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発明の名称 タイヤ加硫成型金型及び加硫成型方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−50596(P2007−50596A)
公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
出願番号 特願2005−237185(P2005−237185)
出願日 平成17年8月18日(2005.8.18)
代理人 【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
発明者 小川 裕一郎
要約 課題
コア加硫成型方法による加硫成型時に、内型の構造を複雑化させることなくキャビティ容積の減少量を従来よりも少なくし、内型の変形やゴムのはみ出しによるバリの発生を抑制する。

解決手段
タイヤの内面形状を規定する内型3を、鋳造可能な鉄・ニッケル系合金等の従来の鉄やアルミニウムよりも熱膨張係数の小さな材料で形成する。これにより、加硫成型時の温度上昇に伴う内型3の熱膨張量を少なくして、外型2の内面と内型3の外面間に形成されるキャビティ4の昇温による容積の減少量を少なくし、キャビティ4内に収納するグリーンタイヤ5の圧力上昇を抑制し、各金型2、3が受ける圧力を小さくする。
特許請求の範囲
【請求項1】
タイヤの内面形状を規定する剛体の内型と、前記タイヤの外面形状を規定する剛体の外型とを備え、前記内型の外面と前記外型の内面との間に形成されるキャビティ内にグリーンタイヤを収納して加硫成型するタイヤ加硫成型金型であって、
前記内型が、20℃〜200℃における熱膨張係数が0.6×10−6以上5×10以下の材料からなることを特徴とするタイヤ加硫成型金型。
【請求項2】
請求項1に記載されたタイヤ加硫成型金型において、
前記内型は、鋳造可能な鉄・ニッケル系合金からなることを特徴とするタイヤ加硫成型金型。
【請求項3】
タイヤの内面形状を規定する剛体の内型と、前記タイヤの外面形状を規定する剛体の外型とを備え、前記内型の外面と前記外型の内面との間に形成されるキャビティ内にグリーンタイヤを収納して加硫成型するタイヤ加硫成型方法であって、
前記内型を20℃〜200℃における熱膨張係数が0.6×10−6以上5×10−6以下の材料で形成し、
該内型上にグリーンタイヤを形成する工程と、
前記外型と前記内型とを組み合わせてキャビティを形成し、前記グリーンタイヤを前記キャビティ内に収納する工程と、
前記キャビティ内で前記グリーンタイヤを加硫成型する工程と、
を有することを特徴とするタイヤ加硫成型方法。
【請求項4】
請求項3に記載されたタイヤ加硫成型方法において、
前記内型上に形成したグリーンタイヤを前記内型とともに加硫温度以下の所定温度まで予熱する工程と、
前記キャビティに収納した前記グリーンタイヤを所定の加硫温度まで加熱する工程とを有し、
前記キャビティを形成する前の前記外型を前記所定の加硫温度に保持しておくことを特徴とするタイヤ加硫成型方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤの製造装置及び製造方法に関し、特に、コア加硫成型方法による加硫成型時に、内型の変形やゴムのはみ出しを防止するタイヤ加硫成型金型及び加硫成型方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、一般に、未加硫ゴム等からなる各種のタイヤ構成部材を組み合わせて未加硫のグリーンタイヤ(生タイヤ)を成型し、加硫成型して所定の形状に成型される。従来、寸法精度の高い空気入りタイヤの製造方法として、タイヤの内面形状を規定する剛体の内型(コア)上にグリーンタイヤを形成した後、それらをタイヤの外面形状を規定する剛体の外型内に配置して加硫成型を行う、いわゆるコア加硫成型方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
図6は、このコア加硫成型方法に用いられるタイヤ加硫成型金型の要部断面図である。
この従来の加硫成型金型80は、図示のように、タイヤの内側表面を成型する複数のセグメントからなる内型81と、タイヤの外側表面を成型する複数のセグメント86からなる外型85とを備える。内型81の外面82は、成型するタイヤの内面形状に対応した形状に形成され、その内部83は、加硫成型時に加熱・加硫媒体を封入又は循環させるため中空構造になっている。一方、外型85の内面87は、成型するタイヤのトレッドパターン等の外面形状に対応した形状に形成されており、これら内型81と外型85が組み合わさって、それらの間に製品タイヤの形状と略同一形状の空隙(キャビティ)88が形成される。
【0004】
このような加硫成型金型80を用いて製品タイヤを製造する場合には、まず、複数のセグメントを組み立てて内型81を形成し、その外面82上にカーカスプライやベルト、トレッドゴム等のタイヤ構成部材を順次貼り合わせて製品タイヤの最終形状に近いグリーンタイヤを成型する。次に、このグリーンタイヤを内型81とともにゴムの加硫が始まらない所定温度(100℃前後)まで予熱する。この時、外型85は、所定の加硫温度(180℃前後)まで昇温して保持しておく。次に、グリーンタイヤの周りに外型85を構成する各セグメント86を順次配置し、内型81と外型85を合体させて加硫成型金型80を閉止し、キャビティ88内にグリーンタイヤを収納する。その後、内型81の内部83等に加熱・加硫媒体を封入又は循環させて加硫成型し、所定形状の製品タイヤを製造する。
【0005】
加硫成型終了後は、各セグメント86を開いて内型81と一体化した加硫済みタイヤを外型85から取り出し、内型81を構成するセグメントを分解して加硫済みタイヤから内型81を分離する。新たにタイヤを成型する場合には、室温付近まで冷却した内型81を再度組み立てて上記した手順を繰り返す。
【0006】
以上説明したコア加硫成型方法によれば、タイヤの最終形状を規定する各金型81、85が全て剛体からなるため形状・寸法の精度が高く、膨張可能なブラダー等を用いた従来の方法で製造されるタイヤに比べて、ユニフォーミティに優れた空気入りタイヤを製造することができる。
【0007】
しかしながら、この従来の加硫成型金型80では、以下で説明するように、加硫成型時に内型81が変形・破損したり、或いは各金型81、85間や各セグメント86間に大きな隙間が生じたり、その隙間から未加硫ゴムがはみ出してバリが発生したりすることがある。
【0008】
即ち、上記したように加硫成型金型80の閉止時には、内型81とグリーンタイヤの温度は予熱されて100℃前後であるのに対し、外型85の温度は、ほぼ加硫時の温度(180℃前後)である。この状態で加熱媒体を内型81の内部83等に供給すると、内型81は、前記予熱温度から加硫温度まで80℃前後昇温して大きく熱膨張するのに対し、外型85は殆ど温度が変化せず熱膨張も生じない。従って、内型81の温度の上昇に伴いキャビティ88の容積が減少し、かつ、グリーンタイヤも昇温に伴い大きく熱膨張するため、キャビティ88内のゴムの圧力が上昇する。
【0009】
加えて、大きく移動させる必要がなく、温度も一定温度に保持されている外型85は、比較的重量があり温度が変化しにくい、即ち、比較的密度が高く熱伝導率が低い鉄製でも良いが、これに対し、内型81は、グリーンタイヤの成型装置と加硫成型装置との間を移動させ、かつ加硫媒体との熱交換により速やかに加硫温度まで昇温させる必要があるため、アルミニウム又はアルミニウム基材料で形成される場合が多い。これは、アルミニウムは、鉄に比べて密度が低い(鉄の約7.8g/cmに対し約2.7g/cm)ため、軽量で運搬等の取り扱いが容易であり、かつ、熱伝導率が高い(100℃において、鉄の72W/m・Kに対し240W/m・K)ため速やかに昇温できるからである。
【0010】
しかし、アルミニウムは、鉄に比べて熱膨張係数が高く(20℃〜200℃において、鉄の1.1×10−5に対し2倍の2.2×10−5)、また、キャビティ88内のタイヤ(ゴム)の熱膨張係数は12.0×10−5とさらに高いため、この場合には、上記した温度上昇に伴うキャビティ88の容積の減少量がさらに大きくなり、キャビティ88内の圧力もさらに上昇する。
【0011】
従って、この従来の加硫成型金型80では、この加硫成型時のキャビティ88内の過大な圧力により、金型81、85間や各セグメント86間に隙間ができてゴムがそこからはみ出し、又は内型81に変形や破損が生じる恐れがある。ゴムがはみ出してバリが生じた場合には、製品タイヤの外観が損なわれるため、それらを除去する必要があり、また、内型81に変形等が生じた場合には、その修理や再製作、或いは変形の程度によっては成型後のタイヤを廃棄する必要があるため、その分の工数やコスト等が無駄になるという問題が生じる。
【0012】
以上のような問題を解消するため、温度の上昇に伴って内型81の幅を減少させてキャビティ88の容積を増加させ、キャビティ88内の圧力の上昇を抑制するようにした加硫成型金型が知られている(特許文献2参照)。
【0013】
図7は、この加硫成型金型80の要部拡大断面図である。
この加硫成型金型80の内型81は、図6に示した従来の内型81の構成に加えて、内部83の径方向内側端部の開口部84に、その開口幅を押し広げる弾性手段90を有する。この弾性手段90は、温度の上昇に伴って弾性力を低減するバネ部材91により開口部84の開口幅を広げているため、内型81の幅は加硫時の温度上昇に伴って減少する。従って、キャビティ88の容積も温度上昇に伴って増加するため、各金型81、85が受ける圧力を低下させることができ、上記したゴムのはみ出しや内型81の変形等を抑制することができる。
【0014】
しかしながら、この従来の加硫成型金型80では、複数個の弾性手段90を周方向に所定間隔で配置しなければならず、構造が複雑になるという問題がある。
【0015】
【特許文献1】特開2000−84937号公報
【特許文献2】特開2002−264134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、コア加硫成型方法による加硫成型時に、内型の構造を複雑化させることなく、キャビティ容積の減少量を従来よりも少なくし、内型の変形やゴムのはみ出しによるバリの発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
請求項1の発明は、タイヤの内面形状を規定する剛体の内型と、前記タイヤの外面形状を規定する剛体の外型とを備え、前記内型の外面と前記外型の内面との間に形成されるキャビティ内にグリーンタイヤを収納して加硫成型するタイヤ加硫成型金型であって、前記内型が、20℃〜200℃における熱膨張係数が0.6×10−6以上5×10−6以下の材料からなることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載されたタイヤ加硫成型金型において、前記内型は、鋳造可能な鉄・ニッケル系合金からなることを特徴とする。
請求項3の発明は、タイヤの内面形状を規定する剛体の内型と、前記タイヤの外面形状を規定する剛体の外型とを備え、前記内型の外面と前記外型の内面との間に形成されるキャビティ内にグリーンタイヤを収納して加硫成型するタイヤ加硫成型方法であって、前記内型を20℃〜200℃における熱膨張係数が0.6×10−6以上5×10−6以下の材料で形成し、該内型上にグリーンタイヤを形成する工程と、前記外型と前記内型とを組み合わせてキャビティを形成し、前記グリーンタイヤを前記キャビティ内に収納する工程と、前記キャビティ内で前記グリーンタイヤを加硫成型する工程と、を有することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3に記載されたタイヤ加硫成型方法において、前記内型上に形成したグリーンタイヤを前記内型とともに加硫温度以下の所定温度まで予熱する工程と、前記キャビティに収納した前記グリーンタイヤを所定の加硫温度まで加熱する工程とを有し、前記キャビティを形成する前の前記外型を前記所定の加硫温度に保持しておくことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、タイヤ加硫成型金型の内型を、従来よりも低い熱膨張係数の材料で形成したため、内型の構造を複雑化させることなく、加硫成型時のキャビティ容積の減少量を従来よりも少なくでき、キャビティ内の圧力の上昇を抑制できる。従って、金型間の隙間や内型の変形の発生を防止でき、未加硫ゴムのはみ出しによるバリの発生を抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明のタイヤ加硫成型金型の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の加硫成型金型1の概略構成を示す断面図である。
【0020】
この加硫成型金型1は、コア加硫成型方法によるタイヤの成型に使用され、図6に示す従来の加硫成型金型80と同様に、タイヤの外面形状を規定する外型2と、外型2の内周部に形成された凹所内に収容されてタイヤの内面形状を規定する内型3とを備える。この加硫成型金型1は、図1に示すように、型を閉じたときに外型2の内面と内型3の外面の間に製品タイヤの形状と略同一形状のキャビティ4を形成し、このキャビティ4内にグリーンタイヤ5を配置して加硫成型を行う。
【0021】
外型2は、アルミニウムや鉄等の金属の剛体からなり、径方向外側に配置されたトレッド形成用金型21と、その上下に配置された上サイド金型22及び下サイド金型23とを備え、全体として内周部が凹状に形成された環状をなす。
【0022】
トレッド形成用金型21は、タイヤのトレッド部の外面形状を形成する成型面が内周面に形成され、その径方向内外へ移動可能な多数のセグメントから構成されている。これら各セグメントが組み合わさって全体として環状をなし、外型2の外周面を構成する。
【0023】
上下サイド金型22、23は、それぞれ環状をなし、タイヤのサイドウォール部等の側面形状を形成する成型面が内面(上サイド金型22では図の下面、下サイド金型23では図の上面)に形成されている。これら上下サイド金型22、23は、それぞれ外型2の側面を構成し、その少なくとも一方は、キャビティ4内へのグリーンタイヤ5の挿入、及び加硫済みタイヤの取り出しを可能にするため、型開き方向へ移動可能になっている。
【0024】
内型3は、タイヤの内面形状を形成する成型面が外面に形成された断面トロイダル状の金属の剛体からなる。
図2は、この内型3の平面図であり、図3は、図2のC―C矢視断面図である。
【0025】
内型3は、図2、3に示すように、外面形状が全体として略ドーナツ状をなし、その径方向に移動可能な複数個(図では10個)の弧状のセグメント31、32から構成されている。このセグメント31、32は、形状の異なる2種類のセグメント(扇形セグメント31と等長セグメント32)からなり、これらが周方向に交互に密着した状態で配置されて内型2を構成している。
【0026】
扇形セグメント31は、平面形状が径方向外側に向けて周長が次第に増加するのに対し、等長セグメント32は、径方向外側に向けて周長が次第に減少、若しくは実質的に変化しない形状に形成されている。このような形状のセグメント31、32からなる内型3を加硫済みタイヤの内側から取り外すには、まず、各等長セグメント32を順次径方向内側へ移動させてタイヤ中央部の円形孔から軸線方向に抜き出し、その後、各扇形セグメント31を同様に順次径方向内側へ移動させて軸線方向に抜き出して行う。
【0027】
また、これら各セグメント31、32の内部33は、図3に示すように、中空構造になっており、各セグメント31、32が組み立てられると内部33が連通してリング状の空間を形成する。加硫成型時には、この空間に加熱媒体を封入又は循環させて、内型3を加熱してグリーンタイヤを加硫成型する。
【0028】
ここで、外型2が従来と同様にアルミニウムや鉄等の金属材料からなるのに対し、内型3は、上記した加硫成型時の温度上昇に伴うキャビティ4の容積の減少を抑制するため、それらよりも熱膨張係数の低い金属材料により形成している。なお、内型3は、タイヤの内面形状等に合わせて複雑な曲面形状を有するため、製造の容易性を考慮して鋳造成型することが多く、従って、内型3の材料は鋳造可能な材料であることが好ましい。
【0029】
本実施形態の内型3は、熱膨張係数が20℃〜200℃において0.3×10−5の鋳造可能な鉄・ニッケル系合金からなり、従来材料(例えば鉄の熱膨張係数1.1×10やアルミニウムの熱膨張係数2.2×10−5)に比べて熱膨張係数が低く、従って、従来の内型よりも温度上昇に伴う膨張量は少なくなる。なお、この合金の他の物性値は、比熱が0.44J/g・K、密度が7.8g/cm、100℃での熱伝導率が72W/m・Kである。
【0030】
以上の構成を有する加硫成型金型1を用いて空気入りタイヤを製造する手順について説明する。まず、冷間(室温程度)で内型3を組み立てて、その外面にカーカスプライやベルト、トレッドゴム等のタイヤ構成部材を順次貼り合わせて製品タイヤの最終形状に近いグリーンタイヤ5を成型する。次に、成型したグリーンタイヤ5を内型3とともに、ゴムが加硫しない所定の温度(約80℃前後)まで昇温して予熱する。
【0031】
次に、内型3とその表面のグリーンタイヤを下サイド金型23の上に配置した後、上サイド金型22とトレッド形成用金型21を閉じて加硫成型金型1を閉止し、キャビティ4内にグリーンタイヤ5を収納する。このとき、外型2を構成する各金型21、22、23の温度は、所定の加硫温度(約150℃前後)に保持しておく。その後、内型3の内部33に加熱媒体を供給して加硫を開始する。加硫媒体の熱は内型3の内面から外面に伝わり、この熱と外型2からの熱でキャビティ4内のグリーンタイヤ5を加熱して加硫成型する。
【0032】
加硫成型が終了したら、外型2の各金型21、22、23を開いて加硫済みのタイヤと内型3を取り出し、内型3を分解して製品タイヤから分離する。新たなタイヤを成型する場合には、内型3を室温付近まで冷却した後、再度組み立てて上記した手順を繰り返す。
【0033】
以上の加硫成型工程において、加硫温度に保持されている外型2は、温度がほぼ変化せず熱膨張しないのに対し、内型3は、予熱温度から加硫温度までの昇温で熱膨張するため、温度上昇に伴いキャビティ4の容積が次第に減少する。同時に、グリーンタイヤ5も温度上昇に伴い大きく熱膨張するため、グリーンタイヤ5が加圧されてキャビティ4内でゴムが流動するとともに、その表面が各金型2、3に押し付けられて製品タイヤの最終形状に成型される。
【0034】
しかし、このキャビティ4内の圧力が過大になると、上記したように内型3の変形や、各金型間の隙間が開いてそこからゴムのはみ出し等が生じるが、本実施形態の内型3は従来よりも熱膨張係数の低い材料からなるため、温度上昇に伴う熱膨張量及び、それに伴うキャビティ4の容積の減少量が従来よりも少なくなる。従って、キャビティ4内の圧力の過大な上昇が抑制されて、上記各問題の発生も抑制される。
【0035】
図4は、この加硫成型工程でのキャビティ4とタイヤ5の温度に対する容積又は体積(以下、ともに体積という)変化を模式的に示すグラフである。
【0036】
なお、このグラフは、JATMA YEAR BOOK(2004、日本自動車タイヤ協会規格)で定めるタイヤサイズ275/80R22.5のトラック・バス用ラジアルタイヤを加硫成型する場合を例に計算したもので、加硫成型金型1の各寸法は、40℃前後の温度のときにキャビティ4とタイヤ5の体積が一致するように設定した。また、図には、比較のため従来多用されているアルミニウム製(熱膨張係数2.2×10−5)の内型3を使用した場合のキャビティ4の体積変化(図の一点鎖線)についても示す。
【0037】
図示のように、温度上昇に伴って、タイヤの体積は直線的に大きな傾きで増加するのに対し、キャビティ4の体積は直線的に小さな傾きで減少する。しかし、その減少の割合は、従来のアルミニウム製よりも本実施形態の鉄・ニッケル系合金製の内型3を使用した場合の方がより小さく、この内型3を使用することで、キャビティ4の温度上昇に伴う体積の減少を従来よりも少なくできることが分かる。
【0038】
具体的には、アルミニウム製の内型3の場合には、室温付近の冷間ではキャビティ4の体積がタイヤ5の体積よりも大きく、例えば約20℃ではキャビティ4がタイヤ5よりも約1.0%(約193cc)大きいが、約40℃前後で逆転して、予熱温度(約80℃)ではキャビティ4がタイヤ5よりも約1.5%(約261cc)小さくなり、加硫温度(約150℃)ではキャビティ4がタイヤ5よりも約5.2%(約942cc)小さくなる。
【0039】
これに対し、本実施形態の鉄・ニッケル系合金製の内型3の場合には、予熱温度(約80℃)では同じくキャビティ4がタイヤ5よりも約1.5%(約261cc)小さいが、加硫温度(約150℃)ではキャビティ4がタイヤ5よりも約4.5%(約807cc)小さい。即ち、この内型3により、従来よりも図の斜線で示す領域分だけ体積の差を小さくでき、例えば加硫温度ではキャビティ4の体積をアルミニウム製に比べて約0.7%(約135cc)大きくでき、従ってタイヤとの体積差をその分だけ小さくできる。
【0040】
なお、図の一点鎖線で示す直線Tは、必要な加硫圧力を得るための最大キャビティ体積を示し、キャビティ4の体積がこの線よりも大きいときには、タイヤ5の体積との差が小さくなってキャビティ4内の圧力が低くなり、必要な加硫圧力が得られない。従って、図示のように、加硫温度(約150℃)において、アルミニウム製の内型3の場合には約500cc程度、余計にゴムが圧縮されて圧力が高くなるが、内型3を鉄・ニッケル系合金にすることで、余分に圧縮するゴム量を約365ccにでき、キャビティ4内の圧力を低くできる。
【0041】
また、図5は、タイヤ加硫成型時の温度変化に対する各部の体積変化を示す他の例であり、比較のため内型3をアルミニウム(熱膨張係数2.2×10−5)と球状黒鉛鋳鉄(FCD)(熱膨張係数1.1×10−5〜1.2×10−5)で制作した場合についても示す。
【0042】
なお、この図の各数値は、JATMA YEAR BOOK(2004、日本自動車タイヤ協会規格)で定めるタイヤサイズ275/70R22.5のトラック・バス用ラジアルタイヤを加硫成型する場合を例に計算したもので、加硫成型金型1の各寸法は、冷間(25℃前後)の温度のときにキャビティ4とタイヤ5の体積が一致するように設定した。従って、図示のように、冷間時でのタイヤのゴム体積及びキャビティ4の体積(外型2の内容積から内型3の体積を引いた値)は共に19450ccであり、その差(収支)は0ccである。
【0043】
また、図の内型予熱時と加硫時の各体積(cc)は、冷間時のそれぞれの体積との差で示し、図には、その値の冷間時のタイヤゴム体積又はキャビティ体積(19450cc)に対する割合(%)も示す。ここで、各値は、冷間時の体積に対しゴム過剰方向への変化、即ちゴムの膨張又はキャビティ4の減少方向への変化はプラス(+)で示し、ゴム不足方向への変化、即ちゴムの縮小又はキャビティ4の膨張方向への変化はマイナス(−)で示す。
【0044】
図示のように、内型予熱時には、内型3とグリーンタイヤ5は予熱温度(80℃)まで昇温されるため、タイヤゴムは490cc(2.52%)膨張する。また、各内型3も膨張するが、その膨張量は、アルミニウムの70cc(0.36%)やFCDの35cc(0.18%)に対し、鉄・ニッケル系合金では13cc(0.07%)と小さくなっている。
【0045】
これらに対し、外型2は、加硫温度(150℃)に加熱されているため、キャビティ4を大きくする方向に580cc(2.9%)膨張する。従って、それらの収支は、アルミニウム製及びFCD製の内型3ではタイヤゴムよりもキャビティ4が、それぞれ20cc(0.10%)及び55cc(0.28%)大きいのに対し、鉄・ニッケル系合金製の内型3では、タイヤゴムよりもキャビティ4が77cc(0.40%)大きく、最もキャビティ4の体積が大きいことが分かる。
【0046】
また、加硫時には、内型3とグリーンタイヤ5は予熱温度から加硫温度(150℃)まで約70℃昇温されるため、タイヤゴムは冷間時に対し1140cc(5.86%)膨張する。また、各内型3も膨張するが、その膨張量は、アルミニウムの160cc(0.82%)やFCDの80cc(0.41%)に対し、鉄・ニッケル系合金では25cc(0.13%)と小さくなっている。
【0047】
これらに対し、外型2は、加硫温度(150℃)に保持されているため、冷間時に対する膨張量は580cc(2.9%)と変化しない。従って、それらの収支は、アルミニウム製及びFCD製の内型3ではキャビティ4がタイヤゴムよりも、それぞれ720cc(3.7%)及び640cc(3.3%)小さいのに対し、鉄・ニッケル系合金製の内型3ではキャビティ4がタイヤゴムよりも585cc(3.0%)小さくなっており、キャビティ4とタイヤゴムとの体積差が最も小さいことが分かる。
【0048】
このように、内型3を本実施形態の鉄・ニッケル系合金製にすることで、従来の内型3に比べて昇温に伴うキャビティ4の体積減少量を小さくでき、キャビティ4内のゴムの圧力上昇を抑制できることが分かる。
【0049】
なお、内型3の熱膨張係数が小さいほど昇温に伴うキャビティ4の体積減少量をより小さくできる。しかし、使用温度である20℃〜200℃における熱膨張係数が5.0×10−6以下であれば、温度上昇に伴う内型3の体積膨張が従来材料と比べて十分小さくなり、昇温に伴うキャビティ4の体積減少量を有効に抑制して、十分に本発明の効果が得られる。
【0050】
表1に、このような熱膨張係数を有する鋳造可能な鉄・ニッケル系合金の他の例を示す。
【0051】
【表1】


【0052】
内型3の材料には、このような各物性値を有する鉄・ニッケル系合金を使用することもでき、表1に示すように、その熱膨張係数は、最低値が合金1の0.6×10−6であり最高値が合金4、5の3〜4×10−6となっている。従って、内型3の熱膨張係数は、20℃〜200℃において0.6×10−6以上5.0×10−6以下であることが好ましい。
なお、本発明において、鋳造可能な鉄・ニッケル系合金とは、上記した各物性値、又は表1に代表的に表す各物性値を有する合金を言う。
【0053】
以上説明したように、本実施形態の加硫成型金型1は、鋳造可能な鉄・ニッケル系合金等の従来よりも熱膨張係数の小さな材料で形成したため、加硫成型時の温度上昇に伴う内型3の膨張量を従来よりも少なくできる。従って、内型3の構造を複雑化させることなく、加硫成型時のキャビティ4容積の減少量を従来よりも少なくでき、キャビティ4内の圧力の上昇を抑制できる。これにより、各金型2、3が受ける圧力が小さくなり、内型3の変形を抑制できるとともに、金型2、3及び各セグメント間等に隙間が発生するのを防止でき、未加硫ゴムのはみ出しによるバリの発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施形態のタイヤ加硫成型金型の概略構成を示す断面図である。
【図2】本実施形態のタイヤ加硫成型金型の内型の平面図である。
【図3】図2のC―C矢視断面図である。
【図4】加硫成型工程でのキャビティとタイヤの温度に対する体積(容積)変化を模式的に示すグラフである。
【図5】タイヤ加硫成型時の温度変化に対する体積変化を示す図である。
【図6】コア加硫成型方法に用いられる従来のタイヤ加硫成型金型の要部断面図である。
【図7】従来の加硫成型金型の要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1・・・加硫成型金型、2・・・外型、3・・・内型、4・・・キャビティ、5・・・グリーンタイヤ、21・・・トレッド形成用金型、22・・・上サイド金型、23・・・下サイド金型、31・・・扇形セグメント、32・・・等長セグメント、33・・・内部。




 

 


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