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熱延鋼帯の冷却装置と、その冷却方法および熱延鋼帯の製造方法 - JFEスチール株式会社
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発明の名称 熱延鋼帯の冷却装置と、その冷却方法および熱延鋼帯の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−38299(P2007−38299A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2006−274278(P2006−274278)
出願日 平成18年10月5日(2006.10.5)
代理人 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
発明者 藤林 晃夫 / 今田 貞則 / 日野 善道 / 簑手 徹 / 本屋敷 洋一 / 池宗 省三
要約 課題
本発明は、最終仕上げ圧延機を出てから巻き取り機に至るまでのランナウトテーブルにおいて張力がかからない鋼帯をも安定して強冷却する熱延鋼帯の冷却装置と、その冷却方法および熱延鋼帯の製造方法を提供しようとするものである。

解決手段
鋼帯13が搬送されるランナウト3上で、搬送ロール11間に下面冷却ボックス12を設置し、このボックスと相対する位置にライン上から昇降可能な上面冷却ボックス14を設置し、鋼帯に対し上下対称に冷却水を噴射し、これら上下部からくる冷却水流が合流するほぼ中心部に鋼帯を通過させ、少なくとも出側には搬送ロールと周速度が同一の水切りロール16を昇降自在に設置し、鋼帯先端が冷却速度を通過するのと同時に水切りロールを回転させながら下降させ、同時に上面冷却ボックスも下降させて鋼帯の冷却を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】
熱延鋼帯の製造設備における最終仕上げ圧延機の後方に設けられ、所定間隔を存して配置され熱延鋼帯を搬送する複数の搬送ロールからなる搬送手段と、
この搬送手段の上面側に配置され、熱延鋼帯上面に対して冷却水を噴射し冷却する少なくとも1つ以上の上面冷却手段と、
この上面冷却手段と搬送される熱延鋼帯を介して下面側に配置され、熱延鋼帯下面に対して冷却水を噴射し冷却する少なくとも1つ以上の下面冷却手段とを具備し、
上面冷却手段は、昇降自在であるとともに、少なくともその出側で、かつ上記搬送ロールと相対する位置に水切り手段を備えたことを特徴とする熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項2】
上記水切り手段は、水切りロールを備えたことを特徴とする請求項1記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項3】
上記上面冷却手段と上記下面冷却手段は、熱延鋼帯に対する面が平面状であることを特徴とする請求項1および請求項2のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項4】
上記搬送手段に沿って、少なくとも2つの冷却装置を配置し、その一方を請求項1ないし請求項3記載のいずれかの冷却装置とすることを特徴とする熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項5】
上記水切りロールは、上記搬送ロールの周速と同じ周速に設定されることを特徴とする請求項2記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項6】
上記上面冷却手段と、上記下面冷却手段とは、熱延鋼帯を介して互いに対向する位置に配置されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項7】
熱延鋼帯の製造設備における最終仕上げ圧延機の後方において、鋼帯の先端の通過と同時に、先端の上下面を水切りロールと搬送ロールとでピンチする工程と、
このピンチ工程とともに、鋼帯の上下面から冷却水を所定の条件で噴射して鋼帯を冷却する工程と、を具備したことを特徴とする熱延鋼帯の冷却方法。
【請求項8】
熱延鋼帯の製造設備における最終仕上げ圧延機の後方において、鋼帯の先端の通過と同時に、先端の上下面を水切りロールと搬送ロールとでピンチする工程と、
このピンチ工程とともに、鋼帯の上面にかかる流体圧と下面にかかる流体圧とがほぼ等しくなるように冷却水を噴射して鋼帯を冷却する工程と、を具備したことを特徴とする熱延鋼帯の冷却方法。
【請求項9】
熱延鋼帯の製造設備における最終仕上げ圧延機の後方において、鋼帯の先端の通過と同時に、水切りロールを降下させて先端に当接させ、下面の搬送ロールとで、互いに同一の周速で鋼帯をピンチする工程と、
このピンチ工程とともに、鋼帯の上面にかかる流体圧と下面にかかる流体圧とがほぼ等しくなるように冷却水を噴射して鋼帯を冷却する工程と、を具備したことを特徴とする熱延鋼帯の冷却方法。
【請求項10】
仕上げ圧延機で熱間圧延された鋼帯を搬送する複数の搬送ロールからなる搬送手段と、上記鋼帯を冷却する冷却手段を備えた熱延鋼帯の冷却装置において、
上記搬送ロールと搬送される鋼帯を介して対向する位置に、鋼帯の厚みを越える隙間をもって、上記搬送ロールとほぼ等周速で回転し、もしくは鋼帯の搬送速度以上の周速で回転する同伴ロールが配置されることを特徴とする熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項11】
上記各搬送ロール間および上記各同伴ロール間には、それぞれ通板用ガイド体が設けられることを特徴とする請求項10記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項12】
上記冷却手段は、所定間隔を存して設けられ冷却水を噴射する複数の冷却ノズルであって、これら冷却ノズルは上記通板用ガイド体と鋼帯を介して対向する位置に配置されることを特徴とする請求項11記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項13】
上記冷却手段の入り側直前位置に設けられ、鋼帯をピンチして冷却手段に導くピンチロール対と、
このピンチロール対の入り側直前位置に設けられ、搬送される鋼帯を上記ピンチロール対の隙間に案内するストリップガイドとを具備したことを特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項14】
上記冷却手段の冷却途中あるいは出側直後の位置に、鋼帯をピンチするピンチロール対が設けられることを特徴とする請求項13記載の熱延鋼帯の冷却装置。
【請求項15】
所定の噴射条件で冷却手段から冷却水を噴射した状態で熱延鋼帯を搬送し、この熱延鋼帯の先端を冷却手段の入り側および/もしくは出側直後および/もしくは冷却途中の位置でピンチロールがピンチし、鋼帯先端が下流側のピンチロールあるいは巻き取り機などの張力付与手段に到達するのと同時に、上流側のピンチロールから順次、熱延鋼帯を解放することを特徴とする熱延鋼帯の冷却方法。
【請求項16】
スラブを加熱する加熱工程と、
前記加熱工程にて加熱されたスラブを粗圧延する粗圧延工程と、
前記粗圧延工程で粗圧延された粗バーを仕上げ圧延する仕上げ圧延工程と、
前記仕上げ圧延工程により仕上げ圧延された鋼帯を、請求項1ないし請求項6、請求項10ないし請求項14の冷却装置のいずれか、または、請求項7ないし請求項9、請求項15の冷却方法のいずれかによって冷却する冷却工程と、
前記冷却工程にて冷却された鋼帯を巻き取る巻き取り工程と、
を有することを特徴とする熱延鋼帯の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱間圧延された高温鋼帯を冷却するための冷却装置と、その冷却方法および熱延鋼帯の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、熱延鋼帯は、加熱炉においてスラブを所定温度に加熱し、加熱されたスラブを粗圧延機で所定厚みに圧延して粗バーとなし、ついでこの粗バーを複数基のスタンドからなる連続熱間仕上げ圧延機において所定の厚みの鋼帯となす。そして、この熱延鋼帯をランナウトテーブル上の冷却スタンドにおいて冷却した後、巻き取り機で巻き取ることにより製造される。
【0003】
このような圧延された高温の鋼帯をライン上で搬送し、かつ巻き取り機で巻き取られる以前に連続的に冷却するオンラインの冷却装置では、第1に鋼帯の通板性を考慮しなければならない。
たとえば、鋼帯の上面冷却をなすため、円管状のラミナー冷却ノズルを鋼帯搬送用の搬送ロール(ローラテーブルとも呼ばれる)上方部位で、かつ鋼帯の幅方向に亘って直線状に備え、この冷却ノズルから複数のラミナー冷却水を注水する。なお、上記ランナウトテーブルは、上記搬送ロールが複数、集まったものである。
【0004】
このとき、鋼帯が落下する冷却水の水圧で押されても、鋼帯パスラインが搬送ロールの上接点を結んだ線から下方へ押し込まれないよう、搬送ロールの直上で、かつ搬送ロールの軸長さと同一全長のラミナー冷却ノズルを配置する。また、搬送ロール相互間にスプレーノズルを配置し、ここから上方に冷却水を噴射して鋼帯下面の冷却をなしている。
【0005】
したがって、このような冷却形態では鋼帯の上下面の冷却が厳密には上下対称とならず、鋼帯の冷却は特に上面側は間欠的な冷却となり、急速な冷却(たとえば、板厚3mmで冷却速度200℃/s以上)はほぼ不可能である。
一方、近年は、結晶粒径が細かい熱延鋼帯が、加工性に優れることと、低Cepでも強度が高いこと等から求められており、そのための急速な冷却(強冷却)が必要となっている。このように、熱延鋼帯に対して急速冷却を行うにあたって、従来の冷却装置では以下のような問題がある。
【0006】
すなわち、鋼帯の上下面で冷却水がかかる冷却開始位置が一致しないために、材質の不均一化につながる虞れがある。また、冷却後、鋼帯の上面には冷却水が滞留し、上面側の過冷却を引き起こす。この過冷却は、長手方向において一様とならず、この方向における冷却停止温度にばらつきが生じている。
さらに、幅方向についても冷却水が鋼帯端部からライン両側へ流出するので、鋼帯中央部に比べて端部が過冷却になり易く、温度停止時間がばらついていた。その結果、材質が均一にならなかった。
【0007】
そこで、[特許文献1]では、鋼帯を横切るように流体を斜め方向に噴射して鋼帯上面の冷却水を排出する方法が提案されている。[特許文献2]では、拘束ロール(ピンチロールとも呼ばれる)を水切りロールとして冷却水を堰き止める水切り方法が提案されている。[特許文献3]では、鋼帯の先端における冷却水の上下水量比を、下面の水量を増やすことで有効的に冷却する方法が提案されている。
【0008】
[特許文献4]では、鋼帯の送り方向に設けたフレームにローラテーブルを複数個配置し、これらローラテーブル間に冷却水用ガイドを設けている。このガイドと鋼帯表面とを所定間隔に保持するため、ガイドにガイドロールを設けて鋼帯へ押圧する装置が開示されている。
【0009】
[特許文献5]には、圧延機から搬出された直後に鋼帯を冷却する直近冷却装置が開示されている。一方、安定通板を得るための装置として、[特許文献6]には、テーブルロールの上方に回転駆動する別の駆動ロールを設けて、鋼帯に走行駆動力を付与する技術が開示される。
【特許文献1】特開平09−141322号公報
【特許文献2】特開平10−166023号公報
【特許文献3】特開平06−328117号公報
【特許文献4】特公昭59−050420号公報
【特許文献5】特公平04−011608号公報
【特許文献6】実開昭57−082407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、[特許文献1]の冷却水排出方法によると、強冷却を行うと鋼帯上に大量の冷却水が滞留して水切り効果がほとんどない。[特許文献2]の水切り方法では、圧延機を出てから巻き取り機に至るまでの鋼帯先端はフリー状態で搬送されるために、鋼帯は上下動しながら波を打ったように無拘束状態で通過する。
【0011】
そのため、ローラテーブル上に拘束ロールを設けることは安定通板を妨げることになり、拘束ロールをランナウトの冷却装置に適用することは難しかった。また、無拘束で、振動する鋼帯先端部付近を強冷却しようとすると、先端の振動をさらに悪化させて安定通板を確保することができない。拘束ロールと鋼帯との接触によって疵の発生が避けられなかった。
【0012】
[特許文献3]の鋼帯先端における冷却水の上下水量比を、下面の水量を増やす冷却方法では、冷却水量比を変えると上下面に対する冷却がアンバランスとなり、特に急速な冷却が必要な場合には材質の不均一が避けられない。そして、下面冷却が弱くなるので、材質的に必要な強冷却を実現することが難しかった。
【0013】
特に、薄物と呼ばれる板厚2mm以下の鋼帯を冷却する場合では、鋼帯先端が冷却水圧によって上下に振動したり、ランナウトテーブルの後半部で鋼帯が折れ込んで安定通板ができず、通板が不能に陥ることも考えられる。
[特許文献4]の冷却水用ガイドと鋼帯表面とを所定間隔に保持するため、ガイドにガイドロールを設けて鋼帯へ押圧する装置では、鋼帯の先端が上下に波打ち振動しながら搬送されるので、冷却水用ガイドと鋼帯表面とを均一間隔にすることが難しい。薄物鋼帯の場合、先端が搬送ロールに接触すると通板が妨げられて鋼帯が詰まるトラブルが発生し易い。
【0014】
通常、鋼帯は耳波や中伸びなど、平坦でないことが多く、このような形状不良の鋼帯を対象とするには、ガイドロールで押圧することはできないので、別途レベラを用意して平坦にする必要があり、作業工数が大となってしまう。
【0015】
[特許文献5]の圧延機から搬出された直後に鋼帯を冷却する直近冷却装置では、鋼帯の品質管理上の重要項目である圧延時の鋼帯温度や板厚を検知するためのセンサーを設けることができない。したがって、最終仕上げ圧延機の後方に空冷域を設け、この空冷域に温度計や厚み計を設置しなければならないが、鋼帯先端がフリーであって上下に振動するので、鋼帯先端から冷却を開始することが難しい。
【0016】
[特許文献6]のテーブルロールの上方に駆動ロールを設け鋼帯に走行駆動力を付与する技術では、上方の駆動ロールを下面テーブルロールと同様に密に配置しなければ、鋼帯先端がロール間に突っ込んだり、途中から折れるおそれがある。一旦、鋼帯先端が上部ロールや下部ロールに衝突すると、反動で上下振動が発生し、特に薄物鋼帯では安定通板が難しい。また、鋼帯の上下面両側にロールを密に配置すると、冷却ノズルの配置空間が少なくなって強冷却ができない。
【0017】
第1の発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、最終仕上げ圧延機を出てから巻き取り機に至るまでのランナウトテーブルにおいて張力がかからない鋼帯を安定して強冷却する熱延鋼帯の冷却装置と、その冷却方法を提供しようとするものである。
【0018】
第2の発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、鋼帯を急速冷却するのに、最終仕上げ圧延機を出てから巻き取り機に至るまで鋼帯先端を安定して通板させ、かつ冷却効率を確保する熱延鋼帯の冷却装置と、その冷却方法を提供しようとするものである。
【0019】
第3の発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、
以上の第1および第2の発明による熱延鋼帯の冷却装置と、その冷却方法のいずれかを用いて、熱延鋼板を冷却する冷却工程を備えた、熱延鋼帯の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
第1の発明は、かかる問題点を解決するためになされていて、鋼帯が搬送されるランナウト上で、搬送ロール間に下面冷却ボックスを設置し、このボックスと相対する位置に昇降可能な上面冷却ボックスを設置して鋼帯に対し上下対称に冷却水を噴射し、これらの冷却水流が合流するほぼ中心部に鋼帯を通過させ、少なくとも出側には搬送ロールと周速度が同じとなるように同期して回転する水切りロールを昇降自在に設置し、鋼帯先端が通過するのと同時に水切りロールを回転させながら下降し、同時に上面冷却ボックスも下降させて鋼帯の冷却を行う。
さらに、鋼帯の先端の通過と同時に、先端の上下面を水切りロールと搬送ロールとでピンチし、このピンチとともに鋼帯の上下面から冷却水を所定の条件で噴射して鋼帯を冷却する熱延鋼帯の冷却装置と、その冷却方法である。
【0021】
第2の発明は、かかる問題点を解決するためになされていて、最終仕上げ圧延機後方の複数の回転する搬送ロールからなる搬送手段上を鋼帯が搬送されるランナウトで、搬送ロール直上に鋼帯の板厚以上の隙間を開けて同伴ロールを仕上げ圧延機出側から連続的に設置し、この同伴ロールを搬送ロールとほぼ等周速で回転し、鋼帯の搬送速度以上の周速で回転して鋼帯を後方に押し出す。
さらに、搬送ロール相互間と、同伴ロール相互間に通板用ガイドを設け、これらガイド間に鋼帯を通板させる。ガイドに対して鋼帯と反対側に冷却ノズルを設けて、鋼帯の上下から冷却水を噴射し冷却する。このような冷却装置を最終仕上げ機の後方で、巻き取り機の前方のランナウト中に設ける。
【0022】
さらに、冷却装置の通板の途中あるいは直後の位置に鋼帯をピンチする少なくとも1以上のピンチロール対を設けて、鋼帯の最先端がピンチロール対に到達すると同時に、その上流側の鋼帯に張力をかけて、通板を安定させる。さらに、このピンチロール対の転接は、下流側のピンチロール対あるいは巻取り機に到達すると同時に順次解放する。
【0023】
第3の発明は、以上の第1および第2の発明による熱延鋼帯の冷却装置と、その冷却方法のいずれかを用いて、熱延鋼帯を冷却する冷却工程を備え、熱延鋼帯の製造をなす。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
(1)鋼帯の先端から後端に至るまで均一な冷却条件で冷却でき、特に長手方向と幅方向とで冷却停止温度が一定となり、材質のバラツキが低減し、均一で、かつ疵のない鋼帯が得られるので、品質が安定する。それにともなって、先端部の切捨て代が少なくなり歩留まりが高い。
(2)鋼帯が無張力の状態で冷却装置を通過しても、鋼帯の走行が安定しているので、詰まりや操業停止のトラブルが少ない。
【0025】
(3)鋼帯先端が巻き取り機に巻き取られるまでの鋼帯の通板が不安定の状態においても、冷却装置内での通板性が安定し、均一な冷却が行えるため、材質が一定してコイルの歩留まりが高い。特に、板厚2mm以下の薄物鋼帯を対象とした安定通板と完全冷却が行える。
(4)無張力で搬送冷却される鋼帯先端の長さが短くてすみ、鋼帯の中央部とほぼ同様の冷却を施せるので、材質のばらつく部分が短くなる。冷却中の鋼帯の走行が安定するので、詰まりや操業停止などのトラブル発生が少なくてすむ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、第1の発明を、図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態での熱延鋼帯の製造設備を概略的に示し、図2は、第1の冷却装置を概略的に示す。
粗圧延機で圧延された粗バー1は搬送手段をなす搬送ロール上を搬送されて、連続的に7つの連続仕上げ圧延機2で所定の厚みまで圧延された後、最終仕上げ圧延機2Eの後方のランナウトテーブル3に導かれる。このランナウトテーブル3のほとんど大部分に冷却装置(冷却手段)が配置されていて、ここで冷却されたあと、巻き取り機4で巻き取られ、熱延コイルとなる。
【0027】
ランナウトテーブルを構成する搬送ロール11の相互間隔は狭いほど通板の安定性が向上するが、狭すぎると冷却装置を配置するスペースがなくなって冷却長が長く、冷却効率が悪くなる。そこで、搬送ロール11相互の距離は、ロール直径+100mmからロール直径の3倍程度のピッチであることが望ましい。
上記冷却装置として、このランナウトテーブル3の上流側には第1の冷却装置5が配置され、この下流側には第2の冷却装置6が配置される。
上記第1の冷却装置5は、最終仕上げ圧延機2Eの後方約10mの位置から約25mの位置に亘って設けられていて、後述するように構成される。
【0028】
上記第2の冷却装置6は、上記第1の冷却装置5の下流側に、約70mに亘って設置されていて、ランナウトテーブル3の上部側に所定のピッチで配置される複数の円管ラミナーノズル7と、下面側で鋼帯の搬送手段を構成する搬送ロール11間に配置される市販の複数のスプレーノズル8からなっている。
さらに、最終仕上げ圧延機2Eと第1の冷却装置5との間には、鋼帯温度計9およびγ線の板厚計10が設置されている。
【0029】
このランナウトテーブル3に沿って配置される第1、第2の冷却装置5、6は、強冷却が必要な鋼種については第1の冷却装置5で圧延直後の急速冷却処理を行い、続いて所定の巻き取り温度で巻き取られるように後方にある第2の冷却装置6で冷却処理を行うことができる。
また、強冷却が必要でない鋼帯については、第1の冷却装置5の急速冷却の作動を停止して、従来型の緩冷却である第2の冷却装置6のみでの冷却処理をなすことができ、材料としての鋼帯の作り分けが可能である。
図2に示すように、第1の冷却装置5の配置スペース内において、長手方向に約800mmピッチで、直径350mmの搬送手段を構成する搬送ロール11が配置されていて、これら搬送ロール11は鋼帯の下面側に位置している。
【0030】
そして、搬送ロール11の相互間に、下面冷却手段をなす、長さ約430mm、幅約1860mmの下面冷却ボックス12が設けられている。この下面冷却ボックス12は、装置の長手方向に沿って、合計12台が配置されていて、第1の冷却装置5として延べ約5160mmの長さに亘って設けられることになる。そして、この下面冷却ボックス12端面と冷却される鋼帯13下面との距離は、約50mmに設定されている。
一方、上記第1の冷却装置5における鋼帯13の上面側には、下面冷却ボックス12と相対する位置に、かつ全く同じ長さと幅寸法に設定された上面冷却手段をなす上面冷却ボックス14が、下面冷却ボックス12と同じ数だけ配置されている。
【0031】
上面冷却ボックス14はフレーム18に支持されており、このフレームの上面冷却ボックス14出側には水切り手段をなす水切りロール16が取付けられる。この水切りロール16は、後述するように熱延鋼帯を冷却するにあたって、鋼帯の過冷却を引き起こす要因となる、鋼帯の上面に滞留した冷却水を除去するためのものであって、材質の均質化に有効な手段である。
そして、フレーム18には空気シリンダー15が連結されていて、これらで上部冷却ブロック20が構成される。
【0032】
上記空気シリンダー15の作用によって、鋼帯13上面と上面冷却ボックス14端面との距離を、下面冷却ボックス12端面と鋼帯13下面との距離に等しくなるように、上面冷却ボックス14の設置高さの調整をできるようになっている。
また、第1の冷却装置5が作用しない非冷却時は、鋼帯の先端が通過するタイミングを合わせて空気シリンダー15が作動し、上面冷却ボックス14と水切りロール16をライン上方約500mmの位置まで上昇させ、これらを鋼帯13から退避するようになっている。通常の、鋼帯13に対する冷却作用時には上下両面冷却ボックス14、12間の距離が、鋼帯13の板厚+100mmとなるように設定されている。
【0033】
上記水切りロール16は、搬送ロール11に相対する位置にあって、直径200mmの回転駆動されるロールであり、その回転は下部側の搬送ロール11の周速と同一となるように制御される。
この実施の形態では、上面冷却ボックス14と水切りロール16が同時に移動するように設定したが、より冷却の応答性を上げるためには、鋼帯13の先端通過と連動して、上流側の上部冷却ブロック20から順次作動して、それぞれの水切りロール16と上面冷却ボックス14の下降を開始することが望ましく、そのために上面冷却ボックス14と水切りロール16を互いに独立して昇降可能としてもよい。
【0034】
上下面冷却ボックス14、12の鋼帯13に相対する端面は、板厚が1.6mmの鋼板が用いられている。この鋼板には所定口径のノズル孔が、所定の間隔で千鳥状に設けられている。これらのノズル孔から供給される冷却水は柱状のラミナー流となり、少なくともその上流側の衝突点は上下で対称となるように上下面冷却ボックス14、12の位置が合せられている。
さらに、通板性安定のために、鋼帯13下面については下面冷却ボックス12と搬送ロール11との間に、かつ鋼帯13上面については上面冷却ボックス14相互間に、いわゆるスノコ状のガイド17が設けられていて、特に鋼帯13の先端が各隙間に引っ掛かることのないように工夫されている。
【0035】
また、これらスノコ状ガイド17では鋼帯13と接する虞れがある面は有機樹脂膜で覆われ、鋼帯と接触しても鋼帯には疵が発生しないような工夫がなされている。この有機樹脂膜の材質は、鋼帯に疵が発生しないように鋼帯よりも柔らかく、高温の鋼帯が通過する際に受ける輻射熱で温度が上昇しても強度が保たれるような耐熱の材料が好ましい。
なお、第1の冷却装置5から冷却水を噴射しない場合において、この面が高温にならないように冷却水を鋼帯に届かない範囲で冷却水を噴射しておくことが効果的である。また、望ましくは水切りロール16も同様の樹脂材でロール表面がコーティングされており、疵の発生を抑制する工夫がなされている。
【0036】
つぎに、熱延鋼帯13に対する冷却工程について説明する。
最終仕上げ圧延機2Eから搬出された熱延鋼帯13の先端が第1の冷却装置5を通過するのと同時に、対応する位置の上部冷却ブロック20が作動して上面冷却ボックス14と水切りロール16を下降させる。そして、下降した上面冷却ボックス14およびこのボックスと対応する位置の下面冷却ボックス12から冷却水が噴射される。
このような工程の設定は、鋼帯の先端が通過する以前に上下面冷却ボックス14、12から冷却水を噴射すると、冷却水が鋼帯先端に対する通過の抵抗となり、先端の通板性を阻害する虞れがあることによる。
【0037】
鋼帯13の先端が一旦通過した後は、上面冷却ボックス14から噴射される冷却水の圧力と、下面冷却ボックス12から噴射される冷却水の圧力とのバランスによって、鋼帯13のパスラインが一定に保たれる。したがって、鋼帯13に対して張力がかからない状態であっても、鋼帯13の通板性が安定することになり、鋼帯13に対する均一な強冷却が施される。
なお、鋼帯13先端が第1の冷却装置5に入ってこの先端と対応する上下面冷却ボックス14、12から冷却水を噴射するが、このとき上面冷却ボックス14を上昇位置に保持したままでもよい。そして、通板性が安定した段階で上面冷却ボックス14と水切りロール16を降下させても、既に通過した鋼帯部分およびこれから通過しようとする鋼帯部分の通板性に悪影響を及ぼすことはない。
【0038】
ただし、水切りロール16の降下中においては、搬送ロール11と水切りロール16の周速を好ましくは圧延速度よりも若干速くしたほうが、圧延機から冷却装置間の鋼帯のたるみ発生を防止して安定した通板性を確保できる。
そして、水切りロール16が完全に降下し、鋼帯13を水切りロール16と搬送ロール11によってピンチした状態で鋼帯13に一定の張力が働くようにこれらの回転を制御すれば、熱延鋼帯の安定通板を確保する機能を持たせることができ、上記水切りロール16と鋼帯13とのスリップによる疵の発生防止に有効となる。
【0039】
なお、鋼帯13に対するピンチのタイミングと、鋼帯上下面に対する冷却条件との関係は、以下のようになる。
すなわち、鋼帯13の先端の通過と同時に、先端の上下面を水切りロール16と搬送ロール11とでピンチする工程と、このピンチ工程とともに鋼帯13の上下面から冷却水を所定の条件で噴射して鋼帯を冷却する工程とを具備する。
あるいは、鋼帯13の先端の通過と同時に、先端の上下面を水切りロール16と搬送ロール11とでピンチする工程と、このピンチ工程とともに鋼帯13の上面にかかる流体圧と下面にかかる流体圧とがほぼ等しくなるように冷却水を噴射して鋼帯を冷却する工程とを具備する。
【0040】
あるいは、鋼帯13の先端の通過と同時に水切りロール16を降下して先端に当接させ、下面の搬送ロール11と互いに同一の周速で鋼帯をピンチする工程と、このピンチ工程とともに鋼帯の上面にかかる流体圧と下面にかかる流体圧とがほぼ等しくなるように冷却水を噴射して鋼帯を冷却する工程とを具備する。
第1の冷却装置5を構成する上下面冷却ボックス14、12と鋼帯13との距離を、ここでは50mmに設定したが、これは以下のような理由による。
すなわち、冷却手段と鋼帯との距離をより離間すれば、冷却水の勢いが鋼帯と冷却手段との間に存在する流体(冷却水)によって吸収されてしまい弱まる。逆に、冷却手段と鋼帯との距離をより接近させれば、冷却水の勢いが強まるために鋼帯は上面から噴射される冷却水から受ける面圧と下面から受ける面圧とがバランスする位置を通過して、鋼帯の振動や片寄った走行を矯正しセンタリングする効果が働く。
【0041】
通常、流体が鋼帯に作用する圧力が0.01〜0.2Kg/cm2G程度あれば、上述のセンタリング効果が期待できる。このとき、ラミナー状の冷却水が鋼帯に到達し、鋼帯を冷却するためには冷却手段と鋼帯との距離をあまり離すことができない。
この距離は、ラミナー流のノズル出口の直径が2〜5mm程度であれば30〜100mmが好ましい。たとえば、100mm以上では冷却水流の勢いが弱まり強冷却が不可能になる。逆に、30mm以下に近づき過ぎると、冷却水の行き場がなくなり良好な水流が得難くなる。したがって、急速冷却が不可能となり、あるいは冷却水の流れが鋼帯の中央部と端部とで大きく異なって冷却ムラが発生する。
【0042】
なお、以上の条件は冷却手段の構成によって異なってくるので、上記の限りではないが、流体が鋼帯に作用する力が0.01〜0.2Kg/cm2G程度となるようにして、鋼帯幅方向の冷却を均一となす冷却水の諸噴射条件を決定すればよい。
さらに、通板性を安定させるために、第1の冷却装置5の入り側にも、冷却装置出側に設けたのと同じ昇降可能な水切りロール16をさらにもう1組設けて、入り側の通板安定性確保を図ってもよい。ただし、鋼帯の搬送速度が速いので、入り側の水切りロール16は冷却水の漏出を防止する効果よりも、むしろ通板安定性への寄与が大きい。
【0043】
以上の設備において、仕上げ板幅が1500mmで、仕上げ板厚が3mmの鋼帯をスレッディング速度650mpm、加速率9mpm/sで加速し、最大1200mpmまで加速後、減速して650mpmで鋼帯後端を尻抜けさせた。
鋼帯の加速時は、第1の冷却装置5と第2の冷却装置6の水量を増加することで、巻き取り温度が一定となる制御を行った。そのとき、鋼帯は先端から後端まで安定して各冷却装置5、6を通過し、所定の冷却が行われた。しかも、各冷却装置5、6の前後に冷却水の漏出はなく、また疵の発生もなかった。
その結果、ほぼ先端から後端まで結晶粒径が微細で一定した熱延鋼帯を安定して製造できた。巻き取り温度の変動が先端から後端までで15℃以内であり、安定した冷却が実現された。各温度計の実測値から鋼帯13の冷却速度を推定すると、第1の冷却装置5では500℃/sの急速冷却が実現することとなる。
【0044】
以上のごとき第1の発明における冷却装置5と冷却方法を採用することにより、上下対称に急速な冷却が可能となり、このオンラインの冷却によって結晶粒径の微細な熱延鋼帯13の安定した製造が可能となる。
その結果、冷却装置5の下流側の鋼帯13上に冷却水が残留することなく過冷却を防止でき、冷却停止温度が鋼帯13の幅方向と長手方向に一定となり、冷却中の上面と下面の冷却条件が全く同じとなって、冷却中の曲がりや冷却後の残留応力の発生を少なくするばかりか、鋼帯13の長手方向、幅方向、厚み方向に結晶粒径がそろった均一な熱延鋼帯13の安定した製造を得る。
また、鋼帯13の先端が巻き取り機に巻き取られる前の張力がかからない状態においても、冷却水を張力がかかった鋼帯13中央部と同じ冷却条件で注水することが可能で、材質が上下に均一で、しかも長手方向に亘って均一となり、製品の歩留まりが高く、鋼帯13の品質が安定する。
【0045】
(比較例)
比較例として、第1の実施の形態と同様の圧延設備で仕上げ板厚3mmの熱延鋼帯を圧延し、そのあと以上述べた第2の冷却装置6で安定通板を妨げない範囲で最大流量の冷却を行った場合を説明する。
仕上げ板厚3mmの鋼帯をスレッディング速度650mpm、加速率9mpm/sで加速し、最大1200mpmまで加速後、減速して650mpmで鋼帯後端を尻抜けさせた。このとき、第2の冷却装置6のみで安定通板が可能な範囲で、かつ最大の冷却水量で冷却を施す、急速冷却をなした。
その冷却速度は70℃/sであり、特に鋼帯の上面と下面で、その結晶粒径のバラツキが大きく、また先端から後端にかけてバラツキがみられた。結果として、この鋼帯は先端部と後端部のそれぞれ70mが所定の材質が得られず切り捨てられることとなり、歩留まりが落ちた。
【0046】
以下、第2の発明を、図面を参照して説明する。
図3(A)は、第2の実施の形態での熱延鋼帯の製造設備を概略的に示しており、図3(B)は、この製造設備における冷却装置(冷却手段)の詳細を示している。
なお、この実施の形態は板厚3mmの熱延鋼帯を冷却する条件であって、最終仕上げ圧延機から離れた位置に冷却装置が配置され、かつストリップガイドおよび入り側・出側のピンチロール対が存在しない場合に適用される。
すなわち、粗圧延機Aで圧延された粗バー1は搬送テーブル上を搬送されて、連続的に7つの連続仕上げ圧延機2で所定の厚みまで圧延された後、最終仕上げ圧延機2E後方のランナウトテーブル3に導かれる。このランナウトテーブル3のほぼ中央部には冷却装置(冷却手段)50が配置され、ここで鋼帯13は冷却されたあと、後方の巻き取り機6で巻き取られて熱延コイルとなる。
【0047】
なお説明すれば、上記ランナウトテーブル3における搬送手段は、直径300mmの複数の搬送ロール11からなり、ロールピッチを350mmとして連続的に配置されている。
ランナウトテーブル3における最終仕上げ圧延機2Eより5mの位置から20mの位置に亘って、上記冷却装置50が配置される。冷却装置50の入り側には、図示しない厚み計や仕上げ温度計等のセンサー類が配置されている。
冷却装置50には、517mmピッチで複数の搬送ロール11が配置されている。それぞれの搬送ロール11上には、上下方向に駆動可能な同伴ロール51が搬送ロール11と平行に配置されている。
【0048】
これら同伴ロール51は、鋼帯の先端を安定して通板させるのに必要な手段であり、構造上、前述した水切りロールと機能を兼ねる。基本的には、同伴ロール51は搬送ロール11と同方向で、かつ同一周速で回転駆動される。
そして、同伴ロール51と対向する搬送ロール11との隙間は、通板される熱延鋼帯13の板厚+約5mmに設定されている。通板性を考慮すると、鋼帯13の板厚+30mm以内が適当である。
【0049】
搬送ロール11および同伴ロール51と、熱延鋼帯13との接触による、鋼帯の疵付きを防止するため、これらロール11、51の周速は鋼帯13の搬送速度の0〜20%速い速度に設定するのが好ましい。
そして、より通板性を高めるため、鋼帯13先端において前へ引張る力がかかるように、鋼帯13の搬送速度の5〜20%速い速度に設定するのが、張力がかからない鋼帯先端の通板をより安定させるために、より好ましい。
【0050】
なお、鋼帯先端が巻き取り機に到達したあとの張力のかかった状態では、疵防止の観点から、これらロールの周速を鋼帯搬送速度とほぼ等周度に変えてもよい。ここに言う、ほぼ等周度とは、機械的に避けがたい速度のずれを含めた範囲を意味し、通常±5%程度の速度誤差を言う。
冷却装置50自体の長さは約15mあり、したがって同伴ロール51と搬送ロール11は、それぞれ30本設置されている。上記同伴ロール51は昇降自在であり、鋼帯13が搬送されてくる以前に上方に退避できるようになっている。
【0051】
上記冷却装置50として、通板される鋼帯13の下面側に位置する冷却装置50aと、上面側に位置する冷却装置50bとから構成される。
下面側冷却装置50aには、各搬送ロール11相互間に平板状の通板ガイド(通板用ガイド体)52が架設され、このガイドの下方に複数のスプレーノズル53が配置されている。上記通板ガイド52には、スプレーノズル53から噴射される冷却水が通過する孔部が設けられている。
上面冷却装置50bには、各同伴ロール51相互間に平板状の通板ガイド(通板用ガイド体)52が架設され、このガイドの上方に全く同一構造のスプレーノズル53が設けられてなる。上記通板ガイド52には、スプレーノズル53から噴射される冷却水が通過する孔部が設けられている。
【0052】
なお、搬送される鋼帯13と各スプレーノズル53との位置が必要以上に離間すると、冷却水の勢いが鋼帯13とスプレーノズル53との間に存在する流体によって吸収されて弱まる。
最適量だけ接近すれば、冷却水の勢いが強まるために、鋼帯13は上面から噴出する冷却水による面圧と、下面から噴出する冷却水による面圧とがバランスする位置を通過する。したがって、鋼帯13の振動抑制をなすとともに、上下方向に片寄っている鋼帯13をセンタリングする。
【0053】
上記通板ガイド52はスノコ状や格子状であってもよく、あるいは平板状の板に冷却水を通すのに必要な部分のみ孔部を設けた形式であってもよい。
つぎに、連続仕上げ圧延機3で圧延された鋼帯13を冷却装置50で冷却する冷却工程について説明する。
遅くとも、熱延鋼帯13の先端が連続仕上げ圧延機2Eから搬出される以前に、冷却装置50を構成する上下のスプレーノズル53から冷却水を噴射する。このとき、スプレーノズル53の鋼帯13の上面と下面に作用する噴射条件が同一なるように、噴射圧や流量を調整する。
【0054】
これにより、通板する鋼帯13の上面と下面に働く流体圧が同じになり、鋼帯13が上下に振動しないことは勿論、一方向に片寄らずにすみ、センタリング効果が得られて通板が安定する。
そして、全ての同伴ロール51および搬送ロール11を回転駆動して、鋼帯13の搬入を待機する。上述したように、これらロール51、11の回転方向は、いずれのロール51、11も鋼帯13を圧延機2から巻き取り機4へ導く方向であり、周速は鋼帯13の通板速度と同じか、もしくはそれよりも若干は速くなるように調整されて搬送されている。
【0055】
最終仕上げ圧延機2Eから出た状態の鋼帯13の板厚が3mmのものでは、搬送ロール11による搬送速度を650mpmとして通過させた。このときの鋼帯13の仕上がり温度は、890℃であった。
上記冷却装置50において、搬送ロール11と同伴ロール51との隙間を8mmに設定し、かつ両ロール11、51の周速が680mpmになるように回転駆動している。
冷却装置50内に搬入される鋼帯13は、その先端が同伴ロール51もしくは搬送ロール11に衝突することもあるが、これらロール51、11はともに回転しているので、鋼帯13先端は円滑に同伴ロール51と搬送ロール11との隙間に滑り込む。また、上下のスプレーノズル53による上面側と下面側からの冷却水の圧力によって、鋼帯13のパスラインが一定に保持される。
【0056】
上述の条件設定にもとづき、板厚が3mm程度の薄物鋼帯13であっても、その先端から安定した通板が実現され、均一な強冷却が施される。
冷却装置50を抜け出た位置での鋼帯13温度は700℃であった。そのあと、鋼帯13先端は下流側に配置される搬送ロール11上を通板されるが、冷却装置50内を通板中の鋼帯13が振動したり、片寄ったりすることがない。通板中での鋼帯温度のバラツキはなく、鋼帯13先端が巻き取り機4に巻き取られたあとも、通板・冷却は安定して継続される。
【0057】
このように、冷却装置50を備えたランナウトテーブル3では、板厚が3mm程度の鋼帯13の先端から中央部と、それ以降および終端部に亘って同じ熱履歴を実現でき、製品であるコイル全体で材質のバラツキが小さく、強度、伸びが一様となる。
なお、鋼帯13の上下面を冷却するノズルとしてスプレーノズル53を用いたが、柱状の円管ラミナー方式や噴流方式であってもよい。鋼帯13の上面と下面に作用する流体圧でセンタリング効果を得るための条件は、各冷却方式によって異なるので、その冷却方式に応じて決定すればよい。
【0058】
上述したように、同伴ロール51は、噴射された冷却水が上流側や下流側へ流出するのを防ぐ水切りロールの機能を合わせ持っており、制御性のよい冷却を実現できる。
すなわち、たとえば冷却水が冷却装置50から前後方向に流出すると、鋼帯13に対して局所的な過冷却を引き起こす。また、冷却水は幅方向に流れて、鋼帯13側端部から落下するので、幅方向に不均一な冷却となる。水切りロールの機能を持たせた同伴ロール51を備えることにより、このような不具合の発生を防止する。
【0059】
図4(A)は、第3の実施の形態での熱延鋼帯の製造設備を概略的に示しており、図4(B)は、この製造設備における冷却装置(冷却手段)の詳細を示している。
この実施の形態は第2の実施の形態より通板性が悪い、板厚1.6mmの熱延鋼帯、いわゆる薄物熱延鋼帯を冷却する条件であって、最終仕上げ圧延機から離れた位置に冷却装置が配置され、かつストリップガイドおよび入り側と出側にピンチロール対が設けられる場合に適用される。なお、上記薄物熱延鋼帯とは、一般に板厚2mm以下の鋼帯を言う。
【0060】
すなわち、粗圧延機Aで圧延された粗バー1は搬送ロール上を搬送されて、連続的に7つの連続仕上げ圧延機2で所定の厚みまで圧延された後、最終仕上げ圧延機2Eの後方のランナウトテーブル3に導かれる。
このランナウトテーブル3のほぼ中央部には冷却装置(冷却手段)50Aが配置され、ここで鋼帯13は冷却されたあと、後方の巻き取り機4で巻き取られて熱延コイルとなる。
【0061】
上記ランナウトテーブル3には、搬送手段として直径300mmの搬送ロール11が、350mmのロールピッチで連続的に配置されている。最終仕上げ圧延機2Eより5mの位置から20mの位置の間に亘って、上記冷却装置50Aが配置されている。
冷却装置50Aの入り側直前位置と、出側直後位置には、鋼帯13をピンチするピンチロール対55A、55Bが設けられている。これらピンチロール対55A、55B間で鋼帯13をピンチし、鋼帯がピンチロール対を通過するのと同時に、鋼帯13に対して張力を付与するようになっている。これらピンチロール対55A、55Bのロール相互間隙は、鋼帯13の板厚−0.1mmに設定されていて、互いに同方向に回転駆動される。
【0062】
図4(B)のみ示すように、入り側ピンチロール対55Aの圧延機2側には、上下一対のストリップガイド56aが設けられている。これらストリップガイド56aは、圧延機2側において互いに間隔が広く、ピンチロール対55A側ではロール対転接部に対向するよう狭くなり、互いに傾斜する。このことから、圧延機2から導かれる鋼帯13の先端をピンチロール対55A間に円滑に、かつ確実に導びくことができる。
これらピンチロール対55A、55Bは、鋼帯13に対する張力を制御する機能と、ピンチ後の鋼帯13が左右に蛇行しないように、左右の押付け力を調整する機能を有している。
【0063】
なお、この実施の形態では冷却装置50Aの直後にピンチロール対55Bを配置したが、これに限定されるものではなく、冷却装置50A内にもピンチロール対を配置し、送られてくる鋼帯を順次ピンチし、通板性を確保しながら冷却することも効果的である。
冷却装置50Aにおいて、517mmピッチで複数の搬送ロール11が配置されている。各搬送ロール11上には、上下方向に駆動可能な同伴ロール51が搬送ロール11と平行に配置されている。
【0064】
これら同伴ロール51は、搬送ロール11と同方向でかつ同一周速で回転駆動される。各同伴ロール51と対向する搬送ロール11の隙間は、通板される鋼帯13の板厚+約5mmに設定されている。
上記冷却装置50A自体の全長は約15mあり、したがって同伴ロール51と搬送ロール11は、それぞれ30本づつ設置されている。上記同伴ロール51は昇降自在であり、鋼帯13が搬送されてくる以前に上方に退避できるようになっている。
【0065】
上記冷却装置50Aとして、通板される鋼帯13の下面側に位置する冷却装置50aと、上面側に位置する冷却装置50bとから構成される。下面側冷却装置50aと上面側冷却装置50bはともに、先に図3(B)で説明したものと同一構成であり、ここでは同番号を付して新たな説明は省略する。
つぎに、連続仕上げ圧延機2で圧延された鋼帯13を冷却装置50Aで冷却する冷却工程について説明する。
遅くとも、熱延鋼帯13の先端が連続仕上げ圧延機2から搬出される以前に、冷却装置50Aを構成する上下のスプレーノズル53から冷却水を噴射する。このとき、スプレーノズル53の鋼帯13の上面と下面に作用する噴射条件が同一となるように、噴射圧や流量を調整する。
【0066】
これにより、通板する鋼帯13の上面と下面に働く流体圧が同じになり、鋼帯13が上下に振動しないことは勿論、一方向に片寄らずにすみ、センタリング効果が得られて通板が安定する。
そして、全ての同伴ロール51および搬送ロール11を回転駆動して、鋼帯13の搬入を待機する。これらロール51、11の回転方向は、いずれのロール8、7も鋼帯13を圧延機2から巻き取り機4へ導く方向であり、周速は鋼帯13の通板速度と同じか、もしくはそれよりも若干は速くなるように調整されていることは、ここでも変わりがない。
【0067】
最終仕上げ圧延機2Eから出た状態の鋼帯13の板厚が1.6mmものでは、搬送速度を650mpmとして通過させた。このときの鋼帯13の仕上がり温度は、840℃であった。
上記冷却装置50Aにおいて、搬送ロール11と同伴ロール51との隙間を7mmに設定し、かつ両ロール7、8の周速が680mpmになるように回転駆動している。
最終仕上げ圧延機2Eから通板される鋼帯13は、ストリップガイド56a、56aによってガイドされ、その先端は円滑で、かつ確実に入り側のピンチロール対55Aに挟持される。
【0068】
鋼帯13が入り側のピンチロール対55Aでピンチされた瞬間に、鋼帯13に対して張力が付与される。鋼帯13の先端が一旦ピンチロール対55Aに噛み込まれれば、それ以降は安定通板する。
そのあと鋼帯13は、最初(第1番目)の同伴ロール51と搬送ロール11との間に導かれる。このとき、鋼帯13先端が上記同伴ロール51に衝突するようなことがあっても、同伴ロール51が回転しているうえ、ピンチロール対11Aによって鋼帯13は上下の動きが拘束されているので、同伴ロール51と搬送ロール11の隙間に円滑に滑り込み、折れ込みや突っかかりを生じない。
【0069】
冷却装置50A内では、上下のスプレーノズル53による上面側と下面側からの冷却水の圧力によってパスラインが一定となり、鋼帯13の安定した通板と冷却がなされる。
冷却装置50Aを抜け出た位置での鋼帯13の温度は400℃であった。そのあと、鋼帯13の先端は出側のピンチロール対55Bで再びピンチされ、張力が付与される。
鋼帯13先端が巻き取り機4に巻き取られるまで下流側の搬送ロール11上を通板されるが、その間、冷却装置50A内を通板中の鋼帯13は振動したり、片寄ったりすることがない。冷却装置50Aを出たところでの鋼帯13温度のバラツキはなく、鋼帯13先端が巻き取られたあとも、通板・冷却は安定して継続される。
【0070】
なお、ピンチロール対55Aは鋼帯13先端が通板し、下流側のピンチロール対55Aに到達してピンチされるか、または巻き取り機4に巻き付いたら順次解放するよう設定されている。
このように、上記冷却装置50Aを備えたランナウトテーブル3においては、板厚が1.6mm程度の薄物鋼帯13の先端から中央部と、それ以降および終端部に亘って同じ熱履歴を実現でき、製品であるコイル全体の材質のバラツキが小さく、強度、伸びが一様となる。
【0071】
冷却装置50Aの入り側にピンチロール対55Aを備えたことにより、鋼帯13先端を第1番目の同伴ロール51と搬送ロール11との隙間に確実に導くことができ、さらには最終仕上げ圧延機2Eと冷却装置50Aとの間で鋼帯13が折れ込んだりアコーディオン状にならないように張力を付与する。
冷却装置50Aの出側にピンチロール対55Bを備えたことにより、冷却装置50Aから出た後の鋼帯13が巻き取り機4に至るまでの間に鋼帯先端が振動しても、その影響が冷却装置50A内の鋼帯13にまで及ぼさずにすむ。
そして、鋼帯13が一旦ピンチロール対55Bに挟持されたあとは、冷却装置50A内における鋼帯に張力が付与されるので、安定した冷却を施すことができる。
【0072】
図5(A)は、第4の実施の形態での熱延鋼帯の製造設備を概略的に示し、図5(B)は、この製造設備に用いられる最終仕上げ圧延機から冷却装置(冷却手段)全般に亘る部位を拡大して示す。
なお、この実施の形態は、先に説明した第2の実施の形態より通板性が悪い板厚1.2mmの熱延鋼帯を冷却する条件で、最終仕上げ圧延機直後に冷却装置を配置した場合に適用される。
【0073】
すなわち、粗圧延機Aで圧延された粗バー1は搬送ロール上を搬送されて、連続的に7つの連続仕上げ圧延機2で所定の厚みまで圧延された後、最終仕上げ圧延機2Eの後方のランナウトテーブル3に導かれる。
このランナウトテーブル3のほぼ中央部には冷却装置(冷却手段)50Bが配置され、ここで鋼帯13は冷却されたあと、後方の巻き取り機4で巻き取られて熱延コイルとなる。
【0074】
上記ランナウトテーブル3は、搬送手段として直径300mmの搬送ロール11が所定間隔を存して、最終仕上げ圧延機2E出側から冷却装置50Bを介して巻き取り機4まで連続的に配置されている。上記冷却装置50Bの入り側には、図示しない板厚計や仕上げ温度計などのセンサー類が配置される。
そして、ランナウトテーブル3上には周速が搬送ロール11と同じで鋼帯13を圧延機2から巻き取り機4へ送る方向に回転する同伴ロール51が、最終仕上げ圧延機2Eより20mの位置に亘って連続的に配置されている。
【0075】
最後端の同伴ロール11と隣接した位置には、ピンチロール対55が設けられる。このピンチロール対55は上下方向に昇降駆動する機構に支持されていて、搬送される鋼帯13に転接し、鋼帯に張力を付与するようになっている。
上記冷却装置50Bには、上記搬送ロール11が500mm間隔で配置されている。それぞれの搬送ロール11の上には、上下方向に駆動可能な同伴ロール51が搬送ロール11と平行に配置されている。
【0076】
これら同伴ロール51は、搬送ロール11と同方向でかつ同一周速で回転駆動されるようになっている。各同伴ロール51と対向する搬送ロール11との隙間は、通板される鋼帯13の板厚+約5mmに設定されている。
最終仕上げ圧延機2E出側より冷却装置50B出側に至る長さは約20mあり、したがって同伴ロール51は40本設置されている。これら同伴ロール51は昇降自在であるところから、鋼帯13が搬送されてくる以前に上方に退避できるようになっている。
【0077】
最終仕上げ圧延機2Eと最初(第1番目)の同伴ロール51との間と、それ以降で冷却装置50Bの最終端までにおける各同伴ロール51相互間には、通板ガイド(通板用ガイド体)52aが設けられる。
また、最終仕上げ圧延機2Eと最初(第1番目)の搬送ロール11との間と、それ以降で冷却装置50Bの最終端までにおける各搬送ロール11相互間には、通板ガイド(通板用ガイド体)52bが設けられる。
【0078】
したがって、上記各ガイド52a、52bは通板される鋼帯13に対して上面側と下面側とに配置される。これらガイド52a、52b相互の間隔は、通板される鋼帯13の先端がめくりあがったり、後方に折れ込んだりしないように、ある程度は狭く設定されている。
上記冷却装置50Bについて説明すると、最終仕上げ圧延機2Eの出側5mの位置から20mの位置までに亘って配置されていて、通板される鋼帯13の下面側に位置する冷却装置50aと、上面側に位置する冷却装置50bとから構成される。
【0079】
下面側冷却装置50aは、各搬送ロール11相互間の下部通板ガイド52bの下方に、冷却ノズルとしてスプレーノズル53が配置されている。この通板ガイド52bには、スプレーノズル53から噴射される冷却水が通過する孔部が設けられている。
一方、上面冷却装置50bは、各同伴ロール51相互間に架設された通板ガイド52aの上方に、同一構造のスプレーノズル53が設けられている。この通板ガイド52aには、スプレーノズル53から噴射される冷却水が通過する孔部が設けられている。
【0080】
なお、搬送される鋼帯13と各スプレーノズル53との位置が必要以上に離間すると、冷却水の勢いが鋼帯13とスプレーノズル53との間に存在する流体によって吸収されて弱まる。
ただし、最適量だけ接近すれば、冷却水の勢いが強まるために、鋼帯13は上面から噴出する冷却水による面圧と、下面から噴出する冷却水による面圧とがバランスする位置を通過する。したがって、鋼帯13の振動抑制をなすとともに、上下方向に片寄った鋼帯13をセンタリングする。
【0081】
つぎに、連続仕上げ圧延機2で圧延された鋼帯13を冷却装置50Bで冷却する冷却工程について説明する。
遅くとも、熱延鋼帯13の先端が最終仕上げ圧延機2Eから搬出される以前に、冷却装置50Bを構成する上下のスプレーノズル53から冷却水を噴射する。このとき、スプレーノズル53の鋼帯13の上面と下面に作用する噴射条件が同一となるように、噴射圧や流量を調整する。
【0082】
したがって、通板する鋼帯13の上面と下面に働く流体圧が同じになり、鋼帯13が上下に振動しないことは勿論、一方向に片寄らずにすみ、センタリング効果が得られて通板が安定する。
そして、全ての同伴ロール51および搬送ロール11を回転駆動して、鋼帯13の搬入を待機する。これらロール51、11の回転方向は、いずれのロール51、11も鋼帯13を圧延機2から巻き取り機4に導く方向であり、周速は鋼帯13の通板速度と同じか、もしくはそれよりも若干は速くなるように調整されている。
【0083】
上記冷却装置50Bの出側に配置されているピンチロール対55は、互いのロール間隔を鋼帯13の板厚と同一として、冷却装置50Bから搬出される鋼帯の先端に転接するように調整されている。
最終仕上げ圧延機2Eからピンチロール対55までの間は、鋼帯13の先端は自由端となり、かつ無張力であるために、鋼帯13は自由に振動して弛みが発生する虞れがある。そこで、ピンチロール対11の回転数を10%程度のリード率(鋼帯の搬送速度に対するロール周速の先行率のこと)となるべく、搬送速度を720mpmに設定している。
【0084】
最終仕上げ圧延機2Eから出た状態の鋼帯13の板厚が1.2mmのものでは、搬送速度を650mpmとして鋼帯先端から冷却装置50Bに搬入する。このときの鋼帯13の仕上がり温度は890℃であった。
【0085】
この冷却装置50Bにおいて、搬送ロール11と同伴ロール51との隙間は6mmに設定されている。そして、搬送ロール11と同伴ロール51ともにリード率が5%となるよう、周速を680mpmで回転駆動している。
冷却装置50B内に搬入される鋼帯13は、その先端が同伴ロール51もしくは搬送ロール11に衝突することもあるが、これら同伴ロール51および搬送ロール11ともに回転しているので、鋼帯13先端は円滑に同伴ロール51と搬送ロール11との隙間に滑り込む。
【0086】
最終仕上げ圧延機2Eから冷却装置50B最終端に亘る同伴ロール51相互間と搬送ロール11相互間に備えた上下部通板ガイド52a、52bによって、鋼帯13の上下振動が規制される。しかも、上下のスプレーノズル53による上面と下面との冷却水の圧力によって、鋼帯13のパスラインが一定となる。
【0087】
これら種々の条件から、板厚が1.2mmの薄物鋼帯13であっても、鋼帯13の先端から安定した通板が実現され、均一な強冷却が施される。鋼帯13の先端が冷却装置50Bから出てピンチロール対55に到達し、ここでピンチされると、これより上流側の鋼帯に張力が発生してパスラインはより安定する。
【0088】
なお、冷却装置50Bを抜け出たあとピンチロール対55付近での鋼帯13の温度は700℃であった。このピンチロール対55から鋼帯13の先端が巻き取り機4に巻き取られるまで下面側の搬送ロール11によって搬送され、冷却装置50B内を通板中の鋼帯13が振動したり、片寄ることがない。鋼帯13に対する冷却は安定して行われ、冷却装置50Bを出たところでの鋼帯温度のバラツキはない。
【0089】
鋼帯13先端が巻き取り機4に到達するタイミングをとって、ピンチロール対55のロール相互は離間し、鋼帯13を解放する。巻き取り機4の巻き取り作用にともなって鋼帯13に対して新たな張力が発生し、通板と冷却が継続して安定する。
以上を総括すると、所定の噴射条件で冷却水を噴射した状態で熱延鋼帯を搬送し、この熱延鋼帯の先端を冷却装置の入り側および/もしくは出側直後および/もしくは冷却途中の位置でピンチロール対がピンチし、鋼帯先端が下流側のピンチロール対あるいは巻き取り機4などの張力付与手段に到達するのと同時に、上流側のピンチロール対から順次、熱延鋼帯を解放することになる。
【0090】
このように、冷却装置50Bを備えたランナウトテーブル3を構成することにより、鋼帯13の先端から中央部と、それ以降および終端部に亘って同じ熱履歴を実現でき、製品であるコイル全体で材質のバラツキが小さく、強度、伸びが一様となる。
なお、鋼帯13の上下面を冷却するノズルとしてスプレーノズル53を用いたが、これに限定されるものではなく、柱状の円管ラミナー方式や噴流方式などであってもよい。そして、鋼帯13の上面と下面に作用する流体圧でセンタリング効果を得るための条件は、各冷却方式によって異なるので、その冷却方式に応じて決定すればよい。
【0091】
上述の第2の実施の形態ないし第4の実施の形態において、同伴ロール51と搬送ロール11との隔間を、鋼帯13の板厚+約5mmに設定したのは、以下の理由にもとづく。
すなわち、同伴ロール51と搬送ロール11の隔間を鋼帯13の板厚と同じか、それ以下にすると、同伴ロール51に負荷がかかってしまう。安定した通板を行うためには、同伴ロール51に対する詳細な回転数制御が必要となり、また同伴ロール51を支持している両軸受けの押付け力をバランスさせないと、鋼帯13がそれ以降で蛇行するおそれがある。
【0092】
したがって、同伴ロール51を鋼帯13に対するピンチロールとすることは、設備的にも機能的にもかなり複雑な機能が要求される。一方、鋼帯板厚+30mm以上に間隔を広げると、鋼帯13の先端が通過する際に上下の振動が激しくなって安定通板を損なう。
そこで、同伴ロール51と搬送ロール11の隔間は、鋼帯13の板厚を越えて板厚+30mm以下とする。望ましくは、鋼帯13の板厚+約5mmがよいとの結論が得られることになる。
【0093】
以上のごとき第2の発明における熱延鋼帯の冷却装置50,50A,50Bと冷却方法を採用することにより、圧延直後の鋼帯13を安定して急速冷却できる。特に、鋼帯13先端が巻き取り機4に巻き取られる前の張力がかからない状態でも、張力がかかる鋼帯13中央部と同じ冷却条件で冷却し、鋼帯13先端から上面と下面の冷却条件が全く同じとなる。
【0094】
曲りの発生や、冷却後の残留応力の発生を抑制して、長手方向と、幅方向および厚み方向に結晶粒径が揃うこととなる。材質が均一で製品の歩留まりが高く、品質が安定した熱延鋼帯13を提供できる。
冷却を施しても、鋼帯13が折り込んだり、またアコーディオン状になったりせず、上下の流体圧によって鋼帯のパスラインが一定となるので、疵発生の防止にもつながる。
【0095】
(比較例)
先に述べた第2〜第4の3つの実施の形態と同一の製造設備で、以下に説明する8つの比較例を実施した。
比較例1は、第2の実施の形態の同伴ロールと通板ガイドを設けず、これらに代って同じ位置にスプレーノズルを設け冷却水を噴射した状態で、板厚3mmの鋼帯を冷却装置へ送って鋼帯先端から冷却した場合である。
比較例2は、第2の実施の形態の同伴ロールは設けたが、通板ガイドは設けず、これに代って同じ位置にスプレーノズルを設け冷却水を噴射した状態で、板厚3mmの鋼帯を冷却装置へ送って鋼帯先端から冷却した場合である。
【0096】
比較例3は、第2の実施の形態と同様の装置構成をなすが、ここでは板厚1.6mmの熱延鋼帯を冷却装置へ送って鋼帯先端から冷却した場合である。
比較例4は、第3の実施の形態において、冷却装置の入り側に備えたストリップガイドが存在しない場合である。比較例5は、同じく第3の実施の形態において、入り側のピンチロール対が無い場合である。比較例6は、同じく第3の実施の形態において、出側のピンチロール対が無い場合である。
【0097】
比較例7は、第4の実施の形態において、圧延機から5mまでの範囲で同伴ロールが無い場合であり、比較例8は、同じく第4の実施の形態において、圧延機から5mの範囲で通板ガイドが無い場合である。
以上の結果を、表1にまとめて示す。
【0098】
【表1】


【0099】
比較例1では、最終仕上げ圧延機出側より冷却装置入り側までに亘って、鋼帯を上面側から拘束する手段が全く無いために、板厚が3mmで中程度の剛性を持った鋼帯であっても、通板中の鋼帯先端が搬送ロールとの衝突によって上下に大きく振動する。冷却装置における第1番目の冷却ノズルと搬送ロールとの間に鋼帯先端を噛み込めず、鋼帯は冷却ノズルに衝突し、ノズルの破損に至る。
なお、同伴ロールと鋼帯との隙間から漏出する冷却水は、同伴ロール後方直後において、たとえば水切りスプレーから噴射される高圧のスプレー水によって鋼帯の一側縁から吹き飛ばすのが好ましい。
【0100】
その結果、同伴ロール後方において鋼帯上に残存する冷却水はほとんど皆無となり、滞留水による過冷却がなくなって、鋼帯各部の冷却終了温度が一定となる。鋼帯の長手方向に亘って材質を詳細に調査したところ、全て均一な粒径の鋼帯が安定して得られることが分かった。
比較例2では、先端が第1の同伴ロールに噛み込めても、通板ガイドが無いために、同伴ロールと冷却ノズルとの間に鋼帯先端が突っ込む虞れがあり、安定した通板ができない。
【0101】
比較例3では、同伴ロールと通板ガイドが存在するので、鋼帯先端が第1の同伴ロールと搬送ロールとの間に入り込めば安定した通板と冷却がなされるが、第2の実施の形態と比較して板厚が薄いため剛性が小さく、鋼帯の振動が大きくて、先端が冷却装置に到達した時点でアコーディオン状の詰りが発生した。
比較例4では、比較例3の冷却装置の入出側に鋼帯をピンチするピンチロール対を設けたが、ストリップガイドが無いために鋼帯先端がピンチロール対の隙間に噛み込まれない場合があり、そのときは先端が冷却装置に到達した時点でアコーディオン状の詰りが発生した。
【0102】
比較例5では、比較例3の冷却装置の入り側にストリップガイドを設けたが、入り側にピンチロール対がないために、仕上げ圧延機から冷却装置までに先端がフリーな状態で搬送される。その結果、圧延機から冷却装置までの間に発生した鋼帯の弛みがアコーディオン状に成長して詰りが発生した。
比較例6は、冷却装置の入り側にストリップガイドと出側にピンチロール対を設けたが、入り側にピンチロール対が無いために、仕上げ圧延機から冷却装置までに先端がフリーな状態で搬送される。その結果、圧延機から冷却装置までの間に発生した鋼帯の弛みがアコーディオン状に成長して詰りが発生した。
【0103】
比較例7は、冷却装置の入り側にストリップガイドとピンチロール対を設けたが、出側にピンチロール対が無いので、仕上げ圧延機と冷却装置間、および冷却装置内において弛みが生じて助長し、ついにはアコーディオン状に成長して詰りが発生した。
この弛みは、ピンチロール対の回転数をリード率をもって設定することにより、ある程度は解消するが、どちらか1方のピンチロール対では取りきれない、あるいは取れるまでに時間がかかり、その間冷却が安定しない、振動する、もしくはガイドとの接触による疵付きが多発する等の問題がある。
比較例8は、第4の実施の形態で圧延機の後5mの部分に同伴ロールがない場合で、比較例9は、通板ガイドがない場合であるが、いずれも板厚1.2mmの鋼帯の先端が詰まって、安定通板ができなかった。
【0104】
以上、第1〜第4の実施形態として説明したように、第1の発明および第2の発明における熱延鋼板13の冷却装置5,50,50A,50Bと、その冷却方法のいずれかを用いて、熱延鋼板13を冷却する冷却工程を備え、熱延鋼板13の製造をなすことで、鋼帯上面13からの冷却水の排除を効率よくなして過冷却を防止でき、冷却中の曲がりや冷却後の残留応力の発生を少なくするばかりか、鋼帯13の長手方向、幅方向、厚み方向に結晶粒径がそろった均一な熱延鋼帯13の安定した製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】第1の発明における第1の実施の形態を示す、圧延設備の概略の構成図。
【図2】同実施の形態の、冷却装置の概略の構成図。
【図3】第2の発明における第2の実施の形態を示す、圧延設備および冷却装置の概略の構成図。
【図4】同発明における第3の実施の形態を示す、圧延設備および冷却装置の概略の構成図。
【図5】同発明における第4の実施の形態を示す、圧延設備および冷却装置の概略の構成図。
【符号の説明】
【0106】
2E…最終仕上げ圧延機、13…熱延鋼帯、11…搬送ロール(搬送手段)、12…下面冷却ボックス(下面冷却手段)、14…上面冷却ボックス(上面冷却手段)、16…水切りロール(水切り手段)、3…ランナウトテーブル、5…第1の冷却装置、6…第2の冷却装置、51…同伴ロール、52…通板ガイド(通板用ガイド体)、53…スプレーノズル(冷却ノズル)、55A、55B、55…ピンチロール対、56a、56b…ストリップガイド。




 

 


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