米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 加工処理操作 -> トヨタ自動車株式会社

発明の名称 ロボットハンドの把持制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−98550(P2007−98550A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−295088(P2005−295088)
出願日 平成17年10月7日(2005.10.7)
代理人 【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
発明者 平野 豊 / 張 暁友
要約 課題
対象物体を倒したり、損傷させたりすることなく、高速に対象物体を把持すること。

解決手段
複数の関節からなる指部が関節を介して接続されているハンド部を有するロボットハンドの把持制御装置は、指部及びハンド部と把持対象物体との相対的位置関係に基づいて、指部及びハンド部と把持対象物体との間の接触点数が多くなるように、関節の角度を算出する関節角度算出手段と、関節角度算出手段により算出される関節の角度に基づいて、把持対象物体に指部を略同時に接触させるように、指部の関節角度を制御する関節制御手段と、を備えている。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数の関節からなる指部が関節を介して接続されているハンド部を有するロボットハンドの把持制御装置であって、
前記指部及び前記ハンド部と把持対象物体との相対的位置関係に基づいて、前記指部及び前記ハンド部と前記把持対象物体との間の接触点数が多くなるように、前記関節の角度を算出する関節角度算出手段と、
前記関節角度算出手段により算出される前記関節の角度に基づいて、前記把持対象物体に前記指部を略同時に接触させるように、前記指部の前記関節角度を制御する関節制御手段と、を備えることを特徴とするロボットハンドの把持制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のロボットハンドの把持制御装置であって、
前記関節角度算出手段は、前記指部の任意な姿勢に対して、前記指部及び前記ハンド部と、前記把持対象物体との隙間を夫々計算し、前記隙間を許容誤差に収束させるように、前記把持対象物体の位置及び前記関節の角度を調整して、前記関節の目標角度を夫々算出することを特徴とするロボットハンドの把持制御装置。
【請求項3】
請求項1記載のロボットハンドの把持制御装置であって、
前記関節制御手段は、前記関節角度算出手段により算出された前記関節の角度となるように、前記指部の全部の前記関節を同時に動かして、前記指部を略同時に前記把持対象物体に接触させることを特徴とするロボットハンドの把持制御装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載のロボットハンドの把持制御装置であって、
前記関節角度算出手段は、予め用意された前記把持対象物体の複数のモデル形状と、前記モデル形状に対するロボットハンドの拘束条件から定めた接触条件を保持しており、
前記把持対象物体の形状に対して、前記複数のモデル形状のいずれかを選出し、選出された該モデル形状に対応する接触条件を満たす、前記関節の角度を夫々算出することを特徴とするロボットハンドの把持制御装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載のロボットハンドの把持制御装置であって、
前記関節角度算出手段は、前記指部が対向するように前記把持対象物体と接触し、前記関節の角度を夫々算出することを特徴とするロボットハンドの把持制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至3記載のロボットハンドの把持制御装置であって、
前記関節角度算出手段は、前記把持対象物体の大きさに応じて、該把持対象物体と前記ハンド部との相対的な位置関係を検出し、前記関節の角度を夫々算出することを特徴とするロボットハンドの把持制御装置。
【請求項7】
請求項1又は3記載のロボットハンドの把持制御装置であって、
前記関節制御手段は、前記指部と前記ハンド部に備えた触覚センサの出力のフィードバックに基づいて、前記関節の目標角度誤差を補正する目標角度誤差補正部を、有することを特徴とするロボットハンドの把持制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、関節を介して接続された複数のリンク部材を備える指部を複数有するロボットハンドの把持制御を行うロボットハンドの把持制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットハンドを用いた物体の把持について、撮像してワークの形状及び位置からワークを把持するための把持位置データを生成し、この把持位置データに基づいて、ロボットハンドの把持位置を変更し、ロボットハンドが自律して最適な把持位置でワークを把持可能とした手先視覚付ロボットハンドが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−94367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の手先視覚付ロボットハンドにおいて、撮像したワークの形状及び位置に基づいて、ロボットハンドの把持位置を決定してワークを把持するものである。ところが、ワークを把持するためには、手先視覚によりワークとハンドとの相対的な位置を実時間に検知しながら、ハンドの把持位置を変更している。このため、上記従来の技術を利用してワークを把持する場合に、高速に把持を実現することが不可能で作業効率の低下の問題が必至である。
【0004】
また、上記従来の技術を使えば、ワークを把持する際、ハンドの各指を同時にワークに接触させることは困難である。このため、ワークを倒したり、損傷したりしかねない。
【0005】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、把持前に各指の関節の目標角度を算出し、把持時に各指の全部の関節を同時に動かして各指を同時に対象物体に接触させ、対象物体を倒したり、損傷させたりすることなく、高速に対象物体を把持することができるロボットハンドの把持制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
複数の関節からなる指部が関節を介して接続されているハンド部を有するロボットハンドの把持制御装置であって、
前記指部及び前記ハンド部と把持対象物体との相対的位置関係に基づいて、前記指部及び前記ハンド部と前記把持対象物体との間の接触点数が多くなるように、前記関節の角度を算出する関節角度算出手段と、
前記関節角度算出手段により算出される前記関節の角度に基づいて、前記把持対象物体に前記指部を略同時に接触させるように、前記指部の前記関節角度を制御する関節制御手段と、を備えることを特徴とするロボットハンドの把持制御装置である。
【0007】
この一態様によれば、把持対象物体を把持するときに、各指部の全部の関節を同時に動かして各指部を同時に対象物体に接触させるため、対象物体を倒したり、損傷したりする危険性を低減できる。
【0008】
また、この一態様において、前記関節角度算出手段は、前記指部の任意な姿勢に対して、前記指部及び前記ハンド部と、前記把持対象物体との隙間を夫々計算し、前記隙間を許容誤差に収束させるように、前記把持対象物体の位置及び前記関節の角度を調整して、前記関節の目標角度を夫々算出するのが好ましい
この一態様によれば、保持前に各指部の関節の目標角度を算出し、把持時に各指部の全部の関節を同時に動かすため、高速に対象物体を把持することができる。
【0009】
さらに、この一態様において、前記関節制御手段は、前記関節角度算出手段により算出された前記関節の角度となるように、前記指部の全部の前記関節を同時に動かして、前記指部を略同時に前記把持対象物体に接触させるのが好ましい。
【0010】
この一態様によれば、把持対象物体を把持するときに、各指部の全部の関節を同時に動かして各指部を同時に対象物体に接触させるため、対象物体を倒したり、損傷したりする危険性を低減できる。
【0011】
この一態様において、前記関節角度算出手段は、予め用意された前記把持対象物体の複数のモデル形状と、前記モデル形状に対するロボットハンドの拘束条件から定めた接触条件を保持しており、前記把持対象物体の形状に対して、前記複数のモデル形状のいずれかを選出し、選出された該モデル形状に対応する接触条件を満たす、前記関節の角度を夫々算出するのが好ましい。
【0012】
この一態様によれば、多種類の把持対象物体(例えば、球体、円柱体、直方体等)を把持することができる。
【0013】
この一態様において、前記関節角度算出手段は、前記指部が対向するように前記把持対象物体と接触し、前記関節の角度を夫々算出するのが好ましい。
【0014】
この一態様によれば、指部が対向するように把持対象物体と接触するため、より安定な把持を実現することができる。
【0015】
この一態様において、前記関節角度算出手段は、前記把持対象物体の大きさに応じて、該把持対象物体と前記ハンド部との相対的な位置関係を検出し、前記関節の角度を夫々算出するのが好ましい。
【0016】
この一態様によれば、把持対象物体とハンド部との相対的な位置関係を検出するため、指リンクを把持対象物体に食い込むのを防止することができる。
【0017】
この一態様において、前記関節制御手段は、前記指部と前記ハンド部に備えた触覚センサの出力のフィードバックに基づいて、前記関節の目標角度誤差を補正する目標角度誤差補正部を、有するのが好ましい。
【0018】
この一態様によれば、指部とハンド部に備えた触覚センサの出力のフィードバックに基づいて、指部の関節の目標角度誤差を補正することができる為、把持のロバスト性が高い。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、対象物体を倒したり、損傷させたりすることなく、高速に対象物体を把持することができるロボットハンドの把持制御装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施例に係るロボットハンドの把持制御装置のブロック構成図である。また、図2は、ロボットハンドの側面図であり、図3はロボットハンドの正面図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係るロボットハンドの把持制御装置(以下、把持制御装置と称す)10は、ロボットハンド1(図2)と、画像認識装置2と、関節角度算出装置3と、制御装置4と、を備えている。
【0022】
ロボットハンド1は、図2及び図3に示す如く、親指に相当する第一指11、人差指に相当する第二指12、中指に相当する第三指13、及び薬指に相当する第四指14を備えている。
【0023】
また、第一指11には第一指第一関節11A、第一指第二関節11B、及び第一指第三関節11Cが設けられており、第二指12には、第二指第一関節12A、第二指第二関節12B、及び第二指第三関節12Cが設けられている。さらに、第三指13には、第三指第一関節13A、第三指第二関節13B、及び第三指第三関節13Cが設けられており、第四指14には、第四指第一関節14A、第四指第二関節14B、及び第四指第三関節14Cが設けられている。
【0024】
第一指11における付根部分には、第一指11を第二指12乃至第四指14に対向させる第一指対向関節11Gが設けられている。対向関節11Gは、後述の掌部16に平行する鉛直軸周りに第一指11を第二指12乃至第四指14に対向可能としている。
【0025】
第二指12における付根部分には、第二指12を揺動させる第二指揺動関節12Gが設けられている。揺動関節12Gは、後述の掌部16に直交する水平軸周りに第二指12を揺動可能としている。
【0026】
また、第三指13及び第四指14における夫々の付根部分には、第三指13及び第四指14を揺動させる第三指揺動関節13G及び第四指揺動関節14Gが設けられている。揺動関節13G、14Gは、第三指13及び第四指14を掌部16に直交する水平軸周りに夫々揺動させる。
【0027】
これらの第二指12乃至第四指14の第三関節12C、13C、14Cを除く各関節11A、11B、11C、12A、12B、13A、13B、14A、14B及び、対向関節11G、揺動関節12G、13G、14Gには、図1に示すモータドライバ7に接続された図示しないモータが設けられている。
【0028】
また、第一指11における第一指第一関節11Aと第一指第二関節11Bとの間には、第一指第一リンク11Dが設けられ、第一指第二関節11Bと第一指第三関節11Cとの間には、第一指第二リンク11Eが設けられ、第一指第三関節11Cの先端には、第一指第三リンク11Fが設けられている。
【0029】
第二指12における第二指第一関節12Aと第二指第二関節12Bとの間には、第二指第一リンク12Dが設けられ、第二指第二関節12Bと第二指第三関節12Cとの間には、第二指第二リンク12Eが設けられ、第二指第三関節12Cの先端には、第二指第三リンク12Fが設けられている。
【0030】
さらに、第三指13における第三指第一関節13Aと第三指第二関節13Bとの間には、第三指第一リンク13Dが設けられ、第三指第二関節13Bと第三指第三関節13Cとの間には、第三指第二リンク13Eが設けられ、第三指第三関節13Cの先端には、第三指第三リンク13Fが設けられている。
【0031】
第四指14における第四指第一関節14Aと第四指第二関節14Bとの間には、第四指第一リンク14Dが設けられ、第四指第二関節14Bと第四指第三関節14Cとの間には、第四指第二リンク14Eが設けられ、第四指第三関節14Cの先端には、第四指第三リンク14Fが設けられている。
【0032】
さらに、第二指揺動関節12Gと第二指第一関節12Aとの間には、第二揺動リンク12Hが設けられている。同様に、第三揺動関節13Gと、第三指第一関節13Aとの間、及び第四指揺動関節14Gと、第四指第一関節14Aとの間には、夫々図示しない第三指揺動リンク及び第四指揺動リンクが設けられている。
【0033】
また、ロボットハンド1は、本発明のハンド部である拇指球15及び掌部16を有している。拇指球15には、第一指11が取り付けられている。
【0034】
また、拇指球15は、鉛直軸周りに回転可能とされており、拇指球15とともに第一指11が鉛直軸周りに回転可能とされている。掌部16には、第二指12乃至第四指14が取り付けられている。第一指11乃至第四指14の各リンク11D〜11F、12D〜12F、13D〜13F、14D〜14F及び拇指球15、掌部16には、夫々緩衝パッド(柔軟肉)が取り付けられている。
【0035】
なお、第二指12乃至第四指14の第二関節12B〜14Bと第三関節12C〜14Cとは、相互に連動する連動関節30となっている。連動関節30において、第二関節12B〜14Bと第三関節12C〜14Cとの間には、リンク部材31が設けられている。
【0036】
また、上述の如く、第二関節12B〜14Bにはモータが設けられているが、第三関節12C〜14Cにはモータが設けられていない。そして、第二関節12B〜14Bに設けられたモータが回転駆動することで、第二関節12B〜14Bが回転する。第二関節12B〜14Bが回転すると、この回転力がリンク部材31を介して、第三関節12C〜14Cに伝達され、第三関節12C〜14Cは第二関節12B〜14Bとともに回転する。
【0037】
このように、第一指11の自由度は4とされており、さらに他の第二指12乃至第四指14の自由度は3とされ、ロボットハンド1全体として、13の自由度を有している。また、ロボットハンド1で物体を把持する際には、第一指11と第三指13とが対向する状態となるように、第一指11が前側に回り込む。こうして、図4に模式的に示す如く、把持対象物体を把持する。
【0038】
図1に示す画像認識装置2は、撮像手段となるCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のカメラと、カメラで撮影された画像を処理する画像処理部とを有している。カメラで撮影された画像を画像処理部で画像処理することにより、画像中に映される把持の対象となる物体(以下、把持対象物体と称す)の位置、形状、及びサイズを認識する。画像認識装置2は、認識した把持対象物体の位置、形状、及びサイズを関節角度算出手段である関節角度算出装置3に出力する。
【0039】
本実施形態では、画像認識装置2が、物体形状認識装置及び物体位置認識装置として、機能している。画像認識装置2は、ともにカメラで撮影された画像を画像処理部で画像処理し、画像中に映し出される把持対象物体の形状とサイズ、及び位置を認識する。
【0040】
関節角度算出装置3は、画像認識装置2から出力された把持対象物体の形状に基づいて、ロボットハンド1によって物体を把持するために好適なロボットハンド1の把持姿勢を目標関節角として算出する。関節角度算出装置3は、把持対象物体のモデル形状に対応した把持計算方法を記憶している。
【0041】
関節角度算出装置3は、モデル形状として、円柱、球、及び直方体の形状について、これらのモデル形状とロボットハンド1の拘束条件から定めた接触条件を、把持対象物体の形状がこれらのモデル形状であるときの把持計算方法として記憶している。具体的な把持計算方法については、後に説明する。関節角度算出装置3は、算出したロボットハンド1の把持姿勢(目標関節角)を制御装置4に出力する。
【0042】
制御装置4には、関節角度算出装置3、エンコーダ・ポテンショメータ5、触覚センサ6、及びモータドライバ7が接続されている。エンコーダ・ポテンショメータ5は、ロボットハンド1における第一指11乃至第四指14の位置を検出しており、検出した第一指11乃至第四指14の各リンクの関節角度を制御装置4に出力している。また、触覚センサ6は、緩衝パッド17に埋め込まれた分布型圧力センサである。触覚センサ6は、ロボットハンド1が物体を把持した把持力を検出しており、検出した把持力を制御装置4に出力している。
【0043】
制御装置4は、エンコーダ・ポテンショメータ5から出力された第一指11から第四指14の各リンクの関節角度と、関節角度算出装置3から出力された目標関節角に基づいて、フィードバック制御を行い、第一指11乃至第四指14を同時に動かす。制御装置4は、このフィードバック制御に基づいて、ロボットハンド1の各関節に設けられたモータを駆動するモータドライバ7に角度指令を出力している。また、制御装置4は触覚センサ6から出力された把持反力に基づいて、ロボットハンド1の把持姿勢を修正するように、モータドライバ7に角度指令又は速度指令を出力している。
【0044】
以上の構成を有する本実施形態に係るロボットハンドの把持制御装置10における制御の手順について説明する。図5は、本実施例に係るロボットハンドの把持制御装置10の制御手順を示すフローチャートである。
【0045】
図5に示す如く、ロボットハンド1の把持制御を行う際には、まず把持対象物体の位置、サイズおよび形状が認識される(S1)。把持対象物体の位置、サイズ及び形状が認識される際には、画像認識装置2によって、把持対象物体が撮影されるとともに、所定の画像処理が施され、把持対象物体の位置、サイズ及び形状が認識される。
【0046】
把持対象物体の位置、サイズ及び形状が認識されると、関節角度算出装置3において、把持計算方法が選択される(S2)。把持計算方法は、把持対象物体が円柱、球、直方体のいずれかにより異なり、ここでは、把持対象物体の形状に応じた計算方法が選択される。把持計算方法が選択されると、第一指11乃至第四指14の各関節の目標関節角度が算出される(S3)。
【0047】
目標関節角の算出において、まず掌部16と、第一指11のリンク11E、11F、及び第三指13のリンク13D〜13Fとが把持対象物体に接触させる。さらに、他の第二指12及び第四指14のリンク12D〜12F、14D〜14Fが、把持対象物体に対して最大数の接触点を有するようにする。
【0048】
この目標関節角は、把持対象物体の形状を、円柱、球、直方体のいずれかのモデル形状に割り当て、モデル形状とロボットハンド1との拘束条件から定められる接触条件を満たすように算出される。この目標関節角度を求めることにより、ロボットハンド1の把持姿勢が決定される。
【0049】
関節角度算出装置3により第一指11乃至第四指14の目標関節角度が算出され、ロボットハンド1の把持姿勢が決定されると、制御装置4は、第一指11乃至第四指14の関節角度が、算出された目標関節角度となるように、モータドライバ7を介してモータを制御する(S4)。
【0050】
触覚センサ6により検出された把持力(S5)は、制御装置4に送信され、制御装置4は検出された把持力が許容値より小さいか否かを判断する(S6)。
【0051】
制御装置4は、触覚センサ6により検出された把持力が許容値よりも小さいと判断したとき(S6のYes)、エンコーダ・ポテンショメータ5からの信号に基づいて、第一指11乃至第四指14の関節角度が目標関節角度になっているか否かを判断する(S7)。一方、制御装置4は触覚センサ6により検出された把持力が許容値以上と判断したとき(S6のNo)、例えば把持対象物体を所定の場所に移動させ(S8)、本制御処理ルーチンを終了する。
【0052】
制御装置4は、エンコーダ・ポテンショメータ5からの信号に基づいて、第一指11乃至第四指14の関節角度が目標関節角度になっていると判断したときは(S7のYes)、目標関節角度を修正し(S9)、上記(S4)に戻る。
【0053】
一方、制御装置4は、エンコーダ・ポテンショメータ5からの信号に基づいて、第一指11乃至第四指14の関節角度が目標関節角度になっていないと判断したときは(S7のNo)、上記(S4)に戻る。
【0054】
ロボットハンド1の拘束条件は、モデル形状との関係で決められ、例えば、モデル形状とロボットハンド1との接触点数が最も多くなることが条件とされる。このモデル形状とロボットハンド1の拘束条件と対応する接触条件が定められている。ここで、把持対象物体が夫々のモデル形状に割り当てられる形状である場合について説明する。
【0055】
把持対象物体の形状が円柱である場合、各指11〜14が把持対象物体に最大接触点数を持って接触する際に最も安定した把持状態となる。したがって、原則的には、各指11〜14が把持対象物体に最大接触点数を持って接触することがここでの拘束条件となり、最大接触点数が接触条件となる。但し、円柱の径がロボットハンド1に対して著しく小さい場合などには、最大接触点数よりも少ない接触点数で把持することが拘束条件となり、この接触点数が接触条件となることもある。
【0056】
図6は、第三指13中心線を通って、かつ掌部16に垂直な円柱の把持対象物体が把持された状態の横断平面の概略図である。
【0057】
図6に示す如く、第一指第二リンク11E、第一指第三リンク11F、第三指第一リンク13D、第三指第二リンク13E、及び第三指第三リンク13F及び掌部16が把持対象物体Mに当接する。また、上述の如く、第二関節13Bと第三関節13Cとは、連動関節30となっていることから、第二関節13Bの関節角度と第三関節13Cの関節角度とは、略同一となると仮定する。
【0058】
以下、把持対象物体Mの中心位置(y、z)及び各関節11B、11C、13A〜13Cの目標関節角度φ、φ2、θ、θ、を、把持対象物体Mと第一指11乃至第三指13の各リンク11E、11F、13D〜13Fとの幾何学的関係から算出する方法について説明する。なお、掌部16の方向にZ軸とし、第一指11及び第三指13が延びる方向をY軸とする。
【0059】
第三指第一リンク13Dに対して、幾何学的関係から下記(1)式の関係が成立する。
【0060】
【数1】


上記(1)式において、第三指第一リンク13Dの回転中心である第一関節の位置を(y10、z10)とし、θを第三指第一関節13Aの関節角度とする。また、R11は、下記(2)式により算出される。
【0061】
【数2】


上記(2)式において、rは把持対象物体Mの半径であり、tは第三指第一リンク13Dの幅を1/2にした値である。
【0062】
第三指第二リンク13Eの回転中心である第三指第二関節13Bの位置(y11、z)は下記(3)式により算出される。
【0063】
【数3】


上記(3)式において、L11は第三指第一リンク13Dの長さであり、第三指第一関節13Aと第三指第二関節13Bとの間の距離である。
【0064】
また、第三指第二リンク13Eに対して、上記第三指第一リンク13Dと同様に、下記(4)式が成立する。
【0065】
【数4】


上記(4)式において、θを第三指第二関節13B及び第三関節13Cの目標関節角度とし、R12は、下記(5)式により算出される。
【0066】
【数5】


上記(5)式において、tは第三指第二リンク13Eの幅を1/2にした値である。
【0067】
第三指第三リンク13Fの回転中心である第三関節13Cの位置(y12、z12)は下記(6)式により算出される。
【0068】
【数6】


上記(6)式において、L12は第三指第二リンク13Eの長さであり、第三指第二関節13Bと第三指第三関節13Cとの間の距離である。
【0069】
また、第三指第三リンク13Fに対して、上記第三指第一リンク13D及び第三指第二リンク13Eと同様に、下記(7)式が成立する。
【0070】
【数7】


上記(7)式において、R13は下記(8)式により算出される。
【0071】
【数8】


上記(8)式において、tは第三指第三リンク13Fの幅を1/2にした値である。
【0072】
さらに、掌部16を把持対象物体Mに接触させる為に下記(9)式の関係が成立する。
【0073】
【数9】


上記(9)式において、tは掌部16の接触面におけるY座標の平均値である。
【0074】
上記(1)式、(4)式、(7)式、および(9)式の4つの式に対して、変数はθ、θ、y、zの4つとなる為、上記4つの式により唯一の解を算出することができる。なお、上記方程式の解を下記に示す数値的解析法により、容易に算出することができる。
【0075】
図7は、数値的解析法による処理フローを示すフローチャートである。
【0076】
図7に示す如く、上記(9)式により、把持対象物体Mの中心座標yが算出され(S10)、探索変数であるzに、初期値が設定される(S11)。
【0077】
次に、第三指第一関節13Aの目標関節角度θに初期値θ01が設定され(S12)、上記(1)式の左辺側が計算され、その値をd1と定義する(S13)。また、上記(2)式によりR11が算出される。
【0078】
その後、d1とR11の差(|d1−R11|)が許容誤差eより小さいか否かが判断される(S14)。なお、許容誤差eは、1よりも小さい値が設定されている。
【0079】
d1とR11の差が許容誤差eよりも小さいと判断されたとき(S14のYes)、第三指第二関節13B及び第三関節13Cの目標関節角度θに初期値θ02が設定され(S15)、上記(4)式の左辺側が計算され、その値をd2と定義する(S16)。また、上記(5)式によりR12を算出する。
【0080】
一方、d1とR11の差が許容誤差e以上と判断されたとき(S14のNo)、下記(10)式によりθが算出され(S17)、上記(S13)に戻る。
【0081】
【数10】


なお、上記(10)式において、Δθは下記(11)式により算出される。
【0082】
【数11】


上記(11)式において、αは調整ゲインを示している。
【0083】
(S18)において、d2とR12の差(|d2−R12|)が許容誤差eより小さいか否かが判断される。
【0084】
d2とR12の差が許容誤差eよりも小さいと判断されたとき(S18のYes)、上記(7)式の左辺側が計算され、その値をd3と定義する(S19)。また、上記(8)式によりR13が算出される。
【0085】
一方、d2とR12の差が許容誤差e以上と判断されたとき(S18のNo)、下記(12)式によりθが算出され(S20)、上記(S16)に戻る。
【0086】
【数12】


なお、上記(12)式において、Δθが下記(13)式により算出される。
【0087】
【数13】


(S21)において、d3とR13の差(|d3−R13|)が許容誤差eより小さいか否かが判断される。
【0088】
d3とR13の差が許容誤差eよりも小さいと判断されたとき(S21のYes)、本処理ルーチンを終了させる。
【0089】
一方、d3とR13の差が許容誤差e以上と判断されたとき(S21のNo)、下記(14)式によりzが算出され(S22)、上記(S12)に戻る。
【0090】
【数14】


なお、上記(14)式において、Δzが下記(15)式により算出される。
【0091】
【数15】


上記(15)式において、βは調整ゲインを示している。
【0092】
以上のように算出された解は、安定的な把持条件を満たす把持対象物体Mの中心位置(y、z)及び第三指13の第一関節13A、第二関節13B、及び第三関節13Cの目標関節角度θ、θとなる。
【0093】
さらに、第2リンク11Eに対して、下記(16)式の関係が成立する。
【0094】
【数16】


上記(16)式において、R21は把持対象物体Mの半径と第一指11第二リンク11Eの幅を1/2にした値との和である。
【0095】
なお、上記(16)式において、下記(17)式を代入すると、下記(18)式が導出される。φは第一指11第二関節11Bの関節角度である。
【0096】
【数17】


【0097】
【数18】


また、第一指第三リンク11Fの回転中心である第三関節11Cの位置(y21、z)は下記(19)式により算出される。
【0098】
【数19】


第一指第三リンク11Fに対して、下記(20)式が成立する。
【0099】
【数20】


上記(20)式において、φは第一指第三関節11Cの関節角度を示している。Rは把持対象物体Mの半径と第一指11第三リンク11Fの幅を1/2にした値との和である。上記(20)式に下記(21)式を代入すると、下記(22)式が導出される。
【0100】
【数21】


【0101】
【数22】


上記(18)式、及び(22)式により、第一指第二関節11Bおよび第一指第三関節11Cの目標関節角度φ、φが算出される。
【0102】
上述した第一指11及び第三指13以外の、第二指12の第一関節12A、第二関節12B、及び第三関節12Cの目標関節角度と、第四指14の第一関節14A、第二関節14B、及び第三関節14Cの目標関節角度は、以下のようにして算出される。
【0103】
第二指12及び第四指14において、第二関節12B、14Bと第三関節12C、14Cとは、連動関節30であり、夫々の関節角度は、同一となると仮定する。また、第二指12及び第四指14においても、幾何学的関係から、上記(1)式、(4)式、及び(7)式を適用することができる。ただし、第二指12及び第四指14のパラメータが第三指13のパラメータと同様ではない場合、計算された第三指13の目標関節角度θとθを第二指12及び第四指14に適用できない。このとき、第二指12及び第四指14の目標関節角度を改めて算出することが必要である。また、第三指13の目標関節角度を算出する時に、把持対象物体Mの中心座標(y、z)は、上述の如く、既に決定された。したがって、このとき、第二指12と第四指14において、連動関節があるため、それぞれの二つのみのリンクを把持対象物体Mに接触させられる。
【0104】
安定的な把持姿勢を実現する為には、第二指12及び第四指14のリンクと把持対象物体Mとの接触点が把持対象物体Mの両面となるように、第二指12及び第四指14の第一リンク12D、14Dと第三リンク12F、14Fを把持対象物体Mに接触させるのが好ましい。さらに、第一リンク12D、14Dと第三リンク12F、14Fを把持対象物体Mに接触させられない場合、少なくとも第二リンク12E、14Eと第三リンク12F、14Fとを把持対象物体Mに接触させるのが好ましい。
【0105】
次に、第二指12及び第四指14の、第一リンク12D、14Dと第三リンク12F、14F若しくは第二リンク12E、14Eと第三リンク12F、14Fとを把持対象物体Mに接触させる目標関節角度の計算方法について説明する。
【0106】
図8は、第二指12及び第四指14の、第一リンク12D、14Dと第三リンク12F、14F若しくは第二リンク12E、14Eと第三リンク12F、14Fとを把持対象物体Mに接触させる目標関節角度の計算フローを示すフローチャートである。
【0107】
第二指第一関節12Aの目標関節角度θに初期値θ10が設定され(S20)、上記(1)式の左辺側が計算され、その値をd1と定義する(S24)。また、上記(2)式によりR11が算出される。ただし、式(1)と式(2)に適用したパラメータは第二指12のパラメータである。以下も同じである。
【0108】
その後、d1とR11の差(|d1−R11|)が許容誤差eより小さいか否かが判断される(S25)。
【0109】
d1とR11の差が許容誤差eよりも小さいと判断されたとき(S25のYes)、第二指第二関節12B及び第三関節12Cの目標関節角度θに初期値θ20が設定され(S26)、上記(7)式の左辺側が計算され、その値をd3と定義する(S27)。
【0110】
一方、d1とR11の差が許容誤差e以上と判断されたとき(S25のNo)、上記(10)式によりθが算出され、上記(S24)に戻る。
【0111】
(S28)において、d3とR13の差(|d3−R13|)が許容誤差eより小さいか否かが判断される。
【0112】
d3とR13の差が許容誤差eよりも小さいと判断されたとき(S25のYes)、上記(4)式の左辺側が計算され、その値をd2と定義する(S29)。
【0113】
一方、d3とR13の差が許容誤差e以上と判断されたとき(S28のNo)、下記(23)式によりθが算出され(S30)、上記(S27)に戻る。
【0114】
【数23】


なお、上記(23)式において、Δθは下記(24)式によって、算出される。
【0115】
【数24】


(S31)において、d2とR12の差(|d2−R12|)が0より大きいか否かが判断される。
【0116】
d2とR12の差が0よりも大きいと判断されたとき(S31のYes)、本処理ルーチンを終了させる。
【0117】
一方、d2とR12の差が0以下と判断されたとき(S31のNo)、下記(25)式によりθが算出され(S32)、上記(S26)に戻る。
【0118】
【数25】


なお、上述の如く、第二指12の第一関節12A、第二関節12B及び第三関節12Cの目標関節角度θ、θの決定方法について説明したが、第四指14の第一関節14A、第二関節14B及び第三関節14Cの目標関節角度も、上述の方法と同様の計算方法により算出することができる。
【0119】
以上のようにして、第一指11乃至第四指14の目標関節角度が算出される。ここで求められた目標関節角度となるように、各リンク11E、11F、12D〜12F、13D〜13F、14D〜14Fにおけるモータを、モータドラバ7を介して駆動させることにより、把持対象物体Mを把持することができる。なお、把持対象物体Mの形状が球である場合には、第一指11乃至第四指14により包み込みを行って把持する態様とするのが好適となる。球体を包み込み把持する場合、第一指11乃至第四指14における各リンク11E、11F、12D〜12F、13D〜13F、14D〜14Fの目標関節角度の計算は、把持対象物体Mが円柱である場合と類似であるので詳細な説明は省略する。
【0120】
このように、本実施形態に係るロボットハンドの把持制御装置10によれば、把持対象物体Mの位置、サイズ及び形状を認識し、認識した把持対象物体Mの形状に基づいて、把持対象物体Mに複数の指部が接触する際の関節角度を夫々求めている。そして、求めた関節角度に応じて、指部の把持姿勢を算出している。したがって、指部が把持対象物体Mを把持するために最適な形態で、把持対象物体を把持することができる。すなわち、指部によって、把持対象物体Mを倒したり、損傷したりする危険性を低減することができるとともに、把持対象物体Mを確実にかつ高速に把持することができる。
【0121】
また、把持姿勢の算出を行う際に、把持対象物体Mに直方体や円柱等のモデル形状を割り当て、このモデル形状に対応する接触条件を満たす把持姿勢を算出している。このため、ロボットハンド1の拘束条件から接触点数や接触位置を幾何学的に算出することができ、安定した把持を行う接触条件を定めることができる。
【0122】
以上、本発明を実施するための最良の形態について一実施例を用いて説明したが、本発明はこうした一実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、上述した一実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0123】
例えば、本発明は連動関節のないロボットハンドに適用することができる。
【0124】
例えば、上記一実施例において、把持対象物体Mとして、円柱、球が用いられているが、直方体を用いてもよい。この場合、直方体の把持対象物体Mは包み込むように把持され、直方体の厚さHに応じて、直方体の端面からZ軸までの距離Yが調整される(図9)。なお、直方体の端面からZ軸までの距離Yは、下記(26)式により算出される。
【0125】
【数26】


関節角度算出装置3は、上記(26)式により算出された距離Yに基づいて、直方体の把持対象物体Mが第二指12乃至第四指14の第一リンク12D〜14Dに接触しないような第一指11乃至第四指14の目標関節角度を算出する。これにより、直方体の把持対象物体Mが第二指12乃至第四指14の第一リンク12D〜14Dに接触し、食い込むのを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は、把持対象物体を把持するロボットハンドの把持制御装置に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の一実施例に係るロボットハンドの把持制御装置のブロック構成図である。
【図2】本発明の一実施例に係るロボットハンドの側面図である。
【図3】本発明の一実施例に係るロボットハンドの正面図である。
【図4】把持対象物体を把持した状態を模式的に示した平面図である。
【図5】本実施例に係るロボットハンドの把持制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】円柱の把持対象物体が把持された状態の横断平面の概略図である。
【図7】数値的解析法による処理フローを示すフローチャートである。
【図8】第二指及び第四指の、第一リンクと第三リンク若しくは第二リンクと第三リンクとを把持対象物体に接触させる目標関節角度の計算フローを示すフローチャートである。
【図9】直方体の把持対象物体を把持した状態を示す図である。
【符号の説明】
【0128】
1 ロボットハンド
2 画像認識装置
3 関節角度算出装置
4 制御装置
5 エンコーダ・ポテンショメータ
6 触覚センサ
10 ロボットハンドの把持制御装置
11 第一指
12 第二指
13 第三指
14 第四指




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013