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連続鋳造鋳片の二次冷却方法 - JFEスチール株式会社
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発明の名称 連続鋳造鋳片の二次冷却方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−118042(P2007−118042A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−313868(P2005−313868)
出願日 平成17年10月28日(2005.10.28)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 堤 康一 / 久保田 淳 / 鈴木 健史 / 三木 祐司 / 鈴木 真
要約 課題
連続鋳造機の二次冷却帯において、エアーミストスプレーにより効率的に鋳片を冷却する。

解決手段
連続鋳造機の二次冷却帯に設置されたエアーミストスプレーを用いて鋳片を冷却するに際し、水と空気とが混合する直前の空気の圧力を0.5MPa以上1MPa以下の範囲とする。この場合に、前記エアーミストスプレーのノズルチップ直下における霧状水粒子の鋳片への衝突圧力を2kPa以上とし、鋳片における霧状水粒子の噴霧厚みを40mm以上とすることが好ましい。
特許請求の範囲
【請求項1】
連続鋳造機の二次冷却帯に設置されたエアーミストスプレーを用いて鋳片を冷却するに際し、水と空気とが混合する直前の空気の圧力を0.5MPa以上1MPa以下の範囲とすることを特徴とする、連続鋳造鋳片の二次冷却方法。
【請求項2】
前記エアーミストスプレーのノズルチップ直下における霧状水粒子の鋳片への衝突圧力を2kPa以上とし、鋳片における霧状水粒子の噴霧厚みを40mm以上とすることを特徴とする、請求項1に記載の連続鋳造鋳片の二次冷却方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続鋳造機の二次冷却帯において鋳片を冷却する方法に関し、詳しくは、エアーミストスプレーにより効率的に鋳片を冷却する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼の連続鋳造においては、取鍋からタンディッシュに注入された溶鋼は、タンディッシュの底部に設置された浸漬ノズルを介して水冷式の鋳型に注入され、その後、鋳型によって形成された凝固シェルを外殻とする鋳片が、冷却されながら鋳型下方に連続的に引き抜かれ、連続鋳造鋳片が製造されている。この場合、先ず、鋳型においては、溶鋼は鋳型と接することによって冷却され、凝固シェルを形成する。その後、鋳型を抜けた鋳片は、鋳型直下でクーリンググリッド或いはサポートロールによって支持され、更にその下方ではガイドロールによって支持されながらピンチロールによって鋳造方向に引き抜かれる。これらのクーリンググリッド、サポートロール及びガイドロールは、鋳片支持・案内装置と呼ばれている。鋳片は、鋳片支持・案内装置によって支持されることにより、鋳片の厚み方向への膨らみ(「バルジング」という)が防止される。この鋳片支持・案内装置にはスプレーノズルが配置されており、このスプレーノズルから噴霧される冷却水によって冷却されながら鋳片は引き抜かれ、やがて中心部までの凝固を完了させる。その後、連続鋳造機の機端に設置された鋳片切断機によって所定の長さに切断され、連続鋳造鋳片が製造される。スプレーノズルが配置されている鋳片支持・案内装置の範囲は、二次冷却帯と呼ばれている。
【0003】
ところで、近年、製造コストを削減するべく、生産性の向上が以前にも増して要求されており、連続鋳造プロセスにおいては、製造ラインのスピード即ち鋳片の引き抜き速度の高速化が行なわれている。この引き抜き速度の高速化を実現するには、様々な問題を解決する必要があるが、その中でも特に、鋳片をより効率的に冷却する技術が必要となっている。高速鋳造下では、鋳型直下における凝固シェルの厚みが薄くなり、この凝固シェルが破れてブレークアウトが発生したり、或いは、凝固シェルの破れまでには至らないものの、鋳片が鋳型直下で溶鋼静圧によってバルジングしてしまい、これによって鋳型内の溶鋼湯面が上下に変動してモールドパウダーが凝固シェルに巻き込まれ、品質欠陥が発生したりするなどの問題が生じる。つまり二次冷却帯でバルジングが生じないようにするために、効率良く鋳片を冷却する方法が求められている。
【0004】
従来、二次冷却帯で鋳片を冷却する一般的な方法として、水のみの一流体方式のスプレー(以下、「水スプレー」と記す)と、水と空気とを混合させた二流体方式のスプレー(以下、「エアーミストスプレー」と記す)との2つの方式が用いられている。水スプレーは、冷却水配管の先端にノズルチップを装着し、加圧した水をノズルチップから鋳片に向けて噴射させ、鋳片を冷却するというものである。一方、エアーミストスプレーは、冷却水が供給される配管と空気が供給される配管とを合流させ、加圧した水と空気とを混合して霧状態とし、これをノズルチップから鋳片に向けて噴霧させて冷却するというものである。
【0005】
一般的に、水スプレーは構造が簡単であるが、噴霧される水の粒子径が大きく、エアーミストスプレーに比べて冷却が不均一になりやすいという問題がある。また、水スプレーはノズルチップにゴミなどが詰まりやすいという問題もあり、近年では、エアーミストスプレーが主流となっている。エアーミストスプレーは、流量分布を崩すことなく供給水量の変更可能な範囲、所謂ターンダウンが水スプレーに比較して大きいことが知られており、高速鋳造では鋳片引き抜き速度の変化量が大きく、つまり冷却水量の変化量が大きく、これも、水量の変化量が大きくても安定した水量分布の得られるエアーミストスプレーが最近の連続鋳造機で採用される理由になっている。
【0006】
水スプレーの冷却能力は水量密度に影響されることが知られており(例えば非特許文献1参照)、また、エアーミストスプレーの冷却能力は水量密度と空気流量密度とに影響されることが知られている(例えば非特許文献2参照)。これらから、水スプレー及びエアーミストスプレーの冷却能力を高めるためには、水量密度を増加させればよいことが分る。尚、エアーミストスプレーの場合には、空気流量密度を高めることも有効であるが、非特許文献2によれは、空気流量密度の影響は水量密度に比べて小さいことが分る。
【0007】
しかし、水量密度を増加するためには、ポンプの増強のみならず、沈殿槽、冷却塔、給水槽などの水の循環処理設備を増強する必要のある場合も発生し、設備改造費が嵩むという問題が発生する。また、ノズルチップを高水量型に変更すると、エアーミストスプレーの場合には、ノズルの配置を含めた変更を必要とし、その場合には、ハードの改造のみならず、水量制御のためのソフトの改造も必要となるため、やはり巨額の設備投資が必要となる。
【0008】
このような中、特許文献1には、二次冷却スプレーの冷却能力を向上させる手段として、25kg/cm2 (2.5MPa)以上100kg/cm2 (9.8MPa)以下とした高圧水を噴射する水スプレーが提案されている。この場合、ノズルチップ先端までの全ての冷却水配管を高圧用の配管にする必要があり、設備費を考えると現実的ではない。また、水スプレーの場合には前述したターンダウンの範囲が狭いため、高速鋳造のために水量変化を大きくする必要のある連続鋳造機には適切ではない。
【0009】
また、特許文献2には、冷却能力を向上させるために、300L/min・m2 以上600L/min・m2 以下の冷却水量と、3Nm3/min・m2 以上18Nm3 /min・m2 以下の空気流量と、を備えたエアーミストスプレーが提案されている。しかしながら、この噴霧条件では、ノズルチップの構造を適切化しないと空気のみが大量に流れてしまい、その結果、水粒子の鋳片への衝突圧力を高めることができず、強いては水粒子の粒子径が小さくなりすぎて、鋳片の冷却に寄与するミストにはならない場合が発生するという問題がある。
【特許文献1】特開昭57−91857号公報
【特許文献2】特開平10−109150号公報
【非特許文献1】三塚、鉄と鋼、vol.54(1968),No.14.p.1457−1470
【非特許文献2】手嶋等、鉄と鋼、vol.74(1988),No.7.p.1282−1289
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、連続鋳造機の二次冷却帯において、エアーミストスプレーにより効率的に鋳片を冷却する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための第1の発明に係る連続鋳造鋳片の二次冷却方法は、連続鋳造機の二次冷却帯に設置されたエアーミストスプレーを用いて鋳片を冷却するに際し、水と空気とが混合する直前の空気の圧力を0.5MPa以上1MPa以下の範囲とすることを特徴とするものである。
【0012】
第2の発明に係る連続鋳造鋳片の二次冷却方法は、第1の発明において、前記エアーミストスプレーのノズルチップ直下における霧状水粒子の鋳片への衝突圧力を2kPa以上とし、鋳片における霧状水粒子の噴霧厚みを40mm以上とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、連続鋳造機の二次冷却帯に設置されたエアーミストスプレーを用いて鋳片を冷却するに際し、水と空気とが混合する直前の空気の圧力を0.5MPa以上1MPa以下の範囲とするので、同じ冷却水量であっても鋳片を効率的に冷却することができる。その結果、近年の鋳片引き抜き速度を高速化させた連続鋳造操業にあっても、操業トラブルを生じることなく高品質の鋳片を安定して鋳造することが実現でき、工業上有益な効果がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1に、エアーミストスプレーにより鋳片を冷却している状況の概略図を示す。
【0015】
図1に示すように、エアーミストスプレー3は、水を供給する水供給管7と、空気を供給する空気供給管8と、水供給管7と空気供給管8とが合流して供給される水及び空気が混合される混合部6と、混合された水及び空気の流路となる混合配管5と、混合配管5の先端部に装着されるノズルチップ4とを備えている。ノズルチップ4は、鋳造方向に隣り合う、鋳片2の支持・案内装置である鋳片支持ロール1の間隙に配置され、ノズルチップ4から噴出される霧状の水粒子11(これ以降「ミスト」と称す)が鋳片2の表面に衝突することで、鋳片2が冷却される構成になっている。水供給管7には供給される水の圧力を測定する水圧測定用圧力計9が設置され、また、空気供給管8には供給される空気の圧力を測定する空気圧測定用圧力計10が設置されている。尚、水供給管7は水を供給するポンプ(図示せず)に連結され、空気供給管8は空気を供給するポンプ(図示せず)に連結されている。また、図1では、鋳片2の左側片側のみに鋳片支持ロール1及びエアーミストスプレー3が設置されているが、図1では鋳片2の右側を省略しており、右側にも鋳片支持ロール1及びエアーミストスプレー3が設置されている。
【0016】
このようにして構成されるエアーミストスプレー3において、ミスト11の噴霧特性(水量分布、衝突圧分布、水粒子径分布)を決定するのはノズルチップ4の構造であり、そこで、冷却効率に優れるエアーミストスプレー3を開発するべく、ノズルチップ4の構造について検討した。
【0017】
ミスト11の噴霧特性を制御する方法として、実操業においては流量を制御する方法と圧力を制御する方法の2つの方法で行われるが、多くの場合は制御方法が簡単な圧力制御によって行われており、本発明でも、供給する水及び空気の圧力を制御する方法によって噴霧特性を制御することとした。配管内を流れる流体の圧力は、圧損の問題があり、測定する場所により異なる値を示す場合がある。そこで、本発明では、図1に示すように、水及び空気の圧力を水及び空気が混合される直前の水供給管7及び空気供給管8で測定することとした。つまり、水圧測定用圧力計9及び空気圧測定用圧力計10で測定される圧力が所定の値になるように、水或いは空気を供給するポンプや供給管に取り付けられる慣用の減圧弁(図示せず)を調整し、これにより最適な噴霧条件に制御される。
【0018】
但し、配管内を流れる流体の圧力は、配管内径の拡大がなければ大きな圧損は発生しないことが分っている。つまり、水圧測定用圧力計9及び空気圧測定用圧力計10の位置は、混合部6に近いほど好ましいが、配管径が同一であれば離れていても問題ない。また、配管径が同一でなくても、混合部6の配管径よりも大きな配管に設置された圧力計であるならば、大きな圧損が無いことが知られているので、これも問題ない。
【0019】
ミスト11の噴霧特性のうちで、ミスト11の幅方向の水量分布は、例えば図2に示すようにして測定することができる。つまり、所定のノズル高さとなるように設置された、エアーミストスプレー3のノズルチップ4の下方に、収集箱12をミスト11の幅方向に並べて配置し、所定の時間ノズルチップ4からミスト11を噴霧し、それぞれの収集箱12に溜まった水の量を定量することで、ミスト11の幅方向の水量分布を求めることができる。例えば、溜まった水量の一番多い箇所を100%とし、この水量に対する比を百分率で表示すれば、幅方向の水量分布を得ることができる。ここで、ミスト11の幅方向の水量分布とは、鋳片2の鋳造方向と直交する方向、つまり鋳片2の幅方向と同一方向における水量分布である。図2は、ミスト11の幅方向の水量分布測定方法を示す概略図である。
【0020】
同様に、ミスト11の厚み方向の水量分布は、例えば図3に示すようにして求めることができる。つまり、所定のノズル高さとなるように設置された、エアーミストスプレー3のノズルチップ4の下方に、収集箱12をミスト11の厚み方向に並べて配置し、所定の時間ノズルチップ4からミスト11を噴霧し、それぞれの収集箱12に溜まった水の量を定量することで、ミスト11の厚み方向の水量分布を求めることができる。例えば、溜まった水量の一番多い箇所を100%とし、この水量に対する比を百分率で表示すれば、厚み方向の水量分布を得ることができる。この厚み方向の水量分布からミスト11の噴霧厚みを求めることができる。ここで、ミスト11の噴霧厚みとは、水量分布が25%以上となる領域の厚み方向長さを指す。この噴霧厚みはミスト11の幅方向位置によって大きく変化することから、本発明ではノズルチップ4の直下における噴霧厚みを、エアーミストスプレー3の噴霧厚みと定義した。また、ミスト11の厚み方向の水量分布とは、鋳片2の鋳造方向と同一方向における水量分布である。図3は、ミスト11の厚み方向の水量分布測定方法を示す概略図である。
【0021】
ミスト11の噴霧特性のうち、ミスト11の衝突圧分布は、例えば図4及び図5に示すようにして求めることができる。つまり、所定のノズル高さとなるように設置された、エアーミストスプレー3のノズルチップ4の下方に、市販の歪ゲージから構成される衝突圧測定センサー13を配置し、ノズルチップ4からミスト11を噴霧し、衝突圧測定センサー13をミスト11の幅方向及び厚み方向に移動させることで、ミスト11の衝突圧の分布を得ることができる。衝突圧測定センサー13の大きさを縦横とも1cmとすれば、1cm3 当たりの衝突圧を直接測定することができる。本発明では、衝突圧測定センサー13をミスト11の幅方向及び厚み方向に移動させ、得られた衝突圧の最大値を、そのエアーミストスプレー3の衝突圧と定義した。図4及び図5は、ミスト11の衝突圧分布測定方法を示す概略図である。尚、衝突圧測定センサー13を固定し、ノズルチップ4を移動させてもミスト11の衝突圧分布を得ることができる。
【0022】
ミスト11の噴霧特性のうちで水粒子径分布は、供給する空気の圧力が0.2MPa以上になると変化量が小さいことが経験上から分っているので、ノズルチップ4の設計に当たっては、石灰ミスト11の水量分布と衝突圧とによってミスト11の噴霧特性を評価した。
【0023】
試作したノズルチップ4の噴霧実験を上記の方法により行い、試作したノズルチップ4におけるミスト11の幅方向の水量分布、厚み方向の水量分布、衝突圧分布を測定し、測定結果から、ミスト11の噴霧厚み及びミスト11の衝突圧を求めた。
【0024】
また、試作したノズルチップ4は、以下に示す熱間実験により冷却能力を測定し、冷却効果を検証した。
【0025】
冷却能力を実験室的に評価する方法としては、加熱した鋼材にスプレー水を噴霧して冷却し、鋼材の温度履歴から熱伝達率を求める方法が一般的であり、そこで、本発明では、鋼材の冷却される面とは反対側に穴を設け、そこに熱電対を埋め込み、熱電対で温度履歴を測定した。
【0026】
実験は、図6に示すような実操業のエアーミストスプレー3の配置を模擬した実験装置を用いて実施した。図6は、連続鋳造機の垂直部を模擬しており、鋳片代替の鋼材14に鋳片支持ロール1を接触させ、この鋳片支持ロール1の間隙にノズルチップ4を配置し、ノズルチップ4からミスト11を噴霧して鋼材14を冷却した。使用したノズルチップ4の仕様は、水量が6.6〜48L/min、空気圧が0.3〜1.2MPaである。尚、図6は、エアーミストスプレー3の冷却能力を比較・評価するための実験装置の概略図である。
【0027】
加熱する鋼材14としては、幅280mm、高さ560mm、厚み20mm、炭素濃度が0.2質量%の炭素鋼の鋼材を用い、この鋼材14の冷却面とは反対側の面に、直径1.8mm、深さ18mmの穴を7個空けて、そこに直径1.6mmのK型シース熱電対15を埋め込んだ。熱電対15の埋め込み位置は、図6に示すように、ノズルチップ4の直下位置を基準として、ミスト11の厚み方向上方側に0mm、25mm、50mm、100mm、150mmの位置と、ミスト11の厚み方向下方側に37.5mm、75mmの位置の7箇所である。図6では、ミスト11の厚み方向上方側を「+」で表示し、厚み方向下方側を「−」で表示している。
【0028】
実験では、1200℃に保持した電気炉で上記の鋼材14を約1時間加熱し、この均一に加熱された鋼材14を取り出して実験装置に固定し、冷却を開始した。鋼材14の冷却中、熱電対15による7点の温度測定値を0.1秒ごとにパーソナルコンピューターに取り込んだ。実験後、計測した温度履歴によりそれぞれの熱電対15の位置における熱伝達係数を算出し、輻射冷却を含めた鋳片支持ロール1の間の平均熱伝達係数を算出し、これに基づき冷却能力を評価した。本発明では、伝導、対流、輻射を含めた熱伝達係数の値を総括熱伝達係数と定義した。また、本発明では連続鋳造鋳片の表面温度の平均に近いと推定される850℃における総括熱伝達係数を用いて冷却能力を比較した。
【0029】
水量を23L/minと48L/minとの2水準とし、空気圧を0.3MPaから1.2MPaの範囲に変化させて熱間実験を実施した。この実験により測定された850℃における総括熱伝達係数と空気圧との関係を図7に示す。図7に示すように、空気圧が0.5MPa以上1.0MPa以下の場合に、通常使用されている空気圧0.3MPaの場合に比べて冷却能力が高くなることが分った。一般的に、空気圧を高くすると水圧もそれに応じて高くする必要があることから、水圧を余りに高くすることを防止する観点から、空気圧は0.5MPa以上0.8MPa以下とすることが好ましい。
【0030】
また、ミスト11の噴霧厚みを変化させた実験から、冷却能力を高く維持するためには、ミスト11の噴霧厚みは40mm以上であることが好ましいことが分った。ミスト11の噴霧厚みが40mm未満になると、鋳片2の冷却される時間が短くなり、冷却能力が低下するものと思われる。ミスト11の噴霧厚みの上限は特に規定する必要はないが、隣り合う鋳片支持ロール1の間隙に収まる程度、例えば200mm程度あれば十分である。
【0031】
また更に、ミスト11の衝突圧を変化させた実験から、冷却能力を高く維持するためには、ミスト11の衝突圧は2kPa以上であることが好ましいことが分った。ミスト11の衝突圧が2kPa未満の場合には、衝突圧が低すぎて冷却能力が低下する。ミスト11の衝突圧の上限は供給する空気の圧力に応じて自ずと決まることになる。
【0032】
即ち、エアーミストスプレー3による冷却能力を向上させるには、供給する空気の圧力が0.5MPa以上1.0MPa以下となるノズルチップ4を使用する必要があり、そして、これに加えてミスト11の噴霧厚みが40mm以上でミスト11の衝突圧が2kPa以上となるノズルチップ4を使用することが好ましいことが分った。つまり、これらの条件を満足するノズルチップ4を設計する必要のあることが分った。このような設計思想に基づいたノズルチップ4を混合配管5に装着して供給する空気の圧力を0.5MPa以上1.0MPa以下とすれば、鋳片2を効率的に冷却することが達成される。
【0033】
ノズルチップ4の設計に当たっては、1本当たりのエアーミストスプレー3から供給できる噴霧量と圧力条件とを把握することが必要である。ここで、噴霧量とは、水或いは空気を供給するポンプから供給される水量及び空気量を指し、圧力条件とは供給される水及び空気の圧力を指している。ノズルチップ4の構造が異なると、同一量の水量及び空気量を供給する場合でも圧力条件は異なってくる。空気の供給圧力が0.5MPa以上1.0MPa以下とならない場合には、設備を改造してこの条件を満足しない限り、本発明を実施することはできない。
【0034】
また、1本のエアーミストスプレー3で冷却する面積を設定することも必要である。鋳片2の幅がおよそ300〜500mmであるブルーム鋳片を冷却する場合には、鋳片2の幅方向に1つのエアーミストスプレー3を設置するだけでブルーム鋳片の幅方向全体を冷却することができるが、鋳片2の幅が2000mmを超えるスラブ鋳片を冷却する場合には、1本のエアーミストスプレー3のみでは鋳片幅方向全体を冷却できないので、複数本のエアーミストスプレー3を鋳片幅方向に設置しなければならない。この場合には、1本のエアーミストスプレー3で冷却可能な幅を考慮し、幅方向の噴霧角度を決定する必要がある。その際に、複数のエアーミストスプレー3から噴霧されるミスト11が重なる部分を考慮して、水量分布が幅方向で均一になるように配置する必要がある。
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、同じ冷却水量であっても鋳片2を効率的に冷却することが実現でき、その結果、鋳片引き抜き速度を高速化させた連続鋳造操業にあっても、操業トラブルを生じることなく高品質の鋳片を安定して鋳造することが達成される。
【実施例1】
【0036】
4種類のノズルチップ(ノズルチップA〜D)を試作し、前述した図6に示す実験装置を用いて鋼材の冷却実験を実施した。ノズルチップA及びノズルチップCは、供給する空気の圧力を0.5MPa以下として設計したノズルチップで、一方、ノズルチップB及びノズルチップDは、供給する空気の圧力を0.5MPa以上として設計したノズルチップである。これらのノズルチップは、予めミストの幅方向の水量分布、厚み方向の水量分布、衝突圧を測定した。
【0037】
ノズルチップA及びノズルチップBの実験では、ノズル高さを126mmとし、水量を47.9L/minとして実験した(試験No.1〜3)。ノズルチップAの実験(試験No.1)では、空気圧を0.28MPaとし、ノズルチップBの実験(試験No.2〜3)では、空気圧を0.50MPaと0.58MPaの2水準として実験した。また、ノズルチップC及びノズルチップDの実験では、ノズル高さを110mmとし、水量を23.3L/minとして実験した(試験No.4〜6)。ノズルチップCの実験(試験No.4)では、空気圧を0.45MPaとし、ノズルチップDの実験(試験No.5〜6)では、空気圧を0.51MPaと0.55MPaの2水準として実験した。
【0038】
1200℃に保持した電気炉で鋼材を約1時間加熱し、この均一に加熱された鋼材を取り出して実験装置に固定し、前記条件のもとで冷却を開始した。鋼材の冷却中、熱電対による7点の温度測定値を0.1秒ごとにパーソナルコンピューターに取り込み、実験後、計測した温度履歴によりそれぞれの熱電対の位置における熱伝達係数を算出し、輻射冷却を含めた平均熱伝達係数を算出し、更に、850℃における総括熱伝達係数を求めた。
【0039】
表1に、試験条件、そのときのミストの噴霧厚み、衝突圧力、及び、850℃における総括熱伝達係数を示す。
【0040】
【表1】


【0041】
表1に示すように、本発明の範囲外である試験No.1では850℃における総括熱伝達係数は1117kcal/m2 ・hr・℃であったが、本発明の範囲内である試験No.2では1517kcal/m2 ・hr・℃であり、更に、試験No.3では1854kcal/m2・hr・℃であった。同様に、本発明の範囲外である試験No.4では850℃における総括熱伝達係数は537kcal/m2 ・hr・℃であったが、本発明の範囲内である試験No.5では880kcal/m2 ・hr・℃であり、更に、試験No.6では907kcal/m2・hr・℃であった。
【0042】
このように、本発明により、冷却水量を増加させなくても、鋳片を効率良く冷却できることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】エアーミストスプレーにより鋳片を冷却している状況を示す概略図である。
【図2】ミストの幅方向の水量分布測定方法を示す概略図である。
【図3】ミストの厚み方向の水量分布測定方法を示す概略図である。
【図4】ミストの衝突圧分布測定方法を示す概略図である。
【図5】ミストの衝突圧分布測定方法を示す概略図である。
【図6】エアーミストスプレーの冷却能力を比較・評価するための実験装置の概略図である。
【図7】熱間実験により測定された850℃における総括熱伝達係数と空気圧との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1 鋳片支持ロール
2 鋳片
3 エアーミストスプレー
4 ノズルチップ
5 混合配管
6 混合部
7 水供給管
8 空気供給管
9 水圧測定用圧力計
10 空気圧測定用圧力計
11 ミスト
12 収集箱
13 衝突圧測定センサー
14 鋼材
15 熱電対




 

 


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