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発明の名称 静電塗装装置、及び、静電塗装装置の塗料汚れ防止方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−69136(P2007−69136A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−260022(P2005−260022)
出願日 平成17年9月8日(2005.9.8)
代理人 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
発明者 榊原 正人 / 中村 尚範 / 花井 陽一 / 鷲頭 慎一
要約 課題
塗装ガンと、該塗装ガンを支持するロボットアームを具備する静電塗装装置につき、被塗装物へ向かわずに空中に浮遊する塗料ミストによる前記ロボットアームの汚れを防止するための新規な技術を提案する。

解決手段
本発明に係る静電塗装装置1は、被塗装物9に対して塗料を噴霧する塗装ガン2と、前記塗装ガン2を前記被塗装物9に対して移動させるロボットアーム3とを具備し、前記塗装ガン2にて塗料(塗料ミスト)に電圧を印加させる構成であり、前記ロボットアーム3(第一アーム部3a)の表面に、前記塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される構成とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
被塗装物に対して塗料を噴霧する塗装ガンと、
前記塗装ガンを前記被塗装物に対して移動させるロボットアームとを具備し、
前記塗装ガンにて塗料に電圧を印加させる構成とする静電塗装装置であって、
前記ロボットアームの表面に、前記塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される構成とする、静電塗装装置。
【請求項2】
前記ロボットアームは、
その先端部に塗装ガンが取り付けられる第一アーム部と、
その先端部に前記第一アーム部が連結され、前記第一アーム部とアース側との電気的な接続を絶縁する第二アーム部と、を有し、
前記第一アーム部の表面に、前記塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される構成とする、ことを特徴とする、請求項1に記載の静電塗装装置。
【請求項3】
前記第二アーム部は、電気絶縁性を有する部材にて構成される、
ことを特徴とする、請求項2に記載の静電塗装装置。
【請求項4】
前記第二アーム部は、樹脂部材にて構成される、
ことを特徴とする、請求項2又は請求項3に記載の静電塗装装置。
【請求項5】
前記第一アーム部の外周には、塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される、静電電極が設けられる構成とする、
ことを特徴とする、請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の静電塗装装置。
【請求項6】
前記静電電極には、塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される、針状電極が突設される構成とする、
ことを特徴とする、請求項5に記載の静電塗装装置。
【請求項7】
前記塗装ガンの外周には、塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される、静電電極が設けられる構成とする、
ことを特徴とする、請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の静電塗装装置。
【請求項8】
前記静電電極は、針状電極とする、
ことを特徴とする、請求項7に記載の静電塗装装置。
【請求項9】
前記塗装ガンに電圧を印加する電源と、前記ロボットアームに電圧を印加する電源とを、別電源とする、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれか一項に記載の静電塗装装置。
【請求項10】
被塗装物に対して塗料を噴霧する塗装ガンと、
前記塗装ガンを前記被塗装物に対して移動させるロボットアームとを具備し、
前記塗装ガンにて塗料に電圧を印加させる構成とする静電塗装装置の塗料汚れ防止方法であって、
前記ロボットアームの表面に、前記塗料に印加される電圧と同極性の電圧を印加する、
静電塗装装置の塗料汚れ防止方法。
【請求項11】
前記塗装ガンの外周に静電電極を設け、前記静電電極に、塗料に印加される電圧と同極性の電圧を印加する、
ことを特徴とする、請求項10に記載の静電塗装装置の塗料汚れ防止方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電塗装を行う静電塗装装置に関し、特に、塗装ガンと、該塗装ガンを支持するロボットアームを具備する静電塗装装置につき、空中に浮遊する塗料ミストの付着による前記ロボットアームの汚れを防止するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、静電塗装を行う静電塗装装置に関し、塗装ガンやロボットアームに、前記塗装ガンに印加される電圧と同極性の電圧が印加された静電パネルを取り付け、前記静電パネルの静電反発力により、被塗装物へ向かわずに空中に浮遊する塗料ミストが、塗装ガンやロボットアームへ付着することを抑制する技術が知られており、この技術について開示する文献も存在する(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、本願出願人も、前記塗装ガンや、前記ロボットアームに、前記塗装ガンと同極性の電圧が印加される静電電極を付設することにより、前記塗装ガンやロボットアームへの塗料の付着を防止する技術につき、特願2004−272447にて開示している。
また、前記静電電極につき、針状電極を採用することによって、電界強度の向上を図ることとしている。
【特許文献1】特開平6−142561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1に開示される技術のように、静電パネルを用いるものでは、ロボットアームの取り得る姿勢に制約が生じ、このことによって塗装品質に影響が及ぼされることがある。場合によっては、別途、塗装ガン及びロボットアームを追加する必要が生じることになる。
【0005】
また、複数の塗装ガンによって塗装が行われる場合、各塗装ガン及び各ロボットアームは、自ら塗出した塗料に対しては、それぞれに設けられる静電パネルによって塗料付着の抑制を図ることができるが、他の塗装ガンから塗出される塗料については、付着の抑制を図ることができない。つまり、他の塗装ガンから塗出される塗料によって、塗装ガンやロボットアームが汚されてしまうのである。
【0006】
また、前記ロボットアームはゼロボルトにアースされていることから、絶縁距離を稼ぐためには、前記静電パネルとロボットアームとの間に距離を確保する必要がある。このことが電界強度を充分に確保できない原因ともなり、塗装ガンやロボットアームへの塗料の付着を充分に抑制できないものであった。
【0007】
他方、特願2004−272447に開示される構成の場合、塗装ガンについては、塗料の付着を充分に抑制することが可能となったが、ロボットアームについては、不十分であり、当該ロボットアームへの塗料の付着の防止につき、改善を図る必要がある。
【0008】
また、前記ロボットアームはゼロボルトにアースされていることから、前記ロボットアームに設ける静電電極については、絶縁距離を稼ぐために、前記ロボットアームから離れた位置に設ける必要がある。このことが電界強度を充分に確保できない原因ともなり、ロボットアームへの塗料の付着を充分に抑制できないものであった。
また、ロボットアームから離れた位置に静電電極を設ける必要があるため、このことが塗装装置全体の大型化につながり、また、ロボットアームの動作に支障をきたすことが懸念される。
【0009】
そこで、本発明は、塗装ガンと、該塗装ガンを支持するロボットアームを具備する静電塗装装置につき、被塗装物へ向かわずに空中に浮遊する塗料ミストによる前記ロボットアームの汚れを防止するための新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は以上のごとくであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0011】
即ち、請求項1に記載のごとく、
被塗装物に対して塗料を噴霧する塗装ガンと、
前記塗装ガンを前記被塗装物に対して移動させるロボットアームとを具備し、
前記塗装ガンにて塗料に電圧を印加させる構成とする静電塗装装置であって、
前記ロボットアームの表面に、前記塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される構成とするものである。
【0012】
また、請求項2に記載のごとく、
前記ロボットアームは、
その先端部に塗装ガンが取り付けられる第一アーム部と、
その先端部に前記第一アーム部が連結され、前記第一アーム部とアース側との電気的な接続を絶縁する第二アーム部と、を有し、
前記第一アーム部の表面に、前記塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される構成とするものである。
【0013】
また、請求項3に記載のごとく、
前記第二アーム部は、電気絶縁性を有する部材にて構成されるものである。
【0014】
また、請求項4に記載のごとく、
前記第二アーム部は、樹脂部材にて構成されるものである。
【0015】
また、請求項5に記載のごとく、
前記第一アーム部の外周には、塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される、静電電極が設けられる構成とするものである。
【0016】
また、請求項6に記載のごとく、
前記静電電極には、塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される、針状電極が突設される構成とするものである。
【0017】
また、請求項7に記載のごとく、
前記塗装ガンの外周には、塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される、静電電極が設けられる構成とするものである。
【0018】
また、請求項8に記載のごとく、
前記静電電極は、針状電極とするものである。
【0019】
また、請求項9に記載のごとく、
前記塗装ガンに電圧を印加する電源と、前記ロボットアームに電圧を印加する電源とを、別電源とするものである。
【0020】
また、請求項10に記載のごとく、
被塗装物に対して塗料を噴霧する塗装ガンと、
前記塗装ガンを前記被塗装物に対して移動させるロボットアームとを具備し、
前記塗装ガンにて塗料に電圧を印加させる構成とする静電塗装装置の塗料汚れ防止方法であって、
前記ロボットアームの表面に、前記塗料に印加される電圧と同極性の電圧を印加する、
静電塗装装置の塗料汚れ防止方法とするものである。
【0021】
また、請求項11に記載のごとく、
前記塗装ガンの外周に静電電極を設け、前記静電電極に、塗料に印加される電圧と同極性の電圧を印加する、
前記塗装ガンへの塗料の付着を防止する構成とするものである。
【発明の効果】
【0022】
以上の請求項1に記載の発明では、ロボットアーム自体が帯電され、ロボットアームの表面から離れる方向へと向う電磁力線が形成される。これにより、ロボットアームの周囲に、塗料ミストと反発し合う電界バリアが形成され、空中に浮遊する塗料ミストのロボットアームへの付着を防止することができる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明では、第一アーム部に一定の電圧を印加させた状態を維持することができる。
【0024】
また、請求項3、4に記載の発明では、第一アーム部とアース側との電気的な接続を絶縁することができる。
【0025】
また、請求項5に記載の発明では、静電電極(第一アーム部)の周囲に塗料ミストと反発し合う電界バリアを形成することができる。
【0026】
また、請求項6に記載の発明では、針状電極の周囲に強力な静電界を形成することができる。
【0027】
また、請求項7に記載の発明では、塗装ガンの周囲に塗料ミストと反発し合う電界バリアを形成することができる。
【0028】
また、請求項8に記載の発明では、塗装ガンの周囲に強力な静電界を形成することができる。
【0029】
また、請求項9に記載の発明では、塗装ガン、ロボットアームの各位置にて印加される電圧値の設定が可能となり、塗料ミストの浮遊状況や、塗装ガン、及び、ロボットアームの塗料ミストの付着の状況に応じて、適宜、電圧の値を調整し、効果的に汚れ防止を図ることができる。
【0030】
また、請求項10に記載の発明では、ロボットアームへの塗料の付着を効果的に防止することができる。
【0031】
また、請求項11に記載の発明では、塗装ガンへの塗料の付着を効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
図1及び図2に示すごとく、本発明に係る静電塗装装置1は、被塗装物9に対して塗料を噴霧する塗装ガン2と、前記塗装ガン2を前記被塗装物9に対して移動させるロボットアーム3とを具備し、前記塗装ガン2にて塗料(塗料ミスト)に電圧を印加させる構成であり、前記ロボットアーム3(第一アーム部3a)の表面に、前記塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される構成とするものである。
【0033】
以上の構成により、ロボットアーム3(第一アーム部3a)自体が帯電され、第一アーム部3aの表面から離れる方向へと向う電磁力線m1が形成される(図2参照)。これにより、ロボットアーム3の周囲に、塗料ミストと反発し合う電界バリアが形成され、空中に浮遊する塗料ミストのロボットアーム3への付着を防止することができる。
【0034】
以下、詳細な構成について説明する。
図1に示すごとく、ロボットアーム3は、その下部において設置台31に回動可能に連結される上下アーム3Aと、該上下アーム3Aの上部にその後端部が回動可能に連結される水平アーム3Bとから構成され、前記上下アーム3A、水平アーム3Bを各回動支点で回動させることで、前記水平アーム3Bの先端部に設けた塗装ガン2が、被塗装物9に対して移動されるように構成されている。
【0035】
また、図1に示すごとく、前記水平アーム3Bは、その先端部に塗装ガン2の連結筒2aが連結される第一アーム部3aと、その先端部に前記第一アーム部3aが連結される第二アーム部3bと、その先端部に前記第二アーム部3bが連結され、その後端部に前記上下アーム3Aが回動可能に連結される第三アーム部3cと、を有する構成としている。
また、前記第三アーム部3cは、前記上下アーム3Aを介して接地される(アース接続される)構成としている。
【0036】
また、図1及び図3に示すごとく、前記第一アーム部3aには、二つの屈折部33a・33b(図3参照)が設けられ、各屈折部33a・33bにおいて第一アーム部3aが屈折動作される構成となっており、これにより、塗装ガン2が、図において時計方向、又は、反時計方向に角度変更されるようになっている。
また、塗装ガン2を先端に取り付ける連結筒2aは、第一アーム部3aに対し、軸方向に回転駆動される構成となっており、これにより、前記塗装ガン2が、連結筒2aの軸を中心として角度変更されるようになっている。
以上のように、前記塗装ガン2の被塗装物9に対する角度が自由に設定できるように構成されている。
【0037】
また、図1乃至図3に示すごとく、前記第一アーム部3aには、高電圧ケーブル6bから高電圧が入力され、第一アーム部3aの外周表面全体に、前記塗装ガン2と同極性の電圧が印加されるようになっている。
また、図1に示すごとく、前記高電圧ケーブル6bは、第二アーム部3bに設けたカスケード回路7bに接続されている。このカスケード回路7bには、電圧発生器5bにて発生する電圧が電圧ケーブル15bを介して入力され、このカスケード回路7bから高電圧ケーブル6bに高電圧が入力されるようになっている。
【0038】
また、図1乃至図3に示す構成例では、第一アーム部3aの外周には、塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される、リング電極8(リング状の静電電極)が設けられ、該リング電極8に電圧が印加されることにより、第一アーム部3aの全体に電圧が印加され、第一アーム部3aの表面から離れる方向へと向う電磁力線m1が形成されるようになっている。
また、この電磁力線m1によって、第一アーム部3aの周囲には、負側の電圧が印加された塗料ミストと反発し合う電界バリアが形成されることになる(図2参照)。
【0039】
また、図5に示すごとく、リング電極8の断面形状は四角形状に形成されているが、これに限られず、三角形状や多角形状等でもよく、その断面に尖端部8b(シャープエッジ)が設けられる形状であればよい。
また、図3に示すごとく、リング電極8をリング状とすることによれば、該リング電極8の半径方向外側へ向かって、放射状に、均質な静電界を形成することができる。
また、このように一連のリング状に構成する他、複数の電極を第一アーム部3aの外周に均等間隔で配置する構成としてもよい。
【0040】
また、図3に示すごとく、第一アーム部3aに印加される電圧につき、第一アーム部3aが構成される範囲B〜Cにおいて、DC−50kV程度の電圧が印加されるようになっている。
また、第一アーム部3aは、金属製の筒状部材から構成されるため、第一アーム部3aにおいては、均一な値の電圧が印加されるようになっている。
【0041】
また、第一アーム部3aは、後述する絶縁性のある第二アーム部3bを介して第三アーム部3cと連結される構成となっており、これにより、第一アーム部3aは、アース接続される第三アーム部3cと電気的に絶縁されることとなり、前述のように、第一アーム部3aにおける電圧の印加が可能となっている。
【0042】
また、図3に示すごとく、前記リング電極8には、円錐形状の複数の針状電極8a・8a・・・が、リング電極8から半径方向外側へ向けて放射状に突設されている。
尚、針状電極8a・8a・・・は、図3に示すごとく、リング電極8の軸方向と直交する方向に突設させる他、前方(塗装ガン2方向)へ傾斜させて配置したり、後方へ傾斜させて配置したりすることも可能である。
【0043】
また、この針状電極8a・8a・・・により、図2に示すごとく、針状電極8a・8a・・・からは、リング電極8から離れる方向へと向う電磁力線m2・m2・・・が形成されるようになっている。
また、この電磁力線m2によって、第一アーム部3a(リング電極8)の周囲には、負側の電圧が印加された塗料ミストと反発し合う電界バリアが形成されることになる(図2参照)。
【0044】
また、図3に示すごとく、針状電極8a・8a・・・に印加される電圧は、DC−50kV程度の負極性の電圧であり、前記第一アーム部3aに印加される電圧と同一の極性となっている。
【0045】
また、前記針状電極8a・8a・・・の形態に関し、図5に示すごとく、先端部を尖らせる形態とするのは、効果的に(効率よく)高電圧の電磁力線m2・m2を形成するためである。
また、先端が尖った形状であれば強力な静電界を形成することができるので、針状電極8a・8a・・・の先端の形状については、特に円錐形状に限るものではなく、先端が尖った尖端形状(シャープエッジ)を備える形状であればよい。このため、例えば、先端を複数本に分割した構成としてもよい。
また、導電ブラシをリング電極8の外周面に貼設したもので構成することもできる。
また、静電塗装装置1の仕様等によっては、リング電極8のみを設けて、針状電極8aを設けない構成とすることも可能である。
【0046】
また、図3に示すごとく、この針状電極8a・8a・・・の第一アーム部3aからの突出長Lに関し、仮に、第一アーム部3aに電圧が印加されない場合では、針状電極8a・8a・・・と第一アーム部3aとの間の通電によるスパーク(着火性放電)を防止するために、前記突出長Lを長く確保しなければならないこととなるが、前述のように、第一アーム部3aには、電圧が印加されているため、このスパークの問題も生じることがない。
【0047】
また、このことから、針状電極8a・8a・・・につき、突出長Lを短くしつつ、効果的に(効率よく)高電圧の電磁力線m2・m2を形成することができることから、第一アーム部3a全体としての外径を小さく構成することが可能となり、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0048】
また、図3に示すごとく、リング電極8に針状電極8a・8a・・・を設けることにより、接地された被塗装物9とロボットアーム3(第一アーム部3a)が異常接近した際においては、被塗装物9とリング電極8の間で微弱電流が流れやすい状況を作ることができる。
【0049】
図6は、この微弱電流と、ロボットアーム3と被塗装物9の間の距離の関係について示すものであり、針状電極8aが有る構成では、距離D2において電流値A2の微弱電流が流れることを表している。
ここで、針状電極8aが有る構成では、距離D2において電流値A2を検出することにより、ロボットアーム3の異常接近を検知することが可能となる。
一方、針状電極8aが無い構成では、距離D2においては、電流値A1の微弱電流しか流れないため、この電流値A1の検出がし難い状況となる。この場合、電流値A2が検知されるのは距離D1になったときであり、距離D1となるまで接近してしまうと、その後は電流値が急激に上昇し、スパークが生じて発火してしまう恐れがある。
【0050】
以上のことから解るように、針状電極8aによって微弱電流を流れやすくすることで、異常接近の早期発見を可能とすることができる。
換言すれば、針状電極8aを設けることで、被塗装物9との間で電流を流れやすくすることができ、異常検出の感度を向上でき、また、安全性対策としても有効な構成とすることができる。
【0051】
また、図1、図3、及び、図4に示すごとく、前記第一アーム部3aと前記第三アーム部3cの間には、電気絶縁性のある筒状の第二アーム部3bが設けられている。
この第二アーム部3bの材質は、電気絶縁性を有する、ポリアミド等の電気抵抗の高い樹脂(例えば、1010Ω以上)とし、これにより、前記第一アーム部3aと、アース側に接続される第三アーム部3cは、第二アーム部3bによって電気的に絶縁される構成としている。
【0052】
以上の構成により、図3に示すごとく、第二アーム部3bで構成される範囲C〜Dにおいて、第二アーム部3bの抵抗によって、電流の流れが妨げられ、第一アーム部3aで構成される範囲B〜Cにおいて、DC−50kV程度の電圧を印加できるようになっている。
【0053】
ここで、仮に、第二アーム部3bにて、第一アーム部3aと第三アーム部3cが絶縁されないこととすると、第三アーム部3cがアース接続されていることから、第一アーム部3aに一定の電圧を印加させた状態を維持することができないことになる。このため、上記のように第二アーム部3bにて、電気的な絶縁を形成するものである。
【0054】
以上のように、前記ロボットアーム3は、その先端部に塗装ガン2が取り付けられる第一アーム部3aと、その先端部に前記第一アーム部3aが連結され、前記第一アーム部3aとアース側との電気的な接続を絶縁する第二アーム部3bと、を有し、前記第一アーム部3aの表面に、前記塗料に印加される電圧と同極性の電圧が印加される構成とするものである。
【0055】
また、この第二アーム部3bの材質につき、塗料ミストの固着防止の観点から、ポリアミド等の吸水性の低い樹脂が好適である。
さらに、この第二アーム部3bの材質につき、強度の観点から、ポリアミド等の高い機械的強度(ねじり、曲げに強い)を呈する樹脂が好適である。
【0056】
また、図4に示すごとく、前記第一アーム部3aを第三アーム部3cと絶縁するためには、前記第一アーム部3a内に設けられ、該第一アーム部3aを屈曲させたり、前記塗装ガン2の連結筒2aを回転させるための第一の駆動軸24・24・24についても、第三アーム部3c側にあって、前記第一の駆動軸24・24・24の駆動源となる駆動軸26・26・26と絶縁させる必要がある。
【0057】
そこで、前記第一アーム部3a側に配置され、塗装ガン2の角度を変更するための駆動力を伝達する第一の駆動軸24・24・24と、前記第三アーム部3c側に配置される第三の駆動軸26・26・26とを、ポリアミド等の電気抵抗の高い樹脂(例えば、10Ω以上)等からなる第二の駆動軸25・25・25とで連結し、前記第一の駆動軸24・24・24と、前記第三の駆動軸26・26・26とを電気的に絶縁する構成としている。
【0058】
この構成により、前記第一アーム部3aと、前記第一の駆動軸24・24・24とが電気的に接続され、通電され得る場合であっても、前記第二の駆動軸25・25・25によって、前記第三の駆動軸26・26・26への通電は遮断されるため、第一アーム部3aにて一定の電圧が印加された状態を維持することができる。
【0059】
また、この第二の駆動軸25・25・25の材質につき、強度の観点から、ポリアミド等の高い機械的強度(ねじり、曲げに強い)を呈する樹脂が好適である。
また、各駆動軸24・25・26の連結部27・28においては、金属製のギア等を採用し、充分な機械的強度を確保することとしてもよい。
【0060】
また、図3に示すごとく、前記塗装ガン2は、本体ケース20の先端にシェーピングエアーリング21が設けられ、該シェーピングエアーリング21内に、回転駆動されるベルカップ22が設けられる構成としている。
また、前記ベルカップ22の先端部は、前記シェーピングエアーリング21内から外部へ突出されており、回転するベルカップ22の遠心力によって霧化した塗料は、前記シェーピングエアーリング21から噴出されるシェーピングエアーによって、被塗装物9へ向って飛翔されるようになっている。
【0061】
また、図1乃至図3に示すごとく、前記塗装ガン2には、高電圧ケーブル6aから高電圧が入力され、前記塗装ガン2のベルカップ22にて霧化される塗料に高電圧が印加されるようになっている。
また、図1に示すごとく、前記高電圧ケーブル6aは、第二アーム部3bに設けたカスケード回路7aに接続されている。このカスケード回路7aには、電圧発生器5aにて発生する電圧が電圧ケーブル15aを介して入力され、このカスケード回路7aから高電圧ケーブル6aに高電圧が入力されるようになっている。
【0062】
また、前記ベルカップ22にて霧化した塗料には、高電圧が印加されるようになっている。ここで、図3に示すごとく、塗料に印加される電圧は、DC−90kV程度の負極性の電圧であり、前記第一アーム部3aに印加される電圧と同一の極性となっている。
尚、塗装ガン2において、霧化した塗料への電圧印加を行うための装置構成は、特に限定するものではなく、周知の装置構成によって実現することができる。
【0063】
そして、図2に示すごとく、電圧が印加された霧化塗料と、接地された被塗装物9との間には、静電界(電磁力線m3)が形成されることになるため、霧化塗料は、シェーピングエアーリング21のエア噴出孔から噴出されるシェーピングエアーの風力によって飛翔されつつ、前記静電界の電磁力線m3に沿って飛翔し、被塗装物9へと塗着される。
【0064】
また、図3に示すごとく、前記シェーピングエアーリング21には、円錐形状の先端部を有する複数の針状電極23・23・・・が、シェーピングエアーリング21から半径方向外側へ向けて放射状に突設されている。
【0065】
また、前記針状電極23・23・・・の長さを、ベルカップ22の低速回転時には短く設定し、高速回転時には長く設定することによれば、塗装ガン2から噴霧される塗料の噴霧パターンを乱すことなく塗料ミストの付着汚れを防止することが可能となる。
【0066】
また、図3に示すごとく、前記針状電極23・23・・・は、本体ケース20と直交する方向に突設させる他、前方(ベルカップ22方向)へ傾斜させて配置したり、後方へ傾斜させて配置したりすることも可能である。また、針状電極23・23・・・は、シェーピングエアーリング21に設けるほか、本体ケース20の外周から突設させる構成としてもよい。
【0067】
また、この針状電極23・23・・・により、図2に示すごとく、該針状電極23・23・・・からは、シェーピングエアーリング21(塗装ガン2)から離れる方向へと向う電磁力線m4・m4・・・が形成されるようになっている。この電磁力線m4・m4・・・によって、塗装ガン2の周囲に塗料ミストと反発し合う電界バリアを形成することができる。
また、図3に示すごとく、針状電極23・23・・・に印加される電圧は、DC−90kV程度の負極性の電圧であり、前記第一アーム部3aに印加される電圧と同一の極性となっている。
【0068】
また、前記針状電極23・23・・・の形態に関し、先端部を尖らせる形態とするのは、効果的に(効率よく)高電圧の電磁力線m4・m4・・・を形成するためである。
また、先端が尖った形状であれば強力な静電界を形成することができるので、針状電極23・23・・・の先端の形状については、特に円錐形状に限るものではなく、先端が尖った尖端形状(シャープエッジ)を備える形状であればよく、先端が複数本に分割されたものでもよい。
【0069】
また、図3に示すごとく、位置A付近においては、前記ベルカップ22において霧化塗料にDC−90kV程度の電圧が印加され、前記針状電極23・23・・・においても、同様にDC−90kV程度の電圧が印加されるようにしている。
また、前記第一アーム部3aを構成する範囲B〜Cにおいては、DC−50kV程度の電圧が印加されるようになっている。
【0070】
また、図3に示すごとく、塗装ガン2の本体ケース20や、連結筒2aについては、電気抵抗の高い樹脂等で構成され、これにより、位置Aから遠ざかるに従って、電圧が低下するようになっている(電圧ゼロに近づく。)。
例えば、連結筒2aであれば、針状電極23・23・・・に近い位置では、DC−90kV程度の電圧が印加された状態となり、位置Bに近づくに従って、DC−80kV、−70kV、−60kVといったように低下し、位置Bにおいては、DC−50kV程度の電圧が印加された状態となる。
【0071】
また、図3に示すごとく、第二アーム部3bについては、第一アーム部3aとの境界となる位置C付近では、DC−50kV程度の電圧が印加された状態となり、第三アーム部3cとの境界となる位置D付近では、電圧ゼロとなる。
【0072】
また、図1に示すごとく、塗装ガン2に電圧を入力する高電圧ケーブル6aと、第一アーム部3aに電圧を入力する高電圧ケーブル6bは、それぞれ別々の電源である電圧発生器5a・5bに接続されている。つまり、塗装ガン2(針状電極23・23・・・)に電圧を印加する電源(高電圧発生器5a)と、第一アーム部3a(針状電極8a・8a・・・)に電圧を印加する電源(高電圧発生器5b)とが、別電源とされるものである。
【0073】
このため、高電圧ケーブル6a・6bからそれぞれ入力される電圧の値を、独立して設定することが可能となり、図3に示すごとく、各位置A〜Cにおいて印加される電圧の値が所望の値に設定されるようになっている。
このように、各位置A〜Cにて印加される電圧値の設定を可能とすることで、塗料ミストの浮遊状況や、塗装ガン2、及び、ロボットアーム3の塗料ミストの付着の状況に応じて、適宜、電圧の値を調整し、効果的に汚れ防止を図ることができる。
また、前記第一アーム部3aや第二アーム部3bの長さの設計により、電圧を印加させる範囲を設定することができ、このことによっても、効果的に汚れ防止を図ることができる。
【0074】
また、図3に示すごとく、塗装ガン2の本体ケース20、及び連結筒2aについては、表面を電気抵抗の高い樹脂で構成することにより、針状電極23・23・・・から遠ざかるに従って、徐々に電圧が低下する(電圧ゼロに近づく)ように構成することができるが、この他、表面に金属鍍金を施すことにより、本体ケース20、連結筒2aのそれぞれにおいて、略均一な電圧が印加されることとしてもよい。
このように、表面の材質(樹脂、金属)によって、各部位に印加される電圧の分布を設定することができ、塗料ミストの浮遊状況や、塗装ガン2、及び、ロボットアーム3の塗料ミストの付着の状況に応じて、適宜、表面の材質を選択し、効果的に汚れ防止を図ることができる。
【0075】
また、以上のように構成することで、次のような効果を得ることができる。
まず、図1乃至図3に示すごとく、負側の高電圧が印加される塗装ガン2と接地された被塗装物9との間に形成される静電界により、塗装ガン2から噴射された塗料が被塗装物9へ塗着されるが、針状電極23・23・・・にも塗装ガン2と同様に負側の高電圧が印加されているので、針状電極23・23・・・の周囲にも静電界が形成され、針状電極23・23・・・(シェーピングエアーリング21)の周辺に浮遊している塗料ミストは、静電反発されて被塗装物9側へ飛翔することになるため、塗装ガン2の本体ケース20や、連結筒2a、さらには、ロボットアーム3に付着することが防止される。
【0076】
また、図1乃至図3に示すごとく、第一アーム部3aにも塗装ガン2と同様に負側の高電圧が印加されているので、第一アーム部3aの周囲にも静電界が形成され、第一アーム部3aの周辺に浮遊している塗料ミストは、静電反発されて被塗装物9側へ飛翔することになるため、ロボットアーム3の第一アーム部3aに付着することが防止される。
また、このように、第一アーム部3aの周囲においては、電磁力線m1・m2によって、負側の電圧が印加された塗料ミストと反発し合う電界バリアが形成されることになり(図2参照)、この電界バリアによって、第一アーム部3aへの塗料ミストの付着が防止される。
【0077】
また、図1に示す静電塗装装置1では、塗装ガン2(針状電極23・23・・・)に電圧を印加する電源(高電圧発生器5a)と、第一アーム部3a(針状電極8a・8a・・・)に電圧を印加する電源(高電圧発生器5b)とを、別電源としているため、各高電圧発生器5a・5bに安全回路を設けることができ、一方(塗装ガン2)に過大な電流が流れる等の異常が生じた場合でも、他方(第一アーム部3a)への電圧印加を継続することが可能となる。
【0078】
また、塗装ガン2及び第一アーム部3aへ共通の高電圧発生器から電圧を印加するように構成することも可能である。この場合は、必要であれば一つの高電圧発生器に2系統の安全回路を設けて、前述のように、一方に異常が生じた場合でも他方への電圧印加を継続可能なように構成することができる。
【0079】
また、従来の静電塗装装置における静電パネルのように前面側(被塗装物側)だけでなく、放射状に形成されるため、ロボットアームが急速に移動したときでも、塗装ミストを静電反発して塗料付着汚れを防止することができる。
また、静電パネルが存在しないため、この静電パネルの存在がロボットアームの動作に支障を及ぼす(塗装動作の邪魔になる)といったこともなく、これにより、ロボットアームの動作の自由度や、塗装ガン2の移動速度の向上を図ることができる。
【0080】
また、図2に示すように、針状電極23・23・・・、針状電極8a・8a・・・、そして、第一アーム部3aに高電圧が印加されることにより、静電界は広範囲に形成される(各点から放射状に広がる電磁力線m1・m2・m4が形成される)ため、塗装ガン2が塗料を噴射した後に急速に移動した場合でも、浮遊する塗料ミストは、広範囲にわたって形成される静電界により被塗装物9側へ飛翔することとなり、塗料ミストがロボットアーム3等に付着することが防止され、汚れの発生を抑えることが可能となる。
【0081】
また、この静電界によって、塗装ガン2やロボットアーム3(第一アーム部3a)の周囲には、塗料ミストと反発し合う電界バリアを構成することができ、この電界バリアによって、塗装ガン2が塗料を噴射した後に急速に移動した場合でも、塗料ミストの塗装ガン2等への付着を防止できることとなる。
【0082】
また、以上に述べたように、本発明では、図1に示すごとく、被塗装物9に対して塗料を噴霧する塗装ガン2と、前記塗装ガン2を前記被塗装物9に対して移動させるロボットアーム3とを具備し、前記塗装ガン2にて塗料(塗料ミスト)に電圧を印加させる構成とする静電塗装装置の塗料汚れ防止方法であって、前記ロボットアーム3(第一アーム部3a)の表面に、前記塗料に印加される電圧と同極性の電圧を印加することにより、前記ロボットアーム3(第一アーム部3a)への塗料の付着を防止する、静電塗装装置の塗料汚れ防止方法とするものであり、この方法によって、従来、特に塗料汚れ対策が施されていなかったロボットアーム3自体の塗装汚れを防止することができる。
そして、これにより、ロボットアーム3のクリーニング回数の削減を図ることができ、さらには、付着塗料の滴下による塗装不良の防止、塗装品質の向上をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明に係る静電塗装装置の構成例について示す図。
【図2】電圧の印加によりロボットアーム、塗装ガンの周囲に生じる電磁力線について示す図。
【図3】ロボットアームと塗装ガンの構成について示す図。
【図4】第二アーム部の構成について示す図。
【図5】リング電極と針状電極について示す側面断面図。
【図6】ロボットアームと被塗装物の間の距離と、微弱電流の関係について示す図。
【符号の説明】
【0084】
1 静電塗装装置
2 塗装ガン
2a 連結筒
3 ロボットアーム
3a 第一アーム部
3b 第二アーム部
3c 第三アーム部
5a 電圧発生器
5b 電圧発生器
8 リング電極
8a 針状電極
9 被塗装物




 

 


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