合体、エチレンブタジエンスチレンブロック共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体が挙げられる。特に、極性基を持たないポリオレフィン樹脂の場合、コーティング層のフッ素樹脂との静電気的な相互作用が得られず処理を行わない場合の密着性が低いため、得られる効果が大きい。
【0015】
熱可塑性樹脂の種類によっては、インク補充容器の中で揮発した溶剤分子が成形品内部をすり抜けて外界へと出てしまう現象(以下「透過」という)が起こるため、透過によりインクの溶剤分が減少して、筆記具にインクを補充した後のインクの吐出が悪くなる。また、繊維収束体にペン先からインクを吸蔵するタイプの補充容器では、インクの溶剤分が減少すると、ペン先からのインクの吸い上がりが悪くなり、インクの補充効率が悪くなってしまう。貯留するインクの透過性や容器の気密性を考慮すると、熱可塑性樹脂としてはポリプロピレンを使用することが望ましい。特に、貯留するインクを構成する溶剤に、エタノールなどのように揮発性が高く、比較的分子サイズが小さく透過しやすい化合物を使用した場合、この点には十分留意する必要がある。
【0016】
本発明で用いる分子内にカルボキシル基またはスルホン酸基を有する高分子界面活性剤は、カルボキシル基、スルホン酸基、あるいはカルボキシル基とスルホン酸基を分子内に有するものであれば良い。これを熱可塑性樹脂に添加することによって、熱可塑性樹脂を親水性にしてコーティングするフッ素樹脂の密着性が高まり、経時により剥離することなく長期間効果が持続する。高分子界面活性剤としては、分子内にカルボキシル基またはスルホン酸基を有する単量体と他の1種または2種以上の単量体との共重合体、高分子を後カルボキシル化または後スルホン化してカルボキシル基またはスルホン酸基を導入した高分子等が挙げられる。これらの質量平均分子量は、インク補充容器の成形性を考慮すると、4,000〜15,000のものが好ましい。
【0017】
前記のカルボキシル基を有する単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、イタコン酸、イタコン酸モノエステルなどが挙げられる。また、前記のスルホン酸基を有する単量体としては、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有するスチレン誘導体、エチレンスルホン酸、プロピレンスルホン酸、ブチレンスルホン酸などのオレフィンスルホン酸類、ブタジエンスルホン酸などのジエンスルホン酸類などが挙げられる。
【0018】
また、前記の単量体と共重合する単量体は、前記インク補充容器を構成する熱可塑性樹脂と相溶するもので、インク貯留部の透明性を害するものでなければ何でも良く、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニルアレーン類、エチレン、プロピレンなどのオレフィン類、ブタジエン、イソプレンなどのジエン類などが挙げられる。
【0019】
また、スルホン化に好適なポリマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーの単独又は共重合体(例えばポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体)、スチレン−ジエン共重合体(例えば、スチレン−1、3−ブタジエン、スチレン−イソプレン共重合体)、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(例えば、スチレン−メタクリル酸メチル)などが挙げられる。
【0020】
上記の高分子界面活性剤の具体例としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸モノメチル共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、プロピレン−アクリル酸共重合体、エチレン−エチレンスルホン酸共重合体、プロピレン−エチレンスルホン酸共重合体などが例示される。なかでも、スチレン−アクリル酸共重合体が好ましい。
【0021】
これらの高分子界面活性剤は、単独または複数複合して使用できる。その使用量は、高分子界面活性剤の種類によって異なるが、成形樹脂全量に対して0.01〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜2質量%である。高分子界面活性剤の使用量が0.01質量%を下回る時にはフッ素樹脂との密着性を向上させる効果が得られず、10質量%を越える時にはインク補充容器自体の成形に不都合を生じる。
【0022】
上記のように、成形樹脂に高い親水性を有する高分子を少量添加することによって、親水基が成形品表面に集まり、成形品表面の極性を向上させるため、後にコーティングされるフッ素樹脂との相互作用が強まり、基材とコーティング層の密着性が向上するものと考えられる。
【0023】
本発明のインク補充容器において撥インク層は、少なくともインク貯留部の内面に形成されていることが必要であるが、製造上の利便性などの観点より、インク貯留部の表面(すなわち内外面)に形成されていても良い。上記の配合処方による樹脂を成形したインク補充容器の表面に、撥インク層を形成する方法としては、作業性やコストの面から、フッ素樹脂溶液によるコーティングが好ましい。コーティングに使用するパーフルオロアルキル基を有するフッ素樹脂としては、例えば、FS−1010TH(フルオロテクノロジー社製)、FS−1020TH(フルオロテクノロジー社製)、ITN−332VC(INTスクリーン社製)などのコーティング用フッ素樹脂溶液が挙げられる。これらのフッ素樹脂溶液を浸漬、塗布、噴霧などの方法でインク補充容器のインク貯留部にコーティングし、溶剤を乾燥させて撥インク層を形成させることができる。
【0024】
本発明において、上記の方法で製造されたインク補充容器は、粘度が25℃で1〜20mPa・sの筆記具用インクを直接貯留し、外観からインク残量を視認することができるタイプの筆記具用インク補充容器として用いられることによって、その効果を大いに発揮する。従って、本発明の要旨を変更しない範囲において、付属のスポイトを用いてインクを筆記具のインク貯留部(繊維収束体、直液式のインクタンクなど)に注入するタイプのもの、容器自体がスポイト状になっており注入口から筆記具のインク貯留部(繊維収束体、直液式のインクタンクなど)に直接インクを注入するもの、筆記具のペン先からインク貯留部である繊維収束体へインクを吸蔵するもの、あるいは、直液式のカートリッジとして筆記具にインクを補充するものなど、種々の形態のインク補充容器に適用することができる。特に、表面張力が低いインクでは、上記の処理を施さない場合のインク残量視認性が極めて悪いため、この問題が著しく改善され、より効果的であるといえる。
【0025】
貯留するインクは、E型粘度計を用いて測定した粘度が25℃、50rpmで1〜20mPa・sの筆記具用インクであれば、どのような組成のものでも良く、用途やインク吐出部に合わせて様々な形態のものに適応できる。水性ボールペンやマーキングペンなどに使用されている筆記具用低粘度インクにおいて、インク粘度1〜20mPa・sは一般的な値であり、吐出部など筆記具の形態によって多少異なるが、好ましくは2〜8mPa・sである。インク粘度が1mPa・s(25℃)未満であるとペン先からの漏れ、筆跡の滲み、筆跡の定着性悪化などの不都合が生じ、20mPa・sを超えるとペン先からの吐出が悪くなってしまう。
【0026】
本発明のインク補充容器は、万年筆、ボールペン、サインペン、筆ペン、マーキングペンなど、様々な筆記具のインク補充容器として用いることができる。特に、繊維収束体にインクを吸蔵するタイプの筆記具のインク補充容器として好ましい。
【0027】
図1〜図3は、本発明の筆記具用インク補充容器の一実施形態を示したものである。図1はペン先からインクを吸蔵するタイプのインク補充容器、図2はスポイトを用いてインクを注入するタイプのインク補充容器、図3はカートリッジ式でインクを補充するタイプのインク補充容器、についてそれぞれ一例を示した側断面図である。
【0028】
図1において、1はキャップ、2はペン先挿入部、3はインク溜め部材、4はインク貯留部であり、5がインク補充容器、6がインクである。インク補充容器5は、カルボキシル基およびスルホン酸基の中から選ばれる少なくとも1種の親水基を分子内に有する高分子界面活性剤を0.01〜10質量%含有する熱可塑性樹脂で形成された透明または半透明の容器であり、インク貯留部の内面にはパーフルオロアルキル基を有するフッ素樹脂からなる撥インク層が設けられている。
【0029】
図2は、15がインク補充容器、16がインクである。また、図3は、21はボール、25がインク補充容器、26がインクである。インク補充容器15,25は、カルボキシル基およびスルホン酸基の中から選ばれる少なくとも1種の親水基を分子内に有する高分子界面活性剤を0.01〜10質量%含有する熱可塑性樹脂で形成された透明または半透明の容器であり、インク貯留部の内面にはパーフルオロアルキル基を有するフッ素樹脂からなる撥インク層が設けられている。
【0030】
なお、上記のインク補充容器は本発明のインク補充容器の一例を示すものであり、本発明の効果を損なわない限度において、筆記具以外の種々の形態のインク補充容器に適用することができる。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
【0032】
(実施例1〜6、比較例1〜4)
下記の熱可塑性樹脂に、下記の高分子界面活性剤を表1に示す配合組成で加えて混練し、図1に示す筆記具用インク補充容器の成形を行った。
熱可塑性樹脂A…高密度ポリエチレン(JT200、三菱化成(株))
熱可塑性樹脂B…非晶質ポリプロピレン(ノバテックMG03B、日本ポリケム(株))
高分子界面活性剤A…スチレン−アクリル酸共重合体 質量平均分子量:11,000(ジョンクリル815、ジョンソンポリマー(株))
高分子界面活性剤B…スチレン−マレイン酸共重合体(SMA1440H、ARCO chemical company)
【0033】
次に、得られた成形体を、コーティング用フッ素樹脂溶液ITN−332VC(INTスクリーン社製)に浸漬してフッ素樹脂を塗工し、乾燥して撥インク層を形成し、80℃で5時間加熱処理した。
【0034】
このようにして得られた筆記具用インク補充容器に、実施例1〜2、比較例1〜2では水性顔料黒インク(粘度4.62mPa・s)、実施例3〜6、比較例3〜4では油性染料黒インク(粘度4.86mPa・s)を入れ、試験を行った。
【0035】
(評価方法)
(1)成形性は、成形後のインク補充容器の形状を目視で確認した。このとき、問題なく成形できたものを〇、ショートショットが生じているものを△、表面状態が著しく悪く変形しているものを×として評価した。
(2)経時安定性は、インク補充容器を50℃2週間の促進条件で静置した後のインク残量の視認を目視で確認した。このとき、10秒以内にインク残量が視認出来たものを〇、10秒以内にインク残量が視認できるが、撥インク層が一部はがれてしまっているものを△、10秒以内にインク残量が視認出来なかったものを×として評価した。
【0036】
以上の評価結果を表1に示す。
【0037】
【表1】


【0038】
表1から明らかなように、本発明の筆記具用インク補充容器では、特別な装置を用いずとも、比較的安価で容易な方法で密着性に優れた撥インク層を設けることができ、長期にわたりインク残量を瞬時に視認することが可能となった。
【0039】
一方、高分子界面活性剤を添加していない樹脂や、高分子界面活性剤の含有量が0.01〜10質量%の範囲内にない樹脂で成形したインク補充容器は、経時安定性が不良であった。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の筆記具用インク補充容器の一例を示す側断面図である。
【図2】本発明の筆記具用インク補充容器の一例を示す側断面図である。
【図3】本発明の筆記具用インク補充容器の一例を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 キャップ
2 ペン先挿入部
3 インク溜め部材
4 インク貯留部
5 インク補充容器
6 インク
15,25 インク補充容器
16,26 インク




 

 


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