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発明の名称 ゴム系複合材料の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−38556(P2007−38556A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2005−226230(P2005−226230)
出願日 平成17年8月4日(2005.8.4)
代理人 【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
発明者 佐藤 研二 / 吉川 雅人
要約 課題
ゴム種を選ばず良好な接着性を簡便に実現し得るゴム系複合材料の製造方法を提供する。

解決手段
基材層2上に、硫黄との反応が可能な接合層3が積層され、該接合層3上に1層又は複数層のジエン系ゴムを含む高硫黄配合ゴム組成物層4(ジエン系ゴム100質量部に対し硫黄が2質量部以上15質量部未満の割合で配合)が積層され、さらに該高硫黄配合ゴム組成物層4上にジエン系ゴムを含む低硫黄配合ゴム組成物層5(ジエン系ゴム100質量部に対し硫黄が0.01質量部以上2質量部未満の割合で配合)が積層された積層体を形成し、次いで、この積層体を加硫することからなるゴム系複合材料1の製造方法。
特許請求の範囲
【請求項1】
基材層上に、硫黄との反応が可能な接合層が積層され、該接合層上に1層又は複数層の高硫黄配合ゴム組成物層が積層され、さらに該高硫黄配合ゴム組成物層上に低硫黄配合ゴム組成物層が積層された積層体を形成し、次いで、この積層体を加硫することからなるゴム系複合材料の製造方法であって、
前記高硫黄配合ゴム組成物層及び前記低硫黄配合ゴム組成物層が共にジエン系ゴムを含むゴム組成物にて形成される層であると共に、
前記高硫黄配合ゴム組成物層が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し硫黄が2質量部以上15質量部未満の割合で配合された高硫黄配合ゴム組成物にて形成され、かつ、
前記低硫黄配合ゴム組成物層が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し硫黄が0.01質量部以上2質量部未満の割合で配合された低硫黄配合ゴム組成物にて形成される層であることを特徴とするゴム系複合材料の製造方法。
【請求項2】
前記1層又は複数層の高硫黄配合ゴム組成物層の総厚みが0.1〜2mmである請求項1記載のゴム系複合材料の製造方法。
【請求項3】
前記低硫黄配合ゴム組成物中における、ジエン系ゴム100質量部に対する硫黄配合量A(質量部)と、この低硫黄配合ゴム組成物にて形成される低硫黄配合ゴム組成物層に隣接する高硫黄配合ゴム組成物層を形成する高硫黄配合ゴム組成物中における、ジエン系ゴム100質量部に対する硫黄配合量B(質量部)との差が、(B−A)値として0.5〜14.99質量部である請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
前記高硫黄配合ゴム組成物層が複数層(前記接合層に隣接する第1層から順に、前記低硫黄配合ゴム組成物層に隣接する第n層に至る複数層。nは2以上の整数である。)にて構成されると共に、これら各層を形成するゴム組成物中における、ジエン系ゴム100質量部に対する硫黄配合量をB1〜Bn(質量部)とした場合に、隣接する層間の硫黄配合量差(Bm−Bm-1)値が0.5〜13質量部である請求項1,2又は3記載の製造方法。(但し、mは2以上n以下の整数である。)
【請求項5】
前記接合層が、Co、Co酸化物、Cu/Zn合金、またはCu/Zn合金酸化物にて形成された層である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記接合層が、物理的気相成長法(PVD)または化学的気相成長法(CVD)にて前記基材層上に形成された層である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記物理的気相成長法(PVD)が、マグネトロンスパッタ法である請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
前記基材層がタイヤの識別コード表示部材にて形成された層であり、前記低硫黄配合ゴム組成物層がタイヤのサイドウォールゴム層である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記識別コード表示部材が、ICタグを内包する、及び/又は表面にバーコードが印字されてなる部材である請求項8記載の製造方法。
【請求項10】
前記基材層がセンサーを搭載する部材にて形成された層であり、前記低硫黄配合ゴム組成物層がタイヤのインナーライナーゴム層である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム系複合材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種素材を組み合わせた複合部材が様々な分野で用いられているが、複合部材は一般に異なった材料特性を有する部材が組み合わされて形成されるため、その接合部位での接着強度を確保すること(求められる環境下で、十分な接着耐久性を有すること)が重要である。
【0003】
本出願人は先に、基材にゴム部材を接合して得られるゴム系複合材料を念頭におき、基材とゴム部材間に十分な接合強度を発揮させ得る方法として、特許文献1:特開昭62−87311号公報等においてドライメッキ法によりコバルト又はコバルト合金による皮膜を基材上に予め成膜し、有機コバルト塩を含有した未加硫ゴム部材を前記皮膜上に積層した後に加硫することによって、基材/ゴム部材が強固に接合した複合体を製造する方法を提案している。
【0004】
また、特許文献2:特開2002−172721号公報において、ゴム系複合材料の補強材としての不織布基材上に、硫黄と反応可能な金属または金属化合物よりなる皮膜を物理的気相成長法(PVD)または化学的気相成長法(CVD)により形成し、硫黄を含有した未加硫ゴム部材を前記皮膜上に積層した後に加硫することによって、基材/ゴム間の高度な接着性を実現すると共に、不織布との複合により期待される効果を十分に引き出し得る複合材料を実現する方法を提案している。特に後者の方法は、ゴム部材側に有機コバルト塩のような特殊成分を配合する必要のない点で、前者の方法に対して特長を有するものである。しかし、後者の方法は、ゴム中の硫黄配合量が少量である場合には基材/ゴム間の接着性や耐久性の点でなお改善の余地を有する場合があった。
【0005】
一般に、車両用タイヤにおけるサイドウォールゴム層(タイヤの最外面層)には、タイヤの耐候性を向上させる観点から硫黄分の少ないゴム部材が使用されることが多い。また、そのようなタイヤ製品の確実な管理等を行なう観点から、タイヤの識別コードを表記した表示部材をサイドウォールゴム部に貼付する必要が生ずる場合がある。
一方、車両用タイヤにおけるインナーライナーゴム層(タイヤの最内面層)にも、ゴム分の通常8割前後を占めるブチルゴムがほとんど硫黄架橋しないため硫黄分の少ないゴム部材が使用されることが多いが、走行中のタイヤの状況を確実に把握する観点から、温度や圧力を感知するセンサー部材をインナーライナーゴム部に貼付したいというニーズがある。
【0006】
タイヤの識別コード表示部材の脱落はタイヤの製品管理上重大な問題に直結する可能性があり、また、タイヤのセンサー部材の脱落は車両走行上重大な問題に直結する可能性がある。従って、ゴム中に含有される硫黄配合量が少量の部材に他の部材を貼合する場合であっても簡便かつ確実に、部材/ゴム間の十分な接着性を実現させ得る技術の開発が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】特開昭62−87311号公報
【特許文献2】特開2002−172721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、ゴム中に含有される硫黄配合量が少量の場合であっても、他の部材と良好に接合されたゴム系複合材料を簡便に実現し得るゴム系複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するために、以下のゴム系複合材料の製造方法を提供する。
請求項1:
基材層上に、硫黄との反応が可能な接合層が積層され、該接合層上に1層又は複数層の高硫黄配合ゴム組成物層が積層され、さらに該高硫黄配合ゴム組成物層上に低硫黄配合ゴム組成物層が積層された積層体を形成し、次いで、この積層体を加硫することからなるゴム系複合材料の製造方法であって、前記高硫黄配合ゴム組成物層及び前記低硫黄配合ゴム組成物層が共にジエン系ゴムを含むゴム組成物にて形成される層であると共に、前記高硫黄配合ゴム組成物層が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し硫黄が2質量部以上15質量部未満の割合で配合された高硫黄配合ゴム組成物にて形成され、かつ、前記低硫黄配合ゴム組成物層が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し硫黄が0.01質量部以上2質量部未満の割合で配合された低硫黄配合ゴム組成物にて形成される層であることを特徴とするゴム系複合材料の製造方法。
請求項2:
前記1層又は複数層の高硫黄配合ゴム組成物層の総厚みが0.1〜2mmである請求項1記載のゴム系複合材料の製造方法。
請求項3:
前記低硫黄配合ゴム組成物中における、ジエン系ゴム100質量部に対する硫黄配合量A(質量部)と、この低硫黄配合ゴム組成物にて形成される低硫黄配合ゴム組成物層に隣接する高硫黄配合ゴム組成物層を形成する高硫黄配合ゴム組成物中における、ジエン系ゴム100質量部に対する硫黄配合量B(質量部)との差が、(B−A)値として0.5〜14.99質量部である請求項1又は2記載の製造方法。
請求項4:
前記高硫黄配合ゴム組成物層が複数層(前記接合層に隣接する第1層から順に、前記低硫黄配合ゴム組成物層に隣接する第n層に至る複数層。nは2以上の整数である。)にて構成されると共に、これら各層を形成するゴム組成物中における、ジエン系ゴム100質量部に対する硫黄配合量をB1〜Bn(質量部)とした場合に、隣接する層間の硫黄配合量差(Bm−Bm-1)値が0.5〜13質量部である請求項1,2又は3記載の製造方法。(但し、mは2以上n以下の整数である。)
請求項5:
前記接合層が、Co、Co酸化物、Cu/Zn合金、またはCu/Zn合金酸化物にて形成された層である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法。
請求項6:
前記接合層が、物理的気相成長法(PVD)または化学的気相成長法(CVD)にて前記基材層上に形成された層である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法。
請求項7:
前記物理的気相成長法(PVD)が、マグネトロンスパッタ法である請求項6記載の製造方法。
請求項8:
前記基材層がタイヤの識別コード表示部材にて形成された層であり、前記低硫黄配合ゴム組成物層がタイヤのサイドウォールゴム層である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の製造方法。
請求項9:
前記識別コード表示部材が、ICタグを内包する、及び/又は表面にバーコードが印字されてなる部材である請求項8記載の製造方法。
請求項10:
前記基材層がセンサーを搭載する部材にて形成された層であり、前記低硫黄配合ゴム組成物層がタイヤのインナーライナーゴム層である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ゴム中に含有される硫黄配合量が少量の場合であっても、他の部材と良好に接合されたゴム系複合材料を簡便に実現し得るゴム系複合材料の製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を更に詳しく説明する。本発明の製造方法は、基材層上に、硫黄との反応が可能な接合層が積層され、該接合層上に1層又は複数層の高硫黄配合ゴム組成物層が積層され、さらに該高硫黄配合ゴム組成物層上に低硫黄配合ゴム組成物層が積層された積層体を形成し、次いで、この積層体を加硫することからなるゴム系複合材料の製造方法であって、前記高硫黄配合ゴム組成物層及び前記低硫黄配合ゴム組成物層が共にジエン系ゴムを含むゴム組成物にて形成される層であると共に、前記高硫黄配合ゴム組成物層が前記ジエン系ゴム100質量部に対し硫黄が2質量部以上15質量部未満の割合で配合された高硫黄配合ゴム組成物にて形成され、かつ、前記低硫黄配合ゴム組成物層が前記ジエン系ゴム100質量部に対し硫黄が0.01質量部以上2質量部未満の割合で配合された低硫黄配合ゴム組成物にて形成される層であることを特徴とするゴム系複合材料の製造方法である。
ここで、上記高硫黄配合ゴム組成物層及び/又は低硫黄配合ゴム組成物層は、上記積層体が形成された後に加硫硬化可能な層である。積層体の加硫工程前にあっては、これらの層は未加硫の状態であっても良いし、一部のみが加硫された状態であっても良い。
【0012】
本発明の製造方法により得られるゴム系複合材料の一例を図1に示した。図1において、本発明の製造方法により得られるゴム系複合材料1は、基材層2上に、硫黄との反応が可能な接合層3が積層され、該接合層3上に1層の高硫黄配合ゴム組成物層4が積層され、さらに該高硫黄配合ゴム組成物層4上に低硫黄配合ゴム組成物層5が積層された積層体が加硫されてなるものである。
そして、本発明の製造方法を採用することにより、各部材界面(基材と接合層との界面、接合層と高硫黄配合ゴム組成物層との界面、高硫黄配合ゴム組成物層と低硫黄配合ゴム組成物層との界面)において良好な接着性が両立され、しかもゴム組成物層に特殊成分を配合するような手間もない。従って、前記基材層と前記低硫黄配合ゴム組成物層とが良好に接合されたゴム系複合材料を簡便に得ることができる。
【0013】
前記基材層としては、特に限定されるものではないが、例えば金属、セラミックス、プラスチック、ゴム等により形成される層を挙げることができる。このような基材の形状、サイズ等については本発明の目的に反しない範囲で適宜選定可能である。
【0014】
本発明において、上記高硫黄配合ゴム組成物層及び上記低硫黄配合ゴム組成物層はいずれもジエン系ゴムを含むゴム組成物にて形成される層である。このようなジエン系ゴムとしては、例えば天然ゴム(NR)や構造式中に炭素−炭素二重結合を有する合成ゴム等を挙げることができる。これらジエン系ゴムは1種を単独で、又は2種以上を併用しても良い。
上記ジエン系ゴムがゴム組成物中に占める割合としては、通常20質量%以上、好ましくは40〜70質量%、より好ましくは50〜60質量%である。当該割合が大きすぎると弾性率が不足する場合があり、一方、小さすぎると伸びが低下する場合がある。
【0015】
上記合成ゴムとしてより具体的には、例えばイソプレン、ブタジエン、クロロプレン等の共役ジエン化合物の単独重合体であるポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリクロロプレンゴム等;
上記共役ジエン化合物とスチレン、アクリロニトリル、ビニルピリジン、アクリル酸、メタクリル酸、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類等のビニル化合物との共重合体である、スチレンブタジエン共重合ゴム(SBR)、ビニルピリジンブタジエンスチレン共重合ゴム、アクリロニトリルブタジエン共重合ゴム(NBR)、アクリル酸ブタジエン共重合ゴム、メタアクリル酸ブタジエン共重合ゴム、メチルアクリレートブタジエン共重合ゴム、メチルメタアクリレートブタジエン共重合ゴム等;
エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類と上記共役ジエン化合物との共重合体〔例えばイソブチレンイソプレン共重合ゴム(IIR)〕等;
が挙げられる。上記各種ゴムのハロゲン化物、例えば塩素化イソブチレンイソプレン共重合ゴム(Cl−IIR)、臭素化イソブチレンイソプレン共重合ゴム(Br−IIR)等を使用することもできる。
【0016】
また、上記ジエン系ゴムを含むゴム組成物には、配合用ゴムとしてオレフィン類と非共役ジエンとの共重合体(EPDM)〔例えばエチレン−プロピレン−シクロペンタジエン三元共重合体、エチレン−プロピレン−5−エチリデン−2−ノルボルネン三元共重合体、エチレン−プロピレン−1,4−ヘキサジエン三元共重合体〕;
シクロオレフィンを開環重合させて得られるポリアルケナマー〔例えばポリペンテナマー〕;
オキシラン環の開環重合によって得られるゴム〔例えば硫黄加硫が可能なポリエピクロロヒドリンゴム〕;
ポリプロピレンオキシドゴムやクロロスルフォン化ポリエチレン;
といった飽和弾性体の1種又は2種以上を適宜配合することも可能である。
【0017】
なお、上記ジエン系ゴムと上記配合用ゴムとの配合比としては、(ジエン系ゴム)/(配合用ゴム)(質量比)として通常20/80〜100/0、好ましくは50/50〜100/0である。配合比が上記範囲を逸脱すると、隣接するゴムと接着しない場合がある。
【0018】
本発明において、上記ゴム組成物には硫黄が配合される。当該硫黄は有機硫黄化合物から供給される硫黄分であっても良い。このような有機硫黄化合物としては、テトラキス(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等が挙げられる。
【0019】
本発明においては、ジエン系ゴム100質量部に対し硫黄が0.01質量部以上2質量部未満(好ましくは0.1〜1.9質量部、より好ましくは0.1〜1質量部)の割合で配合されたゴム組成物を低硫黄配合ゴム組成物と呼び、ジエン系ゴム100質量部に対し2質量部以上15質量部未満(好ましくは2〜12質量部、より好ましくは2〜8質量部)の割合で配合されたゴム組成物を高硫黄配合ゴム組成物と呼ぶ。
【0020】
上記低硫黄配合ゴム組成物中における、ジエン系ゴム100質量部に対する硫黄配合量A(質量部)と、この低硫黄配合ゴム組成物にて形成される低硫黄配合ゴム組成物層に隣接する高硫黄配合ゴム組成物層を形成する高硫黄配合ゴム組成物中における、ジエン系ゴム100質量部に対する硫黄配合量B(質量部)との差としては、(B−A)値として通常0.5〜14.99質量部、好ましくは1〜10質量部である。この配合量差が大きすぎると、高−低硫黄配合ゴム層間の接着力が不足する場合があり、一方、小さすぎると接着改良効果がない場合がある。
【0021】
一般に、一のゴム部材と他の部材とからなるゴム系複合材料を形成するに際し、一のゴム部材と他の部材との間に更に他のゴム層を挟持する構成は、通常は避けられる傾向にある。なぜなら、界面の増加はそのまま耐久性低下のリスク増加につながる可能性があるからである。そして、一のゴム部材と他の部材とを接合するに際しては、適切な接着剤の選択や接着剤の改良、必要に応じてゴム部材の組成を改良することが通常行なわれる。しかし、接着剤の選択や改良が困難な場合や、ゴム部材の組成を接着性の観点のみから変更することが現実的でない場合も存在する。
【0022】
本発明においては比較的硫黄配合量が低いゴム部材と他の部材とを積層してゴム系複合材料を製造するに際し、基材表面の少なくとも一部を接合層でコーティングすると共に、他のゴム部材(高硫黄配合ゴム部材)を前記接合層と低硫黄配合ゴム部材との間に挟持する構成とし、しかも、前記低硫黄配合ゴム部材と高硫黄配合ゴム部材とを共にジエン系ゴムを含むゴム部材とし、且つ両ゴム部材における硫黄配合量を各々一定範囲に規定すること、好ましくは上記両ゴム部材における硫黄配合量差(B−A)値についても一定範囲に規定することにより、接着剤の選定の手間や、低硫黄配合ゴム部材の組成を変更する手間をかけることなく、各部材間の良好な接着性を簡便に確保するものである。
【0023】
本発明において前記高硫黄配合ゴム組成物層が複数層(前記接合層に隣接する第1層から順に、前記低硫黄配合ゴム組成物層に隣接する第n層に至る複数層。nは2以上の整数である。)にて構成される場合には、これら各層を形成するゴム組成物中における、ジエン系ゴム100質量部に対する硫黄配合量をB1〜Bn(質量部)とした場合に、隣接する層間の硫黄配合量差(Bm−Bm-1)値としては通常0.5〜13質量部、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは1〜5質量部である。当該値が大きすぎると高−低硫黄配合ゴム層間の接着力が不足する場合があり、一方、小さすぎると効果が無い場合がある。なお、mは2以上n以下の整数である。
【0024】
ここで、前記高硫黄配合ゴム組成物層の厚み(複数層である場合には、その総厚み)としては、通常0.1〜2mm、好ましくは0.2〜1mmである。当該値が大きすぎると耐候性が悪化する場合があり、一方、小さすぎると効果が無い場合がある。
【0025】
上記ゴム組成物には目的、用途などに応じて更に加硫促進剤、充填剤、オイル、老化防止剤等の各種添加剤を配合することができる。
加硫促進剤としては、例えばステアリン酸、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CZ)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド(DM)等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。中でもステアリン酸を用いることが、架橋密度向上の観点から好適である。
上記加硫促進剤の配合量としては、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、通常0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜6質量部である。当該配合量が多すぎるとゴムの伸びが低下する場合があり、少なすぎると架橋不足となってゴム組成物層自体の破壊強度に劣る場合がある。
【0026】
上記充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、クレイ、マイカ、亜鉛華、等を挙げることができ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。中でもカーボンブラックを用いることが弾性率向上の観点から好適である。
上記充填剤の配合量としては、上記ジエン系ゴム100質量部に対し、通常0.01〜100質量部、好ましくは0.1〜70質量部である。当該配合量が多すぎるとゴムの伸びが低下する場合があり、少なすぎると弾性率が不足する場合がある。
【0027】
上記老化防止剤の配合量としては、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、通常0.1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部である。当該配合量が多すぎると接着力が低下する場合があり、少なすぎると耐候性が不足する場合がある。
【0028】
上記オイルとしては、例えばパラフィン系、ナフテン系、芳香族系プロセスオイル、エチレン−α−オレフィンのコオリゴマー、パラフィンワックス、流動パラフィン等の鉱物油、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油等の植物油などのオイルを挙げることができ、これらは1種を単独で、又は2種以上を併用することができる。
【0029】
本発明における前記接合層は、硫黄との反応が可能な層であれば特に限定されないが、例えば金属または金属化合物よりなる層が挙げられる。このような金属又は金属化合物としては、ゴム加硫時にゴム中の硫黄と硫化反応可能な材料であればいかなるものでもよく、例えば、Co、Cu、Zn、Cr、Al、Ag、Ni、Pb、Ti、Wや、これらのうち2種類またはそれ以上からなる合金、更には、これらの酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、硫酸化合物などの化合物を用いることができる。特に、Co、Co/Cr合金、Cu/Zn合金、Cu/Al合金等の金属、これらの合金、またはこれらの酸化物を好適に用いることができる。特に好ましくは、CoまたはCoの酸化物である。
【0030】
この場合、コバルトの酸化物、窒化物、炭化物としてはCoOx、CoNy、CoCzのように表すことができるが、x値としては0〜1.8、特に0〜1.6、y値としては0〜1.6、特に0〜1.4、z値としては0〜3.2、特に0〜2.8の範囲にあることが好ましい。
【0031】
上記接合層の形成方法としては特に制限されないが、容易に薄膜を形成する観点から、物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)が好ましく用いられる。
上記PVD法としては真空蒸着法、例えば、抵抗加熱蒸着、電子ビーム加熱蒸着、分子線エピタキシー法、レーザーアブレーション法;
スパッタ法、例えば、直流スパッタ、高周波スパッタ、マグネトロンスパッタ、ECRスパッタ、イオンビーム;
イオンプレーティング法、例えば、高周波イオンプレーティング、イオン化クラスタビーム成膜法、またはイオンビーム法等が挙げられる。
一方、CVD法としては熱CVD法、例えば、常圧CVD、減圧CVD、有機金属CVD、光CVD法;
プラズマCVD法、例えば、直流プラズマCVD、高周波プラズマCVD、マイクロ波プラズマCVD若しくはECRプラズマCVD等が挙げられる。これらのうち、基材との優れた密着性を実現する観点からスパッタ法が好適に用いられ、中でもマグネトロンスパッタ法が成膜速度の観点から好適である。
【0032】
上記接合層の厚さとしては通常10Å〜100μm、好ましくは50Å〜1μmである。この膜厚が薄すぎると接着性が不十分となる場合があり、一方、厚すぎると被膜の内部応力により基材から剥離する傾向となる場合がある。
上記接合層には必要に応じ、成膜後にプラズマ処理、イオンインプランテーション、イオン照射、熱処理などを施して、被膜の表面状態、反応性、内部応力等を向上させてもよい。
【0033】
本発明においてはゴム積層体が形成された後、このゴム積層体が加硫される。加硫条件としては特に制限されるものではないが、例えば155〜160℃で20分程度とすることができる。
【0034】
本発明の製造方法により得られるゴム系複合材料は、種々の部材が低硫黄配合ゴム組成物層に対し良好に接合された複合材料である。得られる複合材料は、金属等の基材とゴムとの接合強度を必要とするタイヤ、動力伝達ベルト、コンベアベルト、ホース等の繊維状金属を芯材に用いたゴム系複合材や防振ゴム、免振材、ゴムクローラ、ラバースクリーン、ゴムロールなどの各種ゴム製品や部品類の製造に広く応用でき、特に低硫黄配合のゴム組成物が使用される分野に好適である。
【0035】
従って、例えば前記基材がタイヤの識別コード表示部材であり、かつ前記低硫黄配合ゴム組成物層がタイヤのサイドウォールゴムである場合には、タイヤが風雨や大きな寒暖差にさらされる環境下に保存される場合であっても、タイヤの識別コード表示部材がタイヤから脱落する虞が可及的に低減され、商品管理に支障が生じ難い。
また、前記基材層がセンサー(圧力計、温度計等)を搭載するセンサー部材であり、かつ前記低硫黄配合ゴム組成物層がタイヤのインナーライナーゴムである場合には、センサー部材がタイヤから脱落せず、タイヤの状況を継続して的確にモニタリングすることが可能となる。
なお、前記識別コード表示部材としては上記の通り、例えばICタグを内包する、及び/又は表面にバーコードが印字されてなる部材であってもよいが、これに限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
以下、製造例、実施例、及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0037】
〔製造例〕
表1に示す配合(各成分の数値は全て質量部を示す)にて各原料成分を配合し、500mlのラボプラストミルおよび3インチロールを使用して混練することにより、未加硫のゴム組成物であるゴム1〜ゴム3よりなる所定厚みのフィルムを得た。なお、ゴム1は本発明における高硫黄配合ゴム組成物に相当し、ゴム2又はゴム3は、本発明における低硫黄配合ゴム組成物に相当する。
【0038】
【表1】


【0039】
天然ゴム
RSS#4。
BR−IIR
EXXON CHEMICAL社製、商品名EXXON BROMOBUTYL2255。
CB1
旭カーボン社製、商品名#55。
CB2
旭カーボン社製、商品名NP6。
オイル
出光興産(株)製、商品名ダイアナプロセスオイルNS−28
ステアリン酸1
旭電化工業(株)製。
ステアリン酸2
ACID CHEM社製、商品名PALMAC 1600。
粘着付与剤
EXXON CHEMICAL社製、商品名ESCOREZ 8180。
MgO
神島化学工業(株)製。
亜鉛華1
白水化学工業(株)製。
亜鉛華2
MIDWEST ZINC(株)製、商品名205P。
老化防止剤
大内新興化学社製、商品名ノクラック6C。
加硫促進剤1
大内新興化学社製、商品名ノクセラーDZ−G。
加硫促進剤2
大内新興化学社製、商品名ノクセラーCZ−G。
加硫促進剤3
BAYER社製、商品名VULKACIT DM/MG。
硫黄
鶴見化学工業(株)製。
【0040】
〔実施例1,2,比較例1,2〕
下表2に示す層構成で第1層〜第4層に至るゴム積層体を形成し、次いでこのゴム積層体を150℃環境下で40分間加硫することにより本発明のゴム系複合材料を得た。
得られたゴム系複合材料に対して耐久性試験を行ない、耐久性試験後の接合層とゴム部材層との界面の接着性を評価した。結果を表2に併記した。
【0041】
【表2】


【0042】
PETフィルム
東洋紡社製 商品名A4100。
Co膜
ターゲットをCo(純度3N)とし、以下の条件にてマグネトロンスパッタ法により基材層上にCo膜を成膜した。
使用スパッタ装置:トッキ(株)製SPS−521
ターゲットサイズ:125mm×500mm、矩形
基材サイズ:250mm×1000mm
投入電力:3.0kW/m2
放電時間:1.5分間
Arガス流量:50cc/分
圧力:0.7Pa
乾熱耐久性試験
100℃の乾燥オーブン中に、表中に示す所定期間放置することで行なった。
湿熱耐久性試験
80℃,95%RHの恒温恒湿槽中に、表中に示す所定期間放置することで行なった。
剥離試験
引張試験機により50mm/分の引張速度にて90°剥離試験を行ない、接合層とゴム部材層との間の接着強度を評価した。剥離面の破壊状態(ゴムの破壊割合)を目視することにより接着性を評価した。R100とはゴム破壊が100%であったことを意味し、最も接着性が良いと判断される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の製造方法により得られるゴム系複合材料の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1 ゴム系複合材料
2 基材層
3 接合層
4 高硫黄配合ゴム組成物層
5 低硫黄配合ゴム組成物層


























 

 


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