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発明の名称 ピンミラーカッター用インサート及びピンミラーカッター
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−69305(P2007−69305A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−258899(P2005−258899)
出願日 平成17年9月7日(2005.9.7)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 滝口 正治 / 早野 修司 / 別所 光正 / 田澤 貢
要約 課題
ウェブ刃によって切削した際に発生する切屑をカッター本体の径方向に向けて滑らかに排出することができるとともに、切削抵抗を効果的に低減してバリの発生を抑制することができるインサート及びこのインサートを装着したピンミラーカッターを提供する。

解決手段
カッター本体の周面に形成された第1のインサート取付座と、前記カッター本体の側面に形成された第2のインサート取付座とに装着されるピンミラーカッター用インサートであって、四角形平板状をなすインサート本体11の対向する一対の側面13、13がそれぞれすくい面とされ、該すくい面の辺稜部には切刃21、22、23が設けられており、切刃21、22、23の内側にはブレーカ溝24、25が形成されており、ブレーカ溝24、25が、リブ部27を介して、前記すくい面の4つの角部毎にそれぞれ独立して設けられていることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
軸線回りに回転されるピンミラーカッターの概略円環状あるいは概略円板状をなすカッター本体の周面に形成された第1のインサート取付座と、前記カッター本体の側面に形成された第2のインサート取付座とに装着されるピンミラーカッター用インサートであって、
四角形平板状をなすインサート本体の四角形面を囲む4つの側面のうち、対向する一対の側面がそれぞれすくい面とされ、該すくい面の辺稜部には切刃が設けられており、
該切刃の内側にはブレーカ溝が形成されており、該ブレーカ溝が、このブレーカ溝の底面から突出するリブ部を介して、前記すくい面の4つの角部毎にそれぞれ独立して設けられていることを特徴とするピンミラーカッター用インサート。
【請求項2】
前記第2のインサート取付座に装着された際に前記カッター本体の側面から突出される前記切刃の内側に設けられた前記ブレーカ溝には、前記切刃で切削した際に発生する切屑を、該切刃が設けられた前記角部に対して前記すくい面の対角線方向に案内するガイド面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のピンミラーカッター用インサート。
【請求項3】
前記インサートの前記すくい面をなす前記側面の中央部には、前記リブ部に連なる凸状部が形成され、該凸状部の上面が前記切刃よりも突出した平面状とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のピンミラーカッター用インサート。
【請求項4】
前記インサート本体は、等脚台形平板状をなし、該等脚台形の斜辺部分に連なる前記側面がすくい面とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のピンミラーカッター用インサート。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のインサートが、
前記第1のインサート取付座においては、前記インサート本体の厚さ方向が前記カッター本体の径方向に向くように装着され、前記カッター本体の前記周面から突出された前記切刃がピン刃とされ、
前記第2のインサート取付座においては、前記インサート本体の厚さ方向が前記カッター本体の軸線方向を向くように装着され、前記カッター本体の前記側面から突出された前記切刃がウェブ刃とされていることを特徴とするピンミラーカッター。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば往復式内燃機関に用いられるクランクシャフトを加工する際に使用されるピンミラーカッターに装着されるピンミラーカッター用インサート及びこのインサートを装着したピンミラーカッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されているような、いわゆるインターナル型のピンミラーカッターが知られている。このピンミラーカッターは、軸線回りに回転される概略円環状をなすカッター本体の内周面に第1のインサート取付座が複数形成されているとともに、カッター本体の両側面には、その内周面側に第2のインサート取付座が複数形成されていて、これら第1、第2のインサート取付座に同一種類のインサートがそれぞれ装着されたものである。
【0003】
このインサートは、概略平行四辺形平板状をなすインサート本体の対向配置された一対の側面とインサート本体の上下面との交差稜線部に合計8つの切刃が形成されたものであり、上記一対の側面とは異なる他方の一対の側面においては、インサート本体の鈍角コーナー部側の領域がそのコーナー角を大きくするように切り落とされていることにより、この他方の一対の側面が2つの壁面から構成されてインサート本体の外方側に凸となる山型形状をなしている。さらに、インサート本体の上下面における他方の一対の側面への接続部分のそれぞれは、凸曲面状に面取り加工されている。
【0004】
第1のインサート取付座に装着されたインサートは、その概略平行四辺形平板状をなすインサート本体の鋭角コーナー部に形成された一の切刃が、アキシャルレーキ角(軸方向すくい角)が正に、ラジアルレーキ角(径方向すくい角)が負になるように、カッター本体の内周面から突出させられて、クランクシャフトにおけるピン部(シャフト部)の外周面を加工するピン刃(外周刃)とされている。
【0005】
また、第2のインサート取付座に装着されたインサートは、その概略平行四辺形平板状をなすインサート本体の鈍角コーナー部に形成された一の切刃が、アキシャルレーキ角(軸方向すくい角)が負に、ラジアルレーキ角(径方向すくい角)も負になるように、カッター本体の側面から突出させられて、クランクシャフトにおけるカウンターウエイト部の側面を加工するウェブ刃(ショルダー刃)とされている。
【0006】
このようなピンミラーカッターでは、同一種類のインサートを第1、第2のインサート取付座に装着していることにより、1つのインサートで合計8ヶ所に形成された切刃をそれぞれ切削に供して、インサートの使用コストの低減を図ることができる。そして、上記のような他方の一対の側面を備えた概略平行四辺形平板状のインサート本体を有するインサートを使用したことにより、第1のインサート取付座に装着されるインサートについて、そのピン刃とされる切刃に与えられるアキシャルレーキ角を正に設定して、切削抵抗の低減を図ろうとしている。
【特許文献1】特開2002−46009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたピンミラーカッターでは、上記ウェブ刃として第2のインサート取付座に装着されたインサートは、その切刃のラジアルレーキ角が例えば−20°と負側に大きく設定されているため、この切刃によって生成された切屑がカッター本体の径方向外側に滑らかに案内されず、インサート取付座に隣接したチップポケット内を、カッター本体の上記軸線を中心とした円の接線方向、つまり側面視において真横に流れていき、再び上記切刃の回転方向前方へと導かれ、ウェブ刃に噛み込まれてしまうおそれがあった。
【0008】
また、このように切屑の噛み込みが生じると、ウェブ刃とされたインサートに欠損等の損傷が生じてその寿命が費えてしまい、上述のように8つの切刃を切削に供してインサートの使用コスト低減を図ることができなくなってしまう。また、こうして切屑が真横に流れ出てしまうと、カッター本体においても、切屑詰まりが生じ易くなるとともに、切屑がチップポケット内壁面の同じ部分を擦過して流れるため、この部分が深くえぐられてしまい、やはりその寿命が短縮されてしまうといった問題がある。さらに、ワークとしてのクランクシャフトにおいては、上記ウェブ刃によって切削されるカウンターウエイト部にバリが生じてしまうため、ピンミラーカッターによる切削作業後にバリ取り作業が必要となってしまう。
【0009】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ウェブ刃によって切削した際に発生する切屑をカッター本体の径方向に向けて滑らかに排出することができるとともに、切削抵抗を効果的に低減してバリの発生を抑制することができるインサート及びこのインサートを装着したピンミラーカッターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、軸線回りに回転されるピンミラーカッターの概略円環状あるいは概略円板状をなすカッター本体の周面に形成された第1のインサート取付座と、前記カッター本体の側面に形成された第2のインサート取付座とに装着されるピンミラーカッター用インサートであって、四角形平板状をなすインサート本体の四角形面を囲む4つの側面のうち、対向する一対の側面がそれぞれすくい面とされ、該すくい面の辺稜部には切刃が設けられており、該切刃の内側にはブレーカ溝が形成されており、該ブレーカ溝が、このブレーカ溝の底面から突出するリブ部を介して、前記すくい面の4つの角部毎にそれぞれ独立して設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
上記構成のピンミラーカッター用インサートによれば、すくい面にブレーカ溝が形成されており、これらのブレーカ溝がリブ部を介して独立しているので、切刃をウェブ刃として使用する場合とピン刃として使用する場合とでそれぞれ好適な形状にブレーカ溝を形成することができる。
【0012】
例えば、前記第2のインサート取付座に装着された際に前記カッター本体の側面から突出される前記切刃の内側に設けられた前記ブレーカ溝に、前記切刃で切削した際に発生する切屑を、該切刃が設けられた前記角部に対して前記すくい面の対角線方向に案内するガイド面を形成することにより、この切刃をウェブ刃として使用した場合に、生成した切屑をカッター本体の径方向に向けて効率よく排出することができる。
【0013】
したがって、切屑の噛み込みが防止されることにより、インサートの欠損等がなくなり、インサートの寿命延長を図ることができる。さらに、カッター本体においても切屑詰まりが生じにくくなり、カッター本体の寿命延長を図ることができる。
また、ブレーカ溝によって切屑が細かく分断されて切屑排出性が向上されているので、例えば、このインサートを第2のインサート取付座に装着してウェブ刃として使用し、このウェブ刃のラジアルレーキ角が負側に設定された場合でも、切屑を外部へ効率良く排出できる。
【0014】
また、すくい面にブレーカ溝が形成されているので、切刃の切削抵抗が小さく抑えられ、切削加工されるワークにバリが生じることを防止できる。よって、切削加工を精度良く行うことができ、ピンミラーカッターでの切削加工後に、例えばクランクシャフトのカウンターウエイト部のバリ取り等の手直し作業を行う必要がない。
【0015】
また、前記インサートの前記すくい面をなす前記側面の中央部に、前記リブ部に連なる凸状部を形成し、該凸状部の上面を前記切刃よりも突出した平面状とすることにより、対向する側面をすくい面としてインサート取付座に装着する際に、この凸状部の上面をインサート取付座の載置面に当接させることができ、インサートを安定して装着することができる。よって、このインサートで切削加工した際に発生する切削抵抗を載置面で十分に受けることができ、インサートのビビリを抑えることができる。
【0016】
さらに、前記インサート本体を等脚台形平板状とし、該等脚台形の斜辺部分に連なる前記側面をすくい面とすることにより、この等脚台形の長辺側の角部に位置する切刃をピン刃として使用してアキシャルレーキ角を正として配置でき、短辺側の角部に位置する切刃をウェブ刃として使用してラジアルレーキ角を負として配置できる。よって、ピン刃として使用する際の切削抵抗をさらに低減することができる。
また、ひとつのすくい面の4つの角部に切刃が設けられるとともにすくい面とされる側面が2つ備えられているので、ひとつのインサートに形成された8つの角部の切刃を順次使用することができ、インサートの使用コストを低減することができる。
【0017】
また、前記第1のインサート取付座においては、前記インサート本体の厚さ方向が前記カッター本体の径方向に向くように装着されて、前記曲線刃が前記カッター本体の前記側面から突出されてピン刃とされ、前記第2のインサート取付座においては、前記インサート本体の厚さ方向が前記カッター本体の軸線方向を向くように装着され、前記曲線刃が前記カッター本体の前記周面から突出されてウェブ刃とされていたピンミラーカッターでは、切屑の排出が促進されて切屑に起因するトラブルを未然に防止できるとともに、切削抵抗を低減してワークを精度良く切削加工することができる。
【0018】
このように、本発明によれば、ウェブ刃によって切削した際に発生する切屑をカッター本体の径方向に向けて効率良く排出することができるとともに、切削抵抗を低減してバリの発生を抑制してワークを精度良く加工することができるインサート及びこのインサートを装着したピンミラーカッターを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態について、添付した図面を参照して説明する。図1から図4に、本発明の実施の形態であるピンミラーカッター用インサートを示す。また、図5及び図6に、このインサートを装着したピンミラーカッターを示す。
【0020】
本実施形態であるピンミラーカッター用インサートは、そのインサート本体11が超硬合金等の硬質材料により構成されており、図1及び図2に示すように概略台形平板状をなしている。すなわち、互いに平行に配置された概略等脚台形状の上下面12と、この上下面12がなす等脚台形のそれぞれの斜辺に連なる一対の側面13、13と、等脚台形の長辺に連なる側面14と、等脚台形の短辺に連なる側面15とを備えており、この等脚台形の斜辺は長辺よりも長くされている。
【0021】
したがって、インサート本体11には、その上下面12の長手方向一端(図2において左側)に、斜辺に連なる側面13と長辺に連なる側面14とが互いに等しい角度で鋭角に交差する一対の鋭角コーナー部16、16と、これとは反対の長手方向他端(図2において右側)に、斜辺に連なる側面13と短辺に連なる側面15とが互いに等しい角度で鈍角に交差する一対の鈍角コーナー部17、17とが形成されることになる。ここで、鋭角コーナー部16の角度は75°から85°の範囲とされるのが望ましく、したがって鈍角コーナー部17の角度は95°から105°の範囲とされるのが望ましい。また、上下面12の中央部には、挿通孔18が、インサート本体11の厚さ方向に貫通するように形成されている。
【0022】
ここで、長辺に連なる側面14及び短辺に連なる側面15は、その厚さ方向中央部分は該厚さ方向に平行な平坦面とされているとともに、これら側面14、15と上下面12との交差部分には、それぞれ凸曲面19、20が形成されている。
これにより、斜辺に連なる側面13を正面視した場合には、図3に示すように概略長方形、より具体的には略長円状を呈することになる。
【0023】
この斜辺に連なる側面13がすくい面とされ、この側面13(すくい面)の辺稜部に切刃が形成されている。詳述すると、上下面12との交差稜線部に形成される直線刃21と、長辺に連なる側面14と上下面12との交差部分に設けられた凸曲面19との交差稜線部に形成される第1曲線刃22と、短辺に連なる側面15と上下面12との交差部分に設けられた凸曲面20との交差稜線部に形成される第2曲線刃23とが形成されている。
【0024】
ここで、図3に示すように、第1曲線刃22は1/4円弧状に形成され、第2曲線刃23は1/4円弧よりも短く、かつ、第1曲線刃22がなす1/4円弧よりも半径の大きな円弧状に形成されている。
また、これら直線刃21、第1曲線刃22、第2曲線刃23は同一平面上に形成されるとともに、図4に示すように、これら切刃の外周部分にはネガランドが形成されている。
【0025】
このように、ひとつの側面13(すくい面)に第1曲線刃22及び直線刃21が2組、第2曲線刃23が2つ備えられており、ひとつのインサートには4組の第1曲線刃22及び直線刃21と、4つの第2曲線刃23が形成されているのである。言い換えると、等脚台形の鈍角コーナー部17側に第1曲線刃22が配置され、鋭角コーナー部16側に第2曲線刃23が配置されていることになる。
【0026】
そして、第1曲線刃22及び第2直線刃21が設けられた交差稜線部の内側部分には、第1ブレーカ溝24がそれぞれに形成されている。また、第2曲線刃23が設けられた交差稜線部の内側には、第2ブレーカ溝25がそれぞれに形成されている。これら2つの第1ブレーカ溝24及び2つの第2ブレーカ溝25は、凸状部26及びこの凸状部26に連なるリブ部27によって分断されて独立しており、この凸状部26の上面26Aは切刃(直線切刃21、第1曲線刃22、第2曲線刃23)が形成された前記平面に平行で該平面よりもわずかに突出された平坦面とされている。
第1ブレーカ溝24は、図4示すように、すくい面内側に向けて後退傾斜する傾斜平面と、この傾斜平面から立ち上がる断面円弧状をなす凹曲面とで形成されている。
【0027】
また、第2ブレーカ溝25には、切刃側に第1ブレーカ溝24と同様に形成された傾斜平面と、この傾斜平面に連なるように凸状部26の上面26Aに平行な平坦面とされた底面25Aと、この底面25Aに連なりすくい面とされる側面13がなす概略長方形の対角線方向に向けて漸次隆起するように傾斜したガイド面25Bが形成されている。
【0028】
このガイド面25Bは、この側面13の対角線方向に凹む凹曲面とこの凹曲面の両側に位置する傾斜平面とで構成されており、対向視して図3に示すように、前記対角線方向に凸となる概略V字状に形成されている。ここで、このガイド面25Bは、前記対角線方向に向けて底面25Aに対し一定の角度で隆起するように形成され、その底面25Aとの交差角度は、本実施形態では30°とされている。また、2つの第2ブレーカ溝25の間に形成されたリブ部27Aと底面25Aとの間には傾斜面が形成されており、この傾斜面と底面25Aとがなす角度は、本実施形態では43°とされて、ガイド面25Bとの交差角度よりも大きくされている。
【0029】
次に、このインサートが装着されたピンミラーカッターについて説明する。
本実施形態であるピンミラーカッターはインターナル型のものであり、カッター本体31は、図5及び図6の要部拡大図に示すように、軸線O回りに回転される該軸線Oを中心とした概略円環状をなしている。このカッター本体31において、径方向内側を向く内周面32には、複数の第1のインサート取付座34…が、カッター本体31の周方向に沿って略等間隔に形成されている。また、カッター本体31の軸線O方向を向く両側面33A、33Bのそれぞれの内周面32側には、複数の第2のインサート取付座35…が、カッター本体31の周方向に沿って略等間隔に形成されている。
【0030】
このうち、複数の第1のインサート取付座34は、カッター本体31の両側面33A、33Bのうちの一方の側面33A寄りに配置されたものと、他方の側面33B寄りに配置されたものとが、カッター本体31の周方向において交互に配列されるように形成されている。また、カッター本体31の周方向において、その一方の側面33Aに形成された複数の第2のインサート取付座35は、他方の側面33B寄りの内周面32側に形成された複数の第1のインサート取付座34のそれぞれわずかにカッター回転方向T後方側に配置され、カッター本体31の他方の形成された側面33Bに複数の第2のインサート取付座35も、一方の側面33A寄りの内周面32に形成された複数の第1のインサート取付座34のそれぞれわずかにカッター回転方向T後方側に配置されている。
【0031】
さらに、各インサート取付座34、35のカッター回転方向T前方側には、切削加工時に発生する切屑を外部へ排出するためのチップポケット36が形成されている。
また、これらインサート取付座34、35には、インサートのすくい面とされた側面13に対向する側面13(着座面)が当接される載置面が備えられている。
【0032】
カッター本体31に形成された第1、第2のインサート取付座34、35に本実施形態であるインサートが装着される。このうち、第1のインサート取付座34に対してインサートは、インサート本体11の厚さ方向をカッター本体31の径方向に向けて、斜辺に連なる一対の側面13、13のうちの一方の側面13をカッター回転方向T前方側に向けてすくい面とし、他方の側面13を着座面として載置面に当接するように配置され、インサート本体11の挿通孔18に挿通されたクランプネジ37によって固定される。
【0033】
こうして第1のインサート取付座34に装着されたインサートは、鋭角コーナー部16側に形成されたひとつの第1曲線刃22を、その第1のインサート取付座34が寄せられたカッター本体31の側面33A、33B側に位置させて内周面32から軸線O方向外側に突出させるとともに、この第1曲線刃22に連なる直線刃21を該第1曲線刃22からそれぞれカッター本体31の軸線O方向内側に延ばすようにして内周面32から径方向内側へ突出させられている。
【0034】
また、一方の側面33A寄り及び他方の側面33B寄りに形成された第1のインサート取付座34に装着されたインサート同士は、軸線O回りの回転軌跡において直線刃21の軸線O方向内側部分が互いにオーバーラップして軸線Oに概略平行なひとつの直線状をなすようにされており、これら複数の第1のインサート取付座34に装着されたインサートの第1曲線刃22と第1直線刃21とにより、クランクシャフトにおけるピン部(シャフト部)の外周面を加工するピン刃が形成される。
【0035】
また、このピン刃とされる第1曲線刃22及び直線刃21のカッター回転方向T後方側に連なる凸曲面19及び上下面12は、カッター回転方向T後方側に向かうにしたがい径方向外側に向かうように傾斜させられるとともに、この凸曲面19と長辺に連なる側面14とはカッター回転方向T後方側に向かうにしたがい軸線O方向内側に向かうように傾斜させられており、これらピン刃とされる第1曲線刃22及び直線刃21の逃げ面とされる凸曲面19及び上下面12に対して逃げが与えられている。
【0036】
また、すくい面とされる側面13は径方向外側に向かうにしたがいカッター回転方向T前方側に向かうように傾斜させられており、ピン刃とされる第1曲線刃22及び直線刃21のラジアルレーキ角は負とされている。
これに対して、第1曲線刃22から直線刃21に向けて軸線O方向内側に向かうにしたがいカッター回転方向T後方側へ向かうように傾斜させられることによって、ピン刃とされる第1曲線刃22及び直線刃21のアキシャルレーキ角は正とされている。
【0037】
このように、本実施形態のインサートにおいては、すくい面をなす側面13と第1のインサート取付座34に装着されたときにカッター本体31の軸線O方向外側に向けられる側面14とが、75°〜85°の範囲の鋭角コーナー部16を介して交差させられているために、第1曲線刃22の逃げ面をなす凸曲面19及び長辺に連なる側面14に逃げを与えても、ピン刃とされる第1曲線刃22及び直線刃21のアキシャルレーキ角を正とすることができるのである。
【0038】
一方、第2のインサート取付座35に対してインサートは、インサート本体11の厚さ方向をカッター本体31の軸線O方向に向けて、斜辺に連なる一対の側面13、13のうちの一方の側面13をカッター回転方向T前方側に向けてすくい面とし、他方の側面13を着座面として載置面に当接するように配置され、インサート本体11の挿通孔18に挿通されたクランプネジ37によって固定される。
【0039】
こうして第2のインサート取付座35に装着されたインサートは、鈍角コーナー部17側に形成されたひとつの第2曲線刃23を、カッター本体31の一方の側面33Aまたは他方の側面33Bから軸線O方向外側に向けて突出させ、軸線O回りの回転軌跡においてピン刃とされた第1曲線刃22の軸線O方向外側かつカッター本体31の径方向内側部分にオーバーラップさせるように装着されていて、このような突出状態に配置された第2曲線刃23が、クランクシャフトにおけるカウンターウェイト部の側面部を加工するウェブ刃とされている。
【0040】
また、こうして第2のインサート取付座35に装着されたインサートは、その軸線O方向外側に向けられる上下面12がカッター本体31の径方向外側に向かうにしたがい軸線O方向内側に向かうように傾斜させられており、これによりウェブ刃とされる第2曲線刃23に連なる直線刃21には逃げが与えられて切削に供されることがないように構成されている。さらに、このウェブ刃とされる第2曲線刃23のカッター回転方向T後方側に連なる凸曲面20も、カッター回転方向T後方側に向かうにしたがい軸線O方向内側と径方向外側とに向かうように傾斜させられていて、ウェブ刃とされる第2曲線刃23の逃げ面をなすこの凸曲面20に対して逃げが与えられている。そのため、このウェブ刃とされる第2曲線刃23のアキシャルレーキ角(軸方向すくい角)は、この第2曲線刃23が軸線O方向内側に向かうにしたがいカッター回転方向T前方側へ向かうように傾斜させられることによって、負に設定されている。
【0041】
そして、さらにこのウェブ刃とされる第2曲線刃23のラジアルレーキ角(径方向すくい角)は、この第2曲線刃23が径方向外側に向かうにしたがいカッター回転方向T前方側に向かうように傾斜させられることによって負側に設定されている。すなわち、本実施形態のインサートでは、ウェブ刃とされる第2曲線刃23が形成されている鈍角コーナー部17の角度95°から105°の範囲内とされているので、このウェブ刃とされる第2曲線刃23に連なる凸曲面20に対して必要な逃げを確保しても、この第2曲線刃23のラジアルレーキ角を−15°までの負に設定することができる。
【0042】
このようにインサートが装着されたピンミラーカッターは、加工機のカッター取付部に、カッター本体31の軸線Oが主軸と一致するように取り付けられ、チャックに架け渡されたクランクシャフトをカッター本体31の内周に挿通させた状態で、カッター本体31の軸線O回りにカッター回転方向Tに自転させられるとともに、クランクシャフトの各ピン部の軸線O回りに公転させられつつ、インサートのピン刃とされる第1曲線刃22及び直線刃21とウェブ刃とされる第2曲線刃23とを切り込ませることにより、このクランクシャフトの特にピン部周辺を所定形状に加工するものである。
【0043】
本実施形態であるピンミラーカッター用インサートでは、第2ブレーカ溝25の底面25Aが対角線方向に延びる平坦面とされており、この底面25Aに連なるようにインサート本体11の対角線方向に向けて傾斜したガイド面25Bが形成されているので、ウェブ刃とされる第2曲線刃23によって生成した切屑は、この底面25A及びガイド面25Bに沿ってインサート本体11の対角線方向に向けて移動することになる。ここで、本実施形態では、第2ブレーカ溝25同士の間に形成されたリブ部27Aと底面25Aとの間に位置する傾斜面と底面25Aとがなす角度が43°とされ、ガイド面25Bと底面部25Aとの交差角度が30°とされているので、第2曲線刃23によって生成した切屑は、リブ部27A側に向かうことなくガイド面25B側へと案内されていくことになる。
【0044】
よって、このウェブ刃のラジアルレーキ角が負側に設定された場合でも、切屑をカッター本体31の径方向外側に向けて排出でき、切屑の噛み込みが防止される。これにより、インサートの欠損等がなくなり、インサートの寿命延長を図ることができる。さらに、カッター本体31においても切屑詰まりが生じにくくなり、カッター本体31の寿命延長を図ることができる。
【0045】
また、ピン刃とされる第1曲線刃22及び第2直線刃21が設けられた交差稜線部の内側部分に第1ブレーカ溝24が形成されているので、これら第1曲線刃22及び第2直線刃21によって生成した切屑をカールさせて細かく分断することができ、切屑の排出を促進することができる。
また、第1ブレーカ溝24及び第2ブレーカ溝25が形成されているので、これらの切刃で切削する際の切削抵抗が小さく抑えられ、ワークにバリが生じることを防止できる。よって、切削加工を精度良く行うことができ、ピンミラーカッターでの切削加工後にバリ取り等の手直し作業を行う必要がない。
【0046】
また、2つの第1ブレーカ溝24および2つの第2ブレーカ溝25とを分断するように凸状部26及びリブ部27が形成され、この凸状部26の上面26Aが切刃よりもわずかに突出した平坦面とされているので、対向する側面13をすくい面としてインサート取付座34、35に装着する際に、この凸状部26の上面26Aを着座面として、インサート取付座34、35の載置面に当接させることができ、インサートを安定して装着することができる。よって、このインサートで切削加工した際に発生する切削抵抗を載置面で十分に受けることにより、インサートのビビリを抑えることができ、クランクシャフトを精度良く加工することができる。
【0047】
また、このインサートを第1のインサート取付座34に装着した際には、第2曲線刃23がワークと接触することが防止され、第2のインサート取付座35に装着した際には、第1曲線刃22及び直線刃21がワークと接触することが防止されており、この第1曲線刃22、直線刃21及び第2曲線刃23が、ひとつの側面13に2組備えられ、さらにこのような側面13、13が一対備えられているので、ひとつのインサート本体11について、ピン刃として使用可能な第1曲線刃22及び直線刃21が4組、ウェブ刃として使用可能な第2曲線刃23が4組形成されることになる。したがって、このインサートひとつで8回使用することが可能であり、このインサートの使用コストを低減することができる。
【0048】
また、本実施形態においては、インサートを第2のインサート取付座35に装着して第2曲線刃23をウェブ刃として使用する際に、このウェブ刃のラジアルレーキ角が−15°までの負とされているので、この第2曲線刃23で生成された切屑が、第2のインサート取付座35に隣接したチップポケット36内において軸線Oを中心とした円の接線方向に沿って側面視して真横に流れることが防止され、切屑の噛み込みをさらに確実に防止することができる。
【0049】
また、インサート本体11が概略等脚台形平板状に形成され、この上下面12がなす等脚台形のそれぞれの斜辺に連なる一対の側面13、13がすくい面とされており、このインサートが第1のインサート取付座34に装着された際に、ピン刃とされる第1曲線刃22及び直線刃21のアキシャルレーキ角が正側に設定されているので、切削抵抗をさらに低減することができ、クランクシャフトの加工を精度良く行うことができる。
【0050】
さらに、本実施形態においては、カッター本体31の側面33A、33Bに形成された第2のインサート取付座35に、インサートの鈍角コーナー部17をカッター本体31の径方向内側に向けて装着されるように構成されているので、第2のインサート取付座35の径方向内側においてカッター本体31が切り欠かれる部分が少なくなり、カッター本体31の強度及び剛性を確保することができる。また、隣接する第1のインサート取付座34との干渉することがなく、これら第1、第2のインサートを所定の位置に形成することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、インサートを等脚台形平板状のものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の四角形平板状をなすものであってもよい。
【0052】
また、第1、第2のインサート取付座の配置については、切削加工するクランクシャフトの材質や形状を考慮して適宜設定することが好ましい。
さらに、第1ブレーカ溝及び第2ブレーカ溝の形状についても、本実施形態に限定されることはなく、他の形状であっても良い。ただし、ウェブ刃とされる第2曲線刃の内側に形成される第2ブレーカ溝については、切屑排出を確実にできるようにガイド部を設けることが好ましい。
【0053】
また、この実施形態では、いわゆるインターナル型のピンミラーカッターに装着するインサートとして説明したが、これに限定されることはなく、円板状のカッター本体において、その径方向外周側を向く外周面に複数の第1のインサート取付座が形成され、また軸線方向を向く両側面のそれぞれの外周面側に複数の第2のインサート取付座が形成されていた、いわゆるエクスターナル型のピンミラーカッターに装着するインサートであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態であるピンミラーカッター用インサートの斜視図である。
【図2】図1に示すピンミラーカッター用インサートの正面図である。
【図3】図2におけるX方向矢視図である。
【図4】図3におけるY−Y断面図である。
【図5】本実施形態であるピンミラーカッター用インサートが装着されるピンミラーカッターを側面から見た要部拡大図である。
【図6】図5のピンミラーカッターを内周側から見た要部拡大図である。
【符号の説明】
【0055】
11 インサート本体
12 上下面
13 斜辺に連なる側面
21 直線刃
22 第1曲線刃
23 第2曲線刃
24 第1ブレーカ溝
25 第2ブレーカ溝
25B ガイド面
26 凸状部
26A 上面
27 リブ部
31 カッター本体
32 内周面
33A、33B 側面
34 第1のインサート取付座
35 第2のインサート取付座




 

 


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