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発明の名称 汚染物質処理設備および汚染物質処理方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−38104(P2007−38104A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2005−224209(P2005−224209)
出願日 平成17年8月2日(2005.8.2)
代理人 【識別番号】100115646
【弁理士】
【氏名又は名称】東口 倫昭
発明者 加藤 哲也 / 佐藤 雄一
要約 課題
クリーン側が汚染されにくい汚染物質処理設備および汚染物質処理方法を提供することを課題とする。

解決手段
汚染物質処理設備1は、処理対象物を搬送する台車4と、台車4に搭載された処理対象物に加熱処理を施す加熱室21、22を有する加熱部Aと、加熱処理後の処理対象物に後処理を施す後処理部Bと、を備え、ダーティ側とクリーン側とに隔離されている。加熱部Aはダーティ側に、後処理部Bはクリーン側に、隔離して配置されている。加熱処理後の処理対象物は、処理対象物のうち台車4に付着した不完全熱処理物がクリーン側に侵入するのを抑制するために、台車4から分離して後処理部Bに搬入され、分離後の台車4は、ダーティ側に留まることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
処理対象物を搬送する台車と、該台車に搭載された該処理対象物に加熱処理を施す加熱室を有する加熱部と、該加熱処理後の該処理対象物に後処理を施す後処理部と、を備え、ダーティ側とクリーン側とに隔離される汚染物質処理設備であって、
前記加熱部は前記ダーティ側に、前記後処理部は前記クリーン側に、隔離して配置されており、
前記加熱処理後の前記処理対象物は、該処理対象物のうち前記台車に付着した不完全熱処理物が該クリーン側に侵入するのを抑制するために、該台車から分離して該後処理部に搬入され、
分離後の該台車は、該ダーティ側に留まることを特徴とする汚染物質処理設備。
【請求項2】
前記加熱部は、前記加熱室として、前記処理対象物が蒸発する温度帯の蒸発処理を施す蒸発室と、該蒸発処理後の該処理対象物に焼却処理を施す焼却室と、を有する請求項1に記載の汚染物質処理設備。
【請求項3】
前記加熱部は、熱源と、内周側に該熱源が収容される収容室を有し外周面が前記加熱室に表出すると共に該収容室と該加熱室とを隔離する筒部材と、からなる発熱体を備える請求項1に記載の汚染物質処理設備。
【請求項4】
前記台車は、前記処理対象物が搭載される搭載部と、該搭載部を支持する支持部と、を備え、
前記加熱室に該台車が収容された場合、該加熱室は、該処理対象物が収容される処理対象物側空間と、該支持部が収容される支持部側空間と、該処理対象物側空間から該支持部側空間への熱移動を抑制する断熱シール空間と、に区画され、
前記加熱部は、該支持部側空間の圧力を、該処理対象物側空間の圧力よりも、高圧に保持する圧力調整装置を備える請求項1に記載の汚染物質処理設備。
【請求項5】
台車に搭載された該処理対象物に加熱処理を施す加熱処理工程と、該加熱処理後の該処理対象物を該台車から分離する台車分離工程と、該台車から分離した該処理対象物に後処理を施す後処理工程と、を有する汚染物質処理方法。
【請求項6】
前記加熱処理工程は、前記処理対象物が蒸発する温度帯の蒸発処理を施す蒸発処理工程と、該蒸発処理後の該処理対象物に焼却処理を施す焼却処理工程と、を有する請求項5に記載の汚染物質処理方法。
【請求項7】
前記台車は、前記処理対象物が搭載される搭載部と、該搭載部を支持する支持部と、を備え、
前記加熱処理工程において、該支持部側の圧力は、該処理対象物側の圧力よりも、高圧に保持されている請求項5に記載の汚染物質処理方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば毒性化合物などの汚染物質を加熱処理する汚染物質処理設備および汚染物質処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、国内あるいは近隣諸国において、遺棄された旧日本軍の化学兵器の回収、処理が問題化している。また、化学兵器禁止条約の発効に対し、化学兵器を安全に処理する方法が模索されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、化学兵器を冷凍破砕して得られた毒性化合物を、ロータリーキルンで燃焼させ分解し、燃焼により発生した有毒ガスを中和、浄化して排出することにより、処理する方法が紹介されている。
【特許文献1】特開2003−310792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、同文献記載の処理方法の場合、ロータリーキルンからの有毒ガスの漏出や排ガスの逆流を防止する必要がある。このため、シール構造が複雑化してしまう。そこで、シール構造が比較的簡単な、台車を用いたバッチ式の処理方法が考えられる。ところが、この場合、台車が有毒ガスに汚染される可能性がある。すなわち、台車の下面には、処理対象物が搭載された上面と比較して、熱が伝達しにくい。このため、処理対象物に加熱処理を施す際、処理温度を高く設定しても、台車下面に未処理の有毒ガスが付着、残留するおそれがある。
【0005】
加熱処理の後、処理対象物には、有毒物質が残留していない。このため、加熱処理後の処理対象物は鉄屑として取り扱われる。当該処理対象物には、溶解、破砕などの後処理が施される。加熱処理がダーティ側(有毒ガスに曝される側)で行われるのに対し、後処理はクリーン側(例えば自然環境系などダーティ側から隔離される側)で行われる。台車が有毒ガスに汚染されていると、台車を介して、ダーティ側からクリーン側に、有毒ガスが漏出するおそれがある。つまり、クリーン側が汚染されるおそれがある。
【0006】
本発明の汚染物質処理設備および汚染物質処理方法は、上記課題に鑑みて完成されたものである。したがって、本発明は、クリーン側が汚染されにくい汚染物質処理設備および汚染物質処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するため、本発明の汚染物質処理設備は、処理対象物を搬送する台車と、該台車に搭載された該処理対象物に加熱処理を施す加熱室を有する加熱部と、該加熱処理後の該処理対象物に後処理を施す後処理部と、を備え、ダーティ側とクリーン側とに隔離される汚染物質処理設備であって、前記加熱部は前記ダーティ側に、前記後処理部は前記クリーン側に、隔離して配置されており、前記加熱処理後の前記処理対象物は、該処理対象物のうち前記台車に付着した不完全熱処理物が該クリーン側に侵入するのを抑制するために、該台車から分離して該後処理部に搬入され、分離後の該台車は、該ダーティ側に留まることを特徴とする。
【0008】
本発明の汚染物質処理設備によると、加熱処理後において、台車と処理対象物とが分離される。処理対象物はクリーン側に搬送される。これに対し、台車はダーティ側に残留する。このため、本発明の汚染物質処理設備によると、クリーン側が汚染されにくい。
【0009】
ここで、クリーン側の汚染を抑制するためには、ダーティ側からクリーン側に処理対象物を搬送する際、台車を洗浄することも考えられる。しかしながら、この場合、台車洗浄用の装置が別途必要となる。したがって、その分、製造コストが高くなる。また、台車洗浄用の装置を設置するための設置スペースが必要となる。
【0010】
これに対し、本発明の汚染物質処理設備によると、台車はダーティ側に留まったままである。すなわち、台車は汚染されたままでよい。このため、敢えて台車の洗浄をする必要がない。したがって、台車を洗浄する場合と比較して、台車洗浄用の装置が不要な分だけ、製造コストを削減することができる。また、汚染物質処理設備の設置スペースを狭小化することができる。
【0011】
(2)好ましくは、前記加熱部は、前記加熱室として、前記処理対象物が蒸発する温度帯の蒸発処理を施す蒸発室と、該蒸発処理後の該処理対象物に焼却処理を施す焼却室と、を有する構成とする方がよい。
【0012】
つまり、本構成は、蒸発室と焼却室とで、二段階の加熱処理を施すものである。本構成によると、処理対象物に急激な熱負荷が加わるのを抑制することができる。一例として、処理対象物が毒ガス弾等の場合、急激に焼却を行うと暴走燃焼や爆発が起こることも考えられる。この点、本構成の汚染物質処理設備を毒ガス弾等に用いると、まず蒸発室にて毒ガス弾中の有毒ガスを蒸発させ、その後焼却室にて毒ガス弾中の未蒸発成分や蒸発後再付着した有毒ガスを焼却することができる。このため、比較的安全に、毒ガス弾を処理することができる。
【0013】
(3)好ましくは、前記加熱部は、熱源と、内周側に該熱源が収容される収容室を有し外周面が前記加熱室に表出すると共に該収容室と該加熱室とを隔離する筒部材と、からなる発熱体を備える構成とする方がよい。本構成によると、筒部材により、加熱室から熱源が隔離されている。このため、加熱室の処理対象物により熱源が汚染されるおそれがない。
【0014】
(4)好ましくは、前記台車は、前記処理対象物が搭載される搭載部と、該搭載部を支持する支持部と、を備え、前記加熱室に該台車が収容された場合、該加熱室は、該処理対象物が収容される処理対象物側空間と、該支持部が収容される支持部側空間と、該処理対象物側空間から該支持部側空間への熱移動を抑制する断熱シール空間と、に区画され、前記加熱部は、該支持部側空間の圧力を、該処理対象物側空間の圧力よりも、高圧に保持する圧力調整装置を備える構成とする方がよい。
【0015】
加熱室に台車が収容されると、加熱室には、処理対象物側空間と支持部側空間と断熱シール空間とが形成される。処理対象物側空間の圧力は、処理対象物に対する加熱処理のため、上昇する。したがって、処理対象物側空間と支持部側空間との間に、圧力差が発生する。圧力差が発生すると、高圧の処理対象物側空間から低圧の支持部側空間に、加熱処理により発生した有毒ガスの蒸気等が拡散しやすくなる。拡散した有毒ガスの蒸気等は、台車の支持部に付着する。ところで、加熱処理の際、支持部側空間には、熱が加わりにくい。このため、支持部に付着した有毒ガスの蒸気等は、加熱処理により分解されにくくなる。
【0016】
この点に鑑み、本構成の汚染物質処理設備は、圧力調整装置を備えている。圧力調整装置は、支持部側空間の圧力を、処理対象物側空間の圧力よりも、高圧に保持する。このため、本構成によると、処理対象物側空間から支持部側空間に、加熱処理により発生した有毒ガスの蒸気等が拡散しにくい。このように、本構成によると、台車の支持部の汚染を抑制することができる。
【0017】
(5)また、上記課題を解決するため、本発明の汚染物質処理方法は、台車に搭載された該処理対象物に加熱処理を施す加熱処理工程と、該加熱処理後の該処理対象物を該台車から分離する台車分離工程と、該台車から分離した該処理対象物に後処理を施す後処理工程と、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明の汚染物質処理方法によると、台車分離工程において、台車と処理対象物とが分離される。そして、台車から隔離された処理対象物のみに、後処理工程が実施される。本発明の汚染物質処理方法によると、後処理工程を実施するための設備が、加熱処理工程後の台車により、汚染されるおそれがない。なお、本発明の汚染物質処理方法は、前記本発明の汚染物質処理設備のみならず、他の汚染物質処理設備により実施することもできる。
【0019】
(6)好ましくは、上記(5)の構成において、前記加熱処理工程は、前記処理対象物が蒸発する温度帯の蒸発処理を施す蒸発処理工程と、該蒸発処理後の該処理対象物に焼却処理を施す焼却処理工程と、を有する構成とする方がよい。
【0020】
つまり、本構成は、蒸発処理工程と焼却処理工程とで、二段階の加熱処理を施すものである。本構成によると、処理対象物に急激な熱負荷が加わるのを抑制することができる。一例として、処理対象物が毒ガス弾等の場合、急激に焼却を行うと暴走燃焼や爆発が起こることも考えられる。この点、本構成の汚染物質処理方法を毒ガス弾等に用いると、まず蒸発処理工程にて毒ガス弾中の有毒ガスを蒸発させ、その後焼却処理工程にて毒ガス弾中の未蒸発成分や蒸発後再付着した有毒ガスを焼却することができる。このため、比較的安全に、毒ガス弾を処理することができる。
【0021】
(7)好ましくは、上記(5)の構成において、前記台車は、前記処理対象物が搭載される搭載部と、該搭載部を支持する支持部と、を備え、前記加熱処理工程において、該支持部側の圧力は、該処理対象物側の圧力よりも、高圧に保持されている構成とする方がよい。
【0022】
加熱処理工程においては、処理対象物に加熱処理が施される。このため、処理対象物側の圧力は、台車の支持部側の圧力よりも、高圧になる。したがって、処理対象物側と支持部側との間に、圧力差が発生する。圧力差が発生すると、高圧の処理対象物側から低圧の支持部側に、加熱処理により発生した有毒ガスの蒸気等が拡散しやすくなる。拡散した有毒ガスの蒸気等は、台車の支持部に付着する。ところで、加熱処理の際、支持部側には、熱が加わりにくい。このため、支持部に付着した有毒ガスの蒸気等は、加熱処理により分解されにくくなる。
【0023】
この点に鑑み、本構成の汚染物質処理方法は、加熱処理工程において、支持部側の圧力を、処理対象物側の圧力よりも、高圧に保持している。このため、本構成によると、処理対象物側から支持部側に、加熱処理により発生した有毒ガスの蒸気等が拡散しにくい。このように、本構成によると、台車の支持部の汚染を抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、クリーン側が汚染されにくい汚染物質処理設備および汚染物質処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の汚染物質処理設備および汚染物質処理方法を、毒ガス弾処理設備および毒ガス弾処理方法として具現化した実施の形態について説明する。
【0026】
<第一実施形態>
【0027】
まず、本実施形態の毒ガス弾処理設備の構成について説明する。図1に、本実施形態の毒ガス弾処理設備の上方から見た配置概要図を示す。図に示すように、本実施形態の毒ガス弾処理設備1は、外殻2と隔壁3とを備えている。外殻2の内部には、十字路状の空間が確保されている。当該十字路状の空間は、気密チャンバ20と蒸発室21と焼却室22と待機室23と方向転換室24と後処理室25とに区画されている。外殻2において、気密チャンバ20と蒸発室21と焼却室22と待機室23と方向転換室24とを有する区間Aは、本発明の加熱部に含まれる。一方、外殻2において、後処理室25を有する区間Bは、本発明の後処理部に含まれる。
【0028】
気密チャンバ20は、外殻2の内部空間の長手方向一端に配置されている。気密チャンバ20と外殻2の外部とは、入口扉T1により、仕切られている。気密チャンバ20の床面には、一対のレール200が敷設されている。レール200は鋼製である。レール200は、後述する方向転換室24に向かって延在している。一対のレール200の間には、チェーンコンベア201が配置されている。
【0029】
方向転換室24は、外殻2の内部空間の十字路交差部分に配置されている。方向転換室24と気密チャンバ20とは、仕切り扉T2を介して、隣り合っている。方向転換室24の床面には、円板状のターンテーブル242が配置されている。ターンテーブル242は、360°回転可能である。ターンテーブル242上面には、一対のレール240が敷設されている。レール240は鋼製である。一対のレール240の間には、チェーンコンベア241が配置されている。
【0030】
蒸発室21は、外殻2の内部空間の短手方向一端に配置されている。蒸発室21と方向転換室24とは、仕切り扉T3を介して、隣り合っている。また、蒸発室21は、方向転換室24を中心として、気密チャンバ20の90°回転位置(紙面反時計回り、以下同様)に配置されている。蒸発室21の床面には、一対のレール210が敷設されている。レール210は鋼製である。レール210は、方向転換室24に向かって延在している。一対のレール210の間には、チェーンコンベア211が配置されている。
【0031】
焼却室22は、外殻2の内部空間の長手方向中間部分に配置されている。焼却室22と方向転換室24とは、仕切り扉T4を介して、隣り合っている。また、焼却室22は、方向転換室24を中心として、蒸発室21の90°回転位置に配置されている。焼却室22の床面には、一対のレール220が敷設されている。レール220は鋼製である。レール220は、方向転換室24に向かって延在している。一対のレール220の間には、チェーンコンベア221が配置されている。また、レール220の上には、台車4(図中、点線で示す)が配置されている。
【0032】
待機室23は、外殻2の内部空間の短手方向他端に配置されている。待機室23と方向転換室24とは、仕切り扉T6を介して、隣り合っている。また、待機室23は、方向転換室24を中心として、焼却室22の90°回転位置に配置されている。待機室23の床面には、一対のレール230が敷設されている。レール230は、方向転換室24に向かって延在している。レール230は鋼製である。一対のレール230の間には、チェーンコンベア231が配置されている。
【0033】
以上説明したように、外殻2の区間Aには、方向転換室24を中心として、紙面反時計回りに90°ずつ回転した位置に、気密チャンバ20と、蒸発室21と、焼却室22と、待機室23と、が配置されている。
【0034】
後処理室25は、外殻2の内部空間の長手方向他端に配置されている。後処理室25と焼却室22とは、仕切り扉T5を介して、隣り合っている。一方、後処理室25と外殻2の外部とは、出口扉T7により、仕切られている。後処理室25には、フォークリフト252が配置されている。隔壁3は、毒ガス弾処理設備1全体を、ダーティ側とクリーン側とに仕切っている。隔壁3により、外殻2の入口扉T1外部と出口扉T7外部とは、遮断されている。
【0035】
次に、本実施形態の毒ガス弾処理設備の蒸発室および台車の構成について詳しく説明する。なお、蒸発室21の構成と焼却室22の構成とは、同様である。したがって、以下の説明は、焼却室22の説明を兼ねるものである。
【0036】
図2に、図1の区間Iの斜視図を示す。なお、説明の便宜上、チェーンコンベア211(図1参照)は省略して示す。図に示すように、蒸発室21は、左右一対の側板26と天板27と床板28とにより区画されている。これら一対の側板26、天板27、床板28は、いずれも外殻2の一部を構成している。これら一対の側板26、天板27、床板28は、いずれも鋼製である。一対のレール210の上には、台車4が配置されている。台車4には、ケース5が搭載されている。
【0037】
図3に、図2の斜視分解図を示す。なお、説明の便宜上、台車4およびケース5は、点線で示す。図4に、図2のII−II断面図を示す。これらの図に示すように、側板26と床板28とのコーナー部には、断熱層支持部材262が配置されている。断熱層支持部材262は、鋼製であって断面T字状を呈している。断熱層支持部材262の長手方向略中央には、支持部貫通孔268が穿設されている。
【0038】
側板26の内側における断熱層支持部材262の上方には、断熱層260が配置されている。断熱層260は、積み重ねられた複数の耐火煉瓦により形成されている。断熱層260の下部分には、凹凸状の蒸発室側断熱シール部266が形成されている。蒸発室側断熱シール部266については、後で詳しく説明する。一方、断熱層260の上方には、鋼製であって断面L字状の天板受け部材261が配置されている。天板受け部材261は、側板26に固定されている。
【0039】
側板26の上部分には、第一側板貫通孔264が穿設されている。また、断熱層260の上部分には、断熱層貫通孔265が穿設されている。これら第一側板貫通孔264および断熱層貫通孔265は、同軸上に配置されている。これら第一側板貫通孔264および断熱層貫通孔265は、レール210の延在方向に所定間隔離間して、合計10組並設されている。これら第一側板貫通孔264および断熱層貫通孔265の内部には、発熱体6が配置されている。
【0040】
発熱体6は、電気ヒータ60と筒部材61とからなる。電気ヒータ60は、本発明の熱源に含まれる。筒部材61は、鋼製であって、第一側板貫通孔264および断熱層貫通孔265を貫通している。また筒部材61は、左右の側板26間を連結している。筒部材61の内周側には、収容室610が区画されている。収容室610は、蒸発室21から、隔離されている。電気ヒータ60は、収容室610に収容されている。
一方、側板26の下部分略中央には、第二側板貫通孔267が穿設されている。第二側板貫通孔267と支持部貫通孔268とは、同軸上に配置されている。これら第二側板貫通孔267および支持部貫通孔268の内部には、圧力配管269が配置されている。圧力配管269は、本発明の圧力調整装置に含まれる。断熱層支持部材262の側方には、シール部263が配置されている。シール部263については、後で詳しく説明する。
【0041】
天板27の下面には、鋼製の天井枠271が固定されている。天井枠271の側縁は、天板受け部材261により、下方から支持されている。天井枠271の下面には、断熱層270が配置されている。断熱層270は、組み合わせられた複数の耐火煉瓦により形成されている。複数の耐火煉瓦は、各々、スタッドピン(図略)により、天井枠271に固定されている。
【0042】
図5に、台車およびケースの斜視分解図を示す。図に示すように、台車4は、シャーシ41と断熱層40とスペーサ42と軸受45と車輪46とを備えている。このうち、断熱層40およびスペーサ42は、本発明の搭載部を構成している。一方、シャーシ41および軸受45および車輪46は、本発明の支持部を構成している。
【0043】
シャーシ41は、鋼製であって、矩形板状を呈している。軸受45は、シャーシ41の下面に、合計四組配置されている(軸受45の配置部分をハッチングで示す)。鋼製の車輪46は、合計四つ配置されている。車輪46は、軸受45に回転可能に配置されている。車輪46については、後で詳しく説明する。
【0044】
断熱層40は、組み合わせられた複数の耐火煉瓦により形成されている。断熱層40は、シャーシ41の上面に配置されている。断熱層40の短手方向両縁には、一対の台車側断熱シール部44が形成されている。スペーサ42は、耐火煉瓦製であって角材状を呈している。スペーサ42は、台車4の長手方向に沿って、延在している。スペーサ42は、台車4の短手方向両縁に、一対配置されている。ケース5は、鋼製であって上方に開口する箱状を呈している。ケース5は、スペーサ42に載置されている。ケース5の内部には、処理対象物50が収容されている。
【0045】
図6に、図4の枠IV内の拡大図を示す。図に示すように、蒸発室側断熱シール部266と台車側断熱シール部44とは、横方向に対向している。これら蒸発室側断熱シール部266と台車側断熱シール部44との間には、断熱シール空間21Bが形成されている。断熱シール空間21Bは、狭小であり、かつクランク状に屈折している。
【0046】
断熱シール空間21Bの上方には、処理対象物側空間21Aが形成されている。処理対象物側空間21Aは、断熱層40上面と断熱層260側面と前出図4に示す断熱層270下面とに囲われている。処理対象物側空間21Aには、処理対象物の入ったケース5が配置されている。
【0047】
一方、断熱シール空間21Bの下方には、支持部側空間21Cが形成されている。支持部側空間21Cは、床板28上面と断熱層支持部材262側面と断熱層40下面とに囲われている。支持部側空間21Cには、シャーシ41と軸受45と車輪46とが収容されている。圧力配管269は、支持部側空間21Cに開口している。
【0048】
支持部側空間21Cには、シール部263が配置されている。シール部263は、シール本体263aとシャフト263bとコイルばね263cとシャフト支持部材263dとリンク部材263eとを備えている。
【0049】
シャフト支持部材263dは、鋼製であって、レール210の延在方向に延びる長尺板状を呈している。シャフト支持部材263dは、断熱層支持部材262側面に固定されている。シャフト支持部材263dには、上下方向に延びるシャフト孔263fが穿設されている。シャフト孔263fは、レール210の延在方向に所定間隔離間して、合計三つ配置されている。
【0050】
シャフト263bは、鋼製であって丸棒状を呈している。シャフト263bは、シャフト孔263fを貫通している。シャフト263bは、レール210の延在方向に所定間隔離間して、合計三つ配置されている。
【0051】
リンク部材263eは、鋼製であって、レール210の延在方向に延びる長尺板状を呈している。リンク部材263eの上面には、三つのシャフト263bの下端が固定されている。すなわち、三つのシャフト263b下端は、リンク部材263eを介して、連結されている。
【0052】
シール本体263aは、枠体263gとシール材263hとを備えている。枠体263gは、鋼製であって、レール210の延在方向に延びる長尺状を呈している。枠体263gの断面は、上方に開口するC字状を呈している。枠体263gの下面には、三つのシャフト263bの上端が固定されている。すなわち、三つのシャフト263b上端は、枠体263gを介して、連結されている。シール材263hは、グラスウール製である。シール材263hは、枠体263gのC字開口内に充填されている。
【0053】
コイルばね263cは、三つのシャフト263b各々に、環装されている。また、コイルばね263cは、シール本体263a下面(枠体263g下面)とシャフト支持部材263d上面との間に介装されている。コイルばね263cにより、シール本体263aは、上方に付勢されている。シール本体263aのシール材263hは、断熱層支持部材262下面およびシャーシ41下面に、弾接している。断熱層支持部材262とシャーシ41との間には、断熱シール空間21Bに連通する隙間が区画されている。シール材263hが断熱層支持部材262下面およびシャーシ41下面に弾接することにより、当該隙間は閉塞されている。
【0054】
なお、台車4を蒸発室21に出し入れする場合は、例えば偏心カム機構(図略)などにより、リンク部材263eを下方に押し下げる。リンク部材263eを押し下げると、リンク部材263eに固定されているシャフト263bおよびシール本体263aも、コイルばね263cの付勢力に抗して、下降する。このようにして、シール部263が台車4から解除される。
【0055】
次に、本実施形態の毒ガス弾処理方法について説明する。本実施形態の毒ガス弾処理方法は、前処理工程と蒸発処理工程と焼却処理工程と台車分離工程と後処理工程とを有している。
【0056】
前処理工程においては、毒ガス弾を蒸発処理するための準備が行われる。図7に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の前処理工程前期の模式図を示す。図に示すように、台車4は、入口扉T1を介して、外殻2の外部から気密チャンバ20に、搬送される。搬送の際、台車4は、前出図1のチェーンコンベア201により駆動される。なお、処理対象物50は、毒ガス弾に、信管除去、破砕などの前処理を施したものである。当該前処理は、台車4が気密チャンバ20に搬送される前に、実行される。気密チャンバ20は、複数の台車4を用いる場合に、前の台車4に対する蒸発処理が終了するまで、後の台車4が待機するための空間である。
【0057】
図中、太線矢印で示すように、台車4は、仕切り扉T2を介して、気密チャンバ20から方向転換室24に、搬送される。搬送の際、台車4は、前出図1のチェーンコンベア201、241により駆動される。台車4は、方向転換室24のターンテーブル242の上に載置される。
【0058】
図8に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の前処理工程後期の模式図を示す。図中、太線矢印で示すように、台車4は、ターンテーブル242により、90°回転する。続いて、台車4は、仕切り扉T3を介して、方向転換室24から蒸発室21に、搬送される。搬送の際、台車4は、前出図1のチェーンコンベア241、211により駆動される。
【0059】
蒸発処理工程においては、処理対象物50に蒸発処理が施される。以下、前出図4、図6を参照しながら、蒸発処理について説明する。図4に示すように、通電により、電気ヒータ60が発熱する。電気ヒータ60の熱は、筒部材61を介して、間接的に蒸発室21に伝達される。このようにして、蒸発室21の温度が上昇する。蒸発室21の温度は、暴走燃焼を制御可能な温度以下に設定されている。また、蒸発室21における処理対象物50の保持時間は、蒸発が充分に促進される時間に設定されている。処理対象物50から蒸発する有害物質や有毒ガス(以下、「蒸発物」と称す)は、蒸発室21から排気され、排ガス処理設備(図略)に導入される。蒸発物は、排ガス処理設備により分解処理され、無害化される。
【0060】
ところで、図6に示すように、処理対象物側空間21Aと支持部側空間21Cとの間には、断熱シール空間21Bが介在している。並びに、支持部側空間21Cには、シール部263が配置されている。このため、シャーシ41下面や軸受45や車輪46などに、処理対象物側空間21Aの熱が伝達しにくい。
【0061】
しかしながら、蒸発物の発生により、処理対象物側空間21Aの圧力は上昇する。このため、何等対抗策を講じない場合、処理対象物側空間21Aの圧力は、支持部側空間21Cの圧力よりも、高圧になる。したがって、圧力差により、コイルばね263cの付勢力に抗して、枠体263gが押し下げられる。あるいは、枠体263gが押し下げられない場合であっても、圧力差により、シール材263hが変形してしまう。
【0062】
このため、図6中、太線矢印で示すように、断熱シール空間21B、シール本体263a上面とシャーシ41下面(あるいは断熱層支持部材262下面)との界面を介して、処理対象物側空間21Aの蒸発物が侵入するおそれがある。そして、侵入した蒸発物が、シャーシ41下面や軸受45や車輪46などに、付着するおそれがある。
【0063】
前述したように、シャーシ41下面や軸受45や車輪46などには、発熱体6の熱が伝達しにくい。このため、一旦付着した蒸発物は、再度蒸発しにくい。したがって、蒸発処理終了後においても、シャーシ41下面や軸受45や車輪46などに、付着した蒸発物が残留するおそれがある。
【0064】
この点、本実施形態の蒸発室21の支持部側空間21Cには、圧力配管269が挿入されている。圧力配管269からは、支持部側空間21Cに、高圧ガス(空気や酸素を嫌う場合には窒素、アルゴン、水素などの不燃ガス)が供給される。高圧ガスの供給により、支持部側空間21Cの圧力は、処理対象物側空間21Aの圧力よりも、若干高圧に設定されている。このため、断熱シール空間21Bを介して、処理対象物側空間21Aの蒸発物が支持部側空間21Cに侵入しにくい。
【0065】
図9に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の蒸発処理工程の模式図を示す。図中、太線矢印で示すように、台車4は、蒸発処理終了後、仕切り扉T3を介して、蒸発室21から方向転換室24に、搬送される。搬送の際、台車4は、前出図1のチェーンコンベア211、241により駆動される。続いて、台車4は、ターンテーブル242により、90°回転する。その後、台車4は、仕切り扉T4を介して、方向転換室24から焼却室22に、搬送される。搬送の際、台車4は、前出図1のチェーンコンベア241、221により駆動される。
【0066】
焼却処理工程においては、処理対象物50に焼却処理が施される。図10に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の焼却処理工程の模式図を示す。焼却処理と前記蒸発処理との相違点は、室内の設定温度および温度保持時間のみである。したがって、ここでは重複する説明を割愛する。焼却室22の温度は、完全燃焼可能な温度以上に設定されている。また、焼却室22における処理対象物50(前記蒸発処理における未蒸発物や、一旦蒸発した蒸発物が再度付着した物)の保持時間は、熱分解が充分に促進される時間に設定されている。
【0067】
なお、焼却処理の際、焼却室22における処理対象物側空間(前出図6の21Aに相当)の処理対象物50は完全に熱分解する。しかしながら、支持部側空間(前出図6の21Cに相当)の処理対象物50は、シャーシ41下面や軸受45や車輪46などに付着したまま、焼却処理後も不完全熱処理物として残留するおそれがある。
【0068】
台車分離工程においては、台車4と、処理対象物50を収容したケース5と、が分離される。図11に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の台車分離工程前期の模式図を示す。図12に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の台車分離工程後期の模式図を示す。これらの図に示すように、本工程においては、台車4、処理対象物50、ケース5を焼却室22にて冷却後、仕切り扉T5を開ける。なお、前記焼却処理により、焼却室22内は清浄化されている。仕切り扉T5を開けた後、図11中、太線矢印で示すように、フォークリフト252を用いて、台車4から処理対象物50入りのケース5を持ち上げる。そして、台車4から分離した当該ケース5を、後処理室25に搬送する。台車4を隔離することにより、シャーシ41下面や軸受45や車輪46(前出図6参照)などに残留した不完全熱処理物が、後処理室25に侵入するのを、防止することができる。ケース5搬送後、仕切り扉T5を閉じる。仕切り扉T5を閉じることにより、再び、焼却室22(ダーティ側)と後処理室25(クリーン側)とが遮断される。
【0069】
図12中、太線矢印で示すように、ケース5から分離した台車4は、仕切り扉T4を介して、焼却室22から方向転換室24に、搬送される。搬送の際、台車4は、前出図1のチェーンコンベア221、241により駆動される。続いて、台車4は、ターンテーブル242により、90°回転する。その後、台車4は、仕切り扉T6を介して、方向転換室24から待機室23に、搬送される。搬送の際、台車4は、前出図1のチェーンコンベア241、231により駆動される。
【0070】
後処理工程においては、処理対象物50に、後処理が施される。図13に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の後処理工程前期の模式図を示す。図14に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の後処理工程中期の模式図を示す。図15に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の後処理工程後期の模式図を示す。
【0071】
図13に示すように、出口扉T7を介して、処理対象物50を収容したケース5は、後処理室25から外殻2の外部に、フォークリフト90により搬送される。搬送後の処理対象物50には、有毒物質が残留していない。このため、処理対象物50は鉄屑として取り扱われる。処理対象物50には、溶解、破砕などの後処理が施される。
【0072】
一方、待機室23において待機していた台車4は、図13中、太線矢印で示すように、仕切り扉T6を介して、待機室23から方向転換室24に、搬送される。搬送の際、台車4は、前出図1のチェーンコンベア231、241により駆動される。続いて、台車4は、ターンテーブル242により、90°回転する。その後、台車4は、仕切り扉T2を介して、方向転換室24から気密チャンバ20に、搬送される。搬送の際、台車4は、前出図1のチェーンコンベア241、201により駆動される。
【0073】
気密チャンバ20の台車4は、図14中、太線矢印で示すように、入口扉T1を介して、外殻2の外部に搬送される。搬送の際、台車4は、前出図1のチェーンコンベア201により駆動される。台車4には、図15に示すように、新たにケース5が載置される。ケース5には、前処理済の新たな処理対象物50が収容されている。ケース5を受け取った台車4は、図15中、太線矢印で示すように、入口扉T1を介して、外殻2の外部から気密チャンバ20に、搬送される。搬送の際、台車4は、前出図1のチェーンコンベア201により駆動される。このようにして、台車4は、前出図7の前処理工程前期の状態に戻る。
【0074】
以上説明したように、台車4は、気密チャンバ20→蒸発室21→焼却室22→待機室23→再び気密チャンバ20の順に、外殻2内を循環する。一方、ケース5に収容された処理対象物50は、気密チャンバ20から外殻2内に搬入される。蒸発処理、焼却処理を経た処理対象物50は、焼却室22にて台車4と分離される。処理対象物50は、台車4を焼却室4に残したまま、後処理室25に搬出される。
【0075】
次に、本実施形態の毒ガス弾処理設備および毒ガス弾処理方法の作用効果について説明する。本実施形態によると、焼却処理後において、台車4と処理対象物50とが分離される。処理対象物50はクリーン側の後処理室25に搬送される。これに対し、台車4はダーティ側の焼却室22に残留する。このため、台車4に残留した不完全熱処理物により、クリーン側が汚染されにくい。
【0076】
また、ダーティ側からクリーン側に亘って台車4を利用する場合(つまり台車4の洗浄が必要な場合)と比較して、敢えて台車4を洗浄する必要がない。このため、台車洗浄用の装置が不要な分だけ、製造コストを削減することができる。また、毒ガス弾処理設備1の設置スペースを狭小化することができる。
【0077】
また、本実施形態によると、蒸発室21と焼却室22とで、処理対象物50に二段階の加熱処理が施される。このため、処理対象物50に急激な熱負荷が加わるのを抑制することができる。したがって、比較的安全に、毒ガス弾を処理することができる。
【0078】
また、本実施形態によると、筒部材61により、蒸発室21(焼却室22)から電気ヒータ60が隔離されている。このため、処理対象物50により電気ヒータ60が汚染されるおそれがない。
【0079】
また、蒸発室21(焼却室22)には、圧力配管269が設置されている。圧力配管269は、支持部側空間21Cの圧力を、処理対象物側空間21Aの圧力よりも、若干高圧に保持している。このため、処理対象物側空間21Aから支持部側空間21Cに、蒸発物が拡散しにくい。したがって、伝熱しにくい台車4の支持部(シャーシ41、軸受45、車輪46)の汚染を、抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態によると、気密チャンバ20が配置されている。このため、複数の台車4を用いる場合に、前の台車4に対する蒸発処理終了後、直ちに後の台車4に蒸発処理を実行することができる。すなわち、保持時間の最も長い蒸発室21の、稼働率を上げることができる。このため、毒ガス弾処理性能が向上する。
【0081】
<第二実施形態>
【0082】
本実施形態と第一実施形態との相違点は、外殻内部の空間が、十字路状ではなく、上下二段の直線状を呈している点である。したがって、ここでは相違点についてのみ説明する。
【0083】
まず、本実施形態の毒ガス弾処理設備の構成について説明する。図16に、本実施形態の毒ガス弾処理設備の側方から見た配置概要図を示す。なお、図1と対応する部位については、同じ符号で示す。
【0084】
図に示すように、外殻7の内部には、上下二段に、直線状の空間が形成されている。このうち、上段の空間には、搭載ゾーン70と蒸発ゾーン71と移動ゾーン72と焼却ゾーン73と分離ゾーン74と台車回収ゾーン75とが区画されている。一方、下段の空間には、台車冷却ゾーン76が区画されている。これらのゾーンは、いずれも毒ガス弾処理設備1のダーティ側に配置されている。また、これらのゾーンは、本発明の加熱部に含まれる。また、蒸発ゾーン71は、本発明の蒸発室に含まれる。焼却ゾーン73は、本発明の焼却室に含まれる。
【0085】
次に、本実施形態の毒ガス弾処理方法について説明する。本実施形態の毒ガス弾処理方法は、前処理工程と蒸発処理工程と焼却処理工程と台車分離工程と後処理工程とを有している。
【0086】
前処理工程においては、図16に示すように、処理対象物(図略)入りのケース5は、入口扉T11を介して、フォークリフト(図略)により、外殻7の外部から搭載ゾーン70に搬送される。一方、搭載ゾーン70には、予め台車4がセットされている。ケース5は、台車4に載置される。
【0087】
図中、太線矢印で示すように、台車4は、仕切り扉T12を介して、搭載ゾーン70から蒸発ゾーン71に、搬送される。搬送の際、台車4は、チェーンコンベア(図略)により駆動される。
【0088】
蒸発処理工程においては、台車4およびケース5ごと、処理対象物に蒸発処理が施される。図17に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の蒸発処理工程前期の模式図を示す。図に示すように、蒸発ゾーン71の上部分には、ラジアントチューブバーナ710が合計10本並設されている。ラジアントチューブバーナ710に加熱され、蒸発ゾーン71の温度は上昇する。蒸発ゾーン71の温度は、暴走燃焼を制御可能な温度以下に設定されている。また、蒸発ゾーン71における処理対象物の保持時間は、蒸発が充分に促進される時間に設定されている。蒸発物は、蒸発ゾーン71から排気され、排ガス処理設備(図略)に導入される。蒸発物は、排ガス処理設備により分解処理され、無害化される。
【0089】
図中、太線矢印で示すように、蒸発処理後の台車4は、仕切り扉T13を介して、蒸発ゾーン71から移動ゾーン72に、搬送される。搬送の際、台車4は、チェーンコンベアにより駆動される。
【0090】
図18に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の蒸発処理工程後期の模式図を示す。図中、太線矢印で示すように、台車4は、仕切り扉T14を介して、移動ゾーン72から焼却ゾーン73に、搬送される。搬送の際、台車4は、チェーンコンベアにより駆動される。
【0091】
焼却処理工程においては、台車4およびケース5ごと、処理対象物に焼却処理が施される。図19に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の焼却処理工程の模式図を示す。図に示すように、焼却ゾーン73の上部分には、ラジアントチューブバーナ730が合計10本並設されている。ラジアントチューブバーナ730に加熱され、焼却ゾーン73の温度は上昇する。焼却ゾーン73の温度は、完全燃焼可能な温度以上に設定されている。また、焼却ゾーン73における処理対象物(前記蒸発処理における未蒸発物や、一旦蒸発した蒸発物が再度付着した物)の保持時間は、熱分解が充分に促進される時間に設定されている。図中、太線矢印で示すように、焼却処理後の台車4は、焼却ゾーン73から分離ゾーン74に、搬送される。搬送の際、台車4は、チェーンコンベアにより駆動される。
【0092】
台車分離工程においては、台車4と、処理対象物を収容したケース5と、が分離される。図20に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の台車分離工程前期の模式図を示す。分離ゾーン74を区画する外殻7の壁面内部には、冷却水が流れている。台車4は、分離ゾーン74に12時間保持されることにより、550℃程度にまで冷却される。図21に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の台車分離工程後期の模式図を示す。図22に、図21のXXI−XXI断面図を示す。これらの図に示すように、本工程においては、分離ゾーン74上壁の仕切り扉T15が開き、ホイストクレーン91が分離ゾーン74に下降、進入する。なお、この際、仕切り扉T14、T16は閉じている。また、前記焼却処理により、焼却ゾーン73は清浄化されている。処理対象物の入ったケース5は、ホイストクレーン91に吊り下げられ、分離ゾーン74から取り出される。その後、ホイストクレーン91は、ガイドレール92に沿って、横方向にスライドする。並びに、仕切り扉T15は、閉じられる。なお、台車4は、分離ゾーン74に残ったままである。
【0093】
本実施形態においては、図22中、一点鎖線で示すように、ダーティ側とクリーン側とが遮断されている。クリーン側には、外殻7から隔離されて、後処理ゾーン80が配置されている。後処理ゾーン80は、本発明の後処理部に含まれる。
【0094】
図23に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の台車分離工程におけるケース受け渡しの様子を示す。図に示すように、ホイストクレーン91は、ケース5を、フォークリフト93のアーム上に載置する。このようにして、ケース5の受け渡しが行われる。
【0095】
図21に戻って、空になった台車4は、図中、太線矢印で示すように、仕切り扉T16を介して、分離ゾーン74から台車回収ゾーン75に、搬送される。搬送の際、台車4は、チェーンコンベアにより駆動される。
【0096】
後処理工程においては、処理対象物に後処理が施される。前出図23に示すように、後処理ゾーン80に搬送されたケース5の処理対象物には、所定の後処理が施される。一方、台車回収ゾーン75の台車4は、外殻7の下段空間を介して、搭載ゾーン70に戻される。
【0097】
図24に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の後処理工程前期の模式図を示す。図に示すように、台車回収ゾーン75の床面には、エレベータ750が配置されている。図中、太線矢印で示すように、台車4は、エレベータ750により、台車回収ゾーン75から下段空間に下降する。そして、台車4は、仕切り扉T17を介して、台車冷却ゾーン76に、搬送される。搬送の際、台車4は、チェーンコンベア(図略)により駆動される。
【0098】
図25に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の後処理工程中期の模式図を示す。図に示すように、台車冷却ゾーン76を区画する外殻7の壁面内部には、冷却水が流れている。また、台車冷却ゾーン76の内部は、常に撹拌されている。台車4は、台車冷却ゾーン76に24時間以上保持されることにより、80℃程度にまで冷却される。冷却後の台車4は、図中、太線矢印で示すように、仕切り扉T18を介して、台車冷却ゾーン76から搬出される。
【0099】
図26に、本実施形態の毒ガス弾処理方法の後処理工程後期の模式図を示す。図に示すように、台車冷却ゾーン76から搬出された台車4は、エレベータ700に搭載される。エレベータ700は、図中、太線矢印で示すように上昇し、台車4を搭載ゾーン70に搬送する。空の台車4には、入口扉T11を介して、フォークリフトにより、新たな処理対象物を収容したケース5が載置される。このようにして、台車4は、前出図16の前処理工程の状態に戻る。
【0100】
以上説明したように、台車4は、搭載ゾーン70→蒸発ゾーン71→移動ゾーン72→焼却ゾーン73→分離ゾーン74→台車回収ゾーン75→台車冷却ゾーン76→再び搭載ゾーン70の順に、外殻7内を循環する。一方、ケース5に収容された処理対象物は、搭載ゾーン70から外殻7内に搬入される。蒸発処理、焼却処理を経た処理対象物は、分離ゾーン74にて台車4と分離される。処理対象物は、台車4を分離ゾーン74に残したまま、後処理ゾーン80に搬出される。
【0101】
次に、本実施形態の毒ガス弾処理設備および毒ガス弾処理方法の作用効果について説明する。本実施形態の毒ガス弾処理設備および毒ガス弾処理方法は、第一実施形態の毒ガス弾処理設備および毒ガス弾処理方法と、同様の作用効果を有する。
【0102】
また、本実施形態によると、分離ゾーン74を区画する外殻7の壁面内部に、冷却水が流れている。このため、焼却ゾーン73において高温となった台車4およびケース5および処理対象物を、比較的迅速に冷却することができる。並びに、本実施形態によると、台車冷却ゾーン76が配置されている。このため、台車4を、より迅速に冷却することができる。
【0103】
<その他>
【0104】
以上、本発明の汚染物質処理設備および汚染物質処理方法の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0105】
例えば、第一実施形態においては十字路状、第二実施形態においては直線状の台車搬送経路を配置したが、経路のレイアウトは特に限定しない。例えば、外殻内部の空間をリング状とし、180°対向位置に、処理対象物の入口および出口を、各々配置してもよい。そして、当該出口の外部に、後処理部を配置してもよい。
また、上記実施形態においては、断熱層260、270、40を、耐火煉瓦製としたが、キャスタブル耐火物製やプラスティック耐火物製やロックウール製やグラスウール製やセラミックファイバ製としてもよい。また、上記実施形態においては、台車4の駆動機構としてチェーンコンベアを用いたが、駆動機構は特に限定しない。例えば、台車4自身にモータを付け、自走式としてもよい。
【0106】
また、上記実施形態においては、本発明の汚染物質処理設備および汚染物質処理方法を、毒ガス弾の処理に用いたが、例えばトランス、コンデンサ、電池などの処理に用いてもよい。
【0107】
また、上記第一実施形態においては、シール部263のシャフト263bおよびコイルばね263cを各々三つ配置したが、配置数は特に限定しない。上記第一実施形態においては、グラスウール製のシール材263hを用いたが、シール材263hの材質は特に限定しない。例えば、セラミックファイバ製やロックウール製としてもよい。また、シール部263としてサンドシールなど他のシール機構を用いてもよい。また、上記実施形態においては、単一の台車4を用いたが、勿論、複数の台車4を用いてもよい。こうすると、毒ガス弾処理性能が向上する。
【0108】
また、蒸発処理温度、蒸発処理時間、焼却処理温度、焼却処理時間は、特に限定しない。処理対象物50の特性に応じ、適宜変更すればよい。蒸発処理温度と蒸発処理時間とは反比例する。例えば、蒸発処理温度が比較的高い場合は、蒸発処理時間は比較的短く設定する。ただし、蒸発処理温度の上限値は、処理対象物50が暴走燃焼、あるいは爆発を起こさない温度に設定する。反対に、蒸発処理温度が比較的低い場合は、蒸発処理時間は比較的長く設定する。同様に、焼却処理温度と焼却処理時間とは反比例する。例えば、焼却処理温度が比較的高い場合は、焼却処理時間は比較的短く設定する。反対に、焼却処理温度が比較的低い場合は、焼却処理時間は比較的長く設定する。例えば、蒸発処理温度を600℃以下(好ましくは538℃)、蒸発処理時間を15分間以上、焼却処理温度を1000℃以上(好ましくは1200℃)、焼却処理時間を2時間以上としてもよい。さらに、蒸発処理温度、焼却処理温度は、一定でなくてもよい。すなわち、所定の昇降温度パターンで、蒸発処理、あるいは焼却処理を実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】第一実施形態の毒ガス弾処理設備の上方から見た配置概要図である。
【図2】図1の区間Iの斜視図である。
【図3】図2の斜視分解図である。
【図4】図2のII−II断面図である。
【図5】台車およびケースの斜視分解図である。
【図6】図4の枠IV内の拡大図である。
【図7】第一実施形態の毒ガス弾処理方法の前処理工程前期の模式図である。
【図8】同工程後期の模式図である。
【図9】第一実施形態の毒ガス弾処理方法の蒸発処理工程の模式図である。
【図10】同毒ガス弾処理方法の焼却処理工程の模式図である。
【図11】同毒ガス弾処理方法の台車分離工程前期の模式図である。
【図12】同工程後期の模式図である。
【図13】第一実施形態の毒ガス弾処理方法の後処理工程前期の模式図である。
【図14】同工程中期の模式図である。
【図15】同工程後期の模式図である。
【図16】第二実施形態の毒ガス弾処理設備の側方から見た配置概要図である。
【図17】第二実施形態の毒ガス弾処理方法の蒸発処理工程前期の模式図である。
【図18】同工程後期の模式図である。
【図19】第二実施形態の毒ガス弾処理方法の焼却処理工程の模式図である。
【図20】同毒ガス弾処理方法の台車分離工程前期の模式図である。
【図21】同工程後期の模式図である。
【図22】図21のXXI−XXI断面図である。
【図23】第二実施形態の毒ガス弾処理方法の台車分離工程におけるケース受け渡しの様子を示す模式図である。
【図24】同毒ガス弾処理方法の後処理工程前期の模式図である。
【図25】同工程中期の模式図である。
【図26】同工程後期の模式図である。
【符号の説明】
【0110】
1:毒ガス弾処理設備(汚染物質処理設備)、2:外殻、20:気密チャンバ、200:レール、201:チェーンコンベア、21:蒸発室、21A:処理対象物側空間、21B:断熱シール空間、21C:支持部側空間、210:レール、211:チェーンコンベア、22:焼却室、220:レール、221:チェーンコンベア、23:待機室、230:レール、231:チェーンコンベア、24:方向転換室、240:レール、241:チェーンコンベア、242:ターンテーブル、25:後処理室、252:フォークリフト、26:側板、260:断熱層、261:天板受け部材、262:断熱層支持部材、263:シール部、263a:シール本体、263b:シャフト、263c:コイルばね、263d:シャフト支持部材、263e:リンク部材、263f:シャフト孔、263g:枠体263g、263h:シール材、264:第一側板貫通孔、265:断熱層貫通孔、266:蒸発室側断熱シール部、267:第二側板貫通孔、268:支持部貫通孔、269:圧力配管(圧力調整装置)、27:天板、270:断熱層、271:天井枠、28:床板、3:隔壁、4:台車、40:断熱層、41:シャーシ、42:スペーサ、44:台車側断熱シール部、45:軸受、46:車輪、5:ケース、50:処理対象物、6:発熱体、60:電気ヒータ(熱源)、61:筒部材、610:収容室、7:外殻、70:搭載ゾーン、700:エレベータ、71:蒸発ゾーン(蒸発室)、710:ラジアントチューブバーナ、72:移動ゾーン、73:焼却ゾーン(焼却室)、730:ラジアントチューブバーナ、74:分離ゾーン、75:台車回収ゾーン、750:エレベータ、76:台車冷却ゾーン、80:後処理ゾーン(後処理部)、90:フォークリフト、91:ホイストクレーン、92:ガイドレール、93:フォークリフト。
A:区間(加熱部)、B:区間(後処理部)、I:区間、T1:入口扉、T2〜T6:仕切り扉、T7:出口扉、T11:入口扉、T12〜T18:仕切り扉。




 

 


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