米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 加工処理操作 -> JFEスチール株式会社

発明の名称 溶融金属保持容器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−7667(P2007−7667A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188085(P2005−188085)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
発明者 加藤 誠 / 加藤 久樹 / 奥田 治志
要約 課題
水平断面の形状が楕円状の溶融金属保持容器において、全ての煉瓦に「落ち」を設けることができ、且つ少ない種類の煉瓦で施工することのできる溶融金属保持容器を提供する。

解決手段
溶融金属保持容器1は、水平断面の鉄皮2の形状が非円形である、長径D1と短径D2とを有する溶融金属保持容器であって、溶融金属保持容器の側壁の鉄皮形状は半径の異なる2つの円弧の組み合わせにより構成される。この場合、全ての煉瓦に「落ち」を設けることができ、且つ、側壁の鉄皮形状を形成する円弧の半径の異なる範囲毎に、それぞれの範囲を1種類の形状の煉瓦で施工することが可能となる。
特許請求の範囲
【請求項1】
水平断面の鉄皮形状が非円形である、長径と短径とを有する溶融金属保持容器であって、溶融金属保持容器の側壁の鉄皮形状は半径の異なる2つの円弧の組み合わせで構成されることを特徴とする、溶融金属保持容器。
【請求項2】
前記溶融金属保持容器の底部鉄皮の形状は、球面を形成する中心点を、半径を一定として、溶融金属保持容器の平面形状の中心点から長径方向の左右に所定の位置まで移動させながら球面を描かせたときに形成される擬似球面で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の溶融金属保持容器。
【請求項3】
前記側壁の鉄皮形状を形成する円弧の半径の異なる範囲毎に煉瓦形状を区分し、円弧の半径に応じて、それぞれの範囲を1種類の形状の煉瓦で施工することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の溶融金属保持容器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐火物で内張りされ、その内部に溶融金属を保持する取鍋型の溶融金属保持容器に関し、詳しくは、水平断面の形状が非円形つまり楕円状の溶融金属保持容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶銑或いは溶鋼などの溶融金属を保持して搬送する溶融金属保持容器は、鋼製の鉄皮に耐火物の内張りが施された構造であり、その水平断面の形状(平面形状)は、一般に、容器内に収容した溶融金属の重量によって発生する鉄皮の変形が均一であることや、耐火物の施工が容易であることなどを考慮して、円形をしている場合が多い。
【0003】
しかし、周囲の設備との干渉などのために高さが限られ、また、クレーンなどで搬送する必要性から全体の径を拡大できない条件下で、保持容器の内容積を増加させるような場合には、径を一方向のみに拡大した楕円状の保持容器が用いられることもある。また、保持容器の平面形状を楕円形とすることで、機械式攪拌装置で攪拌する際に形成される溶融金属浴面の上昇を抑制することができるとの報告もある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
楕円状の平面形状をした保持容器の鉄皮で代表的なものは、半円にストレート部を組み合わせた形状と、2つの焦点を持つ所謂楕円形とが挙げられる(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、従来、内張り耐火物の施工と鉄皮形状とを関連付けて検討されたことはない。
【0005】
即ち、楕円状の平面形状で最も一般的な、半円にストレート部を組み合わせた形状では、内張り煉瓦の脱落が起こりやすい。図10に、半円にストレート部を組み合わせた平面形状を有する従来の取鍋の鉄皮形状の概略図を示す。図10(A)は平面図、図10(B)は側面断面図であり、図中において2は鉄皮側壁、3は鉄皮底部である。通常、溶融金属用の内張り煉瓦は、鉄皮と接触する側の幅の方が溶融金属と接触する側の幅に比べて大きくなっており、煉瓦の損耗が進んだ場合にも、この幅の差(以下、「落ち」と記す)によって、煉瓦同士がせりあい、煉瓦の抜けが防止されている。平面形状が円形の場合には、鉄皮と接触する側の円周長さよりも、溶融金属と接触する側の円周長さが短くなるため、全ての煉瓦に「落ち」を設けることができる。
【0006】
しかし、半円にストレート部を組み合わせた平面形状の取鍋では、ストレート部に施工する煉瓦としては、「落ち」のない形状の煉瓦が必要であり、煉瓦の損耗が進んだ場合、その部分の早期脱落が発生しやすくなる。更に、取鍋の底部分が曲面形状である場合、半円にストレート形状を組み合わせた鉄皮形状では、底部の煉瓦としても、ストレート形状の煉瓦が必要である。底部では、溶融金属を保持している間、煉瓦に浮力が加わるため、煉瓦の早期脱落に関してより影響を受けやすい。
【0007】
一方、2つの焦点を有する楕円形では、円形の場合と同様に、全ての煉瓦に「落ち」を設けることが可能であるが、鉄皮の曲率が連続的に変わるため、煉瓦の形状も曲率に応じて変更する必要があり、煉瓦の種類が膨大なものとなり、施工性や在庫管理の面から問題が多い。また、楕円形の鉄皮形状で、少ない種類の煉瓦形状で施工を行った場合には、煉瓦と煉瓦の境界(「目地」という)での調整が不可欠であり、目地が不均一になり、煉瓦が緩みやすく、早期脱落が発生しやすくなる。更に、容器の底部分が曲面形状である場合、底部の煉瓦形状も膨大な種類となる。
【特許文献1】特開2000−256728号公報
【特許文献2】特開昭63−130256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、水平断面の形状が楕円状の溶融金属保持容器において、全ての煉瓦に「落ち」を設けることができ、且つ少ない種類の煉瓦で施工することのできる溶融金属保持容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶融金属保持容器は、水平断面の鉄皮形状が非円形である、長径と短径とを有する溶融金属保持容器であって、溶融金属保持容器の側壁の鉄皮形状は半径の異なる2つの円弧の組み合わせで構成されることを特徴とするものである。
【0010】
第2の発明に係る溶融金属保持容器は、第1の発明において、前記溶融金属保持容器の底部鉄皮の形状は、球面を形成する中心点を、半径を一定として、溶融金属保持容器の平面形状の中心点から長径方向の左右に所定の位置まで移動させながら球面を描かせたときに形成される擬似球面で構成されることを特徴とするものである。
【0011】
第3の発明に係る溶融金属保持容器は、第1または第2の発明において、前記側壁の鉄皮形状を形成する円弧の半径の異なる範囲毎に煉瓦形状を区分し、円弧の半径に応じて、それぞれの範囲を1種類の形状の煉瓦で施工することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、平面形状が楕円状の溶融金属保持容器の鉄皮側壁を、半径の異なる2つの円弧の組み合わせで構成するので、半径の異なる範囲毎に、その半径に合わせた2つの形状の煉瓦だけで内張りすることが可能であり、しかも、全ての煉瓦に「落ち」を設けることができ、目地の調整も不要のため、煉瓦の早期脱落を防止することができる。また、溶融金属保持容器の底部の形状を、同一半径で、中心位置を変化させながら球面を描かせた擬似球面とした場合には、底部にもストレート部は設置されず、底部に施工する全ての煉瓦に「落ち」を設けることができ、且つ、煉瓦形状数を最小に抑えることが可能となる。つまり、本発明によれば、平面形状が楕円状の溶融金属保持容器の形状を、内張り煉瓦の構成を考慮した設計としているので、使用中の煉瓦の早期脱落を防止し、コストの低減が可能であるとともに、煉瓦の形状数を最小化でき、煉瓦の施工及び在庫管理での問題を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1及び図2は、本発明の実施の形態を示す図であって、図1は、本発明に係る溶融金属保持容器の鉄皮形状の1例を示す平面断面図、図2は、図1に示す溶融金属保持容器の鉄皮形状の側面断面図である。
【0014】
本発明に係る水平断面の鉄皮形状が非円形である溶融金属保持容器1は、図1に示すように、その鉄皮側壁2が半径Aと半径Bの2種類の円弧を組み合わせた曲面で構成されている。具体的には、直交する長径軸と短径軸との交点、つまり溶融金属保持容器1の中心点よりも短径軸上に変位した点OB1を中心として半径Bの円弧を描き、同様に溶融金属保持容器1の中心点よりも短径軸上に、点OB1の反対側に等距離だけ変位した点OB2を中心として半径Bの円弧を描く。更に、溶融金属保持容器1の中心点よりも長径軸上に変位した点OA1及び点OA2を中心として半径Bの円弧に接続する半径Aで円弧を描く。このようにして形成される曲面で、本発明に係る溶融金属保持容器1の鉄皮側壁2は構成されている。また、この例では、鉄皮側壁2は、図2に示すように、上下方向でストレート状になっており、鉄皮底部3は下方に向かって凸形状になっている。
【0015】
図3に、溶融金属保持容器1の側壁部の煉瓦施工例の平面図を示す。図3に示すように、鉄皮側壁2が2種類の円弧で形成されているので、内張り煉瓦4として、半径Aの範囲では形状aの煉瓦、半径Bの範囲では形状bの煉瓦という2種類の形状の煉瓦を使用するだけで、目地の調整なしに施工することが可能となり、しかも、形状aの煉瓦及び形状bの煉瓦ともに「落ち」を有しており、使用中の煉瓦の早期脱落を防止することができる。
【0016】
尚、長径D1 及び短径D2 と半径A及び半径Bの比率には特に規定はないが、構造的に煉瓦を安定させるには、半径Aは長径D1 の1/4以上(半径A≧長径D1 /4)、半径Bは長径D1 の1/2以上(半径B≧長径D1 /2)であることが好ましい。
【0017】
図4に、本発明に係る溶融金属保持容器1の鉄皮底部3の形状を示す。図4(A)は、短径軸線での切断面を表し、図4(B)は長径軸線での切断面を表している。図4に示す点O0 は、直交する長径軸と短径軸との交点(溶融金属保持容器1の中心点)に垂直な線、つまり溶融金属保持容器1の軸心線上に存在する1つの点である。鉄皮側壁が円形であれば、鉄皮底部の形状を、点O0を中心とする球面で構成することができるが、本発明に係る溶融金属保持容器1は鉄皮側壁2が非円形であるので、点O0 を中心とする球では鉄皮底部3の形状を構成することができない。そこで、本発明では、図4(B)に示すように、半径Cの球面を描く中心点O0を、長径軸線上で、図1に示す点OA1に垂直な線(「点OA1軸」と記す)との交点O01から、点OA2に垂直な線(「点OA2軸」と記す)との交点O02までの範囲を移動させ、このときに描かれる球面の最外殻で形成される擬似球面で鉄皮底部3の形状を決定する。図4(B)に示すように短径軸に平行な方向から見ると、交点O01から交点O02までに相当する範囲は直線状に見えるが、この範囲も、図4(A)に示すように長径軸に平行な方向からみると球形状であり、このようにして鉄皮底部3の形状を決めることで、全ての鉄皮底部3を、半径をCとした、下方に凸の擬似球面にすることができる。尚、鉄皮側壁2と鉄皮底部3との境界は半径を変え、半径Cよりも小さい半径Dとしている。
【0018】
図5及び図6に、このようにして鉄皮底部3の形状を決定した溶融金属保持容器1の底部の煉瓦施工の1例を示す。図5は側面断面図、図6は平面図であり、図5(A)は短径軸線での切断面を表し、図5(B)は長径軸線での切断面を表している。
【0019】
図6に示すように、内張り煉瓦4の施工方法は、上面から見て、内張り煉瓦4を円周状に配置した構造としている。この例では、断面形状として、鉄皮底部3のほぼ全域を半径Cの曲面で設計し、また同時に、鉄皮側壁2の形状を半径A及び半径Bの2種類の曲面を組み合わせた形状としているため、底部の施工でも、内張り煉瓦4の1つのリング当り、2形状の内張り煉瓦のみで目地の調整なしに施工が可能であり、且つ全ての内張り煉瓦4に「落ち」を設けることができ、内張り煉瓦4の早期脱落の防止が可能である。尚、図6では、9つのリングで内張り煉瓦4を施工しているが、溶融金属保持容器1の大きさや使用する内張り煉瓦4の大きさに応じてリング数は適宜変更する。
【0020】
上記説明の溶融金属保持容器1は、鉄皮底部3が下方に凸の擬似球面であったが、本発明においては、鉄皮底部3を、図7に示すように平面としてもよい。但し、鉄皮底部3を平面とした場合には、内張り煉瓦4の浮上に関しては、鉄皮底部3が下方に凸の擬似球面の場合に比べて影響を受けやすくなるので、その点は考慮する必要がある。尚、図7は、本発明に係る溶融金属保持容器1の他の形状を示す図である。
【0021】
このように、本発明に係る溶融金属保持容器1は、その鉄皮側壁2を、半径の異なる2つの円弧の組み合わせで構成するので、半径の異なる範囲毎に、その半径に合わせた2つの形状の内張り煉瓦4だけで内張りすることが可能であり、しかも、全ての内張り煉瓦4に「落ち」を設けることができ、目地の調整も不要のため、内張り煉瓦4の早期脱落を防止することができる。
【実施例1】
【0022】
以下に本発明の実施例を説明する。
【0023】
楕円状の溶銑保持容器の鉄皮形状について、本発明を適用した。図8に、本発明を適用した溶銑保持容器の平面図を示し、図9に、本発明を適用した溶銑保持容器の底部の断面図を示す。図9(A)は短径軸線での切断面を表し、図9(B)は長径軸線での切断面を表している。
【0024】
鉄皮側壁は、半径2000mmと半径2800mmの円弧を組み合わせた形状とし、長径は4500mm、短径は4100mmである。内張り煉瓦は、煉瓦間の目地を均一にするため、半径2000mmの範囲は、内面133mm、鉄皮側147mmの形状とし、半径2800mmの範囲は、内面142mm、鉄皮側152mmの形状とした。鉄皮底部の形状は、半径を3100mmとして、球面を形成する中心点を、前述したように、溶融金属保持容器の平面形状の中心点から長径方向の左右に所定の位置まで移動させたときに形成される擬似球面で構成した。また、底部の内張り煉瓦の施工方法は、上面から見て、内張り煉瓦を円周状に配置した構造とし、内張り煉瓦の1リング当り、2形状の煉瓦で施工した。
【0025】
また、効果の確認のため、図10に示すように、平面形状が、半円にストレート部を設けた形状で、鉄皮底部にもストレート部を組み合わせた従来の溶銑保持容器との比較を行った。尚、図10は、従来の溶銑保持容器の鉄皮形状の概略図で、図10(A)は平面図、図10(B)は側面断面図である。
【0026】
この2つの溶銑保持容器を使用し、耐用回数の確認を行った結果、従来形状の溶銑保持容器では、側壁のストレート形状の煉瓦が213回の使用で脱落し、修理入りとなった。修理時に確認したところ、底部のストレート形状部分では、内張り煉瓦の鉄皮側に溶銑が浸入しており、内張り煉瓦が若干浮上していたと推定された。一方、本発明を適用した溶銑保持容器は、287回使用した時点で、煉瓦の損耗が進み、厚みが薄くなった部位で脱落が発生し、修理入りとなった。修理時の確認では、底部の内張り煉瓦の裏への地金浸入は観察されなかった。
【0027】
このように、本発明を適用することで、溶銑保持容器の耐用回数が向上し、製造コストの大幅な削減を達成することができた。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る溶融金属保持容器の鉄皮形状の1例を示す平面断面図である。
【図2】図1に示す溶融金属保持容器の鉄皮形状の側面断面図である。
【図3】本発明に係る溶融金属保持容器の側壁部の煉瓦施工例の平面図である。
【図4】本発明に係る溶融金属保持容器の鉄皮底部の形状を示す図で、(A)は、短径軸線での切断面を表し、(B)は長径軸線での切断面を表している。
【図5】本発明に係る溶融金属保持容器の底部の煉瓦施工の例を示す側面断面図で、(A)は短径軸線での切断面を表し、(B)は長径軸線での切断面を表している。
【図6】本発明に係る溶融金属保持容器の底部の煉瓦施工の例を示す平面図である。
【図7】本発明に係る溶融金属保持容器の他の形状を示す側面図である。
【図8】実施例で使用した溶銑保持容器の平面図である。
【図9】実施例で使用した溶銑保持容器の底部の断面図で、(A)は短径軸線での切断面を表し、(B)は長径軸線での切断面を表している。
【図10】従来の溶銑保持容器の鉄皮形状の概略図で、(A)は平面図、(B)は側面断面図である。
【符号の説明】
【0029】
1 溶融金属保持容器
2 鉄皮側壁
3 鉄皮底部
4 内張り煉瓦




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013