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発明の名称 多芯筆記具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−15276(P2007−15276A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−200245(P2005−200245)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人
発明者 山内 治巳 / 安藤 正史
要約 課題
ユーザーが好みの筆記体とそれに対応した操作体を軸筒内に交換可能に収容でき、しかも、筆記体及び操作体を迅速且つ確実に交換できる多芯筆記具を提供する。

解決手段
軸筒2内に複数の筆記体を前後方向に移動可能に収容する。各々の筆記体を弾発体により後方に付勢する。各々の筆記体の後端に、各々の筆記体に対応した操作体を連結する。軸筒2の側壁に前後方向に延びる複数の窓孔41を径方向に貫設する。各々の窓孔41から径方向外方に各々の操作体を突出させる。窓孔41の周壁の少なくとも一箇所を径方向に分離可能に構成する。前記窓孔41の周壁の分離箇所を介して操作体及び筆記体を、軸筒2内から取り外し可能且つ軸筒2内に挿入可能に構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
軸筒内に複数の筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記各々の筆記体を弾発体により後方に付勢し、前記各々の筆記体の後端に、各々の筆記体に対応した操作体を連結し、軸筒の側壁に前後方向に延びる複数の窓孔を径方向に貫設し、前記各々の窓孔から径方向外方に前記各々の操作体を突出させ、一つの操作体を窓孔に沿って前方にスライドさせることにより、その一つの操作体に連結された筆記体のペン先を軸筒の前端孔から突出させるとともに、先に突出状態にあった他の筆記体のペン先を軸筒内に没入させる多芯筆記具であって、各々の筆記体を軸筒内から取り外し交換可能に構成するとともに、窓孔の周壁の少なくとも一箇所を径方向に分離可能に構成し、前記窓孔の周壁の少なくとも一箇所を径方向に分離した際、前記窓孔の周壁の分離箇所を介して操作体を、軸筒内から取り外し可能且つ軸筒内に挿入可能に構成したことを特徴とする多芯筆記具。
【請求項2】
軸筒内に複数の筆記体を前後方向に移動可能に収容し、前記各々の筆記体を弾発体により後方に付勢し、前記各々の筆記体の後端に、各々の筆記体に対応した操作体を連結し、軸筒の側壁に前後方向に延びる複数の窓孔を径方向に貫設し、前記各々の窓孔から径方向外方に前記各々の操作体を突出させ、一つの操作体を窓孔に沿って前方にスライドさせることにより、その一つの操作体に連結された筆記体のペン先を軸筒の前端孔から突出させるとともに、先に突出状態にあった他の筆記体のペン先を軸筒内に没入させる多芯筆記具であって、窓孔の周壁の少なくとも一箇所を径方向に分離可能に構成し、前記窓孔の周壁の少なくとも一箇所を径方向に分離した際、前記窓孔の周壁の分離箇所を介して操作体及び筆記体を、軸筒内から取り外し可能且つ軸筒内に挿入可能に構成したことを特徴とする多芯筆記具。
【請求項3】
筆記体と操作体とを連結状態で、軸筒内から取り外し可能且つ軸筒内に挿入可能に構成した請求項2記載の多芯筆記具。
【請求項4】
窓孔の周壁の少なくとも前端または後端を径方向に分離可能に構成し、前記窓孔の周壁の前端または後端を径方向に分離することにより、窓孔を前方または後方に開放してなる請求項1乃至3のいずれかに記載の多芯筆記具。
【請求項5】
前記窓孔の周壁後端が径方向に分離されるに伴って、軸筒の後端部の側壁が径方向に分離可能に構成され、前記軸筒の後端部の側壁に蓋部を着脱自在に設け、前記軸筒の後端部の側壁に取り付けた蓋部によって、軸筒の後端部の側壁が合体状態に保持される請求項1乃至4記載の多芯筆記具。
【請求項6】
前記軸筒の内壁に弾発体の前端が軸方向に当接する弾発体支持部を設け、前記弾発体支持部に、弾発体の前端部を径方向に保持する保持部を形成した請求項1乃至5のいずれかに記載の多芯筆記具。
【請求項7】
前記各々の操作体を、連結される筆記体の内部に収容されたインキの色に着色した請求項1乃至6のいずれかに記載の多芯筆記具。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、多芯筆記具に関する。詳細には、軸筒内に複数の筆記体を収容した多芯筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の筆記具において、特許文献1には、各筆記体の後部に隆起部を設けた摺動体を連接し、隆起部を軸筒の外方に突出させ、隆起部を摺動体に着脱自在に装着したことにより、使用者の好みにあった筆記体に交換した際に、誤った筆記体の選択をすることなく、また隆起部の形状や色柄も選択可能とした構成が開示されている。
【特許文献1】特開2003−11583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来の多芯筆記具は、ユーザーが、交換前に軸筒内に収容されていた筆記体とは異なる種類の筆記体に交換する際、摺動体を軸筒内に残した状態で、摺動体から筆記体と隆起部とを取り外し、その後、摺動体に新たな筆記体と新たな隆起部とを取り付ける。そのため、筆記体の交換作業が複雑であり、ユーザーが迅速且つ確実な交換を行うことができないおそれがあり、さらに、複数の筆記体を同時に交換する場合、誤って、筆記体とその筆記体に対応しない隆起部とを一つの摺動体に取り付けるおそれがある。また、前記隆起部は、小さな部品であるため、紛失しやすい。
【0004】
本発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、ユーザーが好みの筆記体とそれに対応した操作体を軸筒内に交換可能に収容でき、しかも、筆記体及び操作体を迅速且つ確実に交換することができる多芯筆記具を提供しようとするものである。尚、本発明において、「前」とはペン先側を指し、「後」とは反対側を指す。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本発明は、軸筒2内に複数の筆記体6を前後方向に移動可能に収容し、前記各々の筆記体6を弾発体により後方に付勢し、前記各々の筆記体6の後端に、各々の筆記体6に対応した操作体7を連結し、軸筒2の側壁に前後方向に延びる複数の窓孔41を径方向に貫設し、前記各々の窓孔41から径方向外方に前記各々の操作体7を突出させ、一つの操作体7を窓孔41に沿って前方にスライドさせることにより、その一つの操作体7に連結された筆記体6のペン先61を軸筒2の前端孔31から突出させるとともに、先に突出状態にあった他の筆記体6のペン先61を軸筒2内に没入させる多芯筆記具であって、各々の筆記体6を軸筒2内から取り外し交換可能に構成するとともに、窓孔41の周壁の少なくとも一箇所を径方向に分離可能に構成し、前記窓孔41の周壁の少なくとも一箇所を径方向に分離した際、前記窓孔41の周壁の分離箇所を介して操作体7を、軸筒2内から取り外し可能且つ軸筒2内に挿入可能に構成したこと(請求項1)を要件とする。
【0006】
前記多芯筆記具1(請求項1)は、ユーザーが軸筒2内の筆記体6を取り外して好みの筆記体6に交換できると同時に、操作体7も、軸筒2内から取り外してその筆記体6に適正に対応したものに交換でき、筆記体6と操作体7との誤った連結を防止できる。仮に、操作体7が軸筒2内から取り外し交換できない構成の場合、交換できる筆記体6の種類は、軸筒2内に収容された操作体7に対応した筆記体6のみに限られ、ユーザーが好みの筆記体6を自由に交換できない。また、前記多芯筆記具1(請求項1)は、従来のような小さな部品の交換を必要とせず、迅速且つ確実な交換作業を行うことができる。
【0007】
尚、前記多芯筆記具1(請求項1)は、窓孔41の周壁の少なくとも一箇所を径方向に分離する構成は、窓孔41に連通する開口部を窓孔41の周壁に形成する構成、または、窓孔41に連通しない開口部を窓孔41の周壁に形成する構成のいずれであってもよい。尚、前記多芯筆記具1(請求項1)において、各々の筆記体6は、軸筒2の窓孔41の周壁を分離することによって交換してもよいし、あるいは、軸筒2の前方に開口する開口部を設け(例えば、軸筒2を着脱自在な前軸3と後軸4とにより構成し、前軸3を取り外すことにより後軸4の前端に開口部を設け)、その開口部を介して交換してもよい。尚、本発明において、前記窓孔41の周壁とは、窓孔41の周囲に位置する軸筒2の側壁をいう。
【0008】
[2]また、本発明は、軸筒2内に複数の筆記体6を前後方向に移動可能に収容し、前記各々の筆記体6を弾発体により後方に付勢し、前記各々の筆記体6の後端に、各々の筆記体6に対応した操作体7を連結し、軸筒2の側壁に前後方向に延びる複数の窓孔41を径方向に貫設し、前記各々の窓孔41から径方向外方に前記各々の操作体7を突出させ、一つの操作体7を窓孔41に沿って前方にスライドさせることにより、その一つの操作体7に連結された筆記体6のペン先61を軸筒2の前端孔31から突出させるとともに、先に突出状態にあった他の筆記体6のペン先61を軸筒2内に没入させる多芯筆記具であって、窓孔41の周壁の少なくとも一箇所を径方向に分離可能に構成し、前記窓孔41の周壁の少なくとも一箇所を径方向に分離した際、前記窓孔41の周壁の分離箇所を介して操作体7及び筆記体6を、軸筒2内から取り外し可能且つ軸筒2内に挿入可能に構成したこと(請求項2)を要件とする。
【0009】
前記多芯筆記具1(請求項2)は、窓孔41の周壁の少なくとも一箇所を径方向に分離し、前記窓孔41の周壁の分離箇所を介して、操作体7及び筆記体6が軸筒2から取り外し交換可能となることにより、ユーザーが軸筒2内の筆記体6を取り外して好みの筆記体6に交換できると同時に、操作体7も、軸筒2内から取り外してその筆記体6に適正に対応したものに交換でき、筆記体6と操作体7との誤った連結を防止できる。仮に、操作体7が軸筒2内から取り外し交換できない構成の場合、交換できる筆記体6の種類は、軸筒2内に収容された操作体7に対応した筆記体6のみに限られ、ユーザーが好みの筆記体6を自由に交換できない。また、前記多芯筆記具1(請求項2)は、筆記体6及び操作体7の二つの部品を、同一箇所(即ち窓孔41の周壁の分離箇所)を介して交換できるため、筆記体6及び操作体7の交換作業が単純になり、その交換作業を迅速且つ確実に行うことができる。
【0010】
尚、前記多芯筆記具1(請求項2)は、窓孔41の周壁の少なくとも一箇所を径方向に分離する構成は、窓孔41に連通する開口部を窓孔41の周壁に形成する構成、または、窓孔41に連通しない開口部を窓孔41の周壁に形成する構成のいずれであってもよい。
【0011】
[3]前記多芯筆記具1(請求項2)において、筆記体6と操作体7とを連結状態で、軸筒2内から取り外し可能且つ軸筒2内に挿入可能に構成したこと (請求項3)が好ましい。
【0012】
前記多芯筆記具1(請求項3)は、筆記体6及び操作体7を連結状態で、軸筒2内から取り外し可能且つ軸筒2内に挿入可能に構成したことにより、筆記体6及び操作体7の交換作業が、より一層、単純になり、いかなるユーザーでもその交換作業を迅速且つ確実に行うことができる。また、前記多芯筆記具1(請求項3)は、筆記体6と操作体7とを連結状態でユーザーに提供すれば、ユーザーが、筆記体6と操作体7とを連結することが不要となり、筆記体6の交換の際、筆記体6とその筆記体6に対応した操作体7とを誤って連結することを、確実に防止できる。
【0013】
[4]前記多芯筆記具1(請求項1乃至3)において、窓孔41の周壁の少なくとも前端または後端を径方向に分離可能に構成し、前記窓孔41の周壁の前端または後端を径方向に分離し、窓孔41を前方または後方に開放してなること(請求項4)が好ましい。
【0014】
前記多芯筆記具1(請求項4)は、操作体7の交換時に、窓孔41より突出する操作体7を、前方または後方に開放された窓孔41を介して軸筒2内から取り外すことができるため、一層、操作体7の交換作業が容易となる。
【0015】
[5]前記多芯筆記具1(請求項1乃至4)において、前記窓孔41の周壁後端が径方向に分離されるに伴って、軸筒2の後端部の側壁が径方向に分離可能に構成され、前記軸筒2の後端部の側壁に蓋部5を着脱自在に設け、前記軸筒2の後端部の側壁に取り付けた蓋部5によって、軸筒2の後端部の側壁が合体状態に保持されること(請求項5)が好ましい。
【0016】
前記多芯筆記具1(請求項5)は、筆記使用時、蓋部5を軸筒2の後端部の側壁に取り付けることにより、軸筒2の後端部の側壁が合体状態で安定的に保持され、軸筒2の後端部の側壁が径方向に分離することを防止できる。もし、筆記使用時に、軸筒2の後端部の側壁が径方向に分離すると、後方付勢状態の操作体7が外部に飛び出すおそれがある。
【0017】
[6]前記多芯筆記具1(請求項1乃至5)において、前記軸筒2の内壁に弾発体8の前端が軸方向に当接する弾発体支持部9を設け、前記弾発体支持部9に、弾発体8の前端部を径方向に保持する保持部92を形成したこと(請求項6)が好ましい。
【0018】
前記多芯筆記具1(請求項6)により、操作体7を軸筒2内から取り外すとき、弾発体8の前端部が保持部92により径方向に保持されているため、弾発体8が軸筒2内から外部に脱落することを防止できる。もし、弾発体8が軸筒2内から外部に脱落すると、新たな操作体7を挿入する際に再び弾発体8を挿入する手間を要し、その上、弾発体8が紛失するおそれがある。前記保持部92が弾発体8の前端部を保持する構成は、例えば、弾発体8の前端部外面を径方向内方に保持する構成、または、弾発体8の前端部内面を径方向外方に保持する構成が挙げられる。
【0019】
[7]前記多芯筆記具1(請求項1乃至6)において、前記各々の操作体7を、連結される筆記体6の内部に収容されたインキの色に着色したこと(請求項7)が好ましい。
【0020】
前記多芯筆記具1(請求項7)は、各々の操作体7が内部に収容されたインキの色と同じ色または略同じ色に着色され、ペン先突出操作する筆記体6のインキ色を、軸筒2の窓孔41から露出する操作部71により、容易に識別することができる。さらに、前記多芯筆記具1(請求項7)は、操作体7の交換時、窓孔41から突出する操作体7のインキ色を視認することにより、取り外すべき筆記体6に連結された操作体7を、窓孔41から容易に識別できる。また、前記着色された操作体7が連結された状態の筆記体6が、軸筒2内に収容する前の状態(即ち軸筒2の外部にある状態)の場合、筆記体6のインキ色を、操作体7を視認することによって、比較的遠くからでも容易に識別できる。
【0021】
尚、本発明で、筆記体6に対応した操作体7とは、筆記体6に対応した識別表示を有する操作体7であることが好ましい。前記識別表示は、例えば、インキ色表示、ペン先サイズの表示、筆跡幅の表示、ペン先種類の表示等が挙げられる。また、本発明で、筆記体6とは、例えば、ボールペン、マーキングペン、シャープペンシル等が挙げられる。尚、本発明で、軸筒2は、筆記体6のペン先61が突出可能な前端孔31を備えた前軸3と、側壁に窓孔41を備えた後軸4とからなる構成でもよい。また、前記前軸3に対して前記後軸4が前後方向に移動可能に構成し、筆記体6としてシャープペンシルを採用し、前記後軸4の前進により鉛芯の繰り出しを可能にできる。また、本発明で、軸筒2内に収容する筆記体6の本数は、2本以上であればよく、具体的には、2本、3本、4本、5本、6本等が挙げられる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の多芯筆記具によれば、ユーザーが好みの筆記体に交換できると同時に、操作体も、その筆記体に適正に対応したものに交換でき、筆記体と操作体との誤った連結を防止できる。また、従来のような小さな部品の交換を必要とせず、迅速且つ確実な交換作業を行うことができる。
【0023】
請求項2の多芯筆記具によれば、窓孔の周壁の分離箇所を介して、操作体及び筆記体が交換可能となり、ユーザーが好みの筆記体に交換できると同時に、操作体も、その筆記体に適正に対応したものに交換でき、筆記体と操作体との誤った連結を防止できる。また、筆記体及び操作体の交換作業が単純になり、その交換作業を迅速且つ確実に行うことができる。
【0024】
請求項3の多芯筆記具によれば、筆記体及び操作体の交換作業が、より一層、単純になり、いかなるユーザーでもその交換作業を迅速且つ確実に行うことができる。また、筆記体と操作体とを連結状態でユーザーに提供すれば、ユーザーが、筆記体と操作体とを連結することが不要となり、筆記体の交換の際、筆記体とその筆記体に対応した操作体とを誤って連結することを、確実に防止できる。
【0025】
請求項4の多芯筆記具によれば、操作体の交換時に、窓孔より突出する操作体を、前方または後方に開放された窓孔を介して軸筒内から取り外すことができるため、一層、操作体の交換作業が容易となる。
【0026】
請求項5の多芯筆記具によれば、筆記使用時、蓋部を軸筒の後端部の側壁に取り付けることにより、軸筒の後端部の側壁が径方向に分離することを防止できる。
【0027】
請求項6の多芯筆記具によれば、操作体を軸筒内から取り外すとき、弾発体が軸筒内から外部に脱落することを防止できる。
【0028】
請求項7の多芯筆記具によれば、ペン先突出操作する筆記体のインキ色を、軸筒の窓孔から露出する操作部により、容易に識別することができる。さらに、操作体の交換時、窓孔から突出する操作体のインキ色を視認することにより、取り外すべき筆記体に連結された操作体を窓孔から容易に識別でき、交換作業が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
[第1の実施の形態]
図1乃至図7に本発明の第1の実施の形態を示す。
本実施の形態の多芯筆記具1は、軸筒2内に複数本(具体的には2本)の筆記体6が前後方向に移動可能に収容されている。前記各々の筆記体6は、弾発体8(具体的には圧縮コイルスプリング)により、後方に付勢されている。
【0030】
(軸筒)
前記軸筒2は、先細状の円筒体からなる前軸3と、該前軸3の後端部と螺合または圧入により取り付けられる円筒状の後軸4とからなる。前記前軸3の前端には、筆記体6のペン先61が突出可能な前端孔31が軸方向に貫設される。前記前軸3及び後軸4は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト等)の射出成形により得られる。
【0031】
前記後軸4の後部の側壁には、複数本(具体的には2本)の前後方向に延びる細長状の窓孔41が、径方向に貫設される。前記2本の窓孔41は、互いに、軸線に対して対称位置に形成される。前記窓孔41の内壁の後端が、没入状態の筆記体6の後端部に連結された操作体7が当接可能な当接壁部41aとなる。
【0032】
前記窓孔41を有する後軸4の側壁は、径方向に分離可能な分離壁部43を備える。即ち、後軸4は、後軸本体42と、該後軸本体42と分離・合体可能な分離壁部43とからなる。前記分離壁部43は、半円筒状部材によりなる。前記後軸本体42と前記分離壁部43とは、各々の窓孔41の周壁の前端及び後端が径方向に分離可能に構成される。前記分離壁部43を、径方向に完全に分離した際(即ち、窓孔41周壁の前端を径方向に分離し且つ窓孔41の後端を径方向に分離した際)、各々の窓孔41の周壁の半分が除去されるため、各々の窓孔41が大きく開口される。前記大きく開口された窓孔41から操作体7を容易に取り外して交換することができる。
【0033】
前記分離壁部43の前端部の外周面は、縮径され、そこに後軸本体42の内面に係合可能な係合部43aが設けられる。
【0034】
また、前記後軸4の後端部には、後方に開口する開口部が形成される。前記開口部の外周面には蓋部5が着脱自在に(例えば、螺着、圧入、または乗り越え係合等により)取り付けられる。前記分離壁部43の後端部の外周面及び後軸本体42の後端部外周面は、縮径され、そこに、係合部46が形成され、該係合部46に蓋部5が着脱自在に取り付けられる。
【0035】
また、前記後軸4の窓孔41の相互間の側壁内面には、前後方向に延びるリブよりなる係止壁部44が形成され、前記係止壁部44に、ペン先61が突出した際の筆記体6の操作体7の後端が係止される。尚、図3乃至図8は前記係止壁部44を省略している。
【0036】
前記後軸4(後軸本体42)の窓孔41の相互間の側壁外面には、クリップ45が設けられる。尚、これ以外にも、前記クリップ45は、分離壁部43に設けることもできる。
【0037】
(筆記体)
前記各々の筆記体6は、ボールペンレフィルであり、前端にボールが回転可能に抱持されたボールペンチップ(即ちペン先61)と、該ボールペンチップを前端に備え且つ後端が開口されたインキ収容管62とからなる。前記インキ収容管62の内部には、剪断減粘性を有する水性ゲルインキ、低粘度の水性インキ、低粘度の油性インキ、または高粘度の油性インキからなるインキが収容される。前記インキが、剪断減粘性を有する水性ゲルインキ、低粘度の水性インキ、または低粘度の油性インキの場合、インキ収容管62内のインキの後端には、インキの消費に伴い前進する高粘度流体からなる追従体が充填される。
【0038】
また、前記ボールペンチップは、前端に回転可能に抱持されたボールを弾発体等により前方に付勢し、前端縁部の内面にボールを密接させる構成でもよい。また、ボールペンチップは、インキ収容管62の前端開口部に圧入等により直接、取り付けてもよいが、本実施の形態ではペン先ホルダーを介してインキ収容管62の前端開口部に固着される。
【0039】
(操作体)
前記各々の筆記体6の後端(即ちインキ収容管62の後端開口部)には、操作体7が取り付けられる。前記各々の操作体7は、後端部に形成され且つ軸筒2の窓孔41から外部に突出する操作部71と、該操作部71の反対側に設けられる前側突出部72と、該操作部71の反対側の前側突出部72の後方に設けられる後側突出部73と、前端部に形成され且つインキ収容管62の後端開口部に嵌入される嵌入部74と、該嵌入部74の後方に形成される鍔部75とを備える。前記嵌入部74は、インキ収容管62の後端開口部に嵌入された際、インキ収容管62の後端開口部を完全には塞がず、インキ収容管62の内部と外部とを通気可能にする。また、前記鍔部75の前面には、弾発体8の後端が係止される。また、前記操作体7の両方の側壁には抜け止め突起が形成される。前記抜け止め突起は窓孔41の両方の側壁内面に係合可能である。
【0040】
筆記体6のペン先61が没入状態のとき、その筆記体6に取り付けられた操作体7の後端部は、窓孔41の内壁の後端に形成された当接壁部41aに衝止される。一方、筆記体6のペン先61が突出状態のとき、その筆記体6に取り付けられた操作体7の後端部は、軸筒2の内壁に形成された係止壁部44に係止される。
【0041】
ペン先没入状態にある筆記体6の後端に連結された操作体7の前側突出部72は、その操作体7の操作部71を前方にスライド操作した際、先に突出状態にある他の筆記体6の後端に連結された操作体7の後側突出部73と当接され、他の筆記体6のペン先突出状態が解除される。
【0042】
(識別表示)
前記各々の操作体7は、連結される筆記体6の内部(即ちインキ収容管62内部)に収容されたインキの色と略同じ色に着色される。具体的には、前記操作体7の各々は、連結される筆記体6のインキ色と略同じ色に着色された合成樹脂の成形体からなる。それにより、前記操作体7は、インキ色表示からなる識別表示を有する。例えば、インキ色が黒色の筆記体6に連結する操作体7は黒色に着色され、インキ色が青色の筆記体6に連結する操作体7は青色に着色され、インキ色が赤色の筆記体6に連結する操作体7は赤色に着色され、インキ色が緑色の筆記体6に連結する操作体7は緑色に着色される。本実施の形態では、インキ色の互いに異なる2本の筆記体6を軸筒2内に収容している。
【0043】
特に、インキ収容管62が不透明材料からなる構成の場合またはインキ収容管62が透明材料からなるとともに内部のインキが染料インキである構成の場合、内部のインキ色を外部より視認することが困難であるが、その場合、操作体7をインキの色と略同じ色に着色したことが有効に作用し、軸筒2外部に存在する交換前の筆記体6において、内部のインキ色を外部より容易に識別できる。
【0044】
また、各々の筆記体6がペン先61のボールのサイズが互いに異なるボールペンの場合、ペン先61のボールの外径寸法を表す数字よりなる識別表示を、操作体7の操作部71に設けることが好ましい。また、各々の筆記体6がペン先61の形状が互いに異なる筆記具の場合、ペン先61の形状に対応した識別表示を、操作体7の操作部71に設けることが好ましい。また、前記ペン先61のボールの外径寸法を表す数字からなる識別表示、及びペン先61の形状に対応した識別表示は、前記インキ色に着色された操作体7の操作部71に設けることもできる。前記識別表示は、印刷、シール貼付、凸設、凹設等の手段により、操作体7に設けられる。
【0045】
(弾発体支持部)
軸筒2の内壁(即ち後軸本体42の内壁)には、円板状の弾発体支持部9が設けられる。前記弾発体支持部9は、筆記体6が挿通される複数(具体的には2個)の内孔91が軸方向に貫設されている。前記弾発体支持部9の後面と、各々の操作体7の鍔部75の前面との間には、弾発体8が配置される。前記各々の弾発体8の内部に筆記体6が遊挿されるとともに、各々の弾発体8の前端は弾発体支持部9の後面により係止され、各々の弾発体8の後端は操作体7の鍔部75の前面に係止される。
【0046】
また、弾発体支持部9の後面の各々の内孔91の後方には、前記内孔91と連通し且つ内孔91よりも僅かに大きい内径を有する保持部92が形成される。前記各々の保持部92の内面は、各々の弾発体8の前端部外面が圧入保持される。それにより、後軸本体42と分離壁部43とを分離し、各々の筆記体6及び操作体7を交換する際、軸筒2内から各々の弾発体8が脱落することを防止できる。前記内孔91と前記保持部92との間には、弾発体8の前端が当接係止可能な段部が形成される。
【0047】
前記各々の弾発体8は、各々の操作体7(即ち各々の筆記体6)を、常時、後方に付勢している。前記各々の弾発体8は、ペン先突出状態及びペン先没入状態のいずれにおいても圧縮状態(即ち筆記体6が後方に付勢された状態)にあり、それにより、各々の操作体7の前後のがたつきが防止される。
【0048】
(ペン先の出没)
本実施の形態におけるペン先61の出没作動について説明する。
一つの操作体7の操作部71を弾発体8の後方付勢に抗して窓孔41に沿って前方にスライド操作すると、そのスライド操作された操作体7の前側突出部72が、先に突出状態にある他の筆記体6の操作部71の後側突出部73を径方向外方に持ち上げる。それにより、軸筒2内壁の係止壁部44と操作体7との係止状態が解除され、他の筆記体6が弾発体8の後方付勢により後方に移動され、他の筆記体6のペン先61が軸筒2内に没入され、他の筆記体6の操作部71の後端が、窓孔41の内壁の後端の当接壁部41aに当接衝止される。前記他の筆記体6のペン先61の没入と同時に、前記前方にスライド操作した操作体7に連結された筆記体6のペン先61が、軸筒2の前端孔31より外部に突出されるとともに、前方にスライド操作された操作体7の後端が軸筒2内壁の係止壁部44に係止され、そのペン先61の突出状態が維持される。
【0049】
(筆記体及び操作体の交換)
本実施の形態における筆記体6及び操作体7の交換について説明する。
筆記体6を交換する際、後軸本体42と分離壁部43とが合体状態(図3参照)から、蓋部5を後軸4後端から取り外した後、分離壁部43を後軸本体42から径方向に分離することにより、各々の窓孔41を大きく開口する(図7参照)。そして、前記窓孔41から操作体7を取り出すことにより、その操作体7と互いに連結状態にある筆記体6を、前記分離された窓孔41を介して軸筒2内から取り出し、その後、互いに連結状態にある新たな筆記体6と新たな操作体7とを前記分離された窓孔41を介して軸筒2内に挿入する。そして、前記分離壁部43と後軸本体42とを合体状態にし、その後、蓋部5を軸筒2の後端部に取り付け、筆記体6及び操作体7の交換が終了する。
【0050】
[第2の実施の形態]
図8に本発明の第2の実施の形態を示す。
本実施の形態は、分離壁部43の周壁の後端が径方向に分離可能に構成され、一方、分離壁部43の周壁の前端が後軸本体42とヒンジ部47により接続されている。尚、本実施の形態の他の構成は、第1の実施の形態と同様であり、説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の多芯筆記具の第1の実施の形態の全ペン先没入状態(非筆記時)を示す縦断面図である。
【図2】図1の多芯筆記具の一つのペン先が突出した状態(筆記時)を示す縦断面図である。
【図3】図1の多芯筆記具のA−A線断面図である。(但し、筆記体、操作体、弾発体、及び係止壁部を省略した。)
【図4】図3のB−B線断面図である。
【図5】図3のC−C線断面図である。
【図6】図3のD−D線断面図である。
【図7】図3の多芯筆記具の窓孔の周壁を分離した状態を示す縦断面図である。
【図8】本発明の多芯筆記具の第2の実施の形態における窓孔の周壁を分離した状態を示す縦断面図である。(但し、筆記体、操作体、弾発体、及び係止壁部を省略した。)
【符号の説明】
【0052】
1 多芯筆記具
2 軸筒
3 前軸
31 前端孔
4 後軸
41 窓孔
41a 当接壁部
42 後軸本体
43 分離壁部
43a 係合部
44 係止壁部
45 クリップ
46 係合部
47 ヒンジ部
5 蓋部
6 筆記体
61 ペン先(ボールペンチップ)
62 インキ収容管
7 操作体
71 操作部
72 前側突出部
73 後側突出部
74 嵌入部
75 鍔部
8 弾発体
9 弾発体支持部
91 内孔
92 保持部




 

 


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