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発明の名称 インサート式エンドミル
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−136573(P2007−136573A)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
出願番号 特願2005−331106(P2005−331106)
出願日 平成17年11月16日(2005.11.16)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 滝口 正治
要約 課題
複数のインサートの位置調整を簡単かつ確実に行うことができ、切刃の振れ調整作業に要する時間と労力を大幅に削減できるとともに、高い切刃振れ精度を得ることができるインサート式エンドミルを提供する。

解決手段
軸線Oに沿って延びるシャンク部2Aと刃先部2Bとを有し、刃先部2Bの先端側外周にインサート21が装着されたインサート式エンドミル1であって、複数形成された取付座4のうちのひとつは、装着されたインサート21の切刃26の軸線O方向位置が固定された基準取付座4Aとされ、残りの取付座4は、装着されたインサート21の切刃26の軸線O方向位置を調整する調整機構が備えられた調整取付座4Bとされ、基準取付座4Aに装着されたインサート21の切刃26は、調整取付座4Bに装着されて前記調整機構による位置調整を行う前のインサート21の切刃26よりも刃先部2B先端面から突出されていることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
軸線に沿って延びるシャンク部と、該シャンク部の先端側に配置された刃先部とを有し、前記刃先部の先端側外周に複数の取付座が形成され、該取付座に、切刃を有するインサートが着脱自在に装着されて、該インサートの前記切刃が前記刃先部の先端面から突出するように配置されたインサート式エンドミルであって、
複数形成された前記取付座のうちのひとつは、装着された前記インサートの前記切刃の前記軸線方向位置が固定された基準取付座とされ、
残りの前記取付座は、装着された前記インサートの前記切刃の前記軸線方向位置を調整する調整機構が備えられた調整取付座とされ、
前記基準取付座に装着された前記インサートの前記切刃は、前記調整取付座に装着されて前記調整機構による位置調整を行う前の前記インサートの前記切刃よりも前記刃先部先端面から突出されていることを特徴とするインサート式エンドミル。
【請求項2】
前記調整取付座に装着されて前記調整機構による位置調整を行う前の前記インサートの前記切刃と、前記基準取付座に装着された前記インサートの前記切刃との前記軸線方向の差が、0.01mmから0.10mmの範囲内に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のインサート式エンドミル。
【請求項3】
前記調整機構は、前記調整取付座の刃先部後端側に穿設されて前記軸線方向に交差する方向に延びる孔部と、前記孔部に挿入可能な形状とされて弾性変形することにより前記インサートの側面を押圧して前記インサートの位置を調整する調整ピースとで構成され、
前記調整ピースは、筒体状に形成され、該筒体の軸線に沿って延びるスリットが形成されるとともに、前記筒体の内周部分には、雄ネジ部と該雄ネジ部より大径の頭部とを有する調整ネジが挿通され、
前記雄ネジ部が前記孔部の底面に螺着されるとともに、前記頭部が前記調整ピースの内周面に当接させられており、前記調整ピースの内周面又は前記調整ネジの前記頭部の少なくとも一方には、前記調整ピースの挿入方向とは反対側に向かうにしたがい径が漸次拡大する拡径部が設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインサート式エンドミル。
【請求項4】
前記基準取付座及び前記調整取付座の刃先部径方向外側を向く壁面にクランプネジ孔が形成されており、
前記インサートには、該インサートの厚さ方向に延びるネジ挿通孔が形成され、該ネジ挿通孔に挿通されたクランプネジが前記クランプネジ孔に螺着されて、前記インサートが装着されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のインサート式エンドミル。
【請求項5】
前記インサートの工具回転方向前方側を向く面がすくい面とされ、該すくい面全面にダイヤモンド層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のインサート式エンドミル。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、切刃を有するインサートが着脱可能に装着されたインサート式エンドミルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被切削材に対して溝加工や狭い平面の仕上げ加工等を施す切削工具として、切刃が工具本体の先端側及び外周側に向けられたエンドミルが提供されている。この種のエンドミルとしては、工具本体に切刃が固定されているソリッドエンドミルと、工具本体に、切刃を有するインサートが着脱可能に装着されたインサート式のエンドミルとがある。
【0003】
ソリッドエンドミルは、切刃の位置が固定されているので、このエンドミルを製作する際に切刃の工具本体先端面からの突出量を調整して形成することで、各切刃の振れ(切刃の突出量の最大値と最小値との差)を精度良く一致させることができるものである。また、工具本体を切り欠く部分が少なくて済むので、特に小径のエンドミルであっても剛性を確保できるものである。
【0004】
ところが、このようなソリッドエンドミルでは、切刃の位置調整ができないので、使用によって切刃が摩耗して再研磨した場合に、切刃の振れ調整をすることができず、被切削材の加工面を精度良く仕上げることができなくなってしまう。そこで、このようなソリッドエンドミルでは、切刃を再研磨して使用できず寿命が短くなり、使用コストが高くなってしまうといった問題があった.
【0005】
一方、インサート式エンドミルは、切刃を有するインサートが着脱可能に装着されているので、インサートの切刃が摩耗した場合には、このインサートを交換すれば再度使用することができるものである。
ここで、複数のインサートを備えたインサート式エンドミルにおいては、各インサートの切刃の突出量が異なって切刃の振れが大きい場合に、大きく突き出された切刃が優先的に磨耗してしまいインサートの交換頻度が高くなったり、被切削材の仕上げ面の面粗度が劣化したりしてしまうので、各インサートの切刃の工具本体からの突出量が同一となるように、高い切刃振れ精度が備わっていなければならない。すなわち、各インサートの切刃が描く工具本体の軸線O回りの回転軌跡が一致するようにインサートが装着されていなければならないのである。
【0006】
そこで、インサートの位置を移動させて各切刃の突出量を調整するための調整機構を備えたインサート式エンドミルが提案されている。
インサートの位置調整機構としては、取付座の工具本体回転方向後方側の壁面と取付座の工具回転方向前方側に挿入されたクサビ部材との間でインサートを挟装し、このインサートの工具本体後端側を向く側面を、調整ネジの先端部で押圧したり調整クサビの押圧面で押圧したりして、インサートの切刃を工具本体から突出させるものがある。
【0007】
また、インサートを取付座にクランプネジにて装着し、やはり、このインサートの工具本体後端側を向く側面を、調整ネジの先端部で押圧したり調整クサビの押圧面で押圧したりしてクランプネジを弾性変形させて、切刃を工具本体から突出させる機構のものも提供されている。
従来のインサート式エンドミルでは、上述のような調整機構がすべての取付座に備えられ、取付座に装着されたすべてのインサートの位置調整を行うことができ、切刃の振れを小さくすることができる。
【0008】
このような調整機構が備えられたインサート式エンドミルは、調整ネジや調整クサビによってインサートの位置を移動させて切刃の振れ調整を行った後に、工具本体をその軸線O回りに高速回転されつつ軸線Oと交差する方向に送られることにより、インサートの工具本体径方向外側及び工具本体先端側に向けられた切刃によって被切削材を切削していくものである。
【特許文献1】特開2002−355716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、従来の調整機構が設けられたインサート式エンドミルにおいては、切刃の振れ調整は次のような手順で行われている。まず、すべての取付座にインサートを装着し、それぞれのインサートの切刃の突出量を確認する。最も切刃が突出した取付座のインサートを強固に固定した後に、この取付座に装着されたインサートの切刃の突出量を基準として、他のインサートの位置調整を行うのである。
【0010】
このように切刃の振れ調整を行う際には、まず、切刃が最も突出した取付座を見つけ出す必要があるが、工具本体から僅かに突出した切刃の突出量の違いを見つけ出すことは容易ではなく、振れ調整に多くの時間と労力を要するものであった。
また、基準となる取付座にもインサートの位置調整機構が備えられているので、インサートを強固に固定しようとした際にインサートが動いてしまうおそれがあった。インサートが動いてしまった場合には、切刃の突出量が変化してしまうので、再度切刃の突出量を確認する必要があった。
【0011】
また、基準となる取付座がインサートを交換するたびに変わってしまうとともに複数の切刃の突出量を調整する必要があるので、切刃の振れ調整を行っている間に、基準とした取付座を取り違えてしまうおそれがあった。切刃の振れ調整が終了したと誤認したままで加工した場合には、被切削材が加工不良となってしまったり、インサートが破損したりするといったトラブルが発生するおそれがあった。
【0012】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、複数のインサートの位置調整を簡単かつ確実に行うことができ、切刃の振れ調整作業に要する時間と労力を大幅に削減できるとともに、高い切刃振れ精度を得ることができるインサート式エンドミルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、この発明は、軸線に沿って延びるシャンク部と、該シャンク部の先端側に配置された刃先部とを有し、前記刃先部の先端側外周に複数の取付座が形成され、該取付座に、切刃を有するインサートが着脱自在に装着されて、該インサートの前記切刃が前記刃先部の先端面から突出するように配置されたインサート式エンドミルであって、複数形成された前記取付座のうちのひとつは、装着された前記インサートの前記切刃の前記軸線方向位置が固定された基準取付座とされ、残りの前記取付座は、装着された前記インサートの前記切刃の前記軸線方向位置を調整する調整機構が備えられた調整取付座とされ、前記基準取付座に装着された前記インサートの前記切刃は、前記調整取付座に装着されて前記調整機構による位置調整を行う前の前記インサートの前記切刃よりも前記刃先部先端面から突出されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
この構成のインサート式エンドミルにおいては、インサートの切刃の位置が固定された基準取付座が設けられ、この基準取付座に装着されたインサートの突出量が、残りの調整取付座に装着されたインサートの切刃よりも刃先部先端面から突出するように設定されているので、インサートをすべての取付座に装着した段階で、必ず基準取付座の切刃突出量が最も大きくなり、切刃の振れ調整を行う際に、基準取付座の切刃を基準として調整することができ、切刃振れ調整に要する時間と労力を大幅に削減することができる。
【0015】
また、基準取付座には切刃の位置を調整する調整機構が備えられていないので、基準取付座に装着したインサートが動いてしまうことがなく、基準となる切刃の突出量が安定することになる。よって、切刃の振れ調整作業中に基準となる突出量が変化することがなく、高い切刃振れ精度を得ることができる。
さらに、基準取付座に装着されたインサートの切刃が必ず最も突出しており、この切刃を基準として切刃の振れ調整を行うことができるので、切刃の振れ調整作業中に基準となる取付座を取り違えることがなく、確実かつ簡単に切刃の振れ調整を行うことができる。よって、インサート式エンドミルの切刃の振れを小さくできるので、被切削材の切削を容易に行うことができて仕上げ面を滑らかに仕上げることができるとともに、優先摩耗してしまうインサートがなくインサートの交換頻度を低くすることができる。
【0016】
ここで、前記調整取付座に装着されて前記調整機構による位置調整を行う前の前記インサートの前記切刃と、前記基準取付座に装着された前記インサートの前記切刃との前記軸線方向の差を、0.01mmから0.10mmの範囲内に設定することにより、インサートを基準取付座に装着した際の突出量を切削加工に適した範囲内に設定することができ、切刃の突出量が大きすぎて切削時にインサートが破損するといったトラブルや、逆に切刃の突出量が小さすぎて刃先部が被切削材と摺動してしまうといったトラブルを防止することができる。
【0017】
また、前記調整機構を、前記調整取付座の刃先部後端側に穿設されて前記軸線方向に交差する方向に延びる孔部と、弾性変形することで前記インサートの側面を押圧して前記インサートの位置を調整する調整ピースとで構成し、前記調整ピースを、筒体状に形成し、該筒体の軸線に沿って延びるスリットを形成するとともに、前記筒体の内周部分に、雄ネジ部と該雄ネジ部より大径の頭部とを有する調整ネジを挿通し、前記雄ネジ部が前記孔部の底面に螺着されるとともに前記頭部が前記調整ピースの内周面に当接させられ、前記調整ピースの内周面又は前記調整ネジの前記頭部の少なくとも一方に前記調整ピースの挿入方向とは反対側に向かうにしたがい径が漸次拡大する拡径部が設けたものとすることにより、調整ネジをねじ込んだり緩めたりすることでインサートの振れ出し量を進退可能に調整できるので、インサートの位置調整を簡単にかつ精度良く行うことができる。
【0018】
つまり、調整ネジをねじ込むことで調整ネジの頭部が調整ピースの内方に移動し、スリットを有する調整ピースが押し広げられるように弾性変形して取付座に装着されたインサートが押圧され、調整ネジを緩めることにより、調整ネジの頭部が調整ピースの外方に移動し、押し広げられていた調整ピースが弾性復帰してインサートを押圧する押圧力が弱まることになり、調整ネジのねじ込み量を調整することでインサートの位置を調整することができるのである。
【0019】
また、調整ピースが弾性変形することで調整ネジ自体も締め付けられるように押圧されるので、このエンドミルを高速回転した際でも調整ネジが緩んでしまうことが防止され、切刃の振れ精度を維持したままインサートを強固に固定することができる。
また、調整機構を備えるために工具本体を切り欠く部分が、調整ピースが挿入される孔部のみであるので、工具本体を切り欠く部分を小さくすることができ、このエンドミルの剛性を確保できるとともに、小径のエンドミルであってもインサートの調整機構を備えることができる。
【0020】
さらに、前記基準取付座及び前記調整取付座の刃先部径方向外側を向く壁面にクランプネジ孔を形成し、前記インサートには、該インサートの厚さ方向に延びるネジ挿通孔が形成され、該ネジ挿通孔に挿通されたクランプネジを前記クランプネジ孔に螺着することにより、前記インサートを装着するように構成することにより、インサートを装着するために刃先部を切り欠く部分を小さくすることができ、このエンドミルの剛性を確保できるとともに、小径のエンドミルであっても刃数を減らす必要がない。
【0021】
前記インサートの工具回転方向前方側を向く面をすくい面とし、該すくい面全面にダイヤモンド層を形成することにより、このインサートの切刃を再研磨した場合でも、切刃がダイヤモンドで構成されることになり、インサートの寿命延長を図ることができる。また、切刃がダイヤモンドで構成されることにより、被切削材がアルミ及びアルミ合金で構成されていた場合でも良好に切削加工することができる。
【0022】
このように本発明によれば、複数のインサートの位置調整を簡単かつ確実に行うことができ、切刃の振れ調整作業に要する時間と労力を大幅に削減できるとともに、高い切刃振れ精度を得ることができるインサート式エンドミルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の実施形態であるインサート式エンドミルについて添付した図面を参照にして説明する。
このインサート式エンドミル1は、軸線Oを中心にした円柱状をなすシャンク部2Aと、このシャンク部2Aの先端側(図1において下側)に配置された刃先部2Bとからなる工具本体2を有している。本実施形態では、図1に示すように、刃先部2Bはシャンク部2Aよりも一段大径とされている。
【0024】
この刃先部2Bの先端側外周部には、刃先部2Bの外周面及び先端面に開口するように、複数のチップポケット3が形成されており、これらのチップポケット3の工具回転方向T後方側には、それぞれ取付座4が設けられている。本実施形態では、図2に示すように、4つのチップポケット3及び取付座4が、周方向に90°間隔で形成されている。
【0025】
取付座4の工具回転方向T前方側を向く壁面6は、図3および図4に示すように、刃先部2B先端側に向かうにしたがい工具回転方向T前方側に向かうように傾斜している。また、取付座4の刃先部2B径方向外側を向く壁面5は、図1に示すように、刃先部2B先端側に向かうにしたがい刃先部2B径方向内側に後退するように傾斜している。そして、この取付座4の刃先部2B径方向外側を向く壁面5に、刃先部2B径方向内側に向けて延びるように、インサート21を装着するためのクランプネジ7と螺合されるクランプネジ孔が形成されている。
【0026】
複数設けられた取付座4のうちのひとつが基準取付座4Aとされ、この基準取付座4Aを除く残りの取付座4が調整取付座4Bとされている。
図3に示すように、基準取付座4Aの刃先部2B後端側には、インサート21の刃先部2B後端側を向く側面と当接される当接面8が、刃先部2B自体に直接形成されている。この当接面8は、工具回転方向T前方側に向かうにしたがい漸次刃先部2B後端側に後退するように傾斜させられている。
【0027】
一方、調整取付座4Bの刃先部2B後端側には、刃先部2B径方向内側に向けて延びるように孔部9が穿設されている。この孔部9は、その断面が長円形状に形成され、調整取付座4B側の側縁部が該取付座4に向けて開口させられており、この孔部9の刃先部2B外周側を向く底面には、刃先部2B径方向内側に向けて延びる調整ネジ孔10が穿設されている。
【0028】
この孔部9には、図5及び図6に示す調整ピース11が挿入される。この調整ピース11は、孔部9がなす長円形断面に嵌挿可能な外形を有する筒体状をなし、調整取付座4B側を向く面が平坦面とされ、この平坦面が押圧部12とされている。調整ピース11がなす筒体の内面は断面円形状とされており、調整ピース11の挿入方向と反対側(本実施形態では、刃先部2B径方向外側)に向かうに従い漸次径が拡大された拡径孔13が形成され、この拡径孔13よりも前記挿入方向側は、拡径孔13と同軸で内径の小さい小径孔14とされ、調整ピース11を貫通している。なお、拡径孔13及び小径孔14の中心軸線は押圧部12と平行とされている。
そして、この調整ピース11には、押圧部12に平行にかつ小径孔14の円形断面の中心軸線に沿うように延びるスリット15が、小径孔14の途中までの前記押圧部12が設けられた範囲に形成されている。
【0029】
この調整ピース11内には、小径孔14及び拡径孔13を貫通するように調整ネジ16が挿通される。この調整ネジ16は、先端側が雄ネジ部17とされ、後端側が雄ネジ部17よりも大径とされた頭部18とされており、この頭部18は、調整ネジ16の後端側に向かうに従い漸次径が拡大するテーパー状に形成されている。そして、調整ピース11を孔部9に挿入して、調整ピース11の内周部分に調整ネジ16を挿通し、前記雄ネジ部17を孔部9の刃先部2B径方向外側を向く底面に形成された調整ネジ孔10にねじ込むことにより、テーパー状に形成された頭部18と調整ピース11の拡径孔13とが当接するように配置される。
【0030】
ここで、基準取付座4Aの刃先部2B径方向外側を向く壁面5に穿設されたクランプネジ孔は、調整取付座4Bの刃先部2B径方向外側を向く壁面5に穿設されたクランプネジ孔よりも刃先部2B先端側に0.01mmから0.10mm(本実施形態では0.02mm)ずれた位置に設けられている。
【0031】
これら基準取付座4A及び調整取付座4Bに取り付けられるインサート21は、超硬合金等の硬質材料により構成されたインサート本体22と、ダイヤモンドで構成された切刃部23とで構成されている。このインサート21は、概略四角形平板状をなしており、2つの四角形面を厚さ方向に貫通するように、ネジ挿通孔24が形成されている。
【0032】
このインサート21は、一方の四角形面を刃先部2B径方向内側に向けて基準取付座4A及び調整取付座4Bに装着され、工具回転方向T前方側を向く側面がすくい面25とされ、このすくい面25に沿うように、かつ、すくい面25全体を覆うように前記切刃部23が配置されており、このすくい面25の刃先部2B径方向外側及び刃先部2B先端側を向く辺稜部に切刃26が形成されている。
【0033】
刃先部2B径方向外側に向けられた他方の四角形面は、外周逃げ面27とされており、この他方の四角形面の工具回転方向T後方側部分には、図2に示すように、工具回転方向T後方側に向かうにしたがい刃先部2B径方向内側に後退するような傾斜面が形成されている。
また、刃先部2B先端側へ向けられた側面は正面逃げ面28とされ、図1に示すように刃先部2B径方向内側に向かうにしたがい漸次刃先部2B後端側へ後退するとともに、図3及び図4に示すように、工具回転方向T後方側に向かうにしたがい漸次刃先部2B後端側へ後退するように傾斜させられている。
【0034】
また、このすくい面25は、図2に示すように、軸線O方向から見て切刃部23径方向外側に向かうにしたがい漸次工具回転方向T前方側へ突出するように傾斜しており、このインサート21のラジアルレーキ角は+10°とされている。
また、すくい面25と対向する側面は、すくい面25と平行に形成されており、前記取付座4の工具回転方向T前方側を向く壁面6に当接されている。そして、取付座4の工具回転方向T前方側を向く壁面6が、上述のように刃先部2B先端側に向かうにしたがい工具回転方向T前方側に向かうように傾斜しているので、すくい面25も刃先部2B先端側に向かうにしたがい工具回転方向T前方側に向かうように傾斜することになり、このインサート21のアキシャルレーキ角は+10°とされている。
【0035】
このインサート21のネジ挿通孔24にクランプネジ7が挿通されてクランプネジ孔に螺着され、インサート21が基準取付座4A及び調整取付座4Bに装着される。基準取付座4Aでは、インサート21の刃先部2B後端側を向く側面が当接面8に当接するように配置されて固定される。
【0036】
ここで、基準取付座4Aでは、クランプネジ孔が調整取付座4Bのクランプネジ孔よりも刃先部2B先端側に形成されているので、基準取付座4Aに装着されたインサート21の切刃26が、調整取付座4Bにクランプネジ7によって装着されただけの状態のインサート21の切刃26よりも刃先部2B先端面から突出することになる。このときの基準取付座4Aに装着されたインサート21の切刃26と、前記調整取付座4Bに装着されたインサート21の切刃26との軸線O方向の差は、0.01mmから0.10mm(本実施形態では0.02mm)となる。
また、前記調整取付座4Bでは、インサート21の刃先部2B後端側を向く側面と孔部9に挿入された調整ピース11の押圧部12とが当接するようにインサート21が配置される。
【0037】
このように構成されたインサート式エンドミル1は、工具本体2後端側のシャンク部2Aが工作機械の主軸端に取り付けられ、軸線Oを中心として工具回転方向Tに向けて高速回転されるとともに軸線Oと交差する方向に送りを与えられることにより、インサート21の刃先部2B径方向外側及び刃先部2B先端側に向けられた切刃26によって被切削材を切削するものである。
【0038】
この構成のインサート式エンドミル1において、切刃26の振れ調整は次のように行われる。まず、基準取付座4Aに装着されたインサート21の切刃26の軸線O方向の位置を確認する。この基準取付座4Aの切刃26の刃先部2B先端面からの突出量を基準として残りの調整取付座4Bに装着したインサート21の切刃26の位置調整を、調整ネジ16をねじ込んだり緩めたりすることにより行う。
【0039】
調整ネジ16をねじ込むと、調整ピース11の拡径孔13に当接された調整ネジ16の頭部18が拡径孔13を押圧し、スリット15の終点を支点として調整ピース11が押し広げられるように弾性変形し、押圧部12がインサート21の刃先部2B後端側を向く側面を押圧し、インサート21が刃先部2B先端側へ突き出される。一方、調整ネジ16を緩めた場合には、押し広げられるように弾性変形していた調整ピース11が弾性復帰し、インサート21の刃先部2B後端側を向く側面を押圧する力が小さくなり、インサート21が刃先部2B後端側へ後退することになる。
【0040】
本実施形態に係るインサート式エンドミル1によれば、インサート21を基準取付座4A及び調整取付座4Bに装着した際に、基準取付座4Aに装着されたインサート21の切刃26が調整取付座4Bに装着されたインサート21の切刃26よりも刃先部2B先端面から突出されるので、この基準取付座4Aに装着されたインサート21の切刃26を基準として切刃26の振れ調整を行うことができ、切刃26の振れ調整作業を簡単にかつ確実に行うことができる。
【0041】
また、基準取付座4Aに装着されたインサート21の切刃26と、調整取付座4Bに装着されたインサート21の切刃26との軸線O方向の差が、0.01mmから0.10mm、本実施形態では0.02mmとなるように構成されているので、切刃26の突出量を切削加工に適したものとすることができ、インサート21の破損や刃先部2Bと被切削材との接触などのトラブルを未然に防ぐことができる。
【0042】
また、この基準取付座4Aには、インサート21の刃先部2B後端側を向く側面と当接される当接面8が形成されているので、インサート21の位置が確実に固定され、切刃26の振れ調整作業中にインサート21が動いてしまうことがなく、基準となる切刃26の突出量が安定することになる。よって、切刃26の振れ調整を精度良くかつ確実に行うことができる。
【0043】
また、インサート21の軸線O方向の位置を調整ネジ16によって進退可能に調整できるので、切刃26の突出量の調整を簡単に行うことができる。
また、調整ピース11が弾性変形することでインサート21を押圧するとともに調整ネジ16自体も締め付けられるように押圧されるので、このインサート式エンドミル1を高速回転した際に調整ネジ16が緩んでしまうことが防止され、切刃26の突出量を確実に維持しつつもインサート21を強固に固定することができる。
【0044】
また、調整機構が、筒体状をなす調整ピース11と、この調整ピース11が挿入される孔部9とで構成されており、この孔部9が刃先部2B径方向に沿うように穿設されているので、刃先部2Bを切り欠く部分が小さく、このエンドミル1の剛性を確保できるとともに、小径のエンドミル1であってもインサート21の切刃26の振れ調整を行うことができる。
【0045】
さらに、基準取付座4A及び調整取付座4Bの刃先部2B径方向外側を向く壁面5にクランプネジ孔が形成され、インサート21がその厚さ方向を刃先部2B径方向と略一致させるようにして取り付けられているので、この取付座4を形成するために刃先部2Bを切り欠く部分を小さくすることができ、このインサート式エンドミル1の剛性を確保できるとともに、小径のエンドミル1であってもインサート数を減らす必要がない。
【0046】
また、インサート21のすくい面25全面にダイヤモンドで構成された切刃部23が配置され、このすくい面25の辺稜部に切刃26が形成されているので、このインサート21の切刃26を再研磨した場合でも、新たな切刃26もダイヤモンドで構成されることになり、インサート21の寿命延長を図ることができる。また、切刃26がダイヤモンドで構成されているので、被切削材がアルミやアルミ合金であった場合にも良好に切削加工することができる。
【0047】
以上、本発明の実施形態であるインサート式エンドミルについて説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、インサートを4つ備えたものとして説明したが、これに限定されることはなく、このエンドミルの外径や被切削材の種類等に応じて適宜設定することが好ましい。
【0048】
また、調整機構を、筒体状をなす調整ピースとこの調整ピースを挿入する孔部とで構成したもので説明したが、調整機構の構成に限定はなく、例えば、調整ネジでインサートの側面を押圧して調整するものやクサビ材の側面でインサートを押圧して調整するような調整機構であってもよい。ただし、本実施形態のような調製ピースを用いることで、刃先部を切り欠く部分を小さく抑えることができるので好ましい。
【0049】
また、インサートをクランプネジで固定するインサート式エンドミルで説明したが、インサートをクサビ部材で工具本体との間で挟装して固定するものでも良い。ただし、クランプネジで固定したものではインサートがずれたりすることなく強固に固定されているので好ましい。
また、インサートの切刃部をダイヤモンドで構成されたものとして説明したが、cBN焼結体等の他の硬質材料で構成されていてもよく、インサート本体と同様に超硬合金で構成されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態であるインサート式エンドミルの側面図である。
【図2】図1に示すインサート式エンドミルの底面図である。
【図3】図1に示すインサート式エンドミルに備えられた基準取付座の側面拡大図である。
【図4】図1に示すインサート式エンドミルに備えられた調整取付座の側面拡大図である。
【図5】図4に示す調整取付座に具備された調整ピースの正面図である。
【図6】図5に示す調整ピースの側面断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 インサート式エンドミル
2 工具本体
2A シャンク部
2B 刃先部
3 チップポケット
4A 基準取付座
4B 調整取付座
5 刃先部径方向外側を向く壁面
7 クランプネジ
8 当接面
9 孔部
10 調整ネジ孔
11 調整ピース
12 押圧部
13 拡径孔
14 小径孔
15 スリット
16 調整ネジ
18 頭部
21 インサート
23 切刃部
25 すくい面
26 切刃




 

 


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