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発明の名称 2ピース缶及びその製造方法、並びに2ピース缶用鋼板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−44758(P2007−44758A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−234543(P2005−234543)
出願日 平成17年8月12日(2005.8.12)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 小島 克己 / 西原 友佳 / 久保 啓 / 安江 良彦 / 岩佐 浩樹
要約 課題
缶体強度が十分でかつ耐食性に優れた2ピース缶を得ることを目的としたものであり、2ピース缶を割れが生じることなく容易に製造できる成形方法を提供する。

解決手段
ラミネート鋼板を素材とし、有底円筒状の缶胴部を有する2ピース缶であって、前記缶胴部は、その開口側が缶胴直径よりも小さい径に縮径加工され、
特許請求の範囲
【請求項1】
ラミネート鋼板を素材とし、有底円筒状の缶胴部を有する2ピース缶であって、前記缶胴部は、その開口側が缶胴直径よりも小さい径に縮径加工され、
かつ下記式(1)および式(2)を満足し、
さらに、前記缶胴部の開口側には、開口先端部を缶外側に断面縦長楕円状にカールさせたビード部が形成されていることを特徴とする2ピース缶。
1.5≦h/(R−r)・・・(1)
d/R≦0.25・・・(2)
ただし、h:缶底から開口先端部までの高さ、R:円形ブランク位置半径、r:底部半径、d:開口先端部の半径
【請求項2】
前記ビード部は、前記開口先端部の半径d及びビード部の外径b1に対し、b1/d≦1.4となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の2ピース缶。
【請求項3】
前記ラミネート鋼板は、ポリエステル樹脂を被覆した鋼板であることを特徴とする請求項1または2に記載の2ピース缶。
【請求項4】
前記ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分の縮重合で得られ、
さらに、ジカルボン酸成分はテレフタル酸を主成分とし、
ジオール成分は、エチレングリコール及び/または、ブチレングリコールを主成分とすることを特徴とする請求項3に記載の2ピース缶。
【請求項5】
ラミネート鋼板に被覆される有機樹脂は、請求項4に記載のポリエステル樹脂を主相とし、副相に、非相溶かつTgが5℃以下である樹脂を含有することを特徴とする2ピース缶。
【請求項6】
副相として含有される前記樹脂が、下記の中から選ばれる樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の2ピース缶。
ポリエチレン、その酸変性体、あるいはアイオノマー
ポリプロピレン、その酸変性体、あるいはアイオノマー
【請求項7】
有機樹脂フィルムを被覆したラミネート鋼板であって、請求項1〜6のいずれかに記載の2ピース缶を成形するために用いられることを特徴とする2ピース缶用ラミネート鋼板。
【請求項8】
ラミネート鋼板を素材とし、
円形ブランクを、複数回、絞り加工することにより有底円筒状の缶胴を形成し、
前記缶胴開口部を缶胴直径以下で、かつ、下記式(1)及び式(2)を満足するように縮径加工し、
さらに、前記缶胴部の開口先端側を缶外側に断面円弧状にカールさせて第一のカール部を形成し、次いで、該第一のカール部の開口先端側を缶底部方向に上から押圧することにより断面縦長楕円形状の第2のカール部を形成することを特徴とする2ピース缶の成形方法。
1.5≦h/(R−r)・・・(1)
d/R≦0.25・・・(2)
ただし、h:缶底から開口先端部までの高さ、R:円形ブランク位置半径、r:底部半径、d:開口先端部の半径
【請求項9】
前記開口先端部の半径d及び前記ビード部の外径b1に対し、b1/d≦1.4となるようにビード部を形成することを特徴とする請求項8に記載の2ピース缶の成形方法。
【請求項10】
前記ラミネート鋼板は、ポリエステル樹脂を被覆した鋼板であることを特徴とする請求項8または9に記載の2ピース缶の成形方法。
【請求項11】
前記ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分の縮重合で得られ、
さらに、ジカルボン酸成分はテレフタル酸を主成分とし、
ジオール成分は、エチレングリコール及び/または、ブチレングリコールを主成分とすることを特徴とする請求項10に記載の2ピース缶の成形方法。
【請求項12】
ラミネート鋼板に被覆される有機樹脂は、請求項11に記載のポリエステル樹脂を主相とし、副相に、非相溶かつTgが5℃以下である樹脂を含有することを特徴とする2ピース缶の成形方法。
【請求項13】
副相として含有される前記樹脂が、下記の中から選ばれる樹脂であることを特徴とする請求項12に記載の2ピース缶の成形方法。
ポリエチレン、その酸変性体、あるいはアイオノマー
ポリプロピレン、その酸変性体、あるいはアイオノマー
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、エアゾール用金属容器など、各種スプレーなどの容器として用いられている2ピース缶に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、エアゾール用金属容器の分野には、大別して3ピース缶と2ピース缶とがある。3ピース缶は長方形平板を円筒状に接合した缶胴に、缶底および缶蓋(ドームトップ)が取り付けられたもので、構成部材が3つの要素からなるためこの名称で呼ばれる。スプレー用途に用いる際には、ドームトップにさらに噴射用バルブを備えたマウンティングキャップが取り付けられ(以下、本発明でマウンティングキャップという場合には噴射用バルブを備えたものとする)、マウンティングキャップを含めた場合は構成部材は4つの要素となるが、飲料缶や食缶では円筒状に接合した缶胴を備えたものを広く3ピース缶と呼ぶため、本発明でもこれに倣って上記構造の缶を3ピース缶と呼ぶこととする。
【0003】
一方、2ピース缶は有底円筒に成形された缶胴の開口端側を縮径し、マウンティングキャップが取り付けられたものである。スプレー用途ではマウンティングキャップを除くと構成要素は缶胴1つであるため、缶胴そのものは1ピース缶、モノブロック缶と呼ばれる場合があるが、飲料缶、食缶では有底円筒に成形された缶胴を備えるものを広く2ピースと呼ぶため、本発明でもこれに倣ってこの構造の缶胴を2ピース缶と呼ぶこととする。
【0004】
2ピース缶は継ぎ目のない缶胴であること、缶胴からマウンティングキャップに向かって流麗な連続的な形状で縮径加工されていることなどから、3ピース缶と比較して外観の美麗性に優れる。そのため、商品の性格上パッケージの外観が重視される用途、例えば芳香剤、制汗剤、整髪料などの用途には、2ピース缶が広く用いられている。従来から用いられている2ピース缶の断面形状を図1、図2に示す。なお、図1はビード部の断面形状が円弧状のもの、図2はビード部の断面形状が縦長楕円状のものである。
【0005】
3ピース缶及び2ピース缶に用いられる素材は、3ピース缶では鋼板、図1および図2で示した2ピース缶ではアルミである。2ピース缶の素材としてアルミが用いられるのは、鋼板と比較してアルミの方が耐食性に優れるため、内容物に対する耐食性や、エアゾール缶が湿潤環境におかれた場合の外面での錆発生が問題になり難いためである。これに対し、鋼板は強度が高く、安価である。そのため、高い耐圧強度が必要なエアゾール缶に鋼板を用いた場合は、十分な缶体強度を備えつつ缶体板厚を薄くすることができ、素材費を低減できる利点がある。以上の点から、耐食性を高めた鋼板を用いた2ピース缶が要望されており、2ピース缶に耐食性を高めた鋼板を用いる試みが為されている。
【0006】
例えば、耐食性を高めた鋼板を用いて2ピースエアゾール缶を得る方法として、特許文献1には、鋼板表面を耐食性の高い金属で被覆する方法が、特許文献2には、鋼板表面を塗膜で被覆する方法が、特許文献3には、鋼板表面をフィルムで被覆する方法がそれぞれ開示されている。
【0007】
また、アルミは鋼板よりも軟質なため、例えば、非特許文献1に規定されているエアゾール缶の形状を得るためにインパクト成形や絞り-再絞り成形、絞り-再絞り成形-しごき成形などの方法を用い、有底円筒の缶胴を成形し、さらに開口端部を縮径して、エアゾール缶の形状に加工することがアルミの場合は比較的容易である。特に、エアゾール缶では、缶胴の開口端部にマウンティングキャップを取り付けるため、ビード部を形成する必要があり、そこに至るまで加工によって材料は加工硬化して延性が劣化してしまう。アルミよりも加工硬化度が大きい鋼板を用いた場合は、カール加工によってビード部を形成する際に延性不足によって割れが生じやすく、ビード部の形成が非常に困難になる。
【0008】
こうした加工の困難さを回避するため、特許文献1、5、6には、ビード部を缶底部側に設ける方法が、特許文献7には、ビード部の成形方法を改善する方法がそれぞれ開示されている。
【特許文献1】特開昭63-168238号公報
【特許文献2】特開平9-39975号公報
【特許文献3】特開平1-228567号公報
【特許文献4】特開平10-24973号公報
【特許文献5】特開昭64-62232号公報
【特許文献6】特開2004-276068号公報
【特許文献7】特開昭50-129474号公報
【非特許文献1】Federation of European Aerosol Association Standard No.215,No.219, No.220
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
鋼板表面を耐食性の高い金属で被覆する特許文献1には、アルミニウム被覆鋼板を用いることで、絞りしごき加工した2ピースエアゾール缶の缶底部の錆を回避する技術が開示されている。この方法によれば、加工度の低い缶底部については錆を回避できる可能性がある。しかし、絞りしごき加工した缶胴部はアルミニウム被覆が損傷を受けるため、錆の発生が懸念される。また、特許文献1にはビード部を有底円筒からなる缶胴の開口端側に設ける方法と、缶底側に設ける方法が示されているが、従来の方法では困難であるビード部の形成に関しては特に記載されていない。
【0010】
鋼板表面を塗膜で被覆する方法である特許文献2には、硬化されたポリアミドイミド系塗膜を備えた内面塗装金属容器に関する技術が開示されている。この技術は2ピースエアゾール缶に用いた際の素材として鋼板を用いることが可能であるとされているものの、鋼板に関する実施例は加工度の低い3ピース缶に関するもののみで、鋼板を加工度の高い2ピース缶に加工した場合の耐食性については十分な記載がなく、効果は不明である。また、明細書中には、この技術は成形された缶胴に施しても、成形前の金属板に施して後に加工してもよいとの記載がある。しかし、実施例で示されたアルミを用いた2ピース缶に適用した場合をみても、缶胴を成形した後に塗膜を形成させたものは例示されているが、成形前の金属板に塗膜を形成させてそれを加工した実施例は具体的には示されていない。そこで、本発明者らが検討した結果、熱硬化した塗膜で被覆した鋼板を高い加工度の2ピースエアゾール缶に加工すると、加工によって塗膜に損傷が生じ、十分な耐食性を得ることに問題があった。さらに、実施例で示されているのはアルミを用いた2ピース缶のみであり、鋼板を用いてビード部を形成することに関しては開示がない。
【0011】
耐食性の観点では、鋼板表面をフィルムで被覆する方法が有望である。特許文献3には、ポリエチレンテレフタレートの二軸延伸フィルムをラミネートした鋼板も用いてエアゾール缶を得る技術が開示されている。この技術によれば、絞り加工後の缶胴が損傷のないラミネートフィルムで被覆されているため、耐食性に優れる。しかしこの技術で得られる缶胴で耐食性が保たれるのは、実施例に示されるように缶胴の開口端が縮径されていない加工度の低いものであり、非特許文献1で規定されるエアゾール缶の形状まで加工した缶へ適用した際の耐食性についてまでは考慮されていない。また同様に、缶胴を縮径した後、ビードを形成することに関しては想定されていない。
【0012】
特許文献4には、酸変性したポリオレフィン樹脂を介して塩化ビニリデン樹脂層の両面にポリプロピレン樹脂層を積層した複合フィルムをラミネートした鋼板を絞り加工したエアゾール缶に関する技術が開示されている。この技術ではフィルムをラミネートした鋼板を用いるため、耐食性に優れた缶胴が得られると考えられる。しかし、絞り加工の方法に関しては実施例で45mm径×120mm高形状のエアゾール缶を得たとされるのみで、具体的な加工方法は記載されておらず、特に缶胴の開口端部を縮径した後の耐食性、またビード部の形成に関しては開示されていない。
【0013】
有底円筒の開口端部にビード部を形成することは前記のように困難であるため、特許文献1、5、6にはビード部を缶底部側に設ける方法が開示されている。缶底部側は絞り加工の際にも加工度が低い部分であり、材料の加工硬化も小さく延性の劣化も少ないため、この部分にビード部形成することは比較的容易である。しかし、この方法では別部材の缶底部を巻き締めにより缶胴に取り付けるため、2ピース缶の美麗な点を損い、必ずしも好ましい方法でない。
【0014】
特許文献7には、缶胴の開口端側の縮径からビード部の成形に至るまでをロール加工で行う方法が開示されている。ロール加工による逐次変形加工を用いることはビード部の割れを回避しやすいなど成形自体には効果的であると考えられる。しかし、逐次変形であるがゆえにロール加工は加工速度が遅く、特許文献7のように縮径部も含めて広い領域をロール加工すると加工時間が多く必要であり、缶体の生産性が劣化する問題がある。また、耐食性の上で有利なラミネート鋼板に対して特許文献7のように広い領域を、しかも高い加工度でロール加工すると、ロール加工の工具でフィルムが損傷される問題がある。
【0015】
以上のように、ラミネート鋼板を用いて有底円筒状の缶胴を縮径加工した後にビード部を形成する方法は従来なかった。さらに、ビード部の断面形状が単純な円弧状ではなく、縦長楕円形状の場合は、ビード部の形成加工がより困難になる。従来は、図2に示すような断面形状が縦長楕円形状のビード部を形成する場合、1段階目の加工として円形状のビード部をカール加工により成形し、その後、2段目の加工としてこれを目的の縦長楕円形状に再成形している。図3に従来の縦長楕円形状ビード部の成形方法を示す。図3によれば、1段目のカール加工の曲率半径は、縦長楕円の曲率よりも大きくする必要があり、カール部先端の加工度が大きくなるため、その部分で割れが生じ易い。
【0016】
本発明は、かかる事情に鑑み、強度が高く比較的安価でありかつ耐食性に優れたラミネート鋼板を用いて、缶体強度が十分でかつ耐食性に優れた2ピース缶を得ることを目的としたものであり、2ピース缶を割れが生じることなく容易に製造できる成形方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために研究した結果、本発明は、以下の点を特徴とすることにより完成された。まず、2ピースエアゾール缶の素材として、強度が高く、比較的安価であり、かつ耐食性に優れたラミネート鋼板を用いることで2ピース缶の缶体強度を十分とし安価なコストとした。そして、鋼板を2ピース缶の素材として用いる際に困難であったビード部の形成、特にビード部の断面形状が単純な円弧状ではない場合での成形を、ビード部の構造、成形方法を改善することにより可能とした。
【0018】
本発明は、以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
[1]ラミネート鋼板を素材とし、有底円筒状の缶胴部を有する2ピース缶であって、前記缶胴部は、その開口側が缶胴直径よりも小さい径に縮径加工され、
かつ下記式(1)および式(2)を満足し、
さらに、前記缶胴部の開口側には、開口先端部を缶外側に断面縦長楕円状にカールさせたビード部が形成されていることを特徴とする2ピース缶。
1.5≦h/(R−r)・・・(1)
d/R≦0.25・・・(2)
ただし、h:缶底から開口先端部までの高さ、R:円形ブランク位置半径、r:底部半径、d:開口先端部の半径
[2]前記[1]において、前記ビード部は、前記開口先端部の半径d及びビード部の外径b1に対し、b1/d≦1.4となるように形成されていることを特徴とする2ピース缶。
[3]前記[1]または[2]において、前記ラミネート鋼板は、ポリエステル樹脂を被覆した鋼板であることを特徴とする2ピース缶。
[4]前記[3]において、前記ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分の縮重合で得られ、
さらに、ジカルボン酸成分はテレフタル酸を主成分とし、
ジオール成分は、エチレングリコール及び/または、ブチレングリコールを主成分とすることを特徴とする2ピース缶。
[5]ラミネート鋼板に被覆される有機樹脂は、前記[4]に記載のポリエステル樹脂を主相とし、副相に、非相溶かつTgが5℃以下である樹脂を含有することを特徴とする2ピース缶。
[6]前記[5]において、副相として含有される前記樹脂が、下記の中から選ばれる樹脂であることを特徴とする2ピース缶。
ポリエチレン、その酸変性体、あるいはアイオノマー
ポリプロピレン、その酸変性体、あるいはアイオノマー
[7]有機樹脂フィルムを被覆したラミネート鋼板であって、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の2ピース缶を成形するために用いられることを特徴とする2ピース缶用ラミネート鋼板。
[8]ラミネート鋼板を素材とし、
円形ブランクを、複数回、絞り加工することにより有底円筒状の缶胴を形成し、
前記缶胴開口部を缶胴直径以下で、かつ、下記式(1)及び式(2)を満足するように縮径加工し、
さらに、前記缶胴部の開口先端側を缶外側に断面円弧状にカールさせて第一のカール部を形成し、次いで、該第一のカール部の開口先端側を缶底部方向に上から押圧することにより断面縦長楕円形状の第2のカール部を形成することを特徴とする2ピース缶の成形方法。
1.5≦h/(R−r)・・・(1)
d/R≦0.25・・・(2)
ただし、h:缶底から開口先端部までの高さ、R:円形ブランク位置半径、r:底部半径、d:開口先端部の半径
[9]前記[8]において、前記開口先端部の半径d及び前記ビード部の外径b1に対し、b1/d≦1.4となるようにビード部を形成することを特徴とする2ピース缶の成形方法。
[10]前記[8]または[9]において、前記ラミネート鋼板は、ポリエステル樹脂を被覆した鋼板であることを特徴とする2ピース缶の成形方法。
[11]前記[10]において、前記ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分の縮重合で得られ、
さらに、ジカルボン酸成分はテレフタル酸を主成分とし、
ジオール成分は、エチレングリコール及び/または、ブチレングリコールを主成分とすることを特徴とする2ピース缶の成形方法。
[12]ラミネート鋼板に被覆される有機樹脂は、前記[11]に記載のポリエステル樹脂を主相とし、副相に、非相溶かつTgが5℃以下である樹脂を含有することを特徴とする2ピース缶の成形方法。
[13]前記[12]において、副相として含有される前記樹脂が、下記の中から選ばれる樹脂であることを特徴とする2ピース缶の成形方法。
ポリエチレン、その酸変性体、あるいはアイオノマー
ポリプロピレン、その酸変性体、あるいはアイオノマー
【発明の効果】
【0019】
本発明により、ラミネート鋼板を素材として割れが生じることなく容易に2ピース缶を製造できる。そして、素材として耐食性に優れたラミネート鋼板を用いているため、得られる2ピース缶は強度に優れ、かつ耐食性にも優れる。さらに従来困難であった2ピース缶への鋼板の適用が可能になり、缶コストの低減を行うことができるようになる。また、本発明の2ピース缶は、缶胴の開口端部にマウンティングキャップを取り付けるのに必要なビード部を容易に形成することが可能となり、例えばエアゾール缶として最適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の2ピース缶及びその成形方法、ならびに2ピース缶用鋼板について詳細に説明する。
【0021】
まず、本発明で素材として用いるラミネート鋼板について説明する。
【0022】
本発明の目的は、十分な耐食性、缶体としての強度を備え、かつ安価な2ピース缶を得ることにある。よって、本発明の2ピース缶の成形に用いる素材は、上記目的を達成するために、加工性、耐食性に優れた有機樹脂フィルムを被覆したラミネート鋼板とする。
【0023】
本発明で用いラミネート鋼板の基板となる鋼板は、目的の形状に成形できるものであれば特にその種類を問わないが、以下のような成分、製法のものが望ましい。
(1)C量が0.01〜0.10%程度の低炭素鋼を用い、箱焼鈍で再結晶焼鈍したもの。
(2)C量が0.01〜0.10%程度の低炭素鋼を用い、連続焼鈍で再結晶焼鈍したもの。
(3)C量が0.01〜0.10%程度の低炭素鋼を用い、連続焼鈍で再結晶焼鈍及び過時効処理したもの。
(4)C量が0.01〜0.10%程度の低炭素鋼を用い、箱焼鈍または連続焼鈍で再結晶焼鈍した後、二次冷間圧延(DR)したもの。
(5)C量が概ね0.003%以下程度の極低炭素鋼にNb,Ti等の強力な固溶C固定元素を添加したIF鋼を用い、連続焼鈍で再結晶焼鈍したもの。
そして、鋼板の機械的特性は、目的の形状に成形できるものであれば特に規定しないが、加工性を損なわすかつ十分な缶体強度を保つためには降伏強度YPが220MPa以上、580MPa以下程度のものを用いることが望ましい。また塑性異方性の指標であるr値については0.8以上のものが望ましく、塑性異方性r値の面内異方性Δrはその絶対値が0.7以下が望ましい。鋼板の板厚は、目的の缶の形状、必要となる缶体強度から適宜設定することができる。鋼板自体および缶体のコスト上昇を抑制する観点から、概ね0.15〜0.4mm程度のものを用いることが望ましい。
【0024】
そして、上記鋼板には表面に各種表面処理を施した表面処理鋼板を用いることが望ましい。特に下層が金属クロム、上層がクロム水酸化物からなる二層皮膜を形成させた表面処理鋼板(いわゆるTFS)等が最適である。TFSの金属クロム層、クロム水酸化物層の付着量については、特に限定されないが、何れもCr換算で、金属クロム層は70〜200mg/m、クロム水酸化物層は10〜30mg/cmの範囲とすることが望ましい。
【0025】
また、鋼板に被覆する有機樹脂フィルムについては以下の通りである。
【0026】
本発明で用いるラミネート鋼板を構成する有機樹脂フィルムとしては、加工によるフィルム損傷の可能性を極力排除する目的から、以下のものであることが望ましい。
【0027】
例えば、有機樹脂としてはポリエステルが加工に必要な伸び特性や強度特性のバランスが優れているためより好ましい。そして、そのポリエステル樹脂としては、カルボン酸成分とジオール成分の縮重合で得られ、ジカルボン酸成分はテレフタル酸を主成分とし、ジオールは、エチレングリコール及び/または、ブチレングリコールを主成分とするのが好ましい。また、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を主成分とする場合、その他の共重合成分としてイソフタル酸成分を含むことも可能である。ジオール成分は、エチレングリコール及び/または、ブチレングリコールを主成分とする場合、その他の共重合成分としてジエチレングリコール、シクロヘキサンジオ−ルを含むことも可能である。さらに、このようなポリエステル樹脂を主相とし、副相に、非相溶かつ、Tgが5℃以下である樹脂を用いることができる。この場合の副相としてはポリエチレン、ポリプロピレン、及び/あるいはそれらの酸変性体、あるいはアイオノマーから選ばれるものの中から少なくとも1種以上選択することが好ましい。
【0028】
なお、本特許の実施にあたっては、本特許で規定する樹脂組成中に顔料や滑剤、安定剤などの添加剤を加えて用いても良いし、本特許で規定する樹脂層に加えて他の機能を有する樹脂層を上層または中間層に配置しても良い。
【0029】
また、鋼板へのラミネート方法は特に限定されないが、2軸延伸フィルム、あるいは無延伸フィルムを熱圧着させる熱圧着法、Tダイなどを用いて鋼板上に直接樹脂層を形成させる押し出し法など適宜選択すればよく、いずれも十分な効果が得られることが確認されている。
【0030】
本発明の2ピース缶は、上記ラミネート鋼板を素材とし、円形ブランクを、複数回、絞り加工することにより有底円筒状の缶胴を形成し、次いで、前記缶胴部の開口側を缶胴直径よりも小さい径で、かつ、下記式(1)および式(2)を満足するように縮径加工し、さらに、ビード部を形成することにより成形される。特に本発明ではビード部を形成するにあたり、前記缶胴部の開口先端側を缶外側に断面円弧状にカールさせて第一のカール部を形成し、次いで、第一のカール部を含む開口先端側を缶底部方向に上から押圧することにより断面縦長楕円形状ビード部を形成することを特徴とする。
1.5≦h/(R−r)・・・(1)
d/R≦0.25・・・(2)
ただし、h:缶底から開口先端部までの高さ、R:円形ブランク位置半径、r:底部半径、d:開口先端部の半径
以下に詳細にその成形方法について記載する。
【0031】
有底円筒状の缶胴を形成
ラミネート鋼板を素材とし、有底円筒状の缶胴を形成するためには、円形ブランクを複数回の絞り加工を用い所定の高さを得る方法が適している。複数回の絞り加工における絞り回数、絞り率は適宜選定することができる。成形工程の簡素化のためは少ない絞りの回数で行うこと望ましいが、一方でそのためには低い絞り率、つまり厳しい加工が必要になる。成形工程の簡素化のためには、10回以下の絞り回数が望ましい。絞り率は、円形ブランクから1回目の絞りを行う際には0.4以上、以降の絞り(再絞り)加工では0.5以上であることが望ましい。
【0032】
本発明における絞り加工では、複数回の絞り加工を基本とするが、さらにしごき加工を加えた絞り-しごき加工を行う方法も採用することができる。また、複数回の絞り加工において、しわ押え力により後方張力を付与した状態で絞りダイ肩部での曲げ・曲げ戻し変形を利用して板厚の減少を図る薄肉化絞り加工、およびこれにしごき加工を併用する薄肉化絞り-しごき加工などの方法を採用することができる。
【0033】
さらに、絞り加工には潤滑条件が影響を及ぼす。ラミネート鋼板は被覆されたフィルムが柔軟でかつ表面が平滑であるためそれ自体が潤滑性を高める機能を有する。そのため、絞り加工にあたって特に潤滑剤を使用する必要はないが、絞り率を低くする場合などには潤滑剤を使用することが望ましい。潤滑剤の種類は適宜選定できる。
【0034】
また、絞り加工に伴い、缶胴の側壁部板厚は元板厚に対して変化する。板厚変化を缶高さ全体にわたる平均板厚tと元板厚t0を用いて平均板厚変化率t/t0としてあらわした場合、絞り-再絞り加工ではt/t0>1となる傾向にあり、絞り-しごき加工、薄肉化絞り加工、薄肉化絞り-しごき加工などではt/t0<1となる。加工に伴うラミネート鋼板の損傷を考慮すると、平均板厚変化率は0.5<t/t0<1.5の範囲とすることが望ましい。
【0035】
缶胴部の開口側を縮径加工
例えば、エアゾール缶では缶胴の開口部にマウンティングキャップを取り付けるため、開口端を円筒の直径よりも小さい径に縮径する必要がある。この時の縮径の加工度はマウンティングキャップを取り付けるために必要な所定の直径を得る加工度を採用することができるが、フィルムの損傷を極力排除する観点から、缶胴の半径r、縮径後の開口端の半径dに対してd/r>0.3であることが望ましく、さらに望ましくはd/r>0.4である。縮径加工の方法としては、内面テーパー形状のダイに開口端部を押し当てて縮径を行うダイネック方式、回転工具を缶胴開口端部に缶胴半径方向内側に向けて押し付けて縮径を行うスピンネック方式などの方法が採用できる。フィルムの損傷を極力排除する観点からは、ダイネック方式が適している。ダイネック方式では、缶胴の半径rから最終的な縮径後の半径dに至る間を複数回の段階に分けて加工を行う方法が望ましい。この際、1回あたりの加工度が大きいと縮径加工でしわを発生する危険性が高まるため、縮径率(縮径加工後の直径/縮径加工前の直径)は0.9以上とすることが望ましい。ラミネート鋼板は被覆されたフィルムが柔軟でかつ表面が平滑であるためそれ自体が潤滑性を高める機能を有する。そのため、縮径加工にあたって特に潤滑剤を使用する必要はないが、工具との摺動によるフィルムの損傷を極力排除する観点からは潤滑剤を使用することが望ましい。潤滑剤の種類は適宜選定できる。
【0036】
なお、ここで、縮径加工後の加工度が下記式(1)及び(2)を満足するように成形することが必要である。
1.5≦h/(R−r)・・・(1)
d/R≦0.25・・・(2)
ただし、h:缶底から開口先端部までの高さ、R:円形ブランク位置半径、r:底部半径、d:開口先端部の半径
まず、開口端部までの高さh、底部半径r、円形ブランク位置半径Rに対して1.5≦h/(R−r)とする。図4に缶体サイズの関係を示す。
【0037】
尚、実際の絞り加工の際には本願で規定した円形ブランク位置半径Rよりも大きな初期ブランク半径R’の円形ブランクから絞り加工を行いう。RからR’の間の部材はトリミング加工で除去される。ここで、h/(R−r)は成形前後でのラミネート鋼板の缶高さ方向への平均伸びを表す指標である。
【0038】
次に、開口先端部の半径d、円形ブランク位置半径Rに対してd/R≦0.25とする。これは、開口先端部における成形前後でのラミネート鋼板の缶周方向への縮みを表す指標である。
【0039】
前記のようにラミネート鋼板を素材として有底円筒状の缶胴を形成するためには、円形ブランクを複数回の絞り加工を用い所定の高さを得る方法が適している。この際、非特許文献1に記載されているエアゾール缶の形状を得るため、かつ、加工に伴うラミネート鋼板の損傷を回避するため平均板厚変化率が0.5<t/t0<1.5の範囲とすることを考慮すると、h/(R−r)≧1.5、かつ、d/R≦0.25とする必要がある。
【0040】
縮径加工後のトリム加工
有底円筒の缶胴の開口側を缶胴直径よりも小さい径に縮径する加工では、材料が円周方向に圧縮されるため、開口端部に微細な凹凸が生じる場合がある。この凹凸は、次いで行われるビード部形成のためのカール加工の際に割れの起点となる危険性がある。よって、あらかじめ凹凸となった開口端部をトリム加工によって切除し、平坦な開口端部としておくことが割れの防止の点から有効である。つまり、縮径後にトリム加工を行うことでビード部成形時の割れなどの不具合を回避することができる。
【0041】
ビード部形成
本発明においては、ビード部を、開口先端部を缶外側に断面円弧状にカールさせ、次いで前記カール部の開口先端部を缶底部方向に上から押圧することにより断面縦長楕円形状のビード部を形成すること特徴とする。これは本発明の最も重要な要件である。これにより割れを発生することなしにビード部が形成され、かつ形成されるビード部は、断面が縦長楕円形状となるため、マウンティングキャップを缶体にクリンチして固定することが可能となり、ビード部としての機能を充分に発揮することになる。
【0042】
従来のような非常に高い加工度で鋼板を缶成形加工した場合、鋼板は加工硬化により硬化し、かつ延性が劣化した状態となる。そのため、ビード部を形成するために開口端部をカール加工すると、開口端部に割れが生じてしまい、有底円筒状の缶胴を縮径加工した後にビード部を形成することができなかった。
【0043】
そこで、本発明では、開口先端部に断面縦長楕円状ビード部を形成するにあたり、断面円弧状のカール部を形成し、次いで、前記カール部の開口先端部を缶底部方向に上から押圧することで断面縦長楕円状のビード部を形成する方法を見出した。本発明によるビード部の成形工程および形状を図5に示す。図5によれば、開口端部に割れが発生しない程度の曲率の小さいカール加工で断面円弧状の第一のカール部を形成し、次いで、前記第一のカール部の開口先端部を缶底部方向に上から押圧する。ここで重要な点は、ビード部は開口端部に割れが発生しない程度の曲率の小さいカール加工で成形することである。断面形状が縦長楕円状のビード部を形成する場合、従来は1段階目の加工として円弧形状のビード部をカール加工により成形した後、2段目の加工としてこれを目的の縦長楕円形状に再成形している。この際、1段目のカール加工の曲率半径は、縦長楕円の曲率よりも大きくする必要があり、カール部先端の加工度が大きくなるため、その部分ではさらに割れが生じ易い。しかし、本発明では、開口端部に割れが発生しない程度の曲率の小さいカール加工で第一のカール部を成形するので、従来の方法では1段階目の加工として円弧状のビード部をカール加工により成形する際に生じた割れを回避することができる。
【0044】
なお、本発明では、第一のカール部を形成する際、カール加工で割れが発生しない程度の曲率の小さいカール加工を行う。具体的には、縮径加工後の開口先端部の半径d、上部ビード部の外径b1に対し、b1/d≦1.4となるようにカール加工を行うことが好ましい。b1/d>1.4となると割れが発生しやすくなる。
【0045】
カール加工の方法は、円筒インサートの基底部に円弧状の曲面部を有するカールダイに缶胴開口端部を押圧するダイカール方式、あるいは、円弧状の曲面部を有するロールに缶胴開口端部を押圧するスピニング方式などを採用することができる。代表例として、ダイカール方式による成形の概要を図7に示す。
【0046】
第一のカール部の開口先端部を缶底部方向に上から押圧する方法は、図7に示したように、カール方式あるいはスピニング方式で、第一のカール部さらに押圧していく方法が採用できる。この際に用いるカールダイの曲面部の曲率は、第一のカール部を形成する際の曲率と同じものを用いることができる。カールダイの押圧力を低下させる意味で曲率を第一のカール部を形成する際の曲率より大きくとることも有効である。一方、図8に示すように第一のカール部をさらに押圧する際、断面縦長楕円内に第一のカールで形成させた断面円弧状の部分を備えるようにすることで、ビード部の強度が増し、マウンティングキャップをビード部にクリンチする作業が容易になる利点がある。尚、第一のカール部押圧した後、さらに缶胴半径方向の外側から回転ロールを押し当ててビード部全体の断面形状を整えることもできる。
【0047】
なお、図6に示すように、ビード部はマウンティングキャップを缶体にクリンチして固定することが目的の構造であるので、本発明においては、ビード部の断面形状は縦長楕円状の形状とする。
【0048】
以上により本発明の2ピース缶が得られるが、必要に応じて、以下に記載の加工工程途中での熱処理、その他の加工を行うことができる。
【0049】
加工工程途中での熱処理
本発明において、さらに加えてフィルム損傷の危険性を低減する方法として、一連の加工工程の途中で熱処理を施すことが有効である。つまり、加工でフィルムに加えられた歪に伴う応力を熱処理により緩和することで、その後の加工でのフィルム剥離の危険性が低減されるためである。この目的の熱処理の条件としては、フィルムのガラス転移点以上、融点+30℃以下の熱処理、更に望ましくは、本特許で規定するポリエステルフィルムに対して、150℃以上融点+20℃以下であることが適している。さらに、前記の熱処理の直後30秒以内に、より望ましくは10秒以内に、フィルムのガラス点移転を下回る温度にまで急冷することが望ましい。熱処理の目的は、内部応力の緩和であり、従って、内部応力が緩和する条件での熱処理が要求される。このような観点から、内部応力の緩和が可能な最低温度として、ガラス転移点が設定され、本規定の下限値となっている。更に、本発明のポリエステル樹脂に対しては、望ましい熱処理温度の下限値として150℃を設定している。これは、内部応力の緩和に対して短時間処理が行える温度の下限である。即ち、ガラス転移点以上であれば内部応力の緩和が可能であるが、150℃以上だと短時間での処理が可能である。熱処理温度の上限は、樹脂の熱分解による劣化を考慮しての規定である。融点+30℃、望ましくは+20℃の範囲であれば、熱分解による樹脂劣化は問題とならない。
熱処理の方法については、特に限定されるものではなく、電気炉、ガスオーブン、赤外炉、インダクションヒーターなどで同様の効果が得られることが確認されている。また、加熱速度、加熱時間は効果に応じて適宜選択すればよいが、加熱速度は速いほど効率的であり、加熱時間の目安は15秒〜60秒程度であるが、この範囲に限定されるものでなく、効果に応じて適宜選択すればよい。
【0050】
その他の加工
本発明の目的とするエアゾール缶は、噴射剤を充填するため15kgf/cm2以上の耐圧強度が必要である。缶内部の圧力上昇に対しては特に缶底部に留意する必要がある。有底円筒の缶胴内部の圧力は、缶胴部側壁に対しては缶胴を周方向に拡張する方向への応力を作用させる。しかし、缶胴部材は絞り加工によって十分に加工硬化しており、内圧による作用で変形することはない。内圧の影響を考慮する必要があるのは缶底部である。缶底部は外縁部が缶胴によって拘束された状態で内圧が作用するため、内圧が高い場合は缶外部側に向かって変形する。内圧による缶底の変形を抑制するためには、缶底部の板厚を厚く、部材の強度を高める方法が有効であることに加え、形状を缶体内部側に陥没したドーム状の形状とすることが適している。
【0051】
尚、本発明で指定したビード部の構造は、缶体の材料がラミネート鋼板を用いた場合に限定されず、他の素材を用いた場合にも適用することができる。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
連続焼鈍法により得られた板厚0.20mmの低炭素鋼冷延鋼板を原板とし、TFSの両面に0.025mmのポリエチレンテレフタレートフィルムを熱融着法でラミネートした鋼板を、初期ブランク半径R’=42mmの円形ブランクとした後、絞り率約0.6の絞り加工を行った。次いで、絞り率約0.8の再絞り加工を4回行って缶胴半径r=11mmの有底円筒の缶胴を成形した。缶底部に缶胴内部に陥没したドーム部を張り出し加工により成形した後、缶胴に対し220℃×30秒の熱処理を行い、さらに缶胴の開口先端部をトリム加工し、次いでダイネック方式により縮径率約0.95の縮径加工を複数回行うことで縮径後の開口部半径d=7.5mmまで縮径加工を行った。縮径加工後の開口先端部をさらにトリム加工し、缶底部からの高さh=72mmの缶体を成形した。この際、円形ブランク位置半径R=80.6mmとなり、本発明に規定した周方向での加工度d/R=0.19、高さ方向での加工度h/(R−r)=2.24とした。
【0053】
この缶胴に対し、円筒インサートの基底部に、半径1.0mmの円弧状の曲面部を有するカールダイに缶胴開口端部を押圧するダイカール方式により、第一のカール部を成形した。この際、カール部の外径の先端部半径b1=9mmとし、b1/d=1.3とした。さらに、円筒インサートの基底部に、半径1.25mmの円弧状の曲面部を有するカールダイに缶胴開口端部を押圧するダイカール方式により、第一のカール部の開口先端側を缶底部方向に上から押圧させ、ビード部の外径b2=10mmとした。この際、ビード部の上端から下端までの高さであるビード高さを4mmとした。
【0054】
以上の成形工程においては、ビード部の成形に際して割れは発生しなかった。また、成形した缶体を50℃、98%RHで1月間保管した結果、錆の発生はなかった。このように、本発明による缶体はビード部の成形にあたってわれが発生せず、また湿潤な環境においても十分な耐食性を発揮した。
(比較例)
また、連続焼鈍法により得られた板厚0.20mmの低炭素鋼冷延鋼板を原板とし、TFSの両面に0.025mmのポリエチレンテレフタレートフィルムを熱融着法でラミネートした鋼板を、初期ブランク半径R’=42mmの円形ブランクとした後、絞り率約0.6の絞り加工を行った。次いで、絞り率約0.8の再絞り加工を4回行って缶胴半径r=11mmの有底円筒の缶胴を成形した。缶底部に缶胴内部に陥没したドーム部を張り出し加工により成形した後、缶胴に対し220℃×30秒の熱処理を行い、さらに缶胴の開口先端部をトリム加工し、次いでダイネック方式により縮径率約0.95の縮径加工を複数回行うことで縮径後の開口部半径d=7.5mmまで縮径加工を行った。縮径加工後の開口先端部をさらにトリム加工し、缶底部からの高さh=72mmの缶体を成形した。縮径加工後の開口先端部をさらにトリム加工した後、円筒インサートの基底部に、半径2.1mmの円弧状の曲面部を有するカールダイに缶胴開口端部を押圧するダイカール方式により、先端部半径b3=11.7mmとなるようにカール加工した。この際、缶胴の開口端部で割れが発生し、ビード部を成形することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の2ピース缶は、その優れた性能から2ピースエアゾール缶として最適である。そして、2ピースエアゾール缶以外にも、缶体強度、耐食性、外観性、さらには安価なコストが要求される用途に対しても好適である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】従来のアルミ製2ピース缶についての側面及び縦断面図である。
【図2】従来のアルミ製2ピース缶についての側面及び縦断面図である。
【図3】従来の2ピース缶について、ビード部の形成方法を示す図である。
【図4】本発明の缶体サイズの関係を示す図である。
【図5】本発明の2ピース缶について、ビード部を示す図である。
【図6】本発明の2ピース缶について、ビード部にマウンティングキャップをクリンチした状態を示す側面及び縦断面図である。
【図7】ダイカール方式によるビード部の成形方法を示す図である。
【図8】本発明の2ピース缶について、ビード部を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 缶胴
2 マウンティングキャップ
3 噴射用バルブ
4 ビード部
5 加工前の円形ブランク
6 カールダイ




 

 


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