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水素透過膜および水素透過膜の製造方法 - トヨタ自動車株式会社
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発明の名称 水素透過膜および水素透過膜の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−44622(P2007−44622A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−231510(P2005−231510)
出願日 平成17年8月10日(2005.8.10)
代理人 【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
発明者 青山 智 / 伊藤 直樹 / 木村 憲治
要約 課題
水素透過膜における性能低下を抑制する。

解決手段
水素を選択的に透過させる水素透過膜を製造する際には、まず、5族金属と、酸化、窒化あるいは炭化され得る第2の成分とを含有する金属ベース層を用意する(ステップS100)。その後、金属ベース層の表面上に所定の金属層を成膜して多層構造を形成する。このとき、多層構造の表面には、パラジウム(Pd)を含有する金属被覆層を形成する(ステップS110〜S120)。さらに、第2成分を酸化、窒化あるいは炭化させる緻密化工程を行なって(ステップS130)、水素透過膜を完成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
水素を選択的に透過させる水素透過膜の製造方法であって、
(a)5族金属と、酸化、窒化あるいは炭化され得る第2の成分とを含有する金属ベース層を用意する第1工程と、
(b)前記金属ベース層の表面上に所定の金属層を成膜して多層構造を形成する工程であって、前記多層構造の表面にはパラジウム(Pd)を含有する金属被覆層を形成する第2工程と、
(c)前記第2成分を酸化、窒化あるいは炭化させる緻密化工程である第3工程と
を備える水素透過膜の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第1工程で用意する前記金属ベース層は、前記金属ベース層の表面を含む限られた領域のみに前記第2の成分を備える
水素透過膜の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第3工程は、前記第2工程において、前記金属ベース層上に前記所定の金属層を成膜する際に、前記所定の金属層の少なくとも一部の層を形成した後に、前記第2成分を酸化、窒化あるいは炭化させる工程である
水素透過膜の製造方法。
【請求項4】
水素を選択的に透過させる水素透過膜の製造方法であって、
(a)5族金属を含有する金属ベース層を用意する第1工程と、
(b)前記金属ベース層上に、酸化、窒化あるいは炭化され得る第2の成分を含有する中間層を形成する第2工程と、
(c)前記中間層上に、パラジウム(Pd)を含有する金属被覆層を形成する第3工程と、
(d)前記第2成分を酸化、窒化あるいは炭化させる緻密化工程である第4工程と
を備える水素透過膜の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2工程で形成する前記中間層は、前記第2の成分に加えて、前記金属ベース層および前記金属被覆層よりも融点が高い高融点金属をさらに備える
水素透過膜の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2工程は、前記金属ベース層側に配置される第1の層と、前記金属被覆層側に配置される第2の層とから成る前記中間層を形成する工程であり、
前記第1の層は、前記第2の層に比べて、前記高融点金属の含有割合が高く、前記第2の成分の含有割合が低い
水素透過膜の製造方法。
【請求項7】
請求項4ないし6いずれか記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第4の工程は、前記第3の工程の後に、前記第2成分を酸化、窒化あるいは炭化させる工程である
水素透過膜の製造方法。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれか記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2の成分は、クロム(Cr),アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),鉄(Fe),銅(Cu),モリブデン(Mo),ジルコニウム(Zr)から選択される元素であり、
前記緻密化工程は、前記第2の成分を酸化させる工程である
水素透過膜の製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし7いずれか記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2の成分は、前記5族金属の酸化物の融点よりも高い融点を有する複合酸化物を前記5族金属と共に形成する元素であり、
前記緻密化工程は、前記第2成分を酸化させる工程である
水素透過膜の製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2の成分は、クロム(Cr),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca)から選択される元素である
水素透過膜の製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし3いずれか記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2の成分は、前記5族金属よりも酸化されやすい元素である
水素透過膜の製造方法。
【請求項12】
請求項11記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2の成分は、アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),タンタル(Ta),ガドリニウム(Gd),ニオブ(Nb),タングステン(W),セリウム(Ce),イットリウム(Y),イッテルビウム(Yb),ネオジム(Nd),プラセオジム(Pr)から選択される元素である
水素透過膜の製造方法。
【請求項13】
請求項1ないし7いずれか記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2の成分は、クロム(Cr),アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),鉄(Fe)から選択される元素であり、
前記緻密化工程は、前記第2の成分を窒化させる工程である
水素透過膜の製造方法。
【請求項14】
請求項1ないし3いずれか記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2の成分は、前記5族金属よりも窒化されやすい元素である
水素透過膜の製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2の成分は、アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ホウ素(B)から選択される元素である
水素透過膜の製造方法。
【請求項16】
請求項1ないし7いずれか記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2の成分は、ケイ素(Si)およびチタン(Ti)から選択される元素であり、
前記緻密化工程は、前記第2の成分を炭化させる工程である
水素透過膜の製造方法。
【請求項17】
請求項1ないし3いずれか記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2の成分は、前記5族金属よりも炭化されやすい元素である
水素透過膜の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2の成分は、クロム(Cr),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),タンタル(Ta),モリブデン(Mo)から選択される元素である
水素透過膜の製造方法。
【請求項19】
水素を選択的に透過させる水素透過膜の製造方法であって、
(a)5族金属を含有する金属ベース層であって、少なくとも該金属ベース層表面を含む領域に、酸化、窒化あるいは炭化され得る第2の成分を含有する金属ベース層を用意する第1工程と、
(b)前記第2の元素を含有する前記金属ベース層の表面上に、所定の金属層を順次成膜して多層構造を形成する際に、パラジウム(Pd)を含有する金属被覆層を前記多層構造の表面に形成する第2工程と
を備える水素透過膜の製造方法。
【請求項20】
水素を選択的に透過させる水素透過膜の製造方法であって、
(a)5族金属を含有する金属ベース層を用意する第1工程と、
(b)前記金属ベース層上に、酸化、窒化あるいは炭化され得る第2の成分を含有する中間層を形成する第2工程と、
(c)前記中間層上に、パラジウム(Pd)を含有する金属被覆層を形成する第3工程と
を備える水素透過膜の製造方法。
【請求項21】
請求項19または20記載の水素透過膜の製造方法であって、
前記第2の成分は、クロム(Cr),アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),鉄(Fe),銅(Cu),モリブデン(Mo),ジルコニウム(Zr),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),タンタル(Ta),ガドリニウム(Gd),ニオブ(Nb),タングステン(W),セリウム(Ce),イットリウム(Y),イッテルビウム(Yb),ネオジム(Nd),プラセオジム(Pr),ホウ素(B)から選択される元素である
水素透過膜の製造方法。
【請求項22】
水素を選択的に透過させる水素透過膜であって、
請求項1ないし21いずれか記載の方法により製造された水素透過膜。
【請求項23】
水素を選択的に透過させる水素透過膜であって、
5族金属を含有する金属ベース層と、
前記水素透過膜の少なくとも一方の表面に設けられ、パラジウム(Pd)を備える金属被覆層と、
を含む複数の層を積層して成り、
前記金属ベース層は、該金属ベース層に隣接する層との接触面を含む領域に、酸化、窒化あるいは炭化され得る第2の成分を含有する
水素透過膜。
【請求項24】
水素を選択的に透過させる水素透過膜であって、
5族金属を含有する金属ベース層と、
前記水素透過膜の少なくとも一方の表面に設けられ、パラジウム(Pd)を含有する金属被覆層と、
前記金属ベース層と前記金属被覆層との間に設けられ、酸化、窒化あるいは炭化され得る第2の成分を含有する中間層と
を備える水素透過膜。
【請求項25】
請求項23または24記載の水素透過膜であって、
前記第2の成分は、クロム(Cr),アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),鉄(Fe),銅(Cu),モリブデン(Mo),ジルコニウム(Zr),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),タンタル(Ta),ガドリニウム(Gd),ニオブ(Nb),タングステン(W),セリウム(Ce),イットリウム(Y),イッテルビウム(Yb),ネオジム(Nd),プラセオジム(Pr),ホウ素(B)から選択される元素である
水素透過膜。
【請求項26】
水素を選択的に透過させる水素透過膜であって、
5族金属を含有する金属ベース層と、
前記水素透過膜の少なくとも一方の表面に設けられると共に、パラジウム(Pd)を備える金属被覆層と、
を含む複数の層を積層して成り、
前記金属ベース層は、該金属ベース層に隣接する層との接触面において、酸化物、窒化物あるいは炭化物を備える
水素透過膜。
【請求項27】
水素を選択的に透過させる水素透過膜であって、
5族金属を含有する金属ベース層と、
前記水素透過膜の少なくとも一方の表面に設けられると共に、パラジウム(Pd)を備える金属被覆層と、
前記金属ベース層と前記金属被覆層との間に設けられ、酸化物、窒化物、あるいは炭化物によって形成される中間層と
を備える水素透過膜。
【請求項28】
水素を選択的に透過させる水素透過膜であって、
5族金属を含有する金属ベース層と、
前記水素透過膜の少なくとも一方の表面に設けられると共に、パラジウム(Pd)を備える金属被覆層と、
前記金属ベース層と前記金属被覆層との間に設けられ、前記金属ベース層および前記金属被覆層とは異なる組成の金属によって形成される中間層と
を備え、
前記中間層は、該中間層における結晶構造上の間隙に、酸化物、窒化物あるいは炭化物を備える
水素透過膜。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、水素を選択的に透過させる水素透過膜および水素透過膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素含有ガスから水素を抽出するために、従来、パラジウム(Pd)から成る水素透過性金属を含む水素透過膜が用いられてきた。このような水素透過膜として、水素透過性能の高い金属(例えば、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、バナジウム(V))から成る金属層の表面に、Pdを含有する金属層を設け、多層構造とすることによって性能向上を図った水素透過膜が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−276866号公報
【特許文献2】特開平7−185277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記多層構造を有する水素透過膜は、所定の高温条件下で使用すると、水素透過性能が次第に低下するという問題があった。このような問題は、例えば、水素透過膜の表面に設けたPd層を介して水素透過膜内部に酸素が入りこみ、水素透過膜内部の上記水素透過性能の高い金属から成る層を構成する金属が酸化されることにより起こると考えられる。あるいは、このような問題は、上記水素透過性能の高い金属から成る層を構成する金属や、この金属の酸化物が、上記Pdを含有する金属層内を拡散して、Pdを含有する金属層の表面に到達することにより起こると考えられる。
【0005】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、水素透過膜における性能低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の水素透過膜の製造方法は、
(a)5族金属と、酸化、窒化あるいは炭化され得る第2の成分とを含有する金属ベース層を用意する第1工程と、
(b)前記金属ベース層の表面上に所定の金属層を成膜して多層構造を形成する工程であって、前記多層構造の表面にはパラジウム(Pd)を含有する金属被覆層を形成する第2工程と、
(c)前記第2成分を酸化、窒化あるいは炭化させる緻密化工程である第3工程と
を備えることを要旨とする。
【0007】
以上のように構成された本発明の第1の水素透過膜の製造方法によれば、金属ベース層が含有する第2の成分を酸化、窒化あるいは炭化させることで、金属ベース層において、緻密な酸化物、窒化物あるいは炭化物を形成させることができる。したがって、このような緻密な酸化物、窒化物あるいは炭化物によって、金属ベース層への酸素の侵入を抑制することで、金属ベース層を構成する5族金属の酸化を抑えることができる。これにより、5族金属の酸化に起因する水素透過膜の性能低下を抑制することができる。また、緻密な酸化物、窒化物あるいは炭化物を形成することによって、金属ベース層を構成する5族金属や、この5族金属の酸化物の、金属被覆層側への移動を抑制することができる。したがって、上記5族金属や5族金属の酸化物が水素透過膜表面に到達することに起因する水素透過膜の性能低下を抑えることができる。
【0008】
本発明の第1の水素透過膜の製造方法において、
前記第1工程で用意する前記金属ベース層は、前記金属ベース層の表面を含む限られた領域のみに前記第2の成分を備えることとしても良い。
【0009】
このような構成とすれば、第2の成分を備えることに起因する金属ベース層における水素透過性能の低下を抑制することができる。
【0010】
本発明の第1の水素透過膜の製造方法において、
前記第3工程は、前記第2工程において、前記金属ベース層上に前記所定の金属層を成膜する際に、前記所定の金属層の少なくとも一部の層を形成した後に、前記第2成分を酸化、窒化あるいは炭化させる工程であることとしても良い。
【0011】
このような構成とすれば、金属ベース層の表面において、所定の金属層の少なくとも一部が有する結晶構造上の間隙に対応する位置に、酸化物、窒化物あるいは炭化物が形成される。したがって、酸化物、窒化物あるいは炭化物を形成することに起因する水素透過膜の性能低下を抑制することができる。
【0012】
本発明の第2の水素透過膜の製造方法は、
(a)5族金属を含有する金属ベース層を用意する第1工程と、
(b)前記金属ベース層上に、酸化、窒化あるいは炭化され得る第2の成分を含有する中間層を形成する第2工程と、
(c)前記中間層上に、パラジウム(Pd)を含有する金属被覆層を形成する第3工程と、
(d)前記第2成分を酸化、窒化あるいは炭化させる緻密化工程である第4工程と
を備えることを要旨とする。
【0013】
以上のように構成された本発明の第2の水素透過膜の製造方法によれば、中間層に含有された第2の成分を酸化、窒化あるいは炭化させることで、中間層において、緻密な酸化物、窒化物あるいは炭化物を形成させることができる。したがって、このような緻密な酸化物、窒化物あるいは炭化物によって、金属ベース層への酸素の侵入を抑制し、金属ベース層を構成する5族金属の酸化を抑えることができる。これにより、5族金属の酸化に起因する水素透過膜の性能低下を抑制することができる。また、緻密な酸化物、窒化物あるいは炭化物によって、金属ベース層を構成する5族金属や、この5族金属の酸化物の、金属被覆層側への移動を抑制することができる。したがって、上記5族金属や5族金属の酸化物が水素透過膜表面に到達することに起因する水素透過膜の性能低下を抑えることができる。
【0014】
本発明の第2の水素透過膜の製造方法において、
前記第2工程で形成する前記中間層は、前記第2の成分に加えて、前記金属ベース層および前記金属被覆層よりも融点が高い高融点金属をさらに備えることとしても良い。
【0015】
このような構成とすれば、中間層を設けることによって水素透過膜内における金属拡散を抑える効果を高めることができる。
【0016】
このような本発明の第2の水素透過膜の製造方法において、
前記第2工程は、前記金属ベース層側に配置される第1の層と、前記金属被覆層側に配置される第2の層とから成る前記中間層を形成する工程であり、
前記第1の層は、前記第2の層に比べて、前記高融点金属の含有割合が高く、前記第2の成分の含有割合が低いこととしても良い。
【0017】
このようにして製造した水素透過膜では、第1の層によって金属拡散を抑制することができる。また、第2の層によって、中間層内への酸素の侵入を抑制すると共に、金属ベース層を構成する5族金属や、この5族金属の酸化物の、金属被覆層側への移動を抑制することができる。
【0018】
上記した本発明の第2の水素透過膜の製造方法において、
前記第4の工程は、前記第3の工程の後に、前記第2成分を酸化、窒化あるいは炭化させる工程であることとしても良い。
【0019】
このような構成とすれば、中間層において、金属被覆層が有する結晶構造上の間隙に対応する位置に、酸化物、窒化物あるいは炭化物が形成される。したがって、酸化物、窒化物あるいは炭化物を形成することに起因する水素透過膜の性能低下を抑制することができる。
【0020】
本発明の第1または第2の水素透過膜の製造方法において、
前記第2の成分は、クロム(Cr),アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),鉄(Fe),銅(Cu),モリブデン(Mo),ジルコニウム(Zr)から選択される元素であり、
前記緻密化工程は、前記第2の成分を酸化させる工程であることとしても良い。
【0021】
このような構成とすれば、上記した第2の成分を用いることによって、より緻密な酸化物を形成することができ、酸素の侵入や、5族金属及びその酸化物の移動を抑制する効果を高めることができる。
【0022】
本発明の第1または第2の水素透過膜の製造方法において、
前記第2の成分は、前記5族金属の酸化物の融点よりも高い融点を有する複合酸化物を前記5族金属と共に形成する元素であり、
前記緻密化工程は、前記第2成分を酸化させる工程であることとしても良い。
【0023】
このような構成とすれば、第2の成分が酸化して得られる酸化物が、5族金属の融点よりも高い融点を有する複合酸化物であるため、酸素の侵入や、5族金属及びその酸化物の移動を抑制する効果を高めることができる。このような融点の高い複合酸化物を形成する第2の成分としては、例えば、クロム(Cr),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca)から選択される元素を用いることができる。
【0024】
本発明の第1の水素透過膜の製造方法において、
前記第2の成分は、前記5族金属よりも酸化されやすい元素であることとしても良い。
【0025】
このような構成とすれば、金属ベース層において、第2の成分が5族金属に優先して酸化されるため、5族金属の酸化に起因する水素透過膜の性能低下を抑制することができる。第2の成分として用いることができる5族金属よりも酸化されやすい金属としては、例えば、アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),タンタル(Ta),ガドリニウム(Gd),ニオブ(Nb),タングステン(W),セリウム(Ce),イットリウム(Y),イッテルビウム(Yb),ネオジム(Nd),プラセオジム(Pr)から選択される元素を挙げることができる。
【0026】
本発明の第1または第2の水素透過膜の製造方法において、
前記第2の成分は、クロム(Cr),アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),鉄(Fe)から選択される元素であり、
前記緻密化工程は、前記第2の成分を窒化させる工程であることとしても良い。
【0027】
このような構成とすれば、上記した第2の成分を用いることによって、より緻密な窒化物を形成することができ、酸素の侵入や、5族金属及びその酸化物の移動を抑制する効果を高めることができる。
【0028】
本発明の第1の水素透過膜の製造方法において、
前記第2の成分は、前記5族金属よりも窒化されやすい元素であることとしても良い。
【0029】
このような構成とすれば、金属ベース層において、第2の成分が5族金属に優先して窒化されるため、5族金属の窒化に起因する水素透過膜の性能低下を抑制することができる。第2の成分として用いることができる5族金属よりも窒化されやすい金属としては、例えば、アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ホウ素(B)から選択される元素を挙げることができる。
【0030】
本発明の第1または第2の水素透過膜の製造方法において、
前記第2の成分は、ケイ素(Si)およびチタン(Ti)から選択される元素であり、
前記緻密化工程は、前記第2の成分を炭化させる工程であることとしても良い。
【0031】
このような構成とすれば、上記した第2の成分を用いることによって、より緻密な炭化物を形成することができ、酸素の侵入や、5族金属及びその酸化物の移動を抑制する効果を高めることができる。
【0032】
本発明の第1の水素透過膜の製造方法において、
前記第2の成分は、前記5族金属よりも炭化されやすい元素であることとしても良い。
【0033】
このような構成とすれば、金属ベース層において、第2の成分が5族金属に優先して炭化されるため、5族金属の炭化に起因する水素透過膜の性能低下を抑制することができる。第2の成分として用いることができる5族金属よりも炭化されやすい金属としては、例えば、クロム(Cr),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),タンタル(Ta),モリブデン(Mo)から選択される元素を挙げることができる。
【0034】
本発明の第3の水素透過膜の製造方法は、
(a)5族金属を含有する金属ベース層であって、少なくとも該金属ベース層表面を含む領域に、酸化、窒化あるいは炭化され得る第2の成分を含有する金属ベース層を用意する第1工程と、
(b)前記第2の元素を含有する前記金属ベース層の表面上に、所定の金属層を順次成膜して多層構造を形成する際に、パラジウム(Pd)を含有する金属被覆層を前記多層構造の表面に形成する第2工程と
を備えることを要旨とする。
【0035】
以上のように構成された本発明の第3の水素透過膜の製造方法によれば、さらなる酸化、窒化あるいは炭化の処理を行なうことにより、金属ベース層の少なくとも表面において、緻密な酸化物、窒化物あるいは炭化物を形成させることができる。また、水素透過膜の使用環境が、第2の成分について酸化反応、窒化反応あるいは炭化反応の進行し得る環境であれば、水素透過膜の使用中に、上記酸化物、窒化物あるいは炭化物を形成させることができる。したがって、このような緻密な酸化物、窒化物あるいは炭化物によって、金属ベース層への酸素の侵入を抑制し、金属ベース層を構成する5族金属の酸化を抑えることができる。
【0036】
本発明の第4の水素透過膜の製造方法は、
(a)5族金属を含有する金属ベース層を用意する第1工程と、
(b)前記金属ベース層上に、酸化、窒化あるいは炭化され得る第2の成分を含有する中間層を形成する第2工程と、
(c)前記中間層上に、パラジウム(Pd)を含有する金属被覆層を形成する第3工程と
を備えることを要旨とする。
【0037】
以上のように構成された本発明の第4の水素透過膜の製造方法によれば、さらなる酸化、窒化あるいは炭化の処理を行なうことにより、中間層において、緻密な酸化物、窒化物あるいは炭化物を形成させることができる。また、水素透過膜の使用環境が、第2の成分について酸化反応、窒化反応あるいは炭化反応の進行し得る環境であれば、水素透過膜の使用中に、上記酸化物、窒化物あるいは炭化物を形成させることができる。したがって、このような緻密な酸化物、窒化物あるいは炭化物によって、金属ベース層への酸素の侵入を抑制し、金属ベース層を構成する5族金属の酸化を抑えることができる。
【0038】
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、本発明の水素透過膜の製造方法により製造した水素透過膜や、水素透過膜を用いた水素抽出装置あるいは燃料電池などの形態で、実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.水素透過膜の構成:
B.第1実施例の水素透過膜の製造方法:
C.第1実施例の変形例:
D.第2実施例:
E.第2実施例の変形例:
F.水素透過膜を用いた装置:
G.変形例:
【0040】
A.水素透過膜の構成:
図1は、第1実施例である水素透過膜10の構成の概略を表わす断面模式図である。水素透過膜10は、金属ベース層12と、金属ベース層の両面上に形成される中間層14と、各々の中間層14上に形成される金属被覆層16と、から成る5層構造を有している。
【0041】
金属ベース層12は、バナジウム(V)、あるいはVを主要な構成成分として50%を越える割合で含むバナジウム合金など、Vを含む金属によって形成されており、優れた水素透過性を示す金属層である。より具体的には、本実施例の金属ベース層12は、Vとクロム(Cr)との合金によって形成されている。なお、本実施例の金属ベース層12は、この金属ベース層12が備える結晶粒界において所定の酸化物を備えることを特徴としているが、金属ベース層12の詳しい構成については後に説明する。
【0042】
金属被覆層16は、Pdを主要な構成成分として50%を越える割合で含むパラジウム(Pd)合金など、Pdを含む金属によって形成されている。この金属被覆層16は、水素透過膜の表面における水素分子の解離反応あるいは水素分子への結合反応を促進する活性を有する触媒層として機能する層である。
【0043】
中間層14は、金属ベース層12および金属被覆層16とは異なる組成の水素透過性金属から成る層であって、金属ベース層12と金属被覆層16との間の金属拡散を防止するために設けられる層である。本実施例では、タンタル(Ta)によって中間層14を形成している。
【0044】
B.第1実施例の水素透過膜の製造方法:
図2は、水素透過膜10の製造方法を表わす工程図である。水素透過膜10を製造する際には、まず、金属ベース層12となるVを含有する金属層を用意する(ステップS100)。ステップS100で用意する金属層は、例えば、Vを主要な構成成分として、さらにCrを含有する合金の金属塊に対して圧延と焼鈍の工程を繰り返すことにより作製することができる。これにより、全体として結晶構造を有する金属ベース層12が得られる。なお、このステップS100では、用意した金属層の表面をアルカリ溶液でエッチングして、表面に形成された酸化膜等の不純物の除去を行なっている。
【0045】
ステップS100の次には、用意した金属ベース層12の両面のそれぞれに、Taから成る中間層14を形成する(ステップS110)。中間層14は、例えば、PVD法やCVD法あるいは無電解メッキや電解メッキ等のメッキ処理によって形成することができる。
【0046】
中間層14を形成すると、次に、それぞれの中間層14上に、Pdを含有する金属被覆層16を形成して(ステップS120)、5層構造を有する積層体を形成する。金属被覆層16は、例えば、PVD法やCVD法あるいは無電解メッキや電解メッキ等のメッキ処理によって形成することができる。
【0047】
金属被覆層16を形成した後に、この金属被覆層16を設けた上記積層体に対して酸化処理を施すと(ステップS130)、金属ベース層12の表面においてCrが酸化されて酸化クロム(Cr23)が生じる。また、金属ベース層12を構成するVとさらに反応して、酸化クロムと酸化バナジウムの複合酸化物(3MgO/V25)が形成される。これによって、水素透過膜10が完成される。ここで、酸化処理とは、例えば、酸化雰囲気下での熱処理とすることができる。すなわち、上記積層体を、高温酸化雰囲気下に晒せばよく、これにより、金属ベース層12に含まれるCrが酸化される。酸化処理を行なう際の温度は、上記積層体を構成する金属の融点未満の温度であればよく、温度を高めることで酸化反応を活発化できるが、酸化処理の際に積層体内で進行する金属拡散が許容できる程度に抑えられる温度に設定することが望ましい。そのため、酸化処理の条件は、例えば、空気中、400〜500℃にて2〜10時間程度とすることができる。なお、ステップS130における酸化処理としては、上記酸化雰囲気下での熱処理の他に、陽極酸化、オゾン熱処理、酸素プラズマ処理によることとしても良い。
【0048】
金属ベース層12、中間層14、金属被覆層16は、いずれも結晶構造を有しているため、これらの層を構成する結晶粒間には結晶粒界が形成されている。この結晶粒界は、結晶構造を構成する結晶格子が不連続となる部位であり、結晶構造内に存在する微細な間隙であるといえる。ステップS130において酸化処理を行なうと、積層体の外部から、上記積層体の内部へと酸素が侵入する。このとき、酸素の侵入は、主として各層における上記結晶粒界を含む結晶構造上の間隙を介して行なわれる。金属被覆層16および中間層14の結晶構造上の間隙を介して侵入した酸素は、金属ベース層12の表面に到達すると、金属ベース層12中のCrと反応して酸化クロムを生じさせると共に、さらにVと反応して既述した複合酸化物を生じさせる。図3は、中間層14と接する金属ベース層12表面において酸化物および複合酸化物が形成される様子を模式的に示す断面図である。図3に示すように、金属ベース層12では、中間層14の結晶粒界に対応する位置に、上記酸化物および複合酸化物が形成される。ステップS130の酸化処理の工程を充分に行なうことにより、生じる酸化物のほとんどを複合酸化物とすることができる。このとき、金属ベース層12において酸化クロムおよび複合酸化物が形成される領域では、金属ベース層12を構成する結晶構造が酸化に伴って膨張する。したがって、金属ベース層12と中間層14との接触面においては、中間層14の結晶粒界が、金属ベース層12表面に形成された緻密な酸化物(酸化クロムおよび複合酸化物)によって塞がれた状態となる。
【0049】
なお、水素透過膜10を製造する際には、用途に基づいて要求される水素透過性能や強度に応じて、各層の厚みを設定すればよい。例えば、金属ベース層は、10〜100μmとすることができる。金属被覆層16は、0.1〜1.0μmとすることができる。金属被覆層16は、既述したように触媒層として機能する層であるため、金属ベース層12に比べて薄くすることができる。また、中間層14は、金属ベース層12と金属被覆層16との間の金属拡散を防止するためにはより厚く形成することが望ましいが、両者の間に介在していれば金属拡散を防止する所定の効果が得られるため、金属被覆層16よりもさらに薄く形成しても良い。そのため、例えば、0.01〜10μm程度の厚みとすることができる。
【0050】
以上のように構成された本実施例の水素透過膜10によれば、金属ベース層12における中間層14と接する表面であって、中間層14の結晶粒界に対応する位置に、緻密な酸化物、すなわち、複合酸化物を含むCrの酸化物が形成されるため、金属ベース層12内への酸素の侵入を効果的に抑制することができる。金属ベース層12内への酸素の侵入を抑制することで、金属ベース層12を構成するVが酸化されることによる金属ベース層12における水素透過性能の低下を抑制することができる。また、本実施例によれば、中間層14の結晶粒界に対応する位置に複合酸化物を含むCrの酸化物が形成されるため、中間層14の結晶粒界を介して、金属ベース層12から中間層14を含む上側層へとVが移動することを、効果的に抑制することができる。特に、Vは酸化されると、より融点の低い酸化バナジウム(V25)を形成するが、このような低融点化合物はVよりもさらに水素透過膜内を移動し易いため、水素透過膜表面に到達して金属被覆層の触媒活性を阻害することによって水素透過性能を低下させ易い。本実施例のように金属ベース層12を構成するVの酸化を防止すると共に、生じた酸化バナジウムの移動を抑制することで、水素透過膜における性能低下を抑制できる。なお、酸化処理によって生じた複合酸化物は、酸化バナジウムよりも融点が高い高融点複合酸化物であるため、水素透過膜内を移動し難い性質を有しており、金属ベース層12内への酸素の侵入や、Vあるいは酸化バナジウムの移動を、効果的に妨げることができる。
【0051】
また、本実施例の水素透過膜10では、金属ベース層12の上に、中間層14および金属被覆層16を形成した後に、ステップS130の酸化処理を行なっているため、中間層14における結晶構造上の間隙、すなわち、酸素の侵入やVおよび酸化バナジウムの移動のルートに対応する位置だけに高融点複合酸化物が形成される。したがって、酸素の侵入やVおよび酸化バナジウムの移動を抑制する効果を得つつ、複合酸化物が形成されることに起因する金属ベース層12における水素透過性能の低下を抑制することができる。
【0052】
なお、ステップS130における酸化処理は、金属被覆層16を形成するステップS120の後ではなく、中間層14を形成するステップS110の後に行なっても良い。この場合にも、金属ベース層12表面において、中間層14における結晶構造上の間隙に対応する位置に酸化物あるいは高融点複合酸化物を形成することによる同様の効果を得ることができる。
【0053】
また、金属ベース層12におけるCrの含有割合は、緻密な酸化物(複合酸化物)を形成することにより得られる既述した効果の程度や、Crを加えることに起因する金属ベース層12における水素透過性能の低下の程度を考慮して、適宜設定すればよい。
【0054】
C.第1実施例の変形例:
(C−1)第1の変形例:
第1実施例では、中間層14や金属被覆層16といった上側層を金属ベース層12上に形成した後に酸化処理を行なっているが、上側層の形成に先立って、ステップS130の酸化処理を行なっても良い。すなわちステップS110に先だって、例えば酸化雰囲気下での熱処理やオゾン熱処理、あるいは酸素プラズマ処理を行えば良い。この場合には、金属ベース層12の表面全体に、Crの酸化物が形成されることになる。
【0055】
(C−2)第2の変形例:
また、第1実施例では、金属ベース層12全体がCrを含有することとしたが、異なる構成としても良い。例えば、酸化物を形成すべき中間層14との接触面近傍だけが、Crを含有することとしても良い。金属ベース層12の表面近傍だけがCrを含有する構成を、図4に示す。このような構成とすれば、Crを含有しない他の領域のVの含有量が高まるため、金属ベース層12における水素透過性能を高めることができる。
【0056】
金属ベース層12の表面近傍だけにCrを含有させるには、例えば、ステップS100と同様にして作製したCrを含有しないVあるいはV合金から成るバナジウム層上に、VとCrの合金を成膜材料として、PVDやCVDにより成膜を行なえば良い。あるいは、上記バナジウム層上にCr層を成膜し、その後熱処理することによって、バナジウム層内にCrを拡散させることとしても良い。
【0057】
(C−3)第3の変形例:
第1実施例におけるステップS130の酸化処理を省略して、5層構造を有する積層体を、酸化処理を施すことなく水素透過膜としての使用に供しても良い。この場合には、上記積層体を水素透過膜として使用している間に、金属ベース層12の表面であって中間層14の結晶構造上の間隙に対応する位置において徐々に酸化が進行して、実施例と同様の効果を奏するようになる。
【0058】
(C−4)第4の変形例:
第1実施例では、酸素の侵入やVおよび酸化バナジウムの移動を妨げる緻密な酸化物を形成させるために金属ベース層12に添加する第2の成分としてCrを用いたが、他の元素を第2の元素として用いても良い。酸化物を形成させるために金属ベース層12に添加する第2の成分としては、例えば、クロム(Cr)に加えて、アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),鉄(Fe),銅(Cu),モリブデン(Mo),ジルコニウム(Zr),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),タンタル(Ta),ガドリニウム(Gd),ニオブ(Nb),タングステン(W),セリウム(Ce),イットリウム(Y),イッテルビウム(Yb),ネオジム(Nd),プラセオジム(Pr)から選択される元素とすることができる。
【0059】
ここで、第2成分を、クロム(Cr),アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),鉄(Fe),銅(Cu),モリブデン(Mo),ジルコニウム(Zr)から選択される元素とすれば、特に緻密性に優れた酸化物を形成させることができる。したがって、第2成分を酸化させることによって、酸素の侵入やVおよび酸化バナジウムの移動を妨げる効果を、より充分に得ることができる。
【0060】
また、第2成分を、クロム(Cr),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca)から選択される元素とすれば、酸化処理によってVと共に高融点複合酸化物を形成させることができる。すなわち、高融点複合酸化物として、V25・Cr23、3MgO・V25あるいは3CaO・V25が形成される。このような金属膜内で移動し難い高融点複合酸化物を形成することで、酸素の侵入やVおよび酸化バナジウムの移動を妨げる効果を高めることができる。
【0061】
あるいは、第2成分を、クロム(Cr),アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),タンタル(Ta),ガドリニウム(Gd),ニオブ(Nb),タングステン(W),セリウム(Ce),イットリウム(Y),イッテルビウム(Yb),ネオジム(Nd),プラセオジム(Pr)から選択される元素とすれば、金属ベース層12を構成するVの酸化を抑制する効果を、さらに高めることができる。すなわち、上記した元素は、Vよりも酸化されやすいという性質を有しているため、これらの元素を金属ベース層12に含有させるならば、これら第2成分がVに先だって酸化されることにより、水素透過膜の使用中におけるVの酸化の進行を抑制することができる。
【0062】
(C−5)第5の変形例:
第1実施例では、金属ベース層12に添加した第2成分を酸化させて、緻密な酸化物を形成させることにより、酸素の侵入やVおよび酸化バナジウムの移動を抑制しているが、第2成分を窒化あるいは炭化させて、緻密な窒化物や炭化物を形成させることとしても良い。
【0063】
中間層14との接触面近傍で窒化物を形成させるために金属ベース層12に含有させる第2成分として、例えば、クロム(Cr),アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),鉄(Fe)から選択される元素を用いるならば、緻密な窒化物を形成させることによる効果を高めることができる。また、第2の成分として、アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca),ホウ素(B)から選択される元素を用いるならば、これらの元素はVよりも窒化されやすいという性質を有しているため、水素透過膜の使用中におけるVの窒化の進行を抑制し、Vの窒化に起因する水素透過性能の低下を抑えることができる。
【0064】
上記のように第2成分を窒化させる場合には、ステップS130の酸化処理に代えて、窒化処理を行なえば良い。窒化処理としては、例えば、窒素雰囲気下での熱処理や、窒素プラズマ処理を行なえば良い。
【0065】
あるいは、中間層14との接触面近傍で炭化物を形成させるために金属ベース層12に含有させる第2の成分として、例えば、ケイ素(Si)およびチタン(Ti)から選択される元素を用いるならば、緻密な炭化物を形成させることによる効果を高めることができる。また、第2の成分として、クロム(Cr),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),タンタル(Ta),モリブデン(Mo)から選択される元素を用いるならば、これらの元素はVよりも炭化されやすいという性質を有しているため、水素透過膜の使用中におけるVの炭化の進行を抑制し、Vの炭化に起因する水素透過性能の低下を抑えることができる。
【0066】
上記のように第2成分を炭化させる場合には、ステップS130の酸化処理に代えて、炭化処理を行なえば良い。炭化処理としては、例えば、炭素を含むガス(例えば炭化水素ガス)雰囲気での熱処理や、炭素プラズマ処理を行なえば良い。
【0067】
このように、第2の成分を酸化させる代わりに窒化あるいは炭化させる場合にも、第1実施例と同様の変形が可能である。例えば、金属ベース層12の表面のみが、上記窒化物あるいは炭化物を形成するための第2成分を備えることとしたり、特別に窒化や炭化の処理を施すことなく水素透過膜としての使用の過程において窒化や酸化を進行させるなど、同様の変形を行なうことができる。
【0068】
(C−6)第6の変形例:
第1実施例では、金属ベース層12と金属被覆層との間に中間層14を設けているが、中間層14を設けないこととしても良い。すなわち、Crを含むV合金から成る金属ベース層12上に、Pdを含有する金属被覆層を直接形成することとしても良い。このような構成を図5に示す。金属ベース層12上に金属被覆層16を直接形成する場合にも、金属ベース層12の表面近傍において、金属被覆層16における結晶構造上の間隙に対応する位置に酸化物を形成させることにより、実施例と同様の効果が得られる。
【0069】
D.第2実施例:
第2実施例の水素透過膜は、図1に示す第1実施例の水素透過膜10と同様に、金属ベース層12と、中間層14と、金属被覆層16と、を備える5層構造を有している。第2実施例の水素透過膜は、第1実施例の水素透過膜10とは異なり、金属ベース層12ではなく中間層14がCrを含有している。
【0070】
第2実施例の水素透過膜を製造する際にも、図1に示した第1実施例と同様に、まず金属ベース層12を用意する(ステップS100)。第2実施例で用意する金属ベース層12は、第1実施例の金属ベース層12と同様にして作製すればよいが、上記したようにCrを含有しておらず、VあるいはV合金によって形成される。その後、金属ベース層12上に中間層を形成するが(ステップS110)、第2実施例では、TaとCrとの合金からなる中間層を形成する。中間層14は、第1実施例と同様に、例えばPVDやCVDにより形成すればよい。次に、中間層14上に、第1実施例と同様の金属被覆層16を形成すると共に(ステップS120)、さらに酸化処理を行なって(ステップS130)、水素透過膜を完成する。
【0071】
図6は、金属被覆層16と接する中間層14表面で酸化物が形成される様子を模式的に示す断面図である。金属被覆層16は結晶構造を有しており、水素透過膜内部へは、金属被覆層16における結晶粒界などの結晶構造上の間隙を介して酸素が侵入するため、中間層14表面では、金属被覆層16における結晶構造上の間隙に対応する位置に、酸化クロムが形成される。ここで、中間層14もまた結晶構造を有するため、中間層14の表面では、主として結晶粒の表面においてCrの酸化が進行する。このように中間層14の表面においてCrの酸化が進行する部位では結晶粒が膨張し、結晶構造上の間隙が狭小化・閉塞される。したがって、酸化処理を施してCrを酸化することで、中間層14表面における金属被覆層16の結晶構造上の間隙に対応する位置を、緻密化させることができる。
【0072】
以上のように構成された第2実施例の水素透過膜によれば、中間層14表面における金属被覆層16の結晶構造上の間隙に対応する位置が緻密化させるため、中間層14よりも内部への酸素の侵入を抑制することができる。これにより、水素透過性金属が酸化されることによる水素透過性能の低下や、金属ベース層12を構成するVが酸化されることによる低融点な酸化バナジウムの形成を抑制することができる。さらに、金属ベース層12からVや酸化バナジウムが移動してきた場合であっても、上記緻密な酸化物によって、Vや酸化バナジウムが金属被覆層16の結晶粒界を介して水素透過膜表面へと移動することを抑制できる。
【0073】
また、本実施例の水素透過膜では、水素透過膜の使用中に、金属ベース層12からVや酸化バナジウムが移動してきた場合であっても、酸化クロムがVや酸化バナジウムと反応して、高融点な複合酸化物(3MgO/V25)が形成される。このように、緻密な酸化物が高融点複合酸化物になることによって、Vや酸化バナジウムの金属被覆層16側への移動を抑制する効果を、さらに高めることができる。
【0074】
さらに、第2実施例の水素透過膜では、中間層14上に金属被覆層16を形成した後に、ステップS130の酸化処理を行なっているため、金属被覆層16における結晶構造上の間隙、すなわち、酸素の侵入やVおよび酸化バナジウムの移動のルートに対応する位置だけに酸化物が形成される。したがって、酸素の侵入やVおよび酸化バナジウムの移動を抑制する効果を得つつ、酸化物が形成されることに起因する中間層14における水素透過性能の低下を抑制することができる。
【0075】
なお、中間層14におけるCrの含有割合は、緻密な酸化物(複合酸化物)を形成することにより得られる既述した効果の程度や、Crを加えることに起因する中間層14における水素透過性能の低下の程度を考慮して、適宜設定すればよい。
【0076】
E.第2実施例の変形例:
(E−1)第1の変形例:
第2実施例では、上側層である金属被覆層16を中間層14上に形成した後に酸化処理を行なっているが、上側層の形成に先立って、すなわちステップS120に先だって、ステップS130の酸化処理を行なっても良い。この場合には、中間層14の表面全体に、Crの酸化物が形成されることになる。
【0077】
(E−2)第2の変形例:
第2実施例では、中間層14は、TaとCrとを含有する合金により形成したが、異なる構成としても良い。例えば、中間層14全体をCrによって形成しても良い。このような構成としても、Crから成る中間層14の表面において、金属被覆層16における結晶構造上の間隙に対応する位置にCrの酸化物が形成されるため、第2実施例と同様の効果を得ることができる。
【0078】
あるいは、中間層14において、金属被覆層16との接触面の近傍だけにCrを含有させることとしても良い。中間層14において金属被覆層16との接触面近傍だけがCrを含有する構成を、図7に示す。このような構成とすれば、Crを含有しない他の領域のTaの含有量が高まるため、中間層14における水素透過性能を高めることができる。
【0079】
中間層14の表面近傍だけにCrを含有させるには、例えば、ステップS100で用意した金属ベース層12上に、まず、Taを成膜材料として用いてタンタル層を形成し、その後、TaおよびCrを成膜材料としてTaとCrの合金層を形成すればよい。成膜は、例えば、PVDやCVDにより行なうことができる。あるいは、上記タンタル層上にCr層を成膜し、その後熱処理することによって、タンタル層内にCrを拡散させることとしても良い。
【0080】
また、中間層14を、タンタル層とクロム層とから成る2層構造としても良い。この場合には、特に、金属ベース層12側にタンタル層を形成し、金属被覆層16側にクロム層を形成することが望ましい。すなわち、中間層14において、相対的に、金属ベース層12側におけるTaの含有割合を高め、金属被覆層16側におけるCrの含有割合を高めることが望ましい。金属ベース層12からより離れた金属被覆層16側にクロム層を設け、酸化クロムを形成させることにより、金属ベース層12への酸素の到達を抑制する効果を高めることができる。
【0081】
(E−3)第3の変形例:
第2実施例におけるステップS130の酸化処理を省略して、5層構造を有する積層体を、酸化処理を施すことなく水素透過膜としての使用に供しても良い。この場合には、上記積層体を水素透過膜として使用している間に、中間層14の表面であって金属被覆層16の結晶構造上の間隙に対応する位置において徐々に酸化が進行して、実施例と同様の効果を奏するようになる。
【0082】
(E−4)第4の変形例:
酸化物を形成させるために中間層14に含有させる第2の成分としては、Cr以外に、第1実施例の第4の変形例と同様の種々の元素を選択することができる。この場合にも、第2の成分を酸化させて緻密な酸化物を形成させることにより、酸素の侵入やVおよび酸化バナジウムの移動を妨げる同様の効果を得ることができる。
【0083】
ここで、第2成分を、クロム(Cr),アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),鉄(Fe),銅(Cu),モリブデン(Mo),ジルコニウム(Zr)から選択される元素とすれば、特に緻密性に優れた酸化物を形成させることができる。したがって、第2成分を酸化させることによって、酸素の侵入やVおよび酸化バナジウムの移動を妨げる効果を、より充分に得ることができる。
【0084】
また、第2成分を、クロム(Cr),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca)から選択される元素とすれば、水素透過膜の使用中に、Vや酸化バナジウムが中間層14へと移動するのに伴って、第2成分の酸化物から、さらに酸化バナジウムとの複合酸化物が形成される。このような金属膜内で移動し難い高融点複合酸化物を形成することで、酸素の侵入やVおよび酸化バナジウムの移動を妨げる効果を高めることができる。
【0085】
(E−5)第5の変形例:
あるいは、中間層14を緻密化させるために中間層14に含有させる第2の成分として、第1実施例の第5の変形例と同様の元素を選択して、ステップS130の酸化処理に代えて窒化処理あるいは炭化処理を行なうこととしても良い。このような構成としても、酸化処理を行なう場合と同様に、中間層14の少なくとも一部を緻密化させることにより、酸素の侵入やVおよび酸化バナジウムの移動を妨げる同様の効果を得ることができる。
【0086】
窒化物を形成させるために中間層14に含有させる第2の成分としては、例えば、クロム(Cr),アルミニウム(Al),ケイ素(Si),チタン(Ti),鉄(Fe)から選択される元素を用いることが望ましい。この場合には、緻密な窒化物を形成させることによる効果を高めることができる。また、炭化物を形成させるために中間層14に含有させる第2の成分として、例えば、ケイ素(Si)およびチタン(Ti)から選択される元素を用いることが望ましい。これにより、緻密な炭化物を形成させることによる効果を高めることができる。
【0087】
このように、第2の成分を酸化させる代わりに窒化あるいは炭化させる場合にも、第2実施例と同様の変形が可能である。例えば、中間層14の表面のみが、上記窒化物あるいは炭化物を形成するための第2成分を備えることとしたり、中間層14全体を、上記第2成分によって構成しても良い。あるいは、特別に窒化や炭化の処理を施すことなく水素透過膜としての使用の過程において窒化や酸化を進行させても良い。
【0088】
F.水素透過膜を用いた装置:
(F−1).水素抽出装置:
図8は、第1実施例あるいは第2実施例の水素透過膜(以下、水素透過膜10と表わす)を利用した水素抽出装置20の構成を表わす断面模式図である。水素抽出装置20は、複数の水素透過膜10を積層した構造を有しており、図8では、水素透過膜10の積層に関わる構成についてのみ示している。水素抽出装置20では、積層される各水素透過膜10間に、水素透過膜10の外周部と接合する支持部22が配設されており、支持部22によって各水素透過膜10間に所定の空間が形成されている。支持部22は、水素透過膜10との接合が可能であって充分な剛性を有していればよい。例えばステンレス鋼(SUS)等の金属材料により形成することで、金属層である水素透過膜10と容易に接合可能となる。
【0089】
各水素透過膜10間に形成される上記所定の空間は、水素含有ガス路24とパージガス路26とを交互に形成する。各々の水素含有ガス路24に対しては、図示しない水素含有ガス供給部より、水素抽出の対象となる水素含有ガスが供給される。また、各々のパージガス路26に対しては、図示しないパージガス供給部から、水素濃度が充分に低いパージガスが供給される。水素含有ガス路24に供給されたガス中の水素は、水素濃度差に従ってパージガス路26側へと水素透過膜10を透過することによって、水素含有ガスから抽出される。
【0090】
このような水素抽出装置20によれば、水素透過膜の下層金属が酸化されたり、下層金属が表面に移動することに起因する性能低下が抑制されるため、水素抽出装置20全体の水素抽出性能の低下を防ぐことができる。
【0091】
(F−2).燃料電池:
図9は、水素透過膜10を利用した燃料電池の構成の一例を表わす断面模式図である。図9、単セル30を表わしているが、燃料電池は、この単セル30を複数積層することによって形成される。
【0092】
単セル30は、水素透過膜10と、水素透過膜10の一方の面上に形成された電解質層32と、電解質層32上に形成されたカソード電極34と、から成るMEA(Membrane Electrode Assembly)31を備えている。また、単セル30は、MEA31をさらに両側から挟持する2つのガスセパレータ36,37を備えている。水素透過膜10と、これに隣接するガスセパレータ36との間には、水素を含有する燃料ガスが通過する単セル内燃料ガス流路38が形成されている。また、カソード電極34と、これに隣接するガスセパレータ37との間には、酸素を含有する酸化ガスが通過する単セル内酸化ガス流路39が形成されている。
【0093】
電解質層32は、プロトン伝導性を有する固体電解質、例えば、BaCeO3、SrCeO3系のセラミックスプロトン伝導体から成る層である。この電解質層32は、PVDやCVD等の手法により、水素透過膜10上に上記固体酸化物を生成させることによって形成することができる。このように、電解質層32を緻密な金属膜である水素透過膜10上に成膜することにより、電解質層32を薄膜化し、電解質層32の膜抵抗をより低減することが可能となる。これにより、従来の固体電解質型燃料電池の運転温度よりも低い温度である約200〜600℃程度で発電を行なうことが可能となる。
【0094】
カソード電極34は、電気化学反応を促進する触媒活性を有する層であり、例えば、貴金属であるPtから成る多孔質なPt層により構成すればよい。また、単セル30において、カソード電極34とガスセパレータ37との間、あるいは水素透過膜10とガスセパレータ36との間に、導電性およびガス透過性を有する集電部をさらに設けても良い。
【0095】
ガスセパレータ36,37は、カーボンや金属などの導電性材料で形成されたガス不透過な部材である。ガスセパレータ36,37の表面には、単セル内燃料ガス流路38あるいは単セル内酸化ガス流路39を形成するための所定の凹凸形状が形成されている。
【0096】
このような燃料電池によれば、水素透過膜の下層金属が酸化されたり、下層金属が表面に移動することに起因する性能低下が抑制されるため、燃料電池全体の性能低下を防ぐことができる。
【0097】
なお、図9に示す燃料電池が備える水素透過膜では、図1に示した水素透過膜10とは異なり、電解質層32と接する面には、金属被覆層および中間層を設けない構成とすることも可能である。また、水素透過膜10を備える燃料電池を製造する際には、水素透過膜10上に電解質層32を成膜した後に、ステップS130の酸化処理を行なっても良い。
【0098】
G.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0099】
G1.変形例1:
水素透過膜を構成する各層を、第1実施例または第2実施例とは異なる金属により形成しても良い。例えば、実施例では金属ベース層12をVやVを主要な構成成分とする金属により形成しているが、他種の5族金属を含有する金属(単体を含む)により形成しても良い。
【0100】
また、実施例の中間層14では、Crと共に中間層14を構成する金属としてTaを備えることとしたが、金属ベース層12と金属被覆層16との間の金属拡散を抑制可能であれば、異なる水素透過性金属を用いても良い。中間層14を構成する金属としては、特に、金属ベース層12および金属被覆層16よりも融点が高い金属(以下、高融点金属と呼ぶ)により形成することが好ましい。融点が高い金属は、一般に金属拡散し難いという性質を有しているため、高融点金属で中間層14を構成することにより、金属拡散防止の効果を高めることができる。例えば、Taの他、同じ5族金属であるニオブ(Nb)は、充分な水素透過性能を有すると共に高融点金属であるため好ましい。
【0101】
G2.変形例2:
第1実施例または第2実施例の水素透過膜では、水素透過膜を、水素透過性を有する金属薄膜の自立膜としたが、ガス透過性を有する多孔質基材上に水素透過性金属を担持させることにより水素透過膜を形成してもよい。すなわち、金属被覆層、中間層、金属ベース層、中間層、金属被覆層の順で積層された金属層を、薄板状の多孔質体の上に順次形成し、水素透過膜としてもよい。このように多孔質基材上に担持された水素透過膜は、例えば、図8に示した水素抽出装置において、実施例の水素透過膜10に代えて用いることができる。例えば、第1実施例の水素透過膜を上記構成に適用する場合には、多孔質体上に水素透過膜を成膜した後に全体を酸化処理して、金属ベース層12において、中間層14の結晶構造上の間隙に対応する位置に、酸化クロムを形成させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】第1実施例の水素透過膜の構成の概略を表わす断面模式図である。
【図2】第1実施例の水素透過膜の製造方法を表わす工程図である。
【図3】金属ベース層表面で複合酸化物が形成される様子を模式的に示す断面図である。
【図4】第1実施例の第2の変形例の構成を模式的に示す断面図である。
【図5】第1実施例の第6の変形例の構成を模式的に示す断面図である。
【図6】中間層14表面で酸化物が形成される様子を模式的に示す断面図である。
【図7】第2実施例の第1の変形例の構成を模式的に示す断面図である。
【図8】水素抽出装置の構成を表わす断面模式図である。
【図9】燃料電池の構成の一例を表わす断面模式図である。
【符号の説明】
【0103】
10…水素透過膜
12…金属ベース層
14…中間層
16…金属被覆層
20…水素抽出装置
22…支持部
24…水素含有ガス路
26…パージガス路
30…単セル
31…MEA
32…電解質層
34…カソード電極
36,37…ガスセパレータ
38…単セル内燃料ガス流路
39…単セル内酸化ガス流路




 

 


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