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発明の名称 ドリル
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−975(P2007−975A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−184681(P2005−184681)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
発明者 糟谷 博 / 滝口 正治
要約 課題
高い面精度で切削可能なドリルを提供する。

解決手段
軸線O1回りに回転される外形略円柱状のドリル本体1の外周6aに先端1bから後端1aに向けて延びる複数の切屑排出溝7が設けられ、ドリル本体1の先端面を形成する先端逃げ面と、切屑排出溝7のドリル回転方向T前方側を向く壁面7aとの交差稜線部に切刃3、4、5を備えるドリルAにおいて、複数の切刃3、4、5は、軸線O1から外周6aに向けて軸線O1方向の後端1a側に傾斜され、このうち1つの切刃3を基準とし、基準とした切刃3よりもドリル回転方向T後方側に位置する他の切刃4、5は、基準とした切刃3に対し、ドリル回転方向T後方側に位置されるに従い少なくともドリル本体1の外周6a側の部分が順次ドリル本体1の後端1a側に配置され、最もドリル本体1の後端1a側に配された切刃5の少なくともドリル本体1の外周6a側に硬質焼結体15を設ける。
特許請求の範囲
【請求項1】
軸線回りに回転される外形略円柱状のドリル本体の外周に先端から後端に向けて延びる複数の切屑排出溝が設けられ、前記ドリル本体の先端面を形成する先端逃げ面と、前記切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面との交差稜線部に切刃を備えるドリルにおいて、
複数の前記切刃は、前記軸線から前記外周に向けて前記軸線方向の前記後端側に傾斜され、このうち1つの前記切刃を基準とし、該基準とした前記切刃よりも前記ドリル回転方向後方側に位置する他の前記切刃は、該基準とした前記切刃に対し、前記ドリル回転方向後方側に位置されるに従い少なくとも前記ドリル本体の外周側が順次前記ドリル本体の後端側に配置され、さらに該他の切刃のうち最も前記ドリル本体の後端側に配された前記切刃には、少なくとも前記ドリル本体の外周側に硬質焼結体が設けられていることを特徴とするドリル。
【請求項2】
請求項1記載のドリルにおいて、
複数の前記切刃は、前記軸線を中心とした前記切刃の外径の1/2の直径の円の範囲内に位置する部分が、前記軸線回りの回転軌跡が一致するように形成されていることを特徴とするドリル。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のドリルにおいて、
前記基準とした切刃に対し、前記他の切刃は、前記ドリル回転方向後方側に位置されるに従い順次前記ドリル本体の外周側が、前記軸線に直交する平面に対して大きな傾斜角度で形成されていることを特徴とするドリル。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のドリルにおいて、
前記基準とした切刃に対し、前記他の切刃は、前記ドリル回転方向後方側に位置されるに従い、前記ドリル本体の外周側の傾斜角度を略同一としつつ順次前記軸線方向後端側に位置されて形成されていることを特徴とするドリル。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、被削物の穴開け加工に用いられるドリルに関し、特にドリル本体の先端に設けられる切刃に硬質焼結体を具備したドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被削物の穴開け加工に用いられるドリルには、ドリル本体の先端に設けられた切刃に、例えばダイヤモンド焼結体やCBN(立方晶窒化ホウ素)焼結体などの硬質焼結体を具備したものがある(例えば、特許文献1参照)。この種のドリルは、例えば軸線回りに回転される外形略円柱状のドリル本体の外周に、例えば軸線を挟んで互いに反対側に一対の切屑排出溝が形成されている。また、これら切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面と先端逃げ面との交差稜線部、すなわち壁面の先端縁に、軸線周辺の先端中心部からドリル本体の外周側に向けて延びる略直線状の切刃がそれぞれ形成されている。そして、切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面の先端外周側の部分に、この壁面から一段凹んで先端逃げ面及び外周面に開口する凹部が形成され、これら凹部に、略平板状をなす硬質焼結体が、その一方の面をドリル回転方向に向けた状態で、一方の面に対向する他方の面を凹部にろう付することにより接合されて取り付けられている。このように設けられた硬質焼結体は、ドリル回転方向前方側の一面が切屑排出溝の壁面と面一とされ、先端側の角部が切刃を構成するものとされている。
【0003】
このように切刃が硬質焼結体で構成されたドリルにおいては、硬質焼結体を具備せぬドリルと比較して、被削物の切削に供され大きな切削抵抗が作用する切刃の耐摩耗性を向上させることが可能とされる。これにより、ドリルの耐久性の向上を図ることが可能とされている。
【特許文献1】特開2003−205413号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、上記のような切刃を硬質焼結体で形成したドリルにおいては、被削物の切削に供される切刃の耐久性を向上させることに加え、比較的高価な硬質焼結体を具備しているため、高い面精度で切削面が加工されることも望まれていた。これに対し、上記のドリルでは、複数の切刃を構成するそれぞれの硬質焼結体が、軸線方向の略同位置に設けられているため、被削物に切り込んだ際に、それぞれの硬質焼結体が略同時に被削物に接触されて被削物を切削することとなる。このため、硬質焼結体が、加工した切削面の仕上げに寄与することがなく、硬質焼結体を具備しないものと同程度の面精度でしか加工を行えないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記事情を鑑み、高い面精度で切削可能なドリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0007】
本発明のドリルは、軸線回りに回転される外形略円柱状のドリル本体の外周に先端から後端に向けて延びる複数の切屑排出溝が設けられ、前記ドリル本体の先端面を形成する先端逃げ面と、前記切屑排出溝のドリル回転方向前方側を向く壁面との交差稜線部に切刃を備えるドリルにおいて、複数の前記切刃は、前記軸線から前記外周に向けて前記軸線方向の前記後端側に傾斜され、このうち1つの前記切刃を基準とし、該基準とした前記切刃よりも前記ドリル回転方向後方側に位置する他の前記切刃は、該基準とした前記切刃に対し、前記ドリル回転方向後方側に位置されるに従い少なくとも前記ドリル本体の外周側が順次前記ドリル本体の後端側に配置され、さらに該他の切刃のうち最も前記ドリル本体の後端側に配された前記切刃には、少なくとも前記ドリル本体の外周側に硬質焼結体が設けられていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のドリルにおいて、複数の前記切刃は、前記軸線を中心とした前記切刃の外径の1/2の直径の円の範囲内に位置する部分が、前記軸線回りの回転軌跡が一致するように形成されていることが望ましい。
【0009】
さらに、本発明のドリルにおいて、前記基準とした切刃に対し、前記他の切刃は、前記ドリル回転方向後方側に位置されるに従い順次前記ドリル本体の外周側が、前記軸線に直交する平面に対して大きな傾斜角度で形成されていることがより望ましい。
【0010】
また、本発明のドリルにおいて、前記基準とした切刃に対し、前記他の切刃は、前記ドリル回転方向後方側に位置されるに従い、前記ドリル本体の外周側の傾斜角度を略同一としつつ順次前記軸線方向後端側に位置されて形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のドリルによれば、ドリル回転方向後方側に位置され、最もドリル本体の後端側に配された切刃のドリル本体の外周側に硬質焼結体が設けられていることによって、この硬質焼結体よりもドリル回転方向前方側に位置する切刃で被削物を順次切削し、これにより切削された切削面を、最後に硬質焼結体によって加工することができる。これにより、硬質焼結体で切削面の仕上げを行なうことができ、高い面精度の切削を行なうことが可能となる。また、硬質焼結体を最もドリル本体の後端側に配された切刃にのみ設けることによって、比較的高価な硬質焼結体を効果的に配置しつつ面精度の向上を図ることが可能とされる。
【0012】
また、本発明のドリルにおいては、複数の切刃のドリル本体の外径の1/2の直径の円内に位置する部分が軸線回りの回転軌跡が一致するように略同一の形状で形成されていることにより、ドリル本体の外周側の位置がドリル本体の後端側に順次後退されて形成されている場合においても、被削物にドリルを切り込む際に、最初に上記の略同一の形状で形成された切刃部分を被削物に接触させることができるため、被削物への食い付き性を維持することができる。これにより、切削時にドリルが振れることを防止でき、硬質焼結体により切削面を確実に高い面精度で仕上げることが可能となる。
【0013】
さらに、本発明のドリルにおいては、基準とした切刃に対し、ドリル回転方向後方側に位置された他の切刃の外周側が、ドリル回転方向後方側に位置されるほどに、軸線に直交する平面に対して大きな傾斜角度で形成されていることにより、それぞれの切刃とドリル本体の外周とが接する外周部分を、ドリル回転方向後方側に位置されるに従い順次ドリル本体の後端側に配置することができる。これにより、最もドリル本体の後端側に位置する切刃の外周部分に硬質焼結体を設けることができ、この硬質焼結体により切削面を確実に高い面精度で仕上げることが可能となる。
【0014】
さらに、本発明のドリルにおいては、基準とした切刃に対し、他の切刃のドリル本体の外周側が、傾斜角度を略同一にしつつ順次軸線方向後端側に位置されていることによっても、最もドリル回転方向後方側に位置する切刃の外周部分に硬質焼結体を設けることで、切削面を高い面精度で仕上げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図1から図2を参照し、本発明の第1実施形態に係るドリルについて説明する。本発明の第1実施形態は、被削物の穴あけ加工に用いられるドリルに関し、特に先端側に硬質焼結体を備えたドリルに関するものである。
【0016】
本実施形態のドリルAは、図1から図2に示すように、超硬合金などの硬質材料によって軸線O1を中心とする外形略円柱状のドリル本体1からなり、このドリル本体1には、後端1a側に、例えば工作機械のチャックなどに保持されるシャンク部2が設けられ、先端1b側に、被削物の切削に供される3枚の切刃3、4、5を備えた刃先部6が形成されている。
【0017】
また、このドリル本体1には、刃先部6の外周6aに、先端1bからシャンク部2まで軸線O1と平行に且つ直線状に延び、先端1b側からの軸線O1方向の平面視で周方向に等間隔に設けられた3条の切屑排出溝7が形成されている。この切屑排出溝7は、軸線O1に直交する断面視で、ドリル回転方向T前方側を向く壁面7aと、この壁面7aに略直交しつつ接続され、ドリル回転方向T後方側を向く壁面7bとから構成されている。このため、ドリル本体1は、先端1bからの軸線O1方向の平面視で略3枚羽根の風車形を呈するように形成されている。
【0018】
また、各切屑排出溝7のそれぞれの壁面7a、7bと連接するドリルAの先端面が先端逃げ面8、9、10とされており、これらの先端逃げ面8〜10は、それぞれ軸線O1からドリル本体1の外周6aに向けて軸線O1方向の後端1a側に傾斜しているとともに、ドリル回転方向T後方側に向けて逃げ角が与えられている。ここで、隣り合う切屑排出溝7で画成され、軸線O1から径方向に延びる3つの先端逃げ面8〜10がそれぞれ第1先端逃げ面8、第2先端逃げ面9、第3先端逃げ面10とされ、第2先端逃げ面9は、第1先端逃げ面8のドリル回転方向T後方側に位置し、第3先端逃げ面10は、第2先端逃げ面9のドリル回転方向T後方側に位置されている。
【0019】
また、第2、第3先端逃げ面9、10には、それぞれ軸線O1を中心としてドリル本体1の外径Dの1/2となる位置に、軸線O1に直交する平面に対する傾斜角度が変化する折曲部11が設けられ、軸線O1から折曲部11までの部分(以下、軸線側逃げ面と称する)よりも折曲部11から外周6aまでの部分(以下、外周側逃げ面と称する)の軸線O1に直交する平面に対する傾斜角度が大きくなるように形成されている。さらに、第2、第3先端逃げ面9、10の各軸線側逃げ面は、それぞれ傾斜角度が同一とされている一方、第2先端逃げ面9の外周側逃げ面の傾斜角度θ2は、第1先端逃げ面8の傾斜角度θ1よりも大きな角度で形成され、第3先端逃げ面10の外周側逃げ面の傾斜角度θ3は、第2先端逃げ面9の外周側逃げ面の傾斜角度θ2よりも大きな角度で形成されている。
【0020】
一方、各先端逃げ面8〜10と各切屑排出溝7のドリル回転方向T前方側を向く壁面7aとの交差稜線部12に切刃3、4、5が形成されている。これらの切刃3〜5は、第1先端逃げ面8と切屑排出溝7の壁面7aとの交差稜線部12に形成された切刃が第1切刃(基準とした切刃)3とされ、第2先端逃げ面9と切屑排出溝7の壁面7aとの交差稜線部12の切刃が第2切刃(他の切刃)4とされている。同じく、第3先端逃げ面10と切屑排出溝7の壁面7aとの交差稜線部12に形成された切刃が第3切刃(他の切刃)5とされている。
【0021】
これにより、第1切刃3を基準として、ドリル回転方向T後方側に第2切刃4、第3切刃5が順に設けられ、これらの切刃3〜5は、それぞれ軸線O1近傍の先端中心からドリル本体1の外径Dの1/2となる切刃折曲部13までが同一の傾斜角度θ1の同一形状で形成されている。また、この切刃折曲部13からドリル本体1の外周6aまでの部分(軸線O1を中心としたドリル本体1の外径Dの1/2以上の範囲)は、第1切刃3の傾斜角度θ1よりも第2切刃4の傾斜角度θ2が大きく、第2切刃4の傾斜角度θ2よりも第3切刃5の傾斜角度θ3が大きくなるように、軸線O1直交方向の断面視でそれぞれ直線状を呈するように形成されている。これにより、第1切刃3を基準として、ドリル回転方向T後方側に位置する第2切刃4と第3切刃5は、第1切刃3に対し、ドリル回転方向T後方側に順次位置されるとともにドリル本体1の外周6aと連なる外周部14が順次ドリル本体1の後端1a側に配されることとなる。
【0022】
一方、最もドリル本体1の後端1a側に配された第3切刃5は、ドリル本体1の外周6aと接する外周部14に設けられた例えばダイヤモンド焼結体やCBN(立方晶窒化ホウ素)焼結体などの硬質焼結体15に形成されている。この硬質焼結体15は、平面視で扇状を呈する略平板状で形成されており、切屑排出溝7に形成された凹部に固着されている。この凹部は、切屑排出溝7のドリル回転方向T前方側を向く壁面7aの先端1b側で外周6a側の部分に、この壁面7aから一段凹んで第3先端逃げ面10及び外周6aに開口するように形成されており、硬質焼結体15は、一方の面をドリル回転方向T前方側に向けた状態で、他方の面を凹部に例えばろう付されて固着されている。また、この硬質焼結体15は、一方の面が切屑排出溝7の壁面7aと面一とされ、且つ軸線O1方向先端1b側を向く面が、第3先端逃げ面10と連なるように前記折曲部11よりも外周側に固着されている。
【0023】
ついで、上記の構成からなるドリルAを用いて被削物を切削する方法について説明する。
【0024】
はじめに、シャンク部2を例えば工作機械のチャックに把持させつつ固定して、ドリルAを軸線O1回りに高速回転させる。そして、ドリル本体1の先端1b側に形成された刃先部6を、軸線O1方向を維持しつつ前進させて被削物に切り込ませる。
【0025】
このとき、本実施形態のドリルAにおいては、軸線O1回りに回転された刃先部6の傾斜角度θ1が同一とされた各先端逃げ面8〜10の軸線側逃げ面の第1から第3切刃3〜5のドリル本体1の外径Dの1/2の範囲の部分(先端中心から切刃折曲部13までの部分)が、はじめに被削物に接触し、それぞれ略同時に被削物に切り込まれる。このため、ドリルAは、確実に軸線O1方向を維持しつつ被削物に食い付いて切削が開始される。
【0026】
ついで、ドリルAを回転させつつさらに被削物に送り込むことで、第1から第3切刃3〜5の先端中心から切刃折曲部13までの部分とともに、最もドリル本体1の先端1b側に位置する第1切刃3の切刃折曲部13から外周6aまでの部分が被削物を切り込み切削に供される。そして、この第1切刃3が周方向に1回転する間に、第2切刃4と第3切刃5の切刃折曲部13から外周6aまでの部分が順次被削物に切り込まれてゆく。
【0027】
この段階では、切削された被削物の切削面が低い面精度の状態とされている。これに対し、本実施形態では、さらにドリルAの刃先部6を被削物に切り込ませることにより、ドリル本体1の最も後端1a側に配置された第3切刃5の硬質焼結体15が切削面に当接される。この硬質焼結体15は、第1、第2切刃3、4が形成されたドリル本体1よりも硬質であるので、第3切刃5により鋭い切れ味で切削を行なうことが可能であるとともに、軸線O1回りに高速回転されつつ、例えば径方向外方を向く面が低い面精度の切削面に摺接されて切削面を研磨してゆくことにもなり、これらにより、加工された穴径が所定の穴径に仕上げられて高い面精度の穴が形成されることとなる。
【0028】
したがって、上記のドリルAにおいては、第1切刃3と第2切刃4と第3切刃5の切刃折曲部13から外周6aまでの、ドリル本体1の外径Dの1/2以上の範囲の部分が、異なる傾斜角度で形成されることにより、ドリル回転方向T後方に位置されるに従って順次軸線O1方向の後端1a側に配置することができ、最もドリル本体1の後端1a側に配された第3切刃5の外周部14に硬質焼結体15が設けられていることによって、主に第1切刃3と第2切刃4とで切削した切削面に、最後に第3切刃5の硬質焼結体15を接触させることができる。これにより、硬質焼結体15の鋭い切れ味で切削を行なうことができるとともに切削面を研磨することができ、これらによって所定の穴径に仕上げることが可能となる。よって、高い面精度の穴を形成することが可能となる。
【0029】
また、上記のドリルAにおいては、第1切刃3と第2切刃4と第3切刃5の先端中心から切刃折曲部13までの、ドリル本体1の外径Dの1/2の範囲内の部分が、略同一の傾斜角度θ1の略同一形状で形成されていることによって、これらの部分の軸線O1回りの回転軌跡を一致させることができる。これにより、切削開始時に、これらの部分を略同時に被削物に切り込ませることができるため、ドリルAの振れが生じることを防止することができ、確実に軸線O1方向を維持しつつ切削を行なうことが可能となることによって、好適な状態で確実に硬質焼結体15を切削面に切り込ませ、且つ摺接させることができ、面精度の高い穴を加工することが可能となる。
【0030】
なお、本発明は、上記の第1実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態は、3条の切屑排出溝7が形成されて、第1から第3の3枚の切刃3、4、5を有するものとしたが、この限りではなく、例えば図3から図4に示すように、2条の切屑排出溝7が形成されて2枚の切刃16、17が設けられたドリルBであってもよいものである。この2枚の切刃16、17を備えるドリルBにおいては、一方の切刃16の傾斜角度θ4に対し、他方の切刃17の外周部14の傾斜角度θ5が大きく形成されてこの外周部14が軸線O1方向後端1a側に配され、且つこの他方の切刃17の外周部14に硬質焼結体15が設けられることで、本実施形態と同様の効果を得ることが可能とされる。よって、本発明は、複数の切刃を有するドリルであれば適用可能である。
【0031】
また、本実施形態では、第1切刃3と第2切刃4と第3切刃5の切刃折曲部13は、軸線O1を中心としたドリル本体1の外径Dの1/2の位置に設けられ、各切刃3〜5は、軸線O1から切刃折曲部13までの部分が、略同一の傾斜角度θ1の略同一形状で形成されているものとしたが、略同一の形状で形成される範囲は、軸線O1を中心としたドリル本体1の外径Dの1/2以上の範囲とされていればよいものである。逆に、ドリル本体1の外径Dの1/2よりも内側までの場合には、被削物への食い付きが悪くなりドリルの直進性が確保されないおそれが生じる。
【0032】
また、本実施形態では、切屑排出溝7が先端1bから後端1aに向けたシャンク部2まで軸線O1と平行に、且つ直線状に延びているものとしたが、例えば、複数の切屑排出溝7が、軸線O1方向の後端1a側に向かいつつ回転方向T後方側に捻れるように螺旋状に形成されていてもよいものである。
【0033】
さらに、本実施形態では、各先端逃げ面8〜10のそれぞれの折曲部11が軸線O1中心の同心円上に形成され、これに応じた各切刃折曲部13も軸線O1中心の同心円上に形成されているものとしたが、例えば図5から図6に示すように、切刃折曲部13が第2、第3先端逃げ面9、10の順に径が小さくなる軸線O1中心の異なる円上に設けられてもよいものである。この場合においても、各切刃3、4、5は、その切刃折曲部13から外周6aまでの部分が適宜の傾斜角度θ6、θ7、θ8をもって傾斜され、第3切刃5の硬質焼結体15が最も軸線O1方向の後端1a側に配されることで、上記と同様の効果を得ることが可能となる。なお、この場合には、第2切刃4の傾斜角度θ7と、第3切刃5の傾斜角度θ8が同一の傾斜角度とされてもよい。
【0034】
ついで、図7から図8を参照し、本発明の第2実施形態に係るドリルについて説明する。本実施形態の説明においては、第1実施形態に共通する構成に対して同一符号を付し、その詳細についての説明を省略する。
【0035】
本実施形態は、第1実施形態と同様に、3条の切屑排出溝7と3枚の切刃3、4、5と3つの先端逃げ面8、9、10を備えるとともに、各先端逃げ面8〜10は、軸線O1から折曲部11までの軸線側逃げ面が略同一の傾斜角度θ1の略同一形状で形成されたドリルDに関するものである。
【0036】
この一方で、第2先端逃げ面9と第3先端逃げ面10は、それぞれの折曲部11が軸線O1方向に沿って後端1a側に延出された段差部20とされ、この段差部20には、径方向外方を向く壁面21がそれぞれ形成されている。そして、これら壁面21により第2先端逃げ面9及び第3先端逃げ面10のそれぞれの軸線側逃げ面と外周側逃げ面とが連続とされている。また、第3先端逃げ面10に形成された壁面21の軸線O1方向の長さH1が、第2先端逃げ面9に形成された壁面21の軸線O1方向の長さH2よりも大きく形成されており、これにより、第3先端逃げ面10の外周側逃げ面は、第2先端逃げ面9の外周側逃げ面よりも軸線O1方向後端1a側に位置されている。さらに、第1先端逃げ面8の折曲部11(20)には壁面21は形成されず、第1実施形態と同様とされる一方、第1先端逃げ面8の外周側逃げ面と、第2先端逃げ面9の外周側逃げ面と、第3先端逃げ面10の外周側逃げ面とは、それぞれ平行となるように形成されている。
【0037】
上記のように形成された各先端逃げ面8、9、10と切屑排出溝7のドリル回転方向T前方側を向く壁面7aとの交差稜線部12に切刃3、4、5が設けられていることで、第2切刃4の切刃折曲部13から外周6aまでの部分は、第1切刃3の切刃折曲部13から外周6aまでの部分よりも軸線O1方向の後端1a側に配されている。また、第3切刃5の切刃折曲部13から外周6aまでの部分は、第2切刃4の切刃折曲部13から外周6aまでの部分よりも軸線O1方向の後端1a側に配されている。これにより、第3切刃5の外周部14は、他の切刃3、4の外周部14よりもドリル本体1の後端1a側に配置され、この部分に、第1実施形態と同様の硬質焼結体15が設けられている。
【0038】
したがって、上記のドリルDにおいても、第1切刃3に対して、第2切刃4と第3切刃5とが、それぞれ平行しつつ軸線O1方向後端1a側に配されるとともに、最も後端1a側に配された第3切刃5の外周部14に硬質焼結体15が設けられていることによって、切削面に最後に硬質焼結体15を接触させることができ、これにより、硬質焼結体15の鋭い切れ味で切削を行なうことができるとともに切削面を研磨することができ、所定の穴径に仕上げることができるため、高い面精度の穴を形成することが可能となる。
【0039】
なお、本発明は、上記の第2実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態は、3条の切屑排出溝7が形成されて3枚の切刃3、4、5を有するものとしたが、この限りではなく、本発明は、例えば図9から図10に示すように、2条の切屑排出溝7が形成されて2枚の切刃22、23が設けられたドリルEに適用されてもよいものである。この場合には、一方の先端逃げ面24の折曲部11に段差を設けることで、一方の切刃23を他方の切刃22に対して軸線O1方向後端1a側に配置させ、且つ一方の切刃23の外周部14に硬質焼結体15を設けることで、上記と同様の効果を得ることが可能となる。よって、本発明は、複数の切刃を有するドリルであれば適用可能とされる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1実施形態に係るドリルの側面図である。
【図2】図1に示したドリルの正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るドリルの変形例として示した側面図である。
【図4】図3に示したドリルの正面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るドリルの変形例として示した側面図である。
【図6】図5に示したドリルの正面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るドリルの側面図である。
【図8】図7に示したドリルの正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るドリルの変形例として示した側面図である。
【図10】図9に示したドリルの正面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 ドリル本体
1a 後端
1b 先端
2 シャンク部
3 第1切刃(基準とした切刃)
4 第2切刃(他の切刃)
5 第3切刃(他の切刃)
6 刃先部
6a 外周
7 切屑排出溝
7a ドリル回転方向前方側を向く壁面
7b ドリル回転方向後方側を向く壁面
8 第1先端逃げ面(先端逃げ面)
9 第2先端逃げ面(先端逃げ面)
10 第3先端逃げ面(先端逃げ面)
11 折曲部
12 交差稜線部
13 切刃折曲部
14 外周部
15 硬質焼結体
A〜E ドリル
O1 軸線
T ドリル回転方向





 

 


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