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発明の名称 排ガスの脱硝方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−69130(P2007−69130A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−259592(P2005−259592)
出願日 平成17年9月7日(2005.9.7)
代理人 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
発明者 茨木 彰一 / 杉浦 公彦 / 神田 伸靖
要約 課題
排ガス温度が低温であって、かつ硫黄酸化物を含有する排ガス中の窒素酸化物を、硫黄酸化物の影響を受けずに、効率的に除去処理できるようにする脱硝法を提供する。

解決手段
一酸化窒素及び二酸化硫黄を含む排ガス中の窒素酸化物を還元的に除去する脱硝方法であって、前記排ガス中の一酸化窒素の一部を酸化して二酸化窒素を生成する第1工程、窒素化合物及び炭化水素化合物を高温領域に添加してアミンラジカルを生成する第2工程、該アミンラジカルと前記第1工程から排出した一酸化窒素及び二酸化窒素を含む排ガスを混合する第3工程を含むことを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
一酸化窒素及び二酸化硫黄を含む排ガス中の窒素酸化物を還元的に除去する脱硝方法であって、前記排ガス中の一酸化窒素の一部を酸化して二酸化窒素を生成する第1工程、窒素化合物及び炭化水素化合物を高温領域に添加してアミンラジカルを生成する第2工程、該アミンラジカルと前記第1工程から排出した一酸化窒素及び二酸化窒素を含む排ガスを混合する第3工程を含む排ガスの脱硝方法。
【請求項2】
前記第1工程において、前記排ガスを、酸化触媒との接触処理又はプラズマ照射処理して、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化する請求項1に記載の排ガスの脱硝方法。
【請求項3】
前記酸化触媒が、チタンを含有する担体に活性金属を担持した触媒であり、該活性金属が、バナジウム化合物、ニオブ化合物、モリブデン化合物及びタングステン化合物から選ばれる少なくとも1つである請求項2に記載の排ガスの脱硝方法。
【請求項4】
前記第1工程において、一酸化窒素の酸化率Ncに対する二酸化硫黄の酸化率Scの比Sc/Ncが、0.01〜0.2である請求項1〜3のいずれかに記載の排ガスの脱硝方法。
【請求項5】
前記高温領域が、バーナーの火炎又は電熱ヒータの周辺に形成された請求項1〜4のいずれかに記載の排ガスの脱硝方法。
【請求項6】
前記高温領域が、温度700〜1000℃である請求項1〜5のいずれかに記載の排ガスの脱硝方法。
【請求項7】
前記窒素化合物が、アンモニア、尿素、シアヌール酸のいずれかである請求項1〜6のいずれかに記載の排ガスの脱硝方法。
【請求項8】
前記炭化水素化合物が、メタン、プロパン、ブタン、軽油、重油のいずれかである請求項1〜7のいずれかに記載の排ガスの脱硝方法。
【請求項9】
前記排ガスが、A重油又はC重油を燃料としたディーゼルエンジンの排ガスである請求項1〜8のいずれかに記載の排ガスの脱硝方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスの脱硝方法に関し、さらに詳しくは船舶や発電用ディーゼルエンジン等から排出される排ガス中の窒素酸化物を還元的に除去する脱硝方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バスやトラックなどの自動車用ディーゼルエンジンから排出されるパティキュレートマター及び窒素酸化物の削減が大きな関心を集めているが、同様に船舶や発電用ディーゼルエンジン等からの排ガスや、ボイラー排ガス、プラントオフガス中の有害物質の除去も重要な課題である。しかしながら、自動車用ディーゼルエンジンが、硫黄分の含有量が低い軽油を燃料とするのに対して、船舶や発電用ディーゼルエンジン等は、A重油又はC重油といった硫黄分の含有量が高い燃料を使用するため、その排ガス中には硫黄酸化物が多く含まれ、有害物質の除去処理に際して大きな障害となっている。
【0003】
一般に、排ガスの脱硝方法としては、無触媒脱硝法と選択的還元触媒法(SCR法)が知られている。無触媒脱硝法は、アンモニア又は尿素等の窒素系還元剤による脱硝方法が広く知られているが、排ガス温度が900〜1000℃という高温状態でないと高活性が得られないため(例えば、特許文献1及び2参照。)、船舶や発電用ディーゼルエンジン等から排出される250〜450℃程度の比較的低温の排ガスに対しては、排ガスを加熱して昇温させる等の必要があることから処理コストの増大を招き、適用が困難であった。
【0004】
また、特許文献3は、アンモニアなどの還元剤をアフターバーナーにより熱分解したものを使用して、排ガス中の窒素酸化物を還元分解する方法を提案する。しかし、この方法では、熱分解に用いるアフターバーナーの燃料ガス中にアンモニア等の還元剤を混合して燃焼させるため、アンモニアが燃焼してしまったり、熱分解して得られたアミンラジカルが消失してしまったりして、脱硝率が低いという問題があった。
【0005】
一方、特許文献4は、SCR法の一つとして、排ガス中の一酸化窒素の一部を二酸化窒素に酸化させてから、アンモニア又は尿素等の窒素系還元剤を添加してバナジウム−チタニア系触媒と接触還元させることを提案している。しかしながら、このSCR法は、大量のSCR触媒を使用する点で無触媒脱硝法と比べて劣り、さらに、排ガス温度が300℃以下の場合、排ガス中の二酸化硫黄が三酸化硫黄等に酸化するとアンモニアと反応して硫酸アンモニウムを生成してSCR触媒上に析出して、その触媒活性を低下させることになる。このため、SCR法は、二酸化硫黄が酸化し難い300℃以上の高温状態又は硫黄酸化物濃度が約1ppm以下の排ガスに対して採用されるのみであった。
【0006】
また、還元剤に硫黄酸化物と反応性が低い炭化水素類を用いたSCR法では、硫黄酸化物存在下での脱硝も可能であるが、触媒劣化が生じると同時に、窒素酸化物の反応性が低く、その改善のためには排ガス温度が350℃以上の高温状態での運転が必要であることから実用化には至っていない(例えば、特許文献4及び5参照。)。
【0007】
したがって、無触媒脱硝法及びSCR法において、船舶や発電用ディーゼルエンジン等から排出される250〜450℃程度の比較的低温であって、かつ硫黄酸化物を含有する排ガス中の窒素酸化物を、硫黄酸化物の影響を受けずに、効率的に除去処理する脱硝法は、未だ確立されていない。
【特許文献1】米国特許第6,066,303号明細書
【特許文献2】特開2002−136837号公報
【特許文献3】特開昭54−99076号公報
【特許文献4】特表2001−525902号公報
【特許文献5】特開2002−349248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、排ガス温度が低温であって、かつ硫黄酸化物を含有する排ガス中の窒素酸化物を、硫黄酸化物の影響を受けずに、効率的に除去処理できるようにする脱硝法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する排ガスの脱硝方法は、一酸化窒素及び二酸化硫黄を含む排ガス中の窒素酸化物を還元的に除去する脱硝方法であって、前記排ガス中の一酸化窒素の一部を酸化して二酸化窒素を生成する第1工程、窒素化合物及び炭化水素化合物を高温領域に添加してアミンラジカルを生成する第2工程、該アミンラジカルと前記第1工程から排出した一酸化窒素及び二酸化窒素を含む排ガスを混合する第3工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の排ガスの脱硝方法は、第1工程において排ガス中の一酸化窒素の一部を酸化して二酸化窒素を生成することにより排ガス中の窒素酸化物の反応性を高めて下流の第3工程において還元分解しやすくすることができる。また、第2工程において窒素化合物及び炭化水素化合物を高温領域に添加して、炭化水素化合物から生じたヒドロキシラジカルと、窒素化合物の反応により、アミンラジカルが効率よく生成して、未反応の窒素化合物が残留することが少ない。さらに、第3工程において、このアミンラジカルと第1工程から排出した一酸化窒素及び二酸化窒素を含む排ガスとが、直ちに混合して排ガス中の窒素酸化物を還元分解することができる。したがって、排ガス温度が低温であっても、窒素酸化物及びアミンラジカルの双方の反応性が高いことから効率的に窒素酸化物の除去処理が可能であり、かつ還元触媒を使用しないため、排ガス中に硫黄酸化物を含有していても、硫酸アンモニウム等が生成して脱硝効率を低下させることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の排ガスの脱硝方法におけるプロセスの一例を示すブロックフロー図であり、図1において、ディーゼルエンジン1から排出された排ガス31は、第1工程2により一酸化窒素の一部が酸化して二酸化窒素となり、第3工程4において、第2工程3で生成したアミンラジカル33により、一酸化窒素及び二酸化窒素が還元分解される。
【0012】
本発明の脱硝方法を適用するディーゼルエンジン1は、特に制限がなく、船舶や発電用ディーゼルエンジンが好ましいが、自動車用ディーゼルエンジンであってもよい。また、ディーゼルエンジンに限られず、ボイラーや各種プラントオフガスに対する脱硝方法として適用することができる。
【0013】
また、ディーゼルエンジン1の燃料30は、特に制限がなく、軽油、A重油、C重油、DME等を使用することができる。なかでも本発明の脱硝方法の特徴を活かすためには硫黄分を含む燃料を使用することが好ましく、A重油又はC重油が好ましく挙げられる。A重油は、JIS規格(JIS K2205)において1種1号に硫黄分0.5質量%以下、1種2号に硫黄分2.0質量%以下と規定され、C重油は、3種1号に硫黄分3.5質量%以下と規定されている。これらのうち、船舶やディーゼル発電機等のディーゼルエンジンに使用されるA重油は、主に硫黄分が0.2質量%以下、C重油は、主に硫黄分が3.5質量%以下である。
【0014】
本発明の脱硝方法において、処理すべき排ガス31は、一酸化窒素及び二酸化硫黄を含むものであれば、特に制限がなく、船舶や発電用ディーゼルエンジンからの排ガス、自動車用ディーゼルエンジンの排ガス、ボイラー排ガスやプラントオフガスであってもよい。一般に、排ガス31は、パティキュレートマター、窒素酸化物、硫黄酸化物等の有害物質を含むものであり、パティキュレートマターは、主に煤の形で、窒素酸化物は主に一酸化窒素として、硫黄酸化物は主に二酸化硫黄として含有されていることが多い。排ガス31中の二酸化硫黄を含む硫黄酸化物の濃度は、好ましくは50ppm以上、より好ましくは100ppm以上、特に好ましくは500ppm以上であると、本発明の有効性がより顕著となり、好ましい。
【0015】
また、船舶や発電用ディーゼルエンジンからの排ガス31は、比較的低温であり、そのままでは従来の無触媒脱硝法による処理が困難であったが、本発明の脱硝方法は、排ガス31を加熱・昇温処理を行う処理を必要とせずに、高効率で脱硝することができるようにするものである。本発明において、排ガス31の温度は、好ましくは250〜450℃、特に250〜300℃程度であっても、排ガスに対して脱硝反応を施すことが可能である。
【0016】
本発明の脱硝方法において、第1工程2は、排ガス31中の一酸化窒素の一部を酸化して二酸化窒素を生成する処理工程である。ここで、排ガス中の一酸化窒素の全てを酸化させることは必ずしも必要でなく、少なくともその一部が二酸化窒素に酸化されればよい。なお、排ガス中の窒素酸化物に対する二酸化窒素の割合が、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上となるように酸化処理を行うとよく、二酸化窒素の割合を上記の範囲内とすることにより、後段の第三工程における窒素酸化物の還元分解をいっそう効果的に進行させることができ、好ましい。
【0017】
一酸化窒素を酸化する方法は、特に制限がないが、酸化触媒に接触させる方法、プラズマ照射法、オゾン酸化法等を挙げることができる。なかでも、排ガス31中の二酸化硫黄を酸化せずに、一酸化窒素のみを選択的に酸化することができるため、酸化触媒に接触させる方法、プラズマ照射法が好ましい。一般に、排ガスに対して酸化処理を行うと、一酸化窒素だけでなく二酸化硫黄が酸化して、パティキュレートマターとなり除去し難くなったり、後段の脱硝反応の際にアンモニアと反応して硫酸アンモニウムを生成したりする弊害が起き易くなるが、本発明における排ガスの酸化処理は、好ましくは酸化触媒との接触処理又はプラズマ照射処理して、選択的に一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させるものであり、二酸化硫黄を酸化させることが少なく、前記の弊害を防止することができる。
【0018】
また、第一工程において、一酸化窒素の酸化率をNc、二酸化硫黄の酸化率をScとするとき、一酸化窒素の酸化率Ncに対する二酸化硫黄の酸化率Scの比Sc/Ncが、好ましくは0.01〜0.2、より好ましくは0.01〜0.1、さらに好ましくは0.01〜0.05であるとよい。酸化率の比Sc/Ncを上記の範囲内とすることにより、一酸化窒素から二酸化窒素への酸化を選択的に進めて窒素酸化物の反応性を高めつつ、二酸化硫黄が三酸化硫黄等へ酸化することに伴う弊害を抑制することができ、好ましい。
【0019】
本発明に使用する酸化処理は、一酸化窒素の酸化率Ncが、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上であるとよい。酸化率Ncを上記の範囲とすることにより、より効果的に二酸化窒素を生成することができ、好ましい。また、二酸化硫黄の酸化率Scは、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下であるとよい。酸化率Scを上記の範囲とすることにより、三酸化硫黄等の発生を有利に抑制することができる。
【0020】
なお、本発明において、一酸化窒素の酸化率Nc及び二酸化硫黄の酸化率Scは、排ガス31及び酸化処理ガス32それぞれの各窒素酸化物濃度及び各硫黄酸化物濃度を測定して算出するものである。
【0021】
本発明において、プラズマ照射処理は、一酸化窒素を選択的に酸化するものであれば特に制限がないが、好ましくは大気圧低温プラズマ照射処理を挙げることができ、例えば、マイクロ波放電、交流放電(例えば、パルス放電又はアナログ放電)、又は直流放電(例えば、火花放電、アーク放電、グロー放電、又はコロナ放電)を挙げることができる。
【0022】
大気圧低温プラズマ照射手段は、そのプラズマ発生電極が、大気圧パルス放電によりプラズマを発生させることが可能であることが好ましく、排ガスを常に流した状態で、プラズマを良好に発生させて照射することが可能であり、一酸化窒素を効率的に酸化することできる。このようなプラズマ発生電極としては、例えば、ステンレス、鋼、カンタル、インコネル等を芯線とする同軸構造のものを好適例として挙げることができる。このようなプラズマ発生電極は、低エネルギーで一酸化窒素を二酸化窒素に酸化することができる。
【0023】
一方、酸化触媒との接触処理により、排ガス中の一酸化窒素を二酸化窒素に酸化させる場合、排ガスを、酸化触媒を有する触媒層に通すことにより酸化処理することが好ましい。触媒層の基体は、特に限定されるものではなく、酸化触媒を支持して排ガスと接触可能にするものであればよく、例えば、ステンレス製メタルハニカムフィルタ、セラッミク製ハニカムフィルタ、ワイヤーメッシュフィルタ、セラミックろ過フィルタ基体等を好ましく挙げることができ、中でもステンレス製メタルハニカムフィルタが好ましい。
【0024】
本発明において、酸化触媒は、一酸化窒素を選択的に酸化するものであれば特に制限がないが、好ましくはチタンを含有する担体に活性金属を担持した触媒であり、活性金属が、バナジウム化合物、ニオブ化合物、モリブデン化合物及びタングステン化合物から選ばれる少なくとも1つである酸化触媒を挙げることができ、特に、バナジウム化合物及びタングステン化合物がより好ましい。これらの酸化触媒が、二酸化硫黄を三酸化硫黄等への酸化を抑制しつつ、一酸化窒素を二酸化窒素へ選択的に酸化する触媒機能を果たすようにする。また、これらの活性金属を有する酸化触媒は、排ガス中の三酸化硫黄等により被毒されることが少なく、一酸化窒素の選択的酸化機能を長く維持することが可能となる。
【0025】
これら活性金属を有する酸化触媒における一酸化窒素の酸化率は、一般的な酸化触媒である白金触媒における酸化率に比べて低いものもある。しかし、酸化率が低いことは、使用する活性金属の量を増やすことにより補うことができる。すなわち、これらの活性金属は、白金触媒と比べて安価に入手することが可能であり、使用量を増やすことにより二酸化窒素の生成量を白金触媒と同等にすることができる。
【0026】
本発明において、酸化触媒を構成する活性金属は、バナジウム、ニオブ、モリブデン、タングステンから選ばれる金属の化合物の少なくとも1つであり、例えば、酸化バナジウム、硫酸バナジル、硝酸バナジル、バナジウム塩化物等のバナジウム化合物、酸化ニオブ、硫酸ニオブ、ニオブ塩化物等のニオブ化合物、酸化モリブデン、モリブデン硫酸塩、モリブデン塩化物等のモリブデン化合物、酸化タングステン、タングステン硫酸塩、タングステン塩化物等のタングステン化合物を好ましく挙げることができる。なかでも、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化ニオブがより好ましく活性金属として使用することができる。これらの活性金属は、単独で使用してもよいが、上記のうち2以上の活性金属を組み合わせて使用してよい。
【0027】
特に、活性金属として、バナジウム化合物及びタングステン化合物を併用することにより、さらに顕著な効果を得ることができ好ましい。具体的には、酸化バナジウムと酸化タングステン、酸化バナジウムと酸化モリブデン、酸化バナジウムと酸化ニオブを好ましく挙げることができる。とりわけ酸化バナジウムと酸化タングステンを活性金属として使用すると、一酸化窒素の酸化率を高めながら、二酸化硫黄の酸化率を抑制することができるため、好ましい。
【0028】
本発明において、活性金属を担持する担体は、特に制限はないが、TiO、Al、SiO、ZrO、ゼオライト等の担体を好ましく挙げることができる。ここで、SiOは、石英を除く酸化ケイ素であり、シリカ、ゼオライト(Al−SiO)等の化合物である。また、担体は、TiOとSiOの組み合わせやAlとSiOの組み合わせのように、TiO、Al、SiO、ZrOからいずれか2つ以上を組み合わせてブレンドした担体であってもよい。なお、触媒担体をコートする支持体は、メタル支持基体、コージェライトや炭素系コンポジットなどの担体組成以外の一般的な触媒支持体を使用することもできる。支持体の組成は、特に制限されることがなく、また触媒担体を構成する元素によりその組み合わせを限定されることもない。
【0029】
本発明において、活性金属は、チタンを含有する担体、すなわちTiOに担持されていることが好ましい。担体にTiOを使用することにより、一酸化窒素の酸化率を維持しながら、二酸化硫黄の酸化率を抑制することができるため、好ましい。
【0030】
したがって、本発明の処理方法に使用する酸化触媒は、酸化バナジウムと酸化タングステンをTiOに担持したもの、又は酸化バナジウムをTiOに担持したものを使用することが、本発明の目的を達成する上で最も好ましい。
【0031】
本発明において、これらの活性金属は、粉末状、粒状、ハニカム状、ワイヤー製フィルタにコートしたもの、セラミックペーパーロールにコートしたもの、ろ布にコートしたもの、ハニカム担体に浸漬コートしたもののいずれの形態であってもよい。また、活性金属は、公知の方法で調製して使用することも、市販製品の中から適宜選択して使用することもできる。また、酸化触媒を構成する担体も、公知の方法で調製して使用することも、市販製品の中から適宜選択して使用することもできる。したがって、活性金属を担体に担持して得られる酸化触媒は、公知の方法で調製して使用することも、市販製品の中から適宜選択して使用することもできる。
【0032】
本発明において、第1工程を出た酸化処理ガス32は、窒素酸化物中の二酸化窒素の割合が、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上であるとよく、排ガス中の窒素酸化物の反応性が高まり、次の第3工程において、還元分解しやすくなる。また、酸化処理ガス32の温度は、250℃以上であればよく、排ガス温度が250〜450℃であっても十分な脱硝効果が得られるので、脱硝効率を上げる目的で排ガス全体を再加熱することは必ずしも必要ない。したがって、ディーゼルエンジン等から排出される比較的低温の排ガスでもそのまま処理できる。
【0033】
第2工程3は、排ガスを酸化処理する第1工程とは別に、独立して還元性ガスを生成する処理工程、すなわち窒素化合物及び炭化水素化合物を高温領域に添加してアミンラジカルを生成する処理工程である。第2工程の高温領域は、バーナーの火炎又は電熱ヒータの周辺に形成された、温度700〜1000℃の高温領域であることが好ましい。
【0034】
高温領域においては、例えば、窒素化合物にアンモニアを用いた場合、以下のような反応が起こり、アミンラジカルが生成し、そのアミンラジカルが、下流の第3工程において一酸化窒素及び二酸化窒素等からなる窒素酸化物の還元分解に利用される。
(1)炭化水素化合物の燃焼反応の際、ヒドロキシラジカル(OH*)が生成する。
(2)ヒドロキシラジカルがアンモニアに作用してアミンラジカル(NH*)を生成する。
NH + OH* → HO + NH*
【0035】
本発明の第2工程において、炭化水素化合物から生じたヒドロキシラジカルと、窒素化合物の反応により、アミンラジカルが効率よく生成して、未反応の窒素化合物が、還元性ガス中に残留することが少ないことから、好ましい。
【0036】
図2は、本発明の排ガスの脱硝方法に使用する装置構成の一例を示す説明図であり、特にバーナーを備えた第二工程の構成例を示すものである。
【0037】
図2において、排ガスの煙道20に連通し、略直角に形成された管部5にバーナー10が備えられ、バーナーの火炎21の下流端部に形成された高温領域22に向かって、窒素化合物36及び炭化水素化合物37が、ノズル8及び9から添加される。高温領域22において、還元性ガス33(アミンラジカル)が生成し、直ちに第3工程4へ供給され脱硝反応により、排ガス32中の窒素酸化物を還元分解するものである。
【0038】
本実施形態において、高温領域22は、煙道20に連通する管部21に形成される外筒方式を採用しているが、煙道20の内部に高温領域22を形成することも可能である。なお、外筒方式は、排ガスの流速などの影響を受けずに還元性ガス33を生成することができるので、好ましい。
【0039】
窒素化合物36は、アミンラジカルを生成し得るものであれば特に限定されないが、アンモニア、尿素、シアヌール酸、アミン類、ニトリル類等を使用することができ、とりわけ、アンモニア、尿素、シアヌール酸を使用することが好ましい。また、炭化水素化合物37は、メタン、プロパン、ブタン、軽油、重油、ガソリン等を使用することができ、とりわけ、メタン、プロパン、ブタン、軽油、重油を使用することが好ましい。
【0040】
本実施形態において、バーナー10の火炎21の下流端部に形成された高温領域22に向かって、窒素化合物36及び炭化水素化合物37をそれぞれ別々に吹き込むことが好ましい。窒素化合物36及び炭化水素化合物37を混合して、火炎21に吹き込んだ場合やバーナー10の火炎21中で燃焼させた場合に比べ、優れた脱硝効果が得られるからである。
【0041】
バーナー10は、少なくとも局所的な高温領域22を形成する加熱手段としての役割を果たすものであり、このような加熱手段は、バーナー10以外に、電熱ヒータ、熱交換器等を用いることができるが、バーナー又は電熱ヒータを使用することが好ましい。とりわけ、バーナー10は、簡易な構成で容易に局所的な高温領域を形成することができ、高温領域22の大きさや位置、温度等を制御しやすいこと、燃焼に伴いガスの流れを起こし、生成した還元性ガス33を速やかに、煙道20と管部5の合流領域の第3工程に送ることができ、好ましい。
【0042】
バーナー10は、供給された燃料ガス38及び空気39を燃焼して火炎21を形成する。また、必要に応じて炭化水素化合物37及び火炎21の燃焼を促すために、バーナー10の周辺部から、空気39を導入するようにしてもよい。
【0043】
窒素化合物を吹き込む第1の吹き込みノズルとしてのノズル8と、炭化水素化合物を吹き込む第2の吹き込みノズルとしてのノズル9は、管部5の内壁面に突出するように配置されていることが好ましい。本実施形態において、ノズル8及びノズル9は、高温領域22を挟んで対向する位置に、かつ煙道20の方向に向けて所定の角度で斜めに吹き込み可能に設けられていることが好ましい。図2の実施形態は、ノズル8の吹き込み角度とノズル9の吹き込み角度を等しく設置した例であるが、両者を必ずしも等角度に設置する必要はない。例えば、ヒドロキシラジカルの生成を先行させるためには、炭化水素化合物の吹き込みノズルであるノズル9の方が、吹き込み角度が大きくなるように、すなわち管部5の中心線に対してノズル9の中心線がなす角度の方が、ノズル8の中心線がなす角度よりも、大きくなるように、設置することが好ましい。
【0044】
また、ノズル8及びノズル9とバーナー10の設置位置は、図2の実施形態は、等距離とした配置例であるが、必ずしも等距離にある必要はない。すなわち、上記と同じ理由により、炭化水素化合物の吹き込みノズルであるノズル9の方が、バーナー10により近い位置に配置されていることが好ましい。
【0045】
ノズル8及びノズル9の設置位置及び吹き込み角度は、バーナー10の火炎21に対する距離に応じて調整することが好ましい。すなわち窒素化合物36及び炭化水素化合物37が、それぞれ火炎21の下流端部に形成された高温領域22に吹き込まれ、生成したアミンラジカルを含む還元性ガス33が、煙道20内に侵入しやすくなるようにノズル8及びノズル9を配置し調整することが好ましい。
【0046】
本発明において、高温領域22の温度は、好ましくは700〜1000℃、より好ましくは800〜900℃である。高温領域22の温度を上記範囲内とすることにより、アンモニアを直接バーナーで燃焼させた場合と比べて、炭化水素化合物のヒドロキシラジカルへの分解及び窒素化合物のアミンラジカルへの分解が、効率よく、かつ安定して進行することから好ましい。すなわち、高温領域22に対して、炭化水素化合物及び窒素化合物を吹き込むことにより、還元性ガス33を有利に生成することが可能となり、脱硝効率を高めることができるようになる。
【0047】
また、バーナーの代わりに電熱ヒータ等を使用して、高温領域22を形成することも可能である。なお、窒素化合物及び炭化水素化合物を個別に電熱ヒータ等で加熱してから、窒素化合物及び炭化水素化合物をそれぞれ別々に管部5に吹き込むこともできる。この場合、吹き込まれた窒素化合物及び炭化水素化合物の衝突合流域が高温領域22と同じ役割を果たすことになる。
【0048】
本発明において、煙道20の壁面から高温領域22までの距離は、生成したアミラジカルが煙道20に至るまでに消失しない程度の距離に設定することが好ましい。具体的には、高温領域22において、窒素化合物の吹き込みノズル8の中心線と管部5の中心線との交点の位置が、煙道20の壁面から0cm〜15cm程度に設定することが好ましい。
【0049】
本発明の脱硝方法は、第3工程4において、第2工程3で生成したアミンラジカルを含む還元性ガス33と、第1工程で処理した、一酸化窒素及び二酸化窒素等を含む酸化処理ガス32を直ちに混合して、窒素酸化物を還元分解する無触媒脱硝方法である。
【0050】
第3工程において、処理すべき排ガスの窒素酸化物が二酸化窒素を含有することにより、一酸化窒素のみの場合と比べて、反応性を高めることができること、還元性ガスに反応性が高いアミンラジカルを使用することから、排ガス温度が低温であっても、有利に窒素酸化物の除去処理が可能であり、かつ還元触媒を使用しないため、排ガス中に硫黄酸化物を含有していても、硫酸アンモニウム等が生成して脱硝効率を低下させることがない。
【0051】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例により限定するものではない。
【実施例】
【0052】
図3に示す試験装置を使用して、排ガスの脱硝処理過程における窒素酸化物濃度及び硫黄酸化物濃度を測定した。
【0053】
図3において、ディーゼルエンジン1の排ガスを煙道20及びバイパスライン7に引き出すようにして、煙道20に酸化処理手段からなる第1工程2及び第3工程4を配置し、第3工程4に直結させて、高温領域を含む第2工程3を配置した。第2工程の高温領域を、バーナー火炎の下流端部に形成するものとした。使用した配管のサイズ、管内のガス流速は、表1に示す通りとした。
【0054】
【表1】


【0055】
また、第1工程2上流の計測点52a、第1工程2と第3工程4の中間の計測点52b及び第3工程4の下流の計測点52cを設け、NOx計、SO計及び温度計51を設置し、各計測点の窒素酸化物濃度、二酸化硫黄濃度及びガス温度を測定した。
【0056】
さらに、計測点52aの上流にSO注入部53を設け、排ガス中のSOを所定濃度に調製できるようにした。計測点52aにおける排ガスは、NOx濃度が860ppm、SO濃度が540ppm及び排ガス温度が300℃となるようにした。
【0057】
第2工程3において、ノズル8及びノズル9の中心線が管部5の中心線となす角度は、共に45度となるようにし、ノズル8及びノズル9の中心線と管部5の中心線との交点が、共に煙道20の内壁面から10cmの距離に位置するように設定した。またバーナーの位置と火炎の強さを調整し、上記交点付近の温度が800〜900℃になるようにした。
【0058】
〔実施例1〕
上記の脱硝方法において、第1工程の酸化処理手段として、パルス式プラズマ発生器を使用して排ガス中の一酸化窒素の一部を二酸化窒素に酸化した脱硝方法についての評価を行った。なお、ノズル8から吹き込む窒素化合物はアンモニアを使用し、ノズル9から吹き込む炭化水素化合物はプロパンガスを使用した。
【0059】
脱硝処理過程における計測点52b及び52cにおけるNOx濃度及びSO濃度を測定した。得られた結果を表2に示す。なお、計測点52bにおける一酸化窒素の酸化率Ncは51%、Ncに対する二酸化硫黄の酸化率の比Sc/Ncは0.04であった。
【0060】
【表2】


【0061】
〔比較例1〕
実施例1の脱硝方法において、プラズマ発生器のスイッチを切り、排ガスの酸化処理を行わなかったことを除き、実施例1と同様にして脱硝方法の評価を行った。得られた結果を表2に示した。なお、計測点52bにおける一酸化窒素の酸化率Ncは6%、Ncに対する二酸化硫黄の酸化率の比Sc/Ncは0であった。
【0062】
〔比較例2〕
実施例1の脱硝方法において、プロパンガスの代わりに窒素ガスをノズル9から吹き込んだことを除き、実施例1と同様にして脱硝方法の評価を行った。得られた結果を表2に示した。なお、計測点52bにおける一酸化窒素の酸化率Ncは51%、Ncに対する二酸化硫黄の酸化率の比Sc/Ncは0.04であった。
【0063】
表2の結果から明らかなように、排ガス中の一酸化窒素の一部を酸化して二酸化窒素を生成させ、アンモニアとプロパンガスを高温領域に添加してアミンラジカルを発生させた実施例1は、排ガス温度が300℃と低いにも拘らず、その脱硝率が約72%と優れた結果が認められた。これに対して、排ガスを酸化処理せずに、そのまま無触媒処理した比較例1は、脱硝率が約43%と必ずしも十分でなく、アミンラジカルの生成時に炭化水素化合物(プロパンガス)の代わりに窒素ガスを添加した比較例2の脱硝率は、約3%と低いことが認められた。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の排ガスの脱硝方法におけるプロセスの一例を示すブロックフロー図である。
【図2】本発明の排ガスの脱硝方法に使用する装置構成の一例を示す説明図である。
【図3】実施例に用いた試験装置の概要を示す説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1 ディーゼルエンジン
2 第1工程(NO酸化手段)
3 第2工程
4 第3工程
5 管部
6 負荷器
7 バイパスライン
8 ノズル
9 ノズル
10 バーナー
20 煙道
21 火炎
22 高温領域
30 燃料
31 排ガス(NO)
32 酸化処理ガス(NO+NO
33 還元性ガス(アミンラジカル)
34 浄化ガス
35 排ガス
36 窒素化合物
37 炭化水素化合物
38 燃料ガス
39 空気
51 NOx計、SO計及び温度計
52a、52b、52c 計測点
52 SO注入部




 

 


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