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サーマルクラウン制御装置、圧延機及びその圧延機を用いた金属帯の製造方法 - JFEスチール株式会社
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発明の名称 サーマルクラウン制御装置、圧延機及びその圧延機を用いた金属帯の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−203317(P2007−203317A)
公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
出願番号 特願2006−22608(P2006−22608)
出願日 平成18年1月31日(2006.1.31)
代理人 【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
発明者 鎌田 弥
要約 課題
初期の設備コスト及び維持費が安く、制御も比較的簡単な、サーマルクラウン制御装置、それを用いた圧延機、及びその圧延機を用いた金属帯の製造方法を提供する。

解決手段
ロールバイトFの出側であってかつ、ワークロール19の表面を冷却水wにて最初に冷却する領域GよりもロールバイトFに近い側または遠い側の領域に、被圧延材8の板端に当接する位置を含むワークロール19の胴長方向一部の領域の表面を蒸気にて加熱する加熱装置3を設置する。
特許請求の範囲
【請求項1】
圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトに近い側の領域に、被圧延材の板端に当接する位置を含む前記ワークロールの胴長方向一部の領域の表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とするサーマルクラウン制御装置。
【請求項2】
圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトに近い側の領域に、被圧延材の板端に当接する位置を中心として前記ワークロールの胴長方向に中心振分100mm以内の領域の表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とするサーマルクラウン制御装置。
【請求項3】
圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトから遠い側の領域に、被圧延材の板端に当接する位置を含む前記ワークロールの胴長方向一部の領域の表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とするサーマルクラウン制御装置。
【請求項4】
圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトから遠い側の領域に、被圧延材の板端に当接する位置を中心として前記ワークロールの胴長方向に中心振分100mm以内の領域の表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とするサーマルクラウン制御装置。
【請求項5】
圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトに近い側の領域に、当該の被圧延材の板端に当接する位置と次回の被圧延材の板端に当接する位置とを含む前記ワークロールの胴長方向一部の領域の表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とするサーマルクラウン制御装置。
【請求項6】
圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
当該の被圧延材よりも次回の被圧延材の方が板幅が広い場合に、前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトに近い側の領域に、当該の被圧延材の板端に当接する位置を起点としてワークロールの胴長方向内側に100mm以内までの領域から次回の被圧延材の板端に当接する位置を起点としてワークロールの胴長方向外側に100mm以内までの領域をカバーする領域について、その表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とするサーマルクラウン制御装置。
【請求項7】
圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトから遠い側の領域に、当該の被圧延材の板端に当接する位置と次回の被圧延材の板端に当接する位置とを含む前記ワークロールの胴長方向一部の領域の表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とするサーマルクラウン制御装置。
【請求項8】
圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
当該の被圧延材よりも次回の被圧延材の方が板幅が広い場合に、前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトから遠い側の領域に、当該の被圧延材の板端に当接する位置を起点としてワークロールの胴長方向内側に100mm以内までの領域から次回の被圧延材の板端に当接する位置を起点としてワークロールの胴長方向外側に100mm以内までの領域をカバーする領域について、その表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とするサーマルクラウン制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載のサーマルクラウン制御装置を備えたことを特徴とする圧延機。
【請求項10】
請求項9に記載の圧延機を用いて、被圧延材を圧延することを特徴とする金属帯の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーマルクラウン制御装置、圧延機及びその圧延機を用いた金属帯の製造方法に関する。製造の対象とする金属帯は帯鋼を主とするが、これに限るものではなく、銅、アルミほかの材質であってもよい。
ちなみに帯鋼は、JIS G 3131、JIS G 3141などに規定される通り、一般的に、厚さ0.10mm以上13.0mm以下、幅が600mm以上2300mm以下の帯状に長い薄板状の鋼材のことを指すが、平鋼(幅500mm以下)なども本発明の適用対象にできる。
なお、本発明は、熱間圧延ラインのほか、冷間圧延ラインにも適用可能である。
【背景技術】
【0002】
以下、熱間圧延の場合を例にまず説明する。ここで、熱間圧延とは、被圧延金属材料(以下、被圧延材8)を数百〜千数百℃に加熱した後、熱間圧延ライン上に抽出し、一対または複数対のロールで挟圧しつつそのロールを回転させることで、薄く延ばすことをいう。
図16は、従来から多くある熱間圧延ライン100の一例を示す。加熱炉10により数百〜千数百℃に加熱された厚み150〜300mmの金属材料である被圧延材8は、粗圧延機12、仕上圧延機18により厚み1〜25mmまで圧延されて薄く延ばされる。
【0003】
粗圧延機12は、図16に示す熱間圧延ライン100の場合、R1、R2、R3の3基であるが、必ずしも基数はこれに限らない。粗圧延機12は、往復圧延あるいは一方向圧延あるいは両者により、一般的に合計で6回あるいは7回の粗圧延を行なって、粗圧延後の被圧延材8を、それにつづく仕上圧延機18に向け供給する。
仕上圧延機18は、数百〜千数百℃の高温の被圧延材8を複数の圧延機で同時に圧延する熱間タンデム圧延機の形式をとるが、略して単に「仕上圧延機」と称されることが多い。
【0004】
粗圧延機12、仕上圧延機18とも、被圧延材8を挟んで上下から直接圧延するロールのことをワークロール19と称し、上ワークロールをさらにその上側から支え、圧延反力で上ワークロールが撓むのを抑えるロールと、下ワークロールをさらにその下側から支え、圧延反力で下ワークロールが撓むのを抑えるロールのことを、バックアップロール20と称する。
【0005】
このほか、熱間圧延ライン100には、被圧延材8を幅方向に圧延するためのエッジャーロール13が、各圧延機の入側に設置されているほか、仕上圧延機18の各圧延機間を除いて、その他の圧延機間には図示しない多数(例えば、合計で百以上)のテーブルローラが設置されており、被圧延材8を搬送する。
また、被圧延材8には、加熱炉10での加熱中、あるいは、圧延され薄く延ばされる過程で、その表裏面に酸化物の層(以下、スケール)が生成するため、粗圧延機12の中の各圧延機の入側と仕上圧延機18の入側には、ポンプからの供給圧にして10〜30MPa内外の高圧水を被圧延材8の表裏面に吹き付けてスケールを除去するデスケーリング装置16が設置され、スケールを除去している。
【0006】
さらに、図16において、14はクロップシャーであり、仕上圧延前に被圧延材8の先後端のクロップ(被圧延材8の先後端の、いびつな平面形状の部分)を切断除去し、仕上圧延機18にスムーズに噛み込みやすい略矩形の平面形状に整形する。
22は冷却ゾーンであり、仕上圧延後の被圧延材8を水冷する。23は冷却ゾーンのテーブルローラ群であり、ランナウトテーブルと呼ばれる。24はコイラーであり、冷却後の被圧延材8を巻き取る。
【0007】
50は制御装置、70はプロセスコンピュータ、90はビジネスコンピュータである。
15は仕上入側温度計であり、仕上圧延前の被圧延材8の温度を測定し、仕上圧延機18に被圧延材8が噛み込む際の、ロール間隙その他の各種の設定(セットアップ)を、プロセスコンピュータ70内での計算により設定値の決定を行なった結果に基づいて行なうための、その計算の起動の役割と、温度データの制御装置50とプロセスコンピュータ70への提供の役割とを兼ねて果たす。
【0008】
21は仕上出側温度計を示し、温度データを制御装置50とプロセスコンピュータ70に提供する役割を果たす。
粗圧延機12、仕上圧延機18では、どの一つの圧延機をとっても、800〜1200℃という非常に高温の被圧延材8を圧延するため、図17に示すように、ワークロール19は、被圧延材8からの入熱により加熱されて熱膨張する。
【0009】
このとき、ワークロール19の被圧延材8よりも外側に相当する部位(いわゆる板道外)Bは、被圧延材8と接触しなくて比較的低温であることから、被圧延材8と接触するワークロール19の胴長方向中央部Cのうちの、板道外Bに近い板端部C’の領域から、板道外Bに向かって、ワークロール19の胴長方向に熱が逃げるため、ワークロール19の胴長方向中央では、熱膨張が大きく、ワークロール19の胴長方向中央部Cのうちの、板道外Bに近い板端部C’の領域では、熱膨張が小さい、という略台形の形状をしたロールプロフィルを形成する(以下サーマルクラウンDと呼ぶ)。
【0010】
仕上圧延後の被圧延材8の板厚、それに、形状としては、品質上、均一なもの、平坦なものが求められるが、ワークロール19の略台形状に突出したサーマルクラウンDの部分は、ワークロール19でまさに被圧延材8を圧延する際に、被圧延材8側に転写される結果、図17中に示すごとく、被圧延材8は、幅中央域では薄く、両幅端部に近づくと厚くなる、という幅方向に不均一な板厚分布をもつに至るとともに、仕上圧延後の被圧延材8の形状は、図18に示すごとく、幅方向中央部が局部的に長手方向によく伸びる、腹伸びと呼ばれる状態になる。
【0011】
この腹伸びは、仕上圧延機18のうちの中間の圧延機で起こった場合でかつ、その程度がひどくなると、搬送方向に一つ下流側の圧延機で圧延した際、図19(a)に示すように、腹伸びした部分が3枚重ねの状態で圧延され、終には図19(b)に示すように穴があいて、多くの場合、被圧延材8の破断に至る。
サーマルクラウンDの成長を制御する技術として、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4(特許文献4は出願時未公開)などが提案されている。
【0012】
特許文献1では、熱間圧延において、図20(a)に示すごとく、圧延機のワークロール19のロールバイトの出側にて、ワークロール19の表面を冷却装置4から噴射される冷却水wにて冷却するとともに、図20(b)に示すごとく、ワークロール19の胴長方向に列設されたバルブVのうち、一番端からいくつ目までを閉じるか、を被圧延材8の幅に応じて変化させることで、ワークロール19の表面に噴射する冷却水の流量を、ワークロール19の胴長方向に変化させるようにして、被圧延材8からの入熱による熱膨張を制御する方法が提案されている。
【0013】
特許文献2、特許文献3では、それぞれ、図21、図22に示すような、ワークロール19の被圧延材8よりも外側に相当する部位(板道外)Bを加熱することによるサーマルクラウンの制御方法が提案されている。
このほか、本出願人らは、先に、特許文献4として、ロールバイトの出側であってかつ、ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりもロールバイトに近い側あるいは遠い側の領域に、ワークロールの胴長方向全長について、ワークロールの表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したサーマルクラウン制御装置を提案した。
【0014】
【特許文献1】特開昭58−135709号公報
【特許文献2】特開平10−192917号公報
【特許文献3】特開平11−267719号公報
【特許文献4】特願2005−078380号(出願時未公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1に係る方法においては、実際にサーマルクラウンDを制御できる量が小さく、均一な板厚で形状の平坦な被圧延材8の製造は困難であるという問題がある。また、サーマルクラウンDは、元来、被圧延材8からの入熱が大きいのに比し、冷却水による冷却では十分に抜熱しきれないために形成されるものであるから、ワークロール19の表面に噴射する冷却水の流量をワークロール19の胴長方向に変化させるようにしたところで、十分な効果が得られないのも、無理はないところがある。
【0016】
また、特許文献2に係る方法においては、サーマルクラウンDの制御能力が非常に高く有効な方法であるが、先に図21に示したごとく、誘導加熱装置による加熱でサーマルクラウンDを制御する特許文献2では、初期の設備コストが甚大となるという問題がある。
また、特許文献3に係る方法においては、被圧延材8の幅に応じて、列設した誘導加熱装置10aの出力をワークロール19の胴長方向に変化させる必要があるため、制御が複雑かつ高度となるという問題がある。ちなみに、ワイパ5とストリッパ6ならびにそれらにつながるフレーム5a、6aは、図示しない、ワークロール19の表面に冷却水を噴射する冷却装置から出た冷却水が、被圧延材8上に乗るのを極力抑制するために設置されている。
【0017】
さらに、特許文献4に係る装置においては、ワークロール19の胴長方向の全域または板道外全域を蒸気で加熱することにより、初期の設備コストは比較的少額なものの、多量の蒸気を必要とするという問題がある。
本発明は、従来技術のかかる問題を解決するためになされたものであり、初期の設備コスト及び維持費が安く、制御も比較的簡単な、サーマルクラウン制御装置、それを用いた圧延機、及びその圧延機を用いた金属帯の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
斯かる目的を達成するための本発明は、以下の通りである。すなわち、
本発明のうち請求項1に係るサーマルクラウン制御装置は、圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトに近い側の領域に、被圧延材の板端に当接する位置を含む前記ワークロールの胴長方向一部の領域の表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とする。
【0019】
また、本発明のうち請求項2に係るサーマルクラウン制御装置は、圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトに近い側の領域に、被圧延材の板端に当接する位置を中心として前記ワークロールの胴長方向に中心振分100mm以内の領域の表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とする。
【0020】
また、本発明のうち請求項3に係るサーマルクラウン制御装置は、圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトから遠い側の領域に、被圧延材の板端に当接する位置を含む前記ワークロールの胴長方向一部の領域の表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とする。
【0021】
また、本発明のうち請求項4に係るサーマルクラウン制御装置は、圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトから遠い側の領域に、被圧延材の板端に当接する位置を中心として前記ワークロールの胴長方向に中心振分100mm以内の領域の表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とする。
【0022】
また、本発明のうち請求項5に係るサーマルクラウン制御装置は、圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトに近い側の領域に、当該の被圧延材の板端に当接する位置と次回の被圧延材の板端に当接する位置とを含む前記ワークロールの胴長方向一部の領域の表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とする。
【0023】
また、本発明のうち請求項6に係るサーマルクラウン制御装置は、圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
当該の被圧延材よりも次回の被圧延材の方が板幅が広い場合に、前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトに近い側の領域に、当該の被圧延材の板端に当接する位置を起点としてワークロールの胴長方向内側に100mm以内までの領域から次回の被圧延材の板端に当接する位置を起点としてワークロールの胴長方向外側に100mm以内までの領域をカバーする領域について、その表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とする。
【0024】
また、本発明のうち請求項7に係るサーマルクラウン制御装置は、圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトから遠い側の領域に、当該の被圧延材の板端に当接する位置と次回の被圧延材の板端に当接する位置とを含む前記ワークロールの胴長方向一部の領域の表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とする。
【0025】
また、本発明のうち請求項8に係るサーマルクラウン制御装置は、圧延機のワークロールのロールバイトの出側にて、該ワークロールの表面を蒸気にて加熱する、圧延機のワークロールのサーマルクラウン制御装置において、
当該の被圧延材よりも次回の被圧延材の方が板幅が広い場合に、前記ロールバイトの出側であってかつ、前記ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域よりも前記ロールバイトから遠い側の領域に、当該の被圧延材の板端に当接する位置を起点としてワークロールの胴長方向内側に100mm以内までの領域から次回の被圧延材の板端に当接する位置を起点としてワークロールの胴長方向外側に100mm以内までの領域をカバーする領域について、その表面を蒸気にて加熱する加熱装置を設置したことを特徴とする。
【0026】
また、本発明のうち請求項9に係る圧延機は、請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載のサーマルクラウン制御装置を備えたことを特徴とする。
さらに、本発明のうち請求項10に係る金属帯の製造方法は、請求項9に記載の圧延機を用いて、被圧延材を圧延することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本願請求項1乃至8のうちいずれか1項に係るサーマルクラウン制御装置によれば、初期の設備コスト及び維持費を安くすることが可能となるとともに、比較的簡単に制御を行うことが可能となる。
また、本願請求項9に係る圧延機又は請求項10に係る金属帯の製造方法によれば、板厚が均一で、品質上、好ましい製品を得ることが可能となるとともに、腹伸びにより被圧延材が破断するようなトラブルも抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の第一実施形態に係るサーマルクラウン制御装置及びこれを適用した圧延機を図を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るサーマルクラウン制御装置を適用した圧延機の概略配置図である。図1(a)は、サーマルクラウン制御装置を適用した圧延機の側面図である。図1(b)は、ワークロールの出側からみた場合のサーマルクラウン制御装置を適用した圧延機の正面図である。
【0029】
圧延機1は、図1に示すように、搬送方向Aの向きに搬送されてくる被圧延材8を上下ワークロール19により圧延するものであり、ワークロール19の出側において、冷却装置4と、サーマルクラウン制御装置3とを備えてなる。
なお、図1(a)中、Fで示した、ワークロール19と被圧延材8が圧延の際に実際に接触している部分のことを、ロールバイトという。また、ロールバイトFの出側端を基準としたときに、ワークロール19の回転方向A’にみた角度をθとする。
【0030】
冷却装置4は、冷却水wを噴射してワークロール19の表面を冷却する。なお、冷却装置4は、ワークロール19の回転方向A’にみた場合のロールバイトFの出側だけでなく、入側や回転方向A’にみた場合のその他の位置に設置してもよい。
また、圧延機1のワークロール19の出側においては、冷却装置4からワークロール19の表面に噴射された冷却水wが、被圧延材8上に乗るのを極力抑制するために、ワイパ5及びストリッパ6並びにそれらにつながるフレーム5a、6aが設置されている。
【0031】
本実施形態では、サーマルクラウン制御装置3は、ロールバイトFの出側であってかつ、ワークロール19の表面を冷却水にて最初に冷却する領域GよりもロールバイトFに近い側の領域であって、ストリッパ6ならびにそれにつながるフレーム6aよりもロールバイトFからみて出側寄りに設置されている。
そして、サーマルクラウン制御装置3は、図1(b)に示すように、被圧延材8の板端を含むワークロール19の胴長方向一部の領域の表面を蒸気にて加熱し、好ましくは、被圧延材8の板端を中心としてワークロール19の胴長方向に中心振分100mm以内の領域、あるいは当該被圧延材8の板端を起点としてワークロール19の胴長方向内側に100mm以内の領域から次回の被圧延材8の板端を起点としてワークロール19の胴長方向外側に100mm以内の領域までの領域について、その表面を蒸気にて加熱するように設置される。
【0032】
被圧延材8の板幅はそれぞれ異なる場合の方が多いため、当該の被圧延材8の板端を起点としてワークロール19の胴長方向内側に100mm以内の領域から次回の被圧延材8の板端を起点としてワークロール19の胴長方向外側に100mm以内の領域までの領域について、その表面を蒸気にて加熱するものであるところ、各種の被圧延材8の板幅の違いに伴う板端の位置の変動に追随して、ワークロール19の胴長方向一部の領域の表面を蒸気にて加熱する本発明のサーマルクラウン制御装置3も設置する必要があるが、その方法は問われない。例えば、被圧延材8の板幅に応じて移動する構造としても良いし、一定間隔で区切られた各室において蒸気噴射口を設置し、被圧延材8の板幅に応じて各蒸気噴射バルブの開閉を行う構造としても良い。
【0033】
次に、本発明の第二実施形態に係るサーマルクラウン制御装置及びこれを適用した圧延機について図を参照して説明する。
図2は、本発明の第二実施形態に係るサーマルクラウン制御装置を適用した圧延機の側面図である。
本発明の第二実施形態に係るサーマルクラウン制御装置1は、図2に示すように、ワークロール19の表面を冷却水wにて最初に冷却する領域Gと、サーマルクラウン制御装置3との間に、別なストリッパ6bとそれにつながるフレーム6cを介挿し、冷却水wが、サーマルクラウン制御装置3から噴射される蒸気がワークロール19の表面に当るのを、極力妨げないようにしている。
【0034】
さらに、本発明の第三実施形態に係るサーマルクラウン制御装置及びこれを適用した圧延機について図を参照して説明する。
図3は、本発明の第三実施形態に係るサーマルクラウン制御装置を適用した圧延機の側面図である。
本発明の第三実施形態に係るサーマルクラウン制御装置1は、図3に示すように、ストリッパ6のかわりに、フレーム6aの先端に、サーマルクラウン制御装置3が設置されている。
【0035】
さらに、本発明の第四実施形態に係るサーマルクラウン制御装置及びこれを適用した圧延機について図を参照して説明する。
図4は、本発明の第四実施形態に係るサーマルクラウン制御装置を適用した圧延機の側面図である。
本発明の第四実施形態に係るサーマルクラウン制御装置1は、図4に示すように、被圧延材8の先端が反って衝突した場合でも破損しない強度を確保した上で、サーマルクラウン制御装置3が、ロールバイトFの出側であってかつ、ストリッパ6ならびにそれにつながるフレーム6aよりもロールバイトF寄りに設置されている。
【0036】
さらに、本発明の第五実施形態に係るサーマルクラウン制御装置及びこれを適用した圧延機について図を参照して説明する。
図5は、本発明の第五実施形態に係るサーマルクラウン制御装置を適用した圧延機の側面図である。
本発明の第五実施形態に係るサーマルクラウン制御装置1は、図5に示すように、ワークロール19の表面を冷却水wにて最初に冷却する領域GよりもロールバイトFから遠い側の領域に、サーマルクラウン制御装置3が設置されている。その場合は、冷却装置4は、ワークロール19の回転方向A’にみた場合のロールバイトFの出側だけでなく、入側や回転方向A’にみた場合のその他の位置にも設置される。一般的にワークロール19の入側には被圧延材8をセンターリングする装置であるサイドガイド2が配置される。このサイドガイド2は被圧延材8の板幅に応じて開閉し、被圧延材8との相対位置は変化しない。そのため、サーマルクラウン制御装置3をサイドガイド2に配置することにより、駆動装置を追加することなく、安価にサーマルクラウン制御装置3を設置することが可能となる。
【0037】
以上、本発明の第一実施形態から第五実施形態に係るサーマルクラウン制御装置3及びこれを適用した圧延機1の構成について説明したが、かかるサーマルクラウン制御装置3及びこれを適用した圧延機1によれば比較的容易な制御でサーマルクラウンDを制御することが可能であり、かつ設備を安価に維持することが可能となる。そこで、以下に、上記サーマルクラウン制御装置3及びこれを適用した圧延機1の制御方法について説明する。
【0038】
まず初めに、蒸気加熱により比較的容易にサーマルクラウンDを制御可能な原理について説明する。簡便のため、まず、ワークロール19の胴長方向の全域を蒸気で加熱した場合を例に挙げて以下説明する。
図1〜5において、サーマルクラウン制御装置3は、ワークロール19で被圧延材8を実際に圧延している、ロールバイトFの出側であってかつ、ワークロール19の表面を、冷却装置4から噴射される冷却水wにて最初に冷却する領域GよりもロールバイトFに近い側または遠い側の領域に設置されている。このときのワークロール19の胴長方向の加熱・冷却範囲は、被圧延材8と同一幅の領域を冷却装置4にて冷却し、かつサーマルクラウン制御装置3で胴長方向全域を加熱する。
【0039】
被圧延材8との接触によるワークロール19の表面の加熱、冷却装置4から噴射される冷却水wによるワークロール19の表面の冷却、それぞれにおける伝熱による熱流束は、ワークロール19の胴長方向単位長さあたり、下記(1)式で示される。
q=∫Hα(T−TR) ・・・・・(1)
ここで、qはワークロール19の胴長方向単位長さあたりの伝熱による熱流束、Hは被圧延材8との接触や、冷却水wによる冷却により、ワークロール19の表面が加熱されたり冷却されたりする際の、ワークロール19の回転方向の、加熱、冷却範囲の長さ、αは熱伝達係数、Tは被圧延材8の表面または冷却水あるいはサーマルクラウン制御装置3から噴射される蒸気の温度、TRはワークロール19の表面の温度である。
【0040】
ワークロール19への伝熱による熱流束は、被圧延材8との接触による入熱q1、サーマルクラウン制御装置3から噴射される蒸気により加熱される分の入熱q2、冷却装置4により冷却される分の入熱q3の合計となる。
被圧延材8の胴長方向中央部Cに相当するワークロール19の位置の入熱をqaとすると、qaは下記(2)式で示される。
a=q1a+q2a+q3a ・・・・・(2)
【0041】
圧延すべき最大幅の被圧延材8と接触する領域よりも、ワークロール19の胴長方向にみて、さらに外側すなわち胴長端寄りの領域(板道外B)におけるある位置の入熱をqbとすると、qbは下記(3)式で示される。
b=q2b ・・・・・(3)
サーマルクラウンDは、被圧延材8の胴長方向中央部Cおよび板道外Bにおけるワークロールの入熱を同じにすれば、理論上、ゼロにできる。この条件から(2)式、(3)式より、下記(4)式が示される。
1a+q2a+q3a=q2b ・・・・・(4)
【0042】
そして、(4)式を満たすようにに、q1a、q2a、q3a、q2bを決めることにより、サーマルクラウンDを制御することが可能となる。
実際には、q1a、q3aは、ワークロール19の材質や寸法、それに回転速度や、被圧延材8の圧延時の温度や圧下率から決まるロールバイトFの回転方向長さ(いわゆる接触弧長)などの操業条件が、個々の被圧延材8ごとに異なるとともに、冷却装置4の寸法や冷却能力も、冷却水の温度により変動するが、それらの代表値や平均値に固定して考え、本発明のサーマルクラウン制御装置3の仕様を決めても実用上差し支えない。
いずれにせよ、それら代表値あるいは平均値によりq1a、q3aは決定されるので、q2a、q2bを決定するサーマルクラウン制御装置3の仕様は、Gのワークロール19の回転方向の長さL、熱伝達係数α、サーマルクラウン制御装置3から噴射される蒸気の温度Tを調整することにより行われる。
【0043】
しかしながら、ここで、図1〜図5に示した本発明の各種の実施形態のいずれの場合も、被圧延材8と接触する、胴長方向中央部Cに該当するワークロール19上の位置では、被圧延材8との接触により加熱される分と、加熱された後に、ほどなく、冷却装置4で冷却される分とが熱流束の大半を占めるため、ワークロール19の表面温度は60℃内外でサチュレートし、その結果として、同程度(といっても数十度の違いはありえるが)の温度の蒸気がサーマルクラウン制御装置3から噴射されても、被圧延材8と接触する胴長方向位置に該当するワークロール19上の位置では、それによる影響はほとんど受けず、結局のところ、蒸気によって加熱も冷却もほとんどされない。すなわち、蒸気の温度が多少高くて加熱され昇温する分が多少大きいとしても、次に冷却装置4から噴射される冷却水wとの温度差も大きく、冷却され降温する分も大きくなるため、蒸気とワークロール19の表面との温度差の実用上の誤差である数十度程度の誤差によっては、さほど影響を受けないのである。
【0044】
そのため、サーマルクラウン制御装置3がないとした場合に、被圧延材8と接触する胴長方向位置に該当するワークロール19上の位置にて、下記(5)式のごとく、入熱qa≒(q1a+q3a)と近似して考え、それがq2bと等しくなるように、サーマルクラウン制御装置3の仕様を調整すればよい。
1a+q3a=q2b ・・・・・(5)
【0045】
図6は、本発明を適用した場合の、ワークロール19の表面の温度履歴の概要を示した図である。なお、図6においては、横軸にθをとり、実線はワークロール19の胴長方向中央部C、破線は板道外Bのある位置の温度履歴を示している。
そして、サーマルクラウン制御装置3によれば、図6に示すように、ワークロール19において、胴長方向中央部Cの表面温度と板道外Bのある位置の表面温度とが、ほぼ同じ温度に漸近しているのが分かる。
【0046】
次に、圧延機1において、維持費を抑止するために蒸気による加熱を胴長方向で狭くしても問題ないことを示すため、初めにある板幅の被圧延材8を圧延する場合を考える。
図7(a)は、ワークロールにおいて、被圧延材の板幅と同一幅を冷却装置で冷却した場合を模式的に示す図である。図7(b)は、ワークロールにおいて、被圧延材の板幅と同一幅を冷却装置で冷却し、かつサーマルクラウン制御装置で胴長方向の全域を蒸気加熱した場合を模式的に示す図である。
ワークロール19において、被圧延材8の板幅と同一幅を冷却装置4で冷却した場合、図7(a)に示すように、板端部C´は胴長方向中央部Cに比べて被圧延材8の温度が低いこと、および板道外Bの温度が低く、胴長方向に熱が逃げてしまうために、熱膨張は胴長方向中央部Cに比べて小さい。そのため、圧延した際に被圧延材8にサーマルクラウンDの形状が転写されることにより板厚が不均一となる。
【0047】
次に、ワークロール19において、被圧延材8の板幅と同一幅を冷却装置4で冷却し、かつサーマルクラウン制御装置3で胴長方向の全域を加熱した場合、図7(b)に示すように、板端部C´を加熱すること、および板道外Bを加熱して板端部C´から板道外Bに逃げる熱を小さくすることにより、熱膨張は胴長方向中央部Cと板端部C´とで大きな差が発生しなくなる。
【0048】
ここで、ワークロール19においては、図7(b)の板道外Bは板端部C´から熱を逃がさないことが重要であり、それが実現できれば、胴長方向全域を加熱する必要まではない。また、胴長方向中央部Cも全域を加熱する必要まではなく、板端部C´またはその周辺のある程度の幅を加熱できていればよい。つまり、ワークロール19においては、被圧延材8の板端部C´のある領域さえ加熱してやれば、板厚が不均一になることなく圧延可能であり、これが、本発明の発想のポイントである。
【0049】
図8は、サーマルクラウン制御装置による加熱幅を変更した場合における、ワークロールの胴長方向のサーマルクラウン分布を示す図である。
図8に示すように、被圧延材8の板端を中心としてワークロール19の胴長方向に中心振分50mm以内の領域を加熱した場合も、後述の実施例において図14中の比較例として示した、蒸気による加熱を一切行わないものと比べれば、相当にサーマルクラウンDを均一に近づける効果があるものの、被圧延材8の板端を中心としてワークロール19の胴長方向に中心振分100mm以内の領域を加熱すれば、事実上、全く板厚が不均一となることなく圧延可能になるため、なかでも好ましいことが分かった。
【0050】
次に、上述の被圧延材8の板端を中心としてワークロール19の胴長方向に中心振分100mm以内の領域を加熱するサーマルクラウン制御装置3を使用し、板幅の異なる2本の被圧延材8を圧延する場合を考える。
図9(a)は、サーマルクラウン制御装置を使用し、板幅の異なる2本の被圧延材を圧延する場合において、1本目よりも2本目の被圧延材の板幅が狭い場合を示す図である。図9(b)は、サーマルクラウン制御装置を使用し、板幅の異なる2本の被圧延材を圧延する場合において、1本目よりも2本目の被圧延材の板幅が広い場合を示す図である。ここで、2本目として示したものは、1本目を圧延後に2本目を圧延したときに重ね合わせてできるサーマルクラウンDのようすである。図10は、サーマルクラウン制御装置により、1本目の被圧延材の板端を起点として100mm内側までの領域から2本目の圧延材の板端を起点として100mm外側までの領域をカバーする領域を蒸気で加熱する場合を示す図である。
【0051】
サーマルクラウン制御装置3を使用し、板幅の異なる2本の被圧延材8を圧延する場合において、1本目よりも2本目の被圧延材8の板幅が狭い場合、図9(a)に示すように、1本目の圧延により形成されるサーマルクラウンDの胴長方向の幅は2本目の被圧延材8の板幅よりも広いため、2本目を圧延後、サーマルクラウンDは、その絶対値は大きくなるものの、2本目も1本目と同様に胴長方向中央部Cおよび板端部C´ではほぼ均一の大きさとなり、わずかに2本目の被圧延材8の最幅端部にかかる領域にやや均一から変動する部分D´がかかるにすぎない。このため、2本目の被圧延材8には、実害が生じる程度の板厚の不均一な部分は発生せず、品質上何ら問題は生じない。
【0052】
一方、サーマルクラウン制御装置3を使用し、板幅の異なる2本の被圧延材8を圧延する場合において、1本目よりも2本目の被圧延材8の板幅が広い場合、図9(b)に示すように、1本目の圧延により形成されるサーマルクラウンDの胴長方向の幅は2本目の被圧延材8の板幅よりも狭いため、1本目の圧延により形成されたサーマルクラウンDが、2本目の被圧延材8の板幅中央域に集中して転写され、1本目の板道外Bであってかつ2本目の胴長方向中央部Cに略相当する部分に板厚が不均一の部分ができ、品質上問題となる。
【0053】
このため、サーマルクラウン制御装置3により、当該(1本目)の被圧延材8の板端を起点として100mm内側までの領域から次回(2本目)の被圧延材8の板端を起点として100mm外側までの領域をカバーする領域を蒸気で加熱することで、図10に示すように、1本目の圧延により形成されるサーマルクラウンDの胴長方向の幅は、蒸気での加熱により、2本目の被圧延材8の板幅よりも広くなるため、図9(b)における問題は解消され、2本目を圧延後、サーマルクラウンDは、2本目も1本目と同様に胴長方向中央部Cおよび板端部C´でほぼ均一の大きさとなる。
【0054】
本発明に係るサーマルクラウン制御装置3を適用する場合には、板厚および圧延スケジュールに合わせ、上述の内容を鑑みて装置を設計する必要があり、以下にその例を示す。
図11は、ある圧延スケジュールでの圧延順の被圧延材の板幅の分布を示す図である。
熱間圧延では、被圧延材8へのサーマルクラウンDの転写を考慮し、図11に示すような圧延スケジュールを組むのが一般的である。圧延スケジュールとは、ここでは、あるワークロール19で圧延される被圧延材郡の圧延順板幅構成を意味するものであり、Mの領域には、ワークロール19を研磨したてのものに交換してまもなく、被圧延材8からの入熱によるサーマルクラウンDの変動が大きいため、従来は、板厚が不均一になりにくい、または不均一になっても品質上問題のない被圧延材8が充当され、圧延されていた。この領域Mは領域Nの準備段階であり、被圧延材8の板幅は基本的に圧延が進むごとに広くなっていく。領域Nでは、領域Mで被圧延材8からの入熱によりある程度のサーマルクラウンDが形成されはするものの、その変動が小さい領域である。板厚が不均一になると品質上問題が発生する被圧延材8については、この領域Nで圧延される。領域Nでは、被圧延材8の板幅は基本的に圧延が進むごとに狭くなっていく。
【0055】
一般的に板厚が不均一になると品質上の問題が発生する被圧延材8は図11の領域Nで圧延されるため、図9(a)に示す場合に相当する。このときのサーマルクラウン制御装置3で必要な加熱領域は、被圧延材8の板端を中心としてワークロール19の胴長方向に中心振分100mm以内の領域で十分である。
しかしながら、図11の領域Mの場合にも、板厚が不均一になると品質上問題のある被圧延材8を充当したいという技術的な要求は強く、その場合は、上述の通り、図10でも示したように、当該(1本目)の被圧延材8の板端を起点として100mm内側までの領域から次回(2本目)の被圧延材8の板端を起点として100mm外側までの領域を加熱することが可能な装置とすれば十分であるため、そのような領域をカバーするワークロール19の胴長方向寸法をもった装置が必要となる。
【0056】
一般的には、被圧延材8の板幅は急激に変動することはなく、当該(1本目)の被圧延材8と次回(2本目)の被圧延材8とで、300mm内外の変動にとどまるが、操業上許容される最大板幅差に、当該(1本目)の被圧延材8の板端を起点として100mm内側までと、次回(2本目)の被圧延材8の板端を起点として100mm外側まで、の合計200mmを加算した、ワークロール19の胴長方向寸法をもった装置とすればよい。
【0057】
このため、本発明に係るサーマルクラウン制御装置3は、第一義的には、そのような装置を一体のものとして固定設置し、そこに蒸気の配管を接続して、ワークロール19の表面に向けて蒸気の噴射をオンオフできるようにするのが好ましい。
しかしながら、当該(1本目)の被圧延材8と次回(2本目)の被圧延材8とで、操業上許容されている最大板幅差を生じるようなケースは、実操業上、さほど多くはない。そこで、サーマルクラウン制御装置3を、ワークロール19の胴長方向にいくつかに分け、個々に蒸気の噴射をオンオフできるように構成してもよい。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例を説明する。図12は、蒸気の流量密度と熱伝達係数との関係を示す図である。図13は、蒸気の流量密度と飽和蒸気温度との関係を示す図である。図14は、本発明を適用した場合(実施例)、特許文献4に係る発明を適用した場合およびサーマルクラウン制御装置を使用しなかった場合(比較例)のサーマルクラウンの変化のようすを示した図である。なお、蒸気の流量密度は、ワークロール19の回転方向150mm、胴長方向100mm当りの蒸気流量を示している。
蒸気によるワークロール19の加熱は、蒸気がワークロール19に接触したときに、蒸気の潜熱が熱流束となってワークロール19側に伝熱するものであるが、この伝熱による熱流束が、前述の(5)式で表される関係を満たすように、サーマルクラウン制御装置3の仕様を決定すればよい。
【0059】
胴長方向中央部Cに該当するワークロール19上の位置で、被圧延材8との接触により加熱される分q1aと、加熱された後に、ほどなく、冷却装置4で冷却される分q3aと、の合計分q1a+q3aは、上述の、ワークロール19の材質や寸法それに回転速度や、被圧延材8の圧延時の温度や圧下率から決まるロールバイトFの回転方向長さ(いわゆる接触弧長)などの操業条件、あるいは、冷却水wの温度を、それぞれ代表値あるいは平均値に固定して考えると、計算により求められる(その計算の過程は非常に煩雑であるため省略する)が、平均値に固定した場合で、10本の被圧延材8を熱間圧延後にワークロール19の表面温度を測定したときに、経験的に60℃、という条件とあわせると、被圧延材8との接触により加熱される分q1aと、加熱された後に、ほどなく、冷却装置4で冷却される分q3aと、は、両者をトータルして平均化してみた場合に、熱伝達係数に換算して、大体、50000kcal/m2Hr℃(58.3W/m2℃)であることがわかった。
【0060】
ここで、サーマルクラウン制御装置3から噴射される蒸気によって、ワークロール19の表面が加熱される際の熱伝達係数であるが、これは、実験により求める。図5に示した実施の形態の場合における実験結果を示したのが、上述の図12、図13である。
サーマルクラウン制御装置3から噴射される蒸気によって、ワークロール19の表面が加熱される際の熱伝達係数を50000kcal/m2Hr℃(58.3W/m2℃)とするためには、サーマルクラウン制御装置3から噴射される蒸気により、ワークロール19の表面が加熱される際の、ワークロール19の回転方向の、加熱範囲の長さHを、150mmと仮に設定した場合、本実験結果より、蒸気の流量密度は、40kg/Hr/(150mm×100mm)とするとちょうどよく、また、そうするためには、飽和蒸気温度Tを、105℃とするとちょうどよいことになる。これらの値は、帯鋼の熱間圧延ライン100などでごく通常用いられている蒸気の仕様に近い。ところで、最初に仮にHを150mmと設定したのは図5中に図示していない他の機器との取り合い上、最大でそれだけしか設置スペースがとれなかったためである。
【0061】
本発明のサーマルクラウン制御装置を、図16に示した熱間圧延ライン100での実操業に適用し、幅1200mm、仕上圧延後の被圧延材8の厚み1.2mm、の被圧延材を1本圧延した場合(実施例)、特許文献4に係る発明を適用した場合、および同条件で本発明のサーマルクラウン制御装置3を適用しなかった場合(比較例)、それぞれについて、圧延直後にワークロール19を圧延機から抜き出し、サーマルクラウンDの高さを測定した結果が、上述の図14である。図から明らかなように、本発明のサーマルクラウン制御装置3を適用しなかった場合の比較例に対し、本発明のサーマルクラウン制御装置3を適用した実施例では、大幅にサーマルクラウンDが低減していることが分かる。さらに、本発明のサーマルクラウン制御装置3を適用した実施例では、特許文献4のものに比べて20%の蒸気量しか使用していないにも関わらず、特許文献4のものと同等にサーマルクラウンDを低減していることが分かる。
【0062】
以上の通りであるが、本発明は、以上述べた実施の形態に限るものではない。例えば、サーマルクラウン制御装置3から噴射される蒸気の仕様は、上記説明中の温度や流量密度の値に一意に決まるものではなく、ワークロール19の材質、寸法、回転速度、被圧延材8の圧延時の温度、接触弧長などの操業条件、冷却水wの温度などの代表値あるいは平均値から決まる、ワークロール19が被圧延材8との接触により加熱される分q1aと、加熱された後に、ほどなく、冷却装置4で冷却される分q3aと、の両者をトータルして平均化してみた場合の、換算熱伝達係数に達すれば、いかようにも調整でき、その意味からすると、ワークロール19の回転方向の、加熱範囲の長さHも、必ずしも150mmとする必要はなく、適宜に調整しうる。
【0063】
もちろん、サーマルクラウン制御装置3の実施の形態も、図1のものに限る必要はなく、図2〜5のものはもちろんであるが、本発明の第一義的な要件、すなわち、被圧延材8の板端を含むワークロール19の胴長方向一部の領域の表面を蒸気にて加熱するもの、そして、当該の被圧延材8の板端と次回の被圧延材8の板端を含むワークロール19の胴長方向一部の領域の表面を蒸気にて加熱するものであればいかなるものでもよい。
【0064】
また、本発明のサーマルクラウン制御装置3は、熱間圧延ラインの仕上圧延機だけでなく、粗圧延機に適用したとしても、何らこれを妨げる理由はなく、また、熱間圧延ラインのみならず、図15に示すような、冷間圧延ライン200に設置したとしても、何らこれを妨げる理由はない(冷間圧延に伴う加工発熱によりワークロール表面がやはり50〜60℃内外に昇温することが知られている)。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第一実施形態に係るサーマルクラウン制御装置を適用した圧延機の概略配置図である。
【図2】本発明の第二実施形態に係るサーマルクラウン制御装置を適用した圧延機の側面図である。
【図3】本発明の第三実施形態に係るサーマルクラウン制御装置を適用した圧延機の側面図である。
【図4】本発明の第四実施形態に係るサーマルクラウン制御装置を適用した圧延機の側面図である。
【図5】本発明の第五実施形態に係るサーマルクラウン制御装置を適用した圧延機の側面図である。
【図6】本発明を適用した場合の、ワークロール19の表面の温度履歴の概要を示した図である。
【図7】サーマルクラウン制御装置の効果の検証を示す図である。
【図8】サーマルクラウン制御装置による加熱幅を変更した場合における、ワークロールの胴長方向のサーマルクラウン分布を示す図である。
【図9】サーマルクラウン制御装置を使用し、板幅の異なる2本の被圧延材を圧延する場合の効果の検証を示す図である。
【図10】サーマルクラウン制御装置により、1本目の被圧延材の板端を起点として100mm内側までの領域から2本目の被圧延材の板端を起点として100mm外側までの領域をカバーする領域を蒸気で加熱する場合を示す図である。
【図11】ある圧延スケジュールでの圧延順の被圧延材の板幅の分布を示す図である。
【図12】蒸気の流量密度と熱伝達係数との関係を示す図である。
【図13】蒸気の流量密度と飽和蒸気温度との関係を示す図である。
【図14】本発明を適用した場合(実施例)、特許文献4に係る発明を適用した場合(特許文献4)およびサーマルクラウン制御装置を使用しなかった場合(比較例)のサーマルクラウンの変化のようすを示した図である。
【図15】冷間圧延ラインの一例を示す概略構成図である。
【図16】熱間圧延ラインの一例を示す概略構成図である。
【図17】サーマルクラウンのようすを示す図である。
【図18】腹延びのようすを示す図である。
【図19】腹延びにより被圧延材に穴があくようすを示す図である。
【図20】特許文献1に係る圧延機の概略構成図である。
【図21】特許文献2に係る圧延機の概略構成図である。
【図22】特許文献3に係る圧延機の概略構成図である。
【符号の説明】
【0066】
1 圧延機
2 サイドガイド
3 サーマルクラウン制御装置
4 冷却装置
5 ワイパ
5a フレーム
6、6b ストリッパ
6a、6c フレーム
8 被圧延材
9 幅プレス
10 加熱炉
12 粗圧延機
13 エッジャーロール
14 クロップシャー
15 仕上入側温度計
16 デスケーリング装置
18 仕上圧延機
19 ワークロール
20 バックアップロール
21 仕上出側温度計
22 冷却ゾーン
23 ランナウトテーブル
24 コイラー
25 コイラー入側幅計
26 巻出リール
27 接合機
28 ループ設備
29 切断機
30 巻取リール
50 制御装置
70 プロセスコンピュータ
90 ビジネスコンピュータ
100 熱間圧延ライン
200 冷間圧延ライン
A 搬送方向
A’ ワークロールの回転方向
B 板道外
C ワークロールの胴長方向中央部
C’ ワークロールの板端部
D サーマルクラウン
E 蒸気加熱装置の開口部
F ロールバイト
G ワークロールの表面を冷却水にて最初に冷却する領域
H 加熱範囲の長さ
L Gのワークロールの回転方向の長さ
M 被圧延材の板幅が広くなる領域
N 被圧延材の板幅が狭くなる領域
V バルブ
θ ロールバイトの出側端を基準としたときに、ワークロールの回転方向A’にみた角度




 

 


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