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発明の名称 ラミネート金属板の製造方法及びラミネート金属板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−76017(P2007−76017A)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
出願番号 特願2005−263243(P2005−263243)
出願日 平成17年9月12日(2005.9.12)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 久保 啓 / 大島 安秀 / 岩佐 浩樹 / 森川 容任 / 安江 良彦
要約 課題
直接押し出し法における樹脂の膜厚制御を行いながら、かつ表面形状が粗れることなく良好な外観を有するラミネート金属板の製造方法およびラミネート金属板を提供する。

解決手段
加熱された金属板と樹脂圧着用の剛性体とのニップ部に溶融樹脂を供給して、ラミネート樹脂の膜厚を前記剛性体の金属板への押付け荷重により制御しながら、前記金属板に樹脂を融着させ、次いで、ロール表面温度が30℃以上、樹脂の融点−130℃以下の冷却ロールを用いて前記金属板を冷却する。好ましくは、冷却後に、さらに、水浴及び/またはスプレー水により前記金属板を冷却する。例えば、剛性体はロ−ルであり、該ロ−ルが、前記金属板片面あたりに1本以上配置されている。また、ロールが表面温度の制御可能な金属ロールであることが好ましい。
特許請求の範囲
【請求項1】
加熱された金属板と樹脂圧着用の剛性体とのニップ部に溶融樹脂を供給して、ラミネート樹脂の膜厚を前記剛性体の金属板への押付け荷重により制御しながら、前記金属板に樹脂を融着させ金属板面に樹脂をラミネートする方法であって、
前記剛性体の金属板への押付け荷重後に、ロール表面温度が30℃以上、樹脂の融点−130℃以下の冷却ロールを用いて前記金属板を冷却する事を特徴とするラミネート金属板の製造方法。
【請求項2】
冷却ロールを用いて前記金属板を冷却した後に、さらに、水浴及び/またはスプレー水により前記金属板を冷却することを特徴とする請求項1に記載のラミネート金属板の製造方法。
【請求項3】
前記剛性体がロ−ルであり、該ロ−ルが、前記金属板片面あたりに1本以上配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のラミネート金属板の製造方法。
【請求項4】
前記ロールが、表面温度が制御可能な金属ロールであることを特徴とする請求項3に記載のラミネート金属板の製造方法。
【請求項5】
前記ロールの表面温度が前記溶融樹脂のガラス転移温度以上であることを特徴とする請求項3または4に記載のラミネート金属板の製造方法。
【請求項6】
前記ロールの表面温度が前記溶融樹脂の融点以上であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のラミネート金属板の製造方法。
【請求項7】
前記金属板の両面にそれぞれ少なくとも1本以上のロールを配置させ、両面同時にラミネートを行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のラミネート金属板の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とするラミネート金属板。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート金属板の製造方法に関するもので、より詳しくは、溶融樹脂を金属板へラミネートする製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、食缶や飲料缶用の素材としてラミネート金属板が用いられるようになってきた。ラミネート金属板とは、ブリキ、ティンフリースチールおよびアルミニウム板などの金属板上に熱可塑性樹脂層が被覆されたものであり、このラミネート金属板の製造方法としては、予め成形された熱可塑性樹脂フィルムを熱融着によって金属板に被覆させるフィルム熱圧着法が主流である。
【0003】
その他の製造方法として、最近では、溶融樹脂を、直接、金属板上に押出し、ラミネートを行う直接押出しラミネート方法が提案されている。この手法はフィルム熱圧着法よりシンプルな製造方法であり、製造コストの削減が期待できることから多くの提案がなされてきた。
【0004】
例えば、特許文献1や特許文献2には、非冷却、あるいは加熱したロールに金属板を巻きつかせ、前記ロールと前記金属板とのニップ部にTダイより溶融樹脂を流下させ、前記金属板を挟んで前記ロールと反対側に配置させたニップロールにより樹脂を金属板にラミネートする方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献3や特許文献4には、予熱した金属板の両面に温間ロールを配置し、片面、あるいは両面の温間ロールと金属板のニップ部にTダイより溶融樹脂を流下させラミネートする方法が開示されている。さらに、特許文献5には、ラミネートロールとTダイの間にプレロールを配置し、Tダイより押出された溶融樹脂をプレロールを介して、ラミネートロールと金属板のニップに流下させラミネートする方法が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示されている方法では、ニップ部において溶融樹脂が固まるため、Tダイから押出された溶融樹脂はニップ部までに所定の膜厚にコントロールする必要がある。さらに、Tダイから押出される溶融樹脂の流れは遅く、ニップ部に近づくにしたがって引き伸ばされ、ニップ部での溶融樹脂は金属板と同速度になる。したがって、高速になるほど溶融樹脂が引っ張られるために、樹脂の破断が発生しやすく、高速化には限界があるという問題点があった。
【0007】
また、特許文献3および特許文献4に開示されている方法においても、ニップ部までに所定の膜厚にコントロールする必要があるため、上記特許文献1および特許文献2と同様に、溶融樹脂の破断が起こりやすく、高速化は不可能である。
【0008】
特許文献5に開示されている方法は、ニップ部とTダイとの間にプレロールを用いているため、上記の特許文献1〜4と比較すると、高速で引き伸ばされても溶融樹脂が破断し難くなっている。が、やはり、高速化には限界があり、ライン速度としては100〜150mpmが限界である。
【0009】
以上のように、直接押し出しラミネート法は、製造法としてはフィルム熱圧着法よりシンプルながら、高速化が困難なことで製造コストの大幅削減には至っていないのが現状である。
【0010】
また、一般的に、ラミネート金属板の樹脂層の厚みは、塗装金属板の樹脂層の厚みに比較するとかなり厚い。これには様々な事情があるが、コスト低減等を考慮すると、今後は徐々に薄膜化していくことが予測される。これに対して、直接押し出し法においては、樹脂層が薄膜化するとさらに破断が起こりやすくなるため、より低速で操業しなければならない。つまり、直接押し出しラミネート法の高速化が困難であるということは、現状の問題であると同時に、将来的な不安材料でもあると言え、致命的な短所である。
【0011】
そこで、本発明者らは、これら上記課題に対して研究した結果、直接押し出し法のシンプルさを損なうことなく、ライン速度200mpmでも安定的に薄膜ラミネートすることが可能なラミネート金属板の製造方法およびラミネート金属板として、特許文献6を出願した。特許文献6では、剛性体の金属板への押付け荷重によりラミネート樹脂の膜厚の制御することにより、高速化、薄膜化、ラミネート樹脂の膜厚制御を可能とするものである。
【特許文献1】特開昭55-9803号公報
【特許文献2】特開昭57-203545号公報
【特許文献3】特開平10-138315号公報
【特許文献4】特開平10-138316号公報
【特許文献5】特開2001-121647号公報
【特許文献6】特願2005-180029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献6において、ラミネート金属板が冷却浴にて冷却される場合にラミネート金属板の表面形状が粗れ外観が劣る場合が起こりうることが研究を進める中で分かってきた。
【0013】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑み、特許文献6の方法に従い直接押し出し法における樹脂の膜厚制御を行いながら、かつ表面形状が粗れることなく良好な外観を有するラミネート金属板の製造方法およびラミネート金属板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、特許文献6において、金属板面に樹脂をラミネートした後の金属板表面の状態について鋭意研究した。その結果、剛性体の金属板への押付け荷重後、すなわち金属板に樹脂を融着させた後、ラミネート金属板が冷却浴にて冷却される前に、表面を均一に充分に冷却することが重要であり、その手段として冷却ロールによる冷却が有効であり、冷却ロールによる冷却を行うことで良好な外観が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]加熱された金属板と樹脂圧着用の剛性体とのニップ部に溶融樹脂を供給して、ラミネート樹脂の膜厚を前記剛性体の金属板への押付け荷重により制御しながら、前記金属板に樹脂を融着させ金属板面に樹脂をラミネートする方法であって、前記剛性体の金属板への押付け荷重後に、ロール表面温度が30℃以上、樹脂の融点−130℃以下の冷却ロールを用いて前記金属板を冷却する事を特徴とするラミネート金属板の製造方法。
[2]前記[1]において、冷却ロールを用いて前記金属板を冷却した後に、さらに、水浴及び/またはスプレー水により前記金属板を冷却することを特徴とするラミネート金属板の製造方法。
[3]前記[1]または[2]において、前記剛性体がロ−ルであり、該ロ−ルが、前記金属板片面あたりに1本以上配置されていることを特徴とするラミネート金属板の製造方法。
[4]前記[3]において、前記ロールが、表面温度が制御可能な金属ロールであることを特徴とするラミネート金属板の製造方法。
[5]前記[3]または[4]において、前記ロールの表面温度が前記溶融樹脂のガラス転移温度以上であることを特徴とするラミネート金属板の製造方法。
[6]前記[3]〜[5]のいずれかにおいて、前記ロールの表面温度が前記溶融樹脂の融点以上であることを特徴とするラミネート金属板の製造方法。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかにおいて、前記金属板の両面にそれぞれ少なくとも1本以上のロールを配置させ、両面同時にラミネートを行うことを特徴とするラミネート金属板の製造方法。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法により得られたことを特徴とするラミネート金属板。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、表面形状が粗れることなく良好な外観を有するラミネート金属板を得ることができる。かつ、本発明のラミネート金属板は、例えば、Tダイから供給される溶融樹脂を金属板と加熱ロール間のニップ部に必要十分に供給し、加熱ロールの圧下力(押付け荷重)によりラミネートされる樹脂の膜厚が制御されるので、ラミネート速度を高速化しても樹脂層の破断やネックインが無く、均一な薄膜樹脂層が形成される。更には、単純なラミネート方式であることから製造コストが安価であり、従来に比べ大幅に削減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明においては、加熱された金属板と樹脂圧着用の剛性体とのニップ部に溶融樹脂を供給して、前記ラミネート樹脂の膜厚を前記剛性体の金属板への押付け荷重により制御しながら、前記金属板に樹脂を融着させ金属板面に樹脂をラミネートする。すなわち、加熱した金属板と剛性体とのニップ部に溶融樹脂(流動状態の樹脂を含む)を供給し、次いで、剛性体により前記金属板面の溶融樹脂を押圧し、樹脂を薄膜化しながら融着させることにより前記金属板面に樹脂をラミネートする。例えば、金属ロール等の剛性体と金属板との間に溶融樹脂が存在する状況下で剛性体と金属板間に圧力を発生させ、樹脂は押圧されながら薄膜化し、膜厚が制御され、金属板面に薄い樹脂層が形成される。このように、本発明を用いればネックインを考慮する必要がなく、樹脂の粘性を下げても問題とならない。そして、この方式においては高速化も可能であることが確認された。
【0018】
なお、上記のように、本発明においては、剛性体により金属板面の溶融樹脂を押圧し、樹脂を薄膜化しながら融着させる。そのため、剛性体の圧下力により金属板と剛性体間の溶融樹脂の膜厚制御がより精密にできるようにするためには、押圧時の溶融樹脂の温度が十分に高温に保たれている必要があり、溶融樹脂と接触する金属板は予め加熱しておく事が重要である。この時の金属板の加熱温度は特に限定しないが、上記理由により、溶融樹脂の温度を低下させない範囲で、樹脂のガラス転移点以上樹脂の融点+30℃以下が好ましい。
【0019】
また、剛性体の押付け荷重力(圧下力)は、ラミネートする膜厚によって適宜決定される。例えば樹脂の膜厚が3〜15μm程度の場合、ライン速度、樹脂の物性値にもよるが、押付け荷重力は単位幅あたり50〜300トン/mである。
【0020】
そして、本発明によれば、ラミネートする膜厚はロール等の剛性体の圧下力により制御するため、溶融樹脂がロールと金属板とのニップ部に到達する地点までに所定の膜厚にする必要がない。したがって、従来技術のように溶融樹脂をTダイ出口からニップ部までの間で引き伸ばし膜厚を調整する必要がなく、溶融樹脂の破断が防止できるため、高速、かつ薄膜のラミネートが可能になる。
【0021】
このように本発明においては、ラミネートされる膜厚は、剛性体と金属板間のギャップをすり抜ける溶融樹脂の流量により定まる。剛性体と金属板間のギャップには、溶融樹脂が剛性体と金属板間の狭い流路をすり抜ける際に発生する力が加わるため、あるラミネート膜厚にするのに必要なギャップを得るためには、剛性体と金属板間に所要の圧力をかけなければならない。この剛性体と金属板間に発生する力は、金属板のライン速度、溶融樹脂の粘度、剛性体の圧下力により決定される。そして、溶融樹脂の粘度は温度に依存するため、金属板および剛性体の温度を調整し、溶融樹脂を一定の粘度に保持すれば、あるライン速度のもとでは、膜厚は剛性体の圧下力にのみ依存することになる。すなわち、ラミネートされる樹脂の膜厚の幅方向の分布は、剛性体の幅方向の圧下力分布に左右され、Tダイから押出される溶融樹脂の幅方向の流量分布には依存しない。したがって、剛性体と金属板のニップ部に供給する溶融樹脂は、ラミネートする膜厚以上の量にしておけばよい。
【0022】
また、金属板幅方向に均一な膜厚を形成させるためには、剛性体がロ−ルであり、前記ロ−ルは、前記金属板片面あたりに少なくとも1本以上配置されていることが好ましい。さらに圧下することによる剛性体の撓み、及びサーマルクラウンを考慮し、予めクラウン形状にしてもよい。さらに、剛性体にさらにバックアップロールを設け、剛性体の撓みを防止してもよい。そして、金属板の進行方向と同方向となるように前記ロールを回転させるとともに、前記ロールと前記金属板のニップ部に溶融樹脂をTダイから供給することで前記ロールの圧下力に応じたラミネート膜厚を得ることができる。
【0023】
また、本発明では、金属板の両面に少なくとも1本以上ずつのニップロールを配置し、前記金属板の両面に樹脂を融着させラミネートを行うことにより、金属板の両面に同時にラミネートを行うことができる。
【0024】
さらに、本発明では、剛性体としてロールを用いた場合、前記ロ−ルとして、表面温度を制御可能な金属ロールとすることにより、供給される溶融樹脂の温度のばらつきがキャンセルされるため、ロールと金属板間の溶融樹脂の温度をより精度よく制御することができ、精度良くラミネート膜厚の制御が可能になる。
【0025】
ロールの圧下力により金属板とロール間の溶融樹脂の膜厚制御がより精密にできるようにするためには、圧下時の溶融樹脂の温度が十分に高温に保たれている必要がある。そのため、金属板と同様に、ロールの表面温度は、高温である必要があり、望ましくは溶融樹脂のガラス転移温度以上である。
【0026】
さらに、ロールの表面温度を溶融樹脂の融点以上にすることにより、ロール上の溶融樹脂が固化することがないため、供給された溶融樹脂は、ロールと金属板のニップ部に直接流下しなくてもよく、ロール上に一旦流下させ、ロールの回転に伴いニップ部に移動させることもできる。したがって、例えばTダイから溶融樹脂を押し出す際の調整作業が簡便になるとともに、より安定的な操業が可能となる。
【0027】
本発明のロールの材質は、温度制御性に優れるものであれば材質を問わないが、特に金属を材質にしたものが温度制御性に優れるため好ましい。金属ロールの表面はクロムめっき等高温に十分耐えるものである必要がある。またその表面粗さはロールの表面形状がラミネート鋼板表面に転写されるため、鏡面仕上げ、マット仕上げ等ラミネート鋼板の用途に応じて変える事ができるものであるのが好ましい。
【0028】
次に、本発明では、金属板面に樹脂をラミネートした後に、冷却ロールを用いて冷却する。これは本発明の特徴であり、最も重要な要件である。冷却ロールによる冷却後、次いで、冷却水による冷却を行う(クエンチ工程)。
金属板面に樹脂をラミネートした後の金属板表面の状態について鋭意研究したところ、冷却ロールによる冷却を行わず、通常のクエンチ行程を行った場合に表面形状が粗れる場合がある。これは、冷却ロールによる冷却を行わず、通常のクエンチ行程を行った場合、表面が溶融状態のまま冷却水に突入する事になり、高熱量を持ったラミネート金属板がクエンチ浴に突入した場合、板周辺では沸騰現象が起こる。そして、沸騰が起こると、液が飛び跳ねてたり、気泡発生部分と非発生部分で冷却ムラが生じたりする。溶融状態の表面に水滴がかかると、水滴が当たった周辺だけ先に凝固が起こる為、表面形状が粗れる。また同様の理由で、冷却ムラが生じると表面形状が粗れることとなる。結果として、表面形状の粗れはフィルムの外観を著しく損なうこととなる。これらを防ぐためには、クエンチ前に、表面を均一に十分冷却することが重要であり、その手段として、冷却ロールによる冷却が効果的である。
【0029】
上記、冷却ロールによる冷却を行う場合の冷却ロールの温度は、ロール表面温度が30℃以上(樹脂の融点−130℃)以下とする。下限温度は本来低いほど良いが、ロール温度を低く維持するにはその分だけロールの冷却効率が高くなければならない。特に室温以下に維持する場合は、一般的な水冷のみでは困難であり、格別の冷却システムが必要となる為、経済的な損失が大きい。一方、30℃以上であっても、融点-130℃以下であれば、冷却能力としては十分である。ロール温度が融点-130℃を超えると、結晶化速度の速い温度領域付近までしか冷却できないことで、樹脂の結晶化を引き起こしてしまい、品質(特に密着性)が悪化する。
【0030】
なお、冷却ロールは、溶融状態の樹脂を冷却、固化させるため、樹脂の表面形状を制御できる特徴もある。平滑な表面は無論のこと、表面に模様を入れることも可能である。
【0031】
また、クエンチ工程における冷却は、水浴及び/またはスプレー水にて行うことが好ましい。水浴は冷却効果が高いが、クエンチ開始位置を制御しようとした場合、水位を調整しなけらばならず、手間がかかる上、調節範囲を広く取り難い。一方、スプレー水による冷却では、冷却開始位置を変えることは比較的容易であるが、高い冷却効果を得るには長いスプレー区間が必要となる。本発明においては、双方の得失を考慮して、ライン設計上の都合に応じて、これらを組み合わせたり、単独で用いたりすることができる。
【0032】
本発明に用いる金属板は特に限定されず、鋼板、アルミ板等の金属板等を用いることができる。
【0033】
また、本発明に用いられる樹脂としては、特に限定されず、用途に応じたものが用いられる。例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂である。
【実施例1】
【0034】
下記に示す試験法において、表1に示す樹脂種、冷却ロール温度にて各種ラミネート鋼板を作製した。
(試験法1)
図1は本発明の一実施態様に使用する装置の配置を示す図である。図1においては、金属板1を予め加熱する予熱装置2と、熱可塑性樹脂7aを押し出す押出し機3aおよびTダイ4aと、押出し機3aおよびTダイ4aにより押し出し供給された熱可塑性樹脂7aを金属板1と熱融着させる加熱ロール5aと、加熱ロール5aをサポートするサポートロール6と、ラミネート後の金属板を冷却するための冷却ロール8a、8b及びクエンチタンク9からなっている。
【0035】
図1において、金属板1は予熱装置2により加熱され、加熱ロール5aとサポートロール6との間に侵入する。一方、押出し機3aを経て、Tダイ4aより溶融した熱可塑性樹脂7aは加熱ロール5aと金属板1との間、あるいは加熱ロール5a上に流下する。次いで、流化した熱可塑性樹脂7aが金属板1面に熱融着によりラミネートされる。この時、加熱ロール5aの圧下力を制御することによりラミネートされる樹脂の膜厚が制御され、安定的に薄膜ラミネートすることが可能となる。次いで、ラミネート後は冷却ロール8a,8bにより、ラミネート金属板1は一時冷却され、次いで、クエンチタンク9を通すことにより、再度冷却される。なお、この時の冷却ロールの温度は90℃に維持し、クエンチタンクの浴温は40℃に維持した。また、金属板1として、板厚0.2mm、板幅200mmの電解クロム酸処理鋼板を用いた。熱可塑性樹脂7aはポリエチレンテレフタレートを用いた。加熱ロール5aおよびサポートロール6は温度制御性に優れる誘導加熱型の金属ロールを用いた。ライン速度は200mpmとし、Tダイから押出されるポリエチレンテレフタレートの温度を270℃にし、ラミネート膜厚が5μm、10μmになるように加熱ロール5aの圧下力を21T、17Tにそれぞれ調整した。加熱ロール5aの温度は230℃になるように調整した。
【0036】
以上により得られたラミネート金属板は樹脂層の破断もなく、樹脂の膜厚が制御されていた。
(試験法2)
図2は本発明の他の実施態様に使用する装置の配置を示す図である。図2においては、金属板1の両面に1本以上ずつの加熱ロール5a、5bを配置し、金属板の両面に各々、熱可塑性樹脂7a、7bを押し出す押出し機3a、3bおよびTダイ4a、4bを配置している。なお、その他の構造は図1と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0037】
図2によれば、金属板1の両面に熱可塑性樹脂7a、7bをラミネートすることができる。そして、得られたラミネート金属板は、試験法1と同様に、樹脂層の破断もなく、樹脂の膜厚が制御されていた。
(試験法3)
図3は本発明の他の実施態様に使用する装置の配置を示す図である。図3においては、図1における加熱ロール5aの代わりに剛性体10を用いた。なお、その他の構造は図1と同様であるので、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0038】
図3によれば、金属板1の片面に剛性体10を近接させ、押出し機3aを経て、Tダイ4aより溶融した熱可塑性樹脂7aを剛性体10の押付け荷重によりラミネート膜厚の調整を行った。剛性体10は、金属製であり、幅300mmで金属板側が曲面の形状を有する。剛性体10の押付け荷重を適宜変更させることによりラミネート膜厚を5〜10μmの範囲内で調整した。得られたラミネート金属板は、試験法1および2と同様に、樹脂層の破断もなく、樹脂の膜厚が制御されていた。
【0039】
以上の試験法1〜3により得られたラミネート金属板に対し、表面外観、密着性を評価した。結果を表1に示す。なお、各試験方法及び評価方法は以下の通りである。なお、表1において、実施例12は試験法1にてラミネート金属板を作成するにあたり、クエンチタンク9を通さず、再度冷却を行わなかった場合である。比較例1は試験法1にてラミネート金属板を作成するにあたり、ラミネート後に冷却ロール8a,8bによるラミネート金属板の一時冷却を行わず、直接、クエンチタンク9を通し冷却したものである。
<表面外観>
各種ラミネート鋼板に対して、表面の外観を観察し、外観が良好であれば○、不良であれば×とした。なお、良好な外観とは表面が平滑な状態であり、表面に光沢が認められれば良とした。
<密着性試験>
ラミネート鋼板を縦80mm×横15mmに剪断し、その縦方向20mmの位置を、横方向に直線状に、鋼板のみを剪断した。結果、破断位置を境に縦方向20mm部分と60m方向部分になるが、60mm部分のフィルムを破断位置から10mm剥離させる。フィルムを剥離した部分と20mm部分を掴みしろとして180°方向にヒ゜ール試験を実施した。観測されたピール強度の平均値を密着性の指標とした。
「ピール強度」
10N/15mm未満:×
10N/15mm以上:○
【0040】
【表1】


【0041】
表1より、本発明例では、外観、密着性のいずれも良好であることがわかる。一方、ラミネート後冷却ロールによる冷却を行わなかった比較例1では、外観が劣っている。また、冷却ロールの温度が本発明範囲外となっている比較例2および3では、密着性が劣っている。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のラミネート金属板は樹脂層の破断やネックインが無く、均一な薄膜樹脂層が形成されており、かつ、良好な外観を有しているため、食缶や飲料缶用の素材を中心として非常に有用材料である。更には、単純なラミネート方式であり製造コストが安価であるため、ラミネート金属板としてさまざまな分野での使用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施態様に使用する装置の配置を示す図である(実施例1)。
【図2】本発明の他の実施態様に使用する装置の配置を示す図である(実施例1)。
【図3】本発明の他の実施態様に使用する装置の配置を示す図である(実施例1)。
【符号の説明】
【0044】
1 金属板
2 予熱装置
3a、3b 押出し機
4a、4b Tダイ
5a、5b 加熱ロール
6 サポートロール
7a、7b 熱可塑性樹脂
8a、8b 冷却ロール
9 クエンチタンク
10 剛性体




 

 


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