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発明の名称 伸線装置用キャプスタン
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−111748(P2007−111748A)
公開日 平成19年5月10日(2007.5.10)
出願番号 特願2005−306745(P2005−306745)
出願日 平成17年10月21日(2005.10.21)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 和田 慶司 / 程岡 和樹
要約 課題
メッキ剥離物による線材表面傷の発生やダイスの損傷などのトラブルを未然に防止するとともに、線材がリング溝に複数回巻き付けられた際に線材同士が重なり合って表面傷が発生することを防止して、表面傷のない高品質な線材を製出することができる伸線装置用キャプスタンを提供する。

解決手段
外周面にリング溝31を有し、リング溝31に線材が供給されて巻き付けられる伸線装置用キャプスタン20であって、リング溝31の底面33とリング溝31の少なくともひとつの側壁面32Aとが、セラミックス材料で構成されるとともに、リング溝31内には、前記線材を、前記キャプスタンの回転方向に対して傾斜するように巻き付けるためのガイド部が備えられていることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
外周面にリング溝を有し、該リング溝に線材が供給されて巻き付けられる伸線装置用キャプスタンであって、
前記リング溝の底面と前記リング溝の少なくともひとつの側壁面とが、セラミックス材料で構成されるとともに、
前記リング溝内には、前記線材を、前記キャプスタンの回転方向に対して傾斜するように巻き付けるためのガイド部が備えられていることを特徴とする伸線装置用キャプスタン。
【請求項2】
前記セラミックス材料が、ジルコニアであることを特徴とする請求項1に記載の伸線装置用キャプスタン。
【請求項3】
前記ガイド部は、外形が多角形柱状をなし、前記多角形のひとつの角部が、前記線材が供給される方向に向けて配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の伸線装置用キャプスタン。
【請求項4】
前記セラミックス材料で構成された前記リング溝と前記側壁面とが、着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の伸線装置用キャプスタン。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、銅線などの線材を伸線加工する伸線装置において使用される伸線装置用キャプスタンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、銅線などの線材を伸線する伸線装置には、線材を引き抜き加工するためのダイスと、線材が巻き付けられるキャプスタンが備えられている。キャプスタンの外周面に線材を複数回巻き付け、このキャプスタンの回転速度を調整することで線材に一定の張力を与えて、伸線加工を円滑に行うものである。このような伸線装置用キャプスタンでは、線材がキャプスタンの外周面を摺動することになるために、線材と接触する部分に耐摩耗性に優れたセラミック材を配置したものが提供されている(特許文献1参照)。
【0003】
図4に、従来の伸線装置用キャプスタンの一例を示す。
この伸線装置用キャプスタン1は、鋼材等で構成されており、外形が概略円板状をなしている。一方の円板面2A(図4において右側)の中心部分からこの伸線装置用キャプスタン1の軸線Lに沿って突出した軸部3が設けられており、この軸部3と一方の円板面2Aとは滑らかな曲面によって接続されている。
【0004】
また、他方の円板面2B(図4において左側)の中心部分には、軸部3よりも大径とされた断面円形の凹部4が形成されている。この凹部4の側面5は、一方の円板面2Aに近づくにしたがい漸次縮径するテーパ面とされている。また、凹部4の底面6は、軸線Lに垂直な平面とされており、軸部3に相当する部分がわずかに他方の円板面2B側に突出している。
また、軸部3を貫くように貫通孔7が形成されており、この貫通孔7は他方の円板面2Bに近づくにしたがい漸次縮径するテーパ孔とされている。
【0005】
この伸線装置用キャプスタン1の外周面には、径方向内側に向けて凹んだリング溝8が形成されている。このリング溝8の底面9は、径方向に対して垂直、かつ、軸線Lに平行な面とされており、この底面9には、セラミックス材料の一種であるジルコニアで構成されたリング部材11が配置されている。
【0006】
また、リング溝8の一対の側壁面10A、10Bは、径方向外側に向かうにしたがい互いに離間するような傾斜面とされている。このリング溝8の側壁面10A、10Bには、耐摩耗性を向上させるために、硬質なCrメッキが施されている。また、他方の円板面2B側の側壁面10Bは、リング部材11を固定するための固定部材12に形成されており、この固定部材12をボルト13にて一方の円板面2A側に押圧することにより、リング部材11が挟持されている。
【0007】
このような構成とされた伸線装置用キャプスタン1は、伸線装置に取り付けられて使用される。引き抜き加工が施される線材が、リング溝8に供給され、このリング溝8に複数回(例えば3回)巻き付けられる。伸線装置用キャプスタン1の回転速度を調整することにより、線材に張力を与えており、この張力が、線材がダイスを通過する際の引き抜き力となる。このように伸線装置用キャプスタン1の動作を制御することにより、線材の伸線加工が円滑に行われるのである。
【0008】
上述のように、伸線装置用キャプスタン1によって線材に引き抜き力を与えているので、線材がリング溝8内で摺動することになり、リング溝8の底面9や側壁面10A、10Bが摩耗することになる。ここで、従来の伸線装置用キャプスタン1では、リング溝8の底面9に耐摩耗性に優れたジルコニアによって構成されたリング部材11を配置して、底面9の摩耗を防止している。また、リング溝8の側壁面10A、10Bは鋼材等で構成されているものの、その表面に硬質のCrメッキを施して、側壁面10A、10Bの摩耗を防止している。
【特許文献1】特開平5−96322号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記構成の伸線装置用キャプスタン1では、側壁面10A、10Bに硬質のCrメッキが施されているが、側壁面10A、10Bに線材等が衝突してCrメッキの一部が剥離した場合には、Crメッキ剥離物によって線材の表面に傷がついてしまうことがあった。また、このCrメッキ剥離物がダイス内に混入した場合には、ダイスが損傷して使用できなくなってしまうことがあった。また、線材を極細線まで伸線する場合には、このCrメッキ剥離物が異物断線の原因となってしまうことがあった。
【0010】
また、線材を伸線装置用キャプスタン1のリング溝8に複数回巻き付ける場合には、既にリング溝8に巻き付けられている線材と側壁面10A(10B)との間にスペースが確保されていないために、次にリング溝8へと供給された線材が既にリング溝8に巻き付けられている線材と側壁面10A(10B)との間に入り込み難く、線材同士が摺動して線材表面に傷がついてしまう、いわゆるトモズレキズが発生することがあった。
【0011】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、メッキ剥離物による線材表面傷の発生やダイスの損傷などのトラブルを未然に防止するとともに、線材がリング溝に複数回巻き付けられた際に線材同士が重なり合って表面傷が発生することを防止して、表面傷のない高品質な線材を製出することができる伸線装置用キャプスタンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の伸線装置用キャプスタンは、外周面にリング溝を有し、該リング溝に線材が供給されて巻き付けられる伸線装置用キャプスタンであって、前記リング溝の底面と前記リング溝の少なくともひとつの側壁面とが、セラミックス材料で構成されるとともに、前記リング溝内には、前記線材を、前記キャプスタンの回転方向に対して傾斜するように巻き付けるためのガイド部が備えられていることを特徴としている。
【0013】
上記構成の伸線装置用キャプスタンでは、リング溝の少なくともひとつの側壁面と底面とがセラミックス材料で構成されているので、線材をこの側壁面と底面とにのみ接触するように巻き付けることにより、線材の摺動による摩耗が防止される。
また、キャプスタンの回転方向に対して傾斜するようにリング溝に巻き付けるガイド部が備えられているので、リング溝に供給された線材はリング溝の側壁面から離れるように巻き付けられることになる。
【0014】
請求項2に記載の伸線装置用キャプスタンは、前記セラミックス材料が、ジルコニアであることを特徴としている。
この構成の伸線装置用キャプスタンでは、線材が摺動される部分がジルコニアで構成されているので、線材の摺動によるリング溝の底面及び少なくともひとつの側壁面の摩耗が確実に防止される。ここで、ジルコニアはビッカース硬度(JIS R 1610)が1300Hv程度と非常に硬いため、耐摩耗性に優れており、リング溝の底面及び側壁面を構成する材料として好適である。
【0015】
請求項3に記載の伸線装置用キャプスタンは、前記ガイド部は、外形が多角形柱状をなし、前記多角形のひとつの角部が、前記線材が供給される方向に向けて配置されていることを特徴としている。
この構成の伸線装置用キャプスタンでは、リング溝に供給された線材が、ガイド部の角部に案内されて、キャプスタンの回転方向に対して傾斜するように、側壁面から離間するようにしてリング溝に巻き付けられる。
【0016】
請求項4に記載の伸線装置用キャプスタンは、前記セラミックス材料で構成された前記リング溝と前記側壁面とが、着脱可能に構成されていることを特徴としている。
この構成の伸線装置用キャプスタンでは、セラミックス材料で構成されたリング溝の底面及び少なくともひとつの側壁面が破損した場合に、この部分のみを交換することができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1にかかる発明によれば、リング溝の底面及び少なくともひとつの側壁面がセラミックス材料で構成され、線材の摺動による摩耗が防止されているので、線材が接触する部分にCrメッキ等を施す必要がなくなり、メッキ剥離物による線材の表面傷や異物断線及びダイスの損傷を防止することができる。
【0018】
また、線材がガイド部によって案内され、リング溝に供給された線材は側壁面から離れるようにリング溝に巻き付けられるので、新たにリング溝へ供給される線材と既にリング溝に巻き付けられている線材とが重なり合うことが防止され、線材同士の摺動による表面傷、つまりトモズレキズの発生を防止することができる。
【0019】
請求項2にかかる発明によれば、線材と接触するリング溝の底面及び少なくとも一方の側壁面がジルコニアで構成されているので、この部分の摩耗を確実に防止できる。よって、このキャプスタンの寿命延長を図ることができる。
【0020】
請求項3にかかる発明によれば、多角形柱状のガイド部によって線材がリング溝内で重なり合うことを確実に防止されるので、線材同士の摺動による表面傷の発生を確実に防止することができる。
【0021】
請求項4にかかる発明によれば、セラミックス材料で構成された部分が衝撃等によって破損した場合でも、この部分のみを交換することができるので、このキャプスタン自体の寿命延長を図ることができる。
【0022】
このように、本発明によれば、メッキ剥離物による線材表面傷の発生やダイスの損傷などのトラブルを未然に防止するとともに、線材がリング溝に複数回巻き付けられた際に線材同士が重なり合って表面傷が発生することを防止して、表面傷のない高品質な線材を製出することができる伸線装置用キャプスタンを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施の形態について添付した図面を参照して説明する。図1及び図2に本発明の実施形態である伸線装置用キャプスタンを示す。また、図3に、本実施形態である伸線装置用キャプスタンが使用される伸線装置の概略を示す。
【0024】
まず、本実施形態である伸線装置用キャプスタン20について説明する。このキャプスタンは、概略円柱状の軸部21を有しており、この軸部21には、一端側(図1において右側)から他端側(図1において左側)に向かうにしたがい漸次径が小さくなるようなテーパ孔22が軸部21を貫通するように形成されている。
【0025】
軸部21の他端側には、軸部21よりも一段小径で軸線Lを中心とした円筒状をなす装着部23が形成されている。
また、軸部21の一端側には、軸部21の外周面から軸線Lに垂直に径方向外側に向けて延びるように円板部24が形成され、この円板部24の外周部に取付部25が形成されている。この取付部25の一端側の面には、軸線Lに平行に延びるボルト孔が穿設されている。
【0026】
装着部23には、取付部25の他端側の面に当接される当接部26を有する環状部材27が嵌合されており、この当接部26の外周端は、取付部25よりも外周側に突出するように形成されている。
また、取付部25の一端側には、取付部25の一端側の面を押圧する押圧部材28が、ボルト29がボルト孔に螺着されることにより固定されており、この押圧部材28の外周端は、取付部25よりも外周側に突出するように形成されている。
【0027】
この取付部25の外周面、当接部26及び押圧部材28との間に、セラミックス材料で構成されたリング部材30が取り付けられている。なお、本実施形態では、リング部材30はセラミックス材料の一種であるジルコニアで構成されている。
そして、このリング部材30と当接部26とによって、外周側に向けて開口したリング溝31が形成される。すなわち、リング部材30がリング溝31の一方の側壁面32A及び底面部33を構成し、当接部26の外周側部分がリング溝31の他方の側壁面32Bを構成しているのである。
【0028】
このリング溝31の底面部33は軸線Lに平行な円筒面とされ、リング溝31の一対の側壁面32A、32Bは、外周側に向かうにしたがい漸次互いに離間するような傾斜面とされている。
このようにして、伸線装置用キャプスタン20の外周面に、底面部33及び一方の側壁面32Aがジルコニアで構成されたリング溝31が形成されることになる。
【0029】
また、この伸線装置用キャプスタン20には、図2に示すように、概略五角柱状をなすガイド部34が配置されており、このガイド部34は、その五角形面のひとつの角部が、リング溝31内に線材が供給されてくる方向を向くようにして、リング溝31の一方の側壁面32A側に配置されている。
なお、このガイド部34は、比較的軟質の材料で構成されており、本実施形態では木材にて構成されている。
【0030】
次に、本実施形態である伸線装置用キャプスタン20が使用される伸線装置40について説明する。
本実施形態である伸線装置用キャプスタン20が使用される伸線装置40は、母線として線径が8mm程度の銅荒引き線を用いて、線径3mm程度の銅線を製品として製出するものである。
【0031】
伸線装置40は、原料となる荒引き線が保管される母線ストック部41と、この荒引き線の表面を削ぎ落とす皮剥き機42と、皮剥きされた荒引き線を一時貯留する供給ヘッド43と、複数のダイス48と伸線装置用キャプスタン20を備えた伸線加工機44と、線材Rの表面検査機45と、製品である線材Rを巻き取るコイラー46と、線材Rを保管する製品ストック部47とを有している。
【0032】
この伸線装置40に供給される荒引き線は、例えば、鋳造から圧延までを一貫して行って荒引き線を連続的に製造するベルトキャスター式連続鋳造機及び連続圧延装置を用いることにより得ることができる。また、銅鋳塊を押し出し加工することによっても得ることができる。このようにして得られた荒引き線の表面には、酸化銅や外傷等の欠陥が多く存在するため、伸線加工機44に供給する前に、皮剥き機42によって荒引き線表面の皮剥き加工を行う。例えば、皮剥き用ダイスに荒引き線を挿通して引き抜くことにより、荒引き線の表面を剥ぎ落とすのである。
【0033】
表面の欠陥が除去された荒引き線は、供給ヘッド43を介して伸線加工機44に供給される。伸線加工機44には、複数のダイス48が備えられており、入側から順に線径が段階的に小さくなるように、種々のサイズのダイス48が縦列に配置されている。そして、このダイス48とダイス48との間に本実施形態である伸線装置用キャプスタン20が配置されている。
【0034】
この伸線装置用キャプスタン20には、ダイス48に挿通された線材Rが巻き付けられる。そして、伸線装置用キャプスタン20の回転速度を調整することにより線材Rに張力を与え、この張力がダイス48に挿通された線材Rを引き抜くための引き抜き力となるのである。
このようにして複数のダイス48にて引き抜き加工が行われることにより、荒引き線が所定の線径の線材Rへと伸線加工される。
【0035】
所定の線径に伸線加工された線材Rは、表面検査機45によって線材R表面の傷の有無が確認され、有害な欠陥が検出されない線材Rがコイラー46に巻き取られ、製品ストック部47に保管される。
【0036】
本実施形態である伸線装置用キャプスタン20では、リング溝31の一方の側壁面32Aと底面部33とが耐摩耗性に優れたジルコニアで構成されているので、線材Rをこの側壁面32Aと底面部33とにのみ接触するように巻き付けることにより、線材Rの摺動による摩耗が防止される。したがって、リング溝31の線材Rが接触する部分にCrメッキ等を施す必要がなく、メッキ剥離物による線材Rの表面傷やダイス48の損傷を防止することができる。
【0037】
また、伸線装置用キャプスタン20の回転方向に対して傾斜するようにリング溝31に巻き付けるガイド部34が備えられているので、リング溝31に供給された線材Rは側壁面32Aから離れるように巻き付けられることになる。したがって、リング溝31に供給された線材Rと既にリング溝31に巻き付けられている線材Rとが重なり合うことが防止され、線材R同士の摺動による表面傷、いわゆるトモズレキズの発生を防止することができる。
また、本実施形態では、ガイド部34が比較的軟質の木材で構成されているので、線材Rがガイド部34にて案内される際に、線材R表面に傷が付くことがない。
【0038】
また、リング部材30が着脱可能に固定されているので、リング部材30の一部が破損した場合などに、リング部材30のみを交換することができるので、この伸線装置用キャプスタン20の寿命延長を図ることができる。
【0039】
このように、本実施形態による伸線装置用キャプスタン20によれば、線材Rに表面傷が発生することを確実に防止でき、高品質の線材Rを製出することができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、リング溝31の底面部33及び一方の側壁面32Aを構成するセラミックス材料としてジルコニアを用いたもので説明したが、これに限定されることはなく、アルミナや窒化けい素などの他のセラミックス材料でもよい。
【0041】
また、キャプスタンの形状や構造は、本実施形態に限定されることはなく、伸線装置40の構造等に合わせた形状や構造とすればよい。
また、本実施形態のように比較的線径が大きいものを伸線する伸線装置40に限定されることはなく、線径の小さなものを伸線する伸線装置40に用いても良い。
また、ガイド部34を五角柱状のもので説明したが、これに限定されることはなく、例えば三角柱状のものなどであっても良い。
さらに、皮剥ぎ機42を具備した伸線装置40に使用するものとして説明したが、皮剥ぎ機42を具備しないものであっても使用することができる。
【実施例】
【0042】
以下に、本発明の有効性を確認するために行った確認実験の結果について説明する。確認実験は、実施の形態で説明した伸線装置を用いた。
本発明例として、実施の形態で説明しように、リング溝の底面部及び側壁面をジルコニアで一体成形し、ガイド部を配置したキャプスタンを使用した。
比較例1として、リング溝の底面部及び側壁面をジルコニアで一体成形し、ガイド部を配置しないキャプスタンを使用した。
比較例2として、リング溝の底面部及び側壁面を鋼材で構成し、底面部表面に耐摩合金を溶射し、側壁面に硬質Crメッキを施し、ガイド部を配置したキャプスタンを使用した。
比較例3として、リング溝の底面部及び側壁面を鋼材で構成し、底面部表面に耐摩合金を溶射し、側壁面に硬質Crメッキを施し、ガイド部を配置しないキャプスタンを使用した。
【0043】
まず、この伸線機及びキャプスタンを使用して、8mmφの銅線を2.6mmφまで伸線し、この伸線時における渦流探傷器でのキズ個数をカウントし、1トン当たりのキズ検出個数として評価した。ここで、探傷器としては、日本エステック社製渦流探傷器RP−7000を用いた。評価結果を表1に示す。
【0044】
【表1】


【0045】
表1に示すように、本発明例では、10000トン伸線後においても、1トン当たりのキズ検出個数は1個であり、線材表面傷がほとんど発生しないことが確認された。
比較例1では、1000トン伸線後で5個発生しており、ガイド部がない場合にいわゆるトモズレキズが伸線の初期段階から発生することが確認された。
リング溝の底面部及び側面部をジルコニアで構成しなかった比較例2及び比較例3では、伸線量が増加するに連れてキズの検出個数が多くなり、底面部の摩耗によって10000トンまでの伸線が不可能となってしまった。
【0046】
次に、8mmφの銅線を2.6mmφまで5000トン伸線して、2.6mmφの銅線を得た。この銅線をさらに0.05mmφまで伸線した際における、伸線重量を断線回数で除して得た値、いわゆる伸線性(1回断線当たりの伸線量)を評価した。評価結果を表2に示す。
【0047】
【表2】


【0048】
表2に示すように、本発明例では、1回断線当たりの伸線量は583kgであり、0.05mmφの極細線にまで伸線しても断線は少ないものであった。
比較例2では、前記伸線量は337kgであり、本発明例に比べて若干劣る結果となった。線材表面のキズによるものと推測される。
一方、比較例3では前記伸線量が54kg、比較例4では前記伸線量が18kgと、本発明例と比較して著しく伸線性が劣ることが確認された。この比較例3及び比較例4で断線した部分の断面観察した結果、銅線内部に耐摩合金及び硬質Crメッキが混入しているのが確認された。
【0049】
このように、本発明例によれば、ガイド部によって線材同士のトモズレキズの発生を防止できるとともに、底面部及び側面部をジルコニアで一体成形することで、メッキ剥離物による線材表面傷の発生や断線を未然に防止でき、極細線への伸線を良好に行うことができることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態である伸線装置用キャプスタンの断面図である。
【図2】本発明の実施形態である伸線装置用キャプスタンの断面図である。
【図3】伸線装置用キャプスタンが使用される伸線装置の概要を示す説明図である。
【図4】従来の伸線装置用キャプスタンの断面図である。
【符号の説明】
【0051】
20 伸線装置用キャプスタン
31 リング溝
32A、32B 側壁面
33 底面部(底面)
34 ガイド部




 

 


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