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発明の名称 直液式筆記具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30257(P2007−30257A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−214641(P2005−214641)
出願日 平成17年7月25日(2005.7.25)
代理人
発明者 岩田 久嗣
要約 課題
落下等の衝撃が加わった場合でも、インキカートリッジが接続管部から外れてインキカートリッジ内のインキが外部に漏出するおそれがない直液式筆記具を提供する。

解決手段
前端にペン先2を備えたインキ保留部材6を軸筒3の前端開口部に設ける。インキ保留部材6の後方の軸筒3内に接続管部42を設ける。接続管部42を、インキを直に貯溜するインキカートリッジ8の前端開口部に挿入する。接続管部42の外壁とインキカートリッジ8の前端開口部の内壁とを密接嵌合させてインキ保留部材6とインキカートリッジ8内部とを連通させる。インキ保留部材6とインキカートリッジ8内部との連通状態で、インキカートリッジ8が軸筒3内に収容される。接続管部42の外壁とインキカートリッジ8の前端開口部の内壁とが環状に密接嵌合しながら軸方向に移動可能である。
特許請求の範囲
【請求項1】
前端にペン先を備えたインキ保留部材を軸筒の前端開口部に設け、前記インキ保留部材の後方の軸筒内に接続管部を設け、前記接続管部を、インキを直に貯溜するインキカートリッジの前端開口部に挿入し、前記接続管部の外壁と前記インキカートリッジの前端開口部の内壁とを密接嵌合させてインキ保留部材とインキカートリッジ内部とを連通し、前記インキ保留部材とインキカートリッジ内部との連通状態で、前記インキカートリッジが軸筒内に収容されてなる直液式筆記具であって、前記接続管部の外壁と前記インキカートリッジの前端開口部の内壁とが環状に密接嵌合しながら軸方向に移動可能であることを特徴とする直液式筆記具。
【請求項2】
前記接続管部の外壁と前記インキカートリッジの前端開口部の内壁とが密接嵌合を開始してから密接嵌合が終了するまでのカートリッジの軸方向前方への移動可能量をAとし、軸筒内において密接嵌合終了状態からインキカートリッジが後方に移動した際にインキカートリッジ外壁が軸筒内壁に当接するまでの軸方向後方への移動可能量をBとするとき、
A>B
の関係を満足する請求項1記載の直液式筆記具。
【請求項3】
インキカートリッジが後方に移動した際に、インキカートリッジの後端部の外壁が軸筒の後端部の内壁に当接される請求項1または2記載の直液式筆記具。
【請求項4】
前記接続管部の外壁に環状突起を形成し、前記インキカートリッジの前端開口部の内壁に環状平滑面を形成し、前記環状突起と前記環状平滑面とが環状に密接嵌合してなる請求項1乃至3のいずれかに記載の直液式筆記具
【請求項5】
前記接続管部の外壁に環状平滑面を形成し、前記インキカートリッジの前端開口部の内壁に環状突起を形成し、前記環状平滑面と前記環状突起とが環状に密接嵌合してなる請求項1乃至3のいずれかに記載の直液式筆記具
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、直液式筆記具に関する。詳細には、インキカートリッジ内部にインキが直に貯留された直液式筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の直液式筆記具において、例えば、特許文献1には、インキ保留体(本発明のインキ保留部材に相当)の後方に突刺管(本発明の接続管部に相当)が突設され、前記突刺管にインキ筒(本発明のインキカートリッジに相当)が接続される構造が開示されている。
【0003】
前記従来の構造において、インキ筒が接続された状態で落下等の衝撃が加わった場合、インキ筒が後方に移動し、インキ筒が突刺管から外れ、インキ筒内のインキが外部に漏出するおそれがある。
【0004】
【特許文献1】実開昭61−177881号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記従来の問題点を解決するものであって、落下等の衝撃が加わった場合でも、インキカートリッジが接続管部から外れてインキカートリッジ内のインキが外部に漏出するおそれがない直液式筆記具を提供しようとするものである。尚、本発明において、「前」とはペン先側を指し、「後」とはインキカートリッジ側を指す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明は、前端にペン先2を備えたインキ保留部材6を軸筒3の前端開口部に設け、前記インキ保留部材6の後方の軸筒3内に接続管部42を設け、前記接続管部42を、インキを直に貯溜するインキカートリッジ8の前端開口部に挿入し、前記接続管部42の外壁と前記インキカートリッジ8の前端開口部の内壁とを密接嵌合させてインキ保留部材6とインキカートリッジ8内部とを連通し、前記インキ保留部材6とインキカートリッジ8内部との連通状態で、前記インキカートリッジ8が軸筒3内に収容されてなる直液式筆記具であって、前記接続管部42の外壁と前記インキカートリッジ8の前端開口部の内壁とが環状に密接嵌合しながら軸方向に移動可能であること(請求項1)を要件とする。
【0007】
前記直液式筆記具1(請求項1)において、落下等の衝撃が加わりインキカートリッジ8が後方に移動したとしても、接続管部42の外壁とインキカートリッジ8の前端開口部の内壁との密接嵌合状態が維持され、インキカートリッジ8内のインキが外部に漏出するおそれがない。
【0008】
[2]前記直液式筆記具1において、前記接続管部42の外壁と前記インキカートリッジ8の前端開口部の内壁とが密接嵌合を開始してから密接嵌合が終了するまでのカートリッジの軸方向前方への移動可能量をAとし、軸筒3内において密接嵌合終了状態からインキカートリッジ8が後方に移動した際にインキカートリッジ8外壁が軸筒3内壁に当接するまでの軸方向後方への移動可能量をBとするとき、A>Bの関係を満足すること(請求項2)が好ましい。
【0009】
前記直液式筆記具1(請求項2)において、落下等の衝撃が加わり軸筒3内のインキカートリッジ8が後方に移動したとしても、前記関係「A>B」を満足することにより、インキカートリッジ8が後方に移動する際、接続管部42の外壁とインキカートリッジ8の前端開口部の内壁との密接嵌合状態が維持されるとともに、インキカートリッジ8外壁が軸筒3内壁に当接し、インキカートリッジ8の後方移動が規制される。それにより、インキカートリッジ8内のインキが外部に漏出することを確実に防止できる。
【0010】
[3]前記直液式筆記具1において、インキカートリッジ8が後方に移動した際に、インキカートリッジ8の後端部の外壁が軸筒3の後端部の内壁に当接されること(請求項3)が好ましい。
【0011】
前記直液式筆記具1(請求項3)により、軸筒3の内部の限られた収容空間に、できる限り大きなインキカートリッジ8を収容することができる。なぜなら、もし、インキカートリッジ8の後方移動を規制する部分を、軸筒3の中間部やインキカートリッジ8の中間部に設けた場合、軸筒3の後端部内壁とインキカートリッジ8の後端部外壁との間に大きな隙間が形成されるおそれがあり、それにより、インキカートリッジ8が小さく設定され(インキカートリッジ8の容量が少なく設定され)、特に、軸筒3を透明にすると、ユーザーに小さいインキカートリッジ8を視認させ、上げ底のような印象を与えることになるからである。
【0012】
[4]前記直液式筆記具1において、前記接続管部42の外壁に環状突起42aを形成し、前記インキカートリッジ8の前端開口部の内壁に環状平滑面8aを形成し、前記環状突起42aと前記環状平滑面8aとが環状に密接嵌合してなること(請求項4)が好ましい。
【0013】
前記直液式筆記具1(請求項4)により、一方を環状突起42aにし、他方を環状平滑面8aにしたことにより、接続管部42とインキカートリッジ8との密接嵌合部の両者を、環状平滑面にする構成または環状の凹凸にする構成でないため、軸方向の密接摺動(即ち環状に密接嵌合しながら軸方向に移動すること)を、より確実に行うことができる。
【0014】
[5]前記直液式筆記具1において、前記接続管部42の外壁に環状平滑面42bを形成し、前記インキカートリッジ8の前端開口部の内壁に環状突起8bを形成し、前記環状平滑面42bと前記環状突起8bとが環状に密接嵌合してなること(請求項5)が好ましい。
【0015】
前記直液式筆記具1(請求項5)により、一方を環状突起8bにし、他方を環状平滑面42bにしたことにより、接続管部42とインキカートリッジ8との密接嵌合部の両者を、環状平滑面にする構成または環状の凹凸にする構成でないため、軸方向の密接摺動(即ち環状に密接嵌合しながら軸方向に移動すること)を、より確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の直液式筆記具によれば、落下等の衝撃が加わったとしても、接続管部の外壁とインキカートリッジの前端開口部の内壁との密接嵌合状態が維持されるため、インキカートリッジ内のインキが外部に漏出するおそれがない。
【0017】
請求項2の直液式筆記具によれば、落下等の衝撃が加わったとしても、接続管部の外壁とインキカートリッジの前端開口部の内壁との密接嵌合状態が維持されるとともに、インキカートリッジの後方移動が規制されるため、インキカートリッジ内のインキが外部に漏出することを確実に防止できる。
【0018】
請求項3の直液式筆記具によれば、軸筒の内部の限られた収容空間に、できる限り大きなインキカートリッジを収容することができる。
【0019】
請求項4の直液式筆記具によれば、軸方向の密接摺動を、より確実に行うことができる。
【0020】
請求項5の直液式筆記具によれば、軸方向の密接摺動を、より確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第1の実施の形態]
図1に本発明の直液式筆記具1の第1の実施の形態を示す。本実施の形態の直液式筆記具1は、主に、前軸4と後軸5とからなる軸筒3と、前記前軸4内に収容され、前端にペン先2を備えたインキ保留部材6と、前記後軸5内に収容されるインキカートリッジ8とからなる。
【0022】
・前軸
前記前軸4は、円筒状の前側筒部41と、該前側筒部41の底壁から後方に一体に連設され且つ前側筒部41より小径円筒状の接続管部42と、前記前側筒部41の底壁より後方に一体に連設され且つ前記接続管部42の外周を同心状に包囲するよう配置された円筒状の後側筒部43と、前記接続管部42の後端部に一体に形成されたインキカートリッジ開栓用の突片44とからなる。前記前軸4は、透明な合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)の射出成形により得られる。また、前記後側筒部43の外壁には、雄ネジ部が形成される。
【0023】
・接続管部
前記接続管部42の外壁には、インキカートリッジ8の前端開口部の内壁と円周面状に密接可能な密接嵌合部が形成される。前記密接嵌合部は、軸方向の適宜寸法を備えるとともに、インキカートリッジ8の前端開口部の内径より僅かに大きい外径を有する。さらに、前記密接嵌合部の後端部には、環状突起42aが一体に形成される。前記環状突起42aは、少なくとも一つ形成されればよく、本実施の形態では一つのみであるが、これ以外にも複数(例えば二つ)形成されてもよい。
【0024】
・後軸
前記後軸5は、前端が開口され且つ後端が閉鎖された有底筒体であり、透明な合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト)の射出成形により得られる。前記後軸5の前端開口部の内壁には、雌ネジ部が形成される。前記雌ネジ部は、前記前軸4の前側筒部41の外壁の雄ネジ部と螺合可能であり、それにより、前記後軸5の前端部は前軸4の後端部と着脱自在に螺着される。
【0025】
・インキ保留部材
前記インキ保留部材6は、インキカートリッジ8内の圧力上昇に応じた余剰インキを一時的に保持する部材である。前記インキ保留部材6は、複数の櫛歯よりなるインキ保留部61(櫛溝部)と、該インキ保留部61の後端(即ち後端櫛歯66後端面)より後方に突出され且つ該インキ保留部61の外径より小さい外径を有する縮径筒部62と、前記インキ保留部61の前端より前方に突出されたペン先取付部63とが、一体に形成された合成樹脂(例えば、ABS樹脂)の射出成形体よりなる。また、前記インキ保留部材6の軸心には、軸方向に延び且つ後端が後方に開口された軸心孔64が設けられる。前記軸心孔64にはインキ誘導芯7が挿着される。前記ペン先取付部63には、ペン先2が取り付けられる。尚、本発明におけるインキ保留部材6は、前記構成以外にも、インキ保留部61が螺旋状溝や迷路状溝からなるもの、あるいは、インキ保留部61が繊維材料または多孔質材料からなるもの等、いずれであってもよい。
【0026】
前記インキ保留部材6は前軸4内に挿着される。即ち、前記インキ保留部材6のインキ保留部61は、前軸4の前側筒部41内に挿入配置され、前記インキ保留部材6の縮径筒部62は、前軸4の接続管部42内に挿入配置される。このとき、ペン先2及びペン先取付部63が前軸4の前端より前方に突出される。また、前記前軸4の前端(即ちインキ保留部61の前端)には空気孔65が開口される。前記空気孔65によりインキ保留部61と外気とが連通される。
【0027】
前記インキ保留部61には、軸方向に延び且つ径方向外方に開口する第1のスリットが61a形成される。前記第1のスリット61aにより、インキ保留部61の櫛歯間が連通される。前記縮径筒部62の外壁には、軸方向に延び且つ径方向外方に開口する第2のスリット62aが形成される。前記第2のスリット62aは、前端が第1のスリット61aと接続され、後端が軸方向後方(即ちインキカートリッジ8内)に開口される。前記第1のスリット61a及び第2のスリット62aと軸心孔64とは径方向に非連通に構成される。また、前記第1のスリット61aと前記第2のスリット62aとが、同一軸線上に形成されている。
【0028】
前記軸心孔64には、インキ誘導芯7が挿着される。前記インキ誘導芯7は、毛細管力を有する軸方向のインキ導出路を備えるものであればいずれであってもよく、本実施例では、繊維の樹脂加工により得られる棒状体が採用されているが、これ以外にも、例えば、多孔質体、合成樹脂の押出成形体が挙げられる。前記インキ誘導芯7の前端は、ペン先2に接続され、前記インキ誘導芯7の後端は、縮径筒部62の後端面と略一致している。
【0029】
前記ペン先2は、ペン先取付部63に取り付けられる。本実施の形態では、前記ペン先2は、前端に切り割り21を有する金属板製ペン体(いわゆる万年筆ペン体)が採用されている。前記ペン先2前端の切り割り21には、インキ誘導芯7の前端が圧接状態で接続されている。尚、本発明において、ペン先2は、前記金属板製ペン体の他、例えば、ボールペンチップ、繊維ペン体、多孔質ペン体、合成樹脂の押出成形体よりなるプラスチックペン体、パイプ状ペン体、毛筆ペン体等が挙げられる。また、前記ペン先2は、インキ誘導芯7を兼ねるものでもよい。
【0030】
・インキカートリッジ
前記インキカートリッジ8は、前端が開口され且つ後端が閉鎖された有底筒体よりなり、合成樹脂(例えばポリエチレン)の射出成形により得られる。前記インキカートリッジ8の前端開口部の内壁には、環状平滑面8aに形成される。前記インキカートリッジ8内にはインキが直に貯溜される。前記インキカートリッジ8の前端開口部には栓体81が固着され、それにより、インキカートリッジ8内は密封状態となる。前記密封状態のインキカートリッジ8の前端開口部に前記接続管部42を挿入すると、接続管部42の後端に形成された突片44により栓体81が後方に押圧され、栓体81がインキカートリッジ8内に外され、インキカートリッジ8が開栓される。このとき、接続管部42の外壁の密接嵌合部(環状突起42a)とインキカートリッジ8の前端開口部の内壁とは密嵌状態(密接嵌合状態)にある。
【0031】
前記接続管部42の外壁の環状突起42aと、前記インキカートリッジ8の前端開口部の内壁の環状平滑面8aとは、環状に密接嵌合しながら軸方向に移動可能である。前記インキカートリッジ8が軸筒内において後方に移動した際、インキカートリッジ8の後端部の外壁は、軸筒3の後端部(即ち後軸5の後端部)の内壁に当接され、その後方移動が規制される。
【0032】
軸筒3内において密接嵌合終了状態からインキカートリッジ8が後方に移動した際にインキカートリッジ8外壁が軸筒3内壁(即ち後軸5の内壁)に当接するまでの軸方向後方への移動可能量Bは、接続管部42の外壁の環状突起42aとインキカートリッジ8の前端開口部の内壁の環状平滑面8aとが密接嵌合を開始してからその密接嵌合が終了するまでのカートリッジの軸方向前方への移動可能量Aよりも小さく設定されている(即ちA>B)。
【0033】
・落下衝撃時
本実施の形態において、インキカートリッジ8が後軸5内に収容された状態の直液式筆記具1に、落下等の衝撃が加わった際、インキカートリッジ8が軸筒3内で後方に移動したとしても、インキカートリッジ8の後端部の外壁が軸筒3の後端部(即ち後軸5の後端部)の内壁に当接し、インキカートリッジ8の後方移動が規制される。前記インキカートリッジ8の後方移動が規制されるまで、接続管部42の外壁の環状突起42aとインキカートリッジ8の前端開口部の内壁の環状平滑面8aとの密接嵌合状態が維持される。その結果、インキカートリッジ8が接続管部42から外れることがない。
【0034】
[第2の実施の形態]
図2に本発明の直液式筆記具1の第2の実施の形態を示す。本実施の形態の直液式筆記具1は、主に、前軸4と後軸5とからなる軸筒3と、前記前軸4内に収容され、前端にペン先2を備えたインキ保留部材6と、前記後軸5内に収容されるインキカートリッジ8とからなる。
【0035】
・前軸
前記前軸4は、円筒状の前側筒部41と、該前側筒部41の底壁から後方に一体に連設され且つ前側筒部41より小径円筒状の接続管部42と、前記前側筒部41の底壁より後方に一体に連設され且つ前記接続管部42の外周を同心状に包囲するよう配置された円筒状の後側筒部43と、前記接続管部42の後端部に一体に形成されたインキカートリッジ開栓用の突片44とからなる。前記前軸4は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)の射出成形により得られる。また、前記後側筒部43の外壁には、雄ネジ部が形成される。
【0036】
・接続管部
前記接続管部42の外壁には、インキカートリッジ8の前端開口部の内壁と円周面状に密接可能な密接嵌合部が形成される。前記密接嵌合部は、軸方向の適宜寸法を備えるとともに、インキカートリッジ8の前端開口部の内径より僅かに大きい外径を有する。前記密接嵌合部は、環状平滑面42bにより構成される。
【0037】
・後軸
前記後軸5は、前端が開口され且つ後端が閉鎖された有底筒体であり、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト)の射出成形により得られる。前記後軸5の前端開口部の内壁には、雌ネジ部が形成される。前記雌ネジ部は、前記前軸4の前側筒部41の外壁の雄ネジ部と螺合可能であり、それにより、前記後軸5の前端部は前軸4の後端部と着脱自在に螺着される。
【0038】
・インキ保留部材
前記インキ保留部材6は、インキカートリッジ8内の圧力上昇に応じた余剰インキを一時的に保持する部材である。前記インキ保留部材6は、複数の櫛歯よりなるインキ保留部61(櫛溝部)と、該インキ保留部61の後端(即ち後端櫛歯66後端面)より後方に突出され且つ該インキ保留部61の外径より小さい外径を有する縮径筒部62と、前記インキ保留部61の前端より前方に突出されたペン先取付部63とが、一体に形成された合成樹脂(例えば、ABS樹脂)の射出成形体よりなる。また、前記インキ保留部材6の軸心には、軸方向に延び且つ後端が後方に開口された軸心孔64が設けられる。前記軸心孔64にはインキ誘導芯7が挿着される。前記ペン先取付部63には、ペン先2が取り付けられる。
【0039】
前記インキ保留部材6は前軸4内に挿着される。即ち、前記インキ保留部材6のインキ保留部61は、前軸4の前側筒部41内に挿入配置され、前記インキ保留部材6の縮径筒部62は、前軸4の接続管部42内に挿入配置される。このとき、ペン先2及びペン先取付部63が前軸4の前端より前方に突出される。また、前記前軸4の前端(即ちインキ保留部61の前端)には空気孔65が開口される。前記空気孔65によりインキ保留部61と外気とが連通される。
【0040】
前記インキ保留部61には、軸方向に延び且つ径方向外方に開口する第1のスリット61aが形成される。前記第1のスリット61aにより、インキ保留部61の櫛歯間が連通される。前記縮径筒部62の外壁には、軸方向に延び且つ径方向外方に開口する第2のスリット62aが形成される。前記第2のスリット62aは、前端が第1のスリット61aと接続され、後端が軸方向後方(即ちインキカートリッジ8内)に開口される。前記第1のスリット61a及び第2のスリット62aと軸心孔64とは径方向に非連通に構成される。また、前記第1のスリット61aと前記第2のスリット62aとが、同一軸線上に形成されている。
【0041】
前記軸心孔64には、インキ誘導芯7が挿着される。前記インキ誘導芯7は、毛細管力を有する軸方向のインキ導出路を備えるものであればいずれであってもよく、本実施例では、繊維の樹脂加工により得られる棒状体が採用されているが、これ以外にも、例えば、多孔質体、合成樹脂の押出成形体が挙げられる。前記インキ誘導芯7の前端は、ペン先2に接続され、前記インキ誘導芯7の後端は、縮径筒部62の後端面と略一致している。
【0042】
前記ペン先2は、ペン先取付部63に取り付けられる。本実施の形態では、前記ペン先2は、前端に切り割り21を有する金属板製ペン体(いわゆる万年筆ペン体)が採用されている。前記ペン先2前端の切り割り21には、インキ誘導芯7の前端が圧接状態で接続されている。尚、本発明において、ペン先2は、前記金属板製ペン体の他、例えば、ボールペンチップ、繊維ペン体、多孔質ペン体、合成樹脂の押出成形体よりなるプラスチックペン体、パイプ状ペン体、毛筆ペン体等が挙げられる。また、前記ペン先2は、インキ誘導芯7を兼ねるものでもよい。
【0043】
・インキカートリッジ
前記インキカートリッジ8は、前端が開口され且つ後端が閉鎖された有底筒体よりなり、合成樹脂(例えばポリエチレン)の射出成形により得られる。前記インキカートリッジ8の前端開口部の内壁には環状突起8bが形成される。前記インキカートリッジ8内にはインキが直に貯溜される。前記インキカートリッジ8の前端開口部には栓体81が固着され、それにより、インキカートリッジ8内は密封状態となる。前記密封状態のインキカートリッジ8の前端開口部に前記接続管部42を挿入すると、接続管部42の後端に形成された突片44により栓体81が後方に押圧され、栓体81がインキカートリッジ8内に外され、インキカートリッジ8が開栓される。このとき、接続管部42の外壁の密接嵌合部(環状平滑面42b)とインキカートリッジ8の前端開口部の内壁の環状突起8bとは密嵌状態(密接嵌合状態)にある。前記環状突起8bは、少なくとも一つ形成されればよく、本実施の形態では一つのみであるが、これ以外にも複数(例えば二つ)形成されてもよい。
【0044】
前記接続管部42の外壁の環状平滑面42bと、前記インキカートリッジ8の前端開口部の内壁の環状突起8bとは、環状に密接嵌合しながら軸方向に移動可能である。前記インキカートリッジ8が軸筒3内において後方に移動した際、インキカートリッジ8の後端部の外壁は、軸筒3の後端部(即ち後軸5の後端部)の内壁に当接され、その後方移動が規制される。
【0045】
軸筒3内において密接嵌合終了状態からインキカートリッジ8が後方に移動した際にインキカートリッジ8外壁が軸筒3内壁(即ち後軸5の内壁)に当接するまでの軸方向後方への移動可能量Bは、接続管部42の外壁の環状平滑面42bとインキカートリッジ8の前端開口部の内壁の環状突起8bとが密接嵌合を開始してからその密接嵌合が終了するまでのカートリッジの軸方向前方への移動可能量Aよりも小さく設定されている(即ちA>B)。
【0046】
・落下衝撃時
本実施の形態において、インキカートリッジ8が後軸5内に収容された状態の直液式筆記具1に、落下等の衝撃が加わった際、インキカートリッジ8が軸筒3内で後方に移動したとしても、インキカートリッジ8の後端部(即ち後軸5の後端部)の外壁が軸筒3の後端部の内壁に当接し、インキカートリッジ8の後方移動が規制される。前記インキカートリッジ8の後方移動が規制されるまで、接続管部42の外壁の環状平滑面42bとインキカートリッジ8の前端開口部の内壁の環状突起8bとの密接嵌合状態が維持される。その結果、インキカートリッジ8が接続管部42から外れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態の縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 直液式筆記具
2 ペン先
21 切り割り
3 軸筒
4 前軸
41 前側筒部
42 接続管部
42a 環状突起
42b 環状平滑面
43 後側筒部
44 突片
5 後軸
6 インキ保留部材
61 インキ保留部
61a 第1のスリット
62 縮径筒部
62a 第2のスリット62a
63 ペン先取付部
64 軸心孔
65 空気孔
66 後端櫛歯
7 インキ誘導芯
8 インキカートリッジ
81 栓体
8a 環状平滑面
8b 環状突起




 

 


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