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容器用樹脂被覆金属板 - JFEスチール株式会社
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発明の名称 容器用樹脂被覆金属板
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30403(P2007−30403A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−219005(P2005−219005)
出願日 平成17年7月28日(2005.7.28)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 山中 洋一郎 / 岩佐 浩樹 / 安江 良彦 / 大島 安秀 / 久保 啓 / 北川 淳一
要約 課題
低脂肪・高蛋白な内容物についても優れた取り出し性を確保するとともに、容器加工に要求される各種特性を兼ね備えた容器用樹脂被覆金属板を提供する。

解決手段
本発明の容器用樹脂被覆金属板は、樹脂層を両面に有し、該金属板を容器成形した後に容器内面側になる樹脂層表面の、水との接触角が50度以下であることとする。この際に、容器成形後に容器内面側になる前記樹脂層はポリエステルを主成分とする樹脂層であることが好ましい。さらに、容器成形後に容器内面側になる前記樹脂層表面に親水基を有したり、親水性高分子で被覆されていたり、もしくは樹脂層が、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のうち、少なくとも一つを含むことが好ましい。
特許請求の範囲
【請求項1】
樹脂層を両面に有する容器用樹脂被覆金属板であって、該金属板を容器成形した後に容器内面側になる樹脂層表面の、水との接触角が50度以下であることを特徴とする内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。
【請求項2】
樹脂層を両面に有する容器用樹脂被覆金属板であって、該金属板を容器成形した後に容器内面側になる樹脂層表面の、レトルト殺菌処理後の、水との接触角が50度以下であることを特徴とする内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。
【請求項3】
容器成形後に容器内面側になる前記樹脂層が、ポリエステルを主成分とする樹脂層であることを特徴とする請求項1または2に記載の内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。
【請求項4】
容器成形後に容器内面側になる前記樹脂層表面に親水基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。
【請求項5】
容器成形後に容器内面側になる前記樹脂層が、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のうち、少なくとも一つを含むことを特徴する請求項1〜3のいずれかに記載の内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。
【請求項6】
容器成形後に容器内面側になる前記樹脂層の表面が親水性高分子で被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。
【請求項7】
容器成形後に容器内面側になる前記樹脂層が、複層構造の樹脂層であって、かつ、内容物と接する樹脂層表面の、水との接触角が50度以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、食品缶詰の缶胴及び蓋等に用いられる容器用樹脂被覆金属板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食缶に用いられる金属缶用素材であるティンフリースチール(TFS)およびアルミニウム等の金属板には、耐食性・耐久性・耐候性などの向上を目的として、塗装が施されていた。この塗装を施す技術は、焼き付け工程が複雑であるばかりでなく、多大な処理時間を必要とし、さらには多量の溶剤を排出するという問題を抱えている。
そこで、これらの問題を解決するため、塗装鋼板に替わり、熱可塑性樹脂フィルムを加熱した金属板に積層してなる容器用樹脂被覆金属板が開発され、現在、飲料缶用素材を中心として工業的に広く用いられている。
【0003】
しかしながら、前記樹脂被覆金属板を食品缶詰用途に使用すると、容器から内容物を取り出す際に、内容物が容器内面に強固に付着してしまい、内容物を取り出しにくいという問題があった。この問題は、消費者の購買意欲と密接に関係するため、消費者の購買意欲を確保する上で極めて重要な問題である。にもかかわらず、従来の容器用樹脂被覆金属板は、内容物の取り出し易さの改善に対する検討は全くなされていなかった。
【0004】
そこで、本発明者らは、内容物取り出し性を確保すべく鋭意検討を重ね、ポリエステル樹脂中に特定のワックス(カルナウバワックス)を添加し、樹脂表面に存在させることで、脂肪分を多く含んだ内容物(付着性の乏しい内容物:肉・卵・炭水化物の混合物など)については、良好な特性を確保することができるとし、特許文献1を出願した。
【特許文献1】特開2001−328204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている技術では、ランチョンミートやスパムなどの、水分含有量が多く(内容物の水分含有量が40質量%以上)、高タンパク・低脂肪な内容物については、その付着性の強さから良好な内容物取り出し性を確保することができなかった。蛋白質が多くの極性基を有するため、樹脂と容易に水素結合を生じてしまうためと考えられる。一方で、今後、健康ブームの高まりとも相俟って、低脂肪な食材に対する需要はさらに高まり、当該技術の重要性も増大するものと考えられる。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、低脂肪・高蛋白な内容物についても優れた取り出し性を確保するとともに、容器加工に要求される各種特性を兼ね備えた容器用樹脂被覆金属板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、容器用樹脂被覆金属板の、容器成形後の容器内面側に有する樹脂層表面に着目し、その表面を、水との接触角が50度以下となるように制御することで、優れた内容物取り出し性が得られることを見出した。
【0008】
その要旨は以下のとおりである。
[1]樹脂層を両面に有する容器用樹脂被覆金属板であって、該金属板を容器成形した後に容器内面側になる樹脂層表面の、水との接触角が50度以下であることを特徴とする内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。
[2]樹脂層を両面に有する容器用樹脂被覆金属板であって、該金属板を容器成形した後に容器内面側になる樹脂層表面の、レトルト殺菌処理後の、水との接触角が50度以下であることを特徴とする内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。
[3]前記[1]または[2]において、容器成形後に容器内面側になる前記樹脂層が、ポリエステルを主成分とする樹脂層であることを特徴とする内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。
[4]前記[1]〜[3]のいずれかにおいて、容器成形後に容器内面側になる前記樹脂層表面に親水基を有することを特徴とする内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。
[5]前記[1]〜[3]のいずれかにおいて、容器成形後に容器内面側になる前記樹脂層が、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のうち、少なくとも一つを含むことを特徴する内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。
[6]前記[1]〜[3]のいずれかにおいて、容器成形後に容器内面側になる前記樹脂層の表面が親水性高分子で被覆されていることを特徴とする内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかにおいて、容器成形後に容器内面側になる前記樹脂層が、複層構造の樹脂層であって、かつ、内容物と接する樹脂層表面の、水との接触角が50度以下であることを特徴とする内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、内容物取り出し性に優れる容器用樹脂被覆金属板が得られる。また、本発明の容器用樹脂被覆金属板は、ランチョンミートやスパムなどの、水分含有量が多く高タンパク・低脂肪な内容物に対しても好適な内容物取り出し性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の容器用樹脂被覆金属板について説明する。
本発明で用いられる金属板としては、缶用材料として広く使用されているアルミニウム板や軟鋼板等を用いることができ、特に下層が金属クロム、上層がクロム水酸化物からなる二層皮膜を形成させた表面処理鋼板(いわゆるTFS)等が最適である。
TFSの金属クロム層、クロム水酸化物層の付着量については、特に限定されないが、加工後密着性、耐食性の観点から、何れもCr換算で、金属クロム層は70〜200mg/m、クロム水酸化物層は10〜30mg/mの範囲とすることが望ましい。
【0011】
そして、本発明では上記金属板の両面に樹脂を被覆し樹脂被覆金属板とする。この時の被覆する樹脂についての詳細は後述する。
【0012】
さらに、樹脂被覆金属板を容器成形した後に容器内面側になる樹脂層表面の、水との接触角を50度以下とする。これは、本発明の特徴であり、本発明において最も重要な要件である。このように容器内面側になる樹脂層表面の水との接触角を規定することにより、ランチョンミートやスパムなどの内容物に対しても、優れた取り出し性を確保することが可能となる。なお、この現象の詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推定できる。
【0013】
樹脂層表面の水との接触角を一定値以下とすることで、樹脂層表面が親水性化し、内容物中に含まれる水分が樹脂層表面に吸着し、水和ゲル層が形成される。そしてこの水和ゲル層が、内容物由来のタンパク質や細胞の吸着を抑止するように働くため、樹脂層表面への内容物付着を抑制するものと考えられる。水和ゲル層の形成能は、樹脂層表面の親水化能と相関するため、水との接触角が低下するにつれ、取りだし性は良好傾向となる。
以上より、容器内面側になる樹脂層表面の、水との接触角を50度以下とし、より優れた内容物取り出し性を得るためには、水との接触角を40度以下、さらに好ましくは30度以下とする。一方、水との接触角が10度以下となると、素材表面での膨潤が激しくなり、変形が大きくなることが懸念される。よって、容器内面側になる樹脂層表面の、水との接触角は10度超えが好ましい。
【0014】
また、上記で規定する樹脂層表面の水との接触角は、以下の理由で、レトルト殺菌処理後も維持されていることが好ましい。内容物中のタンパク質は、レトルト殺菌処理過程で熱処理を受けることで、熱変性する。熱変性したタンパク質は、その高次構造が崩れるため、未変性状態では分子鎖の内部に存在していた親水基・疎水基が、その立体配置を変化させる。疎水基は、互いに疎水結合することで凝集・沈殿するように働き(疎水性の部分が水と接触することはエネルギー的に不利なので、タンパク質同士が凝集して疎水性の部分を水から遮断しようとする。すなわち変性タンパク質は凝集して沈殿する)、親水基はタンパク質の表面に多く分布することとなる。このため、熱変性後のタンパク質は、特にポリエステルを主成分とする樹脂表面に対し、より付着しやすい表面状態となる。よって、樹脂層表面は、レトルト殺菌処理後も水和ゲル層の形成能を維持する必要がある。このとき、樹脂層表面は水に溶け難い化学組成であることが望ましい。例えば、樹脂層表面にポリビニルアルコールなどの親水性樹脂層をそのまま配置した場合、樹脂層表面は高度に親水化するものの、樹脂自体が水(内容物由来)に溶解してしまうため、内容物中に移行して味(フレーバー)を損なわせたり、樹脂層の被覆性が不十分となり耐食性が劣化してしまう懸念がある。同様に、樹脂層表面の親水基も、樹脂層表面に固定化されて、脱離し難い状態であることが望ましい。
【0015】
容器内面側になる樹脂層表面の、水との接触角を50度以下にする技術としては、樹脂層表面に、−SOH、−SOM、−OSOM、−COOM、−COOH、−CO、−CN、−OH、−NHCONH基などの親水基を導入する技術が好適である。このための手段としては、(1)親水性ポリマー等のグラフト化処理・カップリング反応処理などによって、樹脂層表面を修飾する技術、(2)化学的処理によって、水酸基などの官能基を樹脂層表面に導入する技術、(3)プラズマ処理、紫外線照射処理によって、水酸基などの官能基を樹脂層表面に導入する技術、(4)樹脂層内へ、界面活性剤などの添加剤を導入する技術、(5)樹脂層表面を、親水性の高分子等で被覆する技術、などが挙げられる。
【0016】
(1)の技術に用いることのできる親水性ポリマーとしては、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリヒドロキシメチルメタクリレート、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース)、アミロース、アルギン酸など、あるいはこれらの共重合体および誘導体である。また、アルブミンなどの親水性の生体内物質を固定化してもよい。中でも、親水性ポリマーとして、ポリエチレンオキシドを用いることが望ましい。
【0017】
グラフト化処理の方式としては、気相光照射グラフト化処理、液相同時グラフト化処理、などを好適に用いることができる。また、カップリング反応を利用する技術としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリルパーオキシド溶液に浸漬させ、これらの層を形成させる処理を用いることができる。中でも,シラン系カップリング剤の使用が好ましく、ビニルトリクロルシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの使用により、表面の水との接触角50度以下を達成できる。
【0018】
(2)の技術としては、例えば、水酸化ナトリウム中に浸漬させる方法が挙げられる。ポリエステル樹脂表面の加水分解反応により、極性基を生成させることができる。しかし、水との接触角を50度以下とするためには長時間の浸漬が必要であり、樹脂表面が劣化してしまう可能性が高いので、注意が必要である。
【0019】
(3)の技術としては、例えば、電子密度が比較的低い(10-2〜10mmHg)低圧ガス下でおこるグロー放電プラズマ(低温プラズマ)が挙げられる。活性粒子のエネルギーが高く、寿命も長いことから、ポリエステル樹脂層の性質を損なわずに、表面とその近傍の深さ数1000Åの表面層のみを変化させることができる。水との接触角は、雰囲気のガス成分を変えることにより調整できる。酸素、窒素、ヘリウムプラズマ処理により、樹脂層表面の、水との接触角50度以下が達成できる。中でも、酸素プラズマ処理が好適であり、例えば、無線周波数電磁場によってエネルギーを与えられる空気または過酸素雰囲気で満たされた閉鎖室でプラズマ処理する技術を用いることができる。
【0020】
また、紫外線照射処理では、照射出力を適正化することにより、水との接触角を制御できる。例えば、出力170W(ランプ電流0.6A、電圧280V)の低圧水銀灯を光源として使用し、照射時間を制御することによって、水との接触角50度以下が達成できる。
【0021】
(4)の技術としては、親水基と疎水基をもつ界面活性剤を高分子材料に添加する処理が挙げられる。これが表面に拡散し、親水基を空気の方に向けて配列する。その結果、表面が親水化され、水との接触角が制御できる。界面活性剤としては、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のうち、少なくとも一つを含むことが望ましい。例えば、脂肪族カルボン酸化合物と脂肪族アルコール化合物とのエステル化合物や、ショ糖脂肪酸エステル系、グリセリン脂肪酸エステル系、ソルビタン脂肪酸エステル系、プロピレングリコール脂肪酸エステル系およびこれらのエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系を用いることができる。中でも、界面活性剤を構成する総炭素数が10〜120の脂肪族エステル化合物が、ポリエステルの相溶性の観点から好ましく使用できる。また、親水性樹脂を樹脂層中に少量添加する処理も好適である。ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)などを添加する技術が挙げられるが、水溶性であるため、樹脂層表面に固定化させる技術の併用が必須である。
【0022】
(5)の技術としては、高い親水性を有する高分子などを被覆する方法が挙げられる。高い親水性を有する高分子としては、カルボキシル基、水酸基などの親水基を有する高分子であれば特に限定されないが、ポリメタクリル酸、(メタ)メタクリル酸−アルキルメタアクリレート共重合体、ポリヒドロキシアルキルメタクリレート(例えばポリヒドロキシエチルメタクリレート)、ヒドロキシアルキルメタクリレート−アルキルメタクリレート共重合体、ポリオキシアルキレン基含有メタクリレート重合体またはこれを含む共重合体、ポリビニルピロリドン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、リン脂質・高分子複合体などが挙げられる。中でも、リン脂質共重合体を樹脂表面に修飾する技術が好適であり、例えば、2−メタクリロイルオキシエチルホスホルコリン(MPC)とメタクリル酸の共重合体を樹脂表面に修飾する技術、あるいはエラストマーやジエン系合成ゴムを用いてリン脂質をコーティングする技術が好ましい。
【0023】
また、無機高分子としては、ポリシロキサンなどを好適に使用することができる。樹脂表面にシロキサン結合からなる薄膜を形成させ、これが内容物中に含まれる水分と水和しシラノール基を生成することで、表面が親水化し水との接触角50度以下を達成することができる。
【0024】
上記(1)〜(5)の技術の中から、容器用樹脂被覆金属板に要求される各種特性および工業性(生産性・経済性)などを考慮して、最も妥当な技術を選択する。中でも(4)の技術は、例えば、ポリエステル樹脂中に特定の添加剤を微量に導入することで達成されるため、コストや生産性を阻害する可能性が小さく、また性能面においてもポリエステル樹脂とほぼ同等のレベルを確保することが容易であるため、好適である。
【0025】
次に、容器成形後に容器内面側となる樹脂層について説明する。本発明に於いて、容器成形後に容器内面側となる樹脂層としては、ポリエステルを主成分とする樹脂を使用することが望ましい。ポリエステルを主成分とする樹脂とは、構成単位の70モル%以上がジカルンボン酸とグリコール成分とからなるポリマーである。ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン酸ジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸を用いることができる。グリコール成分としては、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール等が挙げられるが、中でもエチレングリコールが好ましい。なお、これらのジカルボン酸成分、グリコール成分は2種以上を併用しても良い。また、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、顔料、帯電防止剤、結晶核剤等を配合できる。
【0026】
以上よりなるポリエステルは、引張強度、弾性率、衝撃強度等の機械特性に優れるとともに極性を有するため、これを容器成形後に容器内面側となる樹脂層の主成分とすることで樹脂層の密着性、成形性を容器加工に耐え得るレベルまで向上させるとともに容器加工後の耐衝撃性を付与させることが可能となる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、もしくは酸成分としてイソフタル酸を13モル%以下の比率で共重合した共重合ポリエチレンテレフタレートの適用が好ましい。
【0027】
ポリエステルを主成分とする樹脂層は、例えばダイレクトラミネート製法により形成された無配向層樹脂層であっても良いが、ニ軸延伸フィルムを金属板上に熱融着ラミネートして形成された樹脂層であれば、耐衝撃性・耐食性が向上するため好適である。
【0028】
また、樹脂層の構成としては、単層、複層の如何を問わない。ただし、少なくとも2層以上から構成される樹脂層の場合、金属板に接する樹脂層と、この層を除く他の各層との固有粘度差が0.01〜0.5であることが、優れた成形性、耐衝撃性を発現させる点からも望ましい。また、当然のことながら、複層構造とした場合は、内容物と接する樹脂層表面の、水との接触角を50度以下に制御する必要がある。
【0029】
ニ軸延伸フィルムをラミネートして形成された樹脂層であって、当該樹脂層が2層構造である場合、上層のポリエステル樹脂層の、厚み方向の平均複屈折率が、0.06以上0.15以下であれば、加工性・耐衝撃性が共に優れるため、更に好適である。一般に、二軸延伸法により製膜されたポリエステルフィルムにはフィルム表面と平行に配向した結晶(配向結晶)が存在し、その存在量はフィルムの複屈折率を指標として定量化できる。容器加工後の耐衝撃性は、ポリエステル樹脂層の配向結晶量が増すと共に良好となるため、0.06以上であることが望ましい。一方、上層ポリエステル樹脂層の厚み方向の平均複屈折率が0.15超となると、柔軟性に富む非晶領域が少なくなるため、加工性が不足し、容器成形の際の加工に耐えられず、樹脂層の一部が破断し割れを生じてしまう場合がある。よって、上層ポリエステル樹脂層の、厚み方向の平均複屈折率は0.06以上0.15以下の範囲が好ましい。
また、下層ポリエステル樹脂層の平均複屈折率は、0.06以下が好ましい。この理由は以下のとおりである。
【0030】
樹脂被覆金属板の製造は、樹脂を熱せられた金属板に接触させ圧着することで金属板界面の樹脂を溶融させ、金属板に濡れさせることで接着を行うのが通常である。従って、フィルムと金属板との密着性を確保するためには樹脂が溶融していることが必要であり、融着後の金属板と接する部分のフィルム複屈折率は、配向結晶が融解するため低下することとなる。本発明に規定するようにこの部分のフィルム複屈折率が0.06以下であれば、熱融着時の樹脂の溶融濡れが十分であったことを示すものであり、すなわち優れた密着性を確保することが可能となる。0.06超となると、密着性が低下し、食品缶詰に施される高温・長時間のレトルト殺菌処理後に、缶蓋との巻き締め部等で樹脂層が剥離するおそれがある。
【0031】
なお、ポリエステル樹脂の複屈折率は、以下の測定手法にて求められる。
偏光顕微鏡を用いてラミネート金属板の金属板を除去した後のフィルムの断面方向のレタデーションを測定し、樹脂フィルムの断面方向の複屈折率を求める。フィルムに入射した直線偏光は、二つの主屈折率方向の直線偏光に分解される。この時、高屈折率方向の光の振動が低屈折率方向よりも遅くなり、そのためフィルム層を抜けた時点で位相差を生じる。この位相差をレタデーションRと呼び、複屈折率△nとの関係は、式(1)で定義される。
△n=R/d…(1)
但し、d:フィルム層の厚み
次に、レタデーションの測定方法について説明する。単色光を偏光板を通過させることで、直線偏光とし、この光をサンプル(フィルム)に入射する。入射された光は上記のように、レタデーションを生じるため、フィルム層を透過後、楕円偏光となる。この楕円偏光はセナルモン型コンペンセーターを通過させることにより、最初の直線偏光の振動方向に対してθの角度をもった直線偏光となる。このθを偏光板を回転させて測定する。レタデーションRとθの関係は式(2)で定義される。
R=λ・θ/180 …(2)
但し、λ:単色光の波長
よって複屈折率△nは、式(1)、(2)から導き出される式(3)で定義される。
△n=(θ・λ/180)/d…(3)
また、樹脂層の膜厚は、特に限定されるものではないが、例えば2層構造のポリエステル樹脂層である場合、内容物と接する上層の樹脂層の厚みが0.5μm〜10μm、下層の樹脂層の厚みが4.5μm〜20μmであれば、各種特性(加工性・耐衝撃性・耐食性など)と製造コストのバランスがよく好適である。
【0032】
また、ポリエステル樹脂層の組成としては、上層が、ポリエチレンテレフタレート、もしくは酸成分としてイソフタル酸を6モル%以下の比率で共重合化した共重合ポリエチレンテレフタレートであり、下層が、酸成分としてイソフタル酸を10モル%以上22モル%以下の比率で共重合ポリエチレンテレフタレートであることが望ましい。
【0033】
上層の、イソフタル酸共重合比率が6モル%超の場合、樹脂層の融点が低下するため熱で溶けやすく、そのため金属板上に樹脂層を熱融着にて形成する際に本発明で規定する配向状態を実現することが困難となる。一方、下層のイソフタル酸共重合比率が10モル%未満では、樹脂の融点が高いため熱で溶け難くなる。金属板上への樹脂層形成の際に、前記上層の配向状態を本発明の規定範囲内にコントロールしようとすると、金属板上での溶融濡れが不十分となり密着性が劣化する懸念がある。また、イソフタル酸共重合比率が増すにつれ、樹脂コストも上昇するため、下層のイソフタル酸共重合比率は22モル%以下に抑えることが望ましい。
【0034】
また、本発明に用いるポリエステル樹脂の分子構造は、固体分解能NMR構造解析によって求められた1、4位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρが150msec以上となることが望ましい。緩和時間T1ρは、分子運動性を表わすものであり、緩和時間T1ρを増加するとフィルム内の非晶部拘束力が高まる。1,4位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρが増加することにより、1,4位のベンゼン環炭素部位の分子整列性を制御し、結晶構造にも似た安定構造を形成し、これによって、成形時における非晶部分の結晶化を抑制できるようになる。すなわち、非晶部の運動性が低下し、結晶化のための再配向挙動が抑制されるようになる。1,4位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρを150msec以上とすることで、上記の優れた効果を十分に発揮できるようになり、優れた成形性、耐衝撃性が得られるようになる。このような観点から、1,4位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρは、より好ましくは180msec以上、さらにより好ましくは200msec以上である。
【0035】
1,4位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρを150msec以上にする方法としては、フィルム製造時に縦延伸工程で高温予熱法、高温延伸法を組み合わせて採用することにより可能である。しかしこれに限定されるものでなく、例えば原料の固有粘度、触媒、ジエチレングリコール量や延伸条件、熱処理条件などの適正化によっても1,4位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρを150msec以上とすることは可能である。フィルム製造時の縦延伸の予熱温度としては、90℃以上が好ましく、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは110℃以上である。また延伸温度は105℃以上が好ましく、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは115℃以上である。
【0036】
また、固体高分解能NMRによる構造解析における1,4位のベンゼン環炭素の緩和時間T1ρが150msec以上である二軸延伸ポリエステルフィルムをラミネ−トした容器成形後に容器内面側になる樹脂層は、複屈折率が0.02以下である領域が、金属板との接触界面から樹脂厚み方向に5μm未満であることが好ましい。
【0037】
次に、容器成形後に容器外面側となる樹脂層について説明する。本発明に於いて、容器成形後に容器外面側となる樹脂層としては、特に限定しない。例えば、ポリエステルを主成分とする樹脂層等を用いることができる。
【0038】
また、容器成形後に容器内面側になる樹脂層および/または容器成形後に容器外面側になる樹脂層に着色顔料を添加することで、下地の金属板を隠蔽し、樹脂独自の多様な色調を付与できる。また、隠蔽性を完全とせず下地の金属光沢を利用した光輝色の付与も可能であり、優れた意匠性を得ることができる。更に樹脂表面への印刷と異なり、樹脂内に直接顔料を添加して着色しているため、容器成形工程においても色調が脱落する問題もなく、良好な外観を保持できる。また、一般的に、容器成形後には塗装印刷が施されるが、着色樹脂層を形成することで工程の一部を省略することができ、コストの低減、有機溶剤、二酸化炭素の発生を抑制することができる。
【0039】
添加する顔料としては、容器成形後に優れた意匠性を発揮できることが必要であり、係る観点からは、二酸化チタンなどの無機系顔料やキノフタロン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系などの有機顔料を使用できる。容器内面側となる樹脂層に添加する顔料としては、特に二酸化チタンの使用が望ましい。容器開封後、内容物の色が映えるとともに、清潔感を付与できるためである。顔料を添加する樹脂層としては、上層でないことが望ましい。二酸化チタンを含有させることで、樹脂層が若干脆くなるため、上層に適用した場合、容器成形時に金型と擦れる際に樹脂が削られる可能性があるためである。
【0040】
二酸化チタンの添加量は、樹脂層に対して、質量比で5〜30%であることが望ましい。5%未満であると、白色度が十分でなく、良好な意匠性が確保できない。一方、30%超の含有量となると、白色度が飽和するとともに経済的にも不利であるため、30%未満とすることが望ましい。より好ましくは、10〜20%の範囲である。なお、顔料の添加量は、顔料を添加した樹脂層に対する割合である。
【0041】
一方、容器外面側となる樹脂層に添加する顔料としては、キノフタロン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系の少なくとも1種類以上の有機顔料であることが望ましい。これらの顔料は、透明性に優れながら着色力が強く、展延性に富むため、製缶後も光輝色のある外観が得られるためである。上記有機顔料を添加する樹脂層としては、最上層でないことが望ましい。これらの有機顔料は、レトルト殺菌処理時などの熱処理を経ても、樹脂層表面にブリードしにくいという特徴を有するが、顔料を添加した樹脂層の上に0.5μm以上の無添加層(クリア層)を設けることで、ブリードアウトを確実に抑制することが可能となる。
【0042】
キノフタロン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系の少なくとも1種類以上の有機顔料の添加量は、樹脂層に対して、質量比で0.1〜5.0%とすることが望ましい。添加量が0.1%未満であると発色が乏しく、不適である。また、5.0%以上となると、透明性が乏しくなり光輝性に欠けた色調となってしまうためである。
【0043】
次に製造方法について説明する。
【0044】
まず、金属板に被覆する複層を含む樹脂層(フィルム)の製造方法について説明する。樹脂層(フィルム)の製造方法については特に限定はしない。しかし、例えば、各ポリエステル樹脂を必要に応じて乾燥した後、単独及び/または各々を公知の溶融積層押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加等の方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却固化し未延伸シートを得る。
この未延伸シートをフィルムの長手方向及び幅方向に延伸することにより二軸延伸フィルムを得る。延伸倍率は目的とするフィルムの配向度、強度、弾性率等に応じて任意に設定することができるが、好ましくはフィルムの品質の点でテンター方式によるものが好ましく、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する逐次二軸延伸方式、長手方向、幅方向をほぼ同じに延伸していく同時二軸延伸方式が望ましい。
【0045】
次に、前記樹脂層(フィルム)を金属板にラミネートして樹脂被覆金属板を製造する方法について述べる。本発明では、例えば、金属板をフィルムの融点を超える温度で加熱し、その両面に樹脂フィルムを圧着ロール(以後ラミネートロールと称す)を用いて接触させ熱融着させる方法を用いことができる。
【0046】
ラミネート条件については、本発明に規定する樹脂層が得られるように適宜設定される。例えば、ラミネート開始時の温度を220℃以上とし、ラミネート時にフィルムの受ける温度履歴として、フィルムの融点以上の温度で接している時間を1〜20msecの範囲とすることが好適である。このようなラミネート条件を達成するためには、高速でのラミネートに加え接着中の冷却も必要である。ラミネート時の加圧は特に規定するものではないが、面圧として9.8〜294N(1〜30kgf/cm)が好ましい。この値が低すぎると、樹脂界面の到達する温度が融点以上であっても時間が短時間であるため溶融が不十分であり、十分な密着性を得難い。また、加圧が大きいとラミネート金属板の性能上は不都合がないものの、ラミネートロールにかかる力が大きく設備的な強度が必要となり装置の大型化を招くため不経済である。
【0047】
また、本発明では、樹脂層をフィルムに成形して金属板に被覆するのを原則とするが、樹脂層の規定が本発明の範囲内であれば、樹脂層をフィルムに成形せずに、樹脂層を溶融し、金属板表面に被覆する溶融押出しラミネーションを適用することも可能である。
【実施例1】
【0048】
以下、本発明の実施例について説明する。
冷間圧延、焼鈍、調質圧延を施した厚さ0.18mm・幅977mmからなる鋼板を、脱脂、酸洗後、クロムめっきを行い、クロムめっき鋼板(TFS)を製造した。クロムめっきは、CrO、F、SO2−を含むクロムめっき浴でクロムめっき、中間リンス後、CrO、Fを含む化成処理液で電解した。その際、電解条件(電流密度・電気量等)を調整して金属クロム付着量とクロム水酸化物付着量を、Cr換算でそれぞれ120mg/m、15mg/mに調整した。
【0049】
次いで、図1に示す金属帯のラミネート装置を用い、前記で得たクロムめっき鋼板1を金属帯加熱装置2で加熱し、ラミネートロール3で前記クロムめっき鋼帯1の一方の面に、容器成形後に容器内面側になる樹脂樹脂層として、表1に示す各種樹脂フィルム4aを、他方の面に、容器成形後に容器外面側となる樹脂層としてイソインドリノン系有機顔料を0.6質量%添加したポリエステル樹脂4bをラミネート(熱融着)した。その後、金属帯冷却装置5にて水冷を行い、樹脂被覆金属板を製造した。
【0050】
ラミネートロール3は内部水冷式とし、ラミネート中に冷却水を強制循環し、フィルム接着中の冷却を行った。樹脂フィルムを金属板にラミネートする際に、金属板に接する界面のフィルム温度がフィルムの融点以上になる時間を1〜20msecの範囲内にした。
【0051】
ここで、各種フィルムの製造方法について説明する。発明例1〜3で使用した樹脂層は、ポリエステル樹脂の2層構造であって、上層にのみ界面活性剤を添加している。
【0052】
発明例1は界面活性剤としてグリセリン脂肪酸エステルモノオレートを使用し、上層の樹脂層に対して0.8質量%添加したもの、発明例2はオレイン酸アミドを上層の樹脂層に対し、0.5質量%添加したもの、発明例3は、ソルビタン脂肪酸エステルを上層の樹脂層に対し、1.0%添加したもの、である。これらは、ポリエステル樹脂中への添加量を調整することで水との接触角を調整可能である。
【0053】
発明例4〜6で使用した樹脂層は、表面を低温プラズマ処理している。プラズ処理装置内にヘリウムガスを大気充填した後、電極に高周波電力を印加することでプラズマを照射し、樹脂層表面に親水基を生成させた。発明例4は、処理装置中の真空度を0.1torrとして処理時間2秒のもの、発明例5は、処理装置の真空度を1torrとして処理時間10秒のもの、発明例6は、処理装置の真空度を0.01torrとして処理時間1秒のもの、である。
【0054】
発明例7で使用した樹脂層は、表面を紫外線処理している。出力170W(ランプ電流0.6A、電圧280V)の低圧水銀灯を用い、照射時間20秒としたものである。
【0055】
発明例8〜10は、ポリエステル樹脂層表面に親水性高分子を被覆したものである。発明例8は、ポリ−ヒドロキシエチルメタクリレートを樹脂層表面に、厚みが0.5μmとなるように被覆したものであり、発明例9は、リン脂質極性基を有する2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを、厚みが0.1μmとなるように樹脂層表面に被覆したものである。発明例10は、アルコキシシランからのゾル-ゲル法にて樹脂層表面をポリシロキサン膜で、厚みが0.1μmとなるように被覆したものである。レトルト殺菌処理によってシラノール基を生成し、樹脂層表面が親水化する。
【0056】
発明例11は、樹脂層表面の水酸基にポリエチレングリコール(PEG)の末端カルボン酸をエステル結合によりグラフトしたものである。PEGの分子鎖長は、100nmで、厚みは100Åとしている。
【0057】
発明例12は液相光同時グラフト処理によって、樹脂層表面にアクリルアミドをグラフト化したものである。200Wの中圧水銀燈を用いて、照射・反応時間を10秒としたものである。
【0058】
一方、比較例1はポリエステル樹脂層の表面を、放電量を15(W/m2・min)としてコロナ処理したもの、比較例2はポリプロピレン樹脂層の表面を、放電量を19(W/m2・min)としてコロナ処理したものである。
【0059】
【表1】


【0060】
以上より、得られた樹脂被覆金属板及び金属板上に有する樹脂層に対して以下の特性を測定、評価した。測定、評価方法を下記に記す。
【0061】
(1)水との接触角
公知の方法により、測定液として水を使用し、接触角計(協和界面科学(株)製CA−D型)を用いて、レトルト殺菌処理(130℃、90分間)前後の、水の樹脂層表面に対する静的接触角を求めた。
【0062】
(2)内容物取り出し性
・取り出し易さ評価
絞り成形機を用いて、ラミネート金属板を、絞り工程で、ブランク径:100mm、絞り比(成形前径/成形後径):1.88でカップ成形した。続いて、コンビーフ用の塩漬け肉をカップ内に充填し、蓋を巻き締めた後、レトルト殺菌処理(130℃、90分間)を行なった。その後、蓋を取り外し、カップを逆さまにして内容物を取り出した時に、カップ内側に残存する内容物の程度を観察することにより、内容物の取り出し易さの程度を評価した。
(評点について)
○:カップをさかさまにしただけで(手で振ることなく)内容物が取り出せ、取り出し後のカップ内面を肉眼で観察した際、付着物が殆ど確認できない状態になるもの。
△:カップをさかさまにしただけではカップ内側に内容物が残存するが、カップを上下に振動させる(手でカップを振るなどの動作をする)と、内容物が取り出せる。取り出し後のカップ内面を肉眼で観察した際、付着物が殆ど確認できない状態になるもの。
×:カップを上下に振動させる(手でカップを振るなどの動作をする)だけでは、内容物が取り出し難い。上下に振動させるスピードを極端に増すか、もしくはスプーンなどの器具を用いて内容物を強制的に取り出した後、カップ内面を肉眼で観察した際、付着物が明らかに確認できる状態になるもの
・取り出し後の樹脂表面状態の観察
上記にて、内容物を取り出した後の樹脂表面を観察し、樹脂の溶解による損傷の有無を目視観察および光学顕微鏡観察にて評価した。
(評点について)
○:樹脂の溶解がなく、表面の損傷が認められない状態
△:樹脂がやや溶解し、表面の損傷が若干認められる状態
×:樹脂が溶解し、表面の損傷が認められる状態
(3)成形性
被覆金属板にワックス塗布後、直径179mmの円板を打ち抜き、絞り比1.80で浅絞り缶を得た。次いで、この絞り缶に対し、絞り比2.20で再絞り加工を行った。この後、常法に従いドーミング成形を行った後、トリミングし、次いでネックイン−フランジ加工を施し深絞り缶を成形した。このようにして得た深絞り缶のネックイン部に着目し、フィルムの損傷程度を目視観察した。
(評点について)
○:成形後フィルムに損傷が認められない状態
△:形可能であるが、部分的にフィルム損傷が認められる状態
×:缶が破胴し、成形不可能
得られた結果を表2に示す。
【0063】
【表2】


【0064】
表2より、本発明範囲の発明例は、内容物取り出し性に優れ、樹脂の損傷がなく、さらに成形性も良好である。これに対し、本発明の範囲を外れる比較例は、いずれかの特性が劣っている。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の樹脂被覆金属板は、優れた内容物取り出し性が要求される容器用途、包装用途として好適である。そして、絞り加工等を行う容器用素材、特に食缶容器用素材として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】金属板のラミネート装置の要部を示す図である。(実施例1)
【符号の説明】
【0067】
1 金属板(クロムめっき鋼板)
2 金属帯加熱装置
3 ラミネートロール
4a、4b 樹脂フィルム
5 金属帯冷却装置




 

 


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