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発明の名称 粉末成形装置及び粉末成形方法、並びに成形装置及び成形方法、希土類焼結磁石の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−160348(P2007−160348A)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
出願番号 特願2005−359616(P2005−359616)
出願日 平成17年12月13日(2005.12.13)
代理人 【識別番号】100105809
【弁理士】
【氏名又は名称】木森 有平
発明者 國吉 陽一 / 斉藤 清 / 菊地 賢 / 坂元 圭太郎
要約 課題
簡単な構成でありながら成形用粉末の充填密度の不均一化を確実に防止することが可能な粉末供給装置及び粉末供給方法を提供する。また、成形される成形体において密度の不均一化を防止することができ、クラックの発生を解消することが可能な成形装置、成形方法、希土類焼結磁石の製造方法を提供する。

解決手段
底部に開口部を有し成形用粉末が収容される成形粉末供給空間を構成する筐体部(フィーダボックス11)の往復動により金型キャビティ内に成形用粉末を充填する。フィーダボックス11の開口部の往復動方法における開口寸法dは、金型キャビティ12の往復動方法における開口寸法D以下とする。往復動の際に、フィーダボックスの開口部の後端側のエッジ12bが金型キャビティ12の往復動方向における両端部12a,12b上を通過するように往復動させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
往復動により金型キャビティ内に成形用粉末を充填する粉末供給装置であって、
底部に開口部を有し成形用粉末が収容される成形粉末供給空間を構成する筐体部を備え、前記開口部の前記往復動方向における開口寸法が前記金型キャビティの前記往復動方向における開口寸法以下であることを特徴とする粉末供給装置。
【請求項2】
前記開口部の前記往復動方向における開口寸法dと前記金型キャビティの前記往復動方向における開口寸法Dの比d/Dが0.1〜1.0に設定されていることを特徴とする請求項1記載の粉末供給装置。
【請求項3】
前記開口部の開口寸法を調整する開口寸法調整機構を有することを特徴とする請求項1または2記載の粉末供給装置。
【請求項4】
前記開口寸法調整機構として、可動仕切り板を備えることを特徴とする請求項3記載の粉末供給装置。
【請求項5】
底部に開口部を有し成形用粉末が収容される成形粉末供給空間を構成する筐体部を往復動させ、前記開口部から金型キャビティ内に成形粉末を充填する粉末供給方法であって、
前記往復動の際に、前記開口部の後端が金型キャビティの前記往復動方向における両端部上を通過するように往復動させることを特徴とする粉末供給方法。
【請求項6】
前記往復動を複数回行うことを特徴とする請求項5記載の粉末供給方法。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項記載の粉末成形装置を備えていることを特徴とする成形装置。
【請求項8】
鉛直方向に分割された上部金型及び下部金型を備えるとともに、これら金型に対して略水平方向に移動し成形用粉末を略水平方向に加圧する1つ以上のパンチと、前記成形用粉末に対して略鉛直方向に磁界を印加する磁界印加手段とを備えることを特徴とする請求項7記載の成形装置。
【請求項9】
底部に開口部を有し成形用粉末が収容される成形粉末供給空間を構成する筐体部の往復動の際に、前記筐体部の開口部の後端が金型キャビティの前記往復動方向における両端部上を通過するように往復動されることを特徴とする請求項7または8記載の成形装置。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項記載の成形装置により成形用粉末を成形することを特徴とする成形方法。
【請求項11】
前記成形用粉末が希土類磁石原料合金粉末であることを特徴とする請求項10記載の成形方法。
【請求項12】
請求項7から9のいずれか1項記載の成形装置により希土類磁石原料合金粉末を成形し、これを焼結して希土類焼結磁石とすることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形用粉末を金型キャビティ内で成形する成形装置に用いられ、成形用粉末を金型キャビティ内へ充填するための粉末供給装置に関するものであり、さらには粉末供給方法に関するものである。また、本発明は、前記粉末供給装置を適用した成形装置、成形方法、希土類焼結磁石の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばNd−Fe−B磁石に代表されるR−T−B系(Rは、希土類元素の1種以上である。Tは、Feを必須とし、必要に応じてその他の遷移金属元素を含む。)焼結磁石(いわゆる希土類焼結磁石)は、磁気特性に優れていること、主成分であるNdが資源的に豊富で比較的安価であること等の利点を有することから、近年、その需要は益々拡大する傾向にある。このような状況から、希土類焼結磁石の磁気特性を向上するための研究開発や、品質の高い希土類焼結磁石を製造するための製造方法の改良等が各方面において進められている。
【0003】
希土類焼結磁石の製造方法としては、粉末冶金法が一般的であり、具体的には、所望組成の原料合金を用い、粗粉砕→微粉砕→成形→焼結といった工程を経て製造されている。すなわち、前記希土類焼結磁石を作製するには、粉砕により形成した希土類合金原料粉末を成形装置の金型キャビティ内に充填して所定の形状の成形体に成形し、これを焼結して焼結体とする。
【0004】
近年、磁気特性の向上と共に、磁石の小型化、厚み寸法の肉薄化が進行しており、前記成形装置で成形する成形体の形状も多様化している。そして、磁石の小型化、薄肉化に対応して成形される成形体が小型化、薄型化されていくと、比較的流動性の悪い希土類合金原料粉末では、金型キャビティに成形用粉末を充填することが困難になるという問題が生じている。前記成形において、成形用粉末が均一に充填されてないと、成形体密度が不均一となり、クラックやカケが発生し歩留まり低下を招くおそれがある。また、焼結工程後にも前記不均一さが原因となってクラックやカケが発生するとともに、焼結体が変形する等の障害が生じ、焼結工程後における加工工程に大きな負荷をかけることとなる。
【0005】
板状やブロック状の希土類焼結磁石を作製する場合、所定組成を有する合金粉末を金型キャビティに充填した後に、印加磁界中で加圧成形して成形体を得た後、この成形体を焼結、熱処理後、厚さ方向に対向する2面を平面研削する方法の他、大きな焼結ブロックを作製し、これを厚さ方向に平行にスライスして製造する方法も考えられる。しかしながら、大きな焼結ブロックをスライスして薄型の磁石を作製する方法の場合、成形性は比較的良好なものとすることができるものの、焼結ブロックをスライスするための設備や工程が必要になり、製造コストを増加させる原因となる。
【0006】
このような状況から、成形装置に備え付けられた粉末供給装置を改良することで、成形用粉末の充填が円滑に行えるようにし、成形体密度の不均一化を防止することが試みられている(特許文献1等を参照)。
【0007】
例えば、特許文献1記載の発明では、ダイに充填した成形粉末をすり切る際に生じる成形粉末の不均密や粒度偏析をできるだけ小さくすることを目的に、ダイに充填される成形粉末の少なくとも表層領域を仕切部材によって面方向で複数の小区画に区分してから成形粉末をフィーダボックスですり切るようにして、成形粉末の移動を仕切り部材によって制限するようにしている。そして、不均密と粒度偏析をより一層低減すべく、このすり切り後に、仕切部材の小区画に挿入可能な振動針及びこの振動針に振動を与える振動機構を有する混粒装置によって、各小区画内の成形粉末を掻き混ぜるようにする。
【0008】
成形装置に備え付けられた粉末供給装置では、フィーダボックスが往復動することによって金型ダイ(キャビティ)開口部の端部で成形粉末のすり切り充填を行っているが、往復動時のフィーダボックス間口と金型ダイ開口部の相対的な位置関係により、成形粉末のすり切り具合は異なる。フィーダボックス最後の往復動は、フィーダボックス間口により金型ダイ開口部を完全にすり切るため、すり切る側の臼壁面付近が粉体の引き摺り現象により極端に嵩密度が高くなる。その結果、金型ダイにおいて充填された成形粉末に密度差が生じ、嵩密度が低い部位、特に完全にすり切られなかった前記すり切る側とは反対側の部位からクラックが発生するという問題がある。
【0009】
前記特許文献1記載の発明は、このような問題を解消するものであり、前記構成を採用することで、成形粉末をすり切る際に生じる成形粉末の不均密や粒度偏析をできるだけ小さくするようにしている。
【特許文献1】特開2002−153994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記特許文献1記載の構成を採用した場合、粉末供給装置の構造が複雑になり、装置自体に大きな改良を加えなければならず、過大な設備投資を強いることになる。また、特許文献1記載の技術では、フィーダボックスの往復動に加えて、仕切板のダイ内への設置や、振動機構による振動操作等、余分な操作が必要であり、生産性の点でも問題が残る。
【0011】
本発明は、前述のような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、簡単な構成でありながら成形用粉末の充填密度の不均一化を確実に防止することが可能な粉末供給装置及び粉末供給方法を提供することを目的とする。また、本発明は、成形される成形体において密度の不均一化を防止することができ、クラックの発生を解消することが可能な成形装置及び成形方法を提供することを目的とし、さらには希土類焼結磁石を歩留まり良く製造し得る希土類焼結磁石の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の目的を達成するために、本発明の粉末供給装置は、往復動により金型キャビティ内に成形用粉末を充填する粉末供給装置であって、底部に開口部を有し成形用粉末が収容される成形粉末供給空間を構成する筐体部を備え、前記開口部の前記往復動方向における開口寸法が前記金型キャビティの前記往復動方向における開口寸法以下であることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の粉末供給方法は、底部に開口部を有し成形用粉末が収容される成形粉末供給空間を構成する筐体部を往復動させ、前記開口部から金型キャビティ内に成形粉末を充填する粉末供給方法であって、前記往復動の際に、前記開口部の後端が金型キャビティの前記往復動方向における両端部上を通過するように往復動させることを特徴とする。
【0014】
筐体部(フィーダボックス)の往復動方向において、金型キャビティの一方の端部に対してのみ筐体部の両側縁ですり切りが行われた場合、前記すり切りが行われた端部では充填される成形用粉末の嵩密度が高くなり、金型キャビティの反対側の端部近傍では充填される成形用粉末の嵩密度が低くなる。嵩密度の低い部分ではクラックが発生し易くなり、大きな問題となる。
【0015】
本発明では、往復動の際に、前記開口部の後端が金型キャビティの前記往復動方向における両端部上を通過するように往復動させている。これにより、金型キャビティの両方の端部に対して筐体部の両側縁で均等にすり切りが行われることになり、前記嵩密度の差が解消される。
【0016】
前記のように、開口部の後端が金型キャビティの往復動方向における両端部上を通過するように往復動させる場合、筐体部の往復動のストロークを大きく取らざるを得ない。筐体部のストロークの拡大は、装置の大型化に繋がり、設置面積も大きくなる。そこで、本発明の粉末供給装置では、前記開口部の往復動方向における開口寸法を金型キャビティの往復動方向における開口寸法以下としている。これにより、筐体部の往復動のストロークを必要最低限に抑えることができ、装置の大型化が抑制される。
【0017】
前記粉末供給装置及び粉末供給方法を、成形装置及び成形方法に適用することで、均一且つ安定な成形が実現され、クラック等の発生が回避される。さらに希土類焼結磁石の製造方法に適用することで、作製される希土類焼結磁石の寸法精度や磁気特性が確保され、また歩留まりも向上する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の粉末供給装置及び粉末供給方法によれば、成形用粉末を均一に金型キャビティ内に充填することが可能である。また、余分な機構が不要であるので、簡単に生産性良く成形用粉末を金型キャビティ内へ充填することが可能である。
【0019】
一方、本発明の成形装置及び成形方法によれば、成形される成形体において密度の不均一化を防止することができ、クラックの発生を防止することができる。また、本発明の希土類焼結磁石の製造方法によれば、寸法精度や性能に優れた希土類焼結磁石を歩留まり良く製造することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を適用した粉末供給装置及び粉末供給方法、さらには成形装置や成形方法、希土類焼結磁石の製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
先ず、図1に、成形用粉末を成形して所定の形状の成形体とするための成形装置の一例を示す。例えば平板状の永久磁石(希土類焼結磁石)を製造する場合、磁石原料粉末(成形用粉末)の充填性を考慮すると、金型キャビティの開口部を広くし、金型キャビティを浅くする方がよい。ただし、磁極面積が広く、厚みが薄い平板状永久磁石を製造しようとする場合には、平行配向磁界成形となり、配向が乱れやすい。図1に示す成形装置は、配向乱れの少ない直交磁界成形法により成形を行う成形装置であり、金型構造としては、鉛直方向、すなわち上下に分割された上部金型1、下部金型2、及び水平方向に可動とされた左パンチ3、右パンチ4を組み合わせた構造とされている。すなわち、図1に示す成形装置は、垂直方向に磁界を印加するとともに、前記左右パンチ3,4で水平方向に加圧成形を行う成形装置である。
【0022】
ここで、上部金型1及び下部金型2は、成形の際に閉空間を形成するためのものであり、例えば板状の成形体を成形する場合に、面積の大きな主面の面出しを行う。したがって、上部金型1の下面(下部金型2との対向面)は、平坦面である。
【0023】
一方、下部金型2は、先の上部金型1と同様、成形体の反対側の主面の面出しを行うものであるが、前記左パンチ3及び右パンチ4の移動(スライド)をガイドするスライド溝2aが形成されている。このスライド溝2aの幅や深さは、前記左パンチ3、右パンチ4の幅や厚さとほぼ同じであり、これによって成形体の幅や厚さが決まる。
【0024】
左パンチ3及び右パンチ4は、加圧手段に相当するものであり、前記スライド溝2a内において水平方向に移動し、前記上部金型1と下部金型2間の空間に充填された希土類磁石原料粉を加圧成形する。したがって、成形の際には、加圧力は水平方向に加わることになる。なお、本実施形態では、左右2つのパンチ3,4を組み合わせた構成としているが、例えば4方から加圧するように4つのパンチを組み合わせることも可能である。また、金型構造によっては(例えば、前記スライド溝2aの片側が閉塞されているような場合には)、パンチを1つとすることも可能である。さらに、左パンチ3、右パンチ4のうち一方を固定しておき他方を移動しながら加圧するようにしても良い。
【0025】
成形に際しては、前記左パンチ3や右パンチ4の先端の形状によって成形される成形体の平面形状が決まり、図1に示す左パンチ3、右パンチ4の先端形状の場合、平面形状が矩形の成形体に成形されることになる。例えば、平面形状が円形の円板状の成形体を成形する場合には、左パンチ3、右パンチ4の先端面の形状を円弧状とすればよい。
【0026】
図1に示す成形装置の例では、成形した成形体の取り出しを考慮して、下部金型2に成形体取り出し手段である下パンチ5が組み込まれている。この下パンチ5は、前記下部金型2に対して鉛直方向に相対移動可能であり、成形時には下部金型2のスライド溝2aの底面2bと同一平面を構成する位置に固定され、その上面5aが成形面として機能する。成形後には、下パンチ5を上昇、あるいは下部金型2を下降させることで、成形体が下パンチ5の上面5aで支持された状態で金型から取り出される。なお、成形体を金型から取り出す時、上部金型1を先に上昇させ次いで下パンチ5を上昇させる場合と、成形体を上部金型1で挟んだ状態のままで下パンチ5を上昇させる場合との2通りがある。この他、成形体取り出しの方法としては、下パンチ5による成形体取り出し手段に代えて左パンチ3(または右パンチ4)方向に抜き出すように左パンチ3と右パンチ4とで成形体を挟みながら取り出す方法もある。あるいは、下部金型2を左パンチ3,右パンチ4と垂直方向に分割できるように構成し、電磁チャックやエアチャック等で吸着して取り出す方法もある。
【0027】
また、前記成形装置には、図1においては図示を省略するが、鉛直方向に磁界を印加する磁界発生用コイルが設置されており、成形の際に成形体には鉛直方向に磁界が印加される。成形の際には、前記左パンチ3及び右パンチ4によって加圧力が水平方向に加わることから、磁界印加方向と圧粉方向が直交する直交磁界成形法により成形が行われることになる。
【0028】
前述の金型構造において、成形用粉末である希土類磁石原料粉は、上部金型1を上昇させ、下部金型2のスライド溝2aと左パンチ3、右パンチ4で構成される空間(金型キャビティ)内に充填することになるが、その開口部の面積は、成形体の主面に対応して広く取ることができ、充填を容易に行うことができる。このとき、前記金型キャビティ内への成形用粉末の供給は、粉末供給装置の筐体部に相当するフィーダボックスによって行われるが、適正なすり切り充填を行わないと場所により密度差が生じ、クラック等の原因となる。
【0029】
そこで次に、前記金型キャビティ内へ成形用粉末の充填を行う粉末供給装置及び粉末供給方法について説明する。
【0030】
図2(a)及び図2(b)は、フィーダボックス11による前記金型キャビティ12内への成形用粉末(例えば磁石原料粉末)の充填の様子を模式的に示すものである。フィーダボックス11の底面は開放されており、フィーダボックス11を前記金型キャビティ12に対して往復動させると、この開放された底面からフィーダボックス11内の成形用粉末が重力によって金型キャビティ12内へ落下し、充填が行われる。なお、前記フィーダボックス11の往復動に際しては、前記往復動方向と直交する方向の振動(横振動)をフィーダボックス11の筐体部に重畳することも可能である。あるいは、フィーダボックス11の成形用粉末供給空間内に設置した撹拌手段や仕切り板等で成形用粉末の流動を起こしてもよい。
【0031】
ただし、特に金型キャビティ12の深さが浅い場合においては、前記フィーダボックス11の往復動の際のすり切り状態が成形用粉末の充填状態に影響を及ぼす。そこで、本発明においては、フィーダボックス11の往復動の際に、フィーダボックス11の底部の開口部の後端が金型キャビティ12の往復動方向における両端部上を通過するように往復動させ、金型キャビティ12の両方の端部に対してフィーダボックス11の両側縁で均等にすり切りが行われるようにする。
【0032】
フィーダボックス11で前記均等なすり切りを行うためには、先ず、フィーダボックス11の開口部の往復動方向における開口寸法dを小さくする必要がある。具体的には、金型キャビティ12の前記往復動方向における開口寸法D以下とする。好ましくは、フィーダボックス11の開口部の前記往復動方法における開口寸法dと前記金型キャビティの前記往復動方法における開口寸法Dの比d/Dが0.1〜1.0となるように設定する。前記比d/Dが0.1未満では成形用粉末供給空間に十分な量の成形用粉末を収納できなくなり、また成形用粉末が落下しなくなる(目詰まりする)おそれもある。逆に、前記比d/Dが1.0を越えると、フィーダボックス11の筐体部の往復動のストロークが長くなり装置の大型化に繋がる。フィーダボックス11の開口部の開口寸法dを前記範囲内に設定することにより、フィーダボックス11のストロークをあまり大きくしなくても、金型キャビティ12の両方の端部に対して均等なすり切りが可能になる。
【0033】
図3及び図4は、本発明の粉末供給方法におけるフィーダボックス11の一連の動作を説明するものである。成形用粉末の金型キャビティ12内へのすり切り充填に際しては、図2に示す状態から、フィーダボックス11が矢印方向(図中、左方向)へ前進し、図3(a)及び図4(a)に示すように、先ず、フィーダボックス11の開口部の前端側のエッジ(端部)11aが金型キャビティ12の一方の端部12a上を通過する。さらにフィーダボックス11が前進すると、図3(b)及び図4(b)に示すようにフィーダボックス11の後端側のエッジ11bが前記金型キャビティ12の一方の端部12a上を通過し、次いで図3(c)及び図4(c)に示すようにフィーダボックス11の前端側のエッジ11aが前記金型キャビティ12の他方の端部12b上を通過し、最終的には、図3(d)及び図4(d)に示すようにフィーダボックス11の後端側のエッジ11bが前記金型キャビティ12の他方の端部12b上を通過する。
【0034】
次に、フィーダボックス11の後退動作に移るが、フィーダボックス11の後退の際には、先ず、フィーダボックス11が矢印方向(図中、右方向)へ後退を開始すると、図3(e)及び図4(e)に示すように、先ず、フィーダボックス11の開口部の後端側のエッジ11bが金型キャビティ12の一方の端部12b上を通過する。さらにフィーダボックス11が後退すると、図3(f)及び図4(f)に示すようにフィーダボックス11の前端側のエッジ11aが前記金型キャビティ12の一方の端部12b上を通過し、次いで図3(g)及び図4(g)に示すようにフィーダボックス11の後端側のエッジ11bが前記金型キャビティ12の他方の端部12a上を通過し、最終的には、図3(h)及び図4(h)に示すようにフィーダボックス11の前端側のエッジ11aが前記金型キャビティ12の他方の端部12a上を通過する。
【0035】
実際のすり切り充填に際しては、前記図2を開始位置として図3及び図4に示す動作[すなわち図2(a)〜図3、若しくは図2(b)〜図4に示す動作]を複数回行うことが好ましく、前記往復動方向における開口寸法dと前記金型キャビティの前記往復動方向における開口寸法Dの比d/Dや成形用粉末の性状によって任意に設定すればよい。1回では均等なすり切り充填が行われない場合もあり、2回以上、多くとも6〜7回程度行えば均等なすり切り充填が可能となるためである。例えば図2(a)〜図3若しくは図2(b)〜図4に示す往復動を3〜5回行うことで金型キャビティ12内への成形用粉末の充填を行う。以上のフィーダボックス11の動作においては、フィーダボックス11の各往復動の際に、フィーダボックス11の前端側のエッジ11a,後端側のエッジ11bの双方が、金型キャビティ12の前記往復動方向における両端部12a,12b上を同一回数ずつ通過することになり、前記両端部12a,12bにおいて均等なすり切り充填が行われる。したがって、金型キャビティ12内で充填された成形用粉末に密度差が生ずることがなく、クラックの発生を解消することが可能となる。
【0036】
図5は、前記粉末供給に用いられるキャビティボックスの一例を示すものである。このキャビティボックス21は、外枠部22と仕切り板23とから構成されており、外枠部22の前端側の側壁22aと前記仕切り板23の間の空間24が成形用粉末収容空間となる。したがって、前記外枠部22の前端側の側壁22aと前記仕切り板23の間隔によってフィーダボックス21の開口部の往復動方向における開口寸法dが決まることになる。
【0037】
ここで、開口寸法調整機構として前記仕切り板23はシャフト25によって背面側が支持され、移動可能とされている。すなわち、ネジ26を緩めて固定部27を開放し、前記シャフト25を操作することにより、前記外枠部22の前端側の側壁22aとの間隔を調整することが可能である。前記の通り、前記外枠部22の前端側の側壁22aと前記仕切り板23の間隔によってフィーダボックス21の開口部の往復動方向における開口寸法dが決まることから、フィーダボックス21が前記仕切り板23を可動仕切り板として備えることにより、前記調整により開口寸法dを調整することが可能となり、多様な寸法の金型キャビティに対して、フィーダボックスの開口部の往復動方向における開口寸法dを金型キャビティの前記往復動方向における開口寸法D以下とすることが可能となる。
【0038】
前述の粉末供給装置、粉末供給方法、さらには成型装置、成型方法を用いた成形は、例えば希土類焼結磁石の製造に際して、希土類合金原料粉末の成形に適用して好適である。そこで次に、希土類焼結磁石の製造方法について説明する。
【0039】
ここで製造対象となる希土類焼結磁石は、希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを主成分とするものであり、磁気特性に非常に優れることから、各種デバイスに用いた場合、その小型化、高性能化を実現することができる。
【0040】
製造する希土類焼結磁石の磁石組成は特に限定されず、用途等に応じて任意に選択すればよい。例えば、希土類元素Rとは、具体的にはY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb又はLuのことをいい、これらの中から1種又は2種以上を選択して用いることができる。中でも、資源的に豊富で比較的安価であることから、希土類元素Rとしての主成分をNdとすることが好ましい。また、遷移金属元素Tは、従来から用いられている遷移金属元素をいずれも用いることができ、例えばFe、Co、Ni等から1種又は2種以上を用いることができる。これらの中では、焼結性の点からFe、Coが好ましく、特に磁気特性の点からFeを主体とすることが好ましい。また、前記希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bの他、例えば、Al、Cu、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を7000ppm以下、さらには5000ppm以下とすることが望ましい。
【0041】
勿論、これら組成に限らず、希土類焼結磁石として従来公知の組成全般に適用可能であることは言うまでもない。
【0042】
前述の希土類焼結磁石を製造するには、粉末冶金法が採用される。粉末冶金法による希土類焼結磁石の製造プロセスは、基本的には、合金化工程、粗粉砕工程、微粉砕工程、磁場中成形工程、焼結工程、時効工程、加工工程、及び表面処理工程とにより構成される。なお、酸化防止のために、時効後までの各工程は、ほとんどの工程を真空中、あるいは非酸化性ガス雰囲気中(窒素雰囲気中、Ar雰囲気中等)で行う。
【0043】
合金化工程では、原料となる金属、あるいは合金を磁石組成に応じて配合し、真空あるいは不活性ガス、例えばAr雰囲気中で溶解し、鋳造することにより合金化する。鋳造法としては、溶融した高温の液体金属を回転ロール上に供給し、合金薄板を連続的に鋳造するストリップキャスト法(連続鋳造法)が生産性等の観点から好適であるが、それに限られるものではない。原料金属(合金)としては、純希土類元素、希土類合金、純鉄、フェロボロン、さらにはこれらの合金等を使用することができる。
【0044】
合金は、ほぼ最終磁石組成である単一の合金を用いても良いし、最終磁石組成になるように、組成の異なる複数種類の合金を混合しても良い。混合は、合金・原料粗粉・原料微粉のどの工程でもよいが、混合性を考慮すると合金での混合が望ましい。
【0045】
粗粉砕工程では、先ず、鋳造した原料合金の薄板、あるいはインゴット等をある程度粉砕して、合金塊とし、水素吸蔵に供する。合金塊の寸法、形状に特に制限はないが、5〜100mm角程度とすることが好ましい。この粉砕は、例えばジョークラッシャ等により行えばよい。
【0046】
次に、前記合金塊に対して水素吸蔵させ、粉砕を行う。原料合金塊に水素を吸蔵させると、相によって水素吸蔵量が異なり、これにより表面から自己崩壊的に粉砕が進行する。粗粉砕工程では、前記水素吸蔵処理の後、熱処理により合金粉末の脱水素を行い、脱水素後の合金粉末を冷却して取り出す。
【0047】
前述の粗粉砕工程が終了した後、通常、粗粉砕した原料合金粗粉に粉砕助剤を添加する。粉砕助剤としては、例えば脂肪酸系化合物等を使用することができる。粉砕助剤の添加量としては、0.03〜0.4質量%とすることが好ましい。この範囲内で粉砕助剤を添加した場合、希土類焼結磁石の磁気特性の低下を抑制させつつ、粉砕性や成形性を向上させることができる。
【0048】
粗粉砕工程の後、微粉砕工程を行う。微粉砕工程は、例えばジェットミルを使用した気流粉砕により行われる。微粉砕の際の条件は、用いる気流式粉砕機に応じて適宜設定すればよく、原料合金粉末を平均粒径が1〜10μm程度、例えば2〜6μmとなるまで微粉砕する。ジェットミルは、高圧の不活性ガス(例えば窒素ガス)を狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速の搬送ガス流により粉体の粒子を加速し、粉体の粒子同士の衝突や、衝突板あるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。ジェットミルは、一般的に、流動層を利用するジェットミル、渦流を利用するジェットミル、衝突板を用いるジェットミル等に分類される。その他、トルエン等の溶媒を用い、ボールミルやアトライタ等による湿式粉砕にて微粉砕を行っても良い。その場合、溶媒を気化させる乾燥工程が必要となる。
【0049】
以上の微粉砕工程の後、磁場中成形工程において、希土類合金原料粉末を磁場中にて成形する。この成形工程は、図2に示すフィーダボックス11を備え、且つ図1に示すような構成を有する成形装置を用いて行う。具体的には、微粉砕工程にて得られた希土類合金原料粉末を、前記フィーダボックス11を用いて磁界発生用コイルを配置した金型キャビティ12内に充填し、磁場印加によって結晶軸を配向させた状態で磁場中成形する。磁場中成形は、平行磁界成形、直交磁界成形のいずれであってもよい。この磁場中成形は、例えば400〜1600kA/mの磁場中で、30〜300MPa前後の圧力で行えばよい。磁場配向にはパルス磁界を用いても良く、また静磁界とパルス磁界の組み合わせでも良い。パルス磁界としては2400kA/m以上が望ましい。
【0050】
希土類合金原料粉末の充填に際しては、前記フィーダボックス11を図2〜図4に示すように往復動させ、フィーダボックス11の底面の開口部から金型キャビティ12内へと希土類合金原料粉末を充填する。充填は、重量による自然落下により行う。充填に際しては、フィーダボックス11の前端側のエッジ11a,後端側のエッジ11bの双方が、金型キャビティ12の前記往復動方向における両端部12a,12b上を同一回数ずつ通過するようにし、前記金型キャビティ12の両端部12a,12bにおいて均等なすり切り充填が行われるようにする。
【0051】
前記成形工程において、本発明の粉末供給装置及び粉末供給方法を適用することにより、密度バラツキを抑制することができ、結果としてカケやクラック等の不具合の発生を低減することが可能である。また、前記密度バラツキの抑制により焼結後の焼結体の変形も抑制することができ、その後の加工工程の負荷低減にも繋がる。前記粉末供給装置及び粉末供給方法の適用は、特に薄型の磁石を成形する場合に有効であり、例えば金型キャビティ12の開口面が50mm×50mmを想定したとき、その深さが20mm以下の場合、すなわち厚さ20mm以下の成形体を成形する場合において、良好な結果をもたらす。
【0052】
前記充填の後、加圧成形を行って成形体を成形し、さらに、焼結工程・時効工程において、成形体に対して焼結及び時効処理を実施する。すなわち、焼結工程は希土類合金微粉を磁場中成形後、成形体を真空または非酸化性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、粒度と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、例えば1000〜1150℃で5時間程度焼結すればよく、焼結後、急冷することが好ましい。焼結後、得られた焼結体に時効処理を施すことが好ましい。この時効工程は、得られる希土類焼結磁石の保磁力Hcjを制御する上で重要な工程であり、例えば非酸化性ガス雰囲気中あるいは真空中で時効処理を施す。時効処理としては、2段時効処理が好ましく、1段目の時効処理工程では、800℃前後の温度で1〜3時間保持する。次いで、室温〜200℃の範囲内にまで冷却する第1冷却工程を設ける。2段目の時効処理工程では、600℃前後の温度で1〜3時間保持する。次いで、室温まで冷却する第2冷却工程を設ける。600℃近傍の熱処理で保磁力Hcjが大きく増加するため、時効処理を一段で行う場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
【0053】
前記焼結工程・時効工程の後、加工工程及び表面処理工程を行う。加工工程は、所望の形状に機械的に加工する工程である。表面処理工程は、得られた希土類焼結磁石の酸化や表面の脱落を抑えるために行う工程であり、例えばメッキ被膜や樹脂被膜を希土類焼結磁石の表面に形成する。
【実施例】
【0054】
以下、本発明の具体的実施例について、実験結果を基に説明する。
【0055】
実施例
組成がNd30重量%−Dy2重量%−B1重量%−Co0.5重量%−残部Feとなるように合金を溶解し、水素吸蔵・放出による粗粉砕及び窒素ガスを用いたジェットミルによる微粉砕を行って材料微粉末(原料粉)を得た。これに添加剤を加え、図1に示す成形装置を用いて成形した。
【0056】
成形に際しては、下部金型と左右パンチからなる金型空間に、図2〜図4に示すフィーダボックスの動作により往復動を3回行い前記原料粉をすり切り充填した。なお、金型空間は、前記フィーダボックスの往復動方向の開口寸法Dが42.3mm、幅が70mm、深さが4.4mmとした。また、前記フィーダボックスは、前記往復動方向の開口寸法dが21.2mm、幅が80mmとした。したがって、フィーダボックスの開口部の前記往復動方法における開口寸法dと前記金型空間(金型キャビティ)の前記往復動方法における開口寸法Dの比d/Dは、0.5である。
【0057】
原料粉の充填の後、上部金型を下降させ、次いで左右パンチにより圧粉し、磁界を印加しながら直交磁界成形を行った。成形時の印加磁界強度は1.5Tとし、左右パンチの圧粉の圧力は150MPaとし、42.3mm×35.2mm×4.4mm(磁場配向方向)の成形体を得た。得られた成形体においては、充填密度のバラツキが解消され、クラック不良に伴う歩留まりの低下はほとんどなく、成形歩留まりはほぼ100%であった。
【0058】
比較例
実施例と同様の成形装置を用い、フィーダボックスの往復動方向の開口寸法dを63.5mmとし、フィーダボックスの後端側のエッジが金型空間を完全に通りすぎる手前の位置までで往復動を行い、原料粉のすり切り充填を行った。この場合、フィーダボックスの開口部の前記往復動方法における開口寸法dと前記金型空間(金型キャビティ)の前記往復動方法における開口寸法Dの比d/Dは、1.5である。
【0059】
原料粉の充填の後、実施例と同様、直交磁界成形を行って、42.3mm×35.2mm×4.4mm(磁場配向方向)の成形体を得た。得られた成形体においては、充填密度のバラツキが発生し、成形歩留まりは5%であった。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】成形装置の一例を示す概略斜視図である。
【図2】粉末供給装置(フィーダボックス)の一例を示すものであり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図3】フィーダボックスの一連の動作を模式的に示す側面図である。
【図4】フィーダボックスの一連の動作を模式的に示す平面図である。
【図5】開口寸法が変更可能なフィーダボックスの一例を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 上部金型、2 下部金型、2a スライド溝、2b 底面、3 左パンチ、4 右パンチ、5 下パンチ、5a 上面、11,21 フィーダボックス、11a,11b エッジ、12 金型キャビティ、12a,12b 端部、22 外枠部、23 仕切り板、24 空間、25 シャフト、26 ネジ、27 固定部




 

 


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