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発明の名称 重金属汚染土壌用処理組成物及び処理方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−105549(P2007−105549A)
公開日 平成19年4月26日(2007.4.26)
出願番号 特願2005−238590(P2005−238590)
出願日 平成17年8月19日(2005.8.19)
代理人 【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
発明者 殿河内 仁 / 田坂 行雄
要約 課題
砒素、水銀、六価クロム、鉛、カドミウム及びセレン等を含む汚染土壌からの有害重金属類の溶出をより効果的に抑制する処理組成物及び処理方法を提供する。

解決手段
酸化マグネシウムと硫化物とを含む有害重金属類汚染土壌用の処理組成物であって、酸化マグネシウムと硫化物との総量に対して、酸化マグネシウムを95〜5質量%、硫化物を5〜95質量%含む処理組成物、及び有害重金属類汚染土壌に、酸化マグネシウム95〜5質量%と、硫化物5〜95質量%とを含む処理組成物を、30〜300kg/m添加混合する汚染土壌の処理方法である。
特許請求の範囲
【請求項1】
酸化マグネシウムと硫化物とを含む有害重金属類汚染土壌用の処理組成物であって、酸化マグネシウムと硫化物との総量に対して、酸化マグネシウムを95〜5質量%、硫化物を5〜95質量%含むことを特徴とする処理組成物。
【請求項2】
酸化マグネシウムが95〜50質量%であり、硫化物が5〜50質量%である、請求項1記載の処理組成物。
【請求項3】
硫化物が、硫化カルシウム、多硫化カルシウム、硫化ナトリウム、多硫化ナトリウム及び鉄鋼スラグから選択される1種以上である、請求項1又は2記載の処理組成物。
【請求項4】
汚染土壌が、水銀、六価クロム及びセレンから選択される1種以上の有害重金属類で汚染されている、請求項1〜3のいずれか一項記載の処理組成物。
【請求項5】
汚染土壌が、砒素、鉛及びカドミウムから選択される1種以上の有害重金属類で汚染されている、請求項2又は3記載の処理組成物。
【請求項6】
1種又は2種以上の有害重金属類で汚染された汚染土壌に、酸化マグネシウムと硫化物とを含む有害重金属類汚染土壌用の処理組成物であって、酸化マグネシウムと硫化物との総量に対して、酸化マグネシウムを95〜5質量%、硫化物を5〜95質量%含む処理組成物を、30〜300kg/m添加混合することを特徴とする汚染土壌の処理方法。
【請求項7】
酸化マグネシウムが95〜50質量%であり、硫化物が5〜50質量%である、請求項6記載の汚染土壌の処理方法。
【請求項8】
汚染土壌に、処理組成物中の酸化マグネシウムを添加混合し、次いで、処理組成物中の硫化物を添加混合する、請求項6又は7記載の汚染土壌の処理方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、砒素、水銀、六価クロム、鉛、カドミウム及びセレン等の有害重金属、あるいはフッ素、ホウ素等の有害金属(以下、これらを総称して「有害重金属類」という。)で汚染された土壌、汚泥、底質及び廃棄物等(以下、「汚染土壌」という。)からの有害重金属類の溶出を抑制するための処理組成物及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
土壌環境基準の制定や汚染土壌汚染対策法の施行に伴い、人の健康にかかる被害の防止のために、砒素、水銀、六価クロム、鉛、カドミウム及びセレン等の有害重金属を含む汚染土壌の措置が求められている。また、フッ素、ホウ素等の有害金属を含む汚染土壌についても、2001年に環境基準で規制されるようになった。従来、これらの有害重金属類による汚染土壌の多くは、セメントあるいはセメント系固化材等で固化処理されてきた。しかし、処理対象の金属によっては固化処理でアルカリ度(pH)が上昇するため、有害重金属類の溶出抑制が不十分となっていた。
【0003】
特許文献1には、砒素、クロム及びその他の有害重金属の封入のために、アニオン吸着剤、還元剤の少なくとも一つ及び酸化カルシウム又は酸化マグネシウムを含む組成物が開示されている。クロムや砒素は陰イオンの形態で存在している場合が多く、これらのイオンを、アニオン吸着剤で吸着させるか、あるいは硫酸第一鉄や亜硫酸ナトリウムのような還元剤で、例えばクロムのような電荷の高い有害な六価クロムを電荷の低い無害な三価クロムに還元して無害化するという要素技術を応用したものであり、さらに硬化性の酸化マグネシウム、セメント、石灰等の固形剤で固定させるものである。また、特許文献2には、公害物質に最も適合する前処理剤で前処理した後、酸化マグネシウムと塩化物とを用いて重金属による汚染土壌を処理する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された有害重金属を処理する組成物は、含有される還元剤自体の溶解度が高く、このため還元作用に即効性があるが、一方還元作用の長期的な持続は期待できないと考えられる。加えて、特許文献1の処理組成物は、実際には、ケイ酸塩水溶液や他の酸溶液を必要とし、しかも処理される廃棄物の重量と同量以上の処理用組成物、ケイ酸塩等を必要とするので、煩雑であり、経済的とはいえない処理方法である。また、特許文献2に開示された処理方法では、公害物質の重金属イオン種により前処理剤が異なるなど、多数の重金属で複合汚染された土壌の処理には煩雑である。さらに、これらの処理組成物や処理方法は、処理対象の汚染土壌中の重金属種や含有量や溶出量といった汚染レベルが限定されたり、充分な封入効果が得られなかったりするため、必ずしも万全といえるものではないと考えられる。
【特許文献1】特開平2‐63591号公報
【特許文献2】特開昭58−88083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、砒素、水銀、六価クロム、鉛、カドミウム及びセレン等の有害重金属類で汚染された汚染土壌からの有害重金属類の溶出をより効果的に抑制する処理組成物及び処理方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、砒素、水銀、六価クロム、鉛、カドミウム及びセレン等の有害重金属、フッ素及びホウ素等の有害金属の1種又は2種以上の有害重金属、有害金属を含有する単独汚染土壌あるいは複合汚染土壌において、より効率的な溶出抑制効果が得られる処理組成物及び処理方法について鋭意研究した結果、特に硫化物の使用は、有害重金属類の還元効果も期待できるが、それ以上に、溶解性有害重金属類イオンを硫化物の形態で析出・沈澱させて無害化できることを知見し、併せて、酸化マグネシウムによる汚染土壌の固化とpH調整効果、有害重金属類の水酸化物生成効果も期待できることを知見して、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、酸化マグネシウムと硫化物とを含む有害重金属類汚染土壌用の処理組成物であって、酸化マグネシウムと硫化物との総量に対して、酸化マグネシウムを95〜5質量%、硫化物を5〜95質量%含む処理組成物である。好ましくは、処理組成物は、酸化マグネシウムを95〜50質量%、硫化物を5〜50質量%含む。また、本発明の処理組成物は、硫化物が、硫化カルシウム、多硫化カルシウム、硫化ナトリウム、多硫化ナトリウム及び鉄鋼スラグから選択される1種以上であることが好ましい。
【0008】
本発明はまた、1種又は2種以上の有害重金属類で汚染された汚染土壌に、酸化マグネシウムと硫化物とを含む有害重金属類汚染土壌用の処理組成物であって、酸化マグネシウムと硫化物との総量に対して、酸化マグネシウムを95〜5質量%、硫化物5〜95質量%含む処理組成物を、30〜300kg/m添加混合する汚染土壌の処理方法である。好ましくは、処理組成物は、酸化マグネシウムを95〜50質量%、硫化物を5〜50質量%含む処理方法である。さらに、汚染土壌に、処理組成物中の酸化マグネシウムを添加混合し、次いで、処理組成物中の硫化物を添加混合する処理方法が好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の有害重金属類汚染土壌用の処理組成物及び処理方法は、有害重金属類の種類及びその存在形態が異なる汚染土壌、底質、汚泥や廃棄物等からの有害重金属類の溶出を効果的に抑制することができる。特に、本発明の処理組成物中の硫化物は、長期にわたって有害重金属類の溶出抑制効果を有する。また、有害重金属類を含有する廃液、排水あるいは地下水の処理にも有効に活用できる。
【0010】
さらに、処理組成物の配合割合を適正化することによって固化強度も向上させることができるので、処理土の運搬、仮置きあるいは埋戻しや廃棄処分後の再泥化等による有害重金属類の周辺環境への拡散防止に有効であるほか、上部構造物の基礎地盤形成にも適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の処理組成物の対象は、砒素、水銀、六価クロム、鉛、カドミウム及びセレン等の有害重金属、並びにフッ素及びホウ素等の有害金属で汚染された有害重金属類汚染土壌に対して効果がある。
【0012】
本発明の有害重金属類汚染土壌用の処理組成物は、酸化マグネシウム及び硫化物を含む。
【0013】
本発明の処理組成物中の酸化マグネシウムは、水和反応により、汚染土壌を固化する効果に加えて、有害重金属類の水酸化物を生成する効果、汚染土壌のpH値を調整する効果を有する。例えば、砒素やセレンは、マグネシウム塩を形成して無害化される。また、汚染土壌のpH値が7.5以下であると、処理組成物中の硫化物が処理中に反応して硫化水素ガスが発生しやすくなり、また処理後の汚染土壌のpH値が11.0以上になると、処理後に鉛や砒素が再溶出するおそれがあるが、酸化マグネシウムは、汚染土壌のpHを10程度に調整する効果を有するので、硫化物添加による硫化水素ガスの発生を抑制し、それにより硫化物の有害重金属類の溶出抑制効果を高める。
【0014】
一方本発明の処理組成物中の硫化物は、汚染土壌中の有害重金属類の還元効果に加えて、汚染土壌中の溶解性有害重金属類イオンを硫化物の形態で析出・沈澱させて無害化する効果を有する。例えば、六価のクロムは、硫化物により、一部が三価のクロムに還元されるとともに、大部分は水酸化クロムとして沈析して、無害化(不溶化)される。水銀、鉛及びカドミウムは、硫化物により硫化金属を形成し無害化(不溶化)される。
【0015】
酸化マグネシウムは、軽焼マグネシア、硬焼マグネシア(死焼マグネシア)又は電融マグネシア等であることができるが、例えば、マグネサイトや水酸化マグネシウムを500〜1000℃のような比較的低温で焼成した、いわゆる軽焼マグネシウムが好ましい。酸化マグネシウムの純度は70%以上、好ましくは80%以上であれば問題なく使用でき、また粉末度はBET比表面積10m2/g以上であれば問題がない。
【0016】
硫化物としては、硫化カルシウム、多硫化カルシウム、硫化ナトリウム、多硫化ナトリウム及び鉄鋼スラグから選ばれた1種又は2種以上を使用することができる。硫化カルシウムは、生石灰又は消石灰と廃硫化水素等との反応生成物、多硫化カルシウムと生石灰又は消石灰との反応生成物あるいは石膏を還元雰囲気下で加熱分解したものなどがあげられる。多硫化カルシウムは、分析化学便覧(日本分析化学会編 改訂3版 p1287)記載の方法で測定され、「14102の化学商品」(化学工業日報社、2002年1月29日発行、第1648頁)で規定されるものであり、全硫化態硫黄が22%以上、多硫化カルシウムが27.5%以上の石灰硫黄合剤を好適に使用することができる。鉄鋼スラグとしては、高炉スラグや製鋼スラグが使用できるが、硫化物硫黄含有量が多い高炉スラグがより好ましい。また、第一鉄塩や第二鉄塩等の硫酸鉄を、本発明の硫化物に加えて使用することもできる。
【0017】
本発明の処理組成物は、処理対象の有害重金属類汚染土壌に、30〜300kg/m、好ましくは40〜200kg/m、より好ましくは60〜120kg/mで添加される。また、本発明の処理組成物の酸化マグネシウム及び硫化物の適正な質量比は、処理対象の汚染土壌の有害重金属類の種類、濃度(含有量、溶出量)、複合汚染の有無、処理土からの溶出量及び固化強度の設計値を踏まえ、経済性をも考慮して決定されるが、酸化マグネシウムと硫化物との総量に対して、酸化マグネシウム及び硫化物はそれぞれ95〜5質量%、5〜95質量%の範囲、より好ましくは、それぞれ95〜50質量%、5〜50質量%の範囲から選ばれる。一般に、酸化マグネシウムと硫化物の質量比は、汚染土壌の有害重金属類の溶出量が多ければ硫化物の割合を多く、逆に含水比が大きい土壌や処理後の固化強度をより重視する場合は酸化マグネシウムの割合を多くするか、汚染土壌に対する処理組成物の添加量を増量する。酸化マグネシウム及び硫化物を併用することによって有害重金属類の封じ込めや固化性能が複雑に変化するため、両者の割合がこの範囲を逸脱すると、十分な有害重金属類の溶出抑制あるいは固化強度が得られなくなり、好ましくない。
【0018】
有害重金属類汚染土壌の処理においては、酸化マグネシウムと硫化物との処理組成物の全量を、汚染土壌に一括添加し汚染土壌と混合することができる。さらに、本発明の処理目的を達成するために、汚染土壌に対して、酸化マグネシウムを先に添加し、次いで硫化物を添加し、添加ごとに汚染土壌と混合する分割添加が有効である。特に、硫化物として、多硫化カルシウムである石灰硫黄合剤、硫化ナトリウム等の水に可溶性の硫化物を使用する場合は、分割添加の効果が現われやすい。また、酸化マグネシウムを先に添加することで汚染土壌はアルカリ性となり、硫化物を混合した時に発生する硫化水素ガスも抑制できるので、硫化物の効果を減少させることがなく、また作業環境、周辺の環境上の問題も発生しない。また、分割添加は、処理組成物成分中の酸化マグネシウムと硫化物とをこの順序で、それぞれ一回で添加・混合することのほか、酸化マグネシウム及び硫化物をそれぞれ少量づつ、この順序で数回に分けて添加・混合することもできる。この場合に、処理組成物成分の組合せ及び添加時間の間隔等は、事前の室内配合試験の結果によって決定するのが好ましい。処理効率を高めるために、処理組成物の添加・混合は、通常、数時間から数日間の範囲で選択される。
【0019】
なお、本発明の処理組成物は、酸化マグネシウム及び硫化物のほかに、普通ポルトランドセメント、混合セメント等のセメント系固化剤を適宜含有してもよい。ただし、本発明の処理組成物で汚染土壌を処理する場合、上記したように、処理中又は処理後のpH値が所定範囲、すなわち約8.0以上11.0未満にないと、処理中に硫化水素ガスが発生するか、処理後の汚染土壌から鉛、砒素が再溶出するおそれがある。したがって、処理中又は処理後の汚染土壌のpHを約8.0以上11.0未満に制御できる範囲でセメント系固化剤を使用することができる。なおこの場合、処理組成物中の、酸化マグネシウムと硫化物との質量比は、酸化マグネシウムと硫化物との総量に基づいて、上述の範囲に制御される。
【0020】
本発明の処理組成物や処理方法は、特定の土質に限定されるものではないが、特に、関東ローム、黒ぼくあるいは河川、湖沼や港湾浚渫土等に有効に効果を発揮する。
【実施例】
【0021】
以下に、本発明を試験例を用いて説明するが、試験例はあくまでも例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0022】
(1)試料
使用した試料土、及び模擬汚染土調製用の重金属試薬、処理組成物成分及び普通セメントは下記のとおりである。
〔試料土〕
伊佐産粘性土(含水比47%)
千葉産関東ローム(含水比98%)
〔重金属試薬〕
砒酸水素二ナトリウム七水和物:広島和光(株)製 試薬1級
塩化水銀:広島和光(株)製 試薬1級
重クロム酸カリウム:広島和光(株)製 試薬1級
硝酸鉛:広島和光(株)製 試薬1級
硝酸カドミウム:広島和光(株)製 試薬1級
セレン酸ナトリウム:広島和光(株)製 試薬1級
〔処理組成物成分〕
酸化マグネシウム(MgO):宇部マテリアルズ(株)製 軽焼マグネシア(BET比表面積28.6m2/g)
硫化カルシウム(CaS):CERAC社製 純度99.99%
硫化ナトリウム9水和物(Na2S・9H2O):広島和光(株)製 試薬1級
多硫化カルシウム(CaS):柳井化学工業(株)製 石灰硫黄合剤(CaS 27.5%) x=2〜5
普通セメント(N):宇部三菱セメント(株)製ポルトランドセメント
【0023】
(2)模擬汚染土の調製方法
模擬汚染土は、試料土として粘性土又は関東ロームを使用し、試料土から4.75mm以上の土粒子を分級/除去し、含水比が20%になるまで乾燥した。次いで、模擬汚染土の含水比が90%となるように水を計量し、その水に各重金属試薬を表1に示す添加量で添加・溶解し、試料土と重金属を含有する水とをソイルミキサーを用いて混合し、24時間密封保存した。模擬汚染土を環境庁告示第46号法(平成3年8月23日)に準拠し、重金属の溶出量を測定した。結果を表1に示すが、模擬汚染土からの各種重金属の溶出量は、何れも環境基準の300倍に相当するものである。
【表1】


【0024】
(3)処理組成物
硫化物として硫化カルシウム(CaS)を使用する処理組成物は、表2に示すように、MgOとCaSの配合割合を変えて調製し、模擬汚染土単位体積当たり、30又は100kg/m添加し混合した。
【表2】


【0025】
(4)処理土作製方法
模擬汚染土への酸化マグネシウム及び硫化物の添加は、一括添加を基本とし、分割添加の場合はその旨を特記した。一括添加は、模擬汚染土に酸化マグネシウム及び硫化物を同時添加し、ソイルミキサーにより低速2分間混合して密封し、12時間保管した。分割添加は、まず模擬汚染土に酸化マグネシウム又は硫化物の一方を添加混合して密封し12時間保管し、次いで他方を添加混合した。この場合、混合操作はそれぞれソイルミキサーにより、低速2分間、掻き落とし、低速2分間とした。このようにして最終的に得られた処理土は、φ5×10cmのモールドに3層に分けて、各層毎に気泡を除去しながら充填して円柱供試体を作製し、20℃で材齢7日まで密封養生した。
【0026】
(5)一軸圧縮強さ試験
7日間養生した円柱供試体をJIS A 1216「土の一軸圧縮試験方法」に準拠して一軸圧縮強さを測定した。
【0027】
(6)処理土からの重金属溶出試験
一軸圧縮強さ試験の終了した円柱供試体を2mm以下に解砕して、環境庁告示第46号法(平成3年8月23日)に準拠して検液を作製した。その検液の重金属濃度をJIS K 0102「工場排水試験方法」に準拠して測定した。
【0028】
(7)重金属溶出液のpH値測定試験
一軸圧縮強さ試験の終了した円柱供試体を2mm以下に解砕して、環境庁告示第46号法(平成3年8月23日)に準拠して検液を作製した。その検液のpHをJIS K 0102「工場排水試験方法」に準拠して測定した。pH測定器はHORIBA製pH/ION METER F−23を使用した。
【0029】
(8)処理土の長期安定性試験
水銀模擬汚染土処理土の一軸圧縮強さ試験終了後の円柱供試体を解砕し、1〜3mmの粒群を供試試料とした。この試料をφ50×250mmのガラスカラムに、試料の高さが200mmとなるように充填した。溶媒には、酸性雨を想定しpH4の硝酸溶液を使用した。溶媒をカラムの下方から上方に向けて流速50mL/hで流し、液固比(硝酸溶液質量/処理土質量)が0〜0.1、0.1〜0.2、0.2〜0.5、0.5〜1.0、1.0〜2.0、2.0〜5.0、5.0〜10の区間における流出液を採取し、水銀の溶出濃度を環境庁告示第46号法(平成3年8月23日)に準じて測定した。
【0030】
(9)硫化水素ガス発生試験
千葉産関東ローム試料土を使用し、これに、酸化マグネシウムと硫化ナトリウムとの合計を基準に、酸化マグネシウム95質量%、硫化ナトリウム5質量%の処理組成物を一括添加、もしくは分割添加し、ソイルミキサーにより低速で混合した。一括添加の場合は、処理組成物を添加、混合し、30秒、1分、2分、4分経過時のソイルミキサー容器(5L)に入っている処理土の直上の硫化水素ガス濃度をH2S検知管(ガステック社製)を用いて測定した。分割添加の場合は、第一段階の処理組成物を添加、混合したのち、同様にして硫化水素ガス濃度を測定し、12時間経過後、第二段階の処理組成物を添加し、同じく硫化水素ガス濃度を測定した。なお、硫化水素ガス発生試験は非汚染土を用いて行ったが、分割添加と一括添加の相違を調べるに当たっては、汚染土の代わりに非汚染土を用いても評価可能である。
【表3】


【0031】
〔水銀汚染土(例Hg−0〜Hg−8)〕
汚染土1(水銀汚染土)を処理した処理組成物の配合No.と汚染土1の処理土からの水銀の溶出量及び処理土のpH値を表4に示す。
【表4】



酸化マグネシウム単独の例Hg−1、及びセメント単独の例Hg−7では、処理組成物を添加しない例Hg−0と同様に、水銀溶出抑制効果は認められない。また、セメントと硫化カルシウムを混合した例Hg−8では、水銀溶出抑制効果は小さい。一方、例Hg−2〜例Hg−6のように酸化マグネシウムと硫化カルシウムとの混合物では、水銀溶出量は0.0005mg/L未満であり、溶出量基準をクリアできる。
【0032】
〔六価クロム汚染土(例Cr−0〜Cr−8)〕
汚染土2(六価クロム汚染土)を処理した処理組成物の配合No.と汚染土2の処理土からの六価クロムの溶出量及び処理土のpH値を表5に示す。
【表5】



セメント単独の例Cr−7では六価クロム溶出抑制効果はなく、酸化マグネシウム単独の例Cr−1でも、六価クロム溶出抑制効果は小さい。一方、例Cr−2〜Cr−6及び例Cr−8のように、硫化カルシウムを含有する処理組成物を添加すると、六価クロム溶出量は0.01mg/L未満であり、溶出量基準をクリアできる。
【0033】
〔セレン汚染土(例Se−0〜Se−8)〕
汚染土3(セレン汚染土)を処理した処理組成物の配合No.と汚染土3の処理土からのセレンの溶出量及び処理土のpH値を表6に示す。
【表6】



酸化マグネシウムと硫化カルシウムとの混合物である例Se−2〜Se−6は、酸化マグネシウム単独の例Se−1、酸化マグネシウムを含有しない例Se−7、8に比べ良好なセレン溶出抑制効果を示す。
【0034】
〔砒素汚染土(例As−0〜As−8)〕
汚染土4(砒素汚染土)を処理した処理組成物の配合No.と汚染土4の処理土からの砒素の溶出量及び処理土のpH値を表7に示す。
【表7】



酸化マグネシウムを含有しない例As−7、8及び酸化マグネシウムを5質量%含有する例Se−6では、砒素溶出抑制効果は不十分であった。酸化マグネシウムを50質量%以上含有する酸化マグネシウムと硫化カルシウムとの混合物である例As−2〜As−5及び酸化マグネシウム単独の例As−1は、砒素溶出量は0.01mg/L以下であり、溶出量基準をクリアできる。
【0035】
〔鉛汚染土(例Pb−0〜Pb−8)〕
汚染土5(鉛汚染土)を処理した処理組成物の配合No.と汚染土5の処理土からの鉛の溶出量及び処理土のpH値を表8に示す。
【表8】



酸化マグネシウムを含有しない例Pb−7、8及び酸化マグネシウムを5質量%含有する例Pb−6では鉛溶出抑制効果は不十分であった。酸化マグネシウムを50質量%以上含有する酸化マグネシウムと硫化カルシウムとの混合物である例Pb−2〜Pb−5及び酸化マグネシウム単独の例Pb−1では、鉛溶出量が0.01mg/L未満であり、溶出量基準をクリアできる。
【0036】
〔カドミウム汚染土(例Cd−0〜Cd−8)〕
汚染土6(カドミウム汚染土)を処理した処理組成物の配合No.と汚染土6処理土からのカドミウムの溶出量及び処理土のpH値を表9に示す。
【表9】



酸化マグネシウム単独の例Cd−1、及び酸化マグネシウムを含有しない例Cd−7、8、ならびに酸化マグネシウムを50質量%以上含有する酸化マグネシウムと硫化カルシウムとの混合物である例Cd−2〜Cd−5では、カドミウム溶出量は0.01mg/L未満であり、溶出量基準をクリアできた。
【0037】
〔水銀/砒素複合汚染土(例HA−0〜HA−8)〕
汚染土7(水銀/砒素複合汚染土)を処理した処理組成物の配合No.と汚染土7の処理土からの砒素及び水銀の溶出量及び処理土のpH値を表10に示す。
【表10】



酸化マグネシウムと硫化カルシウムとの混合物ではない例HA−1、HA−7、8では、砒素、水銀の溶出量基準を同時にクリアすることはできなかった。一方、酸化マグネシウムを50質量%以上含有する酸化マグネシウムと硫化カルシウムとの混合物である例HA−2〜HA−5では、水銀及び砒素溶出量はそれぞれ0.0005、0.01mg/L未満であり、両元素の溶出量基準をクリアできる。なお、この結果は、表4に示す水銀汚染土に対して効果が認められた処理組成物No.2〜6と、表7に示す砒素汚染土に対して効果が認められた処理組成物No.2〜5、1、7、8とが共通する、処理組成物No.2〜5が、水銀/砒素複合汚染土に対して効果的な処理組成物であることを示している。
【0038】
〔処理土の圧縮強さ(例A−0〜A−8)〕
汚染土1(水銀汚染土)を処理した処理組成物の配合No.と汚染土1の処理土の一軸圧縮強さを表11に示す。
【表11】



本発明の処理組成物を使用した処理土(例A−2〜A−6)の一軸圧縮強さは、処理組成物中の酸化マグネシウムの質量比に依存するが、80〜490kN/mの範囲にある。これは、ハンドリング性を考慮した建設発生土利用技術マニュアルに規定される第4種(コーン指数200kN/m以上、一軸圧縮強さ換算で50kN/mに相当)の固化特性を有しており、良好である。
【0039】
〔分割添加の効果(B−5)〕
汚染土4(砒素汚染土)に、先に酸化マグネシウムを添加し、次いで硫化カルシウムを添加する分割添加の場合の処理組成物の配合No.と汚染土4の処理土からの砒素の溶出量、pH値及び圧縮強さを表12に例B−5として示す。また、一括添加と分割添加を比較するため、酸化マグネシウムと硫化カルシウムの配合比が同一で一括添加した、表4中の例As−5の結果も併記した。
【表12】



例B−5として示す分割添加の方が、例As−5として示す一括添加よりも砒素の溶出量が少なかった。pH値及び一軸圧縮強さには、特に影響はみられなかった。
【0040】
〔処理土の長期安定性試験(例C−3)〕
水銀模擬汚染土1に対し、処理組成物の配合No.3の処理土を対象に長期安定性試験を行った場合の水銀溶出量を表13に示す。
【表13】



処理組成物として酸化マグネシウムと硫化カルシウムとを併用した場合、長期安定性に優れている。
【0041】
〔硫化水素ガス発生(例D−21〜D−23)〕
千葉産関東ローム試料土を使用し、これに、酸化マグネシウム95質量%、硫化ナトリウム5質量%の処理組成物の一括添加あるいは分割添加をした場合の硫化水素ガス発生量の測定結果を表14に示す。
【表14】



例D−22に示すように、硫化ナトリウムを酸化マグネシウムに先立って添加すると、作業環境評価基準の4.8〜10倍の硫化水素ガスが発生する。例D−21の一括添加では、硫化水素ガス発生量を作業環境評価基準の5ppm以下とすることができ、例D−23の酸化マグネシウムを先に添加する方法では、悪臭防止法敷地境界線における規制基準(主として工業地域)の0.2ppm以下とすることができる。したがって、処理組成物を分割添加する場合は、固定剤としての酸化マグネシウムを先に添加することが必要である。なお、硫化水素ガス発生試験に使用した試料土は模擬汚染土ではないが、この試験結果は、表12に示す砒素汚染土4における結果、及び次の表15〜17に示す結果から、重金属類汚染土に対しても同様の効果を示すものと考えてよい。
【0042】
〔硫化ナトリウムの効果(例E−0〜E−5)〕
水銀模擬汚染土1に対して、酸化マグネシウムと硫化物として硫化ナトリウムとを使用する処理組成物においては、先に酸化マグネシウムを、次いで硫化ナトリウムを添加する分割添加をした。処理組成物の種類(配合割合)と水銀模擬汚染土1の処理土からの水銀の溶出量、pH値及び一軸圧縮強さを表15に示す。
【表15】



硫化物として硫化ナトリウムを使用し、酸化マグネシウムを併用する例E−2〜E−5の処理組成物においては、水銀汚染土に対して優れた溶出抑制性能を示し、かつ圧縮強さも良好である。
【0043】
〔多硫化カルシウムの効果I(例F−0〜F−5)〕
水銀模擬汚染土1に対して、酸化マグネシウムと硫化物として多硫化カルシウムとを使用する処理組成物においては、先に酸化マグネシウムを、次いで多硫化カルシウムを添加する分割添加をした。処理組成物の種類(配合割合)と水銀模擬汚染土1の処理土からの水銀の溶出量、pH値及び一軸圧縮強さを表16に示す。
【表16】



硫化物として多硫化カルシウムを使用し、酸化マグネシウムを併用する例F−2〜F−5の処理組成物においては、水銀汚染土に対して優れた溶出抑制性能を示し、かつ圧縮強さも良好である。
【0044】
〔多硫化カルシウムの効果II(例G−0〜G−5)〕
関東ロームを用いて作製した六価クロム模擬汚染土8に、酸化マグネシウムと硫化物として多硫化カルシウムとを使用する例F−2〜F−5の処理組成物においては、先に酸化マグネシウムを、次いで多硫化カルシウムを添加する分割添加をした。処理組成物の種類(配合割合)と六価クロム模擬汚染土の処理土(関東ローム)からの六価クロムの溶出量、pH値及び一軸圧縮強さを表17に示す。
【表17】



硫化物として多硫化カルシウムを使用し、酸化マグネシウムを併用する例G−2〜G−5の処理組成物においては、関東ロームで作製した六価クロム模擬汚染土に対して、優れた六価クロム溶出抑制性能を示し、本発明の処理組成物及び処理方法は、土の種類に関係なく有害重金属の不溶化効果を示す。また、圧縮強さも良好である。




 

 


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