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発明の名称 複合シートの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−210250(P2007−210250A)
公開日 平成19年8月23日(2007.8.23)
出願番号 特願2006−34219(P2006−34219)
出願日 平成18年2月10日(2006.2.10)
代理人 【識別番号】100081606
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 美次郎
発明者 遠藤 謙二 / 畑中 潔 / 西野 晴雄 / 平川 昌治
要約 課題
異材質層の層厚を調整することができる複合シートの製造方法を提供すること。

解決手段
支持シート103、誘電体グリーンシート101及び厚さ調整用シート105がこの順序で積層され、誘電体グリーンシート101及び厚さ調整用シート105に共通にスリットSが形成されているシート積層体を用意する。次に、誘電体グリーンシート101の材料とは異なる材料からなるスラリー20を、スリットSの内部に充填する。次に、スリットSの内部に充填されたスラリー20を乾燥させて異材質層201を形成する。その後、厚さ調整用シート105を剥離する。
特許請求の範囲
【請求項1】
支持シート、誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートがこの順序で積層され、前記誘電体グリーンシート及び前記厚さ調整用シートに共通にスリットが形成されているシート積層体を用意し、
前記誘電体グリーンシートの材料とは異なる材料からなるスラリーを、前記スリットの内部に充填し、
前記スリットの内部に充填された前記スラリーを乾燥させて異材質層を形成し、
その後、前記厚さ調整用シートまたは前記支持シートの少なくとも一方を剥離する
複合シートの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載された複合シートの製造方法であって、
前記異材質層の層厚を、前記厚さ調整用シートのシート厚によって制御する
複合シートの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2の何れかに記載された複合シートの製造方法であって、
前記異材質層の層厚を、前記スラリーのスラリー濃度によって制御する
複合シートの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載された複合シートの製造方法であって、
前記スリットの内部に充填された前記スラリーを乾燥させた後、前記支持シートと前記誘電体グリーンシートとが積層された状態で前記厚さ調整用シートを剥離する
複合シートの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載された複合シートの製造方法であって、
前記シート積層体を用意するため、
厚さ調整用シートの一面に誘電体グリーンシートを形成し、
次に、前記誘電体グリーンシート及び前記厚さ調整用シートに共通にスリットを形成し、
次に、前記誘電体グリーンシートの、前記厚さ調整用シートが位置する側とは反対側の面に支持シートを積層する
複合シートの製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れかに記載された複合シートの製造方法であって、
前記シート積層体を用意するため、
レーザ透過性を有する支持シートの一面に誘電体グリーンシートを形成し、
次に、前記誘電体グリーンシートの、前記支持シートが位置する側とは反対側の面に、レーザ加工が可能な厚さ調整用シートを積層し、
次に、レーザー照射により、前記厚さ調整用シート及び前記誘電体グリーンシートに共通にスリットを形成する
複合シートの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至4の何れかに記載された複合シートの製造方法であって、
前記シート積層体を用意するため、
レーザ加工が可能な厚さ調整用シートの一面に誘電体グリーンシートを形成し、
次に、前記誘電体グリーンシートの、前記厚さ調整用シートが位置する側とは反対側の面に、レーザ透過性を有する支持シートを積層し、
次に、レーザー照射により、前記厚さ調整用シート及び前記誘電体グリーンシートに共通にスリットを形成する
複合シートの製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載された複合シートの製造方法であって、
前記スラリーの乾燥により得られる異材質層は、複数層から構成される
複合シートの製造方法。


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合シートの製造方法に関する。複合シートとは、誘電体グリーンシートと、その誘電体グリーンシートの材料とは異なる材料からなる異材質層とを備えたシートを指す。異材質層は、誘電体グリーンシートに形成されたスリットに、そのスリット断面の少なくとも一部分を占有する態様で設けられる。このような複合シートは、ストリップラインなどの伝送線路、この伝送線路を回路要素の一部として用いた共振器、フィルタ、カプラ又はデュプレクサ等の電子部品、更には、コンデンサ部分を含む多層セラミック基板を製造するのに用いることができる。
【背景技術】
【0002】
伝送線路の一例として、誘電体中に板状の信号線が埋設され、誘電体の両面にグランドプレーンが形成されたストリップ線路がよく知られている。
【0003】
従来、この種のストリップ線路は、誘電体グリーンシートの表面に導体膜を印刷などで形成した後、その上に別の誘電体グリーンシートを積層することにより製造されていた。しかし、この製造方法では、導体膜が、その上に積層される誘電体グリーンシートと、もとの誘電体グリーンシートとによって挟まれた状態でプレスされるため、幅方向の両端が潰れて、厚み中心で外側に鋭角に突出するくさび状になる。このため、電流分布が集中する導体膜の両端部が特に薄くなり、導体抵抗による伝送損失が大きくなるという欠点がある。
【0004】
このような問題を解決するため、特許文献1は、複合シートを利用してストリップ線路を製造することを提案している。
【0005】
特許文献1の場合、複合シートを作製するための方法として、誘電体グリーンシートに予め形成されたスリットに、導電片を嵌め込むことにより複合シートを作製する方法が採用されている。しかし、この方法では、導電片の形状をスリットの形状に合わせるのに限界が生じる。
【0006】
複合シートを作製するための別の方法としては、ドクターブレード法などの塗布により誘電体グリーンシートのスリットに導体スラリーを充填し、この導体スラリーを乾燥させることにより、複合シートを作製する方法が考えられる。しかし、この方法では、導体スラリーの乾燥に伴って導体スラリーの体積が縮むため、得られる導体層の層厚が誘電体グリーンシートのシート厚よりも小さくなる。この後の積層工程におけるデラミネーションの発生を防止する観点からは、導体層の層厚を誘電体グリーンシートのシート厚に一致させることが好ましい。
【特許文献1】特願2005−276333号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、異材質層の層厚を調整することができる複合シートの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明に係る複合シートの製造方法においては、支持シート、誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートがこの順序で積層され、前記誘電体グリーンシート及び前記厚さ調整用シートに共通にスリットが形成されているシート積層体を用意する。
【0009】
次に、前記誘電体グリーンシートの材料とは異なる材料からなるスラリーを、前記スリットの内部に充填する。そして、前記スリットの内部に充填された前記スラリーを乾燥させて異材質層を形成する。その後、前記厚さ調整用シートまたは前記支持シートの少なくとも一方を剥離する。
【0010】
上述した本発明に係る複合シートの製造方法では、誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートに共通に形成されたスリットに、誘電体グリーンシートの材料とは異なる材料からなるスラリーを充填する。そのスラリーを乾燥させると、誘電体グリーンシートの材料とは異なる材料からなる異材質層が、スリットの形状に適合した態様で形成される。
【0011】
更に本発明では、誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートに共通に形成されたスリットに、スラリーを充填するから、厚さ調整用シートのシート厚がスラリーの体積縮みのための調整量として確保されている。よって、スラリーの乾燥に伴い、スラリーに体積縮みが生じても、得られる異材質層の層厚を調整することができる。例えば、異材質層の層厚を誘電体グリーンシートのシート厚に一致させることができる。
【0012】
次に、好ましい実施態様について説明する。一つの実施態様では、異材質層の層厚を、厚さ調整用シートのシート厚によって制御する。詳しくは、厚さ調整用シートのシート厚を適宜選定することにより、異材質層の層厚を制御する。
【0013】
別の実施態様では、異材質層の層厚を、スラリーのスラリー濃度によって制御する。スラリーのスラリー濃度とは、誘電体グリーンシートの材料とは異なる上記材料の、スラリー中における濃度(含有率)を指す。
【0014】
更に別の実施態様では、スリットの内部に充填されたスラリーを乾燥させた後、支持シートと誘電体グリーンシートとが積層された状態で厚さ調整用シートを剥離する。
【0015】
更に別の実施態様では、シート積層体を用意するため、厚さ調整用シートの一面に誘電体グリーンシートを形成する。次に、誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートに共通にスリットを形成する。次に、誘電体グリーンシートの、厚さ調整用シートが位置する側とは反対側の面に支持シートを積層する。
【0016】
更に別の実施態様では、シート積層体を用意するため、レーザ透過性を有する支持シートの一面に誘電体グリーンシートを形成する。次に、誘電体グリーンシートの、支持シートが位置する側とは反対側の面に、レーザ加工が可能な厚さ調整用シートを積層する。次に、レーザー照射により、厚さ調整用シート及び誘電体グリーンシートに共通にスリットを形成する。
【0017】
更に別の実施態様では、シート積層体を用意するため、レーザ加工が可能な厚さ調整用シートの一面に誘電体グリーンシートを形成する。次に、誘電体グリーンシートの、厚さ調整用シートが位置する側とは反対側の面に、レーザ透過性を有する支持シートを積層する。次に、レーザー照射により、厚さ調整用シート及び誘電体グリーンシートに共通にスリットを形成する。
【0018】
また、スラリーの充填及び乾燥は、複数回繰り返してもよい。例えば、誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートのスリットに、上記誘電体グリーンシートの材料とは異なる材料からなる第1のスラリーを充填し、第1のスラリーを乾燥させる。次に、スリットに第1のスラリーの上から、誘電体グリーンシートの材料とは異なる材料からなる第2のスラリーを充填し、第2のスラリーを乾燥させる。かかる工程によれば、複数層から構成された異材質層を有する複合シートが得られる。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように、本発明によれば、異材質層の層厚を誘電体グリーンシートのシート厚に合わせることができる複合シートの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明に係る複合シートの製造方法の一実施形態により得られる複合シートの断面図である。図示のように、複合シート10は、誘電体グリーンシート(未焼成誘電体シート)101と、異材質層201とを含む。この複合シート10は、支持シート103の一面に付着されている。
【0021】
誘電体グリーンシート101は、誘電体材料、例えばアルミナ−ガラス系誘電体材料から構成されている。誘電体グリーンシート101には、スリットSが形成されている。スリットSは、シート幅方向Wでみた幅を有し、かつ、誘電体グリーンシート101をシート厚さ方向Tに貫通する態様で形成されている。また、誘電体グリーンシート101の厚さ方向Tに垂直な平面でみたスリットSの形状としては、長さ及び幅を有する長方形パターン、または、蛇行パターンなどの任意の形状が採用され得る。
【0022】
異材質層201は、誘電体グリーンシート101の構成材料とは異なる材料から構成されている。図示実施形態の場合、異材質層201は、銀などの導体材料から構成されているが、これと異なり、誘電体グリーンシート101の誘電体材料とは異なる誘電体材料、例えば、チタン酸系の誘電体材料から構成されることもある。
【0023】
図2は、本発明に係る複合シートの製造方法の一実施形態を説明する図である。まず、図2(a)に示すように、厚さ調整用シート105の一面に誘電体グリーンシート101を形成する。厚さ調整用シート105は、例えばPETフィルムなどの適当な可撓性フィルムから構成される。厚さ調整用シート105のシート厚T5は適宜選定される。
【0024】
また、誘電体グリーンシート101を形成するための手法としては、ドクターブレード法により厚さ調整用シート105の一面に誘電体ペーストを塗布した後、その誘電体ペーストの塗布膜を乾燥させることにより、誘電体グリーンシート101を形成する手法を採用することができる。誘電体ペーストは、アルミナ−ガラス系誘電体材料などの誘電体粉末、有機バインダー及び有機溶剤を混合することにより得られる。
【0025】
次に、図2(b)に示すように、誘電体グリーンシート101及び厚さ調整用シート105に共通なスリットSを形成する。スリットSは、シート幅方向Wでみた幅を有し、誘電体グリーンシート101及び厚さ調整用シート105をシート厚さ方向Tに貫通する態様で形成される。このようなスリットSは、レザー加工機、金型またはパンチャーなどを用い、誘電体グリーンシート101の一部分及び厚さ調整用シート105の一部分を除去することにより形成することができる。
【0026】
次に、図2(c)に示すように、誘電体グリーンシート101の、厚さ調整用シート105が位置する側とは反対側の面102に支持シート103を張り付ける。これにより、支持シート103、誘電体グリーンシート101及び厚さ調整用シート105がこの順序で積層されたシート積層体が得られる。また、スリットSの、誘電体グリーンシート101側の開口部が支持シート103で閉じられる。支持シート103は、厚さ調整用シート105と同様、例えばPETフィルムなどの適当な可撓性フィルムから構成される。
【0027】
次に、スリットSの、厚さ調整用シート105側の開口部が上に位置するよう、支持シート103、誘電体グリーンシート101及び厚さ調整用シート105のシート積層体を裏返す。
【0028】
次に、図2(d)に示すように、スリットSの、厚さ調整用シート105側の開口部が上に位置する状態で、スリットSの内部にスラリー20を充填する。スラリー20を充填するための手法としては、ドクターブレード法を採用することができる。具体的には、ドクターブレードの先端と、厚さ調整用シート105の上面との間隔を極めて小さな値に設定することにより、スリットSの内部にスラリー20が落とし込まれ、厚さ調整用シート105の上面にはスラリー20がほとんど残らない態様でスラリー20の充填を行うことができる。
【0029】
また、スラリー20は、誘電体グリーンシート101の構成材料とは異なる材料から構成される。図示実施形態の場合、スラリー20は、導体粉末、有機バインダー及び有機溶剤を混合した導体ペーストであるが、これと異なり、誘電体グリーンシート101の誘電体材料とは異なる誘電体材料、例えば、チタン酸系の誘電体材料を含む誘電体ペーストであってもよい。
【0030】
次に、スリットSの内部に充填されたスラリー20を乾燥させると、図2(e)に示すように、誘電体グリーンシート101の構成材料とは異なる材料からなる異材質層201が、スリットSの形状に適合した態様で得られる。形状が合わずに誘電体グリーンシート101と異材質層201との間に隙間が発生したり、異材質層201が潰れて変形することはない。
【0031】
また、スラリー20(図2(d)参照)と、そのスラリーにより得られる異材質層201(図2(e)参照)とを比較するとわかるように、スラリー20を乾燥させると、スラリー20に含まれる有機溶剤が揮発し、スラリー20の体積が縮む。異材質層201は、スラリー20の体積が縮んだ状態で得られる。
【0032】
ここで、厚さ調整用シート105の断面があまりスラリー20と馴染みがよい場合、厚さ調整用シート105の開口部壁面にスラリー20が薄く付着した状態で乾燥し、後に厚さ調整用シート105を剥離する際、開口部壁面に沿ってシートが破断された跡が残る恐れがある。従って、厚さ調整用シート105は、あまりスラリー20と馴染みが良くない方が望ましい。
【0033】
本発明では、誘電体グリーンシート101及び厚さ調整用シート105に共通に形成されたスリットSに、スラリー20を充填するから(図2(d)参照)、厚さ調整用シート105のシート厚T5がスラリー20の体積縮みのための調整量として確保されている。よって、スラリー20の乾燥に伴い、スラリー20に体積縮みが生じても、図2(e)に示すように、得られる異材質層201の層厚T2を調整し、誘電体グリーンシート101のシート厚T1に一致させることができる。
【0034】
異材質層201の層厚T2は、厚さ調整用シート105のシート厚T5を適宜選定することにより、制御することができる。具体的には、厚さ調整用シート105のシート厚T5を大きな値に設定すると、異材質層201の層厚T2は大きくなる。これとは逆に、厚さ調整用シート105のシート厚T5を小さな値に設定すると、異材質層201の層厚T2は小さくなる。
【0035】
また、異材質層201の層厚T2は、スラリー20のスラリー濃度を適宜選定することによっても、制御することができる。スラリー20のスラリー濃度とは、例えば、スラリー20中における導体粉末(または誘電体粉末)の含有率を指す。スラリー20のスラリー濃度を大きな値に設定すると、スラリー20の乾燥に伴う体積縮みがあまり生じなくなり、異材質層201の層厚T2は大きくなる。これとは逆に、スラリー20のスラリー濃度を小さな値に設定すると、スラリー20の乾燥に伴う体積縮みがかなりの程度で生じるようになり、異材質層201の層厚T2は小さくなる。
【0036】
図2(e)に示したスラリー乾燥工程の後、図2(f)に示すように、厚さ調整用シート105を剥離する。詳しくは、支持シート103と誘電体グリーンシート101とが積層された状態で、誘電体グリーンシート101から厚さ調整用シート105を剥離する。これにより、図1に示した複合シート10が得られる。
【0037】
図2(f)に示した工程とは異なり、支持シート103を剥離してもよい。すなわち、誘電体グリーンシート101と厚さ調整用シート105とが積層された状態で、誘電体グリーンシート101から支持シート103を剥離してもよい。
【0038】
また、図2(d)及び図2(e)に示した工程とは異なり、スラリーの充填及び乾燥は、複数回繰り返してもよい。例えば、誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートのスリットに誘電体スラリーを充填した後、乾燥させ、誘電体でなる異材質層を得る。次に、スリットに、誘電体でなる異材質層の上から導体スラリーを充填した後、乾燥させ、導体でなる異材質層を得る。かかる工程によれば、コンデンサ部分を含む多層セラミック基板の製造に適した複合シートが得られる。
【0039】
このようにして得られる複合シートは、ストリップラインなどの伝送線路、この伝送線路を回路要素の一部として用いた共振器、フィルタ、カプラ又はデュプレクサ等の電子部品、更には、コンデンサ部分を含む多層セラミック基板を製造するのに用いることができる。ここでは、伝送線路の製造について代表的に説明する。
【0040】
まず、図3に示すように、複合シート10と、接地導体300が付着された2枚の誘電体基体100とを用意する。そして、複合シート10を、2枚の誘電体基体100で挟み込むように積層工程を行う。次に、得られた積層体にプレスを施す。更に、脱バインダ及び焼成などの周知の工程を行う。
【0041】
図4は、図3に示した伝送線路の製造方法により得られた伝送線路を示す斜視図、図5は、図4に示した伝送線路の断面図である。図示の伝送線路は、誘電体基体1と、接地導体31、32と、信号線2とを含む。接地導体31は、誘電体基体1の一面側に設けられており、接地導体32は、誘電体基体1の他面側に設けられている。信号線2は、断面長方形状の導体膜で構成され、誘電体基体1の内部に埋設されている。
【0042】
次に、本発明に係る複合シートの製造方法の別の実施形態について図6を参照し、説明する。図6において、先の図1、図2に現れた構成部分と同一性ある構成部分には、同一の参照符号を付し、重複説明を省略することがある。
【0043】
まず、図6(a)に示すように、支持シート103の一面に誘電体グリーンシート101を形成する。支持シート103としては、レーザ加工機のレーザー照射に反応しないようなシート、例えば、レザー透過性のシートが用いられる。一例としては、無色透明のPETフィルムが挙げられる。また、誘電体グリーンシート101を形成するための手法については、図2に示した実施形態で説明した通りである。
【0044】
次に、図6(b)に示すように、誘電体グリーンシート101の、支持シート103が位置する側とは反対側の面104に、厚さ調整用シート103を張り付ける。厚さ調整用シート103としては、レーザ加工機のレーザー照射で除去できるようなシートが用いられる。一例としては、着色されたPETフィルムが挙げられる。また、厚さ調整用シート105のシート厚T5は適宜選定される。
【0045】
図6(b)に示した工程により、支持シート103、誘電体グリーンシート101及び厚さ調整用シート105がこの順序で積層された積層体が得られる(図6(c)参照)。
【0046】
次に、図6(d)に示すように、積層体の、厚さ調整用シート105が位置する側にレザー光LAを照射する。詳しくは、積層体の、厚さ調整用シート105が位置する側の面のうち、所定の領域にレザー光LAを照射する。これにより、厚さ調整用シート105の一部分とともに誘電体グリーンシート101の一部分も除去され、誘電体グリーンシート101及び厚さ調整用シート105に共通なスリットSが形成される。スリットSは、シート幅方向Wでみた幅を有し、誘電体グリーンシート101及び厚さ調整用シート105をシート厚さ方向Tに貫通する態様で形成される。
【0047】
また、支持シート103については、レーザー光LAの照射に反応せず、除去されない。従って、スリットSの、誘電体グリーンシート101側の開口部は、支持シート103で閉じられることになる。
【0048】
次に、図6(e)に示すように、スリットSの、厚さ調整用シート105側の開口部が上に位置する状態で、スリットSの内部にスラリー20を充填する。スラリー20を充填するための手法については、図2に示した実施形態で説明した通りである。
【0049】
その後、図2に示した実施形態と同様の工程を行うことにより、図1に示した複合シート10が得られる。
【0050】
図6に示した実施形態では、レザー光LAを照射することにより、誘電体グリーンシート101及び厚さ調整用シート105にスリットSを形成する(図6(d)を参照)。レーザー照射で形成されるスリットSの内壁面は、シート面に対して直角ではなく、若干の角度を持っている。従って、その後の剥離工程で、厚さ調整用シート105または支持シート103の何れを剥離するかにより、複合グリーンシートについて誘電体グリーンシート−異材質層間の境界面が支持シート105(または厚さ調整用シート103)となす角度を選択することができる。よって、異材質層が積層されるように複数の複合グリーンシートを積層すると、複数の異材質層から構成される異材質部分の断面について、各種の形状が得られる。例えば、図7(a)に示すように、誘電体基体1の内部に、幅方向Wの両端が凸状となっている異材質部分205を形成できる。また、図7(b)に示すように、誘電体基体1の内部に、幅方向Wの両端が凹状となっている異材質部分205を形成できる。
【0051】
図8は、本発明に係る複合シートの製造方法の更に別の実施形態を説明する図である。図示において、先の図1、図2及び図6に現れた構成部分と同一性ある構成部分には、同一の参照符号を付し、重複説明を省略することがある。
【0052】
まず、図8(a)に示すように、厚さ調整用シート105の一面に誘電体グリーンシート101を形成する。厚さ調整用シート105の構成については、図6に示した実施形態で説明した通りである。また、誘電体グリーンシート101を形成するための手法についても、図2に示した実施形態で説明した通りである。
【0053】
次に、図8(b)に示すように、誘電体グリーンシート101の、厚さ調整用シート105が位置する側とは反対側の面106に、支持シート103を張り付ける。支持シート103の構成については、図6に示した実施形態で説明した通りである。
【0054】
図8(b)に示した工程により、先の図6(c)に示した積層体が得られる。その後、図6に示した実施形態と同様の工程を行い、これにより、図1に示した複合シート10を得る。
【0055】
次に実施例について説明する。
【0056】
<実施例1>
この実施例1は、図2に示した複合シートの製造方法に係る実施例である。まず、基板用セラミック材料としてアルミナ−ガラス系誘電体材料を準備し、アルミナ−ガラス系誘電体材料、有機バインダー及び有機溶剤を混合して誘電体ペーストを作製した。そして、この誘電体ペーストを用い、ドクターブレード法により厚さ75ミクロンのPET製厚さ調整用シート上に厚さ30ミクロンの誘電体グリーンシートを作製した。
【0057】
次に、その誘電体グリーンシートに導体線路を形成するため、誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートを、幅0.2mm、長さ16mmに渡り金型で穿孔した。
【0058】
次に、誘電体グリーンシートの、厚さ調整用シートが位置する側とは反対側の面に、厚さ75ミクロンのPET製支持シートを貼り付けた。支持シートの厚みは任意であるが先の厚さ調整用シートと同一のものを使用した。
【0059】
次に、導体材料として銀粉を有機バインダー及び有機溶剤と混合した導体スラリーを用意し、同じくドクターブレード法により、厚さ調整用シート及び誘電体グリーンシートのスリットに適応し、乾燥させた。その後、厚さ調整用シートを剥離して複合シートを得た。
【0060】
こうして得られた複合シートを、図5に示すように積層し、セラミック多層基板に仕上げた。得られた導体線路の断面形状は凡そ0.18×0.02mmの略長方形であり、端部に鋭角な薄い部分が発生したりはしていなかった。
【0061】
<実施例2>
この実施例2も、図2に示した複合シートの製造方法に係る実施例である。まず、基板用セラミック材料としてアルミナ−ガラス系誘電体材料を準備し、アルミナ−ガラス系誘電体材料、有機バインダー及び有機溶剤を混合して誘電体ペーストを作製した。そして、この誘電体ペーストを用い、ドクターブレード法により厚さ75ミクロンのPET製厚さ調整用シート上に厚さ40ミクロンの誘電体グリーンシートを作製した。
【0062】
次に、誘電体グリーンシートにコンデンサパターンを形成するため、誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートを、凡そ0.8×0.8mmに渡りレーザー加工機で穿孔した。
【0063】
次に、誘電体グリーンシートの、厚さ調整用シートが位置する側とは反対側の面に、厚さ75ミクロンのPET製支持シートを貼り付けた。支持シートの厚みは任意であるが先の厚さ調整用シートと同一のものを使用した。
【0064】
次に、コンデンサ形成部分の誘電体材料として比誘電率の高いチタン酸系の誘電体材料を準備し、有機バインダー及び有機溶剤と混合した誘電体スラリーを作製した。更に、この誘電体スラリーを誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートのスリットに適応し、乾燥させた。これにより、当該スリットにコンデンサ形成用の誘電体層を形成した。コンデンサ形成用誘電体層の層厚は凡そ32ミクロンになった。
【0065】
次に、導体材料として銀粉を有機バインダー及び有機溶剤と混合した導体スラリーを用意し、同じくドクターブレード法により誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートのスリットに適応した。スリットに導体スラリーを適応したとき、導体スラリーの厚さは、厚さ調整用シートの厚さ75ミクロンに、誘電体グリーンシートの厚さ40ミクロンとコンデンサ形成用誘電体層の厚さ32ミクロンとの差8ミクロンを加えた合計83ミクロンである。そして、導体スラリーを乾燥させると、導体スラリーの厚さは8ミクロンとなり、導体スラリーによる導体層とコンデンサ形成用誘電体層との合計厚さが基板用誘電体シートの厚さに略等しくなることが望まれる。このため、実施例2の導体スラリーは、実施例1の導体スラリーよりも有機溶剤の分量を多くしてある。
【0066】
このようにして、厚さ40ミクロンの基板用誘電体グリーンシートの所定の位置に、0.15×0.15mmの大きさで厚さ32ミクロンの比誘電率が周囲より高い誘電体層及び厚さ8ミクロンの導体層が積層されている複合シートを得た。
【0067】
この複合シートにより、コンデンサ部分を含む多層セラミック基板を作成した。詳細に観察したが電極の変形やデラミ等の不具合は見られなかった。
【0068】
<実施例3>
この実施例3は、図6に示した複合シートの製造方法に係る実施例である。まず、基板用セラミック材料としてアルミナ−ガラス系誘電体材料を準備し、アルミナ−ガラス系誘電体材料、有機バインダー及び有機溶剤を混合して誘電体ペーストを作製した。そして、この誘電体ペーストを用い、ドクターブレード法により、厚さ75ミクロンの無色でレーザー光を透過してしまい、加工されないPET製支持シート上に厚さ30ミクロンの誘電体グリーンシートを作製した。
【0069】
次に、誘電体グリーンシートの、支持シートが位置する側とは反対側の面に、着色されていてレーザーにより加工され得るPET製厚さ調整用シート(厚さ75ミクロン)を貼り付けた。
【0070】
次に、誘電体グリーンシートに導体線路を形成するため、誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートを、幅0.2mm、長さ16mmに渡りレーザー加工機で穿孔した。
【0071】
次に、導体材料として銀粉を有機バインダー、有機溶剤と混合した導体スラリーを用意し、同じくドクターブレード法により誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートのスリットに適応し、乾燥させた。その後、厚さ調整用シートを剥離して複合シートを得た。
【0072】
こうして得られた複合シートを、図5に示すように積層し、セラミック多層基板に仕上げた。得られた導体線路の断面形状は凡そ0.18×0.02mmの略長方形であり、端部に鋭角な薄い部分が発生したりはしていなかった。
【0073】
<実施例4>
この実施例4は、図6に示した複合シートの製造方法に係る実施例である。まず、基板用セラミック材料としてアルミナ−ガラス系誘電体材料を準備し、アルミナ−ガラス系誘電体材料、有機バインダー及び有機溶剤を混合して誘電体ペーストを作製した。そして、この誘電体ペーストを用い、ドクターブレード法により、厚さ75ミクロンの無色でレーザー光を透過してしまい、加工されないPET製支持シート上に厚さ40ミクロンの誘電体グリーンシートを作製した。
【0074】
次に、誘電体グリーンシートの、支持シートが位置する側とは反対側の面に、着色されていてレーザーにより加工され得るPET製厚さ調整用シート(厚さ75ミクロン)を貼り付けた。
【0075】
次に、誘電体グリーンシートにコンデンサパターンを形成するため、誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートを、凡そ0.15×0.15mmに渡りレーザー加工機で穿孔した。
【0076】
次に、コンデンサ形成部分の誘電体材料として比誘電率の高いチタン酸系の誘電体材料を準備し、有機バインダー及び有機溶剤と混合した誘電体スラリーを作製した。更に、この誘電体スラリーを誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートのスリットに適応し、乾燥させた。これにより、当該スリットにコンデンサ形成用の誘電体層を形成した。コンデンサ形成用誘電体層の層厚は凡そ32ミクロンになった。
【0077】
次に、導体材料として銀粉を有機バインダー及び有機溶剤と混合した導体スラリーを用意し、同じくドクターブレード法により誘電体グリーンシート及び厚さ調整用シートのスリットに適応した。スリットに導体スラリーを適応したとき、導体スラリーの厚さは、支持シートの厚さ75ミクロンに、誘電体グリーンシートの厚さ40ミクロンとコンデンサ形成用誘電体シートの厚さ32ミクロンとの差8ミクロンを加えた合計83ミクロンである。そして、導体スラリーを乾燥させると、導体スラリーの厚さは8ミクロンとなり、導体スラリーによる導体層とコンデンサ形成用誘電体層との合計厚さが基板用誘電体グリーンシートの厚さに略等しくなることが望まれる。このため、実施例4の導体スラリーは、実施例3の導体スラリーよりも有機溶剤の分量を多くしてある。
【0078】
このようにして、厚さ40ミクロンの基板用誘電体グリーンシートの所定の位置に、0.15×0.15mmの大きさで厚さ32ミクロンの比誘電率が周囲より高い誘電体層及び厚さ8ミクロンの導体層が積層されている複合シートを得た。
【0079】
この複合シートによりコンデンサ部分を含む多層セラミック基板を作成した。詳細に観察したが電極の変形やデラミ等の不具合は見られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る複合シートの製造方法の一実施形態により得られる複合シートの断面図である。
【図2】本発明に係る複合シートの製造方法の一実施形態を説明する図である。
【図3】伝送線路の製造方法を説明する図である。
【図4】図3に示した伝送線路の製造方法により得られた伝送線路を示す斜視図である。
【図5】図4に示した伝送線路の断面図である。
【図6】本発明に係る複合シートの製造方法の別の実施形態を説明する図である。
【図7】導体の断面の例を示す図である。
【図8】本発明に係る複合シートの製造方法の更に別の実施形態を説明する図である。
【符号の説明】
【0081】
101 誘電体グリーンシート
105 厚さ調整用シート
103 支持シート
S スリット
20 スラリー




 

 


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