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発明の名称 電鋳薄刃砥石
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−118122(P2007−118122A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−312519(P2005−312519)
出願日 平成17年10月27日(2005.10.27)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 中林 明 / 松本 渉
要約 課題
刃部を薄刃化しても十分な剛性を確保することができ、しかも切れ味に優れて切断面を平滑とすることができ、さらには長寿命化を図ることが可能な電鋳薄刃砥石を提供する。

解決手段
金属めっき相2A〜2Cに砥粒3を分散してなる薄刃砥粒層1を備え、この薄刃砥粒層1は、薄刃砥粒層1の層厚方向に積層された第1〜第3の砥粒層1A〜1Cを有していて、このうち層厚方向中央に配置される第2の砥粒層1Bにおいては、層厚方向両端に配置される第1、第3の砥粒層1A,1Cよりも、金属めっき相2Bが高硬度とされている。
特許請求の範囲
【請求項1】
金属めっき相に砥粒を分散してなる薄刃砥粒層を備え、この薄刃砥粒層は、該薄刃砥粒層の層厚方向に積層された第1〜第3の砥粒層を有していて、このうち上記層厚方向中央に配置される第2の砥粒層においては、該層厚方向両端に配置される第1、第3の砥粒層よりも、上記金属めっき相が高硬度であることを特徴とする電鋳薄刃砥石。
【請求項2】
上記第2の砥粒層においては、上記第1、第3の砥粒層よりも、上記金属めっき相に分散される上記砥粒の平均粒径が大きくされていることを特徴とする請求項1に記載の電鋳薄刃砥石。
【請求項3】
上記第1、第3の砥粒層の金属めっき相がNiめっき相であるとともに、上記第2の砥粒層の金属めっき相がNi−Pめっき相またはNi−Wめっき相であり、これらの金属めっき相を析出させて上記第1〜第3の砥粒層を積層した上記薄刃砥粒層に熱処理が施されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電鋳薄刃砥石。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップ等の電子部品の超精密加工などに用いられる電鋳薄刃砥石に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような超精密加工に用いられる極薄刃砥石としては、例えば特許文献1に記載されているように、NiやCoあるいはこれらの合金からなる金属めっき相中に、ダイヤモンドやCBN等の超砥粒を分散して形成された厚さ15〜数百μmの輪環薄板状の砥粒層よりなる刃部を有するものが提案されており、特にウェハからチップを切り出す切断分割用としては厚さ50μm以下の極薄のものも提案されている。このような極薄刃砥石は、これが上述のような輪環薄状の砥粒層のみからなる場合には、その両側面が一対の取付用フランジ間によって挟まれた上で、加工装置の主軸にナットで固定されて使用に供される。なお、この特許文献1には、耐食性の向上を目的として上記金属めっき相を非晶質合金とすることが記載されている。
【特許文献1】特公平8−18255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、このような極薄刃砥石に対しては、チップ等の電子部品の微細化や超精密化あるいは収率向上などの理由から、その刃部のさらなる薄刃化が求められ、剛性の向上が必要とされている。ところが、例えば上記金属めっき相を高硬度化するなどして単に刃部の剛性を高めただけでは、砥粒が脱落し難くなって自生発刃が損なわれ、切れ味の低下やチッピングの増大、切断面粗さの劣化などの問題を招く結果となる。
【0004】
本発明は、このような背景の下になされたもので、刃部を薄刃化しても十分な剛性を確保することができ、しかも切れ味に優れて切断面を平滑とすることができ、さらには長寿命化を図ることが可能な電鋳薄刃砥石を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、金属めっき相に砥粒を分散してなる薄刃砥粒層を備え、この薄刃砥粒層は、該薄刃砥粒層の層厚方向に積層された第1〜第3の砥粒層を有していて、このうち上記層厚方向中央に配置される第2の砥粒層においては、該層厚方向両端に配置される第1、第3の砥粒層よりも、上記金属めっき相が高硬度であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このような電鋳薄刃砥石では、金属めっき相が高硬度とされた層厚方向中央の第2の砥粒層により薄刃砥粒層全体の剛性を確保することができる一方、これに対して金属めっき相が軟らかくされた層厚方向両端の第1、第3の砥粒層では自生発刃が促進されることにより、優れた切れ味を得ることができるとともに切断面等の研磨作用が奏されて平滑化を図ることができ、またチッピングも抑制される。さらに、第2の砥粒層の高硬度の金属めっき相によって薄刃砥粒層全体の径方向の摩耗も抑制されるため、電鋳薄刃砥石としての寿命の延長を促すことも可能となる。
【0007】
従って、上記構成の電鋳薄刃砥石によれば、近年のチップ等の電子部品の微細化等に応じて刃部をさらに薄刃化しても、切れ味や切断面粗さの劣化、チッピングの増大などを招くことなく、薄刃砥粒層の剛性を確保することができ、これにより、切断された電子部品に高い品質を維持しつつも安定した切断等の超精密加工を図ることができる。
【0008】
ここで、上記第2の砥粒層においては、上記第1、第3の砥粒層よりも、金属めっき相に分散される砥粒の平均粒径が大きくされるのが望ましく、こうして第2の砥粒層における砥粒の平均粒径を大きくすることで、この第2の砥粒層をより確実に高硬度として、一層の剛性確保を図るとともに砥粒の脱落を抑えて電鋳薄刃砥石のさらなる長寿命化を図ることができる。その一方で、層厚方向両端の第1、第3の砥粒層では相対的に砥粒の平均粒径が小さくなることにより、自生発刃をさらに確実に促進して切れ味や切断面粗さの向上およびチッピングの抑制を図ることが可能となる。
【0009】
また、この種の電鋳薄刃砥石では、金属めっき相としてNiめっき相を用いることが知られているが、このような場合において、本発明では、上記第1、第3の砥粒層の上記金属めっき相をNiめっき相とするとともに、上記第2の砥粒層の金属めっき相はNi−Pめっき相またはNi−Wめっき相とし、これらの金属めっき相を析出させて第1〜第3の砥粒層を積層した上記薄刃砥粒層に、例えば300〜600℃で1〜2時間程度の熱処理を施すのが望ましい。
【0010】
すなわち、上記Niめっき相は、このような熱処理を施すことにより軟化して析出時の硬度よりも低硬度となるのに対し、Ni−Pめっき相またはNi−Wめっき相は逆に熱処理によって硬化して高硬度となる。従って、金属めっき相の析出によってこれら第1〜第3の砥粒層を順次積層した一体の薄刃砥粒層に上述のような熱処理を施すことにより、層厚方向両端の第1、第3の砥粒層に対して中央の第2の砥粒層の金属めっき相が高硬度とされた上記構成の電鋳薄刃砥石を確実に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1および図2は、本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態の電鋳薄刃砥石は図1に示すように軸線Oを中心とした円環形で厚さ0.05〜0.5mm程度の薄肉板状をなし、それ自体が図2に示すような薄刃砥粒層1によって形成されていて、その内径部が切断装置の主軸に取り付けられて上記軸線O回りに回転されつつ該軸線Oに垂直な方向に送り出されることにより、この薄刃砥粒層1の外周縁部、すなわち上記厚さと等しい極小さな幅の外周面と、両側面の外周側、およびこれら外周面と両側面とが交差する円周状の両エッジ部とによって、例えば半導体チップ等の電子部品の切断や溝入れなどの超精密加工に使用される。
【0012】
この薄刃砥粒層1は、図2に示すようにその層厚方向(図1において図面に直交する方向、図2においては左右方向。すなわち、軸線O方向。)に順次積層されて一体化された第1〜第3の3層の砥粒層1A〜1Cによって構成されており、これらの砥粒層1A〜1Cは、いずれも金属めっき相2A〜2CにダイヤモンドやcBN等の砥粒(超砥粒)3をそれぞれの層において均一に分散して形成されている。そして、これらの金属めっき相2A〜2Cは、上記層厚方向中央に配置される第2の砥粒層1Bの金属めっき相2Bの硬度が、この第2の砥粒層1Bを挟むように層厚方向両端に配置される第1、第3の砥粒層1A,1Cの金属めっき相2A,2Cの硬度よりも、高硬度となるようにされている。
【0013】
さらに、本実施形態では、上記第1、第3の砥粒層1A,1Cの金属めっき相2A,2CはNiめっき相であるとともに、上記第2の砥粒層1Bの金属めっき相2BはNi−Pめっき相またはNi−Wめっき相であり、しかもこれら第1〜第3の砥粒層1A〜1Cは、上記砥粒3を取り込みながら金属めっき相2A〜2Cを順次析出させることにより層厚方向に当該第1〜第3の砥粒層1A〜1Cを積層して形成された上記薄刃砥粒層1に、熱処理が施されたものとされている。なお、第1、第3の砥粒層1A,1Cの金属めっき相2A,2Cには、サッカリン等の添加剤が添加されていてもよい。
【0014】
より具体的に、このような添加剤が添加されたNiめっき相とNi−Pめっき相またはNi−Wめっき相とは、析出状態ではその硬度がHv500〜700で略同程度であるのに対し、例えば300〜600℃で1〜2時間の熱処理を施すことにより、第1、第3の砥粒層1A,1CのNiめっき相の硬度はHv200〜400程度に軟化して低硬度とされる一方、第2の砥粒層1BのNi−Pめっき相またはNi−Wめっき相の硬度はHv1000〜1100程度にまで硬化して、上述のようにこの第2の砥粒層1Bの金属めっき相2Bが第1、第3の砥粒層1A,1Cの金属めっき相2A,2Cに対して高硬度とされている。
【0015】
ここで、これら第1〜第3の砥粒層1A〜1Cの層厚は、第2の砥粒層1Bが第1、第3の砥粒層1A,1Cよりも厚くされており、また第1、第3の砥粒層1A,1C同士の層厚は互いに等しくされている。また、これら第1〜第3の砥粒層1A〜1Cの金属めっき相2A〜2Cに分散される上記砥粒3は、互いに同種のものとされ、ただしその平均粒径は第2の砥粒層1Bの砥粒が第1、第3の砥粒層1A,1Cの砥粒よりも大きく、第1、第3の砥粒層1A,1C同士では互いに等しい平均粒径とされている。
【0016】
なお、このような電鋳薄刃砥石は、それぞれ第1〜第3の砥粒層1A〜1Cに応じた平均粒径の砥粒3を分散したNiめっき液とNi−Pめっき液またはNi−Wめっき液とにステンレス等の金属台金を順次浸漬して通電することにより、この台金表面に上述のように第1〜第3の砥粒層1A〜1Cを積層して薄刃砥粒層1を形成し、これを台金から剥離した後に成型して上述のような熱処理を施すことにより製造することができる。また、台金をハブに代えて薄刃砥粒層1を剥離することなく成型、熱処理し、第1または第3の砥粒層1A,1Cの層厚方向外側にハブが固着されたハブ付きの電鋳薄刃砥石として製造することもできる。
【0017】
このように構成された電鋳薄刃砥石では、上記層厚方向の中央に配された第2の砥粒層1Bが、層厚方向両端の第1、第3の砥粒層1A,1Cよりも高硬度の金属めっき相2Bに砥粒3を分散したものであるので、薄刃砥粒層1の層厚をより小さく設定し、すなわち薄刃化しても、該薄刃砥粒層1に高い剛性を確保することができ、これにより切断や溝入れの際の当該電鋳薄刃砥石の直進性を維持することが可能となるとともに、刃先の暴れを抑えてカーフ幅を刃の厚さに近づけることができる。また、こうして高硬度の金属めっき相2Bを備えた第2の砥粒層1Bが層厚方向中央に配されることにより、層厚方向両端の第1、第3の砥粒層1A,1Cの含めた薄刃砥粒層1の径方向の摩耗を抑制することができ、砥石寿命の延長を図ることも可能となる。
【0018】
その一方で、この薄刃砥粒層1における層厚方向両端には、第2の砥粒層1Bの金属めっき相2Bよりも低硬度の金属めっき相2A,2Cに砥粒3を分散した第1、第3の砥粒層1A,1Cが積層されて設けられているので、該第1、第3の砥粒層1A,1Cにおいては砥粒3の適度な脱落により自生発刃を促すことができ、これにより鋭い切れ味を安定して維持することができるとともにチッピングを抑制することが可能となり、さらにかかる第1、第3の砥粒層1A,1Cが電子部品等の切断面や溝壁面に摺接することにより研磨作用が奏されるため、これら切断面や溝壁面の平滑化を図ることができる。従って、上記構成の電鋳薄刃砥石によれば、切れ味や切断面粗さの劣化、チッピングの増大などを招くことなく、切刃すなわち薄刃砥粒層1の一層の薄刃化を図ることができ、チップ等の電子部品の微細化等にも確実に対応して、高品質かつ高精度の超精密加工を安定して行うことが可能となる。
【0019】
また、本実施形態の電鋳薄刃砥石では、このように高硬度の第2の砥粒層1Bの金属めっき相2Bに分散される砥粒3の平均粒径が、これに対して低硬度の第1、第3の砥粒層1A,1Cの金属めっき相2A,2Cに分散される砥粒3の平均粒径よりも大きくされており、これにより第2の砥粒層1B全体としても確実に第1、第3の砥粒層1A〜1Cより高硬度として、さらなる剛性の確保と耐摩耗性の向上による電鋳薄刃砥石の長寿命化を図ることができる。その一方で、これに比べて平均粒径の小さい砥粒3が金属めっき相2A,2Cに分散された第1、第3の砥粒層1A,1Cでは自生発刃を一層確実に促すことができて、薄刃砥粒層1の切れ味や切断面粗さをさらに向上させることができるとともにチッピングも効果的に抑制することが可能となる。
【0020】
一方、本実施形態では、上述のように層厚方向中央の第2の砥粒層1Bの金属めっき相2Bを両端の第1、第3の砥粒層1A,1Cの金属めっき相2A,2Cより高硬度とするのに際して、これら第1、第3の砥粒層1A,1Cの金属めっき相2A,2CをNiめっき相とするとともに上記第2の砥粒層1Bの金属めっき相2BをNi−Pめっき相またはNi−Wめっき相とし、上記砥粒3を取り込みつつこれらの金属めっき相2A〜2Cを析出させて第1〜第3の砥粒層1A〜1Cを積層した薄刃砥粒層1に上述のような熱処理を施している。そして、こうして熱処理が施された薄刃砥粒層1においては、第2の砥粒層1Bの金属めっき相2Bが硬化して上述のようにより高硬度とされる一方、第1、第3の砥粒層1A〜1Cの金属めっき相2A,2Cは軟化してより低硬度となるので、上述の効果を一層確実に奏功することが可能となる。
【0021】
また、本実施形態では、このように金属めっき相2A,2Cを析出させて第1,第3の砥粒層1A,1Cを積層する際に、これらの金属めっき相2A,2Cを構成するNiめっき相に添加剤を添加して析出状態の金属めっき相2A,2Cの硬度を調整しており、すなわちこれら金属めっき相2A,2Cの硬度とNi−Pめっき相よりなる金属めっき相2Bとが上述のような範囲で略同等となるようにされており、これに熱処理を施すことで硬度差が生じるようにされている。従って、特に上述のように第1〜第3の砥粒層1A〜1Cを積層した薄刃砥粒層1を台金から剥離して熱処理する場合に、この台金からの剥離の際に各砥粒層1A,1B,1C間で剥がれが生じたりするのを避けることができ、取り扱いが容易であるという利点も得られる。
【0022】
ただし、本実施形態ではこのように第1、第3の砥粒層1A,1Cの金属めっき相2A,2Cに上述のような添加剤を添加して析出させるとともに、第1〜第3の砥粒層1A〜1Cに熱処理を施しているが、例えば金属めっき相2A,2Cは、添加剤を含まない場合は析出状態でその硬度がHv200〜250であって、上述のような熱処理が施されてもその硬度はやや低下する程度であるため、第1、第3の砥粒層1A,1Cの金属めっき相2A,2Cに添加剤が添加されていなくても、熱処理後の第2の砥粒層1Bの金属めっき相2Bを第1、第3の砥粒層1A,1Cの金属めっ相2A,2Cより高硬度とすることができる。また、このように第1、第3の砥粒層1A,1Cの金属めっき相2A,2Cが添加剤を含まない場合には、その析出状態の硬度は上述のようにHv200〜250であるのに対し、第2の砥粒層1Bの金属めっき相2Bは析出状態での硬度がHv500〜700であるので、この場合には熱処理を施さなくても第2の砥粒層1Bの金属めっき相2Bを第1、第3の砥粒層1A,1Cの金属めっ相2A,2Cより高硬度とすることが可能となる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明の極薄刃砥石について、より具体的な実施例により説明する。本実施例ではまず、平均粒径5μmのダイヤモンド超砥粒を分散したスルファミン酸Ni:450g/L、塩化Ni:15g/L、硼酸:45g/Lで、さらに添加剤として日本化学産業株式会社製 NSF H−2を10mL/L添加した、pH4.5、50℃の電気Ni電鋳めっき液に、直径150mmのステンレス製台金を浸漬して5A/dmで通電することにより、この台金表面に上記砥粒を分散しつつNiめっき相(添加剤入り)を析出させて、厚さ15μmの第1の砥粒層を形成した。
【0024】
次いで、この第1の砥粒層が形成された台金を、上記と同じく平均粒径5μmのダイヤモンド超砥粒を分散した硫酸Ni:250g/L、塩化Ni:30g/L、亜燐酸:20g/L、硼酸:45g/LのpH2.5、70℃の電気Ni−P電鋳めっき液に浸漬して5A/dmで通電し、上記第1の砥粒層の上に連続して上記砥粒を分散しつつNi−Pめっき相を析出させ、厚さ30μmの第2の砥粒層を積層形成した。なお、この第2の砥粒層のNi−Pめっき相におけるP含有量は13wt%であった。
【0025】
さらに、こうして第1、第2の砥粒層が積層された台金を、再び第1の砥粒層を形成した際の電気Ni電鋳めっき液に浸漬し、同じ条件で第2の砥粒層の上に連続して砥粒を分散しつつNiめっき相(添加剤入り)を析出させ、厚さ15μmの第3の砥粒層を形成して、合わせて厚さ60μm(第1、第3の砥粒層15μm、第2の砥粒層30μm)の薄刃砥粒層を形成した。なお、こうして金属めっき相が析出した状態での第1、第3の砥粒層のNiめっき相と第2の砥粒層のNi−Pめっき相とは、その硬度が約Hv650で略等しいものであった。
【0026】
次いで、この薄刃砥粒層を台金から剥離して台金側の面(第1の砥粒層の層厚方向外側面)をエッチングし、さらに両側面をラッピングしてダイヤモンド超砥粒の目出しを行い50μmの厚さとした後、外径75mm、内径40mmに成型した。そして、この薄刃砥粒層を還元雰囲気中で400℃、1時間加熱して熱処理を行い、第1、第3の砥粒層の金属めっき相(Niめっき相)の硬度が約Hv300に対して第2の砥粒層の金属めっき相(Ni−Pめっき相)の硬度が約Hv1000とされた本発明に係る3層の電鋳薄刃砥石を得た。これを実施例1とする。なお、第1〜第3の砥粒層におけるダイヤモンド超砥粒の集中度は26%であった。
【0027】
また、この実施例1と第1、第3の砥粒層を形成する条件は同じとして、第2の砥粒層を形成する際に、先に第1の砥粒層が形成された台金を、平均粒径10μmのダイヤモンド超砥粒を分散した硫酸Ni:30g/L、タングステン酸ナトリウム:100g/L、クエン酸ナトリウム:50g/L、pH4.5、80℃の電気Ni−W電鋳めっき液に浸漬して5A/dmで通電することにより、上記砥粒を分散しつつNi−Wめっき相を析出させて厚さ30μmの第2の砥粒層を積層した薄刃砥粒層を形成し、これを台金から剥離して実施例1と同様に成型、熱処理して、第1、第3の砥粒層の金属めっき相(Niめっき相)の硬度が約Hv300に対して第2の砥粒層の金属めっき相(Ni−Wめっき相)の硬度が約Hv1100とされた本発明に係る3層の電鋳薄刃砥石を得た。これを実施例2とする。
【0028】
なお、この実施例2においては、金属めっき相が析出した状態で、第1、第3の砥粒層のNiめっき相の硬度は実施例1と同じく約Hv650であり、第2の砥粒層のNi−Wめっき相の硬度は約Hv700であった。また、第2の砥粒層におけるNi−Wめっき相のW含有量は40wt%であった。さらに、第1〜第3の砥粒層におけるダイヤモンド超砥粒の集中度は実施例1と同じである。
【0029】
一方、これら実施例1、2に対する比較例として、まず上記第1の砥粒層を形成する際の条件と同じまま、その厚さを60μmまで厚くして薄刃砥粒層を形成し、これを台金から剥離して台金側の面をエッチングした後にラッピングにより50μmの厚さとし、さらに外径75mm、内径40mmに成型して、Niめっき相(添加剤あり)に平均粒径5μmのダイヤモンド超砥粒が分散された単層の薄刃砥粒層よりなる電鋳薄刃砥石を製造した。なお、熱処理は施されておらず、従ってその金属めっき相(Niめっき相)の硬度は約Hv650のままである。これを比較例1とする。
【0030】
また、実施例2における第2の砥粒層を形成する際の電気Ni−W電鋳めっき液に、第1の砥粒層が形成されていない直径150mmのステンレス製台金を浸漬して5A/dmで通電することにより、その表面に平均粒径10μmのダイヤモンド超砥粒を分散しつつNi−Wめっき相を析出させて厚さ60μmの単層の薄刃砥粒層を形成した。これを剥離して台金側の面をエッチングした後に、ラッピングおよび成型により厚さ50μm、外径75mm、内径40mmとし、さらに還元雰囲気中で400℃、1時間加熱して熱処理することにより、硬度約Hv1100の金属めっき相(W含有量40wt%のNi−Wめっき相)に平均粒径10μmのダイヤモンド超砥粒が分散された単層の薄刃砥粒層よりなる電鋳薄刃砥石を製造した。これを比較例2とする。
【0031】
さらに、比較例3として、電気Ni電鋳めっき液に分散するダイヤモンド超砥粒の平均粒径を10μmとした以外は、比較例1と同様の条件で単層の薄刃砥粒層よりなる電鋳薄刃砥石を製造した。従って、そのNiめっき相(添加剤あり)の硬度は約Hv650である。なお、これら比較例1〜3においても、それぞれ単層の各薄刃砥粒層におけるダイヤモンド超砥粒の集中度は実施例1、2と同じである。
【0032】
そして、これら実施例1、2および比較例1〜3の電鋳薄刃砥石により、まずドレッシングを行い、その際の径方向のドレス摩耗量を測定した。この結果を次表1に示す。ただし、ドレス条件は、カットモード:ダウンカット、主軸回転数:15000(1/min)、送り速度:200mm/min、切込み:1mm、切断ライン数:10本(1本当たりの切断長100mm)であり、使用ドレッサープレートは三菱マテリアル株式会社製WA800Gであった。
【0033】
【表1】


【0034】
この表1の結果より、本発明に係る実施例1、2および高硬度のNi−Wめっき相に平均粒径10μmの大径のダイヤモンド超砥粒を分散した比較例2では、硬度の低いNiめっき相にダイヤモンド超砥粒を分散した比較例1、3よりも摩耗量が大幅に少なく、すなわち寿命が長いことが分かる。また、実施例1、2の間では、Ni−PとNi−Wでめっき相の違いはあるものの、高硬度の第2の砥粒層に分散されたダイヤモンド超砥粒の平均粒径が第1、第3の砥粒層におけるダイヤモンド超砥粒の平均粒径よりも大きくされた実施例2の方が、より摩耗量が少なくて長寿命であることが分かる。
【0035】
次に、これら実施例1、2および比較例1〜3の電鋳薄刃砥石により、アルチック(AlTiC)とカーボンとを積層したワークの切断(溝入れ)を行い、その際の最大カーフ幅、最大チッピング量、および切断面の表面粗さ(JIS B 0601−2001における算術平均高さRa)を測定した。この結果をそれぞれ表2〜表4に示す。ただし、切断加工条件は、カットモード:ダウンカット、主軸回転数:18000(1/min)、送り速度:80mm/min、切込み:0.9mm(アルチック0.8mm、カーボン0.1mm)、切断ライン数:10本(1本当たりの切断長100mm)、ピッチ0.5mmであった。
【0036】
【表2】


【0037】
【表3】


【0038】
【表4】


【0039】
このうち、まず表2の結果より、薄刃砥粒層の剛性が確保された実施例1、2および比較例2によるカーフ幅が電鋳薄刃砥石の刃厚(50μm)に近く、すなわち刃先の振れが小さいことが分かる。これに対して薄刃砥粒層の硬度が低い比較例1、3では刃先が暴れてカーフ幅が拡がる結果となった。
【0040】
一方、表3の結果からは、ドレス摩耗量やカーフ幅が小さかった比較例2でチッピングが最大となっていた。これは、ダイヤモンド超砥粒が分散されたNi−Wめっき相の硬度が高いため、摩耗した砥粒が脱落せずに自生発刃が生じ難く、切れ味が損なわれた結果である。また、ダイヤモンド超砥粒の平均粒径が大きい比較例3でも同様にチッピングが大きくなる傾向が認められた。これに対して、同じ高硬度のNi−Pめっき相またはNi−Wめっき相にダイヤモンド超砥粒を分散した第2の砥粒層を有する実施例1、2では、ワークの切断面(溝壁面)に接する第1、第3の砥粒層が低硬度のNiめっき相に平均粒径の小さいダイヤモンド超砥粒を分散したものであるため、当たりが軟らかいのは勿論、これら第1、第3の砥粒層でダイヤモンド超砥粒の自生発刃が促された結果、鋭い切れ味が維持され、チッピングを極小さく抑制することが可能であった。
【0041】
これは、表4の結果からも明らかであり、すなわちワークの切断面に接する第1、第3の砥粒層においてダイヤモンド超砥粒の自生発刃が促進されやすい実施例1、2が、比較例2、3よりも平滑な切断面を形成していることが分かる。従って、これら表1〜表4の結果より、本発明に係る実施例1、2によれば、薄刃化しても高精度かつ高品位の加工が可能であって、しかも寿命が長く、電子部品等の微細化にも十分に対応し得る総合的に高性能な電鋳薄刃砥石が得られていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態を示す電鋳薄刃砥石の側面図である。
【図2】図1に示す実施形態の薄刃砥粒層1の外周縁部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 薄刃砥粒層
1A 第1の砥粒層
1B 第2の砥粒層
1C 第3の砥粒層
2A〜2C 金属めっき相
3 砥粒




 

 


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