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発明の名称 銅線の製造方法および銅線の製造装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−50440(P2007−50440A)
公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
出願番号 特願2005−238356(P2005−238356)
出願日 平成17年8月19日(2005.8.19)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 中本 斉 / 服部 芳明
要約 課題
簡単な装置構成で棒状素材の表面に生成した酸化銅皮膜を除去できるとともに、鋳造工程等で発生した酸化銅が棒状素材の内部(表層近傍)に押し込まれた場合であっても、押し込まれた酸化銅を除去して高品質の銅線を製出することができる銅線の製造方法および銅線の製造装置を提供する。

解決手段
連続して棒状鋳塊21を製出する連続鋳造工程と、多段に配置された複数の圧延ロール40、50によって棒状鋳塊21を圧延して棒状素材22を得て棒状素材22をさらに圧延して銅線23を製出する連続圧延工程とを有する銅線の製造方法であって、前記連続圧延工程は、仕上圧延ロール34にて前記銅線の表面を成形する仕上圧延工程と、該仕上圧延工程の前に、圧延研磨ロール35にて前記棒状素材を圧延しつつ研磨する圧延研磨工程とを有することを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
連続して棒状鋳塊を製出する連続鋳造工程と、多段に配置された複数の圧延ロールによって前記棒状鋳塊を圧延して棒状素材を得て、該棒状素材をさらに圧延して銅線を製出する連続圧延工程とを有する銅線の製造方法であって、
前記連続圧延工程は、仕上圧延ロールにて前記銅線の表面を成形する仕上圧延工程と、該仕上圧延工程の前に、圧延研磨ロールにて前記棒状素材を圧延しつつ研磨する圧延研磨工程とを有することを特徴とする銅線の製造方法。
【請求項2】
前記圧延研磨ロールとして、ロール表面にブラスト処理が施されたブラストロールを用いることを特徴とする請求項1に記載の銅線の製造方法。
【請求項3】
前記圧延研磨ロールの前記ロール表面の算術平均粗さRaが、1.0μm≦Ra≦10.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の銅線の製造方法。
【請求項4】
前記圧延研磨工程よりも前に配置されている前記圧延ロールのうち少なくともひとつに対して、圧延油を高圧で吹き付けて前記ロール表面の洗浄を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の銅線の製造方法。
【請求項5】
連続して棒状鋳塊を製出する連続鋳造装置と、前記棒状鋳塊を圧延して棒状素材を得て該棒状素材をさらに圧延して前記銅線を製出する連続圧延装置とを有する銅線の製造装置であって、
前記連続圧延装置には複数の圧延ロールが多段に配備されており、複数の前記圧延ロールのうち前記銅線の表面を成形する前記圧延ロールが仕上圧延ロールとされ、該仕上圧延ロールよりも前段に配置された前記圧延ロールのうちの少なくともひとつは、前記棒状素材を圧延しつつ研磨する圧延研磨ロールであることを特徴とする銅線の製造装置。
【請求項6】
前記圧延研磨ロールは、前記棒状素材と接触するロール表面にブラスト処理が施されたブラストロールであることを特徴とする請求項5に記載の銅線の製造装置。
【請求項7】
前記圧延研磨ロールの前記ロール表面の算術平均粗さRaが、1.0μm≦Ra≦10.0μmの範囲内であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の銅線の製造装置。
【請求項8】
前記連続圧延装置には、前記圧延研磨ロールよりも前段に配置された前記圧延ロールのうち少なくともひとつに対して圧延油を前記ロール表面に高圧で吹き付ける噴出機構が設けられていることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれかに記載の銅線の製造装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造から圧延までを一貫して行って銅線を連続的に製造する銅線の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前記の銅線の製造方法としては、ベルトキャスター式連続鋳造機と連続圧延装置とを用いた製造方法が広く知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
この製造方法に用いられるベルトキャスター式連続鋳造機は、外周面に溝が形成された鋳造輪と、この鋳造輪の外周の一部に接触するように周回移動される無端ベルトとを有しており、シャフト炉などの大型溶解炉から連続的に供給される溶湯を、前記溝と無端ベルトとの間に形成された空間に注入して冷却・凝固せしめ、棒状鋳塊を連続的に鋳造するものである。
【0003】
このベルトキャスター式連続鋳造機には連続圧延装置が接続されており、連続的に製出される棒状鋳塊をこの連続圧延装置にて圧延することで所定の外径の銅線を製出することができる。このように、ベルトキャスター式連続鋳造機を用いた銅線の製造方法では、溶解炉からの銅溶湯を連続鋳造および連続圧延することで、銅線を一連の生産ラインで高速に製造することができ、銅線を大量に低コストで生産できるものである。
【0004】
前記製造方法では、鋳造されたままの高温の棒状鋳塊をそのまま圧延しているので、圧延した棒状素材の表面に酸化銅皮膜が生成しやすく、この酸化銅皮膜が圧延中に棒状素材の内部(表層近傍)に押し込まれるおそれがあった。酸化銅皮膜が押し込まれたままの棒状素材を圧延して得られた銅線は、内部に酸化銅を有しているが外観上判別しにくいものである。この銅線をさらに加工した際には、銅線が断線したり銅線に傷が付いたりしてしまうといったトラブルが発生するおそれがあった。
また、棒状素材の表面に形成された酸化銅皮膜は、圧延工程において剥離して圧延ロール表面に付着することがある。この圧延ロールに付着した酸化銅が棒状素材に押し込まれて、銅線内に混入してしまうといった問題があった。
【0005】
棒状素材の表面に酸化銅皮膜が発生することを防止するために、特許文献3では、圧延工程を低酸素分圧雰囲気下で行う銅線の製造方法が提案されている。
この銅線の製造方法では、棒状素材を圧延する工程を窒素ガスなどの不活性ガスが充填された低酸素分圧雰囲気下で圧延を行うものであり、棒状素材の表面に酸化銅皮膜が生成することを防止でき、前述した酸化銅の押し込みによるトラブルを抑制できるものである。
【特許文献1】特開昭55−126353号公報
【特許文献2】特公昭59−6736号公報
【特許文献3】特開2002−103003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献3に記載された銅線の製造方法では、複数の圧延ロールを不活性ガス雰囲気(低酸素分圧雰囲気)に制御した空間内に収容する必要があり、その設備構成が複雑となり銅線の製造装置の製作コストが高くなってしまうといった問題があった。また、空間内の酸素分圧を低く制御する必要があるので、銅線の製造コストが高くなってしまうといった問題があった。
【0007】
また、圧延工程の前の鋳造工程において形成される棒状鋳塊の酸化銅皮膜や、前記空間の外側で行われる圧延工程で形成される酸化銅皮膜については、発生を抑制することができず、これらの酸化銅皮膜が初期の圧延時に棒状素材の内部(表層近傍)に押し込まれてしまうおそれがあった。棒状素材の内部に押し込まれた酸化銅は、その後の圧延工程を低酸素分圧雰囲気下で行っても除去できないために、銅線内部に残存してしまい、表面傷等のトラブルを発生するおそれがあった。
【0008】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、簡単な装置構成で棒状素材の表面に生成した酸化銅皮膜を除去できるとともに、鋳造工程等で発生した酸化銅が棒状素材の内部(表層近傍)に押し込まれた場合であっても、押し込まれた酸化銅を除去して高品質の銅線を製出することができる銅線の製造方法および銅線の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明に係る銅線の製造方法は、連続して棒状鋳塊を製出する連続鋳造工程と、多段に配置された複数の圧延ロールによって前記棒状鋳塊を圧延して棒状素材を得て、該棒状素材をさらに圧延して銅線を製出する連続圧延工程とを有する銅線の製造方法であって、前記連続圧延工程は、仕上圧延ロールにて前記銅線の表面を成形する仕上圧延工程と、該仕上圧延工程の前に、圧延研磨ロールにて前記棒状素材を圧延しつつ研磨する圧延研磨工程とを有することを特徴とする。
【0010】
この構成の銅線の製造方法によれば、銅線の表面を成形する仕上圧延工程の前に設けられた圧延研磨工程において、棒状素材表面に形成された酸化銅皮膜を除去できるとともに、棒状素材の表層近傍に押し込まれた酸化銅も除去できる。
ここで、連続鋳造工程後の連続圧延工程では、棒状素材がロール間を通過する速度と圧延ロールの回転速度とが完全に一致することはなく、一定幅の相対速度を有することになるので、棒状素材の表面と研磨圧延ロールのロール表面とが摺動することにより、棒状素材の表面が研磨されることになる。
【0011】
また、圧延と研磨とを兼ねた圧延研磨工程を有しているので、別途研磨機構を設けることなく酸化銅を除去でき、設備構成を簡単なものとすることができる。
また、酸化銅が除去された状態の棒状素材が仕上圧延工程に供給されるので、酸化銅の混入のない銅線を製出することができる。さらに、また、研磨した際に棒状素材の表面に形成される研磨傷を仕上圧延工程でなくすことができ、銅線の表面を滑らかに仕上げることができる。
【0012】
また、前記圧延研磨工程において使用される圧延研磨ロールとして、ロール表面にブラスト処理が施されたブラストロールを用いることにより、圧延ロールで押圧することで棒状素材を圧延できるとともに、ブラスト処理されたロール表面によって棒状素材の表面を研磨できる。
【0013】
ここで、前記圧延研磨ロールのロール表面の算術平均粗さRaを、1.0μm≦Ra≦10.0μmの範囲内とすることが好ましい。ロール表面の算術平均粗さRaを1.0μm以上とすることにより棒状素材を確実に研磨することができるとともに、Raを10.0μm以下とすることにより棒状素材の表面に深い傷が入ってしまうことを防止できる。
【0014】
さらに、前記圧延研磨工程よりも前に配置されている前記圧延ロールのうち少なくともひとつに対して、圧延油を高圧で吹き付けて前記ロール表面の洗浄を行うことにより、圧延ロールに付着した酸化銅を確実に除去でき、この酸化銅が棒状素材に押し込まれることを防止することができる。
【0015】
また、本発明に係る銅線の製造装置は、連続して棒状鋳塊を製出する連続鋳造装置と、前記棒状鋳塊を圧延して棒状素材を得て、該棒状素材をさらに圧延して前記銅線を製出する連続圧延装置とを有する銅線の製造装置であって、前記連続圧延装置には複数の圧延ロールが多段に配備されており、複数の前記圧延ロールのうち前記銅線の表面を成形する前記圧延ロールが仕上圧延ロールとされ、該仕上圧延ロールよりも前段に配置された前記圧延ロールのうちの少なくともひとつは、前記棒状素材を圧延しつつ研磨する圧延研磨ロールであることを特徴とする。
【0016】
この構成の銅線の製造装置によれば、銅線の表面を成形する仕上圧延ロールが配置され、この仕上圧延ロールよりも前段に、圧延と研磨とを兼ねた圧延研磨ロールが配置されているので、棒状素材の表面を研磨して棒状素材の表面に形成された酸化銅皮膜や表面近傍に押し込まれた酸化銅を除去した後に仕上圧延ロールにて圧延して、酸化銅の混入のない高品質の銅線を製出することができる。また、圧延と研磨とを兼ねた圧延研磨ロールが配置されており、別途研磨装置を設ける必要がなく簡単な設備構成で酸化銅を除去することができる。
【0017】
ここで、前記圧延研磨ロールとして、ロール表面にブラスト処理が施されたブラストロールを使用することで棒状素材の表面を確実に研磨することができるとともに圧延を行うことができる。
また、前記圧延研磨ロールの前記ロール表面の算術平均粗さRaを、1.0μm≦Ra≦10.0μmの範囲内とすることで、棒状素材の表面に深い傷をつけることなく確実に研磨することができる。
【0018】
さらに、前記圧延研磨ロールよりも前段に配置された前記圧延ロールのうち少なくともひとつに対して、圧延油を前記ロール表面に高圧で吹き付ける高圧噴出機構を設けることにより、圧延油によってロール表面を洗浄してロールに付着した酸化銅を除去でき、ロール表面に付着した酸化銅が棒状素材に押し込まれることを未然に防止して、研磨工程において酸化銅を簡単にかつ確実に除去することができる。
【発明の効果】
【0019】
このように本発明によれば、簡単な装置構成で棒状素材の表面に生成した酸化銅皮膜を除去できるとともに、鋳造工程等で発生した酸化銅が棒状素材の内部(表層近傍)に押し込まれた場合であっても、押し込まれた酸化銅を除去して高品質の銅線を製出することができる銅線の製造方法および銅線の製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態に係る銅線の製造装置および製造方法について添付した図面を参照して説明する。図3に本発明の実施形態である銅線の製造装置の概略を示す。
銅線の製造装置1は、溶解炉Aと、保持炉Bと、鋳造樋Cと、ベルトキャスター式連続鋳造機Dと、連続圧延装置Eと、コイラーFとを有している。
【0021】
溶解炉Aとして、本実施形態では、円筒形の炉本体を有するシャフト炉を用いている。炉本体の下部には円周方向に複数のバーナ(図示略)が上下方向に多段状に配備されている。そして、炉本体の上部から原料である電気銅が装入され、前記バーナの燃焼によって溶解され、銅溶湯が連続的につくられる。
保持炉Bは、溶解炉Aでつくられた銅溶湯を、所定の温度で保持したままで一旦貯留し、一定量の銅溶湯を鋳造樋Cに送るためのものである。
鋳造樋Cは、保持炉Bから送られた銅溶湯を、ベルトキャスター式連続鋳造機Dの上方に配置されたタンディシュ11まで移送するものである。
【0022】
タンディシュ11の銅溶湯の流れ方向終端側には、注湯ノズル12が配置されており、この注湯ノズル12を介してタンディシュ11内の銅溶湯がベルトキャスター式連続鋳造機Dへと供給される。
ベルトキャスター式連続鋳造機Dは、外周面に溝が形成された鋳造輪13と、この鋳造輪13の外周面の一部に接触するように周回移動される無端ベルト14とを有しており、前記溝と無端ベルト14との間に形成された空間に、注湯ノズル12を介して供給された銅溶湯を注入して冷却し、棒状鋳塊21を連続的に鋳造するものである。
【0023】
そして、このベルトキャスター式連続鋳造機Dは、連続圧延装置Eに連結されている。この連続圧延装置Eは、ベルトキャスター式連続鋳造機Dから製出された棒状鋳塊21を連続的に圧延して、所定の外径の銅線23を製出するものである。連続圧延装置Eから製出された銅線23は、洗浄冷却装置15および探傷器16を介してコイラーFに巻き取られる。
【0024】
洗浄冷却装置15は、連続圧延装置Eから製出された銅線23をアルコール等の洗浄剤で表面を洗浄するとともに冷却するものである。
また、探傷器16は、洗浄冷却装置15から送られた銅線23の傷を探知するものであり、この探傷器16を通過し、品質に問題のない銅線23は製品として出荷される。
【0025】
次に、連続圧延装置Eについて説明する。図1に本実施形態に係る銅線の製造装置1に用いられる連続圧延装置Eを示す。
連続圧延装置Eは、図1に示すように、外部カバー31の内部に複数の圧延ロール40、50が縦列に配列されて構成されている。外部カバー31の一端側には棒状鋳塊21を装入する装入口32が形成され、外部カバー31の他端側には銅線23を製出する製出口33が形成されている。この外部カバー31内に、棒状鋳塊21および棒状素材22を垂直方向に圧延する垂直圧延ロール40と、水平方向に圧延する水平圧延ロール50とが交互に配置されている。
【0026】
垂直圧延ロール40として装入口32側から、第1垂直圧延ロール41、第2垂直圧延ロール42、第3垂直圧延ロール43、第4垂直圧延ロール44、第5垂直圧延ロール45の5組が配置されている。また、水平圧延ロール50として装入口32側から、第1水平圧延ロール51、第2水平圧延ロール52、第3水平圧延ロール53、第4水平圧延ロール54、第5水平圧延ロール55の5組が配置されている。
【0027】
垂直圧延ロール40は、各々垂直方向に回転可能に支持されており、図示しない動力源によって図1に示す矢印方向に回転駆動されるものである。この垂直圧延ロール40は、各々一対をなして棒状鋳塊21あるいは棒状素材22を垂直方向に挟持して圧延するものである。また、水平圧延ロール50は、各々水平方向に回転可能に支持されており、図示しない動力源によって図1に示す矢印方向に回転駆動されるものである。水平圧延ロール50は、各々が一対をなして棒状鋳塊21あるいは棒状素材22を水平方向に挟持して圧延するものである。
【0028】
このように配置された垂直圧延ロール40と水平圧延ロール50のうち、最も製出口33側に配置された第5垂直圧延ロール45と第5水平圧延ロール55とが、銅線23の表面を成形する仕上圧延ロール34とされている。仕上圧延ロール34は、ロール表面34Aが、図2に示すように平滑な面とされた平滑ロールで構成されており、銅線23の表面を滑らかに仕上げることができるものである。なお、この仕上圧延ロール34の表面34Aにショットピーニング加工を施してもよい。ショットピーニングとは、無数の金属球を高速で衝突させてロール表面にミクロ的な凹凸を形成するものである。これにより、表面硬度が増すとともに疲れ強さも増してロールの耐久性が向上するので好ましい。
【0029】
そして、この仕上圧延ロール34の装入口32側に配置された圧延ロールのうちの少なくともひとつは、ロール表面にブラスト処理が施されたブラストロールによって構成された圧延研磨ロール35とされており、本実施形態では図1に示すように、第3垂直圧延ロール43と第3水平圧延ロール53と第4垂直圧延ロール44と第4水平圧延ロール54とが圧延研磨ロール35とされている。ブラスト処理とは、硬質材料で構成された粒状体を高速で衝突させてロール表面にマクロ的な凹凸を形成するものである。
【0030】
ここで、圧延研磨ロール35のロール表面35Aは、図3に示すように、前記ブラスト処理によって凹凸が生じており、その表面の算術平均粗さRaは、1.0μm≦Ra≦10.0μmの範囲内となるように設定されている。なお、本実施形態では、圧延研磨ロール35のロール表面35Aの算術平均粗さRaは、3.0μm≦Ra≦6.0μmの範囲内となるように設定されている。
【0031】
また、第1垂直圧延ロール41と第1水平圧延ロール51と第2垂直圧延ロール42と第2水平圧延ロール52とは、ロール表面が平滑な平滑ロールで構成されている。なお、これらの圧延ロールの表面にショットピーニング加工を施して、耐久性を向上させたものであってもよい。
また、第1垂直圧延ロール41および第1水平圧延ロール51には、圧延油をロール表面に高圧で吹き付けるためのノズル36が設けられている。
【0032】
つぎに、前述のような構成とされた銅線の製造装置1を用いた銅線の製造方法について説明する。
まず、溶解炉Aの炉本体に電気銅などの銅原料を装入し、この銅原料をバーナの燃焼によって溶解して銅溶湯を得る。この銅溶湯は、保持炉Bへ送られて所定の温度に保持されたまま、鋳造樋Cを介してタンディシュ11まで移送される。そして、タンディシュ11から注湯ノズル12を介してベルトキャスター式連続鋳造機Dの鋳造輪13と無端ベルト14との間に形成された空間へ供給され、冷却されて凝固し、棒状鋳塊21として製出される。
【0033】
ベルトキャスター式連続鋳造機Dによって連続的に製出される棒状鋳塊21は、連続圧延装置Eに供給される。連続圧延装置Eの装入口32から棒状鋳塊21が装入され、第1垂直圧延ロール41と第1水平圧延ロール51とで初期圧延されて棒状素材22となる。この棒状素材22をさらに第2垂直圧延ロール42、第2水平圧延ロール52、第3垂直圧延ロール43、第3水平圧延ロール53、第4垂直圧延ロール44、第4水平圧延ロール54、第5垂直圧延ロール45、第5水平圧延ロール55で連続的に圧延して所定の外径を有する銅線23が製出口33より製出される。
【0034】
ここで、ベルトキャスター式連続鋳造機Dから高温のまま製出された棒状鋳塊21を大気下で圧延するために、棒状素材22の表面には酸化銅皮膜が発生することになる。この酸化銅皮膜は、圧延される際に破砕されて棒状素材22の表面近傍に押し込まれることがある。また、破砕した酸化銅がロール表面に付着して、圧延中の棒状素材22に押し込まれる場合がある。このような現象は、棒状素材22の温度が高い圧延初期段階、つまり第1垂直圧延ロール41、第1水平圧延ロール51、第2垂直圧延ロール42、第2水平圧延ロール52等で発生し易いものである。
【0035】
本実施形態では、最も製出口33側に位置する第5垂直圧延ロール45および第5水平圧延ロール55が、銅線23の表面を成形する仕上圧延ロール34とされており、この仕上圧延ロール34よりも装入口32側の第3垂直圧延ロール43と第3水平圧延ロール53と第4垂直圧延ロール44と第4水平圧延ロール54とが、ブラストロールで構成された圧延研磨ロール35とされている。これらの圧延研磨ロール35の回転速度とこれらロール間を通過する棒状素材22の通過速度とは、完全には一致しないで相対速度を有することになり、本実施形態では、この相対速度が0.04m/sec以上となるように設定されている。
【0036】
このように圧延研磨ロール35とされた第3垂直圧延ロール43と第3水平圧延ロール53と第4垂直圧延ロール44と第4水平圧延ロール54の回転速度と棒状素材22との間の相対速度が0.04m/sec以上となるように設定されているので、棒状素材22の表面が圧延研磨ロール35(ブラストロール)の凹凸のあるロール表面35Aと摺動して研磨されることになり、棒状素材22の表面に発生した酸化銅皮膜または表面近傍に押し込まれた酸化銅を除去することができる。
【0037】
また、圧延研磨ロール35(ブラストロール)のロール表面35Aとの摺動によって棒状素材22の表面には研磨傷が付くことになるが、仕上圧延ロール34での圧延によって表面の傷をなくして滑らかな表面を有する銅線23を製出できる。
ここで、本実施形態では、圧延研磨ロール35のロール表面35Aの算術平均粗さRaが、3.0μm≦Ra≦6.0μmの範囲内となるように設定されているので、棒状素材22の表面に深い傷をつけることなく確実に研磨することができ、仕上圧延ロール34での圧延によって傷のない銅線23を製出することができる。
【0038】
また、本実施形態では、第1垂直圧延ロール41および第1水平圧延ロール51には、圧延油をロール表面に高圧で吹き付けるためのノズル36が設けられており、圧延油を高圧で吹き付けることでロール表面に付着した酸化銅を除去することができ、酸化銅が棒状素材22に押し込まれることを抑制でき、圧延研磨ロール35での研磨による酸化銅の除去を確実に行うことができる。
【0039】
このようにして得られた銅線23は、洗浄冷却装置15で洗浄と冷却とが行われ、探傷器16によって傷を検知され、品質に問題のない銅線23がコイラーFに巻き取られ、製品として出荷される。
【0040】
なお、本実施形態では、垂直圧延ロール40を5組、水平圧延ロール50を5組備えた連続圧延装置で説明したが、これに限定されることはない。圧延ロールの数や配置は異なっていてもよく、棒状素材22の表面を研磨する圧延研磨ロール35と、研磨された棒状素材22を圧延して銅線23の表面を成形する仕上圧延ロール34とを有するものであればよい。
【0041】
また、連続圧延装置に垂直圧延ロール40および水平圧延ロール50が連続して設けられたもので説明したが、これに限定されることはなく、例えば第2水平圧延ロール50と第3垂直圧延ロール40との間に棒状素材22の張力を調整するための調整機構を設けたものであっても良い。
【0042】
また、例えば仕上圧延ロール34を特許文献3に開示されたように低酸素分圧の雰囲気下で圧延することにより、酸化銅を除去された棒状素材22に酸化銅皮膜が再度発生することを確実に防止でき、さらに高品質の銅線23を製出することができるので好ましい。
さらに、ロール表面に対して圧延油を高圧で吹き付けるノズル36を第1垂直圧延ロール41および第1水平圧延ロール51に設けたもので説明したが、これに限定されることはなく、他の圧延ロールにもノズル36を設けてもよい。
【実施例】
【0043】
以下に、本発明の有効性を確認するために行った確認実験の結果について説明する。確認実験は、前述した実施の形態である銅線の製造装置を用いて、圧延研磨ロールのロール表面の算術平均粗さRaを変更し、製出された銅線の探傷結果と酸化銅の残存状態を比較した。圧延研磨ロールの回転速度と棒状素材との間の相対速度を0.04m/sec以上に設定し、圧延油は、日本クエーカーケミカル株式会社製クエークロール560−MT 、濃度8%のものを使用した。
ここで、圧延研磨ロールは、ロール表面にブラスト処理されたブラストロールとしており、ブラスト処理に使用するショットとしてアルミナを使用し、このショット径を変更することにより、ロール表面粗さを調整した。
【0044】
確認実験結果を表1に示す。
【0045】
【表1】


【0046】
表1に示すように、圧延研磨ロールのロール表面の算術平均粗さRaを1.0μmから10.0μmの範囲内に設定した場合には、酸化銅が除去されて表面に傷のない高品質な銅線を得ることができた。
圧延研磨ロールのロール表面の算術平均粗さRaが1.0μmよりも小さいのものでは、銅線表面の酸化銅皮膜は除去できたが、銅線の内部に押し込まれた酸化銅が残存していることが確認された。また、この酸化銅を起因とする表面傷が確認された。
また、圧延研磨ロールのロール表面の算術平均粗さRaが10.0μmよりも大きいものでは、銅線の表面に研磨痕が起因の傷が確認された。
【0047】
したがって、本確認実験の条件下においては、圧延研磨ロールのロール表面の算術平均粗さRaを1.0≦Ra≦10.0の範囲内とすることによって、内部に押し込まれた酸化銅を確実に除去することができるとともに表面に傷のない高品質の銅線を製出することができることが確認された。
ただし、本発明はこの範囲内に限定されるものではなく、相対速度条件や圧延油の種類等に応じてロール表面の算術平均粗さRaを調整することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態である銅線の製造装置に用いられる連続圧延装置の説明図である。
【図2】図1の連続圧延装置に備えられた仕上圧延ロールの正面図である。
【図3】図1の連続圧延装置に備えられた圧延研磨ロールの正面図である。
【図4】本実施形態である銅線の製造装置を概略的に示した模式図である。
【符号の説明】
【0049】
1 銅線の製造装置
21 棒状鋳塊
22 棒状素材
23 銅線
34 仕上圧延ロール
35 圧延研磨ロール
36 ノズル(噴出機構)
D ベルトキャスター式連続鋳造機(連続鋳造装置)
E 連続圧延装置




 

 


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