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発明の名称 熱延鋼帯の冷却装置および冷却方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−152429(P2007−152429A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2006−293591(P2006−293591)
出願日 平成18年10月30日(2006.10.30)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 上岡 悟史 / 藤林 晃夫 / 中田 直樹 / 黒木 高志 / 冨田 省吾
要約 課題
熱間圧延された鋼帯を冷却水で冷却する際に、鋼帯の先端から尾端まで均一に冷却を施すことができる熱延鋼帯の冷却装置および冷却方法を提供する。

解決手段
冷却装置10が、棒状冷却水を鋼帯12の進行方向に向けて噴射角度θで噴射するように傾斜して配置されている複数の円管ノズル15と、その下流側に配置されて、ローラテーブル8との間で鋼帯12を挟み込むピンチロール11を備えている。
特許請求の範囲
【請求項1】
ランナウトテーブル上を搬送される仕上圧延後の熱延鋼帯を冷却する熱延鋼帯の冷却装置であって、
鋼帯の上面側に、噴射角度が鋼帯の進行方向に向けて傾斜するように棒状冷却水を噴射する冷却ノズルを複数配置するとともに、
その下流側に、前記冷却ノズルから噴射された鋼帯上面の冷却水の水切りを行う水切り手段を配置したことを特徴とする熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項2】
前記冷却ノズルは、鋼帯幅方向に複数個配置されるとともに、鋼帯進行方向に複数列配置され、
且つ、各列に配置される冷却ノズルの幅方向位置は、その上流側の列における幅方向位置と下流側の列における幅方向位置とをずらして配置されることを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項3】
前記冷却ノズルにより噴射される棒状冷却水と鋼帯との成す角度が60°以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項4】
前記冷却ノズル列は、1列以上を制御単位として、それぞれ独立に冷却水のオン−オフ制御が可能であることを特徴とする請求項2または3に記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項5】
前記水切り手段は、鋼帯に転接する様に昇降可能な回転駆動されるピンチロールであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項6】
前記水切り手段は、噴射角度が鋼帯の進行方向上流側に向けて傾斜するようにスリット状または円形状のノズル噴射口から水切り用流体を噴射する1列以上のノズルであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項7】
ランナウトテーブル上を搬送される仕上圧延後の熱延鋼帯の冷却方法であって、
鋼帯の上面側に、鋼帯の進行方向に向けて傾斜させて棒状冷却水を噴射するとともに、
その下流側に設けられた水切り手段により冷却水の水切りを行うことを特徴とする熱延鋼帯の冷却方法。
【請求項8】
棒状冷却水を噴射する鋼帯進行方向のノズル列数を制御することにより冷却ゾーン長さを変更して冷却能力を制御することを特徴とする請求項7に記載の熱延鋼帯の冷却方法。
【請求項9】
前記水切り手段にピンチロールを用い、該ピンチロールはあらかじめ鋼帯の板厚以下のギャップ設定がなされ、鋼帯先端がピンチされるとほぼ同時に冷却水を噴射開始するとともに、
鋼帯先端がコイラーに噛み込むとほぼ同時にピンチロールを回転させたままわずかに上昇させることを特徴とする請求項7または8に記載の熱延鋼帯の冷却方法。
【請求項10】
前記水切り手段に鋼帯の進行方向上流側に向けて傾斜したスリット状または円形状のノズル噴射口から水切り用流体を噴射するノズルを用い、前記鋼帯進行方向に向けて傾斜して噴射される棒状冷却水の噴射ノズルの列数に応じて、前記水切り用流体を噴射するノズルにおける水量、水圧、噴射ノズルの列数のうちのいずれか1以上を変更することを特徴とする請求項8に記載の熱延鋼帯の冷却方法。
【請求項11】
前記鋼帯の進行方向に向けて傾斜させて棒状冷却水を噴射する鋼帯進行方向のノズル列数の制御は、前記水切り手段側のノズル列を優先的に噴射し、上流側のノズル列を順次オン−オフすることで冷却ゾーン長さを変更することを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間圧延された鋼帯を冷却するための冷却装置および冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱延鋼帯を製造するには、加熱炉においてスラブを所定温度に加熱し、加熱されたスラブを粗圧延機で所定厚みに圧延して粗バーとなし、ついでこの粗バーを複数基の圧延スタンドからなる連続熱間仕上圧延機において所定の厚みの鋼帯となす。そして、この鋼帯をランナウトテーブル上の冷却装置によって冷却した後、巻き取り機で巻き取ることにより製造される。
【0003】
その際、熱間圧延された高温の鋼帯を連続的に冷却するランナウトテーブルの冷却装置では、鋼帯の上面冷却をなすため、円管状のラミナー冷却ノズルから鋼帯搬送用のローラテーブル上に、この幅方向に亘って直線状に複数のラミナー冷却水を注水している。一方、鋼帯の下面冷却をなすため、ローラテーブル間にそれぞれスプレーノズルが設けられ、ここから冷却水を噴射する方法が一般的である。
【0004】
しかし、このような従来の冷却装置では、鋼帯の上面冷却に使われている円管ラミナーノズルからの冷却水が自由落下流であるので、鋼帯の上面に滞留水の水膜があると鋼帯まで冷却水が到達しにくく、鋼帯の上面に滞留水がある場合とない場合で冷却能力に違いが生じるという問題や、鋼帯上に落下した冷却水が自由に前後左右に広がるので冷却領域(冷却ゾーン)が変化し、冷却能力が安定しないという問題等がある。このような冷却能力の変動の結果、鋼帯の材質が不均一になりやすくなっていた。
【0005】
そこで、鋼帯上面の冷却水(滞留水)の水切りを行って、安定した冷却能力を得るために、鋼帯上面を横切るように流体を斜め方向に噴射して滞留水を排出する方法(例えば、特許文献1参照)や、鋼帯の上下動を拘束するための拘束ロールを水切りロールとして滞留水を堰き止めることで冷却領域を一定にする方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0006】
なお、[発明を実施するための最良の形態]の欄で、下記の特許文献3を引用するので、ここに併せて記載しておく。
【特許文献1】特開平9−141322号公報
【特許文献2】特開平10−166023号公報
【特許文献3】特開2002−239623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法によると、下流に行くに従って鋼帯上面に大量の冷却水が滞留していくので、下流側になるほど水切り効果がきかなくなる。また、特許文献2に記載の方法においては、圧延機を出てから巻き取り機に至るまでの鋼帯先端部は拘束ロールによる拘束が無い状態で搬送されるので、拘束ロール(水切りロール)による水切り効果が得られない。しかも、鋼帯先端部が上下動しながら波を打ったような状態でランナウトテーブル上を通過するので、この鋼帯先端部の上面に冷却水を供給すると、上下に波を打つ底の部分に選択的に冷却水が滞留しやすく、鋼帯先端が巻き取り機で巻き取られて鋼帯に張力が働き、鋼帯が張られて上下波が解消されるまでは、冷却温度のハンチング現象が生じる。この冷却温度のハンチング現象も鋼帯の機械的性質のバラツキを生じさせていた。
【0008】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、熱間圧延された鋼帯を冷却水で冷却する際に、高い冷却能力と安定した冷却領域を実現することにより、鋼帯の先端から尾端まで均一に冷却を施すことができる熱延鋼帯の冷却装置および冷却方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0010】
[1]ランナウトテーブル上を搬送される仕上圧延後の熱延鋼帯を冷却する熱延鋼帯の冷却装置であって、
鋼帯の上面側に、噴射角度が鋼帯の進行方向に向けて傾斜するように棒状冷却水を噴射する冷却ノズルを複数配置するとともに、
その下流側に、前記冷却ノズルから噴射された鋼帯上面の冷却水の水切りを行う水切り手段を配置したことを特徴とする熱延鋼帯の冷却装置。
【0011】
[2]前記冷却ノズルは、鋼帯幅方向に複数個配置されるとともに、鋼帯進行方向に複数列配置され、
且つ、各列に配置される冷却ノズルの幅方向位置は、その上流側の列における幅方向位置と下流側の列における幅方向位置とをずらして配置されることを特徴とする前記[1]に記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【0012】
[3]前記冷却ノズルにより噴射される棒状冷却水と鋼帯との成す角度が60°以下であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【0013】
[4]前記冷却ノズル列は、1列以上を制御単位として、それぞれ独立に冷却水のオン−オフ制御が可能であることを特徴とする前記[2]または[3]に記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【0014】
[5]前記水切り手段は、鋼帯に転接する様に昇降可能な回転駆動されるピンチロールであることを特徴とする前記[1]乃至[4]のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【0015】
[6]前記水切り手段は、噴射角度が鋼帯の進行方向上流側に向けて傾斜するようにスリット状または円形状のノズル噴射口から水切り用流体を噴射する1列以上のノズルであることを特徴とする前記[1]乃至[4]のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【0016】
[7]ランナウトテーブル上を搬送される仕上圧延後の熱延鋼帯の冷却方法であって、
鋼帯の上面側に、鋼帯の進行方向に向けて傾斜させて棒状冷却水を噴射するとともに、
その下流側に設けられた水切り手段により冷却水の水切りを行うことを特徴とする熱延鋼帯の冷却方法。
【0017】
[8]棒状冷却水を噴射する鋼帯進行方向のノズル列数を制御することにより冷却ゾーン長さを変更して冷却能力を制御することを特徴とする前記[7]に記載の熱延鋼帯の冷却方法。
【0018】
[9]前記水切り手段にピンチロールを用い、該ピンチロールはあらかじめ鋼帯の板厚以下のギャップ設定がなされ、鋼帯先端がピンチされるとほぼ同時に冷却水を噴射開始するとともに、
鋼帯先端がコイラーに噛み込むとほぼ同時にピンチロールを回転させたままわずかに上昇させることを特徴とする前記[7]または[8]に記載の熱延鋼帯の冷却方法。
【0019】
[10]前記水切り手段に鋼帯の進行方向上流側に向けて傾斜したスリット状または円形状のノズル噴射口から水切り用流体を噴射するノズルを用い、前記鋼帯進行方向に向けて傾斜して噴射される棒状冷却水の噴射ノズルの列数に応じて、前記水切り用流体を噴射するノズルにおける水量、水圧、噴射ノズルの列数のうちのいずれか1以上を変更することを特徴とする前記[8]に記載の熱延鋼帯の冷却方法。
【0020】
[11]前記鋼帯の進行方向に向けて傾斜させて棒状冷却水を噴射する鋼帯進行方向のノズル列数の制御は、前記水切り手段側のノズル列を優先的に噴射し、上流側のノズル列を順次オン−オフすることで冷却ゾーン長さを変更することを特徴とする請求項[8]乃至[10]のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、鋼帯の先端から尾端まで均一に冷却を施すことができ、鋼帯の品質が安定する。それにともなって、鋼帯の切り捨て代が少なくなって歩留まりが高くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態における熱延鋼帯の製造設備を示すものである。
【0024】
粗圧延機1で圧延された粗バー2はテーブルローラ3上を搬送されて、連続的に7つの連続仕上げ圧延機群4で所定の厚みまで圧延されて鋼帯12となった後、最終仕上圧延機4Eの後方の鋼帯搬送路を構成するランナウトテーブル5に導かれる。このランナウトテーブル5は全長約100mあり、その一部またはほとんど大部分に冷却装置が設けられていて、鋼帯12がここで冷却されたあと、下流側の巻き取り機13で巻き取られて熱延コイルとなる。
【0025】
そして、この実施形態においては、ランナウトテーブル5に設けられる鋼帯上面冷却用の冷却装置として、従来型の冷却装置6と本発明の冷却装置10がその順に配置されている。従来型の冷却装置6は、ランナウトテーブル5の上面側に所定ピッチで配置され、鋼帯に対して冷却水を自由落下流として供給する複数の円管ラミナーノズル7を備えている。また、鋼帯下面冷却用の冷却装置としては、鋼帯搬送用のテーブルローラ8間に複数のスプレーノズル9が配置されている。
【0026】
ここで、本発明の第1の実施形態に係る冷却装置10の周辺の構成は図2に示すようになっている。ランナウトテーブル5の上面側に、後述する冷却装置本体10aを備え、その下流側に水切り手段としてのピンチロール11を備えている。なお、鋼帯下面側の構成は従来型の冷却装置6と同様のものであり、例えば、鋼帯進行方向に約400mmピッチで、直径350mmの回転する鋼帯搬送用のテーブルローラ8が配置され、これらテーブルローラ8は鋼帯12の下面側に位置している。
【0027】
冷却装置本体10aの構成は、図3のようになっている。すなわち、冷却水ノズルヘッダ14に鋼帯幅方向に所定のピッチ(例えば、60mmピッチ)で一列に配置された円管ノズル15が、鋼帯進行方向に所定のピッチ(例えば、100mmピッチ)で所定の列数(例えば、100列)設けられている。なお、円管ノズル15は各列毎に1本の冷却水ノズルヘッダ14を経由して冷却水供給管16に接続されており、各冷却水供給管16は独立にオン−オフ制御可能となっている。
【0028】
円管ノズル15は、所定の内径(例えば、8mmφ)を備えた内面が滑らかな直管ノズルで、円管ノズル15から供給される冷却水は棒状冷却水である。そして、この円管ノズル15は、棒状冷却水を鋼帯12の進行方向に向けて所定の噴射角度θ(例えば、θ=50°)で噴射するように傾斜して配置されている。また、円管ノズル15の出口の高さ位置は、鋼帯12が上下動しても円管ノズル15に接触しないように、鋼帯12上面から所定の高さ(例えば、1000mm)離すようにしている。
【0029】
ここで、本発明における棒状冷却水とは、円形状(楕円や多角の形状も含む)のノズル噴出口からある程度加圧された状態で噴射される冷却水であって、ノズル噴出口からの冷却水の噴射速度が7m/s以上であり、ノズル噴出口から鋼帯に衝突するまでの水流の断面がほぼ円形に保たれた連続性と直進性のある水流の冷却水のことをいう。すなわち、円管ラミナーノズルからの自由落下流や、スプレーのような液滴状態で噴射されるものとは異なる。
【0030】
一方、水切り手段であるピンチロール11は、冷却装置本体10aの下流側のテーブルロール8上に設置されており、所定の大きさ(例えば、直径250mm)のロールであって、対向するテーブルロールとの間で鋼帯12を挟み込むようになっている。そして、ピンチロール11は、回転駆動され、鋼帯12に転接するように昇降可能になっており、その高さ位置の保持を任意に変更することができるようになっている。ピンチロール11とテーブルローラ8の間隔(ギャップ)は、あらかじめ鋼帯12の板厚より小さく(例えば、板厚−1mm)設定しておき、仕上圧延機から出た鋼帯12の先端がピンチロール11に噛み込むと同時に円管ノズル15から冷却水の噴射を開始するようになっている。また、ピンチロール11の側部には、ピンチロール11を回転駆動するための駆動モータ(図示せず)が連結されており、この駆動モータによってピンチロール11は鋼帯12の搬送速度と一致する周速となるように回転速度を調整されている。なお、冷却装置本体10aとピンチロール11とは、最後列(最下流側の列)に配置された円管ノズルから噴射された冷却水が鋼帯12に到達する位置が、ピンチロール11が鋼帯12に転接する位置よりも上流側となるように調整されている。
【0031】
このように、この実施形態においては、冷却装置10が、棒状冷却水を鋼帯12の進行方向に向けて噴射角度θで噴射するように傾斜して配置されている複数の円管ノズル15と、その下流側に配置されてローラテーブル8との間で鋼帯12を挟み込むピンチロール11を備えていることから、円管ノズル15から鋼帯12上面に供給された後の冷却水(滞留水)が鋼帯12の進行方向に向けて流動するとともに、流動した滞留水がピンチロール11によって堰き止められるようになるので、冷却水による冷却領域が一定になる。そして、円管ノズル15から棒状冷却水が噴射されるので、鋼帯12上面の滞留水の水膜を破って鋼帯12まで新鮮な冷却水を到達させることができる。
【0032】
また、従来は鋼帯先端部が波を打ったような形状となり上下に波を打つ底の部分に選択的に冷却水が滞留して過冷却となっていたものが、水切り手段により水冷装置外部(下流側)に滞留水が流れ出なくなる。
【0033】
その結果、円管ラミナーノズルからの自由落下流を用いた従来の冷却装置のような、鋼帯上面に滞留水がある場合とない場合で冷却能力に違いが生じるという問題や、鋼帯上に落下した冷却水が自由に前後左右に広がって冷却領域が変化し、冷却能力が安定しないという問題が解消され、鋼帯形状によらず高く安定した冷却能力を得ることができる。例えば、板厚3mmの鋼帯に対して、冷却速度100℃/sを超える急速冷却が可能である。
【0034】
なお、上記において、円管ノズル15から噴射される棒状冷却水と鋼帯12との成す角度θは60°以下とするのが好ましい。角度θが60°を越えると、鋼帯12に到達後の冷却水(滞留水)の鋼帯進行方向の速度成分が小さくなり、その下流側の列の滞留水と干渉して、滞留水の流れが妨げられ、それによって、最上流側の円管ノズル15からの棒状冷却水の到達位置(衝突位置)よりも上流側に滞留水の一部が流出してしまって、冷却領域が安定しない危険性があるからである。したがって、確実に、鋼帯12に到達後の冷却水が鋼帯進行方向に流れるようにするために、角度θを60°以下にするのが好ましく、50°以下にするのが一層好ましい。ただし、角度θを30°より小さくした場合には、鋼帯12からの高さ位置を所定値に維持しようとすると、円管ノズル15から棒状冷却水の到達位置(衝突位置)までの距離が離れすぎて、棒状冷却水が分散してしまい、冷却特性が落ちる危険性があるので、棒状冷却水と鋼帯12との成す角度θは、30°以上とすることが好適である。
【0035】
ちなみに、本発明において、冷却水ノズルとして棒状冷却水を形成する円管ノズル15を採用しているのは、次の理由による。すなわち、冷却を確実に行うためには、鋼帯まで冷却水を確実に到達させ、衝突させる必要がある。そのためには、鋼帯12上面の滞留水の水膜を破って鋼帯12まで新鮮な冷却水を到達させなければならず、スプレーノズルから噴射された液滴群のような貫通力が弱い冷却水流ではなく、連続性と直進性のある高い貫通力を持った冷却水流である必要がある。さらに、従来使われている円管ラミナーノズルによるラミナー流は、自由落下流であるので、滞留水膜があると鋼帯まで冷却水が到達しにくい上に、滞留水がある場合とない場合で冷却能力に違いが生じることや、鋼帯上に落下した水が前後左右に広がるので鋼帯速度が変化した場合に冷却能力が変化する等の問題がある。したがって、本発明では、円管ノズル15(楕円や多角の形状であってもよい)を用い、ノズル噴出口からの冷却水の噴射速度が7m/s以上であり、ノズル噴出口から鋼帯に衝突するまでの水流の断面がほぼ円形に保たれる連続性と直進性のある棒状冷却水を噴射する。ノズル噴出口からの冷却水の噴射速度が7m/s以上である棒状冷却水によれば、冷却水を傾斜させて噴射した場合であっても安定的に鋼帯上面の滞留水の水膜を突き破ることができるからである。
【0036】
なお、円管ノズル15に替えてスリット状のノズルを用いることも考えられるが、ノズルが目詰まりしない程度のギャップ(現実的には3mm以上必要)を持つスリット状ノズルとした場合、円管ノズル15を幅方向に間隔を空けて設置した場合と比較してノズル断面積が極めて大きくなる。そのため、滞留水膜への貫通力を持たせるためにノズル噴出口からの噴射速度7m/s以上で冷却水を噴射しようとすると、極めて多い水量が必要となり、設備コストが甚大となって実現困難である。
【0037】
そして、棒状冷却水の太さは、数mm程度、少なくとも3mm以上とすることが望ましい。3mm未満では、鋼帯上の滞留水を突き破って鋼帯に冷却水を衝突させることが難しくなるからである。
【0038】
また、棒状冷却水の噴射速度については、鋼帯に衝突した冷却水が鋼帯の進行方向上流側に流出することを防止するという観点からは、鋼帯12に衝突した際の鋼帯進行方向の速度成分が、鋼帯12の進行速度(例えば、10m/s)以上となるようにすることが望ましい。
【0039】
さらに、円管ノズル15の配置については、図7に示すように、前の列(上流側)の棒状冷却水衝突位置と次列(下流側)の棒状冷却水の衝突位置が幅方向においてずらして配置することが好ましい。ずらし方の例として図8に示すように、例えば(a)のように、次の列のノズルは幅方向の取り付けピッチは前列と同じにして、幅方向取り付け位置を幅方向ノズル取り付けピッチの1/3の距離ずらしたり、(b)のように、次の列では前の列の隣り合うノズルの中央部に設置してもよい。これによって、幅方向に隣り合う棒状冷却水の間で冷却が弱くなる部分に次の列の棒状冷却水が衝突し、冷却が補完されて幅方向に均一な冷却がなされる。
【0040】
なお、前述したように、この冷却装置10では、ピンチロール11とローラテーブル8の間隔を、あらかじめ鋼帯12の板厚より小さく(例えば、板厚−1mm)設定しておき、仕上圧延機から出た鋼帯12の先端がピンチロール11に噛み込むと同時に円管ノズル15から冷却水の噴射を開始するようにしているが、板厚が厚い(例えば板厚2mm以上)の鋼帯では、あらかじめ冷却水を噴射したところに鋼帯先端を通過させてもよい。こうすれば、鋼帯12の先端から所定の冷却が可能となる。また、鋼帯12の板厚が薄く、冷却水の影響で鋼帯12の通板が不安定になるような場合は、鋼帯12の先端の通過を妨げない程度の噴射圧力で冷却水を噴射しておき、鋼帯先端がピンチロール11に噛み込んだ後、所定の噴射圧力に変更することも可能である。そして、鋼帯12の先端が巻き取り機13に巻き取られて張力がかかったら、鋼帯12の板厚以上のギャップとなるようにピンチロール11を回転させたままわずかに(例えば、板厚+1mmまで)上昇させる。この状態でも鋼帯12上の冷却水は、ピンチロール11の下流側にすり抜けることはほとんどなく、ピンチロール11によって良好な水切りが実現される。ちなみに、ピンチロール11をわずかに上昇させるのは、ピンチロール回転速度と鋼帯進行速度との微妙な不一致によって鋼帯にキズや弛みが発生することを防止するためである。
【0041】
そして、鋼帯12の進行速度や温度等に基づいて、冷却水の噴射が以下のように調整される。まず、鋼帯12の進行速度、鋼帯12の温度計測値、目標の冷却停止温度までの冷却温度量に基づいて、冷却ゾーンの長さ、すなわち棒状冷却水を噴射する円管ノズル15の列数を求める。そして、求めた円管ノズル15の列数だけピンチロール11に近い側から優先的に噴射するように設定する。それ以降は、冷却後の鋼帯12の温度実績値をみて、鋼帯12の進行速度の変更(加速・減速)を勘案しながら、噴射する円管ノズル15の列数を変更する。なお、この冷却ゾーン長の変更は、ピンチロール11側のノズル列は常に噴射し、上流側(圧延機側)のノズル列を順次オン−オフして噴射する列数を変更することにより行うのが望ましい。
【0042】
なお、このピンチロール11の主とした役割は、冷却装置本体10aからの冷却水を堰き止めることにより冷却水による冷却領域が一定になることである。よって、後に本発明の第2の実施形態で説明するが、水切り手段は上記のようなピンチロール11に限定されるものではなく、円管ノズル15から噴射された鋼帯上面の冷却水を水切りできるものであれば、種々の形態のものを用いることが可能である。
【0043】
以下に、本発明の第2の実施形態として、第1の実施形態におけるピンチロール11に替えて、水切り手段として水切り用流体を噴射するノズル、特に棒状冷却水噴射ノズルを設置した場合について説明する。この水切り手段としての棒状冷却水は、冷却を目的とするものではないが、第1の実施形態における円管ノズル15からの棒状冷却水と同様に、冷却水を用い、加圧状態で噴射され、ノズル噴出口から鋼帯に衝突するまでの水流の断面がほぼ円形に保たれた連続性と直進性のある水流を用いるので、ここでは棒状冷却水と呼ぶこととする。
【0044】
第2の実施形態における熱延鋼帯の製造設備の構成は、図1に示した第1の実施形態における熱延鋼帯の製造設備とほぼ同様の構成であるが、第2の実施形態における冷却装置10の周辺の構成は図4に示すようになっている。すなわち、ランナウトテーブル5の上面側に、後述する冷却装置本体10bを備え、その下流側に水切り手段としての棒状冷却水噴射ノズル19を備えている。なお、鋼帯下面側の構成は第1の実施形態と同じである。
【0045】
そして、冷却装置本体10bの構成は、図6のようになっている。第1の実施形態の冷却装置本体10aと同様に、冷却水ノズルヘッダ14に鋼帯幅方向に所定のピッチ(例えば、60mmピッチ)で配置された円管ノズル15が、鋼帯進行方向に所定のピッチ(例えば、100mmピッチ)で所定の列数(例えば、100列)設けられており、円管ノズル15は、棒状冷却水を鋼帯12の進行方向に向けて所定の噴射角度θ(例えば、θ=50°)で噴射するように傾斜して配置されている。ただし、第1の実施形態の冷却装置本体10aでは、円管ノズル1列毎に1本の冷却水ノズルヘッダ14を経由して冷却水供給管16に接続され且つ各冷却水供給管16は独立にオン−オフ制御可能となっていたが、第2の形態の冷却装置本体10bでは円管ノズル2列毎に1本の冷却水ノズルヘッダ14を経由して冷却水供給管16に接続されており、これを制御単位として、各冷却水供給管16は独立にオン−オフ制御可能となっている。円管ノズル15の口径や噴射角度、ノズル高さ等の考え方については第1の実施形態と同じである。
【0046】
なお、冷却装置本体10bの構成についてであるが、この冷却装置本体10bでは円管ノズル2列を制御単位としてオン−オフ制御をしている。このオン−オフ制御を実施する目的は冷却終了時の温度調整にあるが、円管ノズル1列のオンに対して何度冷やせ且つ冷却終了温度の許容精度を如何に設定するかでオン−オフ制御を行う制御単位(ノズル列数)が決定される。上記の様な構成の場合、円管ノズル1列当たり1〜3℃程度冷却する能力があるが、例えば±5℃の温度精度を狙う場合5〜10℃程度の分解能でオン−オフできれば、許容の温度範囲に入れることができる。そのため、この実施形態では一回のオン−オフで5℃調整するとすると、1本の冷却水供給管16のオン−オフで円管ノズル2列がオン−オフできれば、十分な精度で温度調整が可能である。また、このように円管ノズル複数列を制御単位としてオン−オフ制御を行えば、オン−オフ制御を行うために必要な機器である遮断弁の個数も減るし、配管の本数も減らすことができるため安価に設備製作が可能となる。
【0047】
ちなみに、この実施形態では、円管ノズル2列を制御単位としたオン−オフ制御が可能な機構について説明したが、必要である温度精度が維持できる範囲で、さらに多い列数を制御単位としてもかまわない。また、長手方向(鋼帯進行方向)に対して、場所により1つのオン−オフ機構での制御単位(円管ノズルの列数)を変えてもかまわない。
【0048】
一方、水切り手段である棒状冷却水噴射ノズル19は、所定のノズル径(例えば、内径5mm)、ノズルピッチ(例えば、30mm)で、冷却装置本体10bの下流側に配置されており、冷却装置本体10b側(上流側)に向けて傾斜した棒状冷却水を噴射する。棒状冷却水噴射ノズル19から噴射される棒状冷却水と鋼帯12との成す角度ηは、前述した冷却装置本体10a(10b)からの棒状冷却水の噴射角度θと近い考え方が適用可能であり、60°以下が好ましく、55°以下が一層好ましい。噴射角度ηが60°を越えると、鋼帯12に到達後の冷却水(滞留水)の鋼帯進行方向逆向きの速度成分が小さくなり、その上流側にある冷却装置本体10bから噴射される棒状冷却水と干渉して、滞留水の流れが妨げられ、それによって棒状冷却水噴射ノズル19からの棒状冷却水の下流側に滞留水の一部が流出してしまって、冷却領域が安定しない危険性があるからである。さらに、棒状冷却水噴射ノズル19は鋼帯進行方向上流側に向かって噴射しているが、そもそも滞留水は鋼帯と滞留水との間に発生するせん断力のため、鋼帯進行方向に漏れやすい傾向がある。そのため、上流側に設置した冷却装置本体10bからの棒状冷却水の噴射角度θよりも、噴射角度ηを5゜以上小さくして、鋼帯12に対して平行で、且つ進行と逆向きの流体速度を大きくしたほうが好ましい。
【0049】
また、棒状冷却水噴射ノズル19から噴射される棒状冷却水は、冷却装置本体10bからの棒状冷却水を受け止めて、下流側に流れ出ない程度の力が必要となる。そのため、冷却装置本体10bの円管ノズル15の使用列数が多い場合は、棒状冷却水噴射ノズル19からの流量、流速、水圧を増やして水切り能力を安定化させるのが好ましい。あるいは、図5のように、水切り手段の棒状冷却水噴射ノズル19を鋼帯進行方向に複数列(例えば、5列)設置して、冷却装置本体10bの円管ノズル15の使用列数に応じて、棒状冷却水噴射ノズル19の使用列数を変化させてもかまわない。
【0050】
ただし、棒状冷却水噴射ノズル19は、幅方向に複数並べて設置することから、噴射された棒状冷却水間で幅方向に隙間が発生し、この隙間から滞留水が漏れ出す危険性がある。よって、棒状冷却水噴射ノズル19を用いた場合は、図5のように鋼帯進行方向に複数列設置し、且つ、図7、図8に示した冷却装置本体10a(10b)の円管ノズル15の配置と同様に、前の列の棒状冷却水の幅方向衝突位置に対して次の列の棒状冷却水の幅方向衝突位置がずれるように配置することが好ましい。これによって、幅方向に隣り合う棒状冷却水の間で水切り能力が弱くなる部分に次の列の棒状冷却水が衝突し、水切り能力冷却が補完される。
【0051】
そして、冷却装置本体10bと棒状冷却水噴射ノズル19とは、冷却装置本体10bの最後列(最下流側の列)に配置された円管ノズルから噴射された棒状冷却水が鋼帯12に到達する位置が、最前列(最上流側の列)の棒状冷却水噴射ノズル19から噴射された棒状冷却水が鋼帯12に到達する位置よりも上流側(例えば100mm)となるように調整されている。
【0052】
その結果、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、円管ラミナーノズルからの自由落下流を用いた従来の冷却装置でのような、鋼帯上面に滞留水がある場合とない場合で冷却能力に違いが生じるという問題や、鋼帯上に落下した冷却水が自由に前後左右に広がって冷却領域が変化し、冷却能力が安定しないという問題が解消され、高く安定した冷却能力を得ることができる。例えば、板厚3mmの鋼帯に対して、冷却速度100℃/sを超える急速冷却が可能である。
【0053】
また、鋼帯12の板厚が薄く、冷却水の影響で鋼帯12の通板が不安定になるような場合は、鋼帯12の先端の通過を妨げない程度の噴射圧力で冷却水を噴射しておき、鋼帯先端がコイラーに噛み込んだ後、所定の噴射圧力に変更することも可能である。また、板厚が厚い(例えば板厚2mm以上)の鋼帯では、あらかじめ冷却水を噴射したところに鋼帯先端を通過させてもよい。こうすれば、鋼帯12の先端から所定の冷却が可能となる。
【0054】
ここで、第2の実施形態では、水切り手段である水切り用流体を噴射するノズルとして、棒状冷却水を噴射するノズルを用いた例を説明した。水切り手段としては、冷却装置本体10bからの棒状冷却水を押しとどめる観点から運動量の高い棒状冷却水を噴射するノズルが好ましいが、必ずしも棒状冷却水を噴射するノズルである必要はなく、板状のスリット流を噴射するノズルでもかまわない。また、ノズル噴出口からの冷却水の噴射速度が7m/s未満であったり、冷却水が連続性を持たずにある程度液滴状になっていてもかまわない。この理由であるが、第1の実施形態において説明したように、水切り手段として用いる場合には、冷却装置本体10bから噴射された冷却水を押し戻す運動量があればよく、滞留水の水膜を破ぶって鋼帯12まで新鮮な冷却水を到達させる必要がないためである。
【0055】
なお、以上の第1及び第2の実施形態では、図1に示すように、ランナウトテーブル5に、従来型の冷却装置6と本発明の冷却装置10をその順に配置した例について説明した。この第1及び第2の実施形態によれば、従来型の冷却装置6により鋼帯をある程度冷却した後に本発明の冷却装置10により均一かつ安定した冷却を行うことができるので、特に鋼帯の全長にわたり冷却停止温度を均一にすることができる。また、既存の熱間圧延ラインを改造する場合には、従来型の冷却装置6の下流側に本発明の冷却装置10を増設するだけでよく、コスト的にも有利である。しかし、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、例えば、従来型の冷却装置6と本発明の冷却装置10とがこの逆順であってもよく、また、本発明の冷却装置10のみを備えてもよい。
【0056】
さらに、本発明は、図9に示すような実施形態(第3の実施形態)としてもよい。この実施形態は、前述の第1及び第2の実施形態において、さらに、最終仕上圧延機4Eと冷却装置6との間に、例えば特許文献3に記載されているような鋼帯に近接させる強冷却が可能な冷却装置17とピンチロール18を増設したものであり、仕上圧延直後と巻き取り直前の2段の冷却が必要となる2相鋼の製造に適した設備となっている。なお、必要に応じて、2つの冷却装置の間にある従来型の冷却装置6を使って噴射させて冷却を行うことも可能である。また、場合によっては、従来型の冷却装置6は備えなくても良い。
【0057】
この実施形態においても、第1、第2の実施形態と同様に、鋼帯12の先端から尾端まで均一に2段冷却を施すことができ、鋼帯12の品質が安定する。また、それにともなって、鋼帯の切り捨て代が少なくなって歩留まりが高くなる。
【実施例1】
【0058】
(本発明例1)
本発明例1として、第1の実施形態に基づいて本発明を実施した。すなわち、図1で示す設備構成とし、冷却装置本体10aとしては、図3のように、円管ノズル1列を制御単位として棒状冷却水のオン−オフ制御を可能とし、図8(b)のように、前の列の幅方向取り付け位置に対して、次の列の幅方向取り付け位置をノズル幅方向取り付けピッチの1/2の距離だけずらして配置した。また、図2に示すように、冷却装置本体10aの下流側にピンチロール11を設置した。
【0059】
そして、仕上板厚2.8mmの鋼帯とし、仕上圧延機4出口での鋼帯速度は鋼帯先端部で700mpm、鋼帯先端が巻き取り機13に到達して以降は順次速度を上げて最高1000mpm(16.7m/s)まで増速した。仕上圧延機4出口での鋼帯の温度は850℃で、従来の冷却装置6を使っておよそ650℃まで冷却し、以降目標の巻き取り温度である400℃までは本発明の冷却装置10を使って冷却した。巻き取り温度の許容温度偏差は±20℃とした。
【0060】
その際、円管ノズル15の噴射角度θは50°としており、円管ノズル15からの棒状冷却水の噴射速度は30m/sとした。これによって、鋼帯に衝突した際の鋼帯進行方向の速度成分が19.2m/s(=30m/s×COS50°)となり、鋼帯の最高進行速度16.7m/s以上となっている。ピンチロール11とテーブルローラ8の間隔は、あらかじめ板厚−1mm(すなわち1.8mm)に設定した。
【0061】
そして、あらかじめ所定の条件で棒状冷却水を噴射した状態で鋼帯先端を通過させ、鋼帯先端がピンチロール11に噛み込み、続いて鋼帯先端が巻き取り機13に巻き取られて張力がかかったら、ピンチロール11を2mm上昇させた。なお、この状態でも鋼帯上の冷却水は、ピンチロール11の下流側にすり抜けることはほとんどなく、ピンチロール11によって良好な水切りが実現された。また、鋼帯にキズや弛みが発生することもなかった。
【0062】
そして、鋼帯の進行速度、鋼帯の温度計測値、目標の冷却停止温度までの冷却温度量に基づいて、棒状冷却水を噴射する円管ノズル15の列数を求め、求めた円管ノズル15の列数だけピンチロール11に近い側から優先的に噴射するように設定した。それ以降は、鋼帯12の進行速度の増加につれて、棒状冷却水を噴射する円管ノズル15の列を上流側に伸ばしていった。
【0063】
その結果、本発明例1においては、巻き取り機13における鋼帯温度が400℃±10℃以内となり、目標の温度偏差内で鋼帯の先端から尾端まで非常に均一な冷却を実現することができた。
【0064】
(本発明例2)
本発明例2として、第2の実施形態に基づいて本発明を実施した。すなわち、前述したように、図1に示す設備構成とほぼ同様の設備構成とし、冷却装置本体10bとしては、図6のように、円管ノズル2列を制御単位として棒状冷却水のオン−オフ制御を可能とし、図8(a)のように、前の列の幅方向取り付け位置に対して、次の列の幅方向取り付け位置をノズル幅方向取り付けピッチの1/3の距離だけずらして配置した。また、図5に示すように、冷却装置本体10bの下流側に水切り用流体を噴射するノズルとしての棒状冷却水噴射ノズル19を複数列設置した。
【0065】
そして、仕上板厚2.8mmの鋼帯とし、仕上圧延機4出口での鋼帯速度は鋼帯先端部で700mpm、鋼帯先端が巻き取り機13に到達して以降は順次速度を上げて最高1000mpm(16.7m/s)まで増速した。仕上圧延機4出口での鋼帯の温度は850℃で、従来の冷却装置6を使っておよそ650℃まで冷却し、以降目標の巻き取り温度である400℃までは本発明の冷却装置10を使って冷却した。巻き取り温度の許容温度偏差は±20℃とした。
【0066】
その際、冷却装置本体10bの円管ノズル15の噴射角度θは60°としており、円管ノズル15からの棒状冷却水の噴射速度は35m/sとした。これによって、鋼帯に衝突した際の鋼帯進行方向の速度成分が17.5m/s(=35m/s×COS60°)となり、鋼帯の最高進行速度16.7m/s以上となっている。
【0067】
一方、水切り手段である棒状冷却水噴射ノズル19の噴射角度ηは、55゜とし、冷却装置本体10bの円管ノズル15と比較して、より傾斜させて鋼帯進行方向逆向きの速度成分を大きくした。
【0068】
そして、鋼帯の進行速度、鋼帯の温度計測値、目標の冷却停止温度までの冷却温度量に基づいて、冷却装置本体10bにおいて棒状冷却水を噴射する円管ノズル15の列数を求め、求めた円管ノズル15の列数だけ最後列(最下流側の列)から優先的に噴射するように設定した。それ以降は、鋼帯12の進行速度の増加につれて、冷却装置本体10bにおいて棒状冷却水を噴射する円管ノズル15の列を上流側に伸ばしていった。また、棒状冷却水噴射ノズル19は最前列(最上流側の列)から優先的に噴射するように設定し、冷却装置本体10bにおける円管ノズル15の使用列数の変化に応じて、棒状冷却水噴射ノズル19の水量を上げてゆき、その過程で棒状冷却水噴射ノズル19の流量が設備上限となったところで、順次、噴射する棒状冷却水噴射ノズル19の列を下流側に増やしていった。
【0069】
その際に、あらかじめ所定の条件で棒状冷却水を噴射した状態で鋼帯先端を通過させたが、鋼帯上の冷却水は棒状冷却水噴射ノズル19からの棒状冷却水の下流側にすり抜けることはほとんどなく、棒状冷却水噴射ノズル19によって良好な水切りが実現された。
【0070】
その結果、本発明例2においては、巻き取り機13における鋼帯温度が400℃±17℃以内となり、目標の温度偏差内で鋼帯の先端から尾端まで非常に均一な冷却を実現することができた。
【0071】
(比較例)
これに対して、比較例として、図1で示す設備のうち本発明の冷却装置10は使用せずに、鋼帯の冷却を行った。その際に、従来の冷却装置6のみを使って目標の巻き取り温度である400℃まで冷却した。巻き取り温度の許容温度偏差は±20℃とした。なお、それ以外の条件は、前述の本発明例1と同様である。
【0072】
その結果、比較例においては、鋼帯長手方向には冷却温度のハンチングが見られた。これは、滞留水が鋼帯の下そりになった部分に滞留し、それにより長手方向に温度のムラが生じたものと推定される。そのために、巻き取り機13における鋼帯温度が目標とする温度偏差(±20℃)に対して300℃〜420℃と大きくばらつき、それによって、鋼帯内の強度のばらつきが大きかった。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の第1、第2の実施形態における圧延設備の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における冷却装置の構成図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における冷却装置の詳細図である。
【図4】本発明の第2の実施形態における冷却装置の構成図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における冷却装置の詳細図である。
【図6】本発明の第2の実施形態における冷却装置の構成図である。
【図7】本発明の冷却装置の衝突位置について説明した図である。
【図8】本発明の第1、第2の実施形態における冷却装置本体及び第2の実施形態における水切り手段の棒状冷却水噴射ノズル配置の詳細図である。
【図9】本発明の第3の実施形態における圧延設備の構成図である。
【符号の説明】
【0074】
1…粗圧延機
2…粗バー
3…テーブルローラ
4…連続仕上圧延機群
4E…最終仕上圧延機
5…ランナウトテーブル
6…冷却装置
7…円管ラミナーノズル
8…テーブルローラ
9…スプレーノズル
10…冷却装置
10a…冷却装置本体
10b…冷却装置本体
11…ピンチロール
12…鋼帯
13…巻き取り機
14…冷却水ノズルヘッダ
15…円管ノズル
16…冷却水供給管
17…近接型冷却装置
18…ピンチロール
19…水切り手段としての棒状冷却水噴射ノズル




 

 


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