発明の名称 |
遠心投射装置 |
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発行国 |
日本国特許庁(JP) |
公報種別 |
公開特許公報(A) |
公開番号 |
特開2007−75914(P2007−75914A) |
公開日 |
平成19年3月29日(2007.3.29) |
出願番号 |
特願2005−263589(P2005−263589) |
出願日 |
平成17年9月12日(2005.9.12) |
代理人 |
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発明者 |
岩田 恭一 |
要約 |
課題 ライナを省き、メンテナンスの回数を削減することができる遠心投射装置を提供する。
解決手段 ハウジング2と、該ハウジングの側部の外側に取り付けられた駆動手段3と、該駆動手段の駆動軸3a側に取り付けられた、複数のブレード13を有するインペラー4と、該インペラーの内周空間に前記駆動軸と同軸に取り付けられ、開口を周方向にほぼ等間隔に有するディストリビュータ5と、後端部が前記ハウジングの側部に対向する側部に形成される吹き込み口18の周辺に取り付けられ、分散窓17が形成された先端部を前記ディストリビュータと前記ブレードとのあいだに延設されるコントロールケージ6と、前記吹き込み口へ投射材を供給するように前記ハウジングに取付けられる導入筒7とからなる遠心投射装置であって、前記ディストリビュータの基部と前記コントロールケージの先端部とのあいだに回転密封部材8が配設されている。 |
特許請求の範囲
【請求項1】 ハウジングと、 該ハウジングの側部の外側に取り付けられた駆動手段と、 該駆動手段の駆動軸側に取り付けられた、複数のブレードを有するインペラーと、 該インペラーの内周空間に前記駆動軸と同軸に取り付けられ、開口を周方向にほぼ等間隔に有するディストリビュータと、 後端部が前記ハウジングの側部に対向する側部に形成される吹き込み口の周辺に取り付けられ、分散窓が形成された先端部を前記ディストリビュータと前記ブレードとのあいだに延設されるコントロールケージと、 前記吹き込み口へ投射材を供給するように前記ハウジングに取付けられる導入筒とからなる遠心投射装置であって、 前記ディストリビュータの基部と前記コントロールケージの先端部とのあいだに回転密封部材が配設されてなる遠心投射装置。 【請求項2】 前記インペラーが、駆動手段の駆動軸側の側板と、該側板により前記導入筒側に所定幅離れた位置に、中央部に前記コントロールケージの外周より大きな開口を有する導入筒側の側板と、該導入筒側の側板と前記駆動軸側の側板とのあいだに放射状に挾着固定された複数のブレードとからなる請求項1記載の遠心投射装置。 【請求項3】 前記回転密封部材がセラミックス部材である請求項1または2記載の遠心投射装置。 【請求項4】 前記回転密封部材が焼結含油部材である請求項1または2記載の遠心投射装置。 【請求項5】 前記回転密封部材が硬質樹脂である請求項1または2記載の遠心投射装置。
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発明の詳細な説明
【技術分野】 【0001】 本発明は遠心投射装置に関する。さらに詳しくは、メンテナンスの回数を削減することができる遠心投射装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来より、微小な剛球などの投射材を被処理品に向けて投射することによって、被処理品の表面の錆、バリ、スケールまたは塗料などを剥離除去するブラスト加工が行なわれている。このブラスト加工においては、複数のブレードを設けたインペラーを高速回転させて、ブレードが投射材を連続的に遠心力投射するように構成された遠心投射装置が用いられている。たとえば特許文献1には、回転可能に配設した回転体に、円形状の回転板とこの回転板に放射状に配置されかつ内側基端部で直径135〜170mmのほぼ円柱状の空間を形成して取り付けられた4〜12枚のブレードとでなるインペラーを装着し、前記回転体における前記空間内に、有底円筒状を成しかつ長手方向へ全長に亘って延びるとともに前記ブレードの枚数と同一の数の開口を周方向にほぼ等間隔をおいて形成したディストリビュータを前記回転体とほぼ同心させて取り付け、前記ブレードの内側基端部と前記ディストリビュータとのあいだに、別途固定配設されたコントロールケージを配置した砥粒遠心投射装置が記載されている。また、この投射装置においては、投射材をディストリビュータからコントロールケージの穴を通過させてブレードに供給したのち、被研掃物に加速投射するように設計されている。しかし、投射材の一部がディストリビュータとコントロールケージとのあいだの隙間から漏れ出すことがある。このため、投射方向とは異なる方向に飛散する投射材からカバー(ハウジング)の損傷を防止するように、インペラーを包囲するカバーの内側にライナを内張りしている。 【0003】 【特許文献1】特開平9−150369号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 したがって、前記砥粒遠心投射装置においては、定期的にカバーを開けてライナの摩耗状況を点検し、摩耗状況が著しい場合には取り替える必要がある。このため、メンテナンス費用が嵩むという問題がある。 【0005】 そこで、本発明は、叙上の事情に鑑み、ライナを省き、メンテナンスの回数を削減することができる遠心投射装置を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明の遠心投射装置は、ハウジングと、該ハウジングの側部の外側に取り付けられた駆動手段と、該駆動手段の駆動軸側に取り付けられた、複数のブレードを有するインペラーと、該インペラーの内周空間に前記駆動軸と同軸に取り付けられ、開口を周方向にほぼ等間隔に有するディストリビュータと、後端部が前記ハウジングの側部に対向する側部に形成される吹き込み口の周辺に取り付けられ、分散窓が形成された先端部を前記ディストリビュータと前記ブレードとのあいだに延設されるコントロールケージと、前記吹き込み口へ投射材を供給するように前記ハウジングに取付けられる導入筒とからなる遠心投射装置であって、前記ディストリビュータの基部と前記コントロールケージの先端部とのあいだに回転密封部材が配設されてなることを特徴としている。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、ディストリビュータの基部と前記コントロールケージの先端部とのあいだの隙間を回転密封部材により塞ぐことにより、ハウジングへの投射材の漏れをなくすことができるため、ライナを省くことができる。また、ライナを省けるので、メンテナンスの回数を削減することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 以下、添付図面に基づいて本発明の遠心投射装置を説明する。本発明の一実施の形態にかかわる遠心投射装置は、図1に示されるように、装置本体の研掃室の天井に配された上壁1に配置されるハウジング(インペラーケース)2と、該ハウジング2の側部2aの外側である前記上壁1に配設される駆動手段3と、該駆動手段3の駆動軸3a側に取り付けられるインペラー4と、該インペラー4の内周空間Sに前記駆動軸3aと同軸に取り付けられるディストリビュータ5と、前記ハウジング2の側部2aに対向する側部2bに取り付けられるコントロールケージ6と、前記ハウジング2の側部2bに取付けられる導入筒7と、前記ディストリビュータ5の基部5aと前記コントロールケージ6の先端部6aとのあいだに配設される回転密封部材8とを備えている。 【0009】 前記駆動手段3は、とくに限定されるものではないが、前記駆動軸3aを回転自在に支持する軸受(図示せず)が配された駆動モータを用いることができる。または前記駆動軸3aが、軸受ユニットの軸受により回転自在に支持される場合、前記駆動手段3としては、該軸受ユニットと、該駆動軸3aの端部に連結されるプーリーと、駆動モータと、該駆動モータの回転軸に連結されるプーリーと、前記駆動軸3aのプーリーと駆動モータのプーリーとに巻き回されるベルトとからなる構成とすることもできる。 【0010】 前記インペラー4は、本実施の形態では、前記駆動軸3aにハブ10を介してボルト11により取り付けられており、前記駆動手段3の駆動軸3a側の側板12aと、該側板12aにより前記導入筒7側に所定幅離れた位置の側板12bと、側板12aと側板12bとのあいだに放射状に挾着固定された複数、たとえば4〜12枚のブレード13とから構成されている。側板12bは、中央部に前記コントロールケージ6の外周より大きな開口を有し、この側板12bと前記ブレード13の組付けは、側板12bの内周端とブレード13の内周端とがほぼ同一になるように行われている。なお、本実施の形態におけるインペラー4の側板12aは、ハブ10と別体に作製されているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、側板12aとハブ10を一体に作製することができる。 【0011】 前記ディストリビュータ5は、投射材を撹拌する部品であってボルト14により前記側板12aに固定されており、前記ブレード13の枚数と同一の数、該枚数より少ない数または該枚数より多い数の開口(切り欠き)15を周方向にほぼ等間隔に有している。すなわち、本実施の形態におけるディストリビュータ5は、基部5aからインペラー4の中心軸に対して平行(図1の紙面左右方向)に前記ブレード13の枚数と同一の数の爪16が突出した、いわゆる櫛歯状を呈しているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、爪16の先端を周方向に連結して補強した形状とすることもできる。 【0012】 前記コントロールケージ6は、先端部6aの円筒部に形成される分散窓17により投射方向を規制する部品であって、前記ディストリビュータ5と前記ブレード13とのあいだに延設されており、後端部6bが前記ハウジング2の側部2aに対向する側部2bに形成される吹き込み口18の周辺に取り付けられている。すなわち、本実施の形態では、このコントロールケージ6の取付構造として、まず前記吹き込み口18にリンク状のフランジ(環状リング)19を組み付けて、ボルト20により側部2bに固定したのち、該フランジ19の内周に沿わせて挿入されたコントロールケージ6の後端部6bに形成した段部6cをフランジつば部19aの端面と導入筒7の端面で挟み込み、最後に導入筒押さえ部材21で押し込んでボルト22により取り付ける構造にされている。 【0013】 前記導入筒7は、前記インペラー4に投射材を供給する筒であり、前記吹き込み口18へ投射材を供給するように前記ハウジング2の側部2bに取付けられている。 【0014】 前記回転密封部材8は、とくに限定されるものではないが、たとえば環状のセラミックス部材、焼結含油部材、摺動性の硬質樹脂、金属性部材などまたはリング鋼板と鉄板またはゴムシール付転がり軸受や、焼結含油軸受、セラミック軸受などの軸受とを組み合わせた構造体などを用いることができる。この回転密封部材8により、投射材の衝撃力に耐えて投射材の漏れを防ぐことができる。なお、この回転密封部材8は、前記インペラー4の回転を支持することができる回転支持部材としての機能を有するため、前記インペラー4の回転バランスによる回転振動を制止することもできる。前記回転密封部材8の取付け方は、とくに限定されるものではないが、本実施の形態では、回転密封部材8の下部を前記基部5aに形成される環状段差部と側板12aの環状突起とにより挟着支持し、上部を前記先端部6aの環状溝にルーズフィットさせる構造にされている。 【0015】 本実施の形態では、投射材は導入筒7より供給され、コントロールケージ6を通り、回転するディストリビュータ5にて撹拌される。コントロールケージ6の中で撹拌された投射材は、コントロールケージ6の分散窓17から排出され、回転するブレード13の内周側へ供給される。このとき、投射材は回転密封部材8によりハウジング2の内側へ飛散しない。そして、前記供給された投射材は、回転するブレード13によって徐々に加速され、ブレード13の外周端から飛び出して被処理品の表面の錆、バリ、スケールまたは塗料などを剥離除去する。 【図面の簡単な説明】 【0016】 【図1】本発明の一実施の形態にかかわる遠心投射装置の要部断面図である。 【符号の説明】 【0017】 1 上壁 2 ハウジング 2a、2b 側部 3 駆動手段 3a 駆動軸 4 インペラー 5 ディストリビュータ 5a 基部 6 コントロールケージ 6a 先端部 6b 後端部 6c 段部 7 導入筒 8 回転密封部材 9 駆動モータ 10 ハブ 11、14、 20、22 ボルト 12a、12b 側板 13 ブレード 15 開口 16 爪 17 分散窓 18 吹き込み口 19 フランジ 19a フランジつば部 21 導入筒押さえ部材
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