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粘性の高い被削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具 - 三菱マテリアル株式会社
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発明の名称 粘性の高い被削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−130709(P2007−130709A)
公開日 平成19年5月31日(2007.5.31)
出願番号 特願2005−324754(P2005−324754)
出願日 平成17年11月9日(2005.11.9)
代理人 【識別番号】100076679
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 和夫
発明者 対馬 文雄 / 石井 剛 / 功刀 斉
要約 課題
粘性の高い被削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具を提供する。

解決手段
超硬合金またはサーメットで構成された基体の表面に、下部層と上部層からなる硬質被覆層を被覆形成してなる表面被覆切削工具において(a)下部層は、0.5〜15μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、(b)上部層は、1〜10μmの平均層厚を有する、酸化アルミニウムと酸化バナジウムの少なくとも2相の複合組織層であり、かつ、該複合組織を、組成式:(Al1−X(VO)の形で表した場合に、上記組成式におけるMの値が1.8〜2.3であり、かつ、Xの値が0.03〜0.2を満足するAlとVの含有割合(原子比)からなる、酸化アルミニウムと酸化バナジウムの少なくとも2相の複合組織層、前記(a)、(b)からなる硬質被覆層を化学蒸着により形成してなる。
特許請求の範囲
【請求項1】
炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された基体の表面に、基体の表面を被覆する下部層と、該下部層の表面を被覆する上部層からなる硬質被覆層を被覆形成してなる表面被覆切削工具において、
(a)上記下部層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2種以上で構成され、かつ0.5〜15μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、
(b)上記上部層は、1〜10μmの平均層厚を有する、酸化アルミニウムと酸化バナジウムの少なくとも2相の複合組織層であり、かつ、該複合組織を、
組成式:(Al1−X(VO)
の形で表した場合に、上記組成式におけるMの値が1.8〜2.3であり、かつ、Xの値が0.03〜0.2を満足するAlとVの含有割合(原子比)からなる、酸化アルミニウムと酸化バナジウムの少なくとも2相の複合組織層、
前記(a)、(b)からなる硬質被覆層を、炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された基体の表面に化学蒸着により形成してなる、粘性の高い被削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する表面被覆切削工具。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、硬質被覆層がすぐれた高温硬さ・耐熱性・高温強度を備えるとともに、すぐれた潤滑性を示し、したがって、ステンレス鋼、軟鋼やクロム鋼などの粘性の高い被削材を、高速切削の条件下で切削加工を行なった場合にも、被削材と切削工具との間の摩擦力が低減され、硬質被覆層の過熱が防止されることによって、切削時に切粉が切刃部に溶着することなく、すぐれた耐チッピング性を発揮する、炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された基体の表面に、化学蒸着により硬質被覆層を形成してなる表面被覆切削工具(以下、被覆工具という)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に、炭化タングステン(以下、WCで示す)基超硬合金または炭窒化チタン(以下、TiCNで示す)基サーメットで構成された基体(以下、これらを総称して工具基体という)の表面に、
(a)下部層が、Tiの炭化物(以下、TiCで示す)層、窒化物(以下、同じくTiNで示す)層、炭窒化物(以下、TiCNで示す)層、炭酸化物(以下、TiCOで示す)層、および炭窒酸化物(以下、TiCNOで示す)層のうちの1層または2層以上からなり、かつ0.5〜15μmの全体平均層厚を有するTi化合物層、
(b)上部層が、1〜10μmの平均層厚を有し、かつ化学蒸着した状態でα型の結晶構造を有する酸化アルミニウム層(以下、Al層で示す)、
以上(a)および(b)で構成された硬質被覆層を蒸着形成してなる被覆工具が知られており、この被覆工具が、例えば各種の鋼や鋳鉄などの連続切削や断続切削に用いられることは良く知られている。
【0003】
また、一般に、上記の被覆工具の硬質被覆層を構成するTi化合物層やAl層が粒状結晶組織を有し、さらに、前記Ti化合物層を構成するTiCN層を、層自身の強度向上を目的として、通常の化学蒸着装置にて、反応ガスとして有機炭窒化物を含む混合ガスを使用し、700〜950℃の温度域で化学蒸着することにより形成して縦長成長結晶組織をもつようにすることも知られている。
【特許文献1】特開平6−31503号公報
【特許文献2】特開平6−8010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の切削加工装置のFA化はめざましく、一方で切削加工に対する省力化および省エネ化、さらに低コスト化の要求は強く、これに伴い、切削加工は、通常の切削条件に加えて、より高速条件下での切削加工が要求される傾向にあるが、上記の従来被覆工具においては、各種の鋼や鋳鉄を通常条件下で切削加工した場合に特段の問題は生じないが、これを粘性の高い被削材(ステンレス鋼、軟鋼、クロム鋼など)の高速条件下での切削加工に用いた場合には、高速切削加工により高い発熱が生じ、硬質被覆層の上部層を構成するAl層の潤滑性不足のために硬質被覆層が過熱され、切粉が切刃部に溶着し易くなり、これが原因でチッピング(微少欠け)が発生し、この結果比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、特に、ステンレス鋼や軟鋼、クロム鋼など粘性の高い被削材の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する被覆工具を開発すべく、上記従来の被覆工具を構成する硬質被覆層に着目し、研究を行った結果、
(1)下部層がTi化合物層、上部層がAl層からなる上記従来の硬質被覆層の蒸着形成において、上部層の蒸着形成を、以下(a)〜(c)の蒸着条件で行うと、上部層として、酸化アルミニウムと酸化バナジウムの少なくとも2相からなる複合組織(以下、Al−VOで示す)層が、1〜10μmの平均層厚で蒸着形成されること。
(a)反応ガス組成(容量%):
AlCl:2.24〜2.72 %、
VCl: 0.08〜0.56 %、
CO: 5〜7 %、
HCl: 2〜3 %、
:残り、
(b)反応雰囲気温度:850〜1050℃、
(c)反応雰囲気圧力:5〜25kPa、
(2)そして、上記酸化アルミニウムと酸化バナジウムの少なくとも2相からなる複合組織(Al−VO)における各成分Al,V,Oの組成割合(原子比)は、酸化アルミニウムと酸化バナジウムの少なくとも2相からなる複合組織(Al−VO)を、
組成式:(Al1−X(VO)
の形で表した場合に、上記組成式におけるMの値が1.8〜2.3であり、かつ、Xの値が0.03〜0.2を満足するAlとVの含有割合(原子比)からなる、酸化アルミニウムと酸化バナジウムの少なくとも2相からなる複合組織(Al−VO)層であること。
(3)上記Al−VO層からなる上部層は、上部層中に含有されるV成分によって非常にすぐれた潤滑性を示すようになるため、硬質被覆層の上部層としてAl−VO層が蒸着形成された被覆工具を、ステンレス鋼、軟鋼、クロム鋼など粘性の高い被削材の高速切削加工に供した場合には、切削時の発熱で被削材およびその切粉が高温加熱された状態でも、切刃部(すくい面および逃げ面と、これら両面が交わる切刃稜線部)と被削材および切粉との間には常にすぐれた潤滑性が確保され、前記被削材および切粉の切刃部表面に対する粘着性および反応性が著しく低減され、切刃部への切粉の溶着等が防止され、その結果として、チッピングの発生を防止することができること。
以上(1)〜(3)に示される研究結果を得たのである。
【0006】
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された基体の表面に、基体の表面を被覆する下部層と、該下部層の表面を被覆する上部層からなる硬質被覆層を被覆形成してなる被覆工具(表面被覆切削工具)において、
(a)上記下部層は、Tiの炭化物層、窒化物層、炭窒化物層、炭酸化物層、および炭窒酸化物層のうちの1層または2種以上で構成され、かつ0.5〜15μmの合計平均層厚を有するTi化合物層、

(b)上記上部層は、1〜10μmの平均層厚を有する、酸化アルミニウムと酸化バナジウムの少なくとも2相の複合組織層であり、かつ、該複合組織を、
組成式:(Al1−X(VO)
の形で表した場合に、上記組成式におけるMの値が1.8〜2.3であり、かつ、Xの値が0.03〜0.2を満足するAlとVの含有割合(原子比)からなる、酸化アルミニウムと酸化バナジウムの少なくとも2相の複合組織層、

前記(a)、(b)からなる硬質被覆層を、炭化タングステン基超硬合金または炭窒化チタン基サーメットで構成された基体の表面に化学蒸着により形成してなる、粘性の高い被削材(ステンレス鋼、軟鋼、クロム鋼など)の高速切削加工で硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を発揮する被覆工具(表面被覆切削工具)に特徴を有するものである。
【0007】
つぎに、この発明の被覆工具において、これを構成する硬質被覆層の構成を上記のとおりに限定した理由を説明する。
(1)下部層(Ti化合物層)
Ti化合物層は、基本的には上部層の下部層として存在し、自身の具備するすぐれた高温強度によって硬質被覆層の高温強度向上に寄与するほか、工具基体と上部層(Al−VO層)のいずれにも強固に密着し、よって硬質被覆層の工具基体に対する密着性を向上させる作用を有するが、その合計平均層厚が0.5μm未満では、前記作用を十分に発揮させることができず、一方その合計平均層厚が15μmを越えると、切削時の発生熱によって偏摩耗の原因となる熱塑性変形を起し易くなることから、その合計平均層厚を0.5〜15μmと定めた。
(2)上部層(Al−VO層)
上部層を構成するAl−VOにおけるAl成分は、上部層の高温硬さを維持する作用を有するが、V成分は、上部層の潤滑性向上、耐溶着性向上に寄与する。つまり、化学蒸着の際または化学蒸着後の冷却工程において、V成分は、VO,V,VO,Vの形態で上部層のAl中に取り込まれ、上部層に存在する低融点のVが切削加工時の発熱によって潤滑作用を発揮し、その結果、被削材および切粉の切刃部表面に対する粘着性および反応性が著しく低減され、切刃部への切粉の溶着等が防止される。

上部層(Al−VO層)を、組成式:(Al1−X(VO)の形で表した場合に、上記組成式におけるMの値は、いわば、上部層全体のバナジウム酸化物中におけるVの存在割合を示す指標といえる(即ち、Mが1であれば、すべてのバナジウム酸化物はVOとして存在しVは存在しないことになり、また、Mが2.5であるならばすべてのバナジウム酸化物はVとして存在し、VO,V,VOは存在しないことになる)が、Mの値が1.8未満であると、化学蒸着により形成した上部層中にはVがきわめて僅かしか存在しないことになり潤滑性、耐溶着性改善の効果が期待できず、一方、Mの値が2.3を超える(即ち、バナジウム酸化物のほとんどがVとなるようにする)と、上部層の高温硬さおよび高温強度が大きく低下し、硬質被覆層の特性劣化を招くので、Mの値は、1.8〜2.3と定めた。

また、上記組成式におけるXの値が0.03未満であると、相対的にV含有割合が少なくなるため上部層における潤滑性の改善、耐溶着性の改善が図られず、チッピング発生防止を期待することはできず、一方、Xの値が0.2を越えると、潤滑性、耐溶着性にはすぐれるものの、相対的なAl含有割合の減少によって上部層の高温硬さが低下し耐摩耗性が不十分となることから、組成式:(Al1−X(VO)におけるV含有割合の指標となるXの値を0.03〜0.2と定めた。
【0008】
上部層の平均層厚が1μm未満では、硬質被覆層のすぐれた特性である潤滑性、耐溶着性を長期に亘って確保することができず、一方その平均層厚が10μmを越えると、耐摩耗性の急激な低下が生じることから、上部層の平均層厚を1〜10μmと定めた。
【発明の効果】
【0009】
この発明の被覆工具は、硬質被覆層を、工具基体を覆うTi化合物層からなる下部層、該下部層を覆う酸化アルミニウムと酸化バナジウムの少なくとも2相の複合組織(Al−VO)層からなる上部層で構成することにより、硬質被覆層の下部層の具備する高温強度、密着性を何ら損なうことなくこれを維持したままで、硬質被覆層がすぐれた潤滑性、耐溶着性をも保持することから、各種の鋼や鋳鉄などの通常条件の切削加工に用いることができるばかりか、特に、ステンレス鋼、軟鋼、クロム鋼などの粘性の高い被削材の高速切削加工においても、被削材と切削工具との間の摩擦力が低減され、硬質被覆層の過熱が防止され、切刃部への切粉の溶着が防止されることによって、硬質被覆層がすぐれた耐チッピング性を示し、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を発揮するのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、この発明の被覆工具を実施例により具体的に説明する。
【実施例】
【0011】
原料粉末として、いずれも1〜3μmの平均粒径を有するWC粉末、TiC粉末、VC粉末、TaC粉末、NbC粉末、Cr粉末、およびCo粉末を用意し、これら原料粉末を、表1に示される配合組成に配合し、ボールミルで72時間湿式混合し、乾燥した後、100MPa の圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を6Paの真空中、温度:1400℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07のホーニング加工を施してISO規格・CNMG120408のチップ形状をもったWC基超硬合金製の工具基体A1〜A10(以下、工具基体A1〜A10という)を形成した。
【0012】
また、原料粉末として、いずれも0.5〜2μmの平均粒径を有するTiCN(質量比で、TiC/TiN=50/50)粉末、MoC粉末、ZrC粉末、NbC粉末、TaC粉末、WC粉末、Co粉末、およびNi粉末を用意し、これら原料粉末を、表2に示される配合組成に配合し、ボールミルで24時間湿式混合し、乾燥した後、100MPaの圧力で圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を2kPaの窒素雰囲気中、温度:1500℃に1時間保持の条件で焼結し、焼結後、切刃部分にR:0.07のホーニング加工を施してISO規格・CNMG120408のチップ形状をもったTiCN基サーメット製の工具基体B1〜B6(以下、工具基体B1〜B6という)を形成した。
【0013】
上記の工具基体A1〜A10およびB1〜B6のそれぞれを、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した後、図1に示される化学蒸着装置内に、第2図に示される超硬基体支持パレットの位置決め穴に載置した状態で装入し、まず、表3(表3中のl−TiCNは特開平6−8010号公報に記載される縦長成長結晶組織をもつTiCN層の形成条件を示すものであり、これ以外は通常の粒状結晶組織の形成条件を示すものである)に示される通常の条件にて、表6に示される組み合わせおよび目標平均層厚のTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成した。
【0014】
つぎに、表4に示される条件で、かつ同じく表6に示される目標平均層厚のAl−VO層を硬質被覆層の上部層として蒸着形成し、本発明被覆工具である本発明被覆スローアウエイインサート(以下、本発明被覆インサートと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
【0015】
また、比較の目的で、これら工具基体A1〜A10およびB1〜B6を、アセトン中で超音波洗浄し、乾燥した後、同じくそれぞれ図1,2に示される通常の化学蒸着装置に装入し、表7に示されるTi化合物層を硬質被覆層の下部層として蒸着形成した(なお、表7に示される従来被覆工具1〜16の下部層(Ti化合物層)は、本発明被覆工具1〜16のそれぞれと同じにしてあるので、下部層の具体的な形成条件、目標平均層厚は、表3、表6に示されているとおりである)。
【0016】
次に、表5に示される条件で、かつ同じく表7に示される目標平均層厚のAl層を硬質被覆層の上部層として下部層(Ti化合物層)の表面に蒸着形成し、従来被覆工具としての従来表面被覆スローアウエイインサート(以下、従来被覆インサートと云う)1〜16をそれぞれ製造した。
【0017】
つぎに、上記の各種の被覆インサートを、いずれも工具鋼製バイトの先端部に固定治具にてネジ止めした状態で、本発明被覆インサート1〜16および従来被覆インサート1〜16について、
被削材:JIS・SUS304の丸棒、
切削速度: 300 m/min.、
切り込み: 1.5 mm、
送り: 0.2 mm/rev.、
切削時間: 20 分、
の条件(切削条件Aという)でのステンレス鋼の乾式連続高速切削加工試験(通常の切削速度は150m/min.)、
被削材:JIS・SCr420Hの長さ方向等間隔4本縦溝入り丸棒、
切削速度: 400 m/min.、
切り込み: 1.7 mm、
送り: 0.3 mm/rev.、
切削時間: 25 分、
の条件(切削条件Bという)でのクロム鋼の乾式断続高速切削加工試験(通常の切削速度は200m/min.)、
被削材:JIS・S15Cの丸棒、
切削速度: 450 m/min.、
切り込み: 1.6 mm、
送り: 0.3 mm/rev.、
切削時間: 25 分、
の条件(切削条件Cという)での軟鋼の乾式連続高速切削加工試験(通常の切削速度は250m/min.)を行い、いずれの切削加工試験でも切刃の逃げ面摩耗幅を測定した。この測定結果を表8に示した。
【0018】
【表1】


【0019】
【表2】


【0020】
【表3】


【0021】
【表4】


【0022】
【表5】


【0023】
【表6】


【0024】
【表7】


【0025】
【表8】


【0026】
この結果得られた本発明被覆インサート1〜16および従来被覆インサート1〜16の硬質被覆層を構成する各層について、その組成を、オージェ分光分析装置を用いて測定したところ、いずれのTi化合物層、Al−VO層も目標組成と実質的に同じ組成を示し、各層の層厚も目標平均層厚と実質的に同じ値を示した。
【0027】
表8に示される結果から、硬質被覆層の上部層が、Al−VO層で構成されている本発明被覆インサート1〜16は、いずれもステンレス鋼、軟鋼、クロム鋼など粘性の高い被削材の切削加工を、高速切削条件で行なった場合にも、硬質被覆層がすぐれた潤滑性、耐溶着性を示し、すぐれた耐チッピング性、耐摩耗性を長期に亘って発揮するのに対して、硬質被覆層の上部層が、Al層のみからなる従来被覆インサート1〜16においては、特に前記上部層の潤滑性不足が原因して、チッピングが発生し易く、比較的短時間で使用寿命に至ることが明らかである。
【0028】
上述のように、この発明の被覆工具は、通常の条件での切削加工は勿論のこと、特にステンレス鋼、軟鋼、クロム鋼などの粘性の高い被削材を、高速切削の条件下で切削加工を行なった場合にも、すぐれた耐チッピング性を発揮し、長期に亘ってすぐれた耐摩耗性を示すものであるから、切削装置のFA化、並びに切削加工の省力化および省エネ化、さらに低コスト化に十分満足に対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】被覆工具を構成する硬質被覆層を形成するのに用いた化学蒸着装置を示す概略縦断面図である。
【図2】化学蒸着装置の構造部材である工具基体支持パレットを示し、(a)が概略斜視図、(b)が概略平面図である。




 

 


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