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発明の名称 連続鋳造用取鍋及び鋳片の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−54860(P2007−54860A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−242541(P2005−242541)
出願日 平成17年8月24日(2005.8.24)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 関 春彦 / 加茂 百紀 / 久保田 淳 / 高橋 功一
要約 課題
連続鋳造工程における取鍋からタンディッシュへの注入末期の取鍋内スラグのタンディッシュへの流出を防止して、鋳片の品質を向上させるとともに溶鋼歩留まりを向上させることのできる取鍋を提供する。

解決手段
上記課題を解決する連続鋳造用取鍋1は、底部に溶鋼流出孔5を有し、該溶鋼流出孔が設置される底部の部位が他の底部の部位よりも鉛直方向下方に突出した突出部4を有する連続鋳造用取鍋であって、前記突出部の深さをhとし、収容能力最大の溶鋼を収容したときの最大溶鋼深さをHとしたときに両者の比(h/H)が0.075〜0.15の範囲であり、且つ、突出部の容積をVs とし、収容能力最大の溶鋼を収容したときの取鍋の容積をV0としたときに両者の比(Vs /V0 )が0.002〜0.015の範囲である。
特許請求の範囲
【請求項1】
底部に溶鋼流出孔を有し、該溶鋼流出孔が設置される底部の部位が他の底部の部位よりも鉛直方向下方に突出した突出部を有する連続鋳造用取鍋であって、前記突出部の深さをhとし、収容能力最大の溶鋼を収容したときの最大溶鋼深さをHとしたときに両者の比(h/H)が0.075〜0.15の範囲であり、且つ、突出部の容積をVs とし、収容能力最大の溶鋼を収容したときの取鍋の容積をV0としたときに両者の比(Vs /V0 )が0.002〜0.015の範囲であることを特徴とする連続鋳造用取鍋。
【請求項2】
請求項1に記載の連続鋳造用取鍋に収容された溶鋼をタンディッシュに注入し、次いでタンディッシュに注入された溶鋼を鋳型に注入して鋳造することを特徴とする、鋳片の製造方法。
【請求項3】
取鍋内の残溶鋼とスラグとの合計質量が2〜5トンとなった時点で、取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入を終了することを特徴とする、請求項2に記載の鋳片の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼の連続鋳造工程において連続鋳造される溶鋼を収容するために使用される取鍋、並びに、この取鍋を使用した鋳片の製造方法に関し、詳しくは、取鍋内に存在するスラグのタンディッシュへの流出を防止して鋳片の品質を向上させるとともに、溶鋼歩留まりを向上させることのできる取鍋、並びに、この取鍋を使用した鋳片の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼の連続鋳造においては、通常、取鍋内の溶鋼を一旦タンディッシュに注入し、タンディッシュ内に所定量の溶鋼が滞在した状態で、タンディッシュ内の溶鋼を鋳型に注入している。取鍋内の溶鋼がなくなった場合には、空の取鍋を別のヒートの溶鋼が収容された取鍋と交換して連続連続鋳造(以下、「連々鋳」と記す)が行われている。取鍋を交換せずに1ヒートのみで連続鋳造する場合もあるが、通常、連続鋳造機における生産性の向上、それによる製造コストの削減などの目的のために、複数ヒートの連々鋳が広く行われている。尚、取鍋にはその底部に溶鋼流出孔が設置されており、取鍋内の溶鋼はこの溶鋼流出孔を通ってタンディッシュに注入されている。
【0003】
この連続鋳造工程においては、取鍋交換時の非定常部鋳片の品質が定常鋳造域の鋳片に比べて低下するという問題がある。これは、取鍋交換時、取鍋内に収容される溶鋼が少なくなった時点で、主に取鍋内の溶鋼の上部に存在するスラグが、取鍋内の溶鋼湯面位置の低下によって形成される溶鋼の渦流に巻き込まれるなどして溶鋼とともにタンディッシュ内に流出し、更にタンディッシュから鋳型内に注入されて鋳片に捕捉されるからである。取鍋交換時には、溶鋼量が減少することにより溶鋼温度が低下し、溶鋼中に懸濁したスラグが溶鋼から浮上分離し難くなることも鋳片の品質低下を助長させる要因となっている。
【0004】
取鍋交換時などの、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入終了直前の注入末期(以下、単に「取鍋からの注入末期」とも記す)における取鍋内スラグのタンディッシュへの流出を防止するために、従来、多数の提案がなされている。例えば、特許文献1には、取鍋の溶鋼流出孔の直上に渦流防止用耐火物を設置し、この渦流防止用耐火物によって渦流の発生を防止することで、スラグの流出を防止する方法が提案されている。しかしながら、取鍋の溶鋼流出孔をストッパーによって開閉する場合にはストッパーに渦流防止用耐火物を設置することで、この方法を採用することができるが、ストッパーを使用せずにスライディングノズルやロータリーノズルなどのスライド式ゲートを用いて溶鋼流出孔を開閉する現在の操業形態では、渦流防止用耐火物を設置する適当な場所がないことから設置が困難であり、実用的ではない。
【0005】
特許文献2には、取鍋からの注入末期に取鍋を溶鋼流出孔の設置された側に傾斜させるとともに、溶鋼流出孔から不活性ガスを取鍋内の溶鋼湯面に向けて吹き込む方法が提案されている。この方法によれば、取鍋を傾斜させることによって溶鋼流出孔位置の湯面が高くなり、渦流の生成する時期が若干遅れるが、機構的な制約が大きく、大幅な改善効果は期待できない。しかも、湯面高さが低い状態で不活性ガスを吹き込むため、却って溶鋼とスラグとの混合が助長され、スラグの巻き込みを増大させる恐れもある。
【0006】
特許文献3には、溶鋼流出孔の鉛直方向上方のスラグ層に、溶鋼流出孔の面積よりも大きな面積を有する耐火物製の塊状体を浸漬させ、塊状体の吸熱作用によってスラグの粘度を他の部位のスラグよりも大きくするとともに、塊状体によって渦流の形成を妨害することでスラグの流出を防止する方法が提案されている。この方法では、塊状体が溶鋼流出孔の直上に存在すればスラグ流出の防止効果が得られるが、スラグは溶融していることからスラグの流動によって塊状体も移動してしまい、塊状体を溶鋼流出孔の直上に安定して存在させることが極めて困難であるという問題がある。
【0007】
特許文献4には、取鍋内のスラグにSiO2 源を添加してスラグ中のSiO2 濃度を上昇させることによりスラグの粘度を上昇させ、スラグの渦流への巻き込みを抑制する方法が提案されている。特許文献4によれば、スラグの粘度は通常の場合に比べて約2倍になり、これによりスラグの巻き込み量は半減するとしているが、格段の効果は得られていない。
【特許文献1】特開昭49−131914号公報
【特許文献2】特開平8−117934号公報
【特許文献3】特開平8−267223号公報
【特許文献4】特開2001−335824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上説明したように、鋼の連続鋳造工程においては、取鍋からの注入末期における取鍋内スラグの流出を防止して鋳片の品質を向上させる方法が切望されているにも拘わらず、未だ有効な手段が提案されておらず、従って、高品質の鋳片を鋳造する際には、スラグの流出を防止するために多量の溶鋼が取鍋内に残留している状態で取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入を終了し、溶鋼の歩留まりを低下させているのが現状である。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋼の連続鋳造工程において、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入終了直前の注入末期における取鍋内スラグのタンディッシュへの流出を防止して、鋳片の品質を向上させるとともに溶鋼歩留まりを向上させることのできる取鍋を提供することであり、また、この取鍋を用いた鋳片の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための第1の発明に係る連続鋳造用取鍋は、底部に溶鋼流出孔を有し、該溶鋼流出孔が設置される底部の部位が他の底部の部位よりも鉛直方向下方に突出した突出部を有する連続鋳造用取鍋であって、前記突出部の深さをhとし、収容能力最大の溶鋼を収容したときの最大溶鋼深さをHとしたときに両者の比(h/H)が0.075〜0.15の範囲であり、且つ、突出部の容積をVs とし、収容能力最大の溶鋼を収容したときの取鍋の容積をV0としたときに両者の比(Vs /V0 )が0.002〜0.015の範囲であることを特徴とするものである。
【0011】
第2の発明に係る鋳片の製造方法は、第1の発明に記載の連続鋳造用取鍋に収容された溶鋼をタンディッシュに注入し、次いでタンディッシュに注入された溶鋼を鋳型に注入して鋳造することを特徴とするものである。
【0012】
第3の発明に係る鋳片の製造方法は、第2の発明において、取鍋内の残溶鋼とスラグとの合計質量が2〜5トンとなった時点で、取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入を終了することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る連続鋳造用取鍋によれば、取鍋からの注入末期に取鍋内に残留する溶鋼が少なくなっても、溶鋼吐出孔の設置された位置の湯面高さは比較的高いので、溶鋼中に渦流が形成されずにスラグのタンディッシュへの流出が防止され、渦流が形成された時点では取鍋に残留する溶鋼量(以下、「取鍋残湯」とも記す)は極めて少ないので、歩留まりを改善することができる。また、渦流が形成される前に、つまりスラグの流出が発生する前に、取鍋からの溶鋼の注入を終了した場合にも、取鍋残湯は数トンでよく、従来の20トン程度に比べて大幅に少なくすることができる。その結果、溶鋼の歩留まりを向上させることができると同時に、取鍋交換時などの非定常部鋳片の品質を向上させることができ、工業上有益な効果がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明に係る取鍋の側面概略図、図2は、本発明に係る取鍋の平面概略図である。
【0015】
図1及び図2に示すように、本発明に係る連続鋳造用の取鍋1は、外殻を鉄皮2で形成され、鉄皮2の内側に耐火物3が施工されて構成されており、取鍋1の底部に鉛直方向下方に突出した突出部4が設置されている。突出部4も外殻は鉄皮2で形成され、鉄皮2の内側に耐火物3が施工されており、突出部4の底面には溶鋼流出孔5が設置されている。耐火物3としては、慣用の不定形耐火物や定形耐火物を使用すればよい。但し、突出部4の深さ及び突出部4の容積が取鍋1の寸法に応じて以下を満足するように、突出部4を設置する必要がある。
【0016】
即ち、取鍋1において、突出部4の設置されていない底部耐火物の底面6と、突出部4の底部耐火物の底面7との間の距離、つまり突出部4の深さをhとし、突出部4の底部耐火物の底面7と収容能力最大の溶鋼を収容したときの取鍋1の最大湯面高さ位置8との間の距離、つまり収容能力最大の溶鋼を収容したときの最大溶鋼深さをHとしたときに、突出部4の深さ(h)と最大溶鋼深さ(H)との比(h/H)が0.075〜0.15の範囲であり、且つ、突出部4の容積をVs とし、取鍋1が収容能力最大の溶鋼を収容したときの取鍋1の容積をV0としたときに、突出部4の容積(Vs )と取鍋1の収容能力最大の容積(V0 )との比(Vs /V0)が0.002〜0.015の範囲となるように、突出部4の形状を定める必要がある。ここで、収容能力最大の溶鋼とは、溶鋼を収容した取鍋1をクレーン或いは台車などで搬送することによって取鍋内の溶鋼が流動しても、収容した溶鋼が取鍋から溢れ出ないだけの最低限のフリーボードが取鍋1の上部に形成される状態のときに収容される溶鋼量であり、通常、「300トン取鍋」などと呼ぶ場合の「300トン」がこれに該当する。
【0017】
突出部4をこれらの条件を満足する形状とすることにより、取鍋からタンディッシュへの溶鋼注入終了直前の注入末期において、取鍋1に残留する溶鋼が少なくなっても、溶鋼吐出孔5の設置された位置の湯面高さは比較的高いので、溶鋼での渦流の形成及び溶鋼品質の悪化を避けることができる。溶鋼の渦流は溶鋼流出孔5の設置位置における湯面高さが或る所定の高さ以下になると発生するが、本発明に係る取鍋1では突出部4が設置してあるために、取鍋1に残留する溶鋼量が少なくなるまで渦流が発生し難い。例えば、本発明の取鍋1を用いることで、取鍋1に残留する溶鋼とスラグとの合計質量が1トン程度になる時点まで、渦流による溶鋼の品質悪化を回避することができる。
【0018】
つまり、実質上、取鍋内の溶鋼のほとんどを注入してしまうまで、品質を良好に保つことができる。また、取鍋内の残溶鋼とスラグとの合計質量が2〜5トンとなった時点で取鍋1からタンディッシュへの注入を終了すれば、取鍋交換部でも確実に品質を維持して、連々鋳を継続することができる。
【0019】
即ち、比(h/H)が0.075以上で且つ比(Vs /V0 )が0.002以上の場合に、取鍋スラグの品質への影響を抑制することができる。比(h/H)が0.15を超える場合や、比(Vs/V0 )が0.015を超える場合には、突出部4が大きくなり、耐火物3の施工時間や施工コストなどの弊害の懸念があることから、これ以上に大きくする必要がない。一方、本発明の範囲外である比(h/H)が0.075未満では、突出部4の深さが不足し、また、比(Vs/V0 )が0.002未満では突出部4に収容される溶鋼量が少な過ぎ、渦流による品質の悪化が避けられない。突出部4の形状は、四角柱、六角柱、楕円柱などの適宜の形状でよい。
【0020】
尚、図1に示す取鍋1では、取鍋1の底部を形成する鉄皮2の一部が下方に突出して突出部4を構成しているが、底部の鉄皮2を平滑とし、底部を構成する耐火物3の施工によって、突出部4を形成することもできる。即ち、図3に示すように、取鍋1Aにおいては、底部の耐火物3の施工を、底部耐火物の底面6の部位では厚くし、底部耐火物の底面7の部位では薄くすることで、突出部4が形成されている。取鍋1Aは、その他の構造は図1に示す取鍋1と同一構造となっており、同一の部分は同一符号により示し、その説明は省略する。尚、図3は、本発明に係る取鍋の他の形態例を示す側面概略図である。
【0021】
このように構成される本発明に係る取鍋を用いて転炉などの精錬炉で精錬された溶鋼を受鋼し、更に必要に応じて取鍋内の溶鋼に二次精錬炉にて脱ガス精錬などを施した後、この溶鋼を連続鋳造機に搬送して連続鋳造する。図4に、本発明に係る取鍋に収容された溶鋼を連続鋳造する状況を示す。尚、図4中の取鍋は前述した図1に示す取鍋1である。
【0022】
図4において、内側を耐火物で施工されたタンディッシュ13が、タンディッシュカー(図示せず)に搭載されて鋳型17の上方所定位置に配置され、また、タンディッシュ13の上方所定位置には、溶鋼9を収容した本発明に係る取鍋1が配置されている。取鍋1の底部の突出部4には、溶鋼流出孔5を形成する上ノズル10が耐火物3と嵌合して設置され、この上ノズル10の下面に接して、固定板11A及び摺動板11Bからなるスライディングノズル11が溶鋼流量制御装置として設置され、更に、スライディングノズル11の下面に接して、大気を遮断するためのロングノズル12が接続されている。摺動板11Bは、往復型アクチュエーター(図示せず)に接続されており、往復型アクチュエーターの作動により、固定板11Aと密に接触したまま移動し、固定板11Aの開口部と摺動板11Bの開口部との開口部面積を調整することにより溶鋼流出孔5を通過する溶鋼量が制御されるようになっている。スライディングノズル11に代えて摺動板11Bが回転するロータリーノズルとしてもよい。また、タンディッシュ13の底部には上ノズル14が配置され、この上ノズル14の下面に接して、固定板15A及び摺動板15Bからなるスライディングノズル15が溶鋼流量制御装置として設置され、更に、スライディングノズル15の下面に接して、先端を鋳型17の内部の溶鋼9に浸漬させた浸漬ノズル16が接続されている。摺動板15Bは、往復型アクチュエーター(図示せず)に接続されており、往復型アクチュエーターの作動により、固定板15Aと密に接触したまま移動し、固定板15Aの開口部と摺動板15Bの開口部との開口部面積を調整することによりタンディッシュ13から鋳型17への溶鋼注入量が制御されるようになっている。
【0023】
鋳型17に注入された溶鋼9は、鋳型17と接触して冷却されて凝固シェル19を形成し、外殻を凝固シェル19として内部を未凝固の溶鋼9とする鋳片18が鋳型17の下方に連続的に引き抜かれ、やがて中心部まで完全に凝固して鋳片が製造される。鋳片18の引き抜き中は、タンディッシュ13の溶鋼量をほぼ一定値に調整するとともに、鋳型17における溶鋼湯面位置をほぼ一定位置に制御する。取鍋1からタンディッシュ13への溶鋼9の注入流はロングノズル12によって大気と遮断され、タンディッシュ13から鋳型17への溶鋼9の注入流は浸漬ノズル16によって大気と遮断されている。
【0024】
このようにして鋳造することで、取鍋1に収容された溶鋼9は減少し、やがて溶鋼流出孔5の位置の溶鋼湯面高さが所定の高さになった時点で取鍋1に残留する溶鋼9に渦流が形成される。この渦流に、取鍋内の溶鋼9の上に存在するスラグ20が巻き込まれてタンディッシュ13に流出する。このスラグ20のタンディッシュ13への流出を、電磁気力を用いたスラグ流出検出器、タンディッシュ内湯面のスラグ目視観察、或いは取鍋1の質量計測などの慣用の手段によって確認し、その時点で摺動板11Bを作動させ、取鍋1からタンディッシュ13への注入を終了する。本発明に係る取鍋1では渦流が形成されてスラグ20が流出する時点は、取鍋1に残留する溶鋼9とスラグ20との合計質量が1トン程度になる時点であり、取鍋1に残留する溶鋼量を極めて少なくすることができる。また、スラグ20の流出と同時に取鍋1からの注入を終了するので、スラグ20による品質低下を限られた狭い範囲に抑えることができる。
【0025】
前記はわずかなスラグの流出を許容する場合であるが、第2の方法として、溶鋼9に渦流が形成される以前、つまりスラグ20がタンディッシュ13に流出する以前に摺動板11Bを作動させ、取鍋1からタンディッシュ13への注入を終了するようにしてもよい。具体的には、取鍋1の質量計測などによって取鍋1に収容される溶鋼9の残量とスラグ20との合計質量を計測し、取鍋内の残溶鋼とスラグとの合計質量が2〜5トン程度、望ましくは2〜3トンになった時点で注入を終了すれば、スラグ20のタンディッシュ13への流出を完全に防止することができる。つまり、取鍋1に残溶鋼とスラグとの合計量で2〜5トン程度を残留させるだけで、鋳片18のスラグ20による品質低下を未然に防止することができる。
【0026】
連続鋳造を更に続ける場合には、鋳造を終了した取鍋1を取り除き、別のヒートの溶鋼9を収容した別の取鍋1をタンディッシュ13の上方所定位置に配置し、スライディングノズル11の下部にロングノズル12を接続し、連々鋳を継続する。連々鋳の全てのヒートにおいて、取鍋1からタンディッシュ13への注入終了時点を前述した2つの方法のうちの何れかの方法によって判定し、取鍋1からの注入を終了する。連々鋳の最後のヒートでは、取鍋1からの注入終了後はタンディッシュ13に残留する溶鋼9を鋳型17に注入し、タンディッシュ13に残留する溶鋼9が所定の量になった時点で連々鋳を終了する。
【0027】
本発明に係る取鍋1を使用することで、取鍋1に残留する溶鋼9が少なくなっても渦流による品質悪化を最小限に抑制することができ、渦流が形成された時点では取鍋1に残留する溶鋼9は極めて少ないので、取鍋残湯を少なくすることができ、その結果、溶鋼9の歩留まりを向上させることができる。また、渦流が形成される前に、つまりスラグ20の流出が発生する前に、取鍋1からの溶鋼の注入を終了した場合にも、取鍋残湯は数トンでよく、従来の20トン程度に比べて大幅に少なくすることができ、且つ、特に悪化しやすい取鍋交換部の溶鋼の品質を確実に向上させることができる。ここで、取鍋交換部の溶鋼とは、取鍋交換直前に取鍋からタンディッシュに注がれる溶鋼を指す。
【実施例1】
【0028】
収容最大能力が300トンの取鍋の形状を変更し、この取鍋に収容したSPCC材(冷間圧延鋼板)を2ストランドの連続鋳造機で連続鋳造し、取鍋形状の鋳片品質に及ぼす影響を評価する試験を実施した。表1に、製鋼設備及び操業条件を示す。
【0029】
【表1】


【0030】
取鍋には前述した図1に示すような突出部を設け、それぞれの寸法を変更し、鋳片品質との関係を調査した。表2に、取鍋及び突出部の寸法の1例を示す。
【0031】
【表2】


【0032】
連続鋳造では、厚みが220mm、幅が1200mmのスラブ鋳片をストランド当たり6トン/分の鋳造速度で鋳造し、鋳造の際には、電磁気力を印加して、鋳型内湯面の1/4幅相当部の溶鋼流速が0.2m/秒となるように制御した。鋳造中は取鍋内の溶鋼量とスラグ量との合計質量を連続して計測した。取鍋内の溶鋼量とスラグ量との合計質量は、受鋼前の空の状態の取鍋の質量計測値との差分から求めた。取鍋からタンディッシュへの注入終了時点は、取鍋内の溶鋼を全てタンディッシュ内に注入した時点とした。従って、取鍋内のスラグは、多い少ないの差はあるものの全ての条件でタンディッシュ内に流入した。鋳造後、鋳片を熱間圧延し、更に冷間圧延して0.2mmの板厚とし、この薄鋼板において酸化物系非金属介在物(以下、「介在物」と記す)の個数を計測し、計測した介在物と鋳片の鋳造位置との関係を整理した。
【0033】
タンディッシュ内にスラグが流出した後に取鍋からタンディッシュへの注入を終了したので、何れの条件でも取鍋からの注入末期に該当する部位の鋳片には介在物が検出され、しかも検出値は社内規定値(直径50μm以上のものが1個/m2 以上)を上回った。この取鍋スラグが混入した部位の鋳造長さ位置から、取鍋スラグが混入した時点における取鍋内の残溶鋼とスラグとの合計質量を求めた。求めた取鍋内の残溶鋼とスラグとの合計質量を、前述した表2に「巻き込み発生時の残湯量」として示す。
【0034】
表2に示すように、対策を実施しなかった条件1では、取鍋内の残溶鋼とスラグとの合計質量、即ち残湯量が20トンの時点で取鍋内スラグの流出が発生していた。従って、条件1において品質の良好な鋼板を得るためには、取鍋内に20トン程度の溶鋼を残した状態で取鍋からタンディッシュへの注入を終了する必要のあることが分かった。
【0035】
一方、突出部を設けた条件2〜5では、スラグ巻き込み発生時の残湯量は条件1に比べて大幅に少なくなることが明らかになった。特に、条件3及び条件5では、取鍋内の残湯量が1トンになる時点までスラグの流出が防止でき、品質の悪化する部位は狭い範囲に限られ、格段の効果があることが分かった。
【0036】
取鍋底部の突出部の形状を種々変更して、上記の方法で介在物を調査した結果を図5にまとめて示す。図5においては、取鍋内の残湯量が1トン以下となった時点でスラグの流出が発生した条件は○印で表示し、1トンを超える時点でスラグの流出が発生した条件は●印で表示している。図5に示すように、取鍋の底部に突出部を設け、突出部の寸法を、突出部の深さ(h)と最大溶鋼深さ(H)との比(h/H)が0.075以上で、且つ突出部の容積(Vs )と取鍋の収容能力最大の容積(V0 )との比(Vs/V0 )が0.002以上となるようにすることで、取鍋内の残湯量が1トンになる時点までスラグの流出を防止でき、鋳片品質を向上させることができることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る取鍋の側面概略図である。
【図2】本発明に係る取鍋の平面概略図である。
【図3】本発明に係る取鍋の他の形態例を示す側面概略図である。
【図4】本発明に係る取鍋に収容された溶鋼を連続鋳造する状況を示す図である。
【図5】取鍋内スラグの流出に及ぼす比(h/H)及び比(Vs /V0 )の影響を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
1 取鍋
2 鉄皮
3 耐火物
4 突出部
5 溶鋼流出孔
6 底面
7 底面
8 最大湯面高さ位置
9 溶鋼
10 上ノズル
11 スライディングノズル
12 ロングノズル
13 タンディッシュ
14 上ノズル
15 スライディングノズル
16 浸漬ノズル
17 鋳型
18 鋳片
19 凝固シェル
20 スラグ




 

 


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