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溶接部特性の良好な電縫管製造方法 - JFEスチール株式会社
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発明の名称 溶接部特性の良好な電縫管製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−90416(P2007−90416A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−286114(P2005−286114)
出願日 平成17年9月30日(2005.9.30)
代理人 【識別番号】100099531
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 英一
発明者 剣持 一仁 / 横山 泰康 / 岡部 能知 / 坂田 敬 / 澤木 哲郎
要約 課題
電縫溶接直前の帯材の丸めた幅の両端部の形状を、確実に所望のテーパ形状となし、溶接品質を良好に保持しうる、溶接部特性の良好な電縫管製造方法を提供する。

解決手段
帯材20を成形し、その端部を突き合わせて電縫溶接して管30とする過程の途中で、帯材の端部に切削又は研削4を施してテーパ13を付与した後に、電縫溶接する。
特許請求の範囲
【請求項1】
帯材を成形し、その端部を突き合わせて電縫溶接して管とする過程の途中で、帯材の端部に切削又は研削を施してテーパ形状を付与した後に、電縫溶接することを特徴とする溶接部特性の良好な電縫管製造方法。
【請求項2】
前記成形の途中に、前記切削又は研削を施すことを特徴とする請求項1記載の溶接部特性の良好な電縫管製造方法。
【請求項3】
前記成形の後に、前記切削又は研削を施すことを特徴とする請求項1又は2に記載の溶接部特性の良好な電縫管製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接部特性の良好な電縫管製造方法に関わり、特に、油井のラインパイプ向けなどの、溶接部の靭性が要求される管、あるいは油井のケーシングパイプなどの、溶接部の強度が要求される管を対象とした製造方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
通常、管は、溶接管と継目無管に大別される。溶接管は、電縫鋼管を例とするように、帯材の幅を丸め、丸めた幅の両端部を突き合わせて溶接して製造し、継目無管は、材料の塊を高温で穿孔し、マンドレルミル等で圧延して製造する。溶接管の場合、一般に、溶接部の特性は母材より劣るといわれ、管の適用に当たって、用途ごとに溶接部の靭性や強度の保証が常に議論されて問題となってきた。
【0003】
例えば、原油や天然ガスなどを輸送するラインパイプでは、管の敷設地が寒冷地に当たることが多いため低温靭性が重要であり、また、原油採掘用の油井では、採掘管を保護するためのケーシングパイプが必要とされ、管の強度が重要視される。
通常、管の母材となる熱延板は、管製造後の母材特性を考慮して成分設計や熱処理等が行われて、母材の靭性や強度等の特性は確保される。
【0004】
しかし、溶接部の特性は、母材の成分設計や熱処理以上に、電縫溶接方法によって大きく左右されるため、溶接技術の開発が重要であった。
電縫溶接不良の原因としては、ペネトレータと呼ばれる、被溶接端面に生成する酸化物が、電縫溶接時に溶鋼とともに端面から排出されずに残留し、この残留したペネトレータを原因として靭性が低下したり強度不足になる例が多かった。
【0005】
そこで、従来より、電縫溶接不良の主原因であるペネトレータを溶接部から除くため、被溶接端面から積極的に溶鋼を排出する技術が鋭意検討されてきた。例えば、特許文献1、2などに、被溶接端面の形状について検討した例が記載されている。すなわち、通常、被溶接端面はスリットや端面研削によってほぼ矩形を呈しているが、これをロール成形の前にテーパ加工して、加工した端部形状によって溶接時の溶鋼排出を良好にすることを目的としている。
【特許文献1】特開2001‐259733号公報
【特許文献2】特開2003‐164909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、電縫管の製造過程では、帯材はロール成形された後、電縫溶接される。このロール成形では、帯材を管にするために帯材の幅の両端部近傍に円周方向の曲げを加えたり、あるいは、電縫溶接での被溶接端部の突き合わせ精度を良好に保つため、フィンパス圧延と呼ばれるロール成形で、帯材の丸めた幅の両端部を拘束して帯材の断面を円に近い形状とする工程が必要である。
【0007】
これらロール成形過程において、例えばロール成形途中で曲げが加わると、ロール成形前に加工したテーパ形状がゆがんで、いびつな端部形状となり、電縫溶接時に十分な溶鋼排出ができず、ペネトレータを充分取り除くことができない。
また、上述のフィンパス圧延において、幅を丸めた帯材の断面を円形状にするためには、フィンパス圧延用ロールの孔型に、帯材の丸めた幅の両端部を充分充満させる必要があることから、当該端部はフィンに強圧されることになる。その結果、ロール成形前に加工していたテーパが潰れて、充分な量のテーパを確保できなくなるだけでなく、テーパ形状がフィンパス圧延条件に左右されてその形状の予測が困難であるため、いびつな端部形状となる場合もあって、電縫溶接時に充分な溶鋼排出ができず、ペネトレータを十分取り除くことができなくて、溶接品質を良好に保持することが著しく難しかった。
【0008】
そこで、本発明は、電縫溶接直前の帯材の丸めた幅の両端部の形状を、確実に所望のテーパ形状となし、溶接品質を良好に保持しうる、溶接部特性の良好な電縫管製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
先述のように、従来の技術はいずれも、ロール成形の前に帯材の幅の両端面をテーパ加工するものである。これは、帯材の幅の端部が平坦な状態にあるため、端部を加工しやすいという理由で検討されたものであるが、反面、ロール成形の途中で曲げやフィンパス圧延が加わるため、溶接直前の、帯材の丸めた幅の両端部を確実に所望の形状に保つには著しく不利なものであった。
【0010】
そこで、発明者らは、帯材の被溶接端部のテーパ加工を、上述の問題が生じないような工程により施すことを検討し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、帯材を成形し、その端部を突き合わせて電縫溶接して管とする過程の途中で、帯材の端部に切削又は研削を施してテーパ形状を付与した後に、電縫溶接することを特徴とする溶接部特性の良好な電縫管製造方法である。本発明では、前記成形の途中、及び/又は、前記成形の後に前記切削又は研削を施すことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電縫溶接直前の帯材の丸めた幅の両端部の形状を、確実に所望のテーパ形状となし、溶接品質を良好に保持しうるので、著しく良好な溶接部靭性及び溶接強度を有する電縫管を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において、帯材の成形とは、帯材の幅を段階的に丸めていって帯材の断面を円形状にするものであり、該成形の過程は、帯材の幅の両端部近傍の曲げ加工を行うロール成形初期段階と、帯材を最終的に円形状の断面に仕上げるフィンパス圧延段階とを有する。
まず、帯材の幅の端部近傍の曲げ加工は、ロール成形の初期段階で行われる。従って、この端部の曲げが行われた後に、端部にテーパ加工すると、曲げによるテーパ形状のゆがみがほとんどなく、良好なテーパ形状が保持できて良いわけである。そこで、所望のテーパ形状を得るために、発明者らは切削又は研削手段を用いることとした。所望どおりのテーパ形状を付与するには、不要な部分を除去する手段、もしくは塑性変形により形状を変更する手段があるが、塑性変形では、発生する余肉部分が除去できないために、所望のテーパ形状を得ようとすると周辺に余肉の盛り上がりが生じて、テーパ形状の最適化にはその余肉部分も考慮する必要があるが、切削又は研削により不要な部分を除去すれば、余肉部分の影響を考慮する必要はなく、テーパ形状の最適化が容易にできるわけである。また、精度よいテーパ形状を得るには、その形状をオンラインで直接観察しつつ切削又は研削することが望ましい。
【0013】
次に、フィンパス圧延において、帯材の丸められつつある幅の両端部が強圧される場合は、フィンパス圧延を終えた帯材の丸めた幅の両端部にテーパ加工すると良いわけである。付与されたテーパ形状はそのまま電縫溶接に供されるため、所望のテーパのまま被溶接端部からの溶鋼排出が十分行われてペネトレータを十分除去できる結果、良好な溶接が可能となって、溶接部の靭性や強度などの特性は著しく良好になるわけである。なお、フィンパス圧延後は、帯材の断面がほぼ円形状をなし、帯材の丸めた幅の両端部が互いに著しく近接しているため、研削ロールを入れる空間を確保しにくい場合があるが、その場合は、狭い空間内でも加工可能な切削バイトでテーパを付与するとよい。さらに、研削ロールを小型化したり、小型の切削バイトを設置して、これらを帯材の進行方向に千鳥状に配列することによって、狭い空間内でも帯材の端部にテーパ形状を付与できる。
【0014】
これらにより、溶接直前の帯材の丸めた幅の両端部の形状を、所望どおりのテーパ形状とすることが可能となり、該端部からの溶鋼排出が十分行われて、ペネトレータを十分除去できる結果、溶接部の靭性や強度などの特性を良好に保持することが可能となるのである。
【実施例】
【0015】
以下、実施例に基づいて説明する。
実施例では、本発明例と従来例とに共通して、幅1920mm×厚さ19.1mmの鋼帯(帯材)20を、図1又は図2に示すような、アンコイラー1、レベラー2、ロール成形機5、電縫溶接機(誘導加熱部6及びスクイズロール(電縫溶接部)7からなる)、サイザー9を順次配列した造管機に通して、外径600mmの鋼管(管)30を製造した。なお、図1乃至図2において、8はビード部切削機、10は管切断機である。
【0016】
製造した鋼管の溶接部から試験片を切り出してシャルピー試験を行い、性能を評価した。シャルピー試験片は、管長手方向位置の相異する10点から1本ずつ、試験片長さ方向を管円周方向に平行とし、ノッチ長さ中心を溶接部肉厚中心位置として採取し、JIS 5号の2mmVノッチ衝撃試験片として、-46℃での衝撃試験を行い、吸収エネルギー及び脆性破面率を測定した。なお、吸収エネルギーは125J以上、脆性破面率は35%以下を性能許容範囲とした。
【0017】
(本発明例1) 本発明例1では、図1に示すように、ロール成形途中であって鋼帯20の端部近傍の曲げ加工を行うブレークダウン第1スタンド3の出側に、切削又は研削手段4として、研削砥石をロール状にしてなる研削ロール14(図4参照)を配設し、造管中に、研削ロール14にて鋼帯20の幅の両端部を研削することにより、垂直端面12(図3参照)からの角度を30度とし、垂直端面12のコーナから垂直方向(鋼帯20の厚さ方向)に上下とも鋼帯内部側へ5mm入った位置までほぼ直線状のテーパ13(図3参照)を付与した。その後、ロール成形を経て、電縫溶接し、サイザー圧延して、鋼管30を製造した。
【0018】
(本発明例2) 本発明例2では、図2に示すように、ロール成形しフィンパス圧延した後の電縫溶接機手前に、切削又は研削手段4として、上下一組の切削バイト11(図3参照)を、鋼帯20の突合せされる両端部の一方を切削する組と他方を切削する組とを千鳥状の配列形態として、配設し、造管中に、切削バイト11にて鋼帯20の丸めた幅の両端部を研削することにより、垂直端面12(図3参照)からの角度を40度とし、垂直端面12のコーナから垂直方向(鋼帯20の厚さ方向)に上下とも鋼帯内部側へ6mm入った位置までほぼ直線状のテーパ13(図3参照)を付与した。その後、電縫溶接し、サイザー圧延して、鋼管30を製造した。
【0019】
(従来例1) 従来例1として、造管前に幅の両端面をほぼ矩形とした鋼帯20を、図1において研削又は切削手段4を取り外した造管機に通して、鋼管30を製造した。
(従来例2) 従来例2として、従来例1で用いた造管機における、レベラー2の出側、ロール成形前のブレークダウン第1スタンド3の入側に、研削砥石をロール状にしてなる研削ロール14を配設し、造管中に、研削ロール14にて鋼帯20の幅の両端部を研削することにより、垂直端面12からの角度を10度とし、垂直端面12のコーナから垂直方向に上下とも鋼帯内部側へ2mm入った位置までほぼ直線状のテーパ13を付与した。その後、ロール成形を経て、電縫溶接し、サイザー圧延して、鋼管30を製造した。
【0020】
これらにより製造した鋼管の溶接部におけるシャルピー衝撃値と脆性破面率を測定した結果を表1に示す。
【0021】
【表1】


表1より、従来例1及び従来例2による製品鋼管は、溶接部の衝撃強度が低く脆性破面率が大きくて、靭性が低下しており、製品の信頼性に乏しいのに対し、本発明例による製品鋼管は、溶接部の衝撃強度が高く脆性破面率が小さくて、靭性が良好であり、製品の信頼性が高いことが明らかである。
【0022】
なお、上述の実施例では、帯材の成形の途中及び成形の後のいずれか一方で、切削又は研削を行う場合について開示したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、成形の途中及び成形の後の両方で、切削又は研削を行う場合も、本発明の範囲内であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態においてロール成形の過程の途中で研削を行う例を示す電縫管製造工程図である。
【図2】本発明の実施形態においてロール成形の過程の後でかつ電縫溶接の過程の前で切削を行う例を示す電縫管製造工程図である。
【図3】帯材の端部を切削中の様子を示す概略側面図である。
【図4】研削ロールの一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0024】
1 アンコイラー
2 レベラー
3 ブレークダウン第1スタンド
4 切削又は研削(切削又は研削手段)
5 ロール成形機
6 誘導加熱部
7 スクイズロール(電縫溶接部)
8 ビード部切削機
9 サイザー
10 管切断機
11 切削バイト
12 垂直端面
13 テーパ
14 研削ロール
20 鋼帯(帯材)
30 鋼管(管)




 

 


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