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発明の名称 溶接部特性の良好な電縫管の高能率製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−160381(P2007−160381A)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
出願番号 特願2005−362720(P2005−362720)
出願日 平成17年12月16日(2005.12.16)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 剣持 一仁 / 岡部 能知 / 横山 泰康 / 杉本 祐二 / 藤岡 義文 / 坂田 敬 / 井上 智弘
要約 課題
帯材の板厚が変わっても、電縫溶接前の帯材の左右両幅端部に適切なテーパ形状を付与して溶接品質を良好に保持するとともに、製造能率の低下も抑止することができる、溶接部特性の良好な電縫管の高能率製造方法を提供する。

解決手段
帯材10の両幅端部の上表面側に、切削ロール3aまたは研削ロール3bを用いてテーパ形状を付与するとともに、帯材10の両幅端部の下表面側に、フィンパス成形スタンド4によりテーパ形状を付与する。
特許請求の範囲
【請求項1】
帯材をロール成形し幅端部を突き合わせて電縫溶接し管とする電縫管の製造方法において、電縫溶接前の帯材の幅端部の上表面側および下表面側に個別にテーパ形状を付与することとし、ロール成形前の帯材の幅端部の上表面側または下表面側のいずれか一方に、切削刃をロール状に配置した切削工具またはロール状の研削砥石を用いてテーパ形状を付与することを特徴とする溶接部特性の良好な電縫管の高能率製造方法。
【請求項2】
前記切削刃をロール状に配置した切削工具の切削面またはロール状の研削砥石の研削面は、ロール軸に平行な部分とロール軸に対して外側に傾斜した部分とが繋がった形状であることを特徴とする請求項1に記載の溶接部特性の良好な電縫管の高能率製造方法。
【請求項3】
テーパ形状を付与された表面側と対向する表面側の幅端部に、ロール成形中のフィンパス成形によりテーパ形状を付与することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接部特性の良好な電縫管の高能率製造方法。
【請求項4】
前記テーパ形状は、帯材の幅端面から上表面あるいは下表面に向けての傾斜角度が25°〜50°であり、帯材の幅端面におけるテーパ開始位置と上表面あるいは下表面との帯材板厚方向の距離が帯材板厚の20%〜40%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶接部特性の良好な電縫管の高能率製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接部特性の良好な電縫管の高能率製造方法に関わり、特に、油井のラインパイプ向けなどの溶接部靭性が要求される管あるいは油井のケーシングパイプなどの溶接部強度が要求される管を、製品寸法の変更にフレキシブルに対応して高能率に製造し得る製造方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
通常、管は溶接管と継目無管に大別される。溶接管は、電縫鋼管を例とするように、板をロール成形等によって丸めて幅端部を突き合わせて溶接して製造し、継目無管は、材料の塊を高温で穿孔しマンドレルミル等で圧延して製造する。溶接管の場合、一般に溶接部の特性は母材より劣ると言われ、管の適用に当たって、用途ごとに溶接部の靭性や強度の保証が常に議論されて問題となってきた。
【0003】
例えば、原油や天然ガスなどを輸送するラインパイプでは、管を寒冷地に敷設されることが多いため低温靭性が重要であり、また、原油採掘の油井では採掘管を保護するためのケーシングパイプが必要とされ、管の強度が重要視される。
【0004】
通常、管の母材となる熱延板は、管製造後の母材特性を考慮して成分設計や熱処理等が行われて、母材の靭性や強度等の特性は確保される。
【0005】
しかし、溶接部の特性は、母材の成分設計や熱処理等以上に、溶接方法によって大きく左右されるため、特に、電縫溶接の場合は溶接技術の開発が重要であった。
【0006】
電縫溶接の不良原因としては、ペネトレータと呼ばれる被溶接帯材の幅端部に生成する酸化物が、電縫溶接時に溶鋼とともに端面から排出されずに残留し、この残留したペネトレータを原因として靭性が低下し強度不足になる例が多かった。
【0007】
そこで、従来、電縫溶接不良の主原因であるペネトレータを溶接部から除くため、被溶接帯材の幅端面から積極的に溶鋼を排出する技術が鋭意検討されてきた。例えば、特許文献1や特許文献2などに、被溶接帯材の幅端面の形状について検討した例が記載されている。すなわち、通常、被溶接帯材の左右両幅端面はスリットや端面研削によってほぼ矩形を呈しているが、この左右両幅端面の上表面側と下表面側に対してロール成形の前においてそれぞれテーパ加工を施し、そのテーパ加工した幅端部形状によって電縫溶接時の溶鋼排出を良好にすることを目的としている。
【特許文献1】特開2001−170779号公報
【特許文献2】特開2003−164909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1、2に記載の従来の方法においては、単にテーパ加工手段として、孔型圧延ロール、切削バイト、研削ロールを羅列して紹介しているのみであるため、具体的に電縫管の製造工程に適用するには種々の問題があり、さらに詳細な検討が必要であった。
【0009】
すなわち、実際の電縫管製造工程では種々の厚みの帯材を電縫管にしており、例えば、孔型圧延ロールを用いて帯材の左右両幅端部にテーパ形状を付与する場合には、帯材の板厚ごとに異なる孔型圧延ロールを準備して、その孔型圧延ロールに交換しなくてはならないため、管の製造能率が低くなって問題であった。また、切削バイトや研削ロールを用いる場合には、帯材の左右両幅端部の上表面側と下表面側をテーパ加工するそれぞれの切削バイトや研削ロールの位置関係を帯材の板厚ごとに精度よく設定する必要があり、そのための調整に時間を要して管の製造能率が著しく低下していた。
【0010】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、帯材の板厚が変わっても、電縫溶接前の帯材の左右両幅端部に適切なテーパ形状を付与して溶接品質を良好に保持するとともに、製造能率の低下も抑止することができる、溶接部特性の良好な電縫管の高能率製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、帯材の板厚が変わっても製造能率を低下させずに、帯材の幅端部に適切なテーパ形状を付与する方法について鋭意検討した結果、帯材の幅端面の上表面側と下表面側に対して、時間をおいて個別にテーパ形状を付与することがよいことに思い至った。
【0012】
すなわち、帯材の幅端面の上表面側と下表面側に対して、同時にテーパ形状を付与するようにすると、前述のように、帯材の板厚ごとに孔型圧延ロールを交換したり、切削バイトや研削ロールの位置関係を時間を掛けて精度よく設定したりする必要があり、製造能率を低下させるが、一方の表面側の幅端部にテーパ形状を付与した後、時間をおいて他方の表面側の幅端部にテーパ形状を付与するようにすれば、板厚が種々変化しても、それぞれのテーパ形状を付与する装置の上下位置を微調整するだけで済むので、製造能率を低下させることがない。
【0013】
そして、帯材の一方の表面側の幅端部にテーパ形状を付与するには、ロール成形前に切削または研削によってテーパ形状を付与し、他方の表面側の幅端部にテーパ形状を付与するには、ロール成形中のフィンパス成形によりテーパ形状を付与するのがよい。
【0014】
これは、ロール成形入側では帯材はほぼ平坦であるため切削や研削によって容易にテーパ形状を付与することができることと、これら切削や研削によるテーパ形状の付与手段は装置が比較的大きいために設置スペースが必要であり、ロール成形途中やロール成形後では帯材の幅端部同士の間隔が狭まるため設置し難いからである。したがって、帯材の一方の表面側の幅端部にテーパ形状を付与するには、ロール成形前に切削または研削によって行うのがよい。
【0015】
また、ロール成形中のフィンパス成形では帯材をフィンパスロールに充満させるため、帯材の幅端部が強圧されることから、このフィンパス成形において、所望のフィン形状を帯材の幅端部に転写することによって、帯材の他方の表面側の幅端部にテーパ形状を付与するようにするのがよい。
【0016】
本発明は、上記のような考え方に基づいており、以下の特徴を有している。
【0017】
[1]帯材をロール成形し幅端部を突き合わせて電縫溶接し管とする電縫管の製造方法において、電縫溶接前の帯材の幅端部の上表面側および下表面側に個別にテーパ形状を付与することとし、ロール成形前の帯材の幅端部の上表面側または下表面側のいずれか一方に、切削刃をロール状に配置した切削工具またはロール状の研削砥石を用いてテーパ形状を付与することを特徴とする溶接部特性の良好な電縫管の高能率製造方法。
【0018】
[2]前記切削刃をロール状に配置した切削工具の切削面またはロール状の研削砥石の研削面は、ロール軸に平行な部分とロール軸に対して外側に傾斜した部分とが繋がった形状であることを特徴とする前記[1]に記載の溶接部特性の良好な電縫管の高能率製造方法。
【0019】
[3]テーパ形状を付与された表面側と対向する表面側の幅端部に、ロール成形中のフィンパス成形によりテーパ形状を付与することを特徴とする前記[1]または[2]に記載の溶接部特性の良好な電縫管の高能率製造方法。
【0020】
[4]前記テーパ形状は、帯材の幅端面から上表面あるいは下表面に向けての傾斜角度が25°〜50°であり、帯材の幅端面におけるテーパ開始位置と上表面あるいは下表面との帯材板厚方向の距離が帯材板厚の20%〜40%であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の溶接部特性の良好な電縫管の高能率製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、帯材の板厚の変更にフレキシブルに対応して、電縫溶接前の帯材の左右両幅端部に適切なテーパ形状を付与することができるので、溶接品質を良好に保持するとともに、製造能率の低下も抑止することができることから、溶接部特性の良好な電縫管を高能率に製造することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施形態を以下に述べる。
【0023】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態において用いる電縫管製造ラインを図1に示す。この電縫管製造ラインは、帯材20を、アンコイラ1から払い出し、レベラー2で平坦に矯正し、ロール成形機5で帯材20を徐々に丸めていき、丸めた帯材20の左右両幅端部を、誘導加熱部6とスクイズロール(電縫溶接部)7からなる電縫溶接機で電縫溶接して管30となし、管30の溶接ビード部をビード部切削機8で切削し、切削後の管30を、サイザー9にて外径調整した後、管切断機10で所定長さに切断するという基本構成を有している。なお、ロール成形機5は最後段に所定台数(ここでは2台)のフィンパス成形スタンド4を備えている。
【0024】
そして、この実施形態においては、上記の基本構成に加え、レベラー2とロール成形機5の間に、帯材20の上表面側の左右両幅端部にテーパ形状を付与するための切削または研削手段3を備えている。その切削または研削手段3は、図2に図1のA−A矢視図を示し、図3にその部分詳細図を示すように、切削刃をロール状に配置した切削工具3a(図3(a))またはロール状の研削砥石3b(図3(b))を、モータ3eで回転させるものであり、その切削面または研削面はロール軸と平行になっている。それを帯材20の幅方向に左右一対配置し、それぞれのロール軸を垂直方向から所定角度α傾斜させることによって、帯材20の上表面側の左右両幅端部に所定のテーパ形状(幅端面から上表面に向けての傾斜角度α、幅端面における開始位置の上表面からの板厚方向距離β)を付与するようになっている。なお、以下では、切削刃をロール状に配置した切削工具3aを切削ロール3a、ロール状の研削砥石3bを研削ロール3bと呼ぶことにする。
【0025】
さらに、この実施形態においては、図4(a)に図1のB−B矢視図を示し、図4(b)にその部分詳細図を示すように、フィンパス成形スタンド4の最終スタンド4aが、2段テーパ(2段目のテーパ傾斜角度α、2段目の傾斜部垂直長さβ)となったフィン形状を備えており、その形状を帯材20の幅端部に転写することによって、帯材20の下表面側(管30の外表面側)の左右両幅端部に所定のテーパ形状(幅端面から下表面に向けての傾斜角度α、幅端面における開始位置の下表面からの板厚方向距離β)を付与するようになっている。
【0026】
上記のように構成された電縫管製造ラインにおいては、厚みが異なる帯材20を連続して通板した場合に、各帯材20ごとに上表面側および下表面側の左右両幅端部に所定のテーパ形状を付与する際には、切削ロール3aまたは研削ロール3bを所定角度αだけ傾斜させ、その高さ方向位置を微調整して、帯材20の上表面側の左右両幅端部を切削または研削することによって、帯材20の上表面側の左右両幅端部に所定のテーパ形状を付与するとともに、フィンパス成形の最終スタンド4aにおいて、帯材20の下表面側の左右両幅端部にフィン形状を転写することによって、帯材20の下表面側の左右両幅端部に所定のテーパ形状を付与する。これによって、従来技術のような、帯材の板厚ごとに孔型圧延ロールを交換したり、切削バイト等の位置関係を長時間掛けて設定したりする必要がないので、製造能率を低下させることなく、板厚に応じて帯材20の左右両幅端部に所定のテーパ形状を付与することができる。
【0027】
以上のように、この実施形態においては、帯材20の板厚の変更にフレキシブルに対応して、電縫溶接前の帯材20の左右両幅端部に適切なテーパ形状を付与することができるので、溶接品質を良好に保持するとともに、製造能率の低下も抑止することができることから、溶接部特性の良好な電縫管を高能率に製造することが可能である。
【0028】
なお、帯材20の左右両幅端部に付与するテーパ形状については、帯材20の幅端面から上表面あるいは下表面に向けての傾斜角度αが25°〜50°で、帯材20の幅端面におけるテーパ開始位置と上表面あるいは下表面からの距離βが帯材板厚の20%〜40%であるのが好ましい。
【0029】
すなわち、傾斜角度αが25°未満であると、帯材板厚中央部からの溶鋼排出が不十分となってペネトレータが残留して不良となり、電縫溶接後の靭性や強度が低下し、傾斜角度αが50度を超えると、電縫溶接後にもそのテーパ形状が製品の管の疵として残留し問題である。また、距離βが板厚に対して20%未満であると、板厚中央部の溶鋼排出が不十分となってペネトレータが残留しやすくなり、距離βが板厚に対して40%を超えると、電縫溶接後にもそのテーパ形状が製品の管の疵として残留し問題である。
【0030】
なお、この実施形態においては、帯材20の上表面側の左右両幅端部にテーパ形状を付与するための切削または研削手段3とは別に、必要に応じて、その上流側に、帯材20の幅端面に対してほぼ平行に左右両幅端部を切削または研削するための切削または研削手段を設け、それによって予め帯材20の幅端面を平滑にしておくこともできる。
【0031】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態において用いる電縫管製造ラインを図5に示す。この電縫管製造ラインは、前述の第1の実施形態において用いた電縫管製造ラインとほぼ同様であるが、レベラー2とロール成形機5の間に配置された、帯材20の上表面側の左右両幅端部にテーパ形状を付与するための切削または研削手段3が異なっている。
【0032】
すなわち、その切削または研削手段3は、図6に図5のC−C矢視図を示し、図7にその部分詳細図を示すように、切削刃がロール状に配置された切削工具であって、その切削面がロール軸にほぼ平行な部分とロール軸に対して外側に傾斜した部分とが繋がった形状の切削工具3c(図7(a))、または、ロール状の研削砥石であって、その研削面がロール軸に平行な部分とロール軸に対して外側に傾斜した部分とが繋がった形状の研削砥石3d(図7(b))となっている。なお、以下では、切削工具3cをテーパ付切削ロール3c、研削砥石3dをテーパ付研削ロール3dと呼ぶことにする。
【0033】
このような形状の切削ロール3cまたは研削ロール3dを用いることにより、同一の切削ロール3cまたは研削ロール3dで、種々の板厚の帯材に対して、その幅端部の上表面側に一定の角度および位置のテーバ形状を付与することが容易となる。
【0034】
なお、帯材10の幅端部の下表面側にテーバ形状を付与するために、前述の第1の実施形態と同様に、フィンパス成形スタンド4の最終スタンド4aが、図8(a)に図5のD−D矢視図を示し、図8(b)にその部分詳細図を示すように、2段テーパ(2段目のテーパ傾斜角度α、2段目の傾斜部垂直長さβ)となったフィン形状を備えており、その形状を帯材20の幅端部に転写することによって、帯材20の下表面側(管30の外表面側)の左右両幅端部に所定のテーパ形状を付与するようになっている。
【0035】
したがって、この実施形態においても、帯材20の板厚の変更にフレキシブルに対応して、電縫溶接前の帯材20の左右両幅端部に適切なテーパ形状を付与することができるので、溶接品質を良好に保持するとともに、製造能率の低下も抑止することができることから、溶接部特性の良好な電縫管を高能率に製造することが可能である。
【0036】
上述の第1、第2の実施形態においては、帯材の上表面側と下表面側とが板厚中心面に対して対称となるテーバ形状を付与しているが、これに限らず、帯材の上表面側と下表面側とが板厚中心面に対して非対称となるテーバ形状を付与してもよい。
【0037】
また、図1または図4に示す製造ラインと帯材の成形方向が上下で逆になる(すなわち、帯材の上表面が管の外表面となる)製造ラインの場合は、成形前の切削また研削によって帯材の下表面側の幅端部にテーパ形状を付与し、フィンパス成形によって帯材の上表面側の幅端部にテーパ形状を付与するようにすればよい。
【実施例】
【0038】
以下、実施例に基づいて説明する。
【0039】
ここでは、板幅1920mm×19.1tmmの帯材(鋼帯)を用いて、φ600の電縫管を製造し、続いて、板幅1920mm×11.3tmmの帯材(鋼帯)を用いて、φ600の電縫管を製造した。
【0040】
そして、製造した電縫管の溶接部から試験片を切り出してシャルピー試験を行い、性能を評価した。シャルピー試験片は、管長手方向の相違する10点から1本ずつ、試験片長さ方向を管円周方向に平行にし、ノッチ長さ中心を溶接部肉厚中心位置として採取し、JIS5号の2mmVノッチ衝撃試験片として、−46℃での衝撃試験を行い、吸収エネルギー、脆性破面率を測定した。なお、吸収エネルギーは125J以上、脆性破面率が35%以下を性能許容範囲とした。
【0041】
(本発明例1)本発明例1として、前述の第1の実施形態に基づいて上記の電縫管を製造した。その際、帯材の上表面側の左右両幅端部にテーパ形状を付与するための切削または研削手段3として、図3(a)に示した切削ロール3aを用いた。また、上表面側および下表面側のテーパ形状の傾斜角度αはともに30°とした。なお、帯材の板厚が19.1tmmから11.3tmmへ変更した際に、切削ロール3aの上下位置を下側に7.8mm移動させて微調整した。
【0042】
(本発明例2)本発明例2として、前述の第1の実施形態に基づいて上記の電縫管を製造した。その際、帯材の上表面側の左右両幅端部にテーパ形状を付与するための切削または研削手段3として、図3(b)に示した研削ロール3bを用いた。また、上表面側および下表面側のテーパ形状の傾斜角度αはともに40°とした。なお、帯材の板厚が19.1tmmから11.3tmmへ変更した際に、研削ロール3bの上下位置を下側に7.8mm移動させて微調整した。
【0043】
(本発明例3)本発明例3として、前述の第2の実施形態に基づいて上記の電縫管を製造した。その際、帯材の上表面側の左右両幅端部にテーパ形状を付与するための切削または研削手段3として、図7(a)に示したテーパ付切削ロール3cを用いた。また、上表面側および下表面側のテーパ形状の傾斜角度αはともに30°とした。なお、帯材の板厚が19.1tmmから11.3tmmへ変更した際に、テーパ付切削ロール3cの上下位置を下側に7.8mm移動させて微調整した。
【0044】
(本発明例4)本発明例4として、前述の第2の実施形態に基づいて上記の電縫管を製造した。その際、帯材の上表面側の左右両幅端部にテーパ形状を付与するための切削または研削手段3として、図7(b)に示したテーパ付研削ロール3dを用いた。また、上表面側および下表面側のテーパ形状の傾斜角度αはともに40°とした。なお、帯材の板厚が19.1tmmから11.3tmmへ変更した際に、テーパ付研削ロール3dの上下位置を下側に7.8mm移動させて微調整した。
【0045】
(比較例)比較例として、図1に示した製造ラインにおいて、レベラー2とロール成形機5の間に孔型圧延ロールを設け、その孔型圧延ロールによって、帯材の上表面側および下表面側の左右両幅端部にテーパ形状を付与して、上記の電縫管を製造した。上表面側および下表面側のテーパ形状の傾斜角度αはともに30°とした。ちなみに、その際、切削または研削手段3は取り外すとともに、フィンパス成形の最終スタンド4aのフィン形状も従来の一段テーパとした。なお、帯材の板厚が19.1tmmから11.3tmmへ変更した際には、一旦製造ラインを止めて、前記の孔型圧延ロールを19.1tmm用から11.3mmt用に交換した。
【0046】
(従来例) 従来例として、図1に示した製造ラインにおいて、レベラー2とロール成形機5の間で、帯材の左右両幅端面を平滑に研磨して、上記の電縫管を製造した。ちなみに、その際、切削または研削手段3は取り外すとともに、フィンパス成形の最終スタンド4aのフィン形状も従来の一段テーパとした。なお、帯材の板厚が19.1tmmから11.3tmmへ変更した際も、製造ラインを止めることなく製造を継続した。
【0047】
これらにより製造した電縫管の溶接部におけるシャルピー衝撃値と脆性破面率を測定した結果を表1に示す。また、比較例の製造能率を1として、それに対する各例の製造能率の比率を同表に示した。
【0048】
【表1】


【0049】
表1より、本発明例1〜4による電縫管は、溶接部の衝撃強度が高く脆性破面率が小さくて、靭性が良好であって、製品の信頼性が高い。これに対して、従来例による電縫管は、溶接部の衝撃強度が低く、脆性破面率が大きくて、靭性が低下しており、製品の信頼性に乏しい。また、本発明例1〜4では、比較例に比べて、著しく製造能率が向上している。
【0050】
したがって、本発明によって溶接部特性の良好な電縫管を高能率に製造できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態における電縫管製造ラインの説明図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図2の部分詳細図である。
【図4】図1のB−B矢視図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における電縫管製造ラインの説明図である。
【図6】図5のC−C矢視図である。
【図7】図6の部分詳細図である。
【図8】図4のD−D矢視図である。
【符号の説明】
【0052】
1 アンコイラ
2 レベラー
3 切削または研削手段
3a 切削ロール
3b 研削ロール
3c 切削ロール
3d 研削ロール
4 フィンパス成形スタンド
4a フィンパス成形の最終スタンド
5 ロール成形機
6 誘導加熱装置
7 スクイズロール(電縫溶接部)
8 ビード切削バイト
9 サイザー
10 管切断機
20 帯材
30 管




 

 


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