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発明の名称 穴加工工具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−130739(P2007−130739A)
公開日 平成19年5月31日(2007.5.31)
出願番号 特願2005−328524(P2005−328524)
出願日 平成17年11月14日(2005.11.14)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 滝口 正治
要約 課題
切刃の工具本体径方向の位置を調整して寸法公差の小さい加工穴を成形可能であり、切刃の位置調整を簡単にかつ精度良く行うことができる穴加工工具を提供する。

解決手段
工具本体12の先端部に凹部19が形成され、凹部19の工具回転方向T後方側に取付座20が形成され、取付座20にインサート30が取り付けられ、インサート30の工具本体12径方向外側を向く面32にバックテーパが付されており、取付座20の工具本体12径方向外側を向く壁面にクランプネジ孔が穿設されるとともに、取付座20の工具回転方向T後方側に、インサート30の被押圧面を押圧して、工具本体12径方向位置を調整する調整ネジ27を収容した調整ネジ孔26が、ひとつの取付座20にひとつずつ具備され、調整ネジ孔26は、クランプネジ孔よりも工具本体12先端側に形成されていることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
被切削材に予め形成された下穴に挿入されて、該下穴の内壁面を切削加工する穴加工工具であって、
軸線回りに回転される工具本体の先端部には、前記工具本体先端側及び前記工具本体径方向外側に向けて開口された凹部が形成され、該凹部の工具回転方向後方側に取付座が形成されており、
該取付座には、切刃を有する平板状インサートが、その厚さ方向を前記工具本体径方向に向けて取り付けられ、該インサートの前記工具本体径方向内側を向く面が着座面とされ、前記インサートの前記工具回転方向後方側を向く面が被押圧面とされ、前記インサートの前記工具回転方向前方側を向く面がすくい面とされ、このすくい面の前記工具本体径方向外側の稜線部に前記切刃が形成され、前記インサートの前記工具本体径方向外側を向く面には、前記工具本体後端側に向かうに従い漸次前記工具本体径方向内側に向けて後退するようにバックテーパが付されており、
前記取付座の前記工具本体径方向外側を向く壁面にはクランプネジ孔が穿設されて、該クランプネジ孔にクランプネジが螺着されて前記インサートが装着されるとともに、前記取付座の前記工具回転方向後方側には、前記インサートの前記被押圧面を押圧して、前記切刃の前記工具本体径方向位置を調整する調整ネジを収容した調整ネジ孔が、ひとつの前記取付座にひとつずつ具備されており、
前記調整ネジ孔は、前記クランプネジ孔よりも前記工具本体先端側に形成されていることを特徴とする穴加工工具。
【請求項2】
前記工具本体には、前記軸線を中心として180°回転対称に一対の前記取付座が備えられており、
一方の前記取付座の前記工具本体径方向外側を向く壁面から、他方の前記取付座の前記工具本体径方向外側を向く壁面へと貫通する貫通孔が形成されており、該貫通孔の一端側が一方の前記取付座の前記クランプネジ孔とされ、前記貫通孔の他端側が他方の前記取付座の前記クランプネジ孔とされていることを特徴とする請求項1に記載の穴加工工具。
【請求項3】
前記インサートには、ダイヤモンド焼結体で構成された切刃部が備えられており、該切刃部に、前記切刃が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の穴加工工具。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、被切削材に予め形成された下穴に挿入されて、下穴の内壁面を切削加工する穴加工工具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の穴加工工具としては、軸線回りに回転される長尺円柱状の工具本体の先端部に、切刃を備えた刃先部がろう付けされたリーマが知られている。このリーマが、軸線回りに回転されるとともに軸線方向に送りを与えられて、被切削材に予め形成された下穴に挿入され、該下穴の内壁面を、刃先部に形成された切刃によって切削し、所定の内径の加工穴を形成するものである。
【0003】
ところで、このように刃先部が工具本体にろう付けされたものでは、切刃の径方向の位置調整を行うことができず、ろう付け精度によって切刃位置が決定してしまう。このため、被切削材に形成する加工穴に対して要求される寸法公差が非常に小さい場合には、この加工穴の加工に対応できない場合があった。
【0004】
そこで、例えば特許文献1に示すように、工具本体の先端に、切刃を有するインサートを着脱可能に取り付けて、このインサートに設けられた切刃の工具本体径方向の位置を調整できる径調整機構を備えたインサート式のリーマが提供されている。図7に、従来の径調整機構を有するインサート式のリーマの一例を示す。
【0005】
図7に示すリーマ1は、軸線O回りに回転される長尺円柱状の工具本体2を有し、工具本体2の先端側外周に、切刃3を有するインサート4がクランプネジ5によって固定されている。インサート4の切刃3が、工具本体2径方向外側及び工具本体2先端側に向けられており、インサート4の工具本体2の径方向内側には、インサート4の位置を調整する調整機構6として、インサート4の工具本体2後端側に配置された第1調整ネジ7と工具本体2先端側に配置された第2調整ネジ8の2つの調整ネジ7、8が備えられており、これら2つの調整ネジ7、8の先端面がインサート4の工具本体2径方向内側を向く面に当接されている。
【0006】
この構成のリーマ1においては、インサート4の切刃3の位置調整を行う際に、第1調整ネジ7及び第2調整ネジ8を使用して、インサート4に形成された切刃3の軸線Oに対する傾斜角(バックテーパ)と工具本体2径方向の位置を調整することができ、所定の内径の加工穴を寸法精度良く形成することができ、加工穴に要求される寸法公差が小さい場合であっても対応することができる。また、前記バックテーパを適正に付すことにより、加工穴の内壁面とインサートとの無用な接触を防止して、切削抵抗を低減することができる。
【特許文献1】特開2002−160125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この構成のリーマ1においては、工具本体2の先端部に、インサート4の取付座と、クランプネジ5が螺着されるクランプネジ孔と、2つの調整ネジ7、8を収容する調整ネジ孔とを形成する必要があり、工具本体2を切り欠く部分が大きくなり、工具本体2の剛性が不足してしまう。特に、小径のリーマであった場合には、これら取付座とクランプネジ孔と調整ネジ孔とを形成するスペースがないために、このような調整機構6を有するインサート4式のリーマを提供することができなかった。
【0008】
また、バックテーパを調整する調整機構6と工具本体2径方向位置を調整する調整機構6とが同一の第1、第2調整ネジ7、8であるので、例えば、バックテーパを調整した後に工具本体2径方向の位置を調整する際に、既に調整したバックテーパが変化してしまい、再度調整する必要が生じることがあり、インサート4の位置調整に多くの時間と労力が必要となり、インサート4の位置調整を簡単に行うことができないものであった。
【0009】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、インサートに備えられた切刃の工具本体径方向の位置を調整して、寸法公差の小さな加工穴の成形が可能であるとともに、インサートの位置調整を簡単にかつ精度良く行うことができる穴加工工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題を解決するために、この発明は、被切削材に予め形成された下穴に挿入されて、該下穴の内壁面を切削加工する穴加工工具であって、軸線回りに回転される工具本体の先端部には、前記工具本体先端側及び前記工具本体径方向外側に向けて開口された凹部が形成され、該凹部の工具回転方向後方側に取付座が形成されており、該取付座には、切刃を有する平板状インサートが、その厚さ方向を前記工具本体径方向に向けて取り付けられ、該インサートの前記工具本体径方向内側を向く面が着座面とされ、前記インサートの前記工具回転方向後方側を向く面が被押圧面とされ、前記インサートの前記工具回転方向前方側を向く面がすくい面とされ、このすくい面の前記工具本体径方向外側の稜線部に前記切刃が形成され、前記インサートの前記工具本体径方向外側を向く面には、前記工具本体後端側に向かうに従い漸次前記工具本体径方向内側に向けて後退するようにバックテーパが付されており、前記取付座の前記工具本体径方向外側を向く壁面にはクランプネジ孔が穿設されて、該クランプネジ孔にクランプネジが螺着されて前記インサートが装着されるとともに、前記取付座の前記工具回転方向後方側には、前記インサートの前記被押圧面を押圧して、前記切刃の前記工具本体径方向位置を調整する調整ネジを収容した調整ネジ孔が、ひとつの前記取付座にひとつずつ具備されており、前記調整ネジ孔は、前記クランプネジ孔よりも前記工具本体先端側に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
この構成の穴加工工具では、インサートの位置調整する調整ネジが、ひとつの取付座にひとつずつ配置されているので、この調整ネジのねじ込み量を調整するのみで、インサートに備えられた切刃の工具本体径方向位置を調整することができる。ここで、バックテーパについては、インサートを取付座に取り付けた時点で予め付されており、調整ネジでインサートを押圧した場合には、調整ネジがクランプネジよりも工具本体先端側に配置されているので、バックテーパが大きくなる方に変位することになる。したがって、インサートと加工穴の内壁面とが無用に接触することがなく、切削抵抗の増加を防止することができる。このようにバックテーパを調整することなく、切刃の工具本体径方向位置を調整すれば良いので、切刃の位置調整を簡単に行うことができる。
【0012】
さらに、インサートとして、平板状をなしてその厚さ方向を前記工具本体径方向に向けて取り付けられ、工具回転方向前方側を向く面がすくい面とされるとともに、工具本体径方向内側を向く面が着座面とされた、いわゆる縦刃のインサートを取り付けているので、インサートの厚さ方向を工具本体の径方向と略一致するようにして取り付けることができ、取付座を形成するために工具本体を切り欠く部分を小さくすることができる。また、調整ネジがひとつの取付座にひとつのみ形成されているので、やはり工具本体を切り欠く部分を小さくすることができる。したがって、小径の穴加工工具であっても径調整可能なインサート式の穴加工工具とすることができる。したがって、加工穴を寸法精度良く形成することができ、寸法公差の小さな加工穴の加工にも対応することができる。
【0013】
ここで、前記工具本体に、前記軸線を中心として180°回転対称に一対の前記取付座を設け、一方の前記取付座の前記工具本体径方向外側を向く壁面から、他方の前記取付座の前記工具本体径方向外側を向く壁面へと貫通する貫通孔を形成し、該貫通孔の一端側を一方の前記取付座の前記クランプネジ孔とし、前記貫通孔の他端側を他方の前記取付座の前記クランプネジ孔とすることにより、2つの取付座を設けても工具本体を切り欠く部分を小さくすることができ、工具本体の剛性を確保することができる。
【0014】
したがって、小径の穴加工工具であっても、2つのインサートを取り付けることができ、下穴の内壁面の切削加工をスムーズに行うことができる。また、工具本体の剛性が確保されているので、この穴加工工具を高速回転した際の振れが防止され、加工穴を精度良く形成することができる。さらに、2つのインサートが180°回転対称に配置されているので、この穴加工工具の動バランスを確保することができ、高速回転時の穴加工工具の振れを確実に抑えることができる。
【0015】
さらに、前記インサートとして、ダイヤモンドで構成された切刃部を備え、該切刃部に、前記切刃が形成されたものを用いることにより、切刃の耐摩耗性を向上させることができ、このインサートの寿命延長を図ることができる。
【0016】
このように本発明によれば、インサートに備えられた切刃の工具本体径方向の位置を調整して、寸法公差の小さな加工穴の成形が可能であるとともに、インサートの位置調整を簡単にかつ精度良く行うことができる穴加工工具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態である穴加工工具について添付した図面を参照にして説明する。図1から図5に、本発明の実施形態である穴加工工具としてのリーマを示す。また、図6に、このリーマが装着された切削工具を示す。
このリーマ11には、軸線Oを中心とした長尺円柱状の工具本体12が備えられており、工具本体12は、超硬合金で構成された後部部材12Aと鋼材で構成された先端部材12Bとを有している。
【0018】
先端部材12Bの後端面には、中央部分が先端側に向けて凹んだV字溝13が、その溝底部を軸線Oに直交させてV字の2等分線が軸線O上に位置するように形成されている。また、後部部材12Aの先端面には、前記V字溝13に嵌合可能な断面凸V字の凸状部14が、そのV字の稜線をやはり軸線Oに直交させてV字の2等分線が軸線O上に位置するように形成されている。これらV字溝13と凸状部14とを嵌合させてろう付けすることにより、工具本体12が一体に形成されているのである。
【0019】
図6に示すように、工具本体12の後端側(後部部材12Aの後端側)には、このリーマ11を切削工具40に装着するための装着部15が設けられており、この装着部15には、軸線Oに対して工具本体12先端側に向かうに従い漸次軸線Oに近づくように傾斜する傾斜平面16が形成されている。
また、この工具本体12には、軸線Oに沿って延びて後端面から先端面まで貫通したクーラント供給孔17が形成されており、このクーラント供給孔17は先端部材12Bの先端面に開口している。
【0020】
この工具本体12の先端側には、工具本体12の先端側及び径方向外側に向けて開口された凹部19が、軸線Oと平行に後端側へ向けて延びて後部部材12Aの長さの中央付近まで達するように形成されている。この凹部19は、図5に示すように、軸線Oに直交する断面が工具本体12径方向内側に向けて凹んだ凹曲線状をなしている。なお、本実施形態では、工具本体12に一対の凹部19、19が形成されており、これら一対の凹部19、19が軸線Oを中心として180°回転対称に配置されている。
【0021】
そして、この凹部19の工具本体12先端側及び工具回転方向T後方側には、切刃を有するインサート30を取り付けるための取付座20が形成されている。この取付座20には、工具回転方向T前方側を向く壁面21と工具本体12径方向外側を向く壁面22とが備えられており、この取付座20が形成された部分の軸線Oに直交する断面は、図3及び図4に示すように、凹部19をなす凹曲線の一端が取付座20の工具本体12径方向外側を向く壁面22に連なるように構成されている。
【0022】
ここで、本実施形態では、それぞれの凹部19、19に取付座20、20が形成され、つまり、この工具本体12は一対の取付座20、20を有しており、これら一対の取付座20、20は軸線Oを中心として180°回転対称に配置されている。図3及び図4に示すように、これら一対の取付座20、20が有する工具本体12径方向外側を向く壁面22、22は、軸線Oを挟んで平行に配置されている。工具本体12には、これらの工具本体12径方向外側を向く壁面22、22に開口するように、軸線Oと交差して垂直に延びるように1つの貫通孔23が形成されている。そして、それぞれの工具本体12径方向外側を向く壁面22、22に開口した部分がクランプネジ25をねじ込むためのクランプネジ孔24とされている。
【0023】
また、図3に示すように、取付座20の工具回転方向T後方側には調整ネジ孔26が形成されており、この調整ネジ孔26の一端が取付座20の工具回転方向T前方側を向く壁面21に開口され、他端が工具本体12の外周面及びもう一方の凹部19の端部に開口されている。なお、この調整ネジ孔26は、取付座20の工具回転方向T前方側を向く壁面21に対して傾斜して交差するように延びるように形成されており、ひとつの取付座20にひとつずつ設けられている。そして、この調整ネジ孔26は、クランプネジ孔24よりも工具本体12先端側に形成されている。
この調整ネジ孔26に螺着される調整ネジ27は概略円柱状をなしており、その先端部分に先端側に向けて漸次縮径するテーパ部28が形成されている。
【0024】
また、工具本体12の先端側外周部には、硬質材料で構成され、外形が概略長円平板状をなすガイドパッド29が配置されている。本実施形態では、図4及び図5に示すように、一対のガイドパッド29、29が軸線Oを中心として180°回転対称に、かつ、凹部19と取付座20の工具本体12径方向外側を向く壁面22との交差部に対して、略90°の位置に配置されている。
【0025】
次に、この工具本体12に取り付けられるインサート30について説明する。
インサート30は、図1及び図3に示すように、概略四角形平板状をなしており、その厚さ方向を向く一方の面31が平面状に形成され、厚さ方向を向く他方の面32が外側に向けて凸となる凸曲面状に形成されている。この厚さ方向を向く一方の面31が前記取付座20への着座面とされ、厚さ方向を向く他方の面32が外周逃げ面とされている。なお、本実施形態においては、厚さ方向を向く他方の面32がなす凸曲面の軸線Oに直交する断面における凸曲線の曲率半径は、工具本体12の外半径と略一致するように形成されている。
【0026】
インサート30には、クランプネジ25を挿通するための挿通孔33が、平面状に形成された厚さ方向を向く一方の面31に垂直に延びて厚さ方向に貫通するように形成されている。この挿通孔33の凸曲面状に形成された厚さ方向を向く他方の面32側の開口部には、クランプネジ25の頭部25Aを収容可能な大径部33Aが形成されており、この厚さ方向を向く一方の面31側に向けて縮径するテーパ孔33Bが形成されている。
【0027】
このインサート30の側面部のうちのひとつがすくい面34とされており、このすくい面34をなす側面部の一端側に、ダイヤモンド焼結体で構成された平板状の切刃部35が配置されている。この切刃部35の前記厚さ方向を向く他方の面32との交差稜線部に外周刃35が形成され、この外周刃35に連なる稜線部に底刃37が形成されており、いわゆる、縦刃のインサート30とされている。
【0028】
外周刃35は、底刃37から離れるにしたがい漸次インサート30の内側に後退するように形成されている。言い換えると、すくい面34とされた側面に対向する側から見て、厚さ方向を向く他方の面32が、切刃部35から離れるにしたがい漸次厚さ方向を向く一方の面31に対して近づくようにされているのである。
【0029】
また、すくい面34とされた側面部の反対側に位置する側面部は、外側に向けて凸V字状をなす2つの平面から構成されており、厚さ方向を向く一方の面31側に位置する平面が被押圧面38とされ、厚さ方向を向く他方の面32側に位置する平面が、取付座20の工具回転方向Tの前方側を向く壁面21に当接される当接面39とされている。
【0030】
このような構成とされたインサート30が工具本体12の取付座20に取り付けられる。すくい面34とされる側面部が工具回転方向T前方側を向くようにして、取付座20の工具本体12径方向外側を向く壁面22にインサート30の厚さ方向を向く一方の面31(着座面)が当接するとともに、取付座20の工具回転方向T前方側を向く壁面21にインサート30の当接面39が当接するようにして、インサート30を載置する。
【0031】
インサート30の挿通孔33にクランプネジ25が挿通されるとともに、取付座20の工具本体12径方向外側を向く壁面22に開口されたクランプネジ孔24に螺着されて、インサート30が取付座20に固定される。ここで、取付座20の工具回転方向T後方側に設けられた調整ネジ孔26に螺着された調整ネジ27をねじ込むことで、調整ネジ27の先端に形成されたテーパ部28がインサート30の被押圧面38に当接されることになる。
【0032】
このようにしてインサート30を取り付けることにより、工具本体12先端側に向けて底刃37が配置され、工具本体12径方向外側に向けて外周刃35が配置されることになる。ここで、外周刃35は、底刃37から離れるにしたがい漸次インサート30の内側に後退するように形成されているので、この外周刃35にはバックテーパが付されていることになる。
また、本実施形態では、図3に示すように、インサート30のすくい面34が、軸線Oに垂直な断面において、凹部19及び工具本体12径方向外側を向く壁面22の交差部と軸線Oとを結ぶ直線に沿うように配置されることになる。
【0033】
このように構成されたリーマ11は、図6に示す切削工具40に装着されて使用される。切削工具40は、軸線M回りに回転される多段円柱状の本体部41を有し、この本体部41の先端面41Aに軸線Mに沿うように延びる装着孔42が穿設されている。この装着孔42の本体部41後端側には、位置調整ボルト43を収容したクーラント孔44が、前記装着孔42に連通するように設けられており、一端が本体部41後端側に設けられた取付部45に開口されている。
また、本体部41の側面に開口して装着孔42に連通された固定ネジ孔46が形成され、固定ネジ47が螺着されている。さらに、この固定ネジ孔46よりも先端側部分には、リーマ11の振れを調整するための複数の振れ調整ネジ48が、周方向に等間隔に、かつそれぞれ軸線Mに垂直に、リーマ11の後部部材12A外周面に当接可能に螺着されている。
【0034】
リーマ11は、本体部41の先端面に穿設された装着孔42に挿入され、リーマ11の軸線M方向の位置調整を位置調整ボルト43にて行った後、工具本体12の後端面が位置調整ボルト43の先端面に当接させられるとともに装着部15の傾斜平面16が本体部41の固定ネジ孔46が設けられた方向に向くように配置される。そして、リーマ11の軸線Oと本体部41の軸線Mとが一致するように、複数の振れ調整ネジ48によって位置調整し、本体部41の固定ネジ孔46に螺着された固定ネジ47をねじ込んで傾斜平面16を押圧することにより、リーマ11が本体部41に固定される。
【0035】
このようにリーマ11が装着された切削工具40は、工作機械の主軸端に取付部45を介して取り付けられ、軸線M(軸線O)回りに回転されるとともに軸線M(軸線O)先端方向に向けて送られ、リーマ11が被切削材に形成された下穴に挿入され、この下穴の内壁面を切削して所定の内径の加工穴を形成するものである。
【0036】
この構成のリーマ11では、インサート30の径方向の位置調整する調整ネジ27が、ひとつの取付座20にひとつずつ配置されているので、この調整ネジ27のねじ込み量を調整することで、インサート30の工具本体12径方向位置を調整することができる。ここで、バックテーパについては、インサート30を取付座20に取り付けた時点で予め付されるように構成されるとともに、調整ネジ27がクランプネジ25よりも工具本体12先端側に配置されているので、調整ネジ27でインサート30を押圧した場合には、バックテーパが大きくなる方に変位することになる。よって、調整ネジ27でインサート30の径方向位置を調整してもバックテーパが大きく変動してインサート30と加工穴とが無用に接触することがない。このように、インサート30の径方向位置を調整するだけでよいので、インサート30の位置調整を簡単に行うことができる。
【0037】
さらに、縦刃のインサート30を、インサート30の厚さ方向を向く一方の面31を着座面として工具本体12径方向内側を向くようにして取り付けているので、取付座20を形成するために工具本体12を切り欠く部分を小さくすることができる。また、調整ネジ27がひとつの取付座20にひとつのみ形成されているので、やはり工具本体12を切り欠く部分を小さくすることができる。したがって、小径のリーマ11であっても径調整可能なインサート30式のリーマ11として、加工穴を寸法精度良く形成することができ、寸法公差の小さな加工穴の形成に対応することが可能となる。
【0038】
また、一対の取付座20が軸線Oを中心として180°回転対称に配置され、これらの取付座20の工具本体12径方向外側を向く壁面22が互いに平行に配置され、これらの工具本体12径方向外側を向く壁面22に開口するように、かつ軸線Oに直交するように延びる貫通孔23が形成されており、この工具本体12径方向外側を向く壁面22に開口した部分がクランプネジ孔24とされているので、クランプネジ孔24として工具本体12を切り欠く部分を小さくすることができ、工具本体12の剛性を確保することができる。また、これらのクランプネジ孔24を簡単に形成することができる。
【0039】
このように取付座20を形成することで、小径のリーマ11であっても、2つのインサート30を取り付けることができ、下穴の内壁面の切削加工をスムーズに行うことができる。また、剛性が確保されているので、高速回転時の振れを防止して、加工穴を精度良く形成することができる。さらに、2つのインサート30が180°回転対称に配置されているので、このリーマ11の動バランスを確保することができ、リーマ11の振れを確実に抑えることができる。
【0040】
また、インサート30として、ダイヤモンド焼結体で構成された切刃部35を備えたものを採用しているので、外周刃36及び底刃37の耐摩耗性を向上させることができ、このインサート30の寿命延長を図ることができる。
【0041】
また、工具本体12の先端側外周に、一対のガイドパッド29が配置されているので、、加工穴の内壁面とこのガイドパッド29が摺動することにより、リーマ11の振れをさらに確実に防止でき、加工穴を寸法精度良く成形することができる。さらに、この一対のガイドパッド29が、軸線Oを中心として180°回転対称に、かつ、凹部19と取付座20の工具本体12径方向外側を向く壁面22との交差部に対して、略90°の位置に配置されているので、このリーマ11の動バランスが向上し、高速回転時の振れを確実に防止することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態であるリーマについて説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、リーマを図6に示す切削工具に装着して使用するものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の切削工具やアダプタ等に装着して使用するものであっても良い。
【0043】
また、インサートとして、ダイヤモンド焼結体で構成された切刃部を備えたもので説明したが、超硬合金で一体成形されたものやcBN焼結体で構成された切刃部を有するものなどでも良い。
また、インサートの形状についても本実施形態に限定されることはなく、任意の形状のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態であるリーマの先端部側面拡大図である。
【図2】図1に示すリーマの底面図である。
【図3】図1におけるX−X断面図である。
【図4】図1におけるY−Y断面図である。
【図5】図1におけるZ−Z断面図である。
【図6】図1に示すリーマが装着された切削工具の側面図である。
【図7】従来のリーマの先端部側面拡大図である。
【符号の説明】
【0045】
11 リーマ(穴加工工具)
12 工具本体
19 凹部
20 取付座
23 貫通孔
24 クランプネジ孔
25 クランプネジ
26 調整ネジ孔
27 調整ネジ
30 インサート
31 厚さ方向を向く一方の面(着座面)
32 厚さ方向を向く他方の面(工具本体径方向外側を向く面)
34 すくい面
35 切刃部
36 外周刃(切刃)
37 底刃(切刃)
38 被押圧面




 

 


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