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発明の名称 可視光応答型光触媒膜及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−90161(P2007−90161A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−280059(P2005−280059)
出願日 平成17年9月27日(2005.9.27)
代理人 【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義
発明者 岡本 健吾 / 仙北屋 和明
要約 課題
紫外光下のみならず可視光下における光触媒活性も十分に発揮し、そのような可視光応答型光触媒膜を簡便に製造する。

解決手段
可視光応答型光触媒膜は、二酸化チタンに3〜7重量%の炭素が含有された炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなり、かつその膜厚は50〜1000nmである。その製造方法は、チタン有機錯体化合物を揮発させてガス状とする工程と、ガス状としたチタン有機錯体化合物を350〜700℃に加熱してそのチタン有機錯体化合物を熱分解酸化させて3〜7重量%の炭素を含有する炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる膜厚50〜1000nmの光触媒膜を得る工程とを有する。炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる光触媒膜は、大気開放型化学気相析出法によって成膜されることが好ましい。
特許請求の範囲
【請求項1】
二酸化チタンに3〜7重量%の炭素が含有された炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる膜厚50〜1000nmの可視光応答型光触媒膜。
【請求項2】
炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンが、チタン有機錯体化合物を揮発させてガス状とした後に350〜700℃で加熱し、熱分解酸化することにより生成された請求項1記載の可視光応答型光触媒膜。
【請求項3】
チタン有機錯体化合物を揮発させてガス状とする工程と、
ガス状とした前記チタン有機錯体化合物を350〜700℃の温度で加熱して前記チタン有機錯体化合物を熱分解酸化させて3〜7重量%の炭素を含有する炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる膜厚50〜1000nmの光触媒膜を得る工程と
を有する可視光応答型光触媒膜の製造方法。
【請求項4】
チタン有機錯体化合物を構成する中心金属であるチタン原子総数と配位子中の炭素原子総数の割合をTi:C=1:8〜1:28とすることにより3〜7重量%の炭素を含有する炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる光触媒膜を得る請求項3記載の可視光応答型光触媒膜の製造方法。
【請求項5】
チタン有機錯体化合物に有機溶媒を添加することにより3〜7重量%の炭素を含有する炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる光触媒膜を得る請求項3記載の可視光応答型光触媒膜の製造方法。
【請求項6】
チタン有機錯体化合物を揮発させたガスの濃度を2×10-6〜1.6×10-5mol/Lとし、そのチタン有機錯体化合物を揮発させたガスの供給量を1〜8L/minとすることにより3〜7重量%の炭素を含有する炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる光触媒膜を得る請求項3記載の可視光応答型光触媒膜の製造方法。
【請求項7】
チタン有機錯体化合物を揮発させガス状とした後、前記ガス状物の熱分解酸化する際の雰囲気における酸素分圧を0.02〜0.1MPaとし、その熱分解酸化する際の雰囲気における水蒸気分圧を0.0002〜0.08MPaとすることにより3〜7重量%の炭素を含有する炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる光触媒膜を得る請求項3記載の可視光応答型光触媒膜の製造方法。
【請求項8】
炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる光触媒膜が大気開放型化学気相析出法によって成膜される請求項3の可視光応答型光触媒膜の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は紫外光領域及び可視光領域において高い光触媒機能を有する可視光応答型光触媒膜及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、二酸化チタンは、安定な化合物であり、光触媒活性も高く、生体に対する安全性も優れており、白色顔料や光触媒としても広く実用化されている。しかし、従来から利用されている二酸化チタン光触媒は紫外光領域の光を吸収し、活性を示すものであり、可視光領域の光は吸収しない不具合があった。このため、室内では通常の白熱球や蛍光灯では効率が劣り、水銀ランプやブラックライトなどの特殊光源が必要であった。
この点を解消するために、チタニウムのアルコキシド化合物あるいは硝酸塩、または塩化物と炭素を混練した混合物を加熱することによって生成する炭素含有酸化チタンからなる、好ましくは炭素含有量が0.01〜数%の炭素含有酸化チタンからなる可視光励起型光触媒が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この可視光励起型光触媒は、乾燥雰囲気でチタニウムのアルコキシド化合物、あるいは硝酸塩や塩化物とアセチルカーボンなどの炭素材料とを混合し、加水分解した後、300℃以上の温度、好ましくは500〜600℃で加熱分解することによって生成する炭素を含有する二酸化チタンが優れた可視光励起光触媒活性を示すことから提案されたものであって、この可視光励起型光触媒では、紫外光領域及び可視光領域における活性を著しく向上することができるものとしている。
【特許文献1】特開2004−322045号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の可視光励起型光触媒では、その成膜がいわゆる液体コーティング法によるものとなり、添加されたバインダーにより光触媒表面が覆われ光触媒活性が低減する等の不具合が残存していた。また、上記従来の可視光励起型光触媒では、原料となるチタン化合物と炭素を混練りするという余分な工程も含まれていた。
本発明の目的は、紫外光下のみならず可視光下における光触媒活性も十分に発揮し得る可視光応答型光触媒膜を提供することにある。
本発明の別の目的は、可視光下における光触媒活性も十分に発揮し得る可視光応答型光触媒膜の簡便な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に係る発明は、二酸化チタンに3〜7重量%の炭素が含有された炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる膜厚50〜1000nmの可視光応答型光触媒膜である。
この請求項1に記載された可視光応答型光触媒膜では、3〜7重量%の炭素がドープされたアナターゼ型二酸化チタンを用いるため、紫外光下のみならず可視光下における光触媒活性も十分に発揮し、従って内装建材等の室内用途にも容易に適応可能である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンが、チタン有機錯体化合物を揮発させてガス状とした後に350〜700℃で加熱し、熱分解酸化することにより生成されたことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、チタン有機錯体化合物を揮発させてガス状とする工程と、ガス状としたチタン有機錯体化合物を350〜700℃の温度で加熱してそのチタン有機錯体化合物を熱分解酸化させて3〜7重量%の炭素を含有する炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる膜厚50〜1000nmの光触媒膜を得る工程とを有する可視光応答型光触媒膜の製造方法である。
【0005】
この請求項2に記載された可視光応答型光触媒膜及び請求項3に記載された可視光応答型光触媒膜の製造方法では、チタニウム有機錯体化合物を350〜700℃の温度で加熱し、熱分解酸化することを特長とすることから、成膜プロセス以外の二酸化チタンへの添加元素ドーピング工程が不必要である。即ち、アナターゼ型二酸化チタンの成膜と炭素ドープを同時に行うため、製法が簡潔かつ大量生産に向いており、コスト的にも安くできるメリットがある。
また、請求項3に記載された可視光応答型光触媒膜の製造方法では、いわゆる液体コーティング法ではなく直接成膜プロセスを採用するため、添加バインダー等を用いる必要が無い。従って、添加されたバインダーにより光触媒表面が覆われ光触媒活性が低減する等の欠点も生じない。
【0006】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明であって、チタン有機錯体化合物を構成する中心金属であるチタン原子総数と配位子中の炭素原子総数の割合をTi:C=1:8〜1:28とすることにより3〜7重量%の炭素を含有する炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる光触媒膜を得ることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項3に係る発明であって、チタン有機錯体化合物に有機溶媒を添加することにより3〜7重量%の炭素を含有する炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる光触媒膜を得ることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項3に係る発明であって、チタン有機錯体化合物を揮発させたガスの濃度を2×10-6〜1.6×10-5mol/Lとし、そのチタン有機錯体化合物を揮発させたガスの供給量を1〜8L/minとすることにより3〜7重量%の炭素を含有する炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる光触媒膜を得ることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項3に係る発明であって、チタン有機錯体化合物を揮発させガス状とした後、そのガス状物の熱分解酸化する際の雰囲気における酸素分圧を0.02〜0.1MPaとし、その熱分解酸化する際の雰囲気における水蒸気分圧を0.0002〜0.08MPaとすることにより3〜7重量%の炭素を含有する炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる光触媒膜を得ることを特徴とする。
この請求項4〜請求項7に記載された可視光応答型光触媒膜の製造方法では、得られた可視光応答型光触媒膜における二酸化チタンに炭素を3〜7重量%含有させることができる。
【0007】
請求項8に係る発明は、請求項3に係る発明であって、炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる光触媒膜が大気開放型化学気相析出法によって成膜されることを特徴とする。
この請求項8に記載された可視光応答型光触媒膜の製造方法では、大気開放型CVD法の成膜プロセスによりチタニウムのアルコキシド化合物を350〜700℃で加熱し、熱分解酸化することを特長とすることから、成膜プロセス以外の二酸化チタンへの添加元素ドーピング工程を不必要とし、比較的容易に可視光応答型光触媒膜を製造することができる。
また、この請求項8に記載された製造方法では大気開放型CVD法の成膜プロセスを採用するため、チタン有機錯体化合物又はそれに有機溶媒を添加したものを加熱気化させるだけで良く、炭素を含有させるために従来必要とされた原料となるチタン化合物と炭素を混練りするという煩雑な労力を不要にすることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の可視光応答型光触媒膜では、二酸化チタンに3〜7重量%の炭素が含有された炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなるため、紫外光下のみならず可視光下における光触媒活性も十分に発揮し、従って内装建材等の室内用途にも容易に適応可能である。
また、可視光応答型光触媒膜の製造方法では、チタン有機錯体化合物を揮発させてガス状とする工程と、ガス状としたチタン有機錯体化合物を350〜700℃に加熱してそのチタン有機錯体化合物を熱分解酸化させて3〜7重量%の炭素を含有する炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる膜厚50〜1000nmの光触媒膜を得る工程とを有するので、成膜プロセス以外の二酸化チタンへの添加元素ドーピング工程を不必要とすることができ、アナターゼ型二酸化チタンの成膜と炭素ドープを同時に行って、可視光応答型光触媒膜を比較的容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の可視光応答型光触媒膜は、二酸化チタンに3〜7重量%の炭素が含有された炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる。そして、この可視光応答型光触媒膜の膜厚は50〜1000nmである。アナターゼ型二酸化チタンを3〜7重量%の炭素を含有した炭素ドープ二酸化チタンとしたのは、紫外光下のみならず、得られた可視光応答型光触媒膜の可視光下における光触媒活性を十分に発揮させるためである。従って、炭素ドープ二酸化チタンを含む可視光応答型光触媒膜は、内装建材等の室内用途に適応可能である。
【0010】
ここで、炭素ドープ二酸化チタンの炭素ドープ量を3〜7重量%に規定したのは、3重量%未満では炭素ドープ量不足で、二酸化チタンの紫外可視吸収スペクトルにおける可視光吸収帯の広がりが不十分となって、満足する可視光下での光触媒活性が得られないためであり、7重量%を越えると炭素ドープ量が過剰で、可視光下での光触媒活性は得られるものの、過剰な炭素ドープによる二酸化チタンの結晶性の低下が著しく、光触媒活性における全体の量子効率等が却って低減してしまう問題が生じるためである。
また、この可視光応答型光触媒膜の膜厚を50〜1000nmの範囲内に規定したのは、可視光応答型光触媒膜が50nm値未満であると、薄すぎて十分な光触媒活性が得られず、可視光応答型光触媒膜が1000nmを越えると成膜時間がかかりすぎるため実用的ではないためである。このうち特に好ましい膜厚は100〜300nmである。
【0011】
この可視光応答型光触媒膜は、大気開放型化学気相析出法(以下、「大気開放型CVD法」という。)によって成膜することが好ましい。大気開放型CVD法とは、大気開放下にて原料ガスを成膜対象基材表面に吹付けて、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により対象基材表面上に金属酸化物等の薄膜を成膜する方法である。この大気開放型CVD法は、(1)PVD法(Physical Vapor Deposition)に比べて成膜速度が非常に速い、(2)薄膜のみならず1μm以上の厚膜も作製可能である、(3)形態制御膜(ウイスカー)、配向膜、アモルファス膜など色々なセラミックス(酸化物膜)を作ることができる、及び(4)大面積や複雑形状表面への成膜が容易である、装置自体が比較的安価で、保守管理も簡単である等の様々な特徴を有する。
【0012】
この大気開放型CVD法に用いる装置を図2に示す。図2に示すように、大気開放型CVD装置20は、内部に原料を載せる試料ボード21aが設置可能な原料気化器21と、原料気化ガスを基材11に向かって噴出する噴出ノズル22と、一方が気化器21の側部に接続され他方が噴出ノズル22頂部に接続された配管23と、気化器21で気化した原料気化ガスを配管23を介して噴出ノズル22へと運ぶキャリアガスの流量調節器24と、基材11を保持し、かつ水平方向に可動可能な基材加熱台26とをそれぞれ備える。また、噴出ノズル22の底部には所定幅のスリット22aが設けられる。基材加熱台26の内部にはヒータ26aが設けられ、基材加熱台26に保持した基材11を加熱する。
【0013】
本発明の可視光応答型光触媒膜のアナターゼ型二酸化チタンである炭素ドープ二酸化チタンを構成する原料としては、原料を気化させ大気に放出した際に、大気中の酸素或いは水分等と反応して所定量の炭素が含有したアナターゼ型二酸化チタンを形成するものであれば特に限定されない。具体的には、チタンテトライソプロポキシド(Ti(i-C37O)4;以下、TTIPという。)、チタンテトライソブトキサイド(Ti(i-C49O)4)、チタンテトラエトキサイド(Ti(C25O)4)等が挙げられる。このうちTTIPは炭素ドープ量を制御しやすく、得られた炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンの炭素ドープ量を3〜7重量%の範囲内に制御するために、TTIP等のチタン含有原料が70重量%以上の割合で含むように有機溶媒に溶解して溶液原料を調製し、この溶液原料を用いて成膜することが好ましい。
【0014】
溶液原料に使用する有機溶媒としてはイソプロピルアルコール、ヘキサン、シクロヘキサンが挙げられる。表面に可視光応答型光触媒膜を形成する基材11としては、原料気化ガスを吹付ける際における加熱に耐えられる材料であればどのような材料でも使用可能である。具体的には金属、金属酸化物、ガラス、陶磁器、セラミックス、プラスチック等が好ましい。キャリアガスとしては、加熱下で使用する原料と反応しない媒体であれば特に限定されない。具体的には、N2ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガス、乾燥空気等が挙げられる。なお、図2において符号27はキャリアガス供給源、符号28は原料気化器21、噴出ノズル22、基材加熱台26等を覆う防護チャンバ、符号29は開閉可能なチャンバ扉、符号31はチャンバ扉29の開閉を担うインターロックスイッチをそれぞれ示す。
【0015】
この装置では、先ず、所定量に量り取った光触媒膜原料を載せた試料ボード21aを原料気化器21内に設置し、基材加熱台26上に基材11を保持する。次いで、原料気化器21内部、配管23、噴出ノズル22及び基材加熱台26をそれぞれ所望の温度に加熱し、原料気化器21内部の原料を揮発させてガス状とする。次に、流量調節器24により流量を調節しながらキャリアガス供給源27からキャリアガスを原料気化器21に導入する。原料気化ガスは原料気化器21から配管23を介して噴出ノズル22に搬送される。原料気化ガスは、噴出ノズル22底部に設けられた所定幅のスリット22aから基材11表面に向かって噴出され、基材11表面近傍の大気中に含まれる水分と反応して炭素ドープ二酸化チタンを形成する。形成した炭素ドープ二酸化チタンは基材11表面に成膜する。
【0016】
ここで、チタン有機錯体化合物を揮発させガス状とした後、熱分解酸化温度及びその熱分解酸化時間を制御することにより、得られた炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンの炭素のドープ量を制御することができる。得られた炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンの炭素ドープ量を3〜7重量%とするためには、熱分解酸化温度を350〜700℃とし、加熱することが好ましい。熱分解酸化温度が350℃未満では、加熱が不十分となって炭素ドープ量が7重量%を越える可能性が大きくなり、熱分解酸化温度が700℃を越えると、ルチル型二酸化チタンが生成しアナターゼ型二酸化チタンの含有量が低下する。
【0017】
また、チタン有機錯体化合物を揮発させガス状とした後、熱分解酸化する際の雰囲気における酸素分圧及び水分を制御することにより、得られた炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンの炭素のドープ量を制御することができる。得られた炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンの炭素ドープ量を3〜7重量%とするためには、熱分解酸化する際の雰囲気における酸素分圧を0.02〜0.1MPaとし、その熱分解酸化する際の雰囲気における水蒸気分圧を0.0002〜0.08MPaとすることが好ましい。熱分解酸化する際の雰囲気における酸素分圧が0.1MPaを越えるか、或いはその雰囲気における水蒸気分圧が0.08MPaを越えると、炭素ドープ量が3重量%未満となる可能性が大きくなり、熱分解酸化する際の雰囲気における酸素分圧が0.02MPa未満であるか、或いはその雰囲気における水蒸気分圧が0.0002MPa未満であると、炭素ドープ量が7重量%を越える可能性が大きくなる。ここで、熱分解酸化する際の雰囲気における酸素分圧及び水蒸気分圧の更に好ましい範囲は、0.02〜0.05MPa、0.0004〜0.05MPaである。
【0018】
また、原料気化ガスの濃度及びその供給量で炭素のドープ量を制御することもできる。得られた炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンの炭素ドープ量を3〜7重量%とするためには、原料気化ガスの濃度を2×10-6〜1.6×10-5mol/L、供給量を1〜8L/minとすることが好ましい。原料気化ガスの濃度が2×10-6mol/L未満であるか、或いはその供給量が1L/min未満であると、炭素ドープ量が3重量%未満となる可能性が大きくなり、原料気化ガスの濃度が1.6×10-5mol/Lを越えるか、或いはその供給量が8L/minを越えると、炭素ドープ量が7重量%を越える可能性が大きくなる。ここで、原料気化ガスの濃度及びその供給量の更に好ましい範囲は、4×10-6〜0.8×10-5mol/L、2〜4L/minである。
【0019】
また、加熱台17の温度を制御することで基材11の表面温度を350〜700℃とすることによっても炭素ドープ二酸化チタンの炭素ドープ量を3〜7重量%の範囲に制御することができる。基材11の表面温度が350℃未満では加熱が不十分となって7重量%を越える炭素が含有された炭素ドープ二酸化チタンが形成され、過剰な炭素ドープによって二酸化チタンの結晶性が著しく低下し、実用に耐えられる光触媒活性が得られなくなる。また基材11の表面温度が700℃を越えるとアナターゼ型二酸化チタンの含有量が低下する。基材加熱台26を所定の速度で水平方向に駆動させることにより、噴出ノズル22から噴出された原料気化ガスが反応して形成される炭素ドープ二酸化チタンが基材表面に均一に成膜される。
このように大気開放型CVD装置により、二酸化チタンに3〜7重量%の炭素が含有された炭素ドープアナターゼ型二酸化チタンからなる膜厚50〜1000nmの可視光応答型光触媒膜を得る。この可視光応答型光触媒膜12は、十分な光触媒活性が得られる。
【実施例】
【0020】
以下に本発明の実施例を比較例とともに説明する。
<実施例1>
大気開放型CVD装置の気化器にチタンテトライソプロピレート12gを充填し、気化温度80℃にて加熱し原料揮発ガス体とした。この原料揮発ガス体を窒素キャリアガスにて4L/minの流速にて噴霧ノズルに供給した。一方、厚さ1mm、一辺30mmの正方形の石英ガラスを基材としてホットプレートにて400℃に加熱した。ホットプレートを左右に6cmの振幅で40mm/minの速度にて往復運動させた。この状態でホットプレートの上部に設置したノズルから4L/minの流速にてチタンテトライソプロピレート原料揮発ガスを10min噴霧した。そして、これの熱分解により石英ガラス表面に膜厚300nmの二酸化チタンがコーティングされた。この膜厚300nmの二酸化チタンからなる光触媒膜を実施例1とした。
この実施例1における光触媒膜の結晶構造をXRD(X-ray diffraction analysis)にて分析した。その結果この光触媒膜を構成する二酸化チタンはアナターゼ型であることが確認された。また、この実施例1における光触媒膜をX線光電子分光分析装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)により組成分析した結果、炭素含有率は5.25重量%であることが判明した。
【0021】
<実施例2>
石英ガラスを基材としてホットプレートにて700℃に加熱したことを除き、実施例1と同一の手順により、石英ガラス表面に膜厚300nmの二酸化チタンをコーティングさせた。この膜厚300nmの二酸化チタンからなる光触媒膜を実施例2とした。
この実施例2における光触媒膜の結晶構造をXRD(X-ray diffraction analysis)にて分析した。その結果この光触媒膜を構成する二酸化チタンはアナターゼ型であることが確認された。また、この実施例2における光触媒膜をX線光電子分光分析装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)により組成分析した結果、炭素含有率は5.41重量%であることが判明した。
【0022】
<実施例3>
チタン含有原料としてチタンテトライソプロピレートの代わりに、チタンテトライソプロピレートが85重量%、イソプロピルアルコールが15重量%の割合になるように、チタンテトライソプロピレートをイソプロピルアルコールに熔解した溶液原料を用いた。この溶液原料を大気開放型CVD装置の気化器に12g充填した。これ以外は実施例1と同一の手順により、石英ガラス表面に膜厚300nmの二酸化チタンをコーティングさせた。この膜厚300nmの二酸化チタンからなる光触媒膜を実施例3とした。
この実施例3における光触媒膜の結晶構造をXRD(X-ray diffraction analysis)にて分析した。その結果この光触媒膜を構成する二酸化チタンはアナターゼ型であることが確認された。また、この実施例3における光触媒膜をX線光電子分光分析装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)により組成分析した結果、炭素含有率は6.5重量%であることが判明した。
【0023】
<比較例1>
石英ガラスを基材としてホットプレートにて300℃に加熱したことを除き、実施例1と同一の手順により、石英ガラス表面に膜厚300nmの二酸化チタンをコーティングさせた。この膜厚300nmの二酸化チタンからなる光触媒膜を比較例1とした。
この比較例1における光触媒膜の結晶構造をXRD(X-ray diffraction analysis)にて分析した。その結果この光触媒膜を構成する二酸化チタンはアナターゼ型であることが確認された。また、この比較例1における光触媒膜をX線光電子分光分析装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)により組成分析した結果、炭素含有率は7.87重量%であることが判明した。
【0024】
<比較試験1>
実施例1〜実施例3及び比較例1の可視光応答型光触媒膜をそれぞれ用い、光触媒性能評価試験法IIa(2001年度版)ガスバックA法(光触媒製品技術協議会)に準拠した方法により、アセトアルデヒドの分解活性を指標として、光触媒活性を測定した。先ず、コック付きテドラーバックに実施例1〜実施例3及び比較例1の可視光応答型光触媒膜をそれぞれ別に封入した。次いで、それらのテドラーバック内にアセトアルデヒド濃度20ppmに調整した空気を1L充填した。次に、充填後のテドラーバックを30分間静置した。テドラーバックに空気を充填した直後、30分間静置後におけるテドラーバック中のアセトアルデヒド濃度をガス検知管(ガステック製;92M)にてそれぞれ測定した。続いて、ブラックライトを用いて波長が365nm程度の光を1.2mW/cm2照射した。そして、その照射15分後、30分後、1時間後におけるテドラーバック中のアセトアルデヒド濃度をガス検知管によりそれぞれ測定した。
実施例1〜実施例3及び比較例1のそれぞれの光触媒膜を用いた試験におけるテドラーバック中のアセトアルデヒド残存率とUV光照射時間との関係を図1に示す。
【0025】
<評価>
図1から明らかなように、実施例1〜実施例3の光触媒膜では、紫外光照射時間1時間以内でアセトアルデヒド残存率がゼロとなる優れた光触媒活性を示した。これに対して比較例1の光触媒膜ではアセトアルデヒドを全く分解しなかった。これは実施例1〜実施例3では、二酸化チタンに3〜7重量%の炭素が含有されていることによるものと考えられる。これに対して、比較例1ではその製造時のチタン有機錯体化合物の加熱が350℃未満のためにその加熱が不十分となり、二酸化チタンに含まれる炭素が7重量%を越える過剰な炭素ドープが起こり、かつ、アナターゼ型二酸化チタンが生成しても結晶性に劣るため、満足する光触媒活性が得られないためと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明実施例における光触媒膜を用いたアセトアルデヒド残存率とUV照射時間との関係を示す図。
【図2】本発明の光触媒膜を製造するために使用する大気開放型化学気相析出装置を示す図。




 

 


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