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発明の名称 難削材の高速重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−130743(P2007−130743A)
公開日 平成19年5月31日(2007.5.31)
出願番号 特願2005−328990(P2005−328990)
出願日 平成17年11月14日(2005.11.14)
代理人 【識別番号】100076679
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 和夫
発明者 西田 真 / 功刀 斉 / 石井 剛
要約 課題
難削材の高速重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具を提供する。

解決手段
表面被覆切削工具の硬質被覆層を、下部層と上部層とで構成し、(a)下部層としては、0.5〜15μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、(b)上部層としては、化学蒸着形成した状態で、AlとCrの複合酸化物の素地に、AlとCrとSiの複合酸化物からなる分散相が分散分布した組織を有し、かつ、Crの含有割合は、上部層中に含有されるAlとCrの合量に対する割合(原子比)で、0.05〜0.35を満足し、また、Siの含有割合は、上部層中に含有されるAlとCrとSiの合量に対する割合(原子比)で、0.01〜0.10を満足し、さらに、0.5〜13μmの平均層厚を有する複合酸化物層、を形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
炭化タングステン基超硬合金基体または炭窒化チタン基サーメット基体の表面に、
(a)下部層として、いずれも化学蒸着形成された、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2種以上で構成され、かつ0.5〜15μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
(b)上部層として、化学蒸着形成した状態で、AlとCrの複合酸化物の素地に、AlとCrとSiの複合酸化物からなる分散相が分散分布した組織を有し、
かつ、前記上部層におけるCrの含有割合は、上部層中に含有されるAlとCrの合量に対する割合(原子比)で、0.05〜0.35を満足し、
また、前記上部層におけるSiの含有割合は、上部層中に含有されるAlとCrとSiの合量に対する割合(原子比)で、0.01〜0.10を満足し、
さらに、0.5〜13μmの平均層厚を有する複合酸化物層、
上記の下部層と上部層で構成された硬質被覆層を形成してなる、難削材の高速重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、硬質被覆層がすぐれた高温硬さ・耐熱性・高温強度を備えるとともにすぐれた高温潤滑性を示し、したがって、特にステンレス鋼、高マンガン鋼などの粘性の高い難削材を、高い発熱を伴うとともに切刃部への機械的負荷が大きな高切り込みや高送りなどの高速重切削条件下で切削加工を行なった場合にも、すぐれた耐チッピング性を発揮する、炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された基体の表面に、化学蒸着により硬質被覆層を形成してなる表面被覆切削工具(以下、被覆切削工具という)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、被覆切削工具として、炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金または炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)基サーメットからなる基体(以下、これらを総称して工具基体と云う)の表面に、
(a)いずれも化学蒸着形成されたTiの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうちの1層または2層以上からなり、かつ0.5〜15μmの全体平均層厚を有するTi化合物層からなる下部層、
(b)0.5〜13μmの平均層厚を有し、AlとCrの合量に対するCrの含有割合が、原子比で、0.05〜0.35を満足する化学蒸着形成したAlとCrの複合酸化物(以下、(Al,Cr)で示す)層からなる上部層、
上記の下部層と上部層で構成された硬質被覆層を形成してなる被覆切削工具が知られている。
また、上記の従来被覆切削工具の硬質被覆層を構成する上部層である(Al,Cr)層が、Alによる高温硬さおよび耐熱性と、Crによる高温強度を具備することから、かかる被覆切削工具を各種の鋼や鋳鉄などの連続切削や断続切削加工に用いた場合にすぐれた切削性能を発揮することも知られている。
【0003】
さらに、上記の従来被覆切削工具が、例えば図1に概略縦断面図で示される通り、中央部にステンレス鋼製の反応ガス吹き出し管が立設され、前記反応ガス吹き出し管には、図2(a)に概略斜視図で、同(b)に概略平面図で例示される黒鉛製の工具基体支持パレットが串刺し積層嵌着され、かつこれらがステンレス鋼製のカバーを介してヒーターで加熱される構造を有する化学蒸着装置を用い、工具基体を前記工具基体支持パレットの底面に形成された多数の反応ガス通過穴位置に図示される通りに載置した状態で前記化学蒸着装置に装入し、ヒータで装置内を、例えば850〜1050℃の範囲内の所定の温度に加熱した後、まず、硬質被覆層の下部層として、例えば表3に示される形成条件でTi化合物層を形成し、ついで、
(a)反応ガス組成:容量%で(以下、反応ガスの%は容量%を示す)、
AlCl: 1.3〜2.2 %、
CrCl: 0.1〜0.8 %、
CO: 3〜12 %、
HCl: 1〜5 %、
:残り、
(b)反応雰囲気温度: 980〜1050 ℃、
(c)反応雰囲気圧力: 10〜20 kPa、
の条件で、上記の(Al,Cr)層からなる上部層を形成することにより製造されることも知られている。
【0004】
また、一般に、上記の従来被覆切削工具の硬質被覆層の下部層を構成するTi化合物層や(Al,Cr)層が粒状結晶組織を有し、さらに、前記Ti化合物層を構成するTiCN層を、層自身の強度向上を目的として、通常の化学蒸着装置にて、反応ガスとしてCHCNなどの有機炭窒化物を含む混合ガスを使用し、700〜950℃の中温温度域で化学蒸着することにより形成して縦長成長結晶組織をもつようにすることも知られている。
【特許文献1】特開昭54−153758号公報
【特許文献2】特開平6−8010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の切削加工装置のFA化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削加工は、通常の切削条件に加えて、より高速条件下での高効率の切削加工が要求される傾向にあるが、上記の従来被覆切削工具においては、これをステンレス鋼、高マンガン鋼などの難削材の、高い発熱を伴う高送り、高切り込みの高速重切削条件下で切削加工を行った場合には、特に硬質被覆層の上部層を構成する(Al,Cr)層の強度不足、潤滑性不足が原因となって、切刃部にチッピング(微小割れ)が発生し易くなり、この結果比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、特にステンレス鋼、高マンガン鋼などの難削材の高速重切削加工で、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する被覆切削工具を開発すべく、上記の従来被覆切削工具を構成する硬質被覆層に着目し、研究を行った結果、
(A)上記の化学蒸着装置を用いて、被覆切削工具の硬質被覆層の上部層を、
(a)反応ガス組成:
AlCl: 1.3〜2.2 %、
CrCl: 0.1〜0.8 %、
SiCl: 0.03〜0.23 %、
CO: 3.0〜12.0 %、
HCl: 1.0〜5.0 %、
:残り、
(b)反応雰囲気温度: 900〜960 ℃、
(c)反応雰囲気圧力: 5〜7 kPa、
の条件で形成すると、この結果形成された上部層は、AlとCrの複合酸化物(以下、Al−Cr素地複合酸化物という)からなる素地に、AlとCrとSiの複合酸化物(以下、Al−Cr−Si分散複合酸化物という)からなる分散相が分散分布した組織を有し、さらに、上記上部層におけるCrの含有割合は、上部層中に含有されるAlとCrの合量に対する割合(原子比)で、0.05〜0.35を満足し、また、上記上部層におけるSiの含有割合は、上部層中に含有されるAlとCrとSiの合量に対する割合(原子比)で、0.01〜0.10を満足すること。
【0007】
(B)上記の上部層は、素地を構成するAl−Cr素地複合酸化物自体の有するすぐれた高温硬さ、耐熱性および高温強度に加え、Al−Cr−Si分散複合酸化物からなる分散相が素地に分散分布することによって、上部層の高温潤滑性の改善が図られるばかりか、分散相による素地の微細化作用によって強度の向上も図られるので、硬質被覆層の上部層がAl−Cr素地複合酸化物とAl−Cr−Si分散複合酸化物からなる被覆切削工具は、特にステンレス鋼、高マンガン鋼などの難削材の切削加工を、高い発熱を伴い、かつ、切刃部への機械的負荷が大きなものとなる高切り込みや高送りなどの高速重切削条件で行なった場合にも、切刃部への切粉の溶着が発生することもなく硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮するようになること。
以上(A)および(B)に示される研究結果を得たのである。
【0008】
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、工具基体の表面に、
(a)下部層として、いずれも化学蒸着形成された、TiC層、TiN層、TiCN層、TiCO層、およびTiCNO層のうちの1層または2種以上で構成され、かつ0.5〜15μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
(b)上部層として、化学蒸着形成した状態で、AlとCrの複合酸化物の素地に、AlとCrとSiの複合酸化物からなる分散相が分散分布した組織を有し、
かつ、前記上部層におけるCrの含有割合は、上部層中に含有されるAlとCrの合量に対する割合(原子比)で、0.05〜0.35を満足し、
また、前記上部層におけるSiの含有割合は、上部層中に含有されるAlとCrとSiの合量に対する割合(原子比)で、0.01〜0.10を満足し、
さらに、0.5〜13μmの平均層厚を有する複合酸化物層、
上記の下部層と上部層で構成された硬質被覆層を形成してなる、難削材の高速重切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する被覆切削工具に特徴を有するものである。
【0009】
つぎに、この発明の被覆切削工具において、これを構成する硬質被覆層の構成を上記の通りに限定した理由を説明する。
(1)下部層
Ti化合物層からなる下部層は、基本的には上部層(AlとCrの複合酸化物の素地に、AlとCrとSiの複合酸化物からなる分散相が分散分布した組織を有する複合酸化物層)の下部層として存在し、自身の具備するすぐれた高温強度によって硬質被覆層の高温強度向上に寄与するほか、工具基体と上部層のいずれにも強固に密着し、よって硬質被覆層の工具基体に対する密着性を向上させる作用を有するが、その合計平均層厚が0.5μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その合計平均層厚が15μmを越えると、切削時の発生熱によって偏摩耗の原因となる熱塑性変形を起し易くなることから、その合計平均層厚を0.5〜15μmと定めた。
【0010】
(2)上部層
上記したとおり、上部層の素地を構成するAl−Cr素地複合酸化物におけるAl成分は高温硬さおよび耐熱性、同Cr成分は高温強度を向上させ、さらに、上部層の分散相を構成するAl−Cr−Si分散複合酸化物は、素地の微細化作用によってAl−Cr素地複合酸化物からなる素地の強度を向上させると同時に、高温潤滑性を高める作用がある。
ただ、前記Al−Cr素地複合酸化物あるいはAl−Cr−Si分散複合酸化物として上部層に含有されるCrの含有割合が、上部層全体に含有されるAlとCrの合量に対するCrの含有割合(原子比)として0.35を越えると、相対的にAlの含有割合が低くなることから、素地自体の高温硬さおよび耐熱性の低下は避けられず、これが摩耗促進の原因となり、一方、Crの含有割合(原子比)が0.05未満になると、素地自体の高温強度の低下は避けられず、この結果チッピングなどが発生し易くなることから、上部層全体に含有されるAlとCrの合量に対するCrの含有割合(原子比)は、0.05〜0.35と定めた。
また、上記素地に分散するAl−Cr−Si分散複合酸化物からなる分散相について、上部層中に含有されるAlとCrとSiの合量に対するSiの含有割合(原子比)が0.01未満では、Al−Cr−Si分散複合酸化物の生成量が少ないため、潤滑性改善の程度は小さく、また、分散相による素地微細化作用も不十分であって、そのため難削材の重切削加工において要求される潤滑性、高温強度を満足することはできず、一方、その含有割合が0.10を越えると、高温潤滑性の改善は図られるにしても、Al−Cr−Si分散複合酸化物からなる分散相が粗大化するため更なる高温強度の向上は望めず、また、素地自体の高温硬さおよび耐熱性にも低下傾向が現れ、結果として、上部層の摩耗が促進するようになることから、上部層中に含有されるAlとCrとSiの合量に対するSiの含有割合(原子比)は、0.01〜0.10と定めた。
さらに、その上部層の平均層厚が0.5μm未満では、所望の耐摩耗性を長期に亘って確保することができず、一方その平均層厚が13μmを越えると、チッピングが発生し易くなることから、上部層の平均層厚を0.5〜13μmと定めた。
【発明の効果】
【0011】
この発明の被覆切削工具は、硬質被覆層の上部層が、素地の有するすぐれた高温硬さと耐熱性に加えて、分散相の分散によるすぐれた潤滑性、および素地微細化作用によるすぐれた高温強度を具備するようになるので、ステンレス鋼、高マンガン鋼などの難削材の切削加工を、高い発熱を伴い、切刃部への機械的負荷が大きなものとなる高切り込みや高送りなどの高速重切削条件で行なった場合にも、下部層であるTi化合物層の具備するすぐれた層間密着性および高温強度と相俟って、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を示し、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
つぎに、この発明の被覆切削工具を実施例により具体的に説明する。
【実施例】
【0013】
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、TiN粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、100MPa の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を6Paの真空中、温度:1400℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07のホーニング加工を施してISO規格・CNMG120408のチップ形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A1〜A10を形成した。
【0014】
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比で、TiC/TiN=50/50)粉末、MoC粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を2kPaの窒素雰囲気中、温度:1500℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07のホーニング加工を施してISO規格・CNMG120408のチップ形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体B1〜B6を形成した。
【0015】
つぎに、上記の工具基体A1〜A10およびB1〜B6のそれぞれを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した後、図1に示される化学蒸着装置内に、第2図に示される工具基体支持パレットの位置決め穴に載置した状態で装入し、まず、表3(表3中のl−TiCNは特開平6−8010号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつTiCN層の形成条件を示すものであり、これ以外は通常の粒状結晶組織の形成条件を示すものである)に示される通常の条件にて、表6に示される組み合わせおよび目標層厚のTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成し、ついで、表4に示される条件で、かつ同じく表6に示される目標層厚の上部層を蒸着形成することにより、本発明被覆切削工具である本発明表面被覆スローアウエイチップ(以下、本発明被覆チップと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
【0016】
また、比較の目的で、これら工具基体A1〜A10およびB1〜B6を、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した後、同じくそれぞれ図1,2に示される通常の化学蒸着装置に装入し、それぞれ表5に示される条件で、表7に示される目標層厚の上部層を蒸着形成する以外は同一の条件で、従来被覆切削工具としての従来表面被覆スローアウエイチップ(以下、従来被覆チップと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
【0017】
つぎに、上記本発明被覆チップ1〜16および従来被覆チップ1〜16について、これを工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、
被削材:JIS・SUS304の丸棒、
切削速度: 350 m/min.、
切り込み: 5.0 mm、
送り: 0.3 mm/rev.、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件Aという)でステンレス鋼の乾式連続高切り込み切削加工試験(通常の切削速度および切り込み量は、それぞれ150m/min.、1.5mm)、
被削材:JIS・SMn443の長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 400 m/min.、
切り込み: 4.0 mm、
送り: 0.2 mm/rev.、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件Bという)でマンガン鋼の乾式断続高切り込み切削加工試験(通常の切削速度および切り込み量は、それぞれ200m/min.、1.5mm)、さらに、被削材:JIS・SUS316の丸棒、
切削速度: 300 m/min.、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.6 mm/rev.、
切削時間: 5 分、
の条件(切削条件Cという)でステンレス鋼の乾式連続高送り切削加工試験(通常の切削速度および送りは、それぞれ150m/min.、0.3mm/rev.)、を行い、いずれの切削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。
この測定結果を表8に示した。
【0018】
【表1】


【0019】
【表2】


【0020】
【表3】


【0021】
【表4】


【0022】
【表5】


【0023】
【表6】


【0024】
【表7】


【0025】
【表8】


【0026】
この結果得られた本発明被覆チップ1〜16および従来被覆チップ1〜16を構成する硬質被覆層の上部層および下部層について、その組成を、オージェ分光分析装置を用いて測定したところ、いずれも目標組成と実質的に同じ組成を示し、さらに、硬質被覆層を構成する上部層および下部層の平均層厚も目標層厚と実質的に同じ値を示した。
【0027】
表6〜8に示される結果から、硬質被覆層の上部層が、Al−Cr素地複合酸化物からなる素地に、Al−Cr−Si分散複合酸化物からなる分散相が分散分布した組織を有する本発明被覆チップ1〜16は、いずれもステンレス鋼、高マンガン鋼などの難削材の切削加工を、切刃部への機械的負荷が大きく高い発熱を伴う高切り込みや高送りなどの高速重切削条件で行なった場合にも、硬質被覆層がすぐれた潤滑性、耐チッピング性を発揮し、すぐれた耐摩耗性を長期に亘って発揮するのに対して、硬質被覆層の上部層が、AlとCrの複合酸化物からなる従来被覆チップ1〜16においては、特に前記上部層の潤滑性不足、高温強度不足が原因して、チッピングが発生し易く、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
【0028】
上述のように、この発明の被覆切削工具は、通常の条件での切削加工は勿論のこと、特にステンレス鋼、高マンガン鋼などの難削材の切削加工を、高切り込みや高送りの高速重切削条件で行なった場合にも、すぐれた耐チッピング性を発揮し、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を示すものであるから、切削装置のFA化、並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】被覆切削工具を構成する硬質被覆層を形成するのに用いた化学蒸着装置を示す概略縦断面図である。
【図2】化学蒸着装置の構造部材である工具基体支持パレットを示し、(a)が概略斜視図、(b)が概略平面図である。




 

 


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