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発明の名称 塗装システムおよび塗装方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−54728(P2007−54728A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2005−242692(P2005−242692)
出願日 平成17年8月24日(2005.8.24)
代理人 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
発明者 奥田 琢也
要約 課題
別途洗浄工程を行うことなく、塗装工程中にワークを支持する支柱に少量の洗浄液を供給して、支柱に塗料が付着するのを防止することができる塗装システムおよび塗装方法を提供する。

解決手段
塗装システムは、ワークWを支持する支柱1と、支柱1の壁面に沿って形成される流路24A、24B、25A、25B、32と、流路24A、24B、25A、25B、32の支柱1底部から頂部に向かって洗浄液Cを押し上げる洗浄液供給手段4と、流路24A、24B、25A、25B、32に接続されるとともに、支柱1の頂部近傍に設けられ支柱1の周縁形状に沿って開口する洗浄液排出口27A、27B、31aと、を備えている。洗浄液排出口27A、27B、31aからオーバーフローした洗浄液Cは、支柱1の表面に洗浄液膜Caを形成しながら流下し、オーバースプレー塗料の付着を阻止する。
特許請求の範囲
【請求項1】
塗装ブース内に配設され塗装対象を支持する支柱と、該支柱に支持された前記塗装対象に塗料を塗布する塗装手段と、を備えた塗装システムであって、
前記支柱の壁面に沿って形成される流路と、
洗浄液を前記流路に対して支柱底部から頂部に向かって押し上げる洗浄液供給手段と、
前記流路に接続されるとともに、支柱の頂部近傍に設けられ支柱周縁形状に沿って開口する洗浄液排出口と、
を備えたことを特徴とする塗装システム。
【請求項2】
前記支柱を所定の方向に傾斜させる傾斜機構を備え、
前記流路は、前記傾斜機構が前記支柱を傾斜させる方向に複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の塗装システム。
【請求項3】
前記傾斜機構が傾斜させる支柱は中空であり、該中空の支柱の内部に隔壁を設けて前記複数の流路を形成することを特徴とする請求項2に記載の塗装システム。
【請求項4】
前記支柱の頂部に塗装対象を支持する治具が設けられており、前記洗浄液排出口が前記支柱の頂部の下方側面を切り欠いて形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗装システム。
【請求項5】
前記支柱の表面に高吸水性または高保水性を有する部材を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の塗装システム。
【請求項6】
塗装対象を支柱に支持し、
該支柱の壁面に沿って形成された流路に対して支柱底部から頂部に向かって洗浄液を押し上げて、
前記流路に接続されるとともに前記支柱の頂部近傍に設けられ支柱周縁形状に沿って開口する洗浄液排出口から前記洗浄液を排出することを特徴とする塗装方法。
【請求項7】
前記支柱を所定の方向に傾斜させる傾斜機構を設けるとともに、該傾斜機構が前記支柱を傾斜させる方向に前記流路を複数設け、
前記傾斜機構が前記支柱を傾斜させた際に上側に位置する流路に洗浄液を供給することを特徴とする請求項6に記載の塗装方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装システムおよび塗装方法に関し、特に、塗装ブースで支柱に支持された塗装対象を塗装する塗装システム、および、支柱に塗装対象を支持して塗装する塗装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗装対象(以下、ワークという)を塗装するための塗装システムは、一般に、塗料を噴霧するための塗装機を有する塗装ブースと、ワークに塗装された塗料を乾燥させる乾燥ブースと、塗装ブースと乾燥ブースとにわたって設けられチェーンコンベアと、を備えている。塗装機は、ロボットのアームなどに設けられて、ワークの形状に応じて所定の軌跡で移動しながら塗料を噴霧する。チェーンコンベアは、ワークを支持するキャリヤマストが設けられている。このような塗装システムでは、塗装ブースにおいて、キャリヤマストに支持されたワークに対し、塗料を噴霧して塗装し、チェーンコンベアを駆動してキャリヤマストに支持されたワークを乾燥ブースに搬送して塗料を乾燥させ、ワークをキャリヤマストから取り出す。ワークが取り出されたキャリヤマストは、再びチェーンコンベアの駆動によって塗装ブースに循環移動されて、次のワークを支持する。
【0003】
このような塗装システムにおいては、塗料粒子がワークに塗着することなく所謂オーバースプレーとなって周囲に付着するという問題がある。このようにオーバースプレーとなった塗料が堆積し乾燥すると、塗装システム内の換気流によって剥離して、塗料ダストとなって浮遊し、ワークに付着し塗装表面が荒れるなどの塗料汚れが発生する。そのため、ワークを支持する支柱に洗浄液を吹き付けて、支柱に付着した塗料ダストを洗浄除去することが行われている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1には、絶縁支柱で絶縁状態に支持されたワークに高電圧を印加し、アースされた塗装機から噴霧した塗料を前記ワークに静電塗着させると共に、前記塗装機からオーバースプレーされたミスト状の塗料を含む汚染空気を塗装室の床下に形成された排気室に吸い込んで気液接触部で塗料を捕捉した後、浄化された空気を外部に排出し、塗料を捕捉した液体を排気室内の貯留槽に回収するように成されたワーク加電式静電塗装システムにおいて、前記貯留槽に回収された液体から塗料の塗膜形成成分・顔料成分を分離して塗料の溶剤成分を含む液体を濾液として取り出す膜分離装置を備えると共に、分離された塗膜形成成分・顔料成分を未使用塗料と混合して前記塗装機に供給する塗料供給系と、前記膜分離装置の濾液を前記絶縁支柱に吹き付けてその表面に付着した塗料を洗浄除去する洗浄装置とを備えたことなどを特徴とするワーク加電式静電塗装システムが開示されている。
特許文献1では、塗装機からオーバスプレーされた塗料を気液接触部で捕捉し、この気液接触部の液体から塗料の塗膜形成成分・顔料成分を分離して塗料の溶剤成分を含む液体を濾液として取り出し、この濾液を洗浄液として絶縁支柱に吹き付けてその表面に付着した塗料を洗浄除去する。
【0005】
【特許文献1】特開平10−156227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1などの従来の技術にあっては、絶縁支柱に洗浄液を吹き付けて付着した塗料を洗浄除去しようとしても、支持部材の表面に一度付着した塗料を洗浄除去するのは困難であり、洗浄液が多量に必要であるという問題があった。また、上記従来の技術にあっては、支柱に支持されたワークに洗浄液が付着するようなことは回避しなければならない。そのため、ワークの塗装中に支柱に対して洗浄液を吹きつけることができず、塗装終了後に支柱を洗浄する工程が必要となるため、工数が増大するという問題があった。
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたもので、別途洗浄工程を行うことなく、塗装工程中にワークを支持する支柱に少量の洗浄液を供給して、支柱に塗料が付着するのを防止することができる塗装システムおよび塗装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の塗装システムに係る発明は、上記目的を達成するため、塗装ブース内に配設され塗装対象を支持する支柱と、該支柱に支持された前記塗装対象に塗料を塗布する塗装手段と、を備えた塗装システムであって、前記支柱の壁面に沿って形成される流路と、洗浄液を前記流路に対して支柱底部から頂部に向かって押し上げる洗浄液供給手段と、前記流路に接続されるとともに、支柱の頂部近傍に設けられ支柱周縁形状に沿って開口する洗浄液排出口と、を備えたことを特徴とするものである。
請求項2の塗装システムに係る発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明において、前記支柱を所定の方向に傾斜させる傾斜機構を備え、前記流路は、前記傾斜機構が前記支柱を傾斜させる方向に複数設けられていることを特徴とするものである。
請求項3の塗装システムに係る発明は、上記目的を達成するため、請求項2に記載の発明において、前記傾斜機構が傾斜させる支柱は中空であり、該中空の支柱の内部に隔壁を設けて前記複数の流路を形成することを特徴とするものである。
請求項4の塗装システムに係る発明は、上記目的を達成するため、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、前記支柱の頂部に塗装対象を支持する治具が設けられており、前記洗浄液排出口が前記支柱の頂部の下方側面を切り欠いて形成されていることを特徴とするものである。
請求項5の塗装システムに係る発明は、上記目的を達成するため、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記支柱の表面に高吸水性または高保水性を有する部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項6の塗装方法に係る発明は、上記目的を達成するため、塗装対象を支柱に支持し、該支柱の壁面に沿って形成された流路に対して支柱底部から頂部に向かって洗浄液を押し上げて、前記流路に接続されるとともに前記支柱の頂部近傍に設けられ支柱周縁形状に沿って開口する洗浄液排出口から前記洗浄液を排出することを特徴とするものである。
請求項7の塗装方法に係る発明は、上記目的を達成するため、請求項6に記載の発明において、前記支柱を所定の方向に傾斜させる傾斜機構を設けるとともに、該傾斜機構が前記支柱を傾斜させる方向に前記流路を複数設け、前記傾斜機構が前記支柱を傾斜させた際に上側に位置する流路に洗浄液を供給することを特徴とするものである。
【0009】
請求項1の発明では、塗装ブース内に配設され塗装対象を支持する支柱の壁面に沿って形成された流路に対して洗浄液供給手段が洗浄液を支柱底部から頂部に向かって押し上げると、支柱の頂部近傍に設けられた洗浄液排出口から排出され流下する少量の洗浄液により、支柱の表面全体に洗浄液膜が形成される。そのため、塗料が支持部材に付着しようとしても、支持部材の表面に形成された洗浄液膜によって流されるため、塗料が支持部材に付着することが防止される。
請求項2の発明では、請求項1に記載の発明において、傾斜機構が支柱を傾斜させた際に、複数設けられた流路の少なくとも一つが上側に位置し、この流路から洗浄液が供給されるために、洗浄液排出口の上側から洗浄液が排出される。したがって、支柱の傾斜変化に影響されることなく、支柱の表面全体に洗浄液膜が形成される。
請求項3の発明では、請求項2に記載の発明において、傾斜機構が傾斜させる支柱を中空としてその内部に隔壁を設けることにより、かかる支柱の内部が分割されて、支柱が傾斜する方向に複数の流路が形成される。
また、請求項4の発明では、支柱の頂部先端に治具塗装対象を支持する治具が設けられていても、洗浄液は、支柱の頂部の側面を切り欠いて形成された洗浄液排出口から排出されて、支柱の表面全体に洗浄液膜が形成される。
請求項5の発明では、請求項4に記載の発明において、支柱の表面に高吸水性または高保水性を有する部材を設けたことにより、支柱の表面全体に洗浄液が保持されて確実に洗浄液膜が形成される。
また、請求項6の発明では、塗装対象を支柱に支持し、この支柱の壁面に沿って形成された流路に対して支柱底部から頂部に向かって洗浄液を押し上げて、洗浄液排出口から洗浄液を排出することにより、少量の洗浄液が流下するだけで支柱の表面全体に洗浄液膜が形成される。そのため、塗料が支持部材に付着しようとしても、支持部材の表面に形成された洗浄液膜によって流されるため、塗料が支持部材に付着することが防止される。
請求項7の発明では、支柱を所定の方向に傾斜させる傾斜機構を設けるとともに、この傾斜機構が支柱を傾斜させる方向に流路を複数設けて、傾斜機構が支柱を傾斜させた際に上側に位置する流路に洗浄液を供給すると、傾斜した状態の支柱の洗浄液排出口の上側から洗浄液が排出される。そのため、支柱の傾斜変化に影響されることなく、支柱の表面全体に洗浄液膜が形成される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、塗装ブース内に配設され塗装対象を支持する支柱の壁面に沿って形成される流路と、洗浄液を前記流路に対して支柱底部から頂部に向かって押し上げる洗浄液供給手段と、前記流路に接続されるとともに、支柱の頂部近傍に設けられ支柱周縁形状に沿って開口する洗浄液排出口と、を備えた簡単な構成により、塗装工程中であっても、塗装対象に洗浄液を付着させることなく、少量の洗浄液で支柱の表面全体に洗浄液膜を確実に形成して、支柱に塗料が付着するのを防止することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の発明において、支柱を所定の方向に傾斜させる傾斜機構を備え、この傾斜機構が支柱を傾斜させる方向に流路を複数設けることにより、塗装対象の姿勢を変化させるよう傾斜機構が支柱を傾斜させた場合であっても、複数設けられた流路の少なくとも一つが上側に位置し、この流路から洗浄液が供給されるために、洗浄液排出口の上側から洗浄液が排出されるため、支柱の傾斜変化に影響されることなく、支柱の表面全体に洗浄液膜を形成することができる。
請求項3の発明によれば、請求項2に記載の発明において、傾斜機構が傾斜させる支柱を中空として内部に隔壁を設けることにより、支柱が傾斜する方向に複数の流路を設けることができる。
請求項4の発明によれば、請求項1〜3のいずれかに記載の発明において、支柱の頂部先端に治具塗装対象を支持する治具が設けられていても、洗浄液排出口が支柱の頂部の側面を切り欠いて形成されていることにより、この洗浄液排出口から洗浄液が排出されて、支柱の表面全体に洗浄液膜が形成される。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、支柱の表面に高吸水性または高保水性を有する部材を設けたことにより、支柱の表面全体に洗浄液を保持して確実に洗浄液膜を形成することができる。
また、請求項6に記載の発明によれば、塗装対象を支柱に支持して塗装工程を行っているときであっても、この支柱の壁面に沿って形成された流路に対して支柱底部から頂部に向かって洗浄液を押し上げて、洗浄液排出口から少量の洗浄液を排出するだけで、柱の表面全体に洗浄液膜を確実に形成して、支柱に塗料が付着するのを防止することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項6に記載の発明において、支柱を所定の方向に傾斜させる傾斜機構を設けるとともに、この傾斜機構が支柱を傾斜させる方向に流路を複数設けて、傾斜機構が支柱を傾斜させた際に上側に位置する流路に洗浄液を供給することにより、傾斜した状態の支柱の洗浄液排出口の上側から洗浄液が排出されるため、支柱の傾斜変化に影響されることなく、支柱の表面全体に洗浄液膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施の一形態を図1〜図5に基いて詳細に説明する。なお、同一符号は同一部分または相当部分を示すものとする。
本発明の塗装システムは、概略、塗装ブース内に配設されワーク(塗装対象)Wを支持する支柱1と、支柱1の壁面に沿って形成される流路24A、24B、25A、25B、32と、流路24A、24B、25A、25B、32の支柱1底部から頂部に向かって洗浄液Cを押し上げる洗浄液供給手段4と、流路24A、24B、25A、25B、32に接続されるとともに、支柱1の頂部近傍に設けられ支柱1の周縁形状に沿って開口する洗浄液排出口27A、27Bと、31aを備えている。
また、本発明の塗装システムは、上記構成に加えて、支柱1が固定支柱部12と所定の方向に傾斜可能に支持された可動支柱部11とを備えており、可動支柱部11を所定の方向に傾斜させる傾斜機構40を備えており、可動支柱部11には傾斜機構40により傾斜される方向に複数の流路24A、24B、25A、25Bが設けられている。
さらに、本発明の塗装システムは、上記構成に加えて、傾斜機構40が傾斜させる可動支柱部11を中空として、その内部に隔壁23を設けることにより、複数の流路24A、24Bが形成されている。
さらにまた、本発明の塗装システムは、上記構成に加えて、可動支柱部11の頂部先端にワークWを支持する治具5が設けられており、洗浄液排出口27A、27Bが可動支柱部11の頂部の側面を切り欠いて形成されている。
そして、本発明の塗装システムは、上記構成に加えて、支柱1の表面に高吸水性または高保水性を有する部材(以下、高吸水性部材という)3が設けられている。
【0012】
また、本発明の塗装方法は、概略、ワークを支柱1に支持し、この支柱1の壁面に沿って形成された流路24A、24B、25A、25B、32に対して支柱1の底部から頂部に向かって洗浄液Cを押し上げて、流路24A、24B、25A、25B、32に接続されるとともに支柱1の頂部近傍に設けられ支柱1の周縁形状に沿って開口する洗浄液排出口27A、27B、31aから洗浄液Cを排出するものである。
また、本発明の塗装方法は、上記構成に加えて、支柱1を固定支柱部12と所定の方向に傾斜可能に支持された可動支柱部11とにより構成し、可動支柱部11を所定の方向に傾斜させる傾斜機構40を設けるとともに、この傾斜機構40が可動支柱部11を傾斜させる方向に複数の流路24A、24Bを設け、傾斜機構40が可動支柱部11を傾斜させた際に上側に位置する流路24Aまたは24Bに洗浄液Cを供給するものである。
【0013】
この実施の形態においては、図1に示すように、塗装ブースで塗装されるワークWとして、例えば自動車のバンパやドアなどを挙げることができる。また、塗装ブースは、略鉛直下向きの気流を内部に発生させるよう構成されており、この気流の方向と一致する方向に塗装機が塗料を噴霧するよう構成されている。ワークWは、治具5に支持されている。ワークWを支持した治具5は、ロボットなどの搬送手段に保持されて塗装ブース内に搬入され、支柱1の可動支柱部11の先端に設けられた係合部6に係合される。塗装が完了したワークWは、そのワークWを支持している治具5とともに、搬送手段によって塗装ブース外に搬出されて、必要に応じて乾燥ブースに搬送される。なお、本発明は、この実施の形態に限定されることなく、塗料を塗装機により噴霧せず手作業でハケ塗りする場合にも適用することができる。また、固定支柱部12に係合部6を設けてもよく、治具5を可動支柱部11または固定支柱部12に直接設けて、この治具5に対してワークWのみを直接搬入・搬出するよう構成してもよく、さらには、ワークWの搬入・搬出を搬送手段によることなく手作業で行う場合にも適用できる。
【0014】
塗装ブース内にはフレーム30が設けられており、左右のフレーム30上にはそれぞれ固定支柱部12が一対で立設されている。固定支柱部12は、中空の筒状に形成されてなるもので、その下端に設けられたフランジがフレーム30に対してボルトにより固定されている。図3に示すように、固定支柱部12は、その上端に形成されたオーバーフロー槽31と、このオーバーフロー槽31に洗浄液Cを供給するための流路となる管路32と、を備えている。管路32は、固定支柱部12の内部の壁面に沿って形成されている。固定支柱部12の上方にはオーバーフロー槽31を形成するための底板33が設けられている。管路32は、底板33とポンプなどの洗浄液供給手段4とに接続されている。また、この実施の形態においては、オーバーフロー槽31内には、スポンジや布などの保水性を有する部材34が収容されている。オーバーフロー槽31の上端開口縁は、固定支柱部12の周縁形状に沿って開口する洗浄液排出口31aを構成している。さらに、固定支柱部12の外周には、高吸水性部材3として、帯状のスポンジや布などが設けられている。この高吸水性部材3は、必要に応じて、固定支柱部12の周囲に、円環状または螺旋状に、部分的または全体的に覆うように巻き付けることができる。
【0015】
このように構成された固定支柱部12においては、図3に矢印で示すように、洗浄液Cは、洗浄液供給手段4により管路32をその支柱12の底部から頂部に向かって押し上げられて、固定支柱部12上端のオーバーフロー槽31に導入され、オーバーフロー槽31の上端の周縁形状に沿って開口する洗浄液排出口31aを超えてオーバーフローする。このとき、保水性を有する部材34がオーバーフロー槽31の内部に収容されていることによって、洗浄液Cがオーバーフロー槽31から飛び出すことなく静かにその全周にわたって均等にオーバーフローし、固定支柱部12の外周に巻き付けられたスポンジや布などの高吸水性部材3に吸収され保持される。そして、洗浄液Cは、高吸水性部材3内で飽和状態となると、その表面に滲み出て洗浄液膜Caを確実に形成しながら流下することとなる。そのため、塗装ブース内に搬入されたワークWに対して塗装機から塗料を噴霧する際に、ワークWに付着せずオーバースプレーとなった塗料の粒子が固定支柱部12に付着しようとしても、洗浄液膜Caに捕集され流されるため、固定支柱部12にオーバースプレー塗料が付着することが阻止される。
【0016】
次に、支柱1の可動支柱部11の構成について説明する。可動支柱部11は、固定支柱部12の上方に支持されている。可動支柱部11は、図1に示すように、垂直部11aと水平部11bを有する略L字型の中空部材により構成されており、その水平部11bが後述する傾斜機構40によって軸廻りに回動されることにより、垂直部11aが図2における左右方向に傾斜する。可動支柱部11の水平部11bは、固定支柱部12の上方に設けられた軸受41によって、その軸廻りに回動可能に支持されている。図4および図5に示すように、可動支柱部11の内部は、隔壁23が設けられることによって垂直部の傾斜する方向に分割されて二つの流路24A、24Bが形成されている。各流路24A、24Bには、それぞれ管路25A、25Bを介してポンプなどの洗浄液供給手段4が接続されている。この管路25A、25Bの中間部には、洗浄液Cの供給を制御する開閉バルブ26A、26Bがそれぞれ設けられている。なお、可動支柱部11の管路25A、25Bと上述した固定支柱部12の管路32とは、共通の洗浄液供給手段4から分岐させて接続することができ、また、それぞれ個別の洗浄液供給手段4に接続することもできる。
【0017】
垂直部11aの上端には、ワークWを支持する治具5と係合される係合部6が設けられている。垂直部11aの上端(頂部)の傾斜方向に面した側面は、切り欠くことによって各流路24A、24Bと連通する洗浄液排出口27A、27Bが垂直部11aの周縁形状に沿って開口するよう形成されている。また、水平部11bにおける各流路24A、24Bには、それぞれ洗浄液Cを供給する管路25A、25Bが接続されている。各管路25A、25Bの中間部には、図5に参照されるように、開閉バルブ26A、26Bが設けられている。開閉バルブ26A、26Bは、後述するように、流路24Aまたは24Bのいずれか一方のみと流路24Aおよび24Bの双方とに洗浄液Cを供給することができるよう制御される。可動支柱部11の外周には、固定支柱部12と同様に、高吸水性部材3として、帯状のスポンジや布などが設けられている。この高吸水性部材3は、必要に応じて、可動支柱部11の周囲に、円環状または螺旋状に、部分的または全体的に覆うように巻き付けることができる。洗浄液供給手段4から管路25A、25Bを介して流路24A、24Bの少なくとも一方に押し上げ供給された洗浄液Cは、洗浄液排出口27A、27Bの少なくとも一方からオーバーフローし、垂直部11aから水平部11bにわたって巻き付けられたスポンジや布などの洗浄液保持手段3に吸収され保持される。洗浄液Cが高吸水性部材3内で飽和状態となると、その表面に滲み出て洗浄液膜Caを形成しながら垂直部11aから水平部11b全体に流動し流下することとなる。
【0018】
次に、上述した可動支柱部11を傾斜させるための傾斜機構40の構成について説明する。図2に示すように、傾斜機構40は、アクチュエータ42と、アクチュエータ42の駆動を水平部11bの軸廻りに回動駆動させるためのリンク機構43と、を備えている。アクチュエータ42は、この実施の形態の場合、エアなどのよってピストンロッド42aが伸長・退縮するシリンダが採用されている。シリンダ42は、フレーム30の下方に、フレーム30に対して相対移動不能に設けられている。リンク機構43は、水平部11bの中間部に相対回転不能に設けられたブラケット44と、左右のフレーム30、30にわたるよう設けられ(図1)固定支柱部12の下方の左右のフレーム30内に設けられた軸受45によってその軸廻りに回動可能に軸支された回動軸46と、回動軸46の中間部に相対回転不能に設けられシリンダ42のピストンロッド42aと接続されるたアーム47と、回動軸46の両端部のフレーム30内に位置する部分に相対回転不能に設けられたブラケット48と、水平部11bのブラケット44と回動軸46のブラケット48を連結するリンク49と、を備えている。このように構成された傾斜機構40では、シリンダ42のピストンロッド42aを伸長駆動すると、回動軸46が図2において右回りに回転駆動され、リンク49が上昇移動することによって水平部11bも右回りに回転して、垂直部11aが右方向に傾斜する。また、シリンダ42のピストンロッド42aを退縮駆動すると、回動軸46が図2において左回りに回転駆動され、リンク49が下降移動することによって水平部11bも左回りに回転して、垂直部11aが左方向に傾斜する(図5)。
【0019】
なお、傾斜機構40は、この実施の形態に限定されることはない。例えば、回動軸46を回転駆動するためのアクチュエータ42は、シリンダに換えてモータを使用することができ、また、左右の固定支柱部12、12に独立して傾斜機構40をそれぞれ設け、両傾斜機構40を同期して駆動するよう制御することなども可能である。さらに、可動支柱部11の傾斜方向は、図2に示したように左右二方向に限定されることはなく、三方向以上であってもよい。この場合にあっては、可動支柱部11に形成する流路24A、24B、24C・・・は、傾斜方向と対応して分割して形成される。
【0020】
ワークWを塗装する際には、上述したように、塗装ブース内に発生された略鉛直下向きの気流の方向と一致する方向に塗装機が塗料を噴霧するよう構成されており、ワークWを支持した治具5が塗装ブース内に搬入されて係合部6に係合されると、可動支柱部11は、塗装機の塗料を噴霧する方向に応じてワークWを所定の姿勢に変化させて保持する。すなわち、可動支柱部11を傾斜させる操作は、制御手段によって塗装するワークWの形状に応じて行われる。そして、制御手段は、垂直部11aが垂直方向に位置しているときには可動支柱部11の流路24A、24Bに接続された管路25A、25Bのバルブ26A、26Bの双方を開くよう制御し、一方に傾斜させた場合(図5では左方向)に傾斜させた場合には可動支柱部11の流路24Aが上方側に位置することとなる。そのため、この流路24Aと接続された管路25Aの開閉バルブ26Aを開いて流路24Aのみに洗浄液を供給し、下方側に位置する流下手段21Bの流路24Bと接続される管路25Bの開閉バルブ26Bを閉じて流路24Bには洗浄液Cを供給しないように制御する。これにより、可動支柱部11が傾斜した状態であっても、上方側に位置する流下手段21Aの流路24Aの洗浄液排出口27Aから洗浄液Cがオーバーフローし、可動支柱部11の上方側から表面全体に適切な量で洗浄液Cが流下して洗浄液膜Caが形成されることとなる。したがって、この状態で塗装機から塗料を噴霧してワークWを塗装するときに、ワークWに付着せずオーバースプレーとなった塗料の粒子が可動支柱部11に付着しようとしても、固定支柱部12と同様に、可動支柱部11の表面にも形成された洗浄液膜Caに捕集され流されるため、可動支柱部11にオーバースプレー塗料が付着することが阻止される。なお、水平部11bへ十分に洗浄液Cを行き渡らせるために、水平部11bにも各流路24A、24Bの内部と通じる洗浄液排出口を設けてもよい。
【0021】
なお、固定支柱部12のオーバーフロー槽31への洗浄液Cの供給、および、可動支柱部11の流路24Aおよび/または24Bへの洗浄液Cの供給は、塗装機から噴霧された塗料がオーバースプレーとなって塗装ブース内に浮遊しているときだけ行うことができ、また、常時行うこともできる。洗浄液Cとしては、水や、塗料の溶剤成分を含む液体から取り出された濾液、あるいは界面活性剤を含む溶液など、適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の塗装システムの要部を示す正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】固定支柱部の上方を示す部分拡大断面図である。
【図4】可動支柱部を示す平面図である。
【図5】傾斜した状態の可動支柱部の上方側に位置する流路に洗浄液を供給する状態を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0023】
1:支柱、 3:高吸水性部材(高吸水性または高保水性を有する部材)、 4:洗浄液供給手段、 5:治具、 6:係合部、 11:可動支柱部、 12:固定支柱部、 23:隔壁、 24A、24B:流路、 27A、27B:洗浄液排出口、 31a:オーバーフロー層の上端開口縁(洗浄液排出口)、 32:流路、 40:傾斜機構





 

 


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