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発明の名称 スチールコードおよびゴム複合体の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−90547(P2007−90547A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−279817(P2005−279817)
出願日 平成17年9月27日(2005.9.27)
代理人 【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作
発明者 大沢 隆蔵
要約 課題
加硫反応および接着反応の同期化によってコードとゴムとの界面での確実な接着を実現した、コードおよびゴム複合体を提供する。

解決手段
周面にブラスめっきを施したスチールワイヤの複数本からなるスチールコードを生ゴムで被覆したのち、加硫処理を施して該スチールコードとゴムとを接着一体化してスチールコードおよびゴム複合体を製造するに当り、ゴムの加硫が開始する以前の段階において、スチールコードとゴムとの境界面に存在する、接着前駆体のCuxS粒子径を40nm以下にし、その個数を1000個/μm2以上に制御し、その後加硫処理を施す。
特許請求の範囲
【請求項1】
周面にブラスめっきを施したスチールワイヤの複数本からなるスチールコードを生ゴムで被覆したのち、加硫処理を施して該スチールコードとゴムとを接着一体化してスチールコードおよびゴム複合体を製造するに当り、ゴムの加硫が開始する以前の段階において、スチールコードとゴムとの境界面に存在する、径が40nm以下のCuxS粒子を1000個/μm2以上に制御し、その後加硫処理を施すことを特徴とするスチールコードおよびゴム複合体の製造方法。
【請求項2】
前記スチールコードとゴムとの境界面に存在する、径が40nm以下のCuxS粒子を2500個/μm2以上に制御することを特徴とする請求項1に記載のスチールコードおよびゴム複合体の製造方法。
【請求項3】
前記スチールコードとゴムとの境界面に存在するCuxS粒子の60%以上が10nm以下の径のCuxS微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載のスチールコードおよびゴム複合体の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチールコードおよびゴム複合体、例えばトラック・バス用タイヤ、乗用車用タイヤおよびライトトラック用タイヤに代表されるラジアルタイヤのベルトやカーカスに適用される、スチールコードおよびゴム複合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジアルタイヤでは、ブラスめっきを施したスチールワイヤの複数本を撚り合わせたスチールコードをゴムに接着させたものを、ベルトやカーカス用のプライに適用して、タイヤ補強材としての機能を発揮させている。この機能を十分に発揮させるためには、スチールコードとゴムとが強固に接着されていることが肝要であり、両者間で優れた接着性を維持する観点から、ブラスめっきを施したワイヤの表面構造を精密に調整すること(特許文献1参照)、さらにゴムの接着プロモーター、架橋剤および加硫促進剤の種や量を最適化する方策などが採られている。
【特許文献1】特開平6−49783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、加硫反応と接着反応は、競合関係であると同時に相補的な関係にもあり、両反応の同期化こそがスチールコードおよびゴム複合体の接着にとって重要な制御指針とされている。
【0004】
しかしながら、接着反応の追跡はゴムとコードの破壊試験を通じてしか評価出来ないため、常に加硫ゴムの特性に影響される。例えば、架橋ゴムの強力が小さければ、接着の完成度が低くても見かけ上、剥離後のゴム付きが多くなり、接着性が良好になったかのような現象が生じることもあるし、初期接着に於いて100%のゴムつきを示す二つの複合体でも、本質的に接着性が同じである保証は全くない。また、外部から腐食ガス成分が進入したとき両者のゴム付きに差異が生じたとしても、ゴムの劣化特性によって差異が生じたのか、或いは接着界面の劣化によって差異が発生したのかの判断もできていない。
【0005】
そこで、本発明は、加硫反応および接着反応の同期化によってコードとゴムとの界面での確実な接着を実現した、コードおよびゴム複合体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明者は、コード表面のブラスめっきの組成とゴム組成物とを個別に最適化する従来の手法から脱却し、広くスチールコードおよびゴム複合体の接着完成度を、従来の加硫接着物の破壊試験による評価でなく、ゴムの加硫とは独立した尺度、即ち接着反応をべ一スに複合体のコードとゴムとの界面の接着性を直接的に評価することによって、該界面での接着完成度を確実に高める手段を見出し、複合体の特に耐久接着性が向上する方策を生み出した。
【0007】
すなわち、上記課題を解決するために、各種条件で伸線したワイヤを撚り合わせたコードと、接着プロモータや加硫剤の種と量を変更したゴムとを組み合わせた複合体について、様々な加硫温度を想定し、加硫時の前駆体の形成プロセスを詳細に追跡する中で、ゴムの加硫が開始する以前に接着反応の前躯体として発生する粒径の小さいCuxSが一定以上の個数でコード表面を均一に覆っていれば、スチールコードとゴム組成物との界面での接着完成度が高まり、ひいては耐久接着も向上することを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
本発明の要旨は次の通りである。
(1)周面にブラスめっきを施したスチールワイヤの複数本からなるスチールコードを生ゴムで被覆したのち、加硫処理を施して該スチールコードとゴムとを接着一体化してスチールコードおよびゴム複合体を製造するに当り、ゴムの加硫が開始する以前の段階において、スチールコードとゴムとの境界面に存在する、径が40nm以下のCuxS粒子を1000個/μm2以上に制御し、その後加硫処理を施すことを特徴とするスチールコードおよびゴム複合体の製造方法。
【0009】
(2)前記スチールコードとゴムとの境界面に存在する、径が40nm以下のCuxS粒子を2500個/μm2以上に制御することを特徴とする上記(1)に記載のスチールコードおよびゴム複合体の製造方法。
【0010】
(3)前記スチールコードとゴムとの境界面に存在するCuxS粒子の60%以上が10nm以下の径のCuxS微粒子であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のスチールコードおよびゴム複合体の製造方法。
【0011】
ここで、ゴムの加硫が開始する以前の段階とは、図1に加硫時間とレオメーターによるトルクとの関係を示すように、ゴム組成物の加硫特性についてレオメーターを用いて加硫曲線を測定したとき、その最大トルクFmax.の0.1倍のトルクを示す時間T0.1は架橋反応の開始の目安であり、この時間T0.1を加硫開始点と見做すことができるため、この加硫開始点T0.1を境とする前段階を意味する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ゴムの加硫が開始する以前の段階において、コードとゴムとの界面について、接着反応の前駆体であるCuxS粒子の存在形態を制御することによって、コードとゴムとの界面での確実な接着が実現されるため、特に耐久接着に優れたコードおよびゴム複合体を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
さて、スチールコードおよびゴムの接着反応は、スチールコード表面のブラスめっき中の銅(Cu)とゴム組成物中の硫黄(S)とがそれら界面にてCuxSを形成する界面反応であるが、硫黄はゴムの架橋反応にも使われるため、硫黄の消費を両反応で競合する結果如何によって、接着の良し悪しが決まる。一方で、ゴムとCuxSとは、直接結合もしくは3次元的なインターロックを介して直接接着するために、上記界面反応と架橋反応とは、それぞれ全く独立に進行して良い反応でもない。従って、架橋反応は、加硫反応と何らかの同期化が必要とされるのである。つまり、スチールコードとゴムの接着を考える場合、まず、めっき表面に新たに生成するCuxSは加硫反応の前段階でエピタキシャルな界面成長が必要であり、次にCuxSの積層成長と架橋反応が同期化しながら進行するのが望ましいことを意味している。従って、接着前駆体こそがキーポイントになる事が予測できる。
【0014】
即ち、接着前駆体は、めっきおよびCuxS間の密着性やエピタキシャルな接合を可能にするばかりでなく、その後のCuxSの積層・成長反応とゴムの架橋との兼ね合いにも影響を与え、直接結合や3次元架橋体のインターロックの基本となる極めて重要な役割を持つことになる。
【0015】
近年の電子顕微鏡、特に走査型電子顕微鏡の進歩は著しく、めっき表面の微細構造をnmのオーダーで観察することを可能にしている。そこで、この走査型電子顕微鏡を用いて、上記の接着前駆体に関する予測を踏まえ、スチールコードおよびゴムの界面において、加硫や接着開始以前(加硫開始点T0.1前段)のプロセスに注目してコードめっき表面の生成物を詳細に解析し、前駆体としてCuxSがどの様に発生するかを直接的に観察したところ、この成長速度と形態が複合体の接着速度と接着の完成度を決定している事を見出した。
【0016】
すなわち、耐久接着性に優れることが確認されている複合体および耐久接着性に劣ることが確認されている複合体について、上記加硫開始点T0.1前段でのコードおよびゴムの界面を走査型電子顕微鏡で観察した。まず、耐久接着性に優れた複合体の界面の走査型電子顕微鏡写真を、図2に示すように、接着前駆体として微細なCuxSが大量かつ緻密に発生成長していることがわかる。一方、耐久接着性に劣る複合体の界面の走査型電子顕微鏡写真を、図3に示すように、図2の場合と比較して大径のCuxS粒子が分散して生成していることがわかる。
【0017】
さらに、耐久接着性が改善される接着前駆体に関する条件を究明したところ、図4に耐久接着性に優れる複合体におけるめっき表面に生成する前躯体CuxS粒子の最大粒子径と生成個数との関係を示すように、上記加硫開始点T0.1前段でのコードとゴムとの境界面に存在するCuxS粒子は径が40nm以下であること、さらにCuxS粒子が1000個/μm2以上は存在すること、が極めて重要であるとの知見を得た。
【0018】
すなわち、接着完成度を大幅に改良するためには、上記の接着前駆体、つまり径が40nm以下のCuxS粒子が加硫反応の立ち上がりの目安である加硫開始点T0.1までに発生そして成長していることが重要である。この加硫開始点T0.1までに前駆体の発生がなされない場合には、加硫(接着)時間を幾ら長くしても100%の初期接着を得ることはできない。
【0019】
前駆体は、必ずしも均一な粒子で形成される必要はないが、微細な形態で成長するように制御する事が肝要である。ここで、前駆体としてのCuxS粒子の径は、40nm以下とする。なぜなら、最大粒径が40nmを超えると急激に生成個数が減少し、実質的には前躯体が発生しない状況に到るからである。
【0020】
また、径が40nm以下のCuxS粒子は1000個/μm2以上は存在する必要がある。すなわち、めっき表面におけるCuxS粒子の最密充填を仮定した時、平均径40nmの粒子であれば625個で全表面が覆われることになるため、それ以上の個数が発生していれば加硫反応と競合しても全面CuxSで覆われることになるからである。
【0021】
さらに、上記加硫開始点T0.1前段でのコードおよびゴムの界面に、径が10nm以下のCuxS粒子が2500個/μm2以上で存在させることが好ましい。かように上記加硫開始点T0.1前段でのコードおよびゴムの界面を調整することによって、接着速度の著しい向上と併せて、耐久接着の大幅な改善も可能になる。
【0022】
ここで、スチールコードとゴムとの境界面に存在する、径が40nm以下のCuxS粒子を1000個/μm2以上に制御するには、例えばコード表面に関しては、接着反応の阻害となる要因を排除することが肝要である。たとえば、表面に存在する潤滑剤由来のリン酸被膜を均一に、完全に取り除くこと、またゴム組成物に関しては加硫開始時点(T0.1)までにコード表面の接着反応阻害物質を、溶解させる配合剤を適量で含有させることが適合する。複合体に於いてはこの両者の効果を組合せ、更なる相乗効果を生み出すことができる。
【0023】
ちなみに、通常のタイヤ製造条件における、径が40nm以下のCuxS粒子の存在個数は、500個/μm2以上1000個/μm2未満である。
【0024】
なお、スチールコードとしては、1×Nおよび1+N(N:1〜6)や、2+Nなどの乗用車向けタイヤのベルトに活用されるコードへの適用が望ましい。
【0025】
また、加硫開始点T0.1以前の段階でのCuxS粒子の存在形態を制御したならば、その後の加硫処理はタイヤ製造における通常の条件に従うものでよい。
【実施例】
【0026】
以下に、本発明方法の具体例について、現実に使用されているブラスめっきワイヤによるコードおよび実用配合ゴムの複合体と対比して、詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施例に制限されるものではない。
【0027】
表1に示す仕様のスチールコードおよびゴムを組み合わせて複合体を製造する際、加硫処理に先立つ種々の処理にて、加硫開始点T0.1前段でのコードおよびゴムの界面におけるCuxS粒子の存在形態を表1に示すように制御した。
【0028】
かくして得られた複合体について、初期接着性並びに耐久接着性を調査した。その結果を、表1に併記する。
ここで、初期接着性は、乗用車用タイヤ製造時の加硫温度および時間の一般に対応する条件の下で加硫接着させた複合体について、JIS G 3510(1992)の参考に規定されたゴム接着試験方法に準拠してコード/ラバー接着(Cord-Rubber Adhesion)テストを行って評価した。その結果を、剥離後のゴム被覆率で示してある。
【0029】
また、耐久接着性は、初期接着に供した試料を湿度90%および温度75℃の条件の下で劣化処理を施して、上記CRAテストにてゴム被覆率が50%にまで低下するまでの時間を測定し、比較例1の測定値を100としたときの相対指数で表したものである。この数値が大きいほど、耐久接着性に優れることを示している。
【0030】
なお、表1に示したコード表層の燐量は、X線光電子分光法(XPS)を用いてコードのブラスめっき表面のP量をアトミック%で定量した数値である。
【0031】
【表1】


【0032】
発明例1は、コードにダイヤダイス伸線で表面燐酸量を低減したワイヤを適用し、このコードに、接着プロモーターとしてコバルト塩の他にレゾルシンを配合したゴムを組み合わせた、複合体の事例であり、従前の典型例である比較例1対比で、接着前駆体の個数が著しく増大し、かつ前駆体の粒子径も極めて微粒で緻密に揃っている結果、特に耐久接着が2倍にも向上した。
【0033】
一方、比較例2及び3は、ワイヤのブラス組成を高Cu化した事例である。一般に、高Cu濃度のブラスでは、初期接着性は改善されるが耐久接着に劣ることが知られているが、何故なのかの解明はなされていなかった。ここに、発明例2および3との比較から明らかなように、接着前駆体の生成量が多いけれども、全粒子数に対する10nm以下の微粒子の比率が50%および40%と低く、粗い形態をもつためであることが判る。
【0034】
比較例4は、ブラス組成中のCu濃度を低下させたときの事例であり、一般にはCu濃度が低いうえ、亜鉛と反応した燐酸被膜が多いために接着速度が遅く、実用の加硫条件を満足させない。しかし、発明例4および5に示すように、レゾルシンのような配合剤、即ち潤滑剤由来の燐酸被膜を溶解させる能力を持つ物質を配合することによって、接着反応を一定の範囲で速めることができ、実用の加硫時間で充分な初期接着性を確保可能になり、しかも接着前駆体の粒子径を小さく揃えた緻密な形態を生み出すことができるため、耐久接着性は大幅に改良される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】加硫時間とレオメーターによるトルクとの関係からゴム組成物の加硫特性に於けるT0.1を定義した図である。
【図2】耐久接着性に優れた複合体の界面の走査型電子顕微鏡写真で、微細な前駆体が生成した事例である。
【図3】耐久接着性に劣る複合体の界面の走査型電子顕微鏡写真で、粗い前駆体が生成した事例である。
【図4】接着前駆体の最大粒子径と生成個数との関係を示す図である。




 

 


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