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発明の名称 サーメット製インサート及び切削工具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−136656(P2007−136656A)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
出願番号 特願2006−163622(P2006−163622)
出願日 平成18年6月13日(2006.6.13)
代理人 【識別番号】100082500
【弁理士】
【氏名又は名称】足立 勉
発明者 新藤 知昭 / 小村 篤史 / 高島 啓彰 / 谷内 俊之 / 福村 昌史 / 高橋 慧
要約 課題
耐欠損性及び耐摩耗性に優れたサーメット製インサート及び切削工具を提供すること。

解決手段
硬質相及び結合相からなる組織を有し、焼結体組成として、TiとNb及び/又はTaとWとに関し、Tiを炭窒化物換算した値とNb及び/又はTaを炭化物換算した値とWを炭化物換算した値との合計で、組織全体に対して70〜95重量%含み、Wを炭化物換算した値で、15〜35重量%含み、Co及び/又はNiを含む。且つ、硬質相として、(1)〜(3)のうち、1種又は2種以上を備え、(1)芯部が炭窒化チタン相、周辺部が(Ti,W,Ta/Nb)CN相を含む有芯構造の第1硬質相、(2)芯部及び周辺部の両方が(Ti,W,Ta/Nb)CN相を含む有芯構造の第2硬質相、(3)炭窒化チタン相からなる単相構造の第3硬質相、更に、炭窒化チタン相内に、W富裕相が偏在する。
特許請求の範囲
【請求項1】
硬質相及び結合相からなる組織を有し、
焼結体組成として、Tiと、Nb及び/又はTaと、Wとに関し、前記Tiを炭窒化物換算した値と、前記Nb及び/又はTaを炭化物換算した値と、前記Wを炭化物換算した値との合計で、前記組織全体に対して、70〜95重量%含むとともに(そのうち、前記Wは炭化物換算した値で、組織全体に対して、15〜35重量%)、
Co及び/又はNiを含むサーメット製インサートであって、
前記硬質相として、下記(1)〜(3)のうち、1種又は2種以上を備え(ただし、下記(2)単独は除く)、
(1)芯部が炭窒化チタン相、周辺部がTi及びWと、Ta及び/又はNbとの複合炭窒化物[以下、(Ti,W,Ta/Nb)CNで示す]相を含む有芯構造の第1硬質相、
(2)芯部および周辺部の両方が(Ti,W,Ta/Nb)CN相を含む有芯構造の第2硬質相、
(3)炭窒化チタン相からなる単相構造の第3硬質相、
更に、前記炭窒化チタン相内に、周囲よりもWを多く含むW富裕相が偏在することを特徴とするサーメット製インサート。
【請求項2】
前記サーメット製インサートの表面及び断面のうち少なくとも一方の組織において、前記炭窒化チタン相内に、前記W富裕相が線状及び網目状のうち少なくとも1種の状態で偏在することを特徴とする前記請求項1に記載のサーメット製インサート。
【請求項3】
前記炭窒化チタン相内に、前記W富裕相が層状、円柱状、及び角柱状のうち少なくとも1種の状態で偏在することを特徴とする前記請求項1又は2に記載のサーメット製インサート。
【請求項4】
更に、前記硬質相及び/又は結合相に、Moを含むことを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載のサーメット製インサート。
【請求項5】
更に、前記結合相に、Wを前記結合相全体に対して40〜60重量%含むことを特徴とする前記請求項1〜4のいずれかに記載のサーメット製インサート。
【請求項6】
ホルダに、前記請求項1〜5のいずれかに記載のサーメット製インサートを備えたことを特徴とする切削工具。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーメット製インサート及び切削工具に関し、詳しくは、耐摩耗性や耐欠損性に優れたサーメット製インサート及びこのサーメット製インサートを備えた切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鋼などの切削のために、硬質相(硬質粒子)と硬質相間に存在する結合相とからなる組織を有するサーメット製インサートが用いられており、このサーメット製インサートの性能を向上するために、各種の技術が提案されている。
【0003】
例えば下記特許文献1には、内部に金属相を独立して含有する粒子を、硬質相全体の10体積%以上とすることにより、耐欠損性を向上させた高靱性サーメット合金が提案されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、切削工具の内部に、周辺部に比べて芯部の方がTi、Wの含有率が高い濃度分布を有する粒子を分散させることによって、耐欠損性を向上させたサーメット製切削工具が提案されている。
【特許文献1】特許第2775646号公報
【特許文献2】特開平9−1405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の技術では、耐欠損性をある程度改善できるものの、粒子内の金属相の耐熱性が低いため、硬質相硬度が低下し、耐摩耗性が低下するという問題があった。
【0006】
また、前記特許文献2の技術では、結合相と硬質相との間の密着強度は高いが、同様に硬質相硬度が低下し、耐摩耗性が低下するという問題があった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高い耐摩耗性を維持できるとともに、高い耐欠損性を実現できるサーメット製インサート及び切削工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
・前記課題を解決するための請求項1の発明(サーメット製インサート)は、
硬質相及び結合相からなる組織を有し、
焼結体組成として、Tiと、Nb及び/又はTaと、Wとに関し、前記Tiを炭窒化物換算した値と、前記Nb及び/又はTaを炭化物換算した値と、前記Wを炭化物換算した値との合計で、前記組織全体に対して、70〜95重量%含むとともに(そのうち、前記Wは炭化物換算した値で、組織全体に対して、15〜35重量%)、
Co及び/又はNiを含むサーメット製インサートであって、
前記硬質相として、下記(1)〜(3)のうち、1種又は2種以上を備え(ただし、下記(2)単独は除く)、
(1)芯部が炭窒化チタン相、周辺部が(Ti,W,Ta/Nb)CN相を含む有芯構造の第1硬質相、
(2)芯部および周辺部の両方が(Ti,W,Ta/Nb)CN相を含む有芯構造の第2硬質相、
(3)炭窒化チタン相からなる単相構造の第3硬質相、
更に、前記炭窒化チタン相内に、周囲よりもWを多く含むW富裕相が偏在することを特徴とする。
【0008】
本発明のサーメット製インサートは、図1に模式的に示す様に、実質的に、硬質相(硬質粒子)とその周囲を覆う結合相とからなる組織によって構成されている。
本発明にて、硬質相を形成するTiとNb及び/又はTaとWとの各換算値の合計を70〜95重量%としたのは、下記の理由による。尚、TiはTiCN換算し、Nb及び/又はTaは(Nb/Ta)C換算し、WはWC換算した値である。
【0009】
まず、硬質相(硬質粒子)を形成する複合炭窒化物及び炭窒化物は、サーメットの硬さを向上させ、耐摩耗性を向上させる作用があるが、硬質相の割合がサーメット全体の95重量%を超えると相対的に結合相の割合が5重量%未満になり、靱性が低下し、耐欠損性が低下するからである。一方、硬質相の割合が70重量%未満では、相対的に結合相の割合が30重量%を超えるので、サーメットの耐摩耗性が低下するからである。
【0010】
また、Wを、組織全体に対して(WC換算で)15〜35重量%含むことにより、インサートの耐摩耗性及び耐欠損性を向上することができる。
更に、Coは、焼結性を向上させ、結合相を形成して、インサートの強度を向上させる。Niは、焼結時に結合相を形成して、結合相の耐熱性を向上させ、もって、インサートの耐摩耗性を高めることができる。
【0011】
その上、前記硬質相として、上述した3種の硬質相から選ばれる構成とすることにより、インサートの硬さを高め、耐摩耗性を向上させることができる。
特に本発明では、図2に(硬質相の断面のTEMによる組織観察の結果を)模式的に示す様に、前記(1)や(3)の硬質相の炭窒化チタン相内にW富裕層が偏在している。ここで偏在とは、炭窒化チタン相内にWが均一に分散しているのではなく、特定の部位にWが偏って存在してW富裕相を形成することを意味する。
【0012】
本発明では、前記(1)や(3)の炭窒化チタン相内にWが偏在していることにより、高い耐摩耗性及び耐欠損性を有するが、この耐摩耗性及び耐欠損性が向上する理由としては、下記の理由が考えられる。
【0013】
つまり、硬質相にWを含有することにより、硬質相の耐欠損性が向上し、しかも、単に硬質相にWが含まれているだけでなく、硬質相にW富裕相が偏在することにより、TiCNはW富裕相に区分されてブロック状に存在することになるので(図3参照)、このブロック部分では、TiCN独自の高硬度が維持されて高い耐摩耗性が実現される。尚、図3は、(例えば格子状に原子が配列された)炭窒化チタン相の内部に発生した転位の部分にWが侵入して、例えば面状(層状)にW富裕相が形成された状態を模試的に示したものである。
【0014】
従って、硬質相にWが所定量存在すること及びそれが炭窒化チタン相におけるW富裕相の偏在という形態で存在することによって、高い耐摩耗性と高い耐欠損性とを共に実現できるという顕著な効果を奏する。
【0015】
尚、前記「A及び/又B」とは、A及びBの少なくとも一方の意味である(以下同様)。
・請求項2の発明は、前記サーメット製インサートの表面及び断面のうち少なくとも一方の組織において、前記炭窒化チタン相内に、前記W富裕相が線状及び網目状のうち少なくとも1種の状態で偏在することを特徴とする。
【0016】
本発明は、W富裕相の偏在の状態を2次元的に例示したものである。即ち、インサートの表面や断面に現れるW富裕相の状態を例示したものである。
前記図3に示す様に、(1)第1硬質相及び(3)第3硬質相の炭窒化チタン相には、W富裕相が、線状や網目状で偏在している。尚、TEM写真ではW富裕層が例えば白色の線等で示される。
【0017】
つまり、本発明では、例えばTEMによる組織観察の結果、2次元的にW富裕相が線状や網目状に観察できることを示している。これは、炭窒化チタン相内にて例えば層状に存在するW富裕相の端面が、インサートの表面や断面にて、線状や網目状として観察されると考えられるからである。
【0018】
尚、W富裕相は、例えば図4に示す様に、TEM観察に用いる薄膜の試料の縦断面に斜めに存在する場合には、TEM写真では、幅Hの白色の線として観察される。
・請求項3の発明は、前記炭窒化チタン相内に、前記W富裕相が層状、円柱状、及び角柱状のうち少なくとも1種の状態で偏在することを特徴とする。
【0019】
本発明は、炭窒化チタン相内におけるW富裕相の3次元的な偏在の状態を例示したものである。
この層状、円柱状、角柱状に偏在する状態としては、例えば平面や湾曲面で構成されたものが挙げられるが、それらの面に穴が空いていてもよい。また、これらのW富裕層は、複数の層や円柱や角柱が互いに入り込んだ状態で、例えば鱗状や多数の泡形状のものが集合した状態などで存在してもよい。
【0020】
尚、W富裕層が例えば層状に偏在している場合に、この層に対して垂直にTEM観察を行うと、図9に例示する様に、W富裕相は、所定の広がりを有する白色の平面として観察されるが、その白色の平面の周囲には、通常、他のW富裕相を構成する線状や網目状の白色の線が観察される。
【0021】
・請求項4の発明は、更に、前記硬質相及び/又は結合相に、Moを含むことを特徴とする。
Moを含有させることにより、硬質相や結合相の濡れ性が良くなるため、焼結性を改善することができる。
【0022】
・請求項5の発明は、更に、前記結合相に、Wを前記結合相全体に対して40〜60重量%含むことを特徴とする。
本発明では、結合相にWを40〜60重量%含んでいるので、結合相の高温硬さが向上し、よって、例えば高温発生を伴う高速切削加工において、優れた耐摩耗性を発揮できる。
【0023】
・請求項6の発明(切削工具)は、ホルダに、前記請求項1〜5のいずれかに記載のサーメット製インサートを備えたことを特徴とする。
本発明の切削工具は、上述したサーメット製インサートをホルダに備えたものであるので、耐摩耗性及び耐欠損性に優れている。
【0024】
ここで、本発明の好ましい形態としては、例えば本願出願人らが既に出願した特願2005−173463に記載の様に、更に下記の構成を採用できる。
例えば、インサートとして、「炭化タングステン:20〜30質量%、炭化タンタル及び/又は炭化ニオブ:5〜10質量%、Co:5〜10質量%、Ni:5〜10質量%、炭窒化チタン:残部(ただし、50〜60質量%含有)、からなる配合組成を有する圧粉体の焼結体」を採用できる。
【0025】
更に、例えば、前記焼結体として、「走査型電子顕微鏡による組織観察で、硬質相:75〜90面積%、結合相:残部、からなる組織を有する構成」を採用できる。
その上、前記結合相として、「結合相に占める割合で、Co:18〜33質量%、Ni:20〜35質量%、Ti、Ta及び/又はNb:5質量%以下、W:残部(ただし、W:40〜60質量%)を含有する構成」を採用できる。
【0026】
尚、組成の残部等には、通常、不可避不純物が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の最良の形態の例(実施例)について、すなわち、サーメット製インサート及び切削工具の実施例について説明する。
【実施例】
【0028】
a)まず、本実施例のサーメット製インサート(以下単にインサートと記す)について説明する。
図5に示す様に、本実施例のインサート1は、ISO規格:SNGN120408の形状の焼結体からなる切削チップである。
【0029】
このインサート1は、前記図1に示す様に、硬質相(硬質粒子)と、その周囲を覆うように存在する結合相とからなる組織(不可避不純物を含む)により構成されている。
また、インサート1の焼結体組成として、Tiと、Nb及び/又はTaと、Wとに関し、Tiを炭窒化物換算した値と、Nb及び/又はTaを炭化物換算した値と、Wを炭化物換算した値との合計で、インサート全体に対して、70〜95重量%含んでいる。このうち、Wは炭化物換算した値で、インサート全体に対して、15〜35重量%含んでいる。尚、硬質相としては、後述するように、炭窒化チタンと、Ti及びWとTa及び/又はNbとの複合炭窒化物とを含んでいる。
【0030】
更に、このインサート1には、硬質相の残部の結合相として、Wと、Co及び/又はNiとを含んでいる。尚、Wは、結合相全体に対して、40〜60重量%含んでおり、Coは18〜33重量%、Niは20〜35質量%含んでいる。
【0031】
その上、前記硬質相として、下記(1)〜(3)の全ての硬質相を備えている。
(1)芯部が炭窒化チタン相、周辺部が(Ti,W,Ta/Nb)CN相を含む有芯構造の第1硬質相、
(2)芯部および周辺部の両方が(Ti,W,Ta/Nb)CN相を含む有芯構造の第2硬質相、
(3)炭窒化チタン相からなる単相構造の第3硬質相、
特に、本実施例では、前記図2に示す様に、炭窒化チタン相内に、周囲よりもWを多く含むW富裕相が偏在する。詳しくは、炭窒化チタン相の断面の観察(TEMによる組織観察)では、線状及び網目状の状態で偏在している。
【0032】
従って、本実施例のインサートは、上述した独自の構成によって、後述する実験例で示す様に、高い耐摩耗性及び耐欠損性を共に備えている。
また、上述したインサートは、例えば図6に示す様に、例えば鋼製の柱状のホルダ3の先端に、固定治具5によって固定される。そして、このホルダ3にインサート1が固定された切削工具7を用いて、鋼等の切削が行われる。
【0033】
b)次に、本実施例のインサートの製造方法について説明する。尚、ここでは、後述する実験に供するインサートの製造方法を例に挙げて説明する。
・本実施例では、まず、TiCNの予備粉砕を行った。
【0034】
具体的には、予備粉砕の原料粉末として、0.5〜2μmの平均粒径を有するTiC0.50.5粉末及びTiC0.30.7粉末(以下、C/N比は原子比を示す)を用意し、両原料粉末を、ボールミルにて同時に、アルコール中で、5時間粉砕した。
【0035】
・次に、前記予備粉砕したTiCN粉末及び他の原料粉末を行いて湿式混合を行った。
具体的には、下記表1に示す様に、予備粉砕によって得られたTiC0.50.5粉末及びTiC0.30.7粉末、平均粒径1〜2μmのWC粉末、平均粒径1〜2μmのTa粉末、平均粒径2〜3μmのMo2C粉末、平均粒径1〜2μmのNbC粉末、平均粒径2〜3μmのCo粉末、平均粒径2〜3μmのNi粉末を用意し、これらの原料粉末を、下記表1に示される配合組成に配合し、A〜Gの7種類の混合粉末を調整した。
【0036】
【表1】


【0037】
・次に、前記A〜Gの各混合粉末を、それぞれボールミルにて、アルコール中で、24時間湿式混合し、その後乾燥した。
・次に、この乾燥した粉末を、98MPaの圧力で圧粉体にプレス成形した。
【0038】
・次に、この圧粉体を、図7に示す様に、以下の焼成条件(a)〜(e)で焼成した。
(a) 室温から1200℃までを、10Pa以下の真空雰囲気(V)中にて、10℃/分の速度で昇温し、
(b) 1200℃の温度に昇温した時点で、35kPaのAr雰囲気に2分間保持の短時間Ar雰囲気保持と、10Pa以下の真空雰囲気に15分間保持の短時間真空雰囲気保持とを、各3回を交互に繰り返し施す雰囲気交互変化処理を施し、
(c) 上記雰囲気交互変化処理後、1350℃までの昇温を10Pa以下の真空雰囲気中にて、2℃/分の速度で昇温し、
(d) 1350℃から所定の焼結温度(1500℃)までの2℃/分の速度での昇温、並びに前記焼結温度に60分間保持を1.3kPaの窒素雰囲気で行い、
(e) 上記焼結温度からの炉冷を90kPa以下のAr雰囲気中で行った。
【0039】
以上(a)〜(e)の工程からなる条件で焼結し、焼結後、研磨加工を施すことにより、ISO規格:SNGN120408のチップ形状を有するインサート1を製造した。
すなわち、下記表3に示す様に、前記7種の混合粉末に対応した試料No.1〜7のインサートを、それぞれ製造した。
【0040】
また、比較の目的で、下記表3に示される通り、予備粉砕を行わない以外は実質的に同一の条件で(試料No.10、11)、また、焼結温度への昇温過程における上記の雰囲気交互変化処理を行わない以外は実質的に同一の条件で(試料No.8、9)、更に、予備粉砕及び雰囲気交互変化処理を行わない以外は実質的に同一の条件で(試料No.12〜14)、それぞれ比較例のインサートを製造した。
【0041】
c)次に、上述した製造方法によって製造した本発明例の試料No.1〜7のインサートと比較例の試料No.8〜14のインサートの切削評価について説明する。
ここでは、下記表2に示す様に、耐欠損試験と耐摩耗試験を行った。
【0042】
(1)耐欠損試験
各試料のインサートを、工具鋼製バイト(ホルダ)の先端部に、固定治具にてネジ止めして、切削工具とした。
【0043】
そして、この切削工具を用いて、下記表2の切削条件にて、合金鋼の乾式断続高速切削試験を行った。尚、耐欠損試験は、同種の20個のインサートを用いて行った。
そして、衝撃回数700回での累積欠損率(700回で欠損が発生するインサートの個数の割合)を調べた。その結果を下記表3に記す。
【0044】
(2)耐摩耗試験
各試料のインサートを、工具鋼製バイト(ホルダ)の先端部に、固定治具にてネジ止めして、切削工具とした。
【0045】
この切削工具を用いて、下記表2の切削条件にて、合金鋼の乾式断続高速切削試験を行った。
そして、4min加工後の逃げ面摩耗量(VB摩耗量)を測定した。その結果を下記表3に記す。
【0046】
(3)組織観察
各試料のインサートを用いて、TEM観察を行った。具体的には、試料を200μm以下の厚さとし、TEM(走査透過電子顕微鏡)を用いて、TEM写真を撮影し、その観察を行った。
【0047】
そして、このTEM観察により、Wの偏在の有無を確認した。また、前記STEMを用いて、インサートの結合相におけるWの含有量を測定した。その結果を、下記表3に示す。
【0048】
尚、TEM写真の一部を、図8〜図12に示すが、図8が本発明例の試料No.1のTEM写真(10万倍)、図9が本発明例の試料No.6のTEM写真(20万倍)、図10が本発明例の試料No.4のTEM写真(45万倍)、図11が比較例の試料No.8のTEM写真(10万倍)、図12が比較例の試料No.13のTEM写真(20万倍)である。
【0049】
(4)組成分析
EDS(エネルギー分散法)によって、組成A〜Gの本発明の各試料No.1〜7のイン
サートに含まれている成分(元素)の定量を行った。そして、その成分の化合物換算を行った。その結果を、下記表4に示す。
【0050】
【表2】


【0051】
【表3】


【0052】
【表4】


【0053】
前記表1〜4に示される結果から、本発明例のインサートは、特に硬質相の炭窒化チタン相内に、周囲よりもWを多く含むW富裕相が、例えば前記図8〜図10に示す様に偏在することにより、高い耐摩耗性及び耐欠損性を共に実現できるという顕著な効果を有することが分かる。尚、図8〜図10では、W富裕相を示す線状及び網目状の白線が観察でき、また、図9では、W富裕相を示す層状の白いスポットが観察される。
【0054】
それに対して、比較例のインサートは、耐摩耗性についてある程度優れたものがあるものの、高い耐摩耗性及び耐欠損性の両立ができず、好ましくない。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明のサーメット製インサートの断面を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明及び従来例の硬質相の断面を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明のサーメット製インサートの硬質相の内部構造を示す説明図である。
【図4】透過型電子顕微鏡の試料の縦断面を模式的に示す説明図である。
【図5】実施例のサーメット製インサートを示す斜視図である。
【図6】実施例の切削工具を示す説明図である。
【図7】実施例のサーメット製インサートの製造方法を示す説明図である。
【図8】本発明例の試料の透過型電子顕微鏡による組織を示す写真である。
【図9】本発明例の試料の透過型電子顕微鏡による組織を示す写真である。
【図10】本発明例の試料の透過型電子顕微鏡による組織を示す写真である。
【図11】比較例の試料の透過型電子顕微鏡による組織を示す写真である。
【図12】比較例の試料の透過型電子顕微鏡による組織を示す写真である。
【符号の説明】
【0056】
1…インサート
3…ホルダ
5…固定治具
7…切削工具




 

 


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