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穴加工工具 - 三菱マテリアル株式会社
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発明の名称 穴加工工具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−98497(P2007−98497A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−289711(P2005−289711)
出願日 平成17年10月3日(2005.10.3)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 滝口 正治
要約 課題
リーマの剛性を確保することにより、高速回転時の振れを防止して加工穴を精度良く成形できるとともに、切削抵抗によって折損することを抑制して寿命延長を図ることができる穴加工工具を提供する。

解決手段
被切削材に予め形成された下穴に挿入されて下穴の内壁面を切削加工する穴加工工具21であって、軸線O回りに回転されるシャンク部を有し、該シャンク部の先端側には、切刃30を有する刃先部が設けられ、該刃先部の外周部には、先端側から後端側に向けて延びる切屑排出溝27が形成され、切屑排出溝27の工具回転方向T前方側を向く壁面28と刃先部の外周面29との交差稜線部に切刃30が形成されており、切屑排出溝27の軸線Oに垂直な断面がU字状に形成されていることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
被切削材に予め形成された下穴に挿入されて下穴の内壁面を切削加工する穴加工工具であって、
軸線回りに回転されるシャンク部を有し、該シャンク部の先端側には、切刃を有する刃先部が設けられ、
該刃先部の外周部には、先端側から後端側に向けて延びる切屑排出溝が形成され、該切屑排出溝の工具回転方向前方側を向く壁面と前記刃先部の外周面との交差稜線部に前記切刃が形成されており、
前記切屑排出溝の前記軸線に垂直な断面がU字状に形成されていることを特徴とする穴加工工具。
【請求項2】
前記外周面には、前記切刃に連なるように形成された第1ランド部と、該第1ランドの工具回転方向後方側に連なり径方向内側に後退した逃げ部と、該逃げ部の工具回転方向後方側に連なるように形成された第2ランド部とが備えられていることを特徴とする請求項1に記載の穴加工工具。
【請求項3】
前記逃げ部には、切削油剤を排出するための排出孔が開口されており、該排出孔は、前記刃先部の先端から前記刃先部の軸線方向長さの2/3よりも後端側に開口されていることを特徴とする請求項2に記載の穴加工工具。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、被切削材に予め形成された下穴に挿入されて、この下穴の内壁面を切削加工する穴加工工具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の穴加工工具としては、例えば特許文献1に記載されているような長尺円柱状のリーマが知られている。
このリーマは、例えば特許文献2に開示されているような切削工具に装着されて使用されるものであり、この切削工具が工作機械等に主軸端に装着されて、軸線回りに回転されるとともに、被切削材の下穴、例えば、ステムガイド穴やエンジンのシリンダーヘッドにおけるバルブ穴等に挿入され、この下穴の内壁面を切削して所定の内径の加工穴を形成するものである。
【0003】
従来のリーマの一例を図9及び図10に示す。リーマ1は、長尺円柱状をなすシャンク部2と、このシャンク部2の先端側に配置された刃先部3とで構成されている。
シャンク部2は、概略多段円柱状をなしており、その後端側には、このリーマ1を切削工具に装着するための装着部4が設けられている。一方、シャンク部2の先端面には、中央部分がシャンク部2後端側に向けて凹んだV字溝5が形成されている。
また、このシャンク部2には図示しないクーラント供給孔が、シャンク部2の先端側から後端側にかけて貫通するように形成され、V字溝5に開口されている。
【0004】
刃先部3は、概略円柱状をなしており、その後端面にはシャンク部2先端面に形成されたV字溝5に嵌合可能な凸状部6が形成されている。
刃先部3の先端外周部には、図9に示すように、軸線O方向後端側に向けて延びて工具回転方向T前方側に所定の角度で捩れる6条の切屑排出溝7が、周方向に等間隔で軸線Oに対して60度ずつ回転対称に配置されている。
【0005】
これらの切屑排出溝7の工具回転方向T前方側を向く壁面8と工具回転方向T後方側に連なる外周面9との交差稜線部に切刃10が形成されている。このように切刃10を形成することにより、切屑排出溝7の工具回転方向T前方側を向く壁面8がすくい面とされ、工具回転方向T後方側に連なる外周面9が逃げ面とされる。
切屑排出溝7は、図9に示すように、溝底が凹円弧状とされた断面V字状をなしており、このV字のなす角度は概略80°とされ、すくい面とされる工具回転方向T前方側を向く壁面8は、概略刃先部3の外形の断面がなす円の径方向に沿って延びるように形成されている。
【0006】
また、刃先部3の軸線O近傍には、軸線Oに沿って延びて後端側(凸状部)に開口された連通孔(図示せず)が形成されており、この連通孔からそれぞれの切屑排出溝7に延びてその溝底部に開口された吐出孔11が設けられている。
【0007】
この際、切屑排出溝7が工具回転方向T前方側に捩れるように形成されているので、切刃11によって生成した切屑はリーマ1先端側に向けて案内されることになる。また、切削油剤がクーラント供給孔及び連通孔を介して吐出孔11から吐出されることにより、切屑は、切屑排出溝7を流れる切削油剤に流されるようにしてリーマ1先端側に向けて排出される。
【特許文献1】特開2000−263328号公報
【特許文献2】特開2002−59313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、図9及び図10に示す従来のリーマでは、切屑がリーマ先端側に向けて排出されるので切屑排出溝を通過することがないにもかかわらず、切屑排出溝を、断面V字状をなして大きく径方向外側に向けて開口するように形成している。ところが、このように刃先部を大きく切り欠くようにして切屑排出溝を形成していると、このリーマの剛性が低下してしまい、リーマを高速回転した際に振れが生じて、加工穴を精度良く成形することができなくなるといった問題があった。
また、切削時の切削抵抗によって、例えば吐出孔が形成された部分を起点として、リーマが折損してしまうことがあった。
【0009】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、リーマの剛性を確保することにより、高速回転時の振れを防止して加工穴を精度良く成形できるとともに、切削抵抗によって折損することを抑制して寿命延長を図ることができる穴加工工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、この発明は、被切削材に予め形成された下穴に挿入されて下穴の内壁面を切削加工する穴加工工具であって、軸線回りに回転されるシャンク部を有し、該シャンク部の先端側には、切刃を有する刃先部が設けられ、該刃先部の外周部には、先端側から後端側に向けて延びる切屑排出溝が形成され、該切屑排出溝の工具回転方向前方側を向く壁面と前記刃先部の外周面との交差稜線部に前記切刃が形成されており、前記切屑排出溝の前記軸線に垂直な断面がU字状に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
切屑排出溝を断面U字状、すなわち切屑排出溝の前記工具回転方向前方側を向く壁面と、工具回転方向後方を向く壁面とが、前記断面において、凹円弧等の溝底を介して略平行に対向するように形成することにより、例えば、前述した従来のリーマの断面V字状の切屑排出溝と同じ溝深さで、溝底がなす凹円弧の半径を同じくしたものを形成した場合に、切り欠かれる部分が少なくなり、この穴加工工具の剛性を確保することができる。よって、高速回転時の振れを防止して加工穴を精度良く成形できるとともに、切削抵抗によって折損することを抑制して寿命延長を図ることができる。
【0012】
また、切屑排出溝の断面積が小さくなるので、切削油剤を切屑排出溝の溝底部に開口された吐出孔から吐出する場合には、この切屑排出溝を通過する切削油剤の流速が大きくなり、切刃によって生成した切屑を、例えば穴加工工具の先端方向に向けて確実に排出することができる。したがって、こうして切屑を先端方向に排出することにより、切屑排出溝の断面積を小さくしても、この切屑排出溝の中に切屑が詰まることがなく、この穴加工工具での加工をスムーズに行うことができる。
【0013】
ここで、前記外周面に、前記切刃に連なるように形成された第1ランド部と、該第1ランドの工具回転方向後方側に連なり径方向内側に後退した逃げ部と、該逃げ部の工具回転方向後方側に連なるように形成された第2ランド部とを設けることにより、加工穴と摺動する部分を減少させることができ、この穴加工工具の切削抵抗を小さくすることができる。また、第1ランド部及び第2ランド部が形成されているので、加工穴とこれら第1、第2ランド部とが摺動して加工穴の内壁面を滑らかに仕上げることができる。また、これら第1、第2ランド部がガイドの役割を果たし、この穴加工工具の回転が安定して加工穴を精度良く成形することができる。
【0014】
さらに、前記逃げ部に切削油剤を排出するための排出孔を設け、この排出孔の開口部を前記刃先部の先端から前記刃先部の軸線方向長さの2/3よりも後端側に配置することにより、この逃げ部から刃先部先端側へ向けて切削油剤を大きな流速で供給して、第1、第2ランド部による摺動摩擦を低減してさらに切削抵抗を小さくできるとともに、切刃によって生成した切屑をさらに確実に刃先部先端側へ向けて排出することができる。
【0015】
このように本発明によれば、リーマの剛性を確保することにより、高速回転時の振れを防止して加工穴を精度良く成形できるとともに、切削抵抗によって折損することを抑制して寿命延長を図ることができる穴加工工具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の第1の実施形態である穴加工工具について添付した図面を参照にして説明する。図1及び図2に本発明の実施形態である穴加工工具としてのリーマを示す。また、図3にこのリーマが装着される切削工具を示す。
リーマ21は、長尺円柱状をなすシャンク部22と、このシャンク部22の先端側(図2において下側)に配置された刃先部23とで構成されている。
【0017】
シャンク部22は、軸線Oを中心とする概略多段円柱状をなしており、後端側(図2において上側)には、このリーマ21を切削工具41に装着するための装着部24が設けられている。この装着部24には、軸線Oに平行に延びる平坦面24Aが設けられている。
シャンク部22の先端側は、後端側に比べて一段小径とされており、先端面に中央部分がシャンク部22後端側に向けて凹んだV字溝25が、その溝底部を軸線Oに直交させてV字の2等分線が軸線O上に位置するように形成されている。ここで、V字溝25が有する2つの側壁面のなす角度は、60°〜120°の範囲内とされ、本実施形態では90°に設定されている。
また、このシャンク部22には、クーラント供給孔がシャンク部22の先端側から後端側にかけて貫通するように形成されており、V字溝25に開口されている。
【0018】
刃先部23は、やはり軸線Oを中心とする概略円柱状をなしており、その後端面には、シャンク部22先端面に形成されたV字溝25に嵌合可能な断面凸V字の凸状部26が、そのV字の稜線をやはり軸線Oに直交させてV字の2等分線が軸線O上に位置するように形成されている。
刃先部23の先端外周部には、軸線O方向後端側に向けて延びて工具回転方向T前方側に所定の捩れ角(本実施形態では15°)で捩れる複数の切屑排出溝27が、周方向に等間隔で軸線Oに対して所定角度ずつ回転対称に配置されている。この第1の実施形態では、図1に示すように、6条の切屑排出溝27が軸線Oに対して60°ずつ回転対称に配置されている。
【0019】
これらの切屑排出溝27の工具回転方向T前方側を向く壁面28と工具回転方向T後方側に連なる外周面29との交差稜線部に、切刃30が形成されるとともに、工具回転方向T前方側を向く壁面28と刃先部23の先端面との交差稜線部の外周側に、切刃30に連なる食いつき部30aが形成されている。
このように切刃30を形成することにより、切屑排出溝27の工具回転方向T前方側を向く壁面28がすくい面とされ、工具回転方向T後方側に連なる外周面29が逃げ面とされる。そして、この切刃30は、切屑排出溝27と同じく後端側に向かうにしたがい軸線O回りに工具回転方向T前方側に所定の捩れ角(本実施形態では15°)で捩れるらせん状に形成されている。この切刃30が軸線O回りになす回転軌跡は、本実施形態においては軸線Oを中心とした円筒面状とされている。
【0020】
ここで切屑排出溝27は、図1に示すように断面U字状、すなわち切屑排出溝27の工具回転方向T前方側を向く壁面28と、工具回転方向後方を向く壁面とが、軸線Oに垂直な断面において、凹円弧状の溝底を介して略平行に対向するように形成されており、すくい面をなす工具回転方向T前方側を向く壁面28は、概略刃先部23の外形の断面がなす円の径方向に沿って延びるように形成されている。
【0021】
また、6つ形成された逃げ面をなす外周面のうち4つの外周面29には、切刃30に連なる部分に、軸線Oに垂直な断面において切刃30の外径と等しい半径の円弧状をなすランド部31が形成され、このランド部31の工具回転方向T後方側には、径方向内側に向けて後退した逃げ部32が形成されている。なお、本実施形態における逃げ部32は、前記軸線Oに垂直な断面において、前記切刃30の外径より僅かに小さな半径の凸円弧状をなすように形成されている。また、残りの2つの外周面29には、逃げ部32が形成されておらず、外周面29全体がランド部31とされている。
【0022】
また、刃先部23には、軸線Oに沿って延びて凸状部26に開口された連通孔(図示せず)が形成されており、この連通孔からそれぞれの切屑排出溝27に向けて延びて、その溝底部に開口された吐出孔33が設けられている。
【0023】
このリーマ21は、図3に示す切削工具41に装着されて使用される。切削工具41は、軸線M回りに回転される多段円柱状の工具本体42を有し、工具本体42の先端部外周には切削インサート43が配備されている。
この工具本体42の先端面42Aには、軸線Mに沿うように延びる装着孔44が穿設されている。この装着孔44の後端側に連通するように位置調整ボルト45が挿入されたクーラント孔46が設けられており、このクーラント孔46は工具本体42後端側に設けられた取付部47に開口されている。
また、工具本体42の側面に開口して装着孔44に連通されたネジ孔48が形成され、クランプネジ49が螺着されている。
【0024】
リーマ21は、工具本体42の先端面42Aに穿設された装着孔44に挿入され、シャンク部22の後端面が位置調整ボルト45の先端面に当接させられるとともにシャンク部22の平坦面24Aが工具本体42のネジ孔48が設けられた方向に向くように、かつ、リーマ21の軸線Oと工具本体42の軸線Mとが一致するように配置される。そして、工具本体42のネジ孔48に螺着されたクランプネジ49をねじ込んで平坦面24Aを押圧することにより、リーマ21が工具本体42に固定される。
【0025】
このようにリーマ21が装着された切削工具41は、工作機械の主軸端に取付部47を介して取り付けられ、リーマ21の軸線M方向の位置調整を行った後、軸線M(軸線O)回りに回転されるとともに軸線M(軸線O)先端方向に向けて送られ、リーマ21が例えばステムガイド穴(被切削材に形成された下穴)に挿入され、このステムガイド穴の内壁面を切削して所定の内径の加工穴を形成するものである。
【0026】
リーマ21による切削加工を行う際には、切削油剤が工作機械からパイプを通じて工具本体42のクーラント孔46に供給される。クーラント孔46に供給された切削油剤は、リーマ21のシャンク部22に形成されたクーラント供給孔を通じて刃先部23へ供給され、刃先部23に形成された連通孔及び吐出孔33を通じて、切屑排出溝27の溝底部から下穴の内壁面に向けて吐出されるのである。
【0027】
下穴の内壁面を切削加工した際に生成する切屑は、切屑排出溝27が工具回転方向T前方側に捩れるように形成されているので、リーマ21の先端側に向けて案内されることになる。また、切削油剤がクーラント供給孔及び連通孔を介して吐出孔33から吐出することにより、この切削油剤に流されるようにして、切屑はリーマ21の先端側に向けて排出される。
【0028】
第1の実施形態であるリーマ21によれば、切屑排出溝27が断面U字状に形成されており、径方向外側に向けて大きく開口しておらず切り欠き部分が少ないので、このリーマ21の剛性が確保されている。したがって、このリーマ21を高速回転させた際の振れを防止して加工穴を精度良く成形することができる。また、切削抵抗によってリーマ21が折損してしまうことを抑制して、このリーマ21の寿命延長を図ることができる。
【0029】
また、切屑排出溝27の断面積が小さくされているので、切削油剤を切屑排出溝27の溝底部に開口された吐出孔33から吐出した際に、この切屑排出溝27を通過する切削油剤の流速が大きくなり、切刃30によって生成した切屑をリーマ21の先端方向に向けて確実に排出することができる。したがって、この切屑排出溝27の中を切屑が通過することがないので、切屑排出溝27の断面積を小さくしても切屑を確実に排出でき、このリーマ21での加工をスムーズに行うことができる。
【0030】
また、それぞれの切刃30に連なり逃げ面をなす6つの外周面29のうち4つの外周面29に、ランド部31及び逃げ部32が形成されるとともに、残りの2つの外周面29全体がランド部31とされているので、このリーマ21によって下穴を加工する際の切削抵抗が低減されるとともに、ランド部31によってリーマ21の回転が安定するので、加工穴をさらに精度良く成形することができる。また、切削後の加工穴内壁面とランド部31とが摺動することにより、加工穴内壁面をバニッシュ加工して滑らかに仕上げることができる。
【0031】
次に、第2の実施形態であるリーマ21について、図4及び図5を参照にして説明する。なお、第1の実施形態と同一の部材には同じ符号を付して説明を省略する。
この第2の実施形態であるリーマ21は、図4に示すように、断面V字状の切屑排出溝27が3条設けられ、これら切屑排出溝27が軸線Oに対して120°ずつ回転対称に配置されており、この切屑排出溝27の工具回転方向T前方側を向く壁面28の外周側辺稜部に切刃30が形成された3枚刃のリーマ21である。
【0032】
この切刃30に連なり逃げ面をなす外周面29には、切刃30に連なるように形成された第1ランド部34と、この第1ランドの工具回転方向T後方側に連なり径方向内側に後退した逃げ部32と、この逃げ部32の工具回転方向T後方側に連なるように形成された第2ランド部35とが設けられている。第1ランド部34及び第2ランド部35は、軸線Oを中心とした同じ半径の円弧状に形成されている。また、逃げ部32は、軸線Oに垂直な断面において、切屑排出溝27より幅広で溝深さが浅く径方向内側に向けて凸となるR溝状に形成されている。
【0033】
さらに、前述した第1の実施形態では、切屑排出溝27及び逃げ部32が、刃先部23の全長にわたって形成されていたのに対し、この第2の実施形態では、逃げ部32は刃先部23の全長にわたって形成される一方、切屑排出溝27の後端は刃先部23の後端より手前側で切り上げられている。
【0034】
また、刃先部23に形成された連通孔(図示せず)からそれぞれの切屑排出溝27の溝底部に向けて開口された吐出孔33が設けられるとともに、この逃げ部32のなすR溝の溝底部に向けて開口された排出孔36が設けられている。
この排出孔36の開口部は、刃先部23の軸線方向の長さをLとしたときに、刃先部23の先端から2/3Lよりも後端側に配置されている。
【0035】
この第2の実施形態であるリーマ21によれば、切屑排出溝27の断面がU字状をなしているので、第1の実施形態であるリーマ21と同等の効果を得ることができる。
また、逃げ面をなす外周面29に逃げ部32が形成されているので、加工穴の内壁面と摺動する部分を調整することができ、このリーマ21の切削抵抗を小さくすることができる。また、第1ランド部34及び第2ランド部35が形成されているので、加工穴とこれら第1、第2ランド部34、35とが摺動して加工穴の内壁面を滑らかに仕上げることができる。また、これら第1、第2ランド部34、35がガイドの役割を果たし、このリーマ21の回転が安定して加工穴を精度良く成形することができる。
【0036】
また、切削油剤が、切屑排出溝27の溝底部に開口された吐出孔33のみでなく、逃げ部32がなすR溝の溝底部に開口された排出孔36からも供給されるので、切削油剤による切屑の排出を確実に行うことができる。
さらに、排出孔36が刃先部23の軸線方向の長さをLとしたときに、刃先部23の先端から2/3Lよりも後端側に開口されているので、この逃げ部32から刃先部23先端側へ向けて排出する切削油剤の流速を大きくすることができ、切刃30によって生成した切屑をさらに確実にリーマ21先端側へ向けて排出することができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態であるリーマ21について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、図6に示すように、切刃30に連なる外周面29に設けられた逃げ部32を、径方向外側に向けて凸となり軸線Oを中心とした円弧状に形成しても良い。このように逃げ部32を形成することにより、刃先部23を切り欠く部分をさらに小さくすることができ、このリーマ21の剛性をさらに向上させることができる。
【0038】
また、図7に示すように、切刃30に連なる外周面29に設けられた逃げ部32を平面状に形成し、刃先部23の断面が概略正三角形状をなすように形成しても良い。この構成のリーマ21においては、刃先部23の外形がなす円の一部を、前記断面において直線状に削ぎ落として逃げ部32を設けることができるので、このリーマ21を低コストで製作することができる。
【0039】
また、図8に示すように、切刃30に連なる外周面29に設けられた逃げ部32を、平面状に形成された平面部37と、この平面部37の中央部分を径方向内側に凸となるR溝状に切り欠いたR溝部38とで構成してもよい。このような構成とすることにより、逃げ部32を容易に設けることができるとともに、R溝部38を通じて切削油剤を確実に先端側に向けて供給することができる。
【0040】
さらに、切屑排出溝27をリーマ21の後端側に向かうにしたがい工具回転方向T前方側へ向けて捩れるように形成したもので説明したが、これに限定されることはなく、工具回転方向T後方側に向けて捩れるように形成したり、捩れのない直線状に形成したりしてもよい。これらのような場合には、切刃30によって生成した切屑がリーマ21先端側へ案内されることはないが、切削油剤が切屑排出溝27を大きな流速でリーマ21先端側に向けて流れることで、切屑をリーマ21先端側へ排出することができる。
【0041】
さらに、リーマ21を図3に示す切削工具41に装着して使用するものとして説明したが、他の切削工具やアダプタ等に装着して使用するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態であるリーマの正面図である。
【図2】図1に示すリーマの側面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態であるリーマの正面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態であるリーマの正面図である。
【図5】図3に示すリーマの側面図である。
【図6】本発明の他の実施形態であるリーマの正面図である。
【図7】本発明の他の実施形態であるリーマの正面図である。
【図8】本発明の他の実施形態であるリーマの正面図である。
【図9】従来のリーマの正面図である。
【図10】図8に示すリーマの側面図である。
【符号の説明】
【0043】
21 リーマ(穴加工工具)
22 シャンク部
23 刃先部
27 切屑排出溝
28 工具回転方向T前方側を向く壁面
29 外周面
30 切刃
31 ランド部
32 逃げ部
34 第1ランド部
35 第2ランド部
36 排出孔




 

 


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