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発明の名称 連続鋳造機用クーリンググリッド設備及び連続鋳造鋳片の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−118043(P2007−118043A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−313869(P2005−313869)
出願日 平成17年10月28日(2005.10.28)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 堤 康一 / 上岡 悟史 / 久保田 淳 / 鈴木 健史 / 三木 祐司
要約 課題
鋳型直下の鋳片支持をクーリンググリッド方式で実施するに当たり、鋳片の支持面積を十分に確保すると同時に、鋳片の冷却能力を向上させた連続鋳造機用クーリンググリッド設備を提供する。

解決手段
上記課題は、連続鋳造機の鋳型直下に設置される連続鋳造機用クーリンググリッド設備6であって、クーリンググリッド設備を構成するウエアプレート14により鋳片11を支持する面積の割合が20%以上50%以下である連続鋳造機用クーリンググリッド設備により解決される。
特許請求の範囲
【請求項1】
連続鋳造機の鋳型直下に設置される連続鋳造機用クーリンググリッド設備であって、クーリンググリッド設備を構成するウエアプレートにより鋳片を支持する面積の割合が20%以上50%以下であることを特徴とする連続鋳造機用クーリンググリッド設備。
【請求項2】
連続鋳造機の鋳型直下に設置される連続鋳造機用クーリンググリッド設備であって、クーリンググリッド設備を構成するウエアプレートにより鋳片を支持する面積の割合が20%以上50%以下であり、隣り合うウエアプレートとウエアプレートとの隙間には、水スプレーノズルまたはエアーミストスプレーノズルが設置されていることを特徴とする連続鋳造機用クーリンググリッド設備。
【請求項3】
請求項2に記載の連続鋳造機用クーリンググリッド設備を備えた連続鋳造機を用い、水スプレーノズルまたはエアーミストスプレーノズルから冷却水を噴射させて鋳片を冷却しながら鋳造することを特徴とする、連続鋳造鋳片の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造機の鋳型直下に設置される、鋳片を支持・冷却するためのクーリンググリッド設備、並びに、このクーリンググリッド設備の設置された連続鋳造機を用いた鋳片の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼の連続鋳造においては、取鍋からタンディッシュに注入された溶鋼は、タンディッシュの底部に設置された浸漬ノズルを介して水冷式の鋳型に注入され、その後、鋳型によって形成された凝固シェルを外殻とする鋳片が、冷却されながら鋳型下方に連続的に引き抜かれ、連続鋳造鋳片が製造されている。この場合、先ず、鋳型においては、溶鋼は鋳型と接することによって冷却され、凝固シェルを形成する。その後、鋳型を抜けた鋳片は、ガイドロール、クーリンググリッド、クーリングプレートなどから構成される鋳片支持・案内装置によって支持されながらピンチロールによって鋳造方向に引き抜かれる。鋳片支持・案内装置によって支持されることにより、鋳片の厚み方向への膨らみ(「バルジング」という)が防止される。この鋳片支持・案内装置には水スプレーノズルやエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(以下、単に「スプレーノズル」と記載の場合は、水スプレーノズルとエアーミストスプレーノズルの両方を指すものとする)が配置されており、このスプレーノズルから噴霧される冷却水によって冷却されながら鋳片は引き抜かれ、やがて中心部までの凝固を完了させる。その後、連続鋳造機の機端に設置された鋳片切断機によって所定の長さに切断され、連続鋳造鋳片が製造される。
【0003】
ところで、近年、製造コストを削減するべく、生産性の向上が以前にも増して要求されており、連続鋳造プロセスにおいては、製造ラインのスピード即ち鋳片の引き抜き速度の高速化が行なわれている。この引き抜き速度の高速化を実現するには、様々な問題を解決する必要があるが、その中でも特に、鋳片を鋳型直下でより効率的に冷却し且つ支持する技術が必要となっている。高速鋳造下では、鋳型直下における凝固シェルの厚みが薄くなり、この凝固シェルが破れてブレークアウトが発生したり、或いは、凝固シェルの破れまでには至らないものの、鋳片が鋳型直下で溶鋼静圧によってバルジングしてしまい、これによって鋳型内の溶鋼湯面が上下に変動してモールドパウダーが凝固シェルに巻き込まれ、品質欠陥が発生したりするなどの問題が生じる。つまり、鋳型直下において、バルジングが生じないように凝固シェル厚みの薄い鋳片を支持しながら、且つ、効率良く鋳片を冷却する方法が求められている。
【0004】
従来、鋳片を鋳型直下で支持する方式としては、大きく分けて、ロール方式、クーリングプレート方式、クーリンググリッド方式の3種類の方式に分類される(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
ロール方式では、鋳造方向に隣り合うロールの隙間にスプレーノズルを設置し、スプレーノズルから噴霧される冷却水によって鋳片を冷却しながらロールで鋳片を支持する。この場合、鋳片を冷却する観点からは、ロール径を大きくしてロール間隔を拡大させ、鋳片の水冷される面積を広くすることが望ましいが、このようにすると鋳片を支持する間隔が広がるため、バルジングしやすくなってしまうという問題がある。また、ロールと鋳片とは線接触であるため、面で支持する他の2つの方式に比べて鋳片の支持面積が小さいという基本的な問題もある。
【0006】
クーリングプレート方式では、鋳片の幅方向全体を1つのプレートで支持しており、このプレートは、その内部に冷却水の流れる流路が形成された水冷構造であり、鋳片と接触して鋳片を間接的に冷却するとともに、プレートの表面から鋳片に向けて水を噴出して鋳片を直接冷却する機能をも備えている。このように、クーリングプレート方式では、鋳片の幅方向全体を大きな1つのプレートで支持しており、鋳片のバルジング防止には非常に有効な方式であるが、鋳片を直接冷却する面積が小さいので、鋳片の冷却効率が悪いという問題がある。また、ブレークアウトが発生した場合、プレート表面から噴射された水が鋳片を冷却した後に発生する蒸気の逃げ場がないため、水蒸気爆発の発生する危険性が高く、操業上にもまた安全上にも問題がある。更に、プレートが大きく、しかも一体構造であるため、加工及び補修が難しいことも大きな問題である(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
クーリンググリッド方式は、鋳片と直接接触しこれを支持するためのウエアプレートと、ウエアプレートの隙間に設置される水スプレーノズルと、で構成されており、千鳥配置された多数のウエアプレートが鋳片を支持し、且つ、多数の水スプレーノズルから噴射された冷却水によって鋳片を直接冷却しており、鋳片の支持面積を確保すると同時に、鋳片の直接冷却の面積を確保するという両方を兼ね備えた設備である(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
【特許文献1】特開昭57―25268号公報
【特許文献2】特開2002−120054号公報
【特許文献3】実開平6−23647号公報
【非特許文献1】三好等、鉄と鋼、Vol.60(1974)No.7.p.860−867
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のクーリンググリッド方式の設備を精査検討したところ、従来のクーリンググリッド設備には以下に示す問題があることが判明した。
【0009】
即ち、従来のクーリンググリッド設備では、鋳片の冷却は、主に、隣り合うウエアプレートの隙間に設置された水スプレーノズルから噴射される冷却水によって行われており、鋳片を支持するためのウエアプレートと鋳片との接触部には冷却水が直接当たらず、この部分の冷却能力が弱く、現状で求められている高速鋳造時にはクーリンググリッド設備全体の冷却能力が不十分であるという問題である。これは、ウエアプレート自体は、水冷構造ではなく、ウエアプレートの隙間に設置される水スプレーノズルから噴霧されるスプレー水によって冷却されており、鋳片とウエアプレートとの接触部はウエアプレートによる間接冷却になるからである。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋳型直下の鋳片支持をクーリンググリッド方式で実施するに当たり、鋳片の支持面積を十分に確保すると同時に、鋳片の冷却能力を向上させた連続鋳造機用クーリンググリッド設備を提供することであり、また、このクーリンググリッド設備を備えた連続鋳造機を用いて連続鋳造鋳片を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、上記課題を解決すべく、鋭意検討・研究を行った。以下に、検討・研究結果を説明する。
【0012】
従来のクーリンググリッド設備では、ウエアプレートにより鋳片を支持している面積の割合は、前述した非特許文献1に示されるように55%程度であり、換言すれば、鋳片表面の45%程度が直接冷却されるのみで、残りの55%程度は間接冷却になっていることから、クーリンググリッド設備の冷却能力を高める手段として、クーリンググリッド設備において、ウエアプレートによって鋳片を支持している面積の割合(これを「ウエアプレートの面積率」と称す)を低下させ、スプレー水で直接冷却される面積割合を拡大することを検討した。
【0013】
そこで、実操業の鋳型直下で使用しているクーリンググリッド設備、即ち、ウエアプレートと水スプレーノズルとを組み合わせた構造を模擬した実験装置を製作し、この実験装置において、ウエアプレートの大きさを変更することにより、ウエアプレートの面積率を15%から61%の範囲で変化させ、スプレー水の流量は各条件で一定として、このクーリンググリッド設備を用いて加熱した鋼材を冷却する実験を行い、クーリンググリッド設備の冷却能力に及ぼすウエアプレートの面積率の影響を調査した。試験は、1200℃に保持した電気炉で冷却用の鋼材を約1時間加熱した後、この鋼材を取り出し、実験装置に固定して冷却を開始し、冷却中、鋼材の表面温度の変化を二次元放射温度計により測定し、鋼材の温度降下量からクーリンググリッド設備の冷却能力を評価した。
【0014】
その結果、ウエアプレートの面積率が50%以下になると、熱伝導率が向上することが分かった。但し、ウエアプレートの面積率が20%未満の場合には、ウエアプレートの間隙の面積、つまりスプレー水で直接冷却される面積は増加するが、スプレー水量を一定にしたため、スプレー水の水量密度が低下して冷却能力は向上しないことが分かった。また、クーリンググリッド設備は、鋳型直下の凝固シェルが脆弱な場所に配置されることから、ウエアプレートの面積率を小さくし過ぎると鋳片の支持が損なわれる。これらの点から、ウエアプレートの面積率の下限値としては20%が妥当であることが分かった。
【0015】
本発明は、上記検討結果に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る連続鋳造機用クーリンググリッド設備は、連続鋳造機の鋳型直下に設置される連続鋳造機用クーリンググリッド設備であって、クーリンググリッド設備を構成するウエアプレートにより鋳片を支持する面積の割合が20%以上50%以下であることを特徴とするものである。
【0016】
第2の発明に係る連続鋳造機用クーリンググリッド設備は、連続鋳造機の鋳型直下に設置される連続鋳造機用クーリンググリッド設備であって、クーリンググリッド設備を構成するウエアプレートにより鋳片を支持する面積の割合が20%以上50%以下であり、隣り合うウエアプレートとウエアプレートとの隙間には、水スプレーノズルまたはエアーミストスプレーノズルが設置されていることを特徴とするものである。
【0017】
第3の発明に係る連続鋳造鋳片の製造方法は、第2の発明に記載の連続鋳造機用クーリンググリッド設備を備えた連続鋳造機を用い、水スプレーノズルまたはエアーミストスプレーノズルから冷却水を噴射させて鋳片を冷却しながら鋳造することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
上記構成の本発明に係る連続鋳造機用クーリンググリッド設備によれば、大幅な設備改造をすることなく、鋳片の支持を確実に行うことができると同時に鋳片の冷却を向上させることができ、高速鋳造条件であっても操業トラブルを生じることなく安定して高品質の鋳片を鋳造することが実現でき、工業上有益な効果がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態を示す図であって、本発明に係るクーリンググリッド設備を備えたスラブ連続鋳造機の概略図、図2は、図1におけるクーリンググリッド設備の拡大斜視図である。
【0020】
図1に示すように、スラブ連続鋳造機1には、溶鋼10を冷却して凝固させ、鋳片11の外殻形状を形成するための鋳型5が設置され、この鋳型5の上方所定位置には、取鍋(図示せず)から供給される溶鋼10を鋳型5に中継供給するためのタンディッシュ2が設置されている。タンディッシュ2の底部には、タンディッシュ2から鋳型5に注入される溶鋼10の流量を調整するためのスライディングノズル3が設置され、このスライディングノズル3の下面には、溶鋼10を鋳型5に注入するための耐火物製の浸漬ノズル4が設置されている。
【0021】
一方、鋳型5の下方には、鋳型5の直下にクーリンググリッド設備6が設置され、クーリンググリッド設備6の下方には、対向する複数対の鋳片支持ロール7が設置されている。クーリンググリッド設備6及び鋳片支持ロール7は、鋳型5から引き抜かれる鋳片11を支持しながら下方に案内するための鋳片支持・案内装置であり、鋳片支持ロール7には鋳片11を引き抜くためのピンチロール(図示せず)が含まれる。鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロール7の間隙には、水スプレーノズル或いはエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(図示せず)が配置され、これらのスプレーノズルから噴霧される冷却水により、鋳片11は引き抜かれながら冷却される。
【0022】
また、鋳片支持ロール7の下流側には、鋳造された鋳片11を搬送するための複数の搬送ロール8が設置されており、この搬送ロール8の上方には、鋳造される鋳片11から所定の長さの鋳片11aを切断するための鋳片切断機9が配置されている。
【0023】
クーリンググリッド設備6は、図2に示すように、鋳片11を支持するための、千鳥配置された多数のウエアプレート14と、ウエアプレート14を支持するバックフレーム(図示せず)と、隣り合うウエアプレート14の隙間に設置される水スプレーノズル15と、で構成されている。ウエアプレート14は寸法が異なる2種類のウエアプレート14a及びウエアプレート14bからなり、鋳型5の直下側からウエアプレート14a、ウエアプレート14b、ウエアプレート14aの順に交互に配置されている。この場合、ウエアプレート14の面積率が20%以上50%以下になるように、ウエアプレート14a及びウエアプレート14bの寸法が決定されている。尚、図2では、水スプレーノズル15がオーバル型の水スプレーノズル(噴霧衝突面の形状が円形となるノズル)である場合の、水スプレーノズル15から噴霧されるスプレー水の当たる範囲を符号16で表している。また、図2では、クーリンググリッド設備6を鋳片11の幅方向の一部のみで示しているが、鋳片11の全幅に亘ってクーリンググリッド設備6が設置されている。
【0024】
図2に示すウエアプレート14は、長方形型であるが、非特許文献1に示されるような格子型であってもよい。要は、ウエアプレート14の面積率、つまりウエアプレート14による鋳片11の支持面積が20%以上50%以下となり、その他の部位を水スプレーノズル15によって冷却できるような構造であるならば、ウエアプレート14の形状はどのようであっても構わない。また、クーリンググリッド設備6の鋳造方向の設置長さは特に限定されるものではなく、少なくともウエアプレート14が鋳造方向に千鳥配置されるならば幾らであっても構わない。但し、クーリンググリッド設備6は、本来、鋳型直下で鋳片11を支持する装置であるので、3m以上の長さは必要としない。
【0025】
ウエアプレート14は、通常、鋳鋼製或いは鋳鉄製で、鋳片11との接触面が平坦な平板状であり、水スプレーノズル15から噴射される冷却水によって冷却されていて、ウエアプレート14と接触する部位の鋳片11は、冷却水によって直接冷却されず、ウエアプレート14を介して間接的に冷却される。
【0026】
尚、図2では、隣り合うウエアプレート14の隙間に水スプレーノズル15が設置されているが、水スプレーノズル15である必要はなく、エアーミストスプレーノズルであってもよい。
【0027】
このような構成のスラブ連続鋳造機1を用いて、タンディッシュ2に滞留する溶鋼10を、スライディングノズル3により流量を調整しながら浸漬ノズル4を介して鋳型5に注入する。鋳型5に注入された溶鋼10は、鋳型5と接触して冷却され、凝固シェル12を形成する。鋳型5における溶鋼湯面位置をほぼ一定位置に保ちながら、表面を凝固シェル12とし、内部を未凝固相13とする鋳片11を鋳型5の下方に連続的に引き抜き、溶鋼10の連続鋳造を実施する。
【0028】
鋳型5を引き抜かれた鋳片11は、クーリンググリッド設備6及び鋳片支持ロール7で支持されながら冷却され、やがて内部まで完全に凝固する。この場合、クーリンググリッド設備6に設置される水スプレーノズル15からの冷却水の噴霧量、並びに、鋳片支持ロール7の間隙に設置されるスプレーノズルからの冷却水の噴霧量は、特に規定するものではなく、鋳造する鋼種や鋳片11の引き抜き速度に応じて適宜最適な範囲を設定するものとする。鋳造される鋳片11を鋳片切断機9によって切断し、所定の長さの鋳片11aを製造する。
【0029】
上記構成のクーリンググリッド設備6を用いて鋳片11を冷却することで、鋳片11を安定して支持しつつ効率的に冷却することができるので、鋳片引き抜き速度の高速化による生産量の増加が可能になる。
【実施例1】
【0030】
実操業の鋳型直下で使用しているクーリンググリッド設備、即ちウエアプレートと水スプレーノズルとを組み合わせた鋳型直下の構造を模擬した実験装置を製作し、この実験装置においてウエアプレートの大きさを変えてウエアプレートの面積率を15%から61%に変化させ、この実験装置を用いて加熱した鋼材を冷却し、冷却能力を比較・評価した。
【0031】
冷却能力を実験室的に評価する方法としては、加熱した鋼材を水スプレーノズルからの冷却水で冷却し、鋼材の温度履歴から定量的な評価をする方法が一般的であり、ここではスプレー水が噴霧されることにより発生する水蒸気の影響を避けるために、鋼材の冷却される面とは反対側を二次元放射温度計で測温した。
【0032】
実験は、図3に示すように、6個の水スプレーノズル15と上下方向3段でそれぞれ2個づつの合計6個のウエアプレート14とを組み合わせた構成の実験装置を用い、加熱した鋼材を実験装置のウエアプレート14に接触させて冷却した。ウエアプレート14とウエアプレート14との間は水スプレーノズル15で冷却した。使用した水スプレーノズル15はオーバル型ノズルであり、実験では、水スプレーノズル1本当たりの冷却水量を24L/minの一定値とした。尚、図3は、クーリンググリッド設備の冷却能力を比較・評価するための実験装置の概略図である。
【0033】
この実験において、ウエアプレート14の設置位置は変更せず、ウエアプレート14の幅を15mmから60mmの範囲で6つの水準(水準1〜6)に変化させて、ウエアプレート14の面積率を変化させた。ウエアプレート14の幅を変化させることによってウエアプレート間の間隙が変化するので、それに応じて水スプレーノズル15の設置高さを変え、スプレー水がウエアプレート間の間隙にほぼ均一に噴霧されるように調整した。加熱する鋼材としては、幅280mm、高さ560mm、厚み20mm、炭素濃度が0.2質量%の炭素鋼の鋼材を用い、この鋼材の冷却面とは反対側の面を、二次元放射温度計(チーノー製:CPA−7000)で1秒毎に測温し、鋼材全体の平均表面温度を算出して評価した。
【0034】
実験では、1200℃に保持した電気炉で上記の鋼材を約1時間加熱し、この均一に加熱された鋼材を取り出して実験装置に固定し、冷却を開始した。表1に、水準1〜6におけるウエアプレートの大きさ及びウエアプレートの面積率、並びに、冷却を開始してから30秒経過時点の鋼材の平均温度を示す。
【0035】
【表1】


【0036】
表1に示すように、ウエアプレートの面積率が20%から50%の範囲の水準2〜5では、鋼材の平均温度は760℃以下であったのに対し、ウエアプレートの面積率が61%の水準1では鋼材の平均温度は812℃になり、ウエアプレートの面積率が15%の水準6では鋼材の平均温度は804℃になった。水準6において鋼材の平均温度が上昇したのは、水準1〜6でスプレー水量を一定にしたため、水準6ではスプレー水の水量密度が低下して冷却能力が向上しなかったことによる。
【0037】
以上の結果から、ウエアプレートの面積率を20%から50%の範囲とすることで、クーリンググリッド設備の冷却能力を増大させることができることが確認された。尚、表1の備考欄には、本発明の範囲の水準には「本発明例」と表示し、それ以外には「比較例」と表示した。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るクーリンググリッド設備を備えたスラブ連続鋳造機の概略図である。
【図2】図1におけるクーリンググリッド設備の拡大斜視図である。
【図3】クーリンググリッド設備の冷却能力を比較・評価するための実験装置の概略図である。
【符号の説明】
【0039】
1 スラブ連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 クーリンググリッド設備
7 鋳片支持ロール
8 搬送ロール
9 鋳片切断機
10 溶鋼
11 鋳片
12 凝固シェル
13 未凝固相
14 ウエアプレート
15 水スプレーノズル
16 スプレー水の当たる範囲




 

 


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