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発明の名称 高寸法精度管の高能率安定製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−90391(P2007−90391A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−283609(P2005−283609)
出願日 平成17年9月29日(2005.9.29)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 剣持 一仁 / 長濱 拓也 / 坂田 敬
要約 課題
肉厚偏差等の良好な高寸法精度管を押し抜き加工によって製造するに際し、焼き付き疵等の発生を防止して、高寸法精度管を高能率に安定して製造することができる高寸法精度管の高能率安定製造方法を提供する。

解決手段
ダイス2のアプローチ部2aの内面に複数の螺旋状の溝6が形成されており、螺旋状の溝6から潤滑剤をダイス2内部に供給させるようにして、押し抜き加工を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】
管の内面または/および外面に潤滑被膜を形成させて、管の内部にプラグを装入しフローティングさせながら、管を送ってダイスで押し抜き加工を行うに際し、ダイスのアプローチ部の内面に螺旋状の溝を形成させて、その螺旋状の溝から潤滑剤をダイス内部に供給させるようにしたことを特徴とする高寸法精度管の高能率安定製造方法。
【請求項2】
前記螺旋状の溝は、時計回りの螺旋状の溝と反時計回りの螺旋状の溝が交叉したものであることを特徴とする請求項1に記載の高寸法精度管の高能率安定製造方法。
【請求項3】
前記螺旋状の溝は、幅が2mm以下で、深さが1mm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の高寸法精度管の高能率安定製造方法。
【請求項4】
ダイスのベアリングの長さを5mm以上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高寸法精度管の高能率安定製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車駆動系部品などの高い寸法精度が要求される管を高能率に安定して製造する方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
金属管、例えば鋼管は、通常溶接管と継目無管に大別される。溶接管は、例えば電縫鋼管のように、帯板の幅を丸めて、概丸めた幅の両端を突き合わせて溶接する方法で製造し、一方、継目無管は、材料の塊を高温で穿孔後にマンドレルミル等で圧延する方法で製造する。溶接管の場合、溶接後に溶接部分の盛り上がりを研削して管の寸法精度を向上させているが、その板厚偏差は3.0%を超える。また、継目無管の場合、穿孔工程で偏芯しやすくて、概偏芯により大きな肉厚偏差が生じやすい。この肉厚偏差は後工程で低減させる努力が払われているが、それでも充分低減することができず、製品の段階で8.0%以上残存する。
【0003】
自動車部品等の管には、肉厚、内径、外径の各偏差として3.0%以下、さらに厳しくは1.0%以下の高寸法精度が要求される。金属管の肉厚、内径、外径の精度を高める手段として、従来一般に、例えば特許文献1等に記載されるように、金属管(溶接管、継目無管とも)を造管後にダイスとプラグを用いて冷間で管を引き抜く製造方法(いわゆる冷牽法)がとられている。
【0004】
しかし、従来の冷牽法では、設備上の制約や管の肉厚・径が大きくて引き抜き応力が充分得られずに縮径率を低くせざるを得ない場合などでは、加工バイト(プラグとダイス孔内面との隙間)内で管の応力が引張力であるがゆえにダイスと管、及び、引き抜きプラグと管の接触が不十分となり、管の内面、外面の平滑化が不足して凹凸が残留しやすい。そのため、冷牽で管の縮径率を大きくして加工バイト内で管の内外面とプラグ、ダイスの接触を向上させることが行われている。しかし、ダイスを用いて管を冷牽した場合、管の内面に凹凸が発生して管の縮径率が大きくなるほど凹凸による粗さが増加する。その結果、冷牽法では高寸法精度の管を得ることが難しく、寸法精度のさらに良好な管が強く求められていた。
【0005】
前述のように、従来、ダイスとプラグを用いて管を引き抜いた場合、管の寸法精度を向上することが困難である理由は、引き抜きであるがゆえに加工バイト中のダイスと管外面、プラグと管内面の接触が不十分となることに由来する。すなわち、図3に示すように、プラグ3を装入してダイス2から管1を引き抜くことにより、ダイス2の出側で管引く機8によって加えられた引き抜き力9によって加工バイト中には張力が発生する。それによって、加工バイト入側では、管1の内面がプラグ3に沿って変形するため、管1の外面はダイス2に接触しないかあるいは軽度にしか接触せず、逆に、加工バイト出側では、管1の外面がダイス2に接触して変形するため、管1の内面はプラグ3に接触しないかあるいは軽度にしか接触しない。そのため、管1の内面及び外面ともに加工バイト中に自由変形の部分が存在して凹凸を充分平滑化できずに、引き抜き後には精度の低い管しか得られていなかった。
【0006】
これに対して、発明者らは、外径偏差、内径偏差、円周方向肉厚偏差の良好な高寸法精度管を得るために、特許文献2において、管内にプラグを装入した状態で管をダイスの孔に押し込んで通過させる押し抜きを行うという高寸法精度管の製造方法を提案している。
【0007】
押し抜きの場合、図2に示すように、プラグ3を装入してダイス2に管1を押し込むことにより、ダイス2の入側で管押し機4によって加えられた押し抜き力5によって加工バイトの内部は全て圧縮応力が作用する。その結果、加工バイト入側、出側を問わずに、管1はプラグ3及びダイス2に十分接触できる。しかも、軽度の縮径率であっても、加工バイト内部は圧縮応力となるため、引き抜きに比較して管1とプラグ3、管1とダイス2が十分接触しやすくて、管1は平滑化しやすくなって高寸法精度の管が得られる。
【特許文献1】特開平07−032030号公報
【特許文献2】特開2004−314083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、押し抜き加工による高寸法精度管の製造においては、引き抜き加工と異なり、加工バイトが圧縮場であるため、ダイスと管、プラグと管との間の面圧が大きくなりやすく、プラグ表面と管内面、ダイス表面と管外面との摩擦力を可能な限り低減しないと、加工中に管表面に焼き付き等の疵が発生して、加工後の管の表面品質が低下し、その管は製品にならないだけでなく、加工時の荷重が著しく増加して加工そのものが不可能になる場合がある。その場合は、加工条件を変更するために、加工途中で一旦止めて管を抜き出して、ダイスを交換し、プラグを抜き出す必要がある。その結果、管の生産能率が著しく低下してしまう。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、肉厚偏差等の良好な高寸法精度管を押し抜き加工によって製造するに際し、焼き付き疵等の発生を防止して、高寸法精度管を高能率に安定して製造することができる高寸法精度管の高能率安定製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、高寸法精度管を押し抜き加工によって製造するに際し、焼き付きを有効に防止する手段として、ダイス内面に着目した。
【0011】
すなわち、管の押し抜き加工にあたり、連続して押し抜きを継続すると管の外面が焼き付きやすくなる。この原因について、管を加工途中でかみ止めて調査したところ、押し抜き加工当初は、管の内外面ともに潤滑剤の被膜が薄く形成されたまま押し抜き加工されるが、連続して押し抜き加工すると、管内部にはプラグの入側に潤滑剤が蓄積して、その潤滑剤の塊が管内面とプラグとの潤滑剤の供給源となるため、常に充分な潤滑がなされるのに比較して、管外面は潤滑剤の供給が不十分であることが判明した。
【0012】
従って、管外面に常に潤滑剤を充分供給するとよいが、通常はダイス内部(ダイス孔)において押し抜き加工途中で潤滑剤不足になり、連続して押し抜き加工するとダイスの温度が著しく上昇して焼き付きやすくなるのが最も問題であった。
【0013】
そこで、本発明者らは常にダイス内部に潤滑剤が供給される方法を鋭意検討した結果、ダイスの入口テーパ部(アプローチ部)の内面に押し抜き方向に平行な溝を形成させて、その溝から常にダイス内部に潤滑剤を供給する方法がよいと考えた。
【0014】
しかし、ダイスのアプローチ部の内面に押し抜き方向に平行な溝を形成させると、潤滑剤の供給状態は良好であるが、その溝形状が押し抜き加工後も残留して溝マークとなり、その管は製品とならない場合がある。すなわち、ダイスのアプローチ部に形成された溝により、管外面に突起を生じるが、その突起を平滑表面であるダイスのベアリング(平行部)で完全に平滑化できない場合が生じることがわかった。
【0015】
そこで、本発明者らはさらに検討を進めた結果、ダイスの付与する溝を螺旋状にするとよいことを見出した。すなわち、加工中の管はダイス入側から出側に向かって押し抜き方向にほぼ平行に進んで加工されるが、溝は螺旋状であるので、一度管外面に生じた突起がダイスのアプローチ部の平滑面(溝が形成されていない部分)に接触して平滑化されやすいためである。その結果、ダイスのアプローチ部で管外面の突起は小さくできて、その後のダイスのベアリングで管外面が平滑化できるわけである。
【0016】
本発明は以上の観点を鑑みてなされたものであり、以下の特徴を有する。
【0017】
[1]管の内面または/および外面に潤滑被膜を形成させて、管の内部にプラグを装入しフローティングさせながら、管を送ってダイスで押し抜き加工を行うに際し、ダイスのアプローチ部の内面に螺旋状の溝を形成させて、その螺旋状の溝から潤滑剤をダイス内部に供給させるようにしたことを特徴とする高寸法精度管の高能率安定製造方法。
【0018】
[2]前記螺旋状の溝は、時計回りの螺旋状の溝と反時計回りの螺旋状の溝が交叉したものであることを特徴とする前記[1]に記載の高寸法精度管の高能率安定製造方法。
【0019】
[3]前記螺旋状の溝は、幅が2mm以下で、深さが1mm以下であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の高寸法精度管の高能率安定製造方法。
【0020】
[4]ダイスのベアリングの長さを5mm以上とすることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の高寸法精度管の高能率安定製造方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、ダイスのアプローチ部の内面に螺旋状の溝を形成させて、その螺旋状の溝から潤滑剤がダイス内部(ダイス孔)に供給されるようにしているので、連続して押し抜き加工しても、常に充分な潤滑がなされ、ダイスの温度の上昇が抑止されて焼き付きが防止できるとともに、螺旋状の溝によって一度管外面に生じた突起は、ダイスのアプローチ部の平滑面で小さくなり、その後のダイスのベアリングで管外面が平滑化されて、溝マークの発生も防止される。それにより、肉厚偏差等の良好な高寸法精度管を高能率に安定して製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。
【0023】
図1(a)に示すように、この実施形態においては、予め管1の内外表面に潤滑被膜を形成させて、管1の内部にプラグ3を装入しフローティングさせながら、ダイス2の入側に設けられた管押し機4によって押し込み力5を加えて管1を送り、ダイス2で押し抜き加工を行うようにしている。
【0024】
そして、この実施形態においては、図1(b)にダイス2内部をダイス2入側からみた図を示すように、ダイス2のアプローチ部2aの内面に複数(図中では6本)の螺旋状の溝6が形成されており、螺旋状の溝6から潤滑剤をダイス2内部に供給させるようにしている。
【0025】
上記のようにすることによって、この実施形態においては、ダイス2の入側で管押し機4によって加えられた押し込み力5によって加工バイトの内部は全て圧縮応力が作用するため、管1とプラグ3、管1とダイス2が十分接触し、肉厚偏差等の良好な高寸法精度の管が得られるとともに、ダイス2のアプローチ部2aの内面に形成された螺旋状の溝6から潤滑剤をダイス2内部に供給させるようにしているので、その螺旋状の溝6から供給される潤滑剤が管1外面とダイス2との潤滑剤の供給源となり、連続して押し抜き加工しても、常に充分な潤滑がなされ、ダイス2の温度の上昇が抑止されて焼き付きが防止できる。その結果、押し抜き加工途中で一旦止めて管1を抜き出して、ダイス2を交換し、プラグ3を抜き出すといったことがなくなり、生産能率を向上させることができる。また、螺旋状の溝6によって一度管外面に生じた突起は、ダイスのアプローチ部の平滑面で小さくなり、その後のダイスのベアリング2bで管外面が平滑化されて、溝マークの発生も防止される。
【0026】
このようにして、この実施形態においては、肉厚偏差等の良好な高寸法精度管を高能率に安定して製造することができる。
【0027】
なお、図1においては、ダイス2内面に、ダイス2入側からみて時計回りの螺旋状の溝6が形成されているが、時計回りの螺旋状の溝と反時計回りの螺旋状の溝が交叉した2重螺旋状の溝としてもよい。
【0028】
また、ダイス2内面に形成する螺旋状の溝6は、あまり大き過ぎると押し抜き加工後に溝マークが残って製品とならない可能性があるので、螺旋状の溝6は、幅が2mm以下で、深さが1mm以下とするのが好ましい。
【0029】
さらに、ダイス2のベアリング2bはできるだけ平滑として、アプローチ部2aで管外面に形成された溝突起を的確に平滑にするには、ベアリング2b長さを5mm以上とすることが好ましい。
【実施例】
【0030】
以下、実施例に基づいて説明する。
【0031】
一例として、φ34mm×7.0mmt×5.5mLの鋼管を素管とし、鏡面のプラグと一体型固定ダイス(テーパ角度11度)を用いて、鋼管の表面に乾燥性潤滑被膜を形成させて、プラグをフローティングさせて鋼管内部に装入し、縮径率を12%、ダイス出側の鋼管肉厚を入側と同じ7.0mmtとして、下記の条件で10本ずつ押し抜き加工または引き抜き加工を行った。
【0032】
本発明例1として、図1に示した押し抜き加工を用い、ダイス2入側から見て時計回りの螺旋状で幅2mm、深さ1mmの溝6をダイス2のアプローチ部2aの内面に12本形成するともに、ダイス2のベアリング長さを10mmとして、10本連続して押し抜き加工した。
【0033】
本発明例2として、図1に示した押し抜き加工を用い、ダイス2入側から見て時計回りと反時計回りの螺旋状の溝が交叉する2重螺旋状の溝で、幅0.2mm、深さ0.05mmの溝をダイス2のアプローチ部2aの内面に24本形成するともに、ダイス2のベアリング長さを5mmとして、10本連続して押し抜き加工した。
【0034】
比較例として、図2に示した押し抜き加工を用いて、すなわち、ダイス2内面を溝が形成されていない鏡面として、10本連続して押し抜き加工した。なお、ダイス2のベアリング長さは5mmとした。
【0035】
従来例として、図3に示した引き抜き加工を用いて、10本連続して引き抜き加工した。なお、ダイス2内面は鏡面にし、ダイス2のベアリング長さは2mmとした。
【0036】
これらにより製造した鋼管の表面疵(焼き付き疵)の発生状態、管外面のダイス溝マークの残留度合い、加工能率について、結果を表1に示す。なお、加工能率は、1時間当たりの加工本数について、従来例の1時間当たりの加工本数を1(基準)として、その比率で示した。
【0037】
【表1】


【0038】
表1より、比較例および従来例では、加工後の鋼管表面に焼き付き疵が発生して、ダイス及びプラグを交換せざるを得なくなり、そのために加工能率が著しく低下した。
【0039】
これに対して、本発明例1および本発明例2では、焼き付き疵は全く発生せず、ダイス溝マークも押し抜き加工後の管外面に残留せず、良好な表面であり、加工能率も著しく良好であった。
【0040】
これによって、本発明を用いることにより、肉厚偏差等の良好な高寸法精度管を高能率に安定して製造できることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態(ダイスの内面にらせん状の溝を形成して押し抜き加工)を示した図である。
【図2】比較技術(ダイスの内面を鏡面にして押し抜き加工)を示した図である。
【図3】従来技術(引き抜き加工)を示した図である。
【符号の説明】
【0042】
1 管
2 ダイス
2a ダイスのアプローチ部
2b ダイスのベアリング
3 プラグ
4 管押し込み機
5 押し抜き力
6 螺旋状の溝
8 管引き抜き機
9 引き抜き力




 

 


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