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発明の名称 切削工具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−130738(P2007−130738A)
公開日 平成19年5月31日(2007.5.31)
出願番号 特願2005−328523(P2005−328523)
出願日 平成17年11月14日(2005.11.14)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 滝口 正治 / 渡部 俊賀
要約 課題
切り込み量が大きくても、厚さの厚いインサートを使用することなく汎用のインサートを使用できるとともに切削速度及び送り速度を必要以上に低下させることなく効率良く切削できる切削工具を提供する。

解決手段
軸線回りに回転される工具本体の先端部外周に、インサート18を着脱自在に装着するための取付座12が形成された切削工具1であって、取付座12には、超硬合金で構成され、工具本体先端側に向けて延びるように形成された工具本体径方向外側を向く壁面と工具回転方向T前方側を向く壁面16とを有するシート部材15が配置され、シート部材15の工具回転方向T前方側を向く壁面16に、インサート18が着座され、インサート18の工具本体径方向内側を向く側面がシート部材15の前記工具本体径方向外側を向く壁面に当接されていることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
軸線回りに回転される工具本体を有し、該工具本体の先端部外周には、前記工具本体径方向外側及び前記工具本体先端側に向けて開口された凹部が備えられ、該凹部には、切刃を有するインサートを着脱自在に装着するための取付座が形成された切削工具であって、
前記取付座には、超硬合金で構成され、前記工具本体先端側に向けて延びるように形成された前記工具本体径方向外側を向く壁面と工具回転方向前方側を向く壁面とを有するシート部材が配置されており、
該シート部材の前記工具回転方向前方側を向く壁面に、切刃を有するインサートが着座され、前記インサートの前記工具本体径方向内側を向く側面が前記シート部材の前記工具本体径方向外側を向く壁面に当接されていることを特徴とする切削工具。
【請求項2】
前記シート部材の前記工具回転方向前方側を向く壁面には、前記インサートと、該インサートの工具本体後端側を向く側面に当接される押圧面を有する押圧部材とが、前記軸線方向に縦列するようにして着座されており、
前記押圧部材の前記工具本体後端側には、前記押圧部材を介して前記インサートの前記軸線方向の位置を調整するための調整ネジが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の切削工具。
【請求項3】
前記シート部材の前記工具回転方向前方側を向く壁面の厚さは、前記インサートの厚さよりも厚くされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切削工具。
【請求項4】
前記工具回転方向前方側から見て、前記工具本体径方向外側を向くように配置された前記切刃と前記軸線とがなす角度が15°以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の切削工具。
【請求項5】
前記インサートは、逃げ角の付されたポジティブインサートとされ、前記逃げ角が15°以下であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の切削工具。
【請求項6】
前記工具本体には、第2インサートが装着される第2取付座が形成され、前記第2インサートに形成された切刃が第2切刃とされ、
前記第2切刃は、前記軸線回りの回転軌跡において、前記インサートの前記切刃の前記工具本体後端側に前記軸線方向に連続して配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の切削工具。
【請求項7】
前記第2切刃は、前記インサートの前記切刃よりも、前記工具本体径方向外側に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の切削工具。
【請求項8】
前記第2インサートは、一対の多角形面を有する多角形平板状をなしており、前記多角形面の一つが前記工具本体径方向外側を向くように配置されて外周逃げ面とされ、前記工具本体先端側を向く側面が先端逃げ面とされ、前記工具回転方向前方側を向く側面がすくい面とされており、該すくい面と前記先端逃げ面及び前記外周逃げ面の交差稜線部に切刃が形成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の切削工具。
【請求項9】
前記第2取付座には、同形同大の複数の前記第2インサートが、前記軸線方向に縦列するように配置されていることを特徴とする請求項8に記載の切削工具。
【請求項10】
前記第2取付座は、周方向に複数配置された前記取付座同士の間の部分のうちの少なくとも一部に形成されていることを特徴とする請求項6から請求項9のいずれかに記載の切削工具。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具本体の先端部外周に複数のインサートが着脱可能に装着された切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被切削材に平面加工を施す切削工具として、円盤状をなす工具本体に複数のインサートが装着された正面フライスが使用されている。この種の切削工具においては、円盤状の工具本体の先端部外周に形成された多数の凹部及び取付座に、超硬合金等の硬質材料より成るインサートが着脱可能に装着されており、前記工具本体をその軸線回りに高速回転するとともに軸線と交差する方向に送りを与えることにより、前記インサートの工具本体径方向外側に向けられた切刃によって被切削材を切り込んでいくとともに、工具本体先端側に向けられた切刃によって被切削材に平面加工を施すものである。
【特許文献1】特開2001−252813号公報
【特許文献2】特開2001−246515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前述した切削工具によって平面加工が施される被切削材としては、例えば、トンネルを掘削した後にトンネルの補強材として使用されるトンネルセグメントがある。このトンネルセグメントは、概略U字平板状をなしており、U字面を重ねるようにしてトンネル内に配置されるため、このU字面、つまりトンネルセグメントの両端面を平面に仕上げる必要がある。
【0004】
しかしながら、トンネルセグメントは、通常、鋳鉄で構成された鋳物であり、その表面には凹凸が生じているものである。したがって、このトンネルセグメントの端面を切削する際には、切り込み量を大きくとらなければならなかった。しかもトンネルセグメントの切削幅は数百mm程あり、これに伴い工具本体の外径も数百mmとなって、その外周部に位置する切刃の切削速度及び切削量が大きな重切削となる。
【0005】
このため、トンネルセグメント等の鋳物の表面を切削する切削工具では、大きな切削抵抗が作用することになってインサートが欠損して、インサートの寿命が短くなってしまうことがあるため、この大きな切削抵抗に十分耐え得るように板厚の厚いインサートを使用する必要があり、汎用のインサートを使用することができず、インサートの使用コストが高くなってしまうといった問題があった。
【0006】
また、汎用のインサートを使用した場合には、切削抵抗を小さくするために切削速度及び送り速度を必要以上に低下させることになり、効率良く切削加工を行うことができないことがあった。
また、切り込み量が大きいために、切削抵抗によってインサートの位置がずれてしまい、寸法精度良く切削加工を行うことができないといった問題があった。
【0007】
また、トンネルセグメント等の鋳物では、バリ等の特に大きく突出した部分が、局所的に発生することがあり、汎用のインサートを使用した場合には、バリ等を切削することができないため、予め手作業によりバリを除去することが行われていた。このため、鋳物の表面切削には、非常に多くの労力と時間とを要していた。
【0008】
また、切削工具のみでバリ等の除去を行うためには、大型のインサートを使用するか、又は、回転軌跡においてインサートの切刃が工具軸線方向に連続するようにインサートを2列に配置する必要がある。
しかし、大型のインサートを使用した場合には、インサートの使用コストが高くなってしまうといった問題があった。
また、同一のインサートを2列配置する場合には、工具本体のスペースが限られているため、先端側に位置するインサートの数を減らす必要があり、通常の切削に使用できる切刃の数が減少してしまう。このため、切削速度を低下させる必要があり、切削加工を効率良く行うことができないといった問題があった。
【0009】
また、多数のインサートを備えた切削工具では、各インサートの切刃が工具本体の軸線回りに描く回転軌跡が一致するように、各インサートが取り付けられていなければならない。すなわち、前記切削工具には、切刃の振れ出し量が同一となるように、高い切刃振れ精度が備わっていなければならない。
しかしながら、前述のトンネルセグメント等の大型の被切削材を切削する場合には、切削工具自体も大型のものが使用されることになる。すると、この切削工具を工作機械等に取り付けた状態で切刃の振れ調整を行う場合に、作業性が悪くなり多くの労力と時間とが必要になるため、位置調整を簡単に行うことができる切削工具が望まれていた。
【0010】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、切り込み量が大きくても、厚さの厚いインサートを使用することなく汎用のインサートを使用できるとともに切削速度及び送り速度を必要以上に低下させることなく効率良く切削できる切削工具を提供することを第1の目的とする。
また、インサートの位置調整を簡単に、かつ精度良く行うことができる切削工具を提供することを第2の目的とする。
さらに、被切削材の表面に、大きく突出したバリ等が発生している場合でも、汎用のインサートを用いて切削できる切削工具を提供することを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するために、この発明は、軸線回りに回転される工具本体を有し、該工具本体の先端部外周には、前記工具本体径方向外側及び前記工具本体先端側に向けて開口された凹部が備えられ、該凹部には、切刃を有するインサートを着脱自在に装着するための取付座が形成された切削工具であって、前記取付座には、超硬合金で構成され、前記工具本体先端側に向けて延びるように形成された前記工具本体径方向外側を向く壁面と工具回転方向前方側を向く壁面とを有するシート部材が配置されており、該シート部材の前記工具回転方向前方側を向く壁面に、切刃を有するインサートが着座され、前記インサートの前記工具本体径方向内側を向く側面が前記シート部材の前記工具本体径方向外側を向く壁面に当接されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
この構成の切削工具においては、超硬合金で構成されて、工具本体径方向外側を向く壁面と工具回転方向前方側を向く壁面とを有するシート部材が配置され、このシート部材にインサートが着座されているので、このインサートによって被切削材を切削した際の切削抵抗の主分力をインサート及びシート部材の工具回転方向前方側を向く壁面で受けることができる。
したがって、切り込み量が大きい場合であっても、板厚の厚いインサートを使用する必要がなく、汎用のインサートを使用することができるので、このインサートの使用コストを大幅に低減することができる。
【0013】
さらに、前記シート部材の工具本体径方向外側を向く壁面にインサートの工具本体径方向内側を向く側面が当接されているので、切削抵抗の送り分力をこの側面とシート部材の工具本体径方向外側を向く壁面とで受けることができる。したがって、切削抵抗が大きくてもインサートの位置が安定するので、切削抵抗を低減するために必要以上に切削速度及び送り速度を低下させる必要がなく、効率良く切削加工することができるとともに、寸法精度良く切削加工することができる。
【0014】
また、前記シート部材の前記工具回転方向前方側を向く壁面に、前記インサートと、該インサートの工具本体後端側を向く側面に当接される押圧面を有する押圧部材とを、前記軸線方向に縦列するようにして着座して、前記押圧部材の前記工具本体後端側に、前記押圧部材を介して前記インサートの前記軸線方向の位置を調整するための調整ネジを配置することにより、この調整ネジをねじ込むことで、インサートを、シート部材の工具回転方向前方側を向く壁面に沿って工具本体先端側へ移動させることができる。ここで、インサートの工具本体後端側を向く面に当接される押圧面を有する押圧部材によってインサートが押圧されるので、インサートが回転してしまうことがない。
【0015】
したがって、工具本体径方向外側に向けられた前記切刃と前記軸線とがなす角度、いわゆるコーナ角と、インサートの逃げ面の逃げ角とを一定に維持したままで、インサートを工具本体先端側へと突出させることができ、切刃の振れ調整を簡単に行うことができる。
さらに、インサートの工具本体後端側に、該インサートの工具本体後端側を向く側面に当接される当接面を有する押圧部材が配置されているので、切削抵抗の背分力をインサートと押圧部材とで受けることができる。
【0016】
また、前記シート部材の前記工具回転方向前方側を向く壁面の厚さを、前記インサートの厚さよりも厚くすることにより、切削抵抗の主分力を受けるシート部材の工具回転方向前方側を向く壁面の厚さを確実に確保することができ、切り込み量が大きい場合であっても、インサートの位置を安定させることができる。
【0017】
また、前記工具回転方向前方側から見て、前記工具本体径方向外側を向くように配置された前記切刃と前記軸線とがなす角度を15°以下とすることにより、切削抵抗の背分力を抑えることができ、インサートの工具本体後端側に配置された押圧部材及び調整ネジへの負荷を小さくすることができるとともに、インサートの軸線方向の位置を安定させることができる。
【0018】
また、前記インサートを、逃げ角の付されたポジティブインサートとし、ただし、前記逃げ角を15°以下とすることにより、例えば、鋳鉄で構成された被切削材であっても、インサートが欠損することなく切削することができる。
【0019】
さらに、前記工具本体に、第2インサートが装着される第2取付座を形成し、前記第2インサートに形成された切刃を第2切刃とし、前記第2切刃を、前記軸線回りの回転軌跡において、前記インサートの前記切刃の前記工具本体後端側に前記軸線方向に連続して配置することにより、バリ等の特に大きく突出した部分を、この第2インサートに備えられた第2切刃によって切削することができる。したがって、前記インサートでの切り込み量を一定以下に抑えることができ、切削抵抗を低減させることができる。
【0020】
ここで、通常の平面加工をインサートの切刃によって行い、局所的に発生するバリのみを第2インサートの第2切刃で切削することにより、第2切刃の摩耗を抑えることができ、この第2インサートの交換頻度を低くすることができる。
【0021】
また、前記第2切刃を、前記インサートの前記切刃よりも前記工具本体径方向外側に配置することにより、バリ等の大きく突出した部分が局所的に発生している場合でも、第2切刃によって、突出した部分を予め切削して除去することができ、前記インサートの切刃による切り込み量を一定以下に確実に抑えることができ、このインサートに負荷される切削抵抗を低減させることができる。
また、第2切刃によって、バリ等の大きく突出した部分が予め切削して除去されるので、従来のように手作業によりバリ等を除去する必要がなくなり、鋳物等の表面の切削加工を簡単に行うことができる。
【0022】
また、前記第2インサートとして、一対の多角形面を有する多角形平板状のものとし、前記多角形面の一つを前記工具本体径方向外側を向くように配置して外周逃げ面とし、前記工具本体先端側を向く側面を先端逃げ面とし、前記工具回転方向前方側を向く側面をすくい面として、該すくい面の辺稜部に切刃を形成した、いわゆる縦刃のインサートを使用することにより、第2切刃による切り込み量が大きい場合であっても、この第2インサートの欠損等を防止することができる。
また、縦刃のインサートであるので、第2インサートを装着するために工具本体を切り欠く部分を小さくすることができ、工具本体の剛性を確保することができるとともに、小さなスペースであっても第2インサートを装着することができる。
【0023】
また、前記第2取付座に、同形同大の複数の前記第2インサートを前記軸線方向に縦列するように配置することにより、これらの第2インサートの一方の多角形面の2つのコーナ部を、例えば左回転される切削工具に2つのコーナ部を使用した後に、他方の多角形面の2つのコーナ部を右回転される切削工具に使用できるので、この第2インサートの使用コストを低減させることができる。
ここで、トンネルセグメントを切削する場合には、一方の端面に左回転の切削工具を配置し、他方の端面に右回転の切削工具を配置して切削加工を行うため、同形同大の複数の前記第2インサートを前記軸線方向に縦列するように配置することが好ましい。
【0024】
また、前記第2取付座を、周方向に複数配置された前記取付座同士の間の部分のうちの少なくとも一部に形成することにより、前記インサートの数を減少させることなく、前記第2インサートを装着させることができる。したがって、切削速度及び送り速度を必要以上に低下させる必要がなく、インサートの切刃による切削を効率良く行うことができる。
【0025】
したがって、本発明によれば、切り込み量が大きくても、厚さの厚いインサートを使用することなく汎用のインサートを使用できるとともに切削速度及び送り速度を必要以上に低下させることなく効率良く切削できる切削工具を提供することができる。
また、インサートの位置調整を簡単に、かつ精度良く行うことができる切削工具を提供することができる。
さらに、被切削材の表面に、大きく突出したバリ等が発生している場合でも、汎用のインサートを用いて切削できる切削工具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施の形態について、添付した図面を参照して説明する。図1から図8に本発明の実施形態である切削工具を示す。
本発明の実施形態である切削工具1は、鋳鉄で構成されたトンネルセグメントの端面を切削するものである。
切削工具1は、図1及び図2に示すように、概略円盤状をなす工具本体2を有しており、この工具本体2は、リング状をなす切刃部材3と、この切刃部材3を挟持して固定する挟持部材4とから構成されている。
【0027】
挟持部材4は、工作機械等に取り付けるための取付孔5が形成された本体部4Aと、リング状の切刃部材3をこの本体部4Aへと押し付けて固定する固定部材4Bと、この固定部材4Bを本体部4Aへと押圧するための締め付けボルト4Cとで構成されている。ここで、本体部4Aが配置された側(図2において左側)が工具本体2後端側とされ、固定部材4Bが配置された側(図2において左側)が工具本体2先端側とされている。
本体部4Aにはキー部材6が備えられており、固定部材4Bには、このキー部材5が収容されるキー溝7が形成されている。また、固定部材4Bの外周には、径方向外側に向けて突出して円弧状をなす突出部8が、周方向に等間隔で複数形成されている。
【0028】
リング状をなす切刃部材3の内周面には、径方向内側に向けて突出した受け部9と径方向外側に向けて凹んだ切欠部10とが、周方向に交互に配置されている。ここで、前記固定部材4Bのうち突出部8が形成された部分の外径は、切刃部材3の前記切欠部10が形成された部分の内径よりも小さく、前記受け部9が形成された部分の内径よりも大きくされており、前記突出部8によって受け部9を押圧することで切刃部材3が挟持される構成とされている。切刃部材3を取り外す場合には、締め付けボルト4Cを緩めた状態で、リング状をなす切刃部材3を僅かに回転させ、前記切欠部10が固定部材4Bの突出部8の位置になるように調整して固定部材側4Bに抜き出すことになる。
【0029】
切刃部材3の外周面は、工具本体2先端側に向かうにしたがい漸次縮径するようなテーパー面状に形成されており、この外周面の工具本体2先端側には、工具本体2先端側及び工具本体2径方向外側に向けて開口された第1凹部11が周方向に複数形成されている。この第1凹部11の工具回転方向T後方側には、第1凹部11よりもさらに工具本体2径方向内側に凹んだ第1取付座12が形成されている。
【0030】
この第1取付座12の工具本体2先端側を向く面には、図3及び図4に示すように、前記切刃部材3の外周面に概略平行に延びるネジ孔13が、本体部4Aよりも外周側の切刃部材3の後端面に開口するように形成されている。また、第1取付座12の工具本体2径方向外側を向く面の工具回転方向T前方側部分には、図4に示すように、工具本体2径方向内側に向けて延びる2つのクランプネジ14が、軸線O方向に縦列するように螺着されている。
【0031】
そして、この第1取付座12には、超硬合金で構成されたシート部材15が配置されている。このシート部材15は、工具本体2先端側に向けて延びる工具回転方向T前方側を向く壁面16及び工具本体2径方向外側を向く壁面17を有しており、図5に示すように、工具本体2先端側から見て概略L字状をなしている。このシート部材15の工具本体2径方向外側を向く壁面17は、後述する第1インサート18の側面に当接される当接面とされており、図5に示すように第1インサート18の側面の形状に合わせた傾斜面とされている。
【0032】
また、シート部材15の工具回転方向T前方側を向く壁面16は、図4に示すように工具本体2後端側に向かうにしたがい漸次工具回転方向T後方側へ後退する傾斜面とされている。そして、この工具回転方向T前方側を向く壁面16の厚さは、後述する第1インサート18の厚さよりも厚く設定されることが好ましく、本実施形態では、第1インサート18の厚さの1.2倍とされている。
【0033】
ここで、第1インサート18は、概略正方形平板状をなしており、すくい面とされる上面と着座面とされる底面と4つの側面とを有している。上面の辺稜部に切刃が形成され、この切刃に連なる側面がそれぞれ逃げ面とされている。この第1インサート18は逃げ角の付されたポジティブインサートとされ、逃げ角は15°以下に設定されており、本実施形態では15°とされている。
【0034】
押圧部材19は、第1インサート18と略同じ厚さとされた四角形平板状をなしており、シート部材と同じく超硬合金で構成されている。この押圧部材19の工具本体2先端側を向く面は、前記第1インサート18の工具本体2後端側を向く側面に当接されるような傾斜面とされており、第1インサート18の工具本体2後端側を向く側面全体を押圧することができるように構成されている。
【0035】
第1インサート18及び押圧部材19が、シート部材15の工具回転方向T前方側を向く壁面16に着座される。この第1インサート18及び押圧部材19の工具回転方向T前方側には、それぞれインサート用クサビ材20および押圧部材用クサビ材21が前記クランプネジ14によってそれぞれ装着されており、これらクサビ材20、21を工具本体2径方向内側へと挿入することで、第1インサート18及び押圧部材19が工具回転方向T後方側に押圧される。したがって、図4及び図5に示すように、第1インサート18及び押圧部材19は、これらクサビ材20、21の工具回転方向T後方側を向く面20a、21aとシート部材15の工具回転方向T前方側を向く壁面16とによって挟持されることになる。
また、前記ネジ孔13には、調整ネジ22が螺着されており、この調整ネジ22の先端が押圧部材19の工具本体2後端側を向く面に当接されている。
【0036】
このようにして第1インサート18が装着されて、この第1インサート18の切刃が第1切刃23とされ、工具本体2径方向外側及び工具本体2先端側に突出するように配置されることになる。
ここで、工具回転方向T前方側から見て、第1インサート18の工具本体2径方向外側に向けられた切刃と軸線Oとがなす角度、いわゆるコーナ角は15°以下となるように設定されており、本実施形態ではコーナ角は10°に設定されている。
【0037】
さらに、周方向に隣接する第1凹部11同士の間の部分のうちの少なくとも一部、例えば周方向に1つおきのこの間の部分には、工具本体2先端側及び工具本体2径方向外側に向けて開口された第2凹部24が形成されている。この第2凹部24の工具回転方向T後方側に第2取付座25が形成されており、この第2取付座25は、前記第1取付座12よりも工具本体2後端側、かつ、工具本体2径方向外側に形成されている。この第2取付座25の工具本体2径方向外側を向く壁面には、2つの固定ネジ26が軸線O方向に縦列するように螺着されている。
【0038】
この第2取付座25には、同形同大の2つの第2インサート27が軸線O方向に縦列するように装着される。
この第2インサート27は、外形が概略菱形平板状をなしており、一対の菱形面と4つの側面とを有している。菱形面の中央部には、厚さ方向に貫通した貫通孔28が形成されており、この貫通孔28に前記固定ネジ26が挿通されて第2取付座25に装着される構成とされている。
【0039】
ここで、前記菱形面の鋭角に交差したコーナ部29が工具本体2先端側及び工具回転方向T前方側に配置されて切削に供されることになる。そして、前記菱形面のひとつが工具本体2径方向外側に向けられて外周逃げ面とされ、工具本体2先端側を向く側面が正面逃げ面とされ、工具回転方向T前方側を向く側面がすくい面とされており、この外周逃げ面及び正面逃げ面とすくい面との交差稜線部に形成された切刃が第2切刃30とされ、この第2切刃30が、工具本体2径方向外側に向けて突出されている。
【0040】
この第2切刃30は、軸線O回りの回転軌跡において、前記第1切刃23とされた第1インサート18の切刃の工具本体2後端側に軸線O方向に連続するように、かつ工具本体2径方向外側に配置されており、本実施形態では、第1切刃23の工具本体2先端側部分よりも7mm後端側、かつ第1切刃23の工具本体2径方向外側部分よりも0.5mm外側に配置されている。
【0041】
このような構成とされた切削工具1は、工具本体2をなす本体部4Aの取付孔5を用いて工作機械の主軸端に取り付けられ、軸線O回りに回転されるとともに、軸線Oに交差する方向に送りを与えられ、被切削材の表面を切削して平面加工を施すものである。
【0042】
本実施形態である切削工具1によれば、第1インサート18が、この第1インサート18と同じ高剛性の超硬合金で構成されたシート部材15の工具回転方向T前方側を向く壁面16に着座されており、しかも、この工具回転方向T前方側を向く壁面16の厚さが第1インサート18の厚さの1.2倍と、第1インサート18の厚さよりも厚くされているので、この第1インサート18に具備された第1切刃23によって被切削材を切削した際の切削抵抗の主分力を第1インサート18及びシート部材15の工具回転方向T前方側を向く壁面16で受けることができる。
【0043】
したがって、切り込み量が大きい場合であっても、剛性を確保するために板厚が大きなインサートを使用する必要がなく、汎用のインサートを使用することができるとともに、第1インサート18が欠損することを防止できるので、この第1インサート18の使用コストを大幅に削減することができる。
【0044】
また、シート部材15の工具本体2径方向外側を向く壁面17に第1インサート18の工具本体2径方向内側を向く側面が当接されているので、切削抵抗の送り分力をシート部材15の工具本体2径方向外側を向く壁面17で受けることができる。同様に、第1インサート18の工具本体2後端側に、第1インサート18の工具本体2後端側を向く側面に当接される押圧面19aを有する押圧部材19が配置されているので、切削抵抗の背分力を押圧部材19で受けることができる。
したがって、切削抵抗が大きくてもインサートの位置が安定するので、必要以上に切削速度及び送り速度を低下させる必要がなく、効率良く切削加工することができる。
【0045】
また、シート部材15の工具本体2径方向外側を向く壁面17と工具回転方向T前方側を向く壁面16とが、前記工具本体2先端側に向けて延びるように形成されており、このシート部材15の工具回転方向前方側を向く壁面16に着座するように第1インサート18と押圧部材19とが配置され、押圧部材19の工具本体2後端側に調整ネジ22が配置されているので、この調整ネジ22をねじ込むことで、第1インサート18がシート部材15の工具回転方向T前方側を向く壁面16に沿って移動されるので、第1切刃23の逃げ角を一定に維持したままで第1インサート18の位置調整を行うことができる。
【0046】
さらに、押圧部材19の押圧面19aによって第1インサート18の工具本体2後端側を向く側面全体が押圧されるので、第1インサート18が工具回転方向T前方側を向く壁面16上で回転することなく移動されるので、第1切刃23のコーナ角を一定に維持したままで第1インサート18の位置調整を行うことができる。
したがって、調整ネジ22によって第1インサート18の軸線O方向位置を調整するだけで良いので、第1切刃23の振れ調整を簡単に行うことができる。
【0047】
また、第1インサート18が逃げ角の付されたポジティブインサートとされ、この逃げ角が15°とされているので、被切削材が鋳鉄で構成されている場合でも、切削抵抗によって第1インサート18が欠損してしまうことを防止できるとともに、切削抵抗を抑えることができる。
【0048】
さらに、工具本体2径方向外側を向くように配置された第1切刃23と、軸線Oとがなす角度、いわゆるコーナ角を10°としているので、切削抵抗の背分力を抑えることができ、第1インサート18の工具本体2後端側に配置された押圧部材19や調整ネジ22への負荷を小さくすることができる。また、第1インサート18の軸線O方向の位置が安定することになり、寸法精度良く切削加工することができる。
【0049】
また、第2切刃30が、第1切刃23の工具本体2先端側部分よりも7mm後端側、かつ、第1切刃23の工具本体2径方向外側部分よりも0.5mm外側に配置されているので、被切削材の表面に局所的に突出した部分があった場合でも、第2切刃30で突出した部分を切削して除去した後に、第1切刃23による切削を行うことができる。したがって、第1切刃23の切り込み量を一定量以下、本実施形態では7mm以下に抑えることができ、第1インサート18に負荷される切削抵抗を低減することができる。
【0050】
このように第2切刃30によって、バリ等の被切削材の表面の局所的に突出した部分を除去できるので、従来、鋳物等の表面を切削加工する際に実施していた手作業によるバリの除去作業を行う必要がなく、鋳物等の表面の切削加工に掛かる時間と労力を大幅に削減することができる。
また、切削抵抗が抑えられているので、切削速度及び送り速度を必要以上に低下させることがなく、切削加工を効率良く行うことができる。
【0051】
また、第2インサート27として、外形が概略菱形平板状をなし、菱形面の一つを外周逃げ面とし、工具本体2先端側を向くように配置した側面を先端逃げ面とし、工具回転方向前方側を向く側面をすくい面として、このすくい面と前記先端逃げ面及び外周逃げ面との交差稜線部に切刃を形成した、いわゆる縦刃のインサートを使用しているので、第2切刃30による切り込み量が大きい場合であっても、この第2インサート27の欠損を防止することができる。
【0052】
また、第2インサート27が縦刃のインサートであるので、インサートの厚さ方向と工具本体2径方向とが一致するようにして装着することができ、第2取付座25を形成するために工具本体2を切り欠く部分が小さくなり、工具本体2の剛性を確保することができるとともに、第1凹部11と第1凹部11の間の小さなスペースであっても第2インサート27を装着することができる。ここで、本実施形態では、被切削材が鋳鉄で構成されたトンネルセグメントであるので、粒状の切屑が生成されることになり、第1凹部11及び第2凹部24の大きさを小さくすることが可能である。
【0053】
また、第2取付座25を第1凹部11同士の間に形成することで、第1凹部11の数を減少させることなく、つまり第1切刃23の数を減少させることなく第2切刃30を備えることができるので、切削速度及び送り速度を低下させる必要がなく、効率良く切削加工を行うことができる。
ここで、第2インサート27は、局所的に発生しているバリ等を切削する際にのみ使用されることとなるため、その切削量及び使用頻度は少なく、第1インサート18よりも数が少なくても問題はない。
【0054】
さらに、この第2取付座25に、同形同大の概略菱形平板状をなす2つの第2インサート27が軸線O方向に縦列するように装着されており、前記菱形面の鋭角に交差したコーナ部29が工具本体2先端側及び工具回転方向T前方側に配置されて切削に供されているので、これらの第2インサート27の一方の菱形面の2つの前記コーナ部29を、例えば左回転される切削工具1に使用した後に、他方の菱形面の2つのコーナ部29を右回転される切削工具1に使用できるので、この第2インサート27の使用コストを低減させることができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態である切削工具について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、第1インサートを正方形平板状のポジティブインサートとして説明したが、この実施形態に限定されることはなく、他の形状のものであっても良い。
【0056】
鋳鉄で構成された鋳物を切削する切削工具として説明したが、他の材質で構成されたものを切削する切削工具として適用することができる。ただし、鋳鉄で構成された鋳物を切削する場合には、粒状に分断された切屑が生成するので、第1凹部及び第2凹部を小さく構成することができ、工具本体の剛性を確保することができるので好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態である切削工具の部分正面図である。
【図2】本発明の実施形態である切削工具の側面部分断面図である。
【図3】第1取付座を工具回転方向前方から見た図である。
【図4】第1取付座を工具本体径方向外側から見た図である。
【図5】第1取付座を工具本体先端側から見た図である。
【図6】第2取付座を工具回転方向前方から見た図である。
【図7】第2取付座を工具本体径方向外側から見た図である。
【図8】第2取付座を工具本体先端側から見た図である。
【符号の説明】
【0058】
1 切削工具
2 工具本体
11 第1凹部(凹部)
12 第1取付座(取付座)
15 シート部材
16 工具回転方向前方側を向く壁面
17 工具本体径方向外側を向く壁面
18 第1インサート(インサート)
19 押圧部材
22 調整ネジ
23 切刃(第1切刃)
25 第2取付座
27 第2インサート
30 第2切刃




 

 


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