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発明の名称 U型鋼矢板のローラー矯正方法および装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30001(P2007−30001A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−218163(P2005−218163)
出願日 平成17年7月28日(2005.7.28)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 駒城 倫哉 / 三浦 啓徳 / 帆足 幸宏 / 榊田 明 / 山本 晃輝
要約 課題
本発明は、フランジ部と継手部との間に腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正方法および装置を提供する。

解決手段
ウェブ部と腕部に選択的にそれぞれ少なくとも一回の曲げ変形を独立して付与する、好ましくは、少なくとも連続して2回、腕部またはウェブ部の何れかに付与し、更に好ましくは、曲げ変形を付与する際、更に、左右の継手部をそれぞれ外側から拘束する。隣接する少なくとも2本の矯正ロールがU型鋼矢板のウェブ部または腕部を選択的に圧下し、矯正ロールは複数本のスリーブと前記スリーブが嵌合されるアーバーを有し、前記スリーブはU型鋼矢板の断面の一部の形状が刻設されたロール面と、前記断面の一部に圧下力を負荷することが可能なロール径を有し、前記スリーブは前記圧延面が前記U型鋼矢板の断面に沿うように、前記アーバーに嵌合されている、好ましくは矯正ロールの下ロールが、U型鋼矢板の幅方向の変動を拘束し、更に好ましくは、アーバーに回転可能に取り付けられている。
特許請求の範囲
【請求項1】
ウェブ部,フランジ部,継手部、および継手部とフランジ部との間に腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正方法において,
ウェブ部と腕部に選択的にそれぞれ少なくとも一回の曲げ変形を独立して付与することを特徴とする腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正方法。
【請求項2】
曲げ変形が少なくとも連続して2回、腕部またはウェブ部の何れかに付与されることを特徴とする請求項1記載の腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正方法。
【請求項3】
曲げ変形を付与する際、更に,左右の継手部をそれぞれ外側から拘束することを特徴とする請求項1または2記載の腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正方法。
【請求項4】
ウェブ部または腕部を選択的に圧下する矯正ロールを備えたことを特徴とする腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正装置。
【請求項5】
隣接する少なくとも2本の矯正ロールがウェブ部または腕部を選択的に圧下することを特徴とする請求項4記載の腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正装置。
【請求項6】
矯正ロールの下ロールが、更に、U型鋼矢板の幅方向の変動を拘束することを特徴とする請求項4または5に記載の腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正装置。
【請求項7】
矯正ロールが、複数本のスリーブと前記スリーブが嵌合されるアーバーを有し、前記スリーブはU型鋼矢板の断面の一部の形状が刻設されたロール面と、前記断面の一部に圧下力を負荷することが可能なロール径を有し、前記スリーブは前記圧延面が前記U型鋼矢板の断面に沿うように、前記アーバーに嵌合されていることを特徴とする請求項4乃至6の何れか一つに記載の腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正装置。
【請求項8】
矯正ロールを構成するスリーブが、アーバーに回転可能に取り付けられていることを特徴とする請求項4乃至7の何れか一つに記載の腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、フランジ部と継手部との間に腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正方法および装置に関するものである.
【背景技術】
【0002】
U型鋼矢板は、フランジとウェブの板厚差による圧延終了温度の相違から圧延・冷却後、長手方向に変形を生じる。図10はU型鋼矢板100の上反りと呼ばれる変形を示す図で、ウェブ部101側に反った状態を示し、図11は下反りと呼ばれる変形で、継手を支持する腕部102側に反った状態を示す。
【0003】
ローラー矯正方法では,このような反りが発生したU型鋼矢板のウェブの上下をロールで拘束し、上下で交互となるように当該U型鋼矢板が部分的に塑性変形する程度の力を与えて曲げ戻しを行い、反りを取り除いている。
【0004】
図12はローラ矯正方法におけるロールの一般的な配置を示し、U型鋼矢板100の通材方向に、ウェブの上側に上側ロール200a〜200dとウェブの下側に下側ロール300a〜300eとが上下に千鳥状に配置されている。
【0005】
更に、これら上下のロールは、上側ロール200a〜200dの各ロールの外周面の最下端が、下側ロール300a〜300eの各ロールの外周面の最上端より下になるように配置され、U型鋼矢板100は上下方向に凹凸を有する通材路(パスライン)を通過する。
【0006】
その結果、U型鋼矢板は上側ロール200a〜200dと下側ロール300a〜300eの各ロール間で3点支持され、上下方向から交互に曲げ・曲げ戻しが付与されて反りを取り除くことが可能となる。
【0007】
一方、鋼矢板は、土木工事の大型化や新工法の開発により、種々の断面形状を有するものが開発され、U型鋼矢板ではフランジ部の先端に直接継手部を設けた形式とフランジ部と継手部の間に腕部を設けた形式に大別される。
【0008】
特許文献1は前者のU型鋼矢板のローラー矯正機に関し、鋼矢板グリップ部の波打ちの発生を防止するため、U型鋼矢板のウェブの一部と、ウェブからフランジにかけての肩部の一部を上下方向に拘束するロール群と、U型鋼矢板の幅方向の変形を防止するため、左右の継手部のそれぞれに外側から当接するグリップサイドロールを配置することを特徴とする。
【0009】
特許文献2はフランジ部と継手部の間に腕部を設けたU型鋼矢板のローラー矯正方法に関し、上側ロールと下側ロールにより3点支持した際の腕部34のフランジ部32に対する取り付け角度の変化を防止することを目的とする。
【0010】
図13は矯正ロールの断面形状を示し,ウェブ部101,フランジ部102に更に腕部103を拘束するように,ウェブ部101,フランジ部102および腕部103を一体として拘束する断面形状を有する上ロール105、下ロール106を用い、更に、腕部103を拘束するため、継手部104を外側から拘束する外側ローラ107を配置することを特徴とする。
【0011】
上述したロール配置とすることにより、U型鋼矢板に繰り返し曲げ変形を付与した場合において、腕部103の変形が防止される。
【特許文献1】特開昭55−70418号公報
【特許文献2】特許第2874611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
フランジ部と継手部との間に腕部を有するU型鋼矢板に対する矯正方法として特許文献1記載のローラー矯正機を用いた場合は、腕部が拘束されないため、フランジ部に対する腕部の取り付け角度が変化し、断面形状が損なわれる。
【0013】
また、特許文献2記載の矯正方法は,ウェブ部,フランジ部、および腕部に対応する部分とを一体とした上下ロールを用いているため,変形状態に応じた適切な圧下量をウェブ部と腕部で個別に設定することができず,ウェブ部や腕部を選択的に圧下して曲げ変形を付与することができない。
【0014】
実操業において、フランジ部と継手部との間に腕部を有するU型鋼矢板の場合、ウェブ部の反りと左右の腕部の反りは,しばしば、その方向や大きさが異なり,ウェブ部の反りを矯正できる圧下条件に設定しても,腕部の反りを矯正できなかったり,逆に腕部の反りを矯正できる圧下条件に設定しても,ウェブ部の反りが矯正できない場合が生じていた。
【0015】
また,ウェブを圧下するロール面と腕部を圧下するロール面とでは,ロール径が異なるにも関わらず,同じ回転速度となるため,ロールとU型鋼矢板との間に周速差が生じ,製品(U型鋼矢板)に擦り疵が生じることも指摘されている。
【0016】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり,フランジ部と継手部の間に腕部を設けたU型鋼矢板のウェブ部,腕部の反りをともに適切に矯正できる,U型鋼矢板のローラー矯正方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、ローラー矯正機の上ロール、下ロールとしてそのロール面にU型鋼矢板の横断面の形状を刻設した、図5に示す一体型上ロール13、一体型下ロール14を用い矯正実験を行い,矯正中のU型鋼矢板の変形状態および反り矯正効果を調査した。
【0018】
本調査ではローラー矯正機の複数の上ロール(下ロール)の全てを図5に示す、一体型上ロール13(一体型下ロール14)とした。
【0019】
矯正中のU型鋼矢板の変形状況を図6,図7に模式的に示す。U型鋼矢板1において、一体型上ロール13で圧下が加えられた箇所は,全幅が縮む方向に変形するために,腕部には圧下力が負荷されない状態となり所望する塑性ひずみを付与することができない(図6)。
【0020】
一方,一体型下ロール14で圧下が加えられた箇所は,全幅が広がる方向に変形するために,やはり腕部には圧下力が負荷されない状態となり,所望の塑性ひずみを付与することができなかった(図7)。
【0021】
このため,ウェブ部の反り矯正は可能なものの,腕部の反りを完全には矯正できず,部分的に腕部の反りが残る結果となった。
【0022】
次に,腕部近傍のみを圧下する、ロール幅をフランジ下部から腕部を挟み、継手部の一部までが圧延できる幅とし、ロール面にこれらの形状を刻設したロールを上ロール(下ロール)として用い、腕部を集中的に圧下する矯正実験を行い、U型鋼矢板の反り矯正効果を調査した。
【0023】
その結果,腕部の反り矯正は可能なものの、ウェブ部に圧下力を負荷できないため、ウェブ部の反りが解消されなかった。
【0024】
これらの結果から、ロール矯正機における上下の矯正ロールを、一部はウェブ部のみを選択的に圧下するロールとし,他は腕部のみを選択的に圧下するロールとした場合、ウェブ部、腕部を共に矯正可能であることを見出した。
【0025】
また、a.隣接する少なくとも2本の矯正ロールの圧下位置を、鋼矢板のウェブ部または腕部とし、ウェブ部または腕部のいずれかを連続して圧下するようにした場合、これらの矯正ロールがウェブ部と腕部を交互に圧下する場合と比較してより有効な曲げ・曲げ戻し変形を加えることができる。この場合、矯正ロールは上下の順番を問わず、通材方向に隣接してさえすれば良い。
【0026】
例えば、通材方向に上ロール(下ロール)、下ロール(上ロール)の順にウェブ部(腕部)を圧下した場合は、上ロール(下ロール)でウェブ部(腕部)、下ロール(上ロール)で腕部(ウェブ部)を圧下した場合より、矯正効果が大きい。
【0027】
b.更に、継手部の外面側を拘束することにより,U型鋼矢板の幅方向の変動が抑制され、矯正効果が高められる。
ことも新たに見出した。
【0028】
本発明は得られた知見を基に更に検討を加えてなされたもので、すなわち、本発明は、
1.ウェブ部,フランジ部,継手部、および継手部とフランジ部との間に腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正方法において,
ウェブ部と腕部に選択的にそれぞれ少なくとも一回の曲げ変形を独立して付与することを特徴とする腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正方法。
【0029】
2.曲げ変形が少なくとも連続して2回、腕部またはウェブ部の何れかに付与されることを特徴とする1記載の腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正方法。
【0030】
3.曲げ変形を付与する際、更に,左右の継手部をそれぞれ外側から拘束することを特徴とする1または2記載の腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正方法。
【0031】
4.ウェブ部または腕部を選択的に圧下する矯正ロールを備えたことを特徴とする腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正装置。
【0032】
5.隣接する少なくとも2本の矯正ロールがウェブ部または腕部を選択的に圧下することを特徴とする4記載の腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正装置。
【0033】
6.矯正ロールの下ロールが、更に、U型鋼矢板の幅方向の変動を拘束することを特徴とする4または5に記載の腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正装置。
【0034】
7.矯正ロールが、複数本のスリーブと前記スリーブが嵌合されるアーバーを有し、前記スリーブはU型鋼矢板の断面の一部の形状が刻設されたロール面と、前記断面の一部に圧下力を負荷することが可能なロール径を有し、前記スリーブは前記圧延面が前記U型鋼矢板の断面に沿うように、前記アーバーに嵌合されていることを特徴とする4乃至6の何れか一つに記載の腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正装置。
【0035】
8.矯正ロールを構成するスリーブが、アーバーに回転可能に取り付けられていることを特徴とする4乃至7の何れか一つに記載の腕部を有するU型鋼矢板のローラー矯正装置。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、圧延・冷却後、ウェブ部と腕部で反りの状態が異なる場合であっても、各部を矯正することが可能で、また、ローラー矯正による製品(U型鋼矢板)表面の擦り疵発生も防止でき産業上極めて有用である。
【0037】
すなわち、
1.上下のロールで腕部を選択的に圧下して腕部の曲げ変形を付与する工程と,上下のロールでウェブ部を選択的に圧下してウェブ部の曲げ変形を付与する工程とを,それぞれ少なくとも一回ずつ行うことで,ウェブ部の反りと腕部の反りをそれぞれ任意に修正できる.
2.ウェブ部または腕部の圧下の際に,U型鋼矢板の継手部の外面を拘束しているので,U型鋼矢板の全幅方向の広がり変形を防止しつつ,より大きな矯正効果を付与することができる.
3.ウェブを圧下するスリーブと腕部を圧下するスリーブとに所定の径差を設けた状態とするので,ウェブ部を選択的に圧下するロールと腕部を選択的に圧下するロールを自由に選択でき,実際の製品(U型鋼矢板)の全高さや全幅の変動にあわせたロール径差の変更を容易に行うことができる。
【0038】
4.スリーブをアーバーに対して、回転自由に取り付けるので、ウェブ部を圧下するスリーブと腕部を圧下するスリーブを1本のアーバーに組み込んだ場合でも,ウェブ部を圧下するスリーブと腕部を圧下するスリーブとの周速差を解消でき,製品(U型鋼矢板)表面の擦り疵を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
本発明は、U型鋼矢板のローラー矯正において、ウェブ部または腕部を選択的に圧下し、各部に独立して、少なくとも2回の曲げ変形を付与することを特徴とする。
【0040】
本発明において独立とは、ひとつの矯正ロールでウェブ部と腕部を同時に圧下せず、時期的に相違する機会を意味する。
【0041】
選択的とは、U型鋼矢板の断面形状から特定部位を集中的に圧下することを指し、ウェブ部または腕部を選択的に圧下するとは、ウェブ部または腕部のみを集中的に圧下することを意味する。
【0042】
また、ウェブ部または腕部を圧下するとは、ウェブ部の場合は、ウェブ部のみ、またはウェブ部とフランジ部の一部でウエブに隣接する個所を含んで圧下することを指し、腕部の場合は、腕部のみ、または腕部と継手部の一部、フランジの一部で腕部に隣接する個所を含んで圧下することを指す。
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【0043】
図1は本発明に係るロール矯正法の一実施例を説明する模式図で、図において1は腕部を有するU型鋼矢板,2a(2b、2c、2d)は上ロール、3a(3b,3c、3d)は下ロールを示し、上ロールと下ロールは、上下で千鳥状となるように配置され、それぞれがU型鋼矢板1と接する部分において圧下力を付与できるように調整されている。上ロールと下ロールの総称を矯正ロールとする。
【0044】
U型鋼矢板1の通材方向に逐次配置される、上ロール2a、下ロール3b、上ロール2bは腕部を圧下し、下ロール3c、上ロール2c、下ロール3d、上ロール2dはウェブ部を圧下する。下ロール3aと3eはU型鋼矢板1を搬送するための駆動ロールで、腕部とウェブ部を圧下する。
【0045】
上図で、U型鋼矢板1は、腕部、ウェブ部の順に、各部を連続的に複数回圧下されるが、本発明は、少なくとも1回、腕部またはウェブ部に独立して曲げ変形を付与することを含めば良く、ローラ矯正における腕部またはウェブ部を矯正する順序や曲げ変形を付与する回数の上限は特に規定しない。
【0046】
例えば、図9に示すように下ロール3jでウェブ部を圧下し、上ロール2iで腕部を圧下し、下ロール3kでウェブ部、上ロール2jで腕部を圧下する。
但し、腕部またはウェブ部への圧下を、隣接する矯正ロールで少なくとも2回、連続して行うと、ウェブ部に対するフランジ部の角度が変化する、断面内変形(図6、図7に例示)の発生が抑制され、矯正に必要な曲げ変形をより有効に付与することが可能となり、好ましい。
【0047】
図8は隣接する上下の矯正ロールで腕部またはウェブ部を圧下する場合で(a)はウェブ部を圧下する場合、(b)は腕部を圧下する場合を示す。
【0048】
図8(a)では隣接する上ロール2e,下ロール3gでウェブ部を連続的に圧下し、図8(b)では隣接する上ロール2g,下ロール3iで腕部を連続的に圧下する。
【0049】
図8(a)の場合、U型鋼矢板は、下ロール3f、上ロール2e及び下ロール3gの3本の矯正ロール間で,ウェブ部に選択的に上反り方向の曲げ変形(下方向の圧下)が加えられた後,上ロール2e、下ロール3g及び上ロール2fの3本の矯正ロール間で,ウェブ部に選択的に下反り方向の曲げ戻し変形(上方向の圧下)が加えられる。図8(b)の場合は、同様に腕部が圧下される。
【0050】
尚、本発明は、ロール矯正に複数回の曲げ変形において、ウェブ部と腕部に独立してそれぞれ少なくとも一回の曲げ変形が付与されればよく、ウェブ部と腕部を同時に圧下する曲げ変形が含まれることを排除するものではない。
【0051】
また、腕部またはウェブ部を圧下する際、U型鋼矢板の幅方向の寸法が変動しないように、継手部をその外側の端部側から拘束すると曲げ変形が有効に付与されて更に、好ましい。
【0052】
本発明に係るローラー矯正法に好適なローラー矯正装置について説明する。ローラー矯正装置は通材方向に,上ロールと下ロールとが上下方向で千鳥状となるようにそれぞれ複数本を配置する。
【0053】
上側ロールのロール中心部の高さは全て同一とし,下側ロールのロール中心部の高さは個別に調整可能で、ウェブ部または腕部に付与する曲げ変形量:塑性歪量を調整する。
【0054】
上述したように、効率的に曲げ・曲げ戻し変形を加えるためには、ウェブ部ないし腕部を少なくとも2回、連続して圧下することが好ましく、この場合、ウェブ部または腕部を圧下する矯正ロールを、例えばウェブ部を圧下する上ロール、ウェブ部を圧下する下ロールのように隣接させて配置する。
【0055】
但し、矯正ロールの一部にウェブ部と腕部を同時に圧下するものを用いても本発明の作用効果は損なわれない。
【0056】
矯正ロールは、U型鋼矢板の断面形状において、ウェブ部または腕部を選択的に圧下できるように、アーバーに複数本のスリーブを嵌合して構成されるものが好ましい。
スリーブのロール面(圧延面)にはU型鋼矢板の断面の一部の形状である、ウェブ部または腕部の形状を刻設する。
【0057】
また、スリーブのロール径(外径)は、ウェブ部または腕部に圧下力を負荷することが可能な寸法とする。スリーブはそのロール面が、U型鋼矢板の断面形状に沿うように、アーバーに嵌合させる。
【0058】
図2はウェブ部を圧下する矯正ロールの一例で、上下ロールを組合わせた場合の断面形状を模式的に示し、(a)は基本構造、(b)はU型鋼矢板の全幅の寸法変動を防止するため、拘束部を設けたものを示す。
【0059】
図2(a)に示す基本構造の場合、上アーバー4にはU型鋼矢板1のウェブ部を圧下する上ロール用スリーブ5が,下アーバー6にはウェブ部を圧下する下ロール用スリーブ7が嵌合されている。
【0060】
図2(b)は,下アーバー6に、ウェブ部を圧下する下ロール用スリーブ7とその外側に腕部をサポートし,U型鋼矢板1の全幅方向の拡がり変形を抑制するサポートスリーブ8を嵌合させたものを示す。
【0061】
サポートスリーブ8は腕部と継手部が変形が所定の変形量を超えた場合に、腕部と継手部に当接し、下方から支持する外径寸法とし、また全幅方向の拡がり変形を防止するため継手部の最外部に、外側から当接する形状を有し、曲げ矯正効果を高める。
【0062】
図3は腕部を圧下する矯正ロールで、上下ロールを組合わせた場合の断面形状を模式的に示し、(a)は基本構造、(b)はウェブ部の変形を防止するため、ウェブ部支持部を設けたもの、(c)はU型鋼矢板の全幅の寸法変動を防止するための拘束部を設けたものを示す。
【0063】
図3(a)に示す基本構造の場合、上アーバー4aにはU型鋼矢板1の腕部を圧下するスリーブ9が,下アーバー6aには腕部を圧下するスリーブ10が嵌合されている。
【0064】
図3(b)は、図3(a)に示した基本構造の矯正ロールにおいて、下アーバー6aに、更にウェブ部およびフランジ部を下方から支持するサポートスリーブ11を嵌合させた場合を示す。
【0065】
サポートスリーブ11は、U型鋼矢板1におけるウェブ部およびフランジ部の変形量を所定の範囲内とするため,これらの変形量が所定量を超えた場合のみ、ウェブ部およびフランジ部に当接し、下方から支持する寸法形状とする。
【0066】
図3(c)は、図3(a)に示した基本構造の矯正ロールにおいて、腕部を圧下するスリーブ10とその外側に継手部を下方から支持し,U型鋼矢板1の全幅方向の拡がり変形を抑制する幅拘束サポートスリーブ12を下アーバ6aに嵌合させたものを示す。
【0067】
サポートスリーブ12は腕部と継手部の変形が所定の変形量を超えた場合に、腕部と継手部に当接し、下方から支持する外径寸法とし、また全幅方向の拡がり変形を防止するため継手部の最外部に、外側から当接する形状を有し、曲げ矯正効果を高める。
【0068】
矯正ロールの一部にウェブ部と腕部を同時に圧下するロールを用いる場合は、例えば、図4に示す断面形状のものを用いる。上アーバー4bにはU型鋼矢板1のウェブ部を圧下するスリーブ5aと腕部を圧下する上ロール用スリーブ9aが,下アーバー6bにはウェブ部を圧下するスリーブ7aと腕部を圧下する下ロール用スリーブ10aが嵌合されている。
【0069】
スリーブは、ベアリング等を用いる回転軸受けを介してアーバーに嵌合させると、回転速度を各ロールで個別に設定できないローラー矯正装置を用い、ウェブ部と腕部を選択的に圧下するロールを配置した場合において、ウェブ部圧下用スリーブと腕部圧下用スリーブとの周速差を解消でき,製品(U型鋼矢板)表面に生じる擦り疵を防止することができて好ましい。
【0070】
また、一つの矯正ロールでウェブ部と腕部の両方を同時に圧下する場合においても有効である。
【実施例】
【0071】
図14に示すU型鋼矢板を用いてローラー矯正を行った。U型鋼矢板100は製品長さ15mで、ウェブ部101(板厚t:10.8mm)、フランジ部102(板厚t:8.0mm)およびフランジ部102と継手部104との間に腕部103(板厚t:10.0mm)を有し、左右の最大幅寸法を全幅W:935mm,上下の高さ寸法を全高さh:231mmとする。
【0072】
矯正前の反り形状は、ウェブ部が1mにつき+5〜+10mm程度の上反り形状(+は上反り,−は下反り)で、腕部は長手方向の先端・後端部分について、ウェブ部の反りに対して更に1mにつき最大±5mm程度の反り違いが生じていた。
【0073】
ローラー矯正装置は、図1に示したロール配置で、上ロールが4本,下ロールが5本のロール配置で、全ての矯正ロールをアーバーにスリーブを嵌め込む構造とした。
【0074】
表1に矯正前後の製品長さ1mについての反り量(mm)を示す。+が上反り、−が下反りを示す。
【0075】
本発明例1では,全ての矯正ロール(上下ロール)に、ウェブ圧下用スリーブと腕部圧下用スリーブを組込んだ。上ロール2−1、2−2および下ロール3−2はウェブ圧下用スリーブをサポートスリーブとして、ロール面とウェブの下面間で10mmの空隙が得られる直径のものを用い、腕部のみを選択的に圧下する。
【0076】
また、上ロール2−3、2−4、下ロール3−3、3−4は、腕部圧下用スリーブをサポートスリーブとして、ロール面と腕部の下面間で10mmの空隙が得られる外径のものを用い、ウェブ部のみを選択的に圧下する。
【0077】
下ロール3−1、3−5は、そのスリーブ形状(ロール面)が製品の基準形状に一致し、ウェブ部と腕部を同時に圧下する一体型ロールとした。
【0078】
本発明例2では、下ロール3−3、3−4を図2(b)の下ロールに示す、ウェブ部を選択的に圧下するスリーブと腕部をサポートし、U型鋼矢板の全幅の拡がりを抑制するサポートスリーブを組み込んだ矯正ロールとした。
【0079】
下ロール3−bは図3(c)の下ロールに示す、腕部を圧下し、且つU型鋼矢板の全幅の拡がりを抑制するスリーブを組み込んだものを用いた。その他の矯正ロールのロール形状は本発明例1と同様とした。
【0080】
本発明例1、2の矯正ロールにおいて、上ロールは全て、ウェブ部圧下用スリーブと上アーバー間に、下ロールは全て、腕圧下用下スリーブと下アーバー間にベアリングを嵌め込んだ。
【0081】
比較例では,全ての矯正(上下)ロールを,そのロール形状が製品の基準形状に一致し、ウェブ部と腕部を同時に圧下するスリーブを回転軸受けを介することなく組み込み、ウェブ部圧下用スリーブと腕部圧下用スリーブが同一速度で回転する構造とした。
【0082】
本発明例1、2および比較例では製品10本をローラー矯正し、矯正前後の反り形状を調査した。表1に製品10本中の最大値,最小値,平均値,ばらつき(標準偏差)1σを示す。
【0083】
本発明例1、2では,ウェブ部および腕部とも反り量が±2mm/1m以内で、製品10本間の反り量のばらつきも低減させることが可能であった。
【0084】
特に,本発明例2では,下ロール3−2、3−3、3−4に製品の外面を拘束するスリーブを加えたので,ウェブ部および腕部とも反り量を±1mm/1m以内と非常に小さくすることができた。
【0085】
一方、比較例では,ウェブの反り量は±2mm/1m以内に低減できたが,ウェブ部の反りと腕部の反りとを同時に矯正することが困難で,腕部の反り量が最大+4mm/1m,最小(下反りの最大)-3mm/1m,ばらつき1σ≒2mmと大きかった。
【0086】
また,本発明例1,2では製品表面が美麗であったのに対し,比較例ではロールと材料の周速差により擦り疵が生じており,疵手入れが必要であった。
【0087】
【表1】


【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施例を示す図。
【図2】本発明の一実施例を示す図で、(a)はウェブ部用上下ロール、(b)は(a)に腕部サポート、幅拘束用スリーブを加えたものを示す図。
【図3】本発明の一実施例を示す図で、(a)は腕部用上下ロール、(b)は(a)にウェブ部サポートを加えたもの、(c)は(a)に幅拘束用スリーブを加えたものを示す図。
【図4】本発明の一実施例を示す図。
【図5】従来例(一体型ロールのロール形状を示す図)。
【図6】U型鋼矢板の圧延中の変形を示す図(上ロールの場合)。
【図7】U型鋼矢板の圧延中の変形を示す図(下ロールの場合)。
【図8】本発明例(矯正ロールの配置を示す図)で(a)はウェブ部を圧延する場合、(b)は腕部を圧延する場合を示す図。
【図9】本発明例(矯正ロールの配置を示す図)。
【図10】上反りを説明する図。
【図11】下反りを説明する図。
【図12】従来例(ロール配置を示す図)。
【図13】従来例(矯正ロールのロール形状を示す図)。
【図14】U型鋼矢板の形状を説明する図。
【符号の説明】
【0089】
1 U型鋼矢板
2a、200a 上ロール
2b,200b 同上
2c,200c 同上
2d,200d 同上
2e 同上
2f 同上
2g 同上
2h 同上
2i 同上
2j 同上
3a,300a 下ロール
3b,300b 同上
3c,300c 同上
3d,300d 同上
3e,300e 同上
3f 同上
3g 同上
3h 同上
3i 同上
3j 同上
3k 同上
4、4a 上アーバー
5 上ロール用スリーブ(ウェブ部圧下用)
6,6a 下アーバー
7 下ロール用スリーブ(ウェブ部圧下用)
8 サポートスリーブ
9 上ロール用スリーブ(腕部圧下用)
10 下ロール用スリーブ(腕部圧下用)
11 サポートスリーブ
12 幅拘束サポートスリーブ
13 一体型上ロール
14 一体型下ロール
100 U型鋼矢板(従来例)
101 ウェブ部(従来例)
102 フランジ部(従来例)
103 腕部(従来例)
104 継手部(従来例)
105 上ロール(従来例)
106 下ロール(従来例)
107 外側ロール(従来例)




 

 


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