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発明の名称 切削インサート及びインサート着脱式切削工具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−69290(P2007−69290A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−257506(P2005−257506)
出願日 平成17年9月6日(2005.9.6)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 長屋 秀彦 / 麻生 典夫 / 今井 康晴 / 渡辺 彰一郎 / 北嶋 純
要約 課題
切削抵抗に伴うずれを防止しつつ切刃部の剛性を確保した切削インサート及びインサート着脱式切削工具を提供することを目的とする。

解決手段
略柱状のインサート本体1の軸線O1方向の先端1a側と後端1b側とにそれぞれ、円弧形状を呈する切刃2を備えた切刃部4が設けられ、切刃部4の側面は、少なくとも切刃部4の下面8b側が、下方に向けて漸次縮径するテーパー形状で形成された切削インサート1に対し、切刃部4の下面8b側に、切刃部4の側面と連接されるとともに軸線O1に直交する一面8aを備えた受部8を設け、側面を受部8と連接する部分のテーパー角度θ1をもって切刃部4の下面8b側に延ばした仮想延長面10よりも軸線O1方向外側に、受部8の一面8aを配置させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
略棒状のインサート本体の軸線方向の先端側と後端側とにそれぞれ、上面と側面との交差稜線部に前記上面側からの平面視で前記軸線方向外側に凸の円弧形状を呈する切刃を備えた切刃部が設けられ、該切刃部の前記側面は、少なくとも該切刃部の下面側が、下方に向けて漸次縮径するテーパー形状で形成された切削インサートにおいて、
前記切刃部の下面側には、前記側面と連接されるとともに前記軸線に直交する一面を備えた受部が設けられており、該受部は、前記一面が、前記側面を前記受部と連接する部分のテーパー角度をもって前記切刃部の下面側に延ばした仮想延長面よりも前記軸線方向外側に配されていることを特徴とする切削インサート。
【請求項2】
請求項1記載の切削インサートにおいて、
前記受部は、前記軸線方向外側に向かうに従い、幅が漸次小となるように形成されていることを特徴とする切削インサート。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の切削インサートにおいて、
前記受部は、前記一面の対向視で、左右一対の側端側がそれぞれ前記切刃部の上面に向けて突出されていることを特徴とする切削インサート。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の切削インサートにおいて、
前記切刃部の側面には、前記上面から前記受部までの間にテーパー角度が変化する折曲部が設けられ、前記上面から該折曲部までの部分が第1逃げ面とされ、前記折曲部から前記受部までの部分が第2逃げ面とされており、前記第2逃げ面のテーパー角度は、前記第1逃げ面のテーパー角度よりも大きなテーパー角度とされていることを特徴とする切削インサート。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の切削インサートを着脱可能に取り付けたことを特徴とするインサート着脱式切削工具。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば被削物の溝入れや突っ切りに用いられ、インサート着脱式切削工具のホルダのインサート取付座に着脱可能にクランプ保持されて使用される切削インサート及び該切削インサートを着脱可能に取り付けたインサート着脱式切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば被削物の溝入れや突っ切りには、略棒状のインサート本体と、このインサート本体の長手方向(軸線方向)の先端側と後端側とにそれぞれ設けられ、被削物の切削を行う切刃を備えた切刃部とから構成される切削インサートが使用されている。この種の切削インサートには、切刃が略円形状を呈するように形成されたものがあり、その切刃部は、上面から下面に向けてその径が漸次小となるように形成されて側面がテーパー形状を呈するように形成されている(例えば、特許文献1参照)。また、この切刃部では、下面がインサート本体の下面と連接され、上面が略軸線方向に沿って形成されつつインサート本体の上面よりも若干下面側に配設されている。さらに、上面の軸線直交方向の幅が、インサート本体の幅よりも大きな寸法で形成され、インサート本体の先端側と後端側とに、それぞれ切刃部のテーパー形状を呈する側面の一部が連接されてインサート本体と一対の切刃部とが連設されている。このように構成された切削インサートでは、軸線方向外側に凸の円弧形状を呈する側面が逃げ面とされ、上面がすくい面とされており、この逃げ面とすくい面との交差稜線部に切刃が形成されている。
【0003】
一方で、特許文献1に開示されるような切削インサートでは、切刃部の側面に、軸線方向中央側に凹む窪み部が形成されている。この窪み部は、切刃部の下面に開口しつつ上面に向けて延設されており、軸線方向外側を向き、側面に対し軸線方向中央側に配された一面(軸方向停止面)が、下面に直交するように形成されている。
【0004】
上記のように構成された切削インサートは、例えばインサート着脱式切削工具のホルダの、先端側に設けられた上顎部と下顎部とで画成され軸線方向中央側に延びる凹溝状のインサート取付座に、互いの軸線方向を一致させつつ挿入される。そして、このインサート取付座に挿入された切削インサートは、インサート本体の上面と下面とが上顎部と下顎部にそれぞれ当接されてクランプ保持される。また、切刃部の軸方向停止面が、上顎部と下顎部の互いの当接面と繋がり軸線方向外側を向き、軸線に直交するように形成された支持面に当接される。これにより、切削インサートは、軸線直交方向が上顎部と下顎部によってクランプ保持され、軸線方向が支持面によって保持されて、ホルダと一体とされる。
【0005】
このように切削インサートを装着したインサート着脱式切削工具は、ホルダの後端側に設けられたシャンク部を、例えば旋盤機やマシニングセンタなどの工作機械に把持させて、例えば高速回転させた被削物に向けてホルダを前進させつつ、ホルダの先端面から突出した切刃を被削物に切り込ませることにより、被削物の切削を行なうことが可能とされる。また、例えば切刃を被削物に切り込ませつつホルダを相対的に被削物の回転軸線に沿って水平移動し、予め定められた幅の範囲で往復運動させることによって被削物に幅広の溝を形成することが可能とされる。
【0006】
このとき、上記の切削インサートは、切刃部の逃げ面の下方に窪み部が形成され、この窪み部の当り面がホルダの支持面と面接触されていることにより、切刃を被削物に切り込ませた際に切削インサートの軸線方向に作用する力を受け止めることができ、クランプ保持された切削インサートが軸線方向にずれることを防止することが可能とされている。
【特許文献1】特表2002−524272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の切削インサートにおいては、切刃部に窪み部を設け、この窪み部の軸線方向中央側に位置する軸方向停止面を形成することによって、インサート取付座に装着した状態で軸方向停止面をホルダの支持面に面接触させることができ、切削時の切削インサートのずれを防止できる一方で、切刃直下の側面が軸線方向中央側に凹んで形成されるために切刃部の剛性が小さくなり、切削時に切刃から切刃部の上下方向に作用する切削抵抗の主分力や、例えば幅広の溝を形成する際の切刃の移動に伴い作用する水平方向の送り分力で切刃部の破損が生じやすくなるという問題があった。また、破損に至らないまでも、このように切刃部に剛性不足が生じた場合には、被削物の切削精度の低下を招くという問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情を鑑み、切削抵抗に伴うずれを防止しつつ切刃部の剛性を確保した切削インサート及びインサート着脱式切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0010】
本発明の切削インサートは、略棒状のインサート本体の軸線方向の先端側と後端側とにそれぞれ、上面と側面との交差稜線部に前記上面側からの平面視で前記軸線方向外側に凸の円弧形状を呈する切刃を備えた切刃部が設けられ、該切刃部の前記側面は、少なくとも該切刃部の下面側が、下方に向けて漸次縮径するテーパー形状で形成された切削インサートにおいて、前記切刃部の下面側には、前記側面と連接されるとともに前記軸線に直交する一面を備えた受部が設けられており、該受部は、前記一面が、前記側面を前記受部と連接する部分のテーパー角度をもって前記切刃部の下面側に延ばした仮想延長面よりも前記軸線方向外側に配されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の切削インサートにおいて、前記受部は、前記軸線方向外側に向かうに従い、幅が漸次小となるように形成されていることが望ましい。
【0012】
さらに、本発明の切削インサートにおいて、前記受部は、前記一面の対向視で、左右一対の側端側がそれぞれ前記切刃部の上面に向けて突出されていることがより望ましい。
【0013】
また、本発明の切削インサートにおいて、前記切刃部の側面には、前記上面から前記受部までの間にテーパー角度が変化する折曲部が設けられ、前記上面から該折曲部までの部分が第1逃げ面とされ、前記折曲部から前記受部までの部分が第2逃げ面とされており、前記第2逃げ面のテーパー角度は、前記第1逃げ面のテーパー角度よりも大きなテーパー角度とされていることがさらに望ましい。
【0014】
本発明のインサート着脱式切削工具は、上記の切削インサートを着脱可能に取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の切削インサート及びインサート着脱式切削工具によれば、切削インサートが、円弧形状の切刃と、これに連なるテーパー形状の側面とを有する切刃部の下方に、側面と繋がる受部を備え、この受部の軸線に直交する一面が側面の仮想延長面よりも軸線方向外側に配されていることにより、軸線方向外側の切刃直下に近い位置まで受部を延出させることができる。これにより、切刃部の剛性を十分に確保することができ、切刃を被削物に切り込ませることによって切刃部に大きく作用する切削抵抗の主分力や送り分力を、延出した受部で確実に受け止めることができるとともに、この受部の一面が軸線に直交する面とされていることで、切削工具のホルダの支持面と面接触させて切削時の軸線方向のずれが生じることを防止できる。これにより、破損が生じにくい切削インサートとすることができ、これに伴い被削物の切削精度を向上させることが可能となる。
【0016】
また、本発明の切削インサートにおいては、受部の幅が軸線方向外側に向かうに従い漸次小となるように受部が形成されていることによって、受部の先端を、より軸線方向外側に延出させることができる。これにより、特に切刃の軸線方向外側の端部直下において切刃部の剛性をさらに高めることが可能となる。
【0017】
さらに、受部の一面の対向視で、左右一対の側端側がそれぞれ切刃部の上面に向けて突出されるように受部が形成されていることによって、受部には前記対向視にこの上面側に突出した2つの角状部が前記側面に連接して形成されることになり、これにより、切刃に近い側面部分を左右両側で強固に支持することが可能になる。よって、切刃部の軸線方向外側の端部の両側に位置する部分の剛性をも高めることができ、特に切削インサートを被削物に対して相対的に往復運動させた際の送り分力に基づく切削抵抗による破損がより生じにくいものとすることが可能となる。
【0018】
また、切刃部の第1逃げ面よりも第2逃げ面のテーパー角度を大きく形成することによって、切刃部の第2逃げ面を受部と連接する部分のテーパー角度で下面側に延ばした仮想延長面よりも、受部の一面を軸線方向外側に配した場合においても、第1逃げ面と上面との交差稜線部に画成する切刃を好適に形成することが可能となる。
【0019】
すなわち、例えば特許文献1記載の切削インサートにおいて、切刃部の側面と上面との交差稜線部に切刃を形成する場合には、この側面に、円板状の砥石を回転させつつ面接触させて研磨し、側面と上面との交差稜線部を鋭利な状態に形成すればよい。ところが、側面の下方に軸線方向外側に突出する一面を備えた受部が設けられた本発明の切削インサートの場合には、砥石を側面に面接触させつつ研磨する際に、砥石がこの受部に当接してしまい側面と上面との交差稜線部を鋭利に、且つ精度よく研磨できないという不都合が生じる。これに対して、本発明の切削インサートでは、側面が第1逃げ面と第2逃げ面とに区分され、軸線方向外側に突出する受部と繋がる第2逃げ面のテーパー角度が、上面とともに切刃を画成する第1逃げ面のテーパー角度よりも大きく形成されていることによって、第1逃げ面に砥石を当接して研磨する際に、第2逃げ面、ひいては受部の一面(先端)を、砥石の面よりも軸線方向中央側に位置させることが可能となる。これにより、砥石の面と受部とを非接触状態にして交差稜線部に切刃を形成することが可能とされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図1から図7を参照し、本発明の一実施形態に係る切削インサート及びインサート着脱式切削工具について説明する。本発明の一実施形態は、被削物の例えば溝切りや突っ切りに用いられる切削インサート及びインサート着脱式切削工具に関し、インサート着脱式切削工具のホルダのインサート取付座にクランプ保持されて使用される切削インサート及びインサート着脱式切削工具に関するものである。
【0021】
本実施形態の切削インサート1は、図1から図5に示すように、超硬合金等の硬質材料を用いて略棒状に形成され、その長手方向に延びる軸線O1方向の先端1a側と後端1b側(両端部側)にそれぞれ切刃2を有する、いわゆるドッグボーンタイプと称されるものである。この切削インサート1は、略棒状に形成されたインサート本体3と、このインサート本体3の両端部側にそれぞれ設けられるとともに、上面側からの平面視で円弧形状を呈する切刃2を備えた切刃部4とから構成されている。また、この切削インサート1は、軸線O1に直交し軸線O1方向中央で切削インサート1を2等分する平面と、軸線O1に沿って幅方向中央で切削インサート1を2等分する平面とをそれぞれ基準面として対称形状を呈するように形成されている。
【0022】
インサート本体3は、後述する本発明の一実施形態のインサート着脱式切削工具Aのホルダ20の上顎部24と下顎部25とにクランプ保持される本体部5と、本体部5と切刃部4との間に配され互いを連接する接続部6とから構成されている。本体部5は、図2から図5に示すように、ホルダ20の上顎部24と下顎部25のそれぞれの当接面26a、26bに当接される上面5aと下面5bとが、軸線O1に直交する断面視でそれぞれ凹V字状を呈するように形成され、軸線O1方向に延設されている。また、本体部5は、下面5bが軸線O1に平行して延設されているのに対し、上面5aは、軸線O1方向中央部分が極短い範囲で軸線O1に平行して形成され、この中央部分からそれぞれ両端部に向かう部分が軸線O1方向外側に向けて下面5b側に緩やかに傾斜するように形成されている。また、上面5aと下面5bとを結ぶ2つの側面5cは、軸線O1に平行し、かつ互いに平行な平面形状とされている。
【0023】
接続部6は、本体部5の軸線O1方向両端からそれぞれ軸線O1方向外側に向けて延設されている。また、接続部6は、2つの側面6aがそれぞれ本体部5の各側面5cと面一とされ、これとともに下面6bが本体部5の下面5bと連続する断面凹V字状に形成されている。一方、上面6cは、本体部5の上面5aと繋がる部分から軸線O1方向外側に向けて、本体部5の上面5aの両端部1a、1b側の傾斜角度よりも大きな傾斜角度で下面6b側に傾斜している。
【0024】
切刃部4は、軸線O1に平行な上面7aを有し、この上面7a側からの平面視で端部が軸線O1方向外側に凸の円弧形状を呈する切刃本体部7と、この切刃本体部7の下方に配置されつつ切刃本体部7と繋がる受部8とから構成されている。切刃本体部7は、上面7aと側面の交差稜線部に切刃2が形成されており、側面が、軸線O1に直交する上下方向の断面視で円弧形状を呈しつつ、上面7aから下方の受部8に向けて漸次、切刃2の曲率中心O2を通り軸線O1に直交する中心軸線O3側に向かうように縮径するテーパー形状を呈するものとされている。また、この切刃本体部7の側面には、上面7aから受部8までの間にテーパー角度が変化する折曲部9が設けられており、上面7aから折曲部9までの部分が第1逃げ面7bとされ、折曲部9から受部8までの部分が第2逃げ面7cとされている。さらに、図1に示すように、第2逃げ面7cのテーパー角度θ1は、第1逃げ面7bのテーパー角度θ2よりも大きなテーパー角度とされている。ここで、切刃本体部7は、上面7aが接続部6の傾斜する上面6cに連接されているとともに、図3に示すように、上面7a側からの平面視で軸線O1に直交する方向の上面7aの幅(直径)H1が、インサート本体3の側面5cに直交する方向の幅H2よりも大きな寸法で形成されている。
【0025】
一方、切刃部4の受部8は、接続部6の上面6cの他端と下面6bとに繋がる端部6dから軸線O1方向外側に向けて延設され、その先端には、軸線O1に直交する平面状の一面(当り面)8aが形成されている。また、この受部8は、切刃本体部7の直下に配されており、第2逃げ面7cの下端と連接されている。さらに、受部8の下面8bは、接続部6の下面6bと連続とされ、受部8は、接続部6との接続部分から軸線O1方向外側に向けて漸次幅が小となるように形成されている。従って、この下面8bは、軸線O1に直交する断面が、凹V字状を呈するように形成されていることにより、幅方向両側が軸線O1方向外側に向けて漸次切刃本体部7側に向かうように傾斜することになる。さらに、図1に示すように、受部8の当り面8aは、第2逃げ面7cを、そのテーパー角度θ1を維持しつつ受部8の下面8b側に延ばした仮想延長面10よりも軸線O1方向外側に配されているとともに、切刃本体部7の軸線O1方向の最も外側に位置する先端1a(または後端1b)よりも軸線O1方向中央側に配されている。また、受部8には、図1から図2及び図5に示すように、当り面8aに対向する軸線O1方向視に、当り面8aの左右一対の側端側がそれぞれ切刃本体部7の上面7a側に突出されつつ延設された2つの角状部8cが形成されている。この一対の角状部8cの上端は、切刃本体部7の折曲部9よりも若干下方の第2逃げ面7c上に配されている。
【0026】
上記のように構成された切削インサート1は、図6から図7に示すように、インサート着脱式切削工具Aのホルダ20に装着されて使用される。このホルダ20は、鋼材などから形成され、後端側に四角柱状のシャンク部21を有するとともに、先端20a側に、シャンク部21の側面21aから僅かに側方に突出し、且つ上部がシャンク部21の上面21bから盛り上がるように突出したヘッド部22を有して構成されている。
【0027】
ヘッド部22には、その先端20a側からシャンク部21の上面21bの延長面に沿うようにスリット23が形成されており、このスリット23よりも上側の部分が上顎部24とされ、下側の部分が下顎部25とされている。このとき、上顎部24は、下顎部25よりも上面に直交する高さが小さく形成され、また、スリット23により画定されるシャンク部21側との接続部分の断面積も、下顎部25とシャンク部21との接続部分の断面積より小さく形成されている。さらに、この上顎部24は、この接続部分を支点として下顎部25側に向けて撓むように弾性変形可能とされている。
【0028】
また、下顎部25は、その先端20a側がシャンク部21の側面21aに沿って方形平板状に延びるように形成され、上顎部24は、その側面側の先端部分が、下顎部25の方形平板に沿って先端20a側に向かうに従い下方に向かう斜辺を備えた三角形板状に形成されている。このとき、上顎部24の先端は、下顎部25の先端よりも若干後退した位置に配されている。
【0029】
そして、スリット23の下顎部25が方形平板状に延出する側の開溝部には、このスリット23よりも上下に幅広の凹溝状をなすインサート取付座26が形成されている。このインサート取付座26は、ヘッド部22の先端20aに開口しつつ後端側に延びるように形成されており、上顎部24と下顎部25側のそれぞれに、上下に互いに対向する一対の当接面26a、26bが形成されている。また、長手方向に直交する断面において、一方の当接面26aは、他方の当接面26bに向かう側に、他方の当接面26bは、一方の当接面26aに向かう側に凸となるV字状となすように形成されている。また、これら一対の当接面26a、26bのうち、他方の当接面26bは、長手方向全長にわたり長手方向に沿って真っ直ぐ延びているのに対し、一方の当接面26aは、上顎部24が弾性変形していない状態で、その先端側が先端側に向かうに従い下顎部25の他方の当接面26b側に向かうように一定の傾斜角をもって傾斜している。なお、この傾斜した先端側部分よりも後端側は、上顎部24が弾性変形していない状態で、一方の当接面26aの長手方向中央の極短い長手方向に沿って真っ直ぐ延びる部分を介して、前記傾斜角よりも緩やかな一定の傾斜角で後端側に向かうに従い下顎部25の他方の当接面26bに向けて傾斜している。
【0030】
一方、このインサート取付座26の後端側には、長手方向先端20a側を向く面(支持面)26cが形成されており、この支持面26cは、一対の当接面26a、26bの延設方向に直交するように形成されている。
【0031】
このように形成されたホルダ20のインサート取付座26に、切削インサート1を、長手方向を一致させつつ挿入することで、断面凸V字状に形成された上顎部24の一方の当接面26aが、断面凹V字状に形成されたインサート本体3の本体部5の上面5aに係合され、同じく断面凸V字状に形成された下顎部25の他方の当接面26bが、断面凹V字状に形成された切削インサート1の本体部5、接続部6および受部8のそれぞれの下面5b、6b、8bに係合される。また、このとき、切削インサート1は、軸線O1方向外側に形成された切刃部4のうち、一方の切刃部4に形成された当り面8aがインサート取付座26の支持面26cに面接触するように設置される。そして、切削インサート1は、上顎部24の弾性変形に伴うクランプ力でインサート取付座26に強固に保持される。このようにインサート取付座26にクランプ保持された切削インサート1は、他方の切刃部4の当り面8aおよび切刃2の先端1a側の主切刃が、ホルダ20の先端20aよりも軸線O1方向外側に突出した状態で保持されている。
【0032】
ついで、上記の構成からなる切削インサート1を用いて被削物を切削する方法について説明する。
【0033】
はじめに、図6に示したインサート着脱式切削工具Aのシャンク部21を、例えば旋盤機やマシニングセンタなどの工作機械に把持させるとともに保持してホルダ20を固定する。ついで、例えば高速回転させた被削物に向けてホルダ20を前進させ、切削インサート1の切刃2を被削物に切り込ませる。この段階から、被削物が切削されるとともに、切削抵抗の主分力が切削インサート1の上下方向に作用する。さらに、例えば、切削インサート1の切刃2を被削物に切り込ませた状態を維持しつつ被削物の回転軸に沿ってホルダ20を相対的に水平移動し、予め定められた幅の範囲で往復運動させることによって被削物に幅広の溝を形成してゆく。この切削インサート1を水平方向に相対移動する段階では、切削インサート1の、特に切刃部4をその幅方向に変位させる送り分力が作用される。また、切削インサート1の切刃2を被削物に押圧することで、切削インサート1には、被削物からの反力が略軸線O1方向に作用することとなる。
【0034】
この主分力や送り分力によって切削インサート1の、特に切刃部4に大きな負荷が生じた場合には、切刃部4の剛性が不足していると被削物の切削精度が低下するばかりでなく、場合によっては破断に至り切削インサート1を使用することができなくなる。
これに対して、本実施形態の切削インサート1では、切刃部4の切刃本体部7の下方に受部8が形成され、この受部8が、第2逃げ面7cを延ばした仮想延長面10よりも軸線O1方向外側に突出した状態で設けられて、軸線O1方向外側の切刃2直下に近い位置まで延出されているため、切刃部4の剛性を高めることができ、切刃2を被削物に切り込ませた際に切刃部4に大きく作用する切削抵抗の主分力や送り分力を確実にこの受部8で受け止めることが可能となる。
【0035】
また、本実施形態の切削インサート1においては、受部8の当り面8aが軸線O1に直交する平面とされているため、本実施形態のインサート着脱式切削工具Aに取り付けたときには、被削物の切削に供される一方の切刃部4の反対に位置する他方の切刃部4の当り面8aがインサート取付座26の支持面26cに面接触した状態で、切削インサート1をクランプ保持されることとなる。これにより、被削物の切削時に作用する略軸線O1方向の反力をこの面接触部分で確実に受けることができ、クランプ保持された切削インサート1にずれが生じることを防止できる。
【0036】
したがって、上記の切削インサート1及びインサート着脱式切削工具Aによれば、切刃部4に受部8が具備されることによって、切刃部4の剛性を高めて耐久性に優れたものにすることができるとともに、切削時に作用する切削抵抗に伴うずれを防止して精度よく被削物の切削加工を行うことが可能とされる。
【0037】
また、このとき、受部8が、軸線O1方向外側に向けて延出されるに従いその幅が漸次小となるように形成されていることで、受部8の先端を、より軸線O1方向外側に延出させることができ、これによって、特に切刃2の軸線O1方向外側の端部直下における切刃部4の剛性が高められ、より確実に切削抵抗の主分力や送り分力を受け止めることが可能とされる。
【0038】
これに加えて、受部8には、当り面8aの対向視で上面7aに向けて突出する2つの角状部8cが設けられているため、切刃2に近い側面部分が左右両側で強固に支持されることとなり、これによって、切刃部4の軸線O1方向外側の端部の両側に位置する部分の剛性をも高めることができ、特に切刃部4の幅方向に作用する送り分力を確実に受け止めることが可能とされる。
【0039】
一方、上記の切削インサート1において、切刃部4の第1逃げ面7bと上面7aとの交差稜線部に切刃2を形成する際には、例えば円板状の砥石を回転させつつ第1逃げ面7bに面接触させ、これを研磨し第1逃げ面7bと上面7aとの交差稜線部を鋭利な状態に形成してゆく。このとき、単一のテーパー角度とされたテーパー形状の側面を備えた切削インサートでは、側面の下方に軸線O1方向外側に突出する当り面を形成した場合に、円板状の砥石を側面に面接触させつつ研磨すると、砥石がこの当り面に当接してしまい側面と上面との交差稜線部を鋭利に、且つ精度よく研磨できないという不都合が生じるが、本実施形態の切削インサート1では、切刃本体部7の側面がテーパー角度の異なる第1逃げ面7bと第2逃げ面7cとに区分され、第2逃げ面7cのテーパー角度θ1が、上面7aとともに切刃2を画成する第1逃げ面7bのテーパー角度θ2よりも大きなものとされていることによって、受部8の当り面8aを第2逃げ面7cの仮想延長面10よりも軸線O1方向外側に突出させても、第1逃げ面7bに円板状の砥石を当接し研磨する際に、この受部8が砥石と接触されることがなく、交差稜線部に鋭利な切刃2を精度よく形成することが可能とされる。
【0040】
なお、本発明は、上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る切削インサートの側面図である。
【図2】図1のA−A線矢視図である。
【図3】図1のB−B線矢視図である。
【図4】図1のC−C線矢視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る切削インサートの斜視図である。
【図6】図1に示した切削インサートをインサート着脱式切削工具のホルダに装着した状態を示す側面図である。
【図7】図6の切削インサートとホルダの当接状態を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0042】
1 切削インサート
1a 先端
1b 後端
2 切刃(交差稜線部)
3 インサート本体
4 切刃部
5 インサート本体の本体部
5a 上面
5b 下面
6 接続部
7 切刃本体部
7a 上面
7b 第1逃げ面(側面)
7c 第2逃げ面(側面)
8 受部
8a 当り面(一面)
8b 下面
8c 角状部
9 折曲部
10 仮想延長面
26c 支持面
A インサート着脱式切削工具
H1 インサート本体の幅
H2 切刃本体部の上面の幅
O1 軸線
O2 切刃の曲率中心
O3 中心軸線
θ1 第2逃げ面のテーパー角度
θ2 第1逃げ面のテーパー角度





 

 


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