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塗装鋼板 - JFEスチール株式会社
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発明の名称 塗装鋼板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−168273(P2007−168273A)
公開日 平成19年7月5日(2007.7.5)
出願番号 特願2005−369347(P2005−369347)
出願日 平成17年12月22日(2005.12.22)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 尾形 浩行 / 藤林 亘江
要約 課題
深絞り加工性、張り出し加工性、曲げ加工性、耐食性および電磁波シールド性に優れる塗装鋼板を提供する。

解決手段
合金化溶融亜鉛めっき層を有するめっき鋼板の両面にクロムを含有しない化成処理皮膜を有し、一方の面の化成処理皮膜の上に下塗り塗膜を有し、該下塗り塗膜の上に上塗り塗膜を有し、該上塗り塗膜は、ガラス転移温度が10℃〜50℃のポリエステル樹脂、および平均粒子径が3〜40μmで、かつガラス転移温度が70℃〜120℃の樹脂粒子を含有することを特徴する塗装鋼板である。
特許請求の範囲
【請求項1】
鋼板の両面に、亜鉛系めっき層および該めっき層の上にクロムを含有しない化成処理皮膜を有し、一方の面の化成処理皮膜の上に下塗り塗膜を有し、該下塗り塗膜の上に上塗り塗膜を有し、該上塗り塗膜は、ガラス転移温度が10℃〜50℃のポリエステル樹脂、および平均粒子径が3〜40μmで、かつガラス転移温度が70℃〜120℃の樹脂粒子を含有することを特徴する塗装鋼板。
【請求項2】
他方の面のめっき層の表面粗さがJIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さRaが0.6〜1.3μmであることを特徴とする請求項1記載の塗装鋼板。
【請求項3】
他方の面の化成処理皮膜の上に有機樹脂層を有することを特徴とする請求項1または2記載の塗装鋼板。
【請求項4】
前記有機樹脂層はNi粒子を含有することを特徴とする請求項3記載の塗装鋼板。
【請求項5】
前記Ni粒子の平均粒子径は前記有機樹脂層の膜厚の10〜150%であることを特徴とする請求項4記載の塗装鋼板。
【請求項6】
前記有機樹脂層の膜厚が0.2〜3μmであることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項記載の塗装鋼板。
【請求項7】
前記上塗り塗膜の膜厚が7〜18μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の塗装鋼板。
【請求項8】
前記下塗り塗膜の膜厚が1〜10μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の塗装鋼板。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項記載の塗装鋼板を使用した部材。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項記載の塗装鋼板を使用した薄型テレビ用パネル。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス加工性、曲げ加工性、耐食性および電磁波シールド性に優れる塗装鋼板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年需要が伸びているプラズマディスプレーパネルや液晶テレビなどの薄型TVは特に大型であり、その背面パネルは意匠性が必要なため、塗装鋼板に深絞り、張り出し等のプレス加工や曲げ加工を施し、パネルに成形する。深絞り、張り出しプレス加工の際、塗膜表面に加工ダメージを受け疵が付くことは商品価値を著しく低下させる。また曲げ加工時に塗膜割れが生じることも商品価値の低下に繋がり好ましくない。このように薄型TVの背面パネル用鋼板には、プレス加工性、曲げ加工性を確保することが重要である。
【0003】
これまでのプレス加工性を向上させる方法としては例えば特許文献1に示されるようにガラス転移温度と数平均分子量および水酸基価の特定された下塗り塗膜と上塗り塗膜を形成することを特徴とするものがほとんどである。すなわち下塗りには主にその下層の化成処理層との密着性、上塗りには主に皮膜自体の硬度を有すよう設計することにより機能分担しプレス加工性を発現させている。しかしながら、皮膜自体の硬度を発現させるためにガラス転移温度を高めると塗膜は硬く脆くなり曲げ加工性との両立が困難である。
【0004】
一方近年、エレクトロニクス化が急速に発展し、電磁波ノイズが他の電子機器の誤作動を起こすことによる事故の誘発や、一般家庭内においてもパーソナルコンピューターなどの普及により、テレビ受像などに電磁波障害を及ぼすことが増加している。さらに、電磁波が人体に悪影響を及ぼすことも示唆されており、電磁波シールドに対する規制もますます厳しくなってきている。また家電製品の大型化などにより、従来に比べノイズシールドが困難となってきており、電磁波シールド技術の向上が必要となっている。
【0005】
従来、従来電磁波シールド技術として、所定の下地鋼板の表面粗さおよび塗膜厚を有するプレコート鋼板(特許文献2)、クロメート皮膜の上に樹脂が分散した導電性表面処理鋼板(特許文献3)、また片面に所定の熱放射率の塗膜、他方の面に合計膜厚が3μm以下の被膜を有する表面処理金属板(特許文献4)が開示されている。
【0006】
また背面に用いられるパネルにはより高度な電磁波シールド技術が必要となっている。これは、大型化のためネジ間隔が広くなることなどが原因で電磁波が漏洩する隙間ができやすく、電磁波シールド性には不利な方向であり、これらの開示された技術では不十分となってきている。
【0007】
本来、電磁波ノイズは、発生源を含む筐体がFeなどの導電性物質に囲われアースが取られていれば、外部にノイズとして漏洩せず問題にならない。つまり、筐体内面が未塗装の鋼板や亜鉛めっき鋼板などで導電性を有するものであれば問題は無い。しかし、筐体外面はもとより内面においても、耐食性や意匠性の付与のため、非導電性皮膜を有する鋼板が多く用いられている。
【0008】
そのため、導電性を必要とする筐体内面に使用される側の面に、薄膜のクロメートなどの化成処理を施したもの、前記化成処理を行った後導電性物質を含有させた樹脂組成物(塗料)を塗布したものなどが用いられてきた。しかし、近年環境の観点よりCrを使用しないクロメートフリー鋼板が主流となってきている。同一膜厚ではクロメートに比べクロメートフリー化成処理皮膜の耐食性は低下するため、従来のクロメート処理に比べて厚膜化が必要となり、電磁波シールド性はさらに不十分となってきている。
【特許文献1】特開2005−82623号公報
【特許文献2】特開昭63−7878号公報
【特許文献3】特開昭63−114635号公報
【特許文献4】特開2004−243310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、プレス加工性、曲げ加工性、耐食性および電磁波シールド性に優れる塗装鋼板を提供することである。
また、本発明の課題は、意匠性を有し、プレス加工、曲げ加工されても優れた耐食性および電磁波シールド性を有する部材ならびに薄型テレビ用パネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の要旨は次のとおりである。
(1)鋼板の両面に、亜鉛系めっき層および該めっき層の上にクロムを含有しない化成処理皮膜を有し、一方の面の化成処理皮膜の上に下塗り塗膜を有し、該下塗り塗膜の上に上塗り塗膜を有し、該上塗り塗膜は、ガラス転移温度が10℃〜50℃のポリエステル樹脂、および平均粒子径が3〜40μmで、かつガラス転移温度が70℃〜120℃の樹脂粒子を含有することを特徴する塗装鋼板。
【0011】
(2)他方の面のめっき層の表面粗さがJIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さRaが0.6〜1.3μmであることを特徴とする(1)記載の塗装鋼板。
(3)他方の面の化成処理皮膜の上に有機樹脂層を有することを特徴とする(1)または(2)記載の塗装鋼板。
(4)前記有機樹脂層はNi粒子を含有することを特徴とする(3)記載の塗装鋼板。
【0012】
(5)前記Ni粒子の平均粒子径は前記有機樹脂層の膜厚の10〜150%であることを特徴とする(4)記載の塗装鋼板。
(6)前記有機樹脂層の膜厚が0.2〜3μmであることを特徴とする(3)〜(5)のいずれかに記載の塗装鋼板。
(7)前記上塗り塗膜の膜厚が7〜18μmであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の塗装鋼板。
【0013】
(8)前記下塗り塗膜の膜厚が1〜10μmであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の塗装鋼板。
(9)(1)〜(8)のいずれかに記載の塗装鋼板を使用した部材。
(10)(1)〜(8)のいずれかに記載の塗装鋼板を使用した薄型テレビ用パネル。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、プレス加工性、曲げ加工性、耐食性および電磁波シールド性に優れる塗装鋼板を得ることができる。本発明の塗装鋼板を使用し製造した部材は、加工後の耐食性だけでなく、電磁波シールド性にも優れる。
【0015】
本発明の塗装鋼板は、加工後の耐食性だけでなく、さらに電磁波シールド性が要求される電子機器及び家電製品等の用途で使用される部材に好適に使用できる。本発明の塗装鋼板をプラズマディスプレーパネルや液晶テレビなどの薄型TVの背面パネルに使用すると、大型のパネルであっても優れた電磁波シールド性が発現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
[めっき層]
本発明の塗装鋼板の鋼板は両面に亜鉛系めっき層を有する。亜鉛系めっき層は耐食性に優れる。また、亜鉛系めっき層は化成処理皮膜との密着性が優れるために、本発明の塗装鋼板は加工後の耐食性に優れる。また、該めっき層は導電性を有するので、該めっき層の上に化成処理皮膜を形成したとき、あるいは該化成処理皮膜の上に有機樹脂層を形成したときに導通点として作用し、本発明の塗装鋼板の電磁波シールド性が発現される。
【0017】
亜鉛系めっき層としては、亜鉛を含有するめっき層であればよく、特に限定されるものではないが、片面あたりの付着量が30〜40g/m、Fe含有率が7〜10質量%の合金化溶融亜鉛めっき層、同付着量が10〜60g/mの電気亜鉛めっき層、同付着量が30〜100g/mの溶融亜鉛めっき層、同付着量が90〜150g/m、Al含有率が4〜5質量%の溶融亜鉛−アルミニウムめっき層、黒色化処理後の電気亜鉛−ニッケル合金めっき層などが好ましい。電気亜鉛めっき層、溶融亜鉛めっき層、溶融亜鉛−アルミニウムめっき層、黒色化処理後の同付着量が10〜40g/m、Ni含有率が9〜13質量%の電気亜鉛−ニッケル合金めっき層などが好ましい。
【0018】
[他方の面の表面粗さ]
後述する下塗り皮膜、上塗り皮膜を有する一方の面とは反対側の、他方の面のめっき層の表面粗さはJIS B0601−1994に規定される算術平均粗さRaが0.6〜1.3μmであることが好ましい。電磁波シールド性を必要とされる筐体内面側となる他方の面のRaを0.6μm以上とすることによって、優れた電磁波シールド性を確保することが可能となる。また、Raを1.3μm以下とすることによって優れた耐食性を保持できる。めっき層の表面粗さはめっき層が形成された後の調質圧延を行う際に圧延ロールの表面粗さ等の調質圧延条件を適宜条件に調整することで前述の粗さに容易に調製できる。電気めっき層の場合には、めっき前の圧延ロールの表面粗さ等の圧延条件を適宜条件に調整することでも前述の粗さに容易に調製できる。
【0019】
[化成処理皮膜]
亜鉛系めっき層を有するめっき鋼板の両面に化成処理皮膜を有する。化成処理皮膜は、環境の観点よりクロムを含有しない化成処理皮膜とする。この化成処理皮膜は、主としてめっき層と、下塗り塗膜、上塗り塗膜からなる塗膜との密着性向上のために形成される。密着性を向上するものであればどのようなものでも支障はないが、密着性だけでなく耐食性を向上できるものがより好ましい。密着性と耐食性の点からシリカ微粒子を含有し、耐食性の点からリン酸及び/又はリン酸化合物を含有することが好ましい。シリカ微粒子は、湿式シリカ、乾式シリカのいずれを用いても構わないが、密着性向上効果の大きいシリカ微粒子、特に乾式シリカが含有されることが好ましい。リン酸やリン酸化合物は、例えば、オルトリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸など、これらの金属塩や化合物などのうちから選ばれる1種以上を含有すれば良い。さらに、樹脂、シランカップリング剤などの1種以上を添加してもよい。
【0020】
化成処理皮膜は、膜厚が薄いと密着性、耐食性に不利となる傾向にあり、また膜厚が厚いと電磁波シールド性に不利となる傾向にあるので、0.2〜1.0μmが好ましい。
【0021】
このような化成処理皮膜を有することにより、従来のクロメート皮膜と同程度の耐食性、密着性を有する。
【0022】
[一方の面の塗膜]
一方の面には、化成処理皮膜の上に、下塗り塗膜、該下塗り塗膜の上に上塗り塗膜を有する。
【0023】
下塗り塗膜は主に耐食性の向上に寄与するものであり、ポリエステル樹脂にCaイオン交換シリカなどの防錆顔料を含有する下塗り塗料を塗布して形成することが好ましい。下塗り塗膜は曲げ加工性を発現するために柔軟性を有することが好ましく、下塗り塗料のポリエステル樹脂のガラス転移温度は10℃〜50℃であることが好ましい。さらに良好な耐食性を得るためには、Caイオン交換シリカの下塗り塗膜中の含有量は10〜60質量%とすることが好ましい。
【0024】
下塗り塗膜は、膜厚が1μm未満になると防錆顔料が不足するために耐食性に不利となり、10μmを超えると曲げ加工性に不利となるので、膜厚は1〜10μmが好ましい。
【0025】
上塗り塗膜は、優れたプレス加工性と曲げ加工性を確保するために、ガラス転移温度が10℃〜50℃のポリエステル樹脂に平均粒子径が3〜40μmで、かつガラス転移温度が70℃〜120℃の樹脂粒子を含有することを必要とする。
【0026】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度が10℃未満では曲げ加工性に優れるが塗膜の硬度不足によってプレス加工性が劣る。ガラス転移温度が50℃超では曲げ加工性が劣化する。ガラス転移温度が10〜50℃の範囲では、プレス加工性、曲げ加工性共に良好となる。
【0027】
さらに、ガラス転移温度が10℃〜50℃のポリエステル樹脂を含有する上塗り塗膜中に、平均粒子径が3〜40μmで、かつガラス転移温度が70℃〜120℃の樹脂粒子を含有させることで、曲げ加工性を確保しつつ、プレス加工性を向上させる。含有させる樹脂粒子の平均粒子径とガラス転移温度を上記のように規定したのは、次の理由による。
【0028】
樹脂粒子は潤滑剤、または金型と下地化成処理皮膜との接触抑制効果を有するものとして作用し、プレス加工性を向上させる。樹脂粒子の平均粒子径が3μm未満の場合は潤滑剤としての効果、または金型と下地化成処理皮膜の接触抑制効果が不十分でプレス加工性向上効果がなくなり、40μm超えの場合は樹脂粒子自体が塗膜から剥離し、摺動抵抗が大きくなり深絞り加工性が劣化する。また樹脂粒子のガラス転移温度が70℃未満の場合は樹脂粒子の硬度が不足し、120℃超えの場合は樹脂粒子自体が加工により凝集破壊し、いずれもプレス加工性が劣る。
【0029】
樹脂粒子の平均粒子径は塗膜断面を光学顕微鏡で観察し、各樹脂粒子の最大径とそれに直交する径との平均径を各粒径とし、少なくとも3視野を観察し、観察視野内で求めた粒径の平均値とする。
【0030】
特に優れたプレス加工性向上効果を発現させるには、樹脂粒子の含有量は、塗膜中に5〜20質量%含有させることが好ましい。
【0031】
樹脂粒子の樹脂種は特に限定されず、例えばアクリル樹脂、ナイロン樹脂等を使用できる。
【0032】
上塗り塗膜にポリオレフォン系、フッ素系ワックスを含有させることでプレス加工性をさらに向上させることができる。ポリオレフォン系の場合軟化点を、フッ素系の場合結晶化度を、適宜選択して使用することが好ましい。ポリオレフィン系ワックスの軟化点が70℃未満であるとコイル保管時や背面パネルとして使用時にワックスが軟化して溶け出すおそれがあり、また、140℃超えではプレス時の摺動性改善効果が少なくなる。そのため、ポリオレフォン系ワックスは、軟化点が70℃〜140℃のものを使用することが好ましい。
【0033】
ワックスの添加量が、塗膜中で0.4質量%未満になるとプレス加工性をさらに向上させる効果が十分でなく、また2.0質量%を超えるとその効果が飽和状態に近づき、また、コスト的にも不利なため、0.4〜2.0質量%が好ましい。
【0034】
さらに、上塗り塗膜には、着色のために酸化チタンやカーボンブラック、また外観の意匠性の点からアルミ片などを適宜添加しても構わない。
【0035】
上塗り塗膜の厚さは7〜18μmが好ましい。7μm未満の場合にはプレス加工性に不利となり、18μm以上では外観不良が発生するおそれがあるためである。
【0036】
[他方の面の塗膜]
他方の面は、上述のクロムを含有しない化成処理皮膜を有することで、従来のクロメート皮膜と同程度の耐食性と密着性を有する。
【0037】
耐食性の要求度がそれほど高くない用途には、この他方の面はクロムを含有しない化成処理皮膜だけを形成し、特に電磁波シールド性を優れた塗装鋼板として提供できる。
【0038】
また、耐食性の要求度が高い用途には、この他方の面は、化成処理皮膜の上に有機樹脂層を設けて耐食性を向上させることが好ましい。有機樹脂層の有機樹脂種としてはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。有機樹脂層はCaイオン交換シリカを含有することがさらに優れた耐食性を得るために好ましい。
【0039】
さらに、電磁波シールド性を向上させるためには、この有機樹脂層に、Ni粒子を含有させることが好ましい。
【0040】
従来より、電磁波シールド性は鋼板表面の抵抗値、つまり導電性で評価されているが、本願では実施例で記載するように筐体を用い、筐体から漏洩する電磁波強度を測定することにより直接電磁波シールド性を評価した。その結果、電磁波シールド性の評価には導電性の評価では不十分であることが分かった。つまり、導電性の測定限界以下でも電磁波シールド性は変化していることがわかった。そこで、本願では、筐体から漏洩する電磁波強度を測定して直接電磁波シールド性を評価した。その結果、有機樹脂層に、平均粒子径を特定範囲に規定したNi粒子を含有させることで、電磁波シールド性を顕著に向上できることがわかった。
【0041】
良好な電磁波シールド性を発現させるには、Ni粒子の平均粒子径は有機樹脂層の膜厚の10〜150%であることが好ましい。有機樹脂層中にNi粒子を含有することで、低荷重であっても塗膜が変形し、めっき層とNi粒子が導通し、優れた電磁波シールド性が発現される。
【0042】
Ni粒子の平均粒径が有機樹脂層の膜厚の10%未満では、めっき層とNi粒子が導通されにくくなり、またNi粒子の平均粒径が有機樹脂層の膜厚の150%超えになると、耐食性が低下するだけでなく有機樹脂層からNi粒子が剥離するおそれがある。
【0043】
Ni粒子の平均粒子径は有機樹脂層断面を光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察し、各粒子の最大径とそれに直交する径との平均径を各粒径とし、観察視野内で求めた粒径の平均値とする。
【0044】
有機樹脂層の膜厚は断面を光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察し、1視野につき任意の3箇所の膜厚を求め、少なくとも5視野を観察し、合計15箇所以上の平均値とする。この場合、Ni粒子が有機樹脂層より露出している部分は計測しない。
【0045】
化成処理皮膜、下塗り塗膜、上塗り塗膜の膜厚についても、上記有機樹脂層の膜厚と同様にして求める。皮膜、塗膜から露出した防錆顔料、樹脂粒子の部分は計測しないこととする。
【0046】
Ni粒子の含有量が少ないと電磁波シールド性に不利となり、またNi粒子の含有量が多過ぎるとNi粒子が剥離するおそれがあるので、Ni粒子の含有量は10〜30質量%が好ましい。
【0047】
有機樹脂層の膜厚が0.2μm未満では耐食性に不利となり、また3μm超えでは電磁波シールド性に不利となるので、0.2〜3μmが好ましい。
【0048】
上記化成処理皮膜、下塗り塗膜、上塗り塗膜、有機樹脂層の形成方法は特に限定されない。上記化成処理皮膜、塗膜、有機樹脂層を構成する成分を有する、化成処理液、下塗り塗料、上塗り塗料、有機樹脂塗料をめっき鋼板に例えばロールコーター塗装、カーテンフロー塗装などの方法で順次塗布したのち加熱することにより形成できる。
【0049】
本発明の塗装鋼板は、プレス加工性、曲げ加工性、耐食性および電磁波シールド性に優れる。この塗装鋼板を使用した部材は、加工後の耐食性だけでなく、電磁波シールド性にも優れる。
【0050】
上述の塗装鋼板は、深絞り加工、張り出し加工、曲げ加工のうちのいずれか1以上の加工が施され、加工後の耐食性だけでなく、さらに電磁波シールド性が要求される電子機器及び家電製品等の用途で使用される部材に好適である。例えばプラズマディスプレーパネルや液晶テレビなどの薄型TVの背面パネルに使用すると、大型のパネルであっても優れた電磁波シールド性が発現される。
【実施例1】
【0051】
本発明の実施例について説明する。
(塗装鋼板の作製)
塗装用めっき鋼板として、各々板厚0.5mmの電気亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:EG)、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(Fe含有率:10質量%、めっき種記号:GA)、溶融亜鉛めっき鋼板(めっき種記号:GI)、溶融Zn−Alめっき鋼板(Al含有率:4.5質量%、めっき種記号:GF)および黒色化電気亜鉛−ニッケル合金めっき鋼板(Ni含有率:12質量%、めっき種記号:EZNB)を準備した。めっき鋼板のめっき付着量を表1〜4に示す。なお、オモテ面、ウラ面のめっき付着量、めっき組成は同一とした。準備しためっき鋼板に脱脂処理を行った後、以下の(i)〜(iii)の処理工程を行い、塗装鋼板を作製した。
【0052】
(i)オモテ面に化成処理液を塗布し、到達板温100℃となるように加熱し、表5に示す組成のオモテ面の化成処理皮膜を形成した。
(ii)次に、オモテ面に防錆顔料として表6の組成となるように防錆顔料を添加したポリエステル樹脂を含有する下塗り塗料を表1〜4に示す乾燥膜厚になるように塗布した後、ウラ面に化成処理液を塗布し、加熱30秒後に到達板温が200℃となる加熱処理を行い、表1〜4に示すオモテ面の下塗り塗膜と表7に示す組成のウラ面の化成処理皮膜を形成した。
(iii)次に、オモテ面に表1〜4に示す樹脂粒子、またはさらに表8に示すワックスを添加したポリエステル樹脂を含有する上塗り塗料を表1〜4に示すの乾燥膜厚になるように塗布した後、ウラ面に表6の組成となるように防錆顔料を添加した有機樹脂塗料を塗布した後、加熱60秒後に到達板温が230℃となる加熱処理を行い、表1〜4に示すオモテ面の上塗り塗膜とウラ面の有機樹脂層を形成した。
【0053】
作製した塗装鋼板のオモテ面、ウラ面の化成処理皮膜、下塗り塗膜、上塗り塗膜、有機樹脂層の構成を表1〜4に示す。
【0054】
【表1】


【0055】
【表2】


【0056】
【表3】


【0057】
【表4】


【0058】
【表5】


【0059】
【表6】


【0060】
【表7】


【0061】
【表8】


【0062】
前記で作製した塗装鋼板の深絞り加工性、張り出し成形性、曲げ加工性、耐食性、導電性、電磁波シールド性を評価した。耐食性は、オモテ面及びウラ面の各々の面を評価した。導電性、電磁波シールド性はウラ面について評価した。各々の評価方法を以下に記載する。なお、ウラ面の表面粗さは、触針の先端曲率半径:1μmの触針式粗度計(東京精密(株)製)を用い、走査速度:0.3mm/s、カットオフ値:0.8mmとして、JIS B 0601−1994で規定される算術平均粗さRaを測定した。
【0063】
(深絞り加工性)
試験片をポンチ径33mmφ、ポンチ肩R:2mm、絞り比2.0、ポンチ速度:250mm/秒、オモテ面がポンチ側となるようにして成形し破断時のしわ押さえ荷重で以下のように評価した。
しわ押さえ荷重
4t以上 :○
2t以上4t未満:△
2t未満 :×
【0064】
(張り出し加工性)
試験片を100mmφで打ち抜き、ポンチ径50mmφ、ポンチ肩R:4mm、ダイ径:70mmφ、ダイ肩R:4mm、しわ押さえ厚を5ton、オモテ面がポンチ側となるようにして円錐台成形を行った。破断時の成形高さで以下のように評価した。
破断時成形高さ
16mm以上 :○
14mm超16mm:△
14mm以下 :×
【0065】
(曲げ加工性)
試験片のオモテ面を外側、ウラ面を内側にしてウラ面どうしを合わせるように曲げ加工する。その際、ウラ面間に試験片と同板厚の鋼板を1枚、2枚、3枚・・・と全板厚を変化させて挟み曲げ径Rを変化させて密着曲げ加工する。曲げられた試験片のオモテ面側にクラックが入らない最大板厚枚数で以下のように評価した。
オモテ面側にクラックが入らない最大板厚枚数
0〜1枚:○
2〜3枚:△
4枚以上:×
【0066】
(オモテ面の耐食性)
試験片にクロスカットを施し、中性塩塩水噴霧試験(JIS Z 2371−2000)に準拠した塩水噴霧試験を24時間行った後、錆の流出幅最大値を測定し以下のように評価した。
錆の流出幅最大値
0.3mm以下 :○
0.3mm超0.5mm未満:△
0.5mm以上 :×
【0067】
(導電性)
低抵抗測定装置(ロレスタGP:三菱化学(株)製:ESPプローブ)を用い、塗装板のウラ面の表面抵抗値を測定した。その時、プローブ先端にかかる荷重を20g/sで増加させ、表面抵抗が10−4Ω以下になった時の荷重値で以下のように評価した。
表面抵抗が10−4Ω以下になった時の荷重値
○:10点測定の平均荷重が350g以下
△:10点測定の平均荷重が350g超700g以下
×:10点測定の平均荷重が700g超
【0068】
(電磁波シールド性)
図1に示すような、五面をAl板2、一面を幅20mmのフランジ5を有し、開口部を100×100×100mmとしたAl製筐体3の中に20MHzのデジタル発信器4を内蔵させ、開口部にウラ面1bを下面としてフランジ5上に設置したガスケット6に接触させるように試験片(140×140mm)1を乗せ、荷重を39.2N(4Kgf)としてガスケット6と塗装鋼板1の合わせ面から外部に漏洩する20MHz〜1GHzの電磁波ノイズをプリアンプ8で増幅したのち、スペクトラムアナライザー9を用いて測定した。受信用アンテナ7は筐体フランジ部から50mmとし、フランジ5と試験片1の間には厚さ1mmのガスケット6を用いた。なお、ガスケット6はウレタンスポンジに導電布(銅とニッケルをめっきした繊維)を巻き付けたものである。また、電磁波シールド性の評価としては、最大ノイズ強度を用い評価した。めっきままの原板での最大ノイズ強度は40dB、導電性の無い塗膜を5μm塗布したものでは50dBであり、電磁波シールド性の評価は以下とした。
最大ノイズ強度
43dB以下 :◎
43dB超45dB以下:○
45dB超47dB以下:△
47dB超 :×
【0069】
(ウラ面の耐食性)
試験片の4辺をシールし、前述した塩水噴霧試験により平板部の評価を行った。塩水噴霧試験を96時間行った後の白錆発生面積率を求め、以下のように評価した。
白錆発生面積率
5%以下 :○
5%超20%以下:△
20%超 :×
【0070】
評価結果を表1〜4に記載する。
【0071】
本発明範囲を満足する発明例はオモテ面及びウラ面の各性能はいずれも△以上で、良好な特性が得られている。本発明範囲を満足しない比較例は、深絞り加工性、張り出し加工性、曲げ加工性のうちのいずれか一つ以上が劣る。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の塗装鋼板は、深絞り加工性、張り出し加工性、曲げ加工性が必要で、また耐食性、電磁波シールド性が必要な用途分野、例えば、電子機器及び家電製品等の用途分野に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】電磁波シールド性を評価するための漏洩ノイズ測定装置の模式図である。
【符号の説明】
【0074】
1 試験片
1b ウラ面
2 Al板
3 Al製筐体
4 デジタル発信器
5 フランジ
6 ガスケット
7 アンテナ
8 プリアンプ
9 スペクトラムアナライザー




 

 


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