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発明の名称 金属製無端ベルトの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−38232(P2007−38232A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2005−222743(P2005−222743)
出願日 平成17年8月1日(2005.8.1)
代理人 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
発明者 山城 浩嗣
要約 課題
製品のばらつきや不良品発生を長期間充分に防止でき、機械応答の経時的変化の検定もラインを停止させず、自動で行える金属製無端ベルトの製造方法を提供する。

解決手段
固定ローラと引張りローラの間に無端状金属ベルト素材を巻き掛け、圧延ローラにより上記素材を圧延しつつ引張りローラにより同素材を引き伸ばし、所望寸法の金属製無端ベルトを製造する方法において、同素材の圧延及び引き伸ばし前の圧延ローラ及び引張りローラの移動時の各ロードセルから得られた荷重応答特性を、初期正常時における同様の各ローラの移動時の各ロードセルから得られた荷重応答特性と各々比較して相互間の各ずれ量を求める。今回の加工を、そのずれ量に基づいて補正された荷重制御条件により行う。ライン運転時に生じる摺動抵抗等の経時的変化要素を考慮した補正を行う。
特許請求の範囲
【請求項1】
固定ローラと引張りローラとの間に無端状金属ベルト素材を循環回送自在に巻き掛けておき、圧延ローラが前記固定ローラとの間で前記素材を圧延しつつ前記引張りローラが該素材を引き伸ばす加工を行って、所望の板幅及び/又は板厚を有する所望の周長の金属製無端ベルトを製造する方法において、
前記圧延ローラ及び引張りローラに加わる荷重を各別に測定する圧延ローラ荷重測定手段及び引張りローラ荷重測定手段を備え、
前記素材の圧延及び引き伸ばし前の前記圧延ローラ及び引張りローラの移動時の前記各測定手段から得られた荷重応答特性を、初期正常時における同様の前記各ローラの移動時の前記各測定手段から得られた荷重応答特性と各々比較して相互間の各ずれ量を求め、今回の加工を、該ずれ量に基づいて補正された荷重制御条件により行うことを特徴とする金属製無端ベルトの製造方法。
【請求項2】
固定ローラと引張りローラとの間に無端状金属ベルト素材を循環回送自在に巻き掛けておき、圧延ローラが前記固定ローラとの間で前記素材を圧延しつつ前記引張りローラが該素材を引き伸ばす加工を行って、所望の板幅及び/又は板厚を有する所望の周長の金属製無端ベルトを製造する方法において、
前記圧延ローラ及び引張りローラに加わる荷重を各別に測定する圧延ローラ荷重測定手段及び引張りローラ荷重測定手段を備え、
前記素材の圧延及び引き伸ばし後の前記圧延ローラ及び引張りローラの移動時の前記各測定手段から得られた荷重応答特性を、初期正常時における同様の前記各ローラの移動時の前記各測定手段から得られた荷重応答特性と各々比較して相互間の各ずれ量を求め、次回の加工を、該ずれ量に基づいて補正された荷重制御条件により行うことを特徴とする金属製無端ベルトの製造方法。
【請求項3】
求められたずれ量が予め設定された閾値を超えたときにその旨を報知することを特徴とする請求項1又は2に記載の金属製無端ベルトの製造方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、CVT(Continuously Variable Transmission)ベルト等の金属製無端ベルトの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のベルトの製造方法としては、金属製無端ベルトの素材(無端状金属ベルト素材)の板幅又は板厚を、目標板幅又は目標板厚にするように張力制御し、その後、素材の周長を目標周長にするように張力を制御して、金属製無端ベルトの製造をする方法があった(特許文献1参照)。
しかし上述従来技術では、機械系パラメータが初期調整で最適化された値に固定されており、機械系の各構成要素から得られた荷重応答特性の経時的な変化について配慮されてなく、したがって、その変化が加工精度に影響して製品にばらつきが生じた。また、定期あるいは不定期の精度検査が行われるまで、製品不良が発見されず、不良品を多発するという問題点もあった。
そこで本出願人は、この種のベルトの製造において、所定加工回数毎に、検定用の荷重を与えて得られた応答特性を、初期正常時において得られた応答特性と比較して相互間のずれ量を求める検定を行い、次回検定時までの加工を、そのずれ量を補正する荷重制御条件に従って行うという方法を提供した。
【0003】
【特許文献1】特公平2−36321号公報
【特許文献2】特開2004−291050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に開示された発明によれば、製品のばらつきや不良品の発生を長期間に亘って防止できるという効果があるが、上記検定手法において未だ改善の余地があり、充分な効果を得るには限界があった。また、その効果の程度は検定を行う頻度に依存し、その検定は製造ラインを停止させて行うために生産性が低下した。更に、その検定は人為的に行うために、検定作業員の手間と時間とを要し、誤作業による製品のばらつきや不良品発生の虞もあった。
【0005】
本発明は、上記のような実情に鑑みなされたもので、製品のばらつきや不良品の発生を長期間に亘って充分に防止でき、また生産性を低下させず、検定作業に要する手間や時間、更には誤作業による製品のばらつきや不良品発生も皆無となる金属製無端ベルトの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、固定ローラと引張りローラとの間に無端状金属ベルト素材を循環回送自在に巻き掛けておき、圧延ローラが前記固定ローラとの間で前記素材を圧延しつつ前記引張りローラが該素材を引き伸ばす加工を行って、所望の板幅及び/又は板厚を有する所望の周長の金属製無端ベルトを製造する方法において、前記圧延ローラ及び引張りローラに加わる荷重を各別に測定する圧延ローラ荷重測定手段及び引張りローラ荷重測定手段を備え、前記素材の圧延及び引き伸ばし前の前記圧延ローラ及び引張りローラの移動時の前記各測定手段から得られた荷重応答特性を、初期正常時における同様の前記各ローラの移動時の前記各測定手段から得られた荷重応答特性と各々比較して相互間の各ずれ量を求め、今回の加工を、該ずれ量に基づいて補正された荷重制御条件により行うことを特徴とする。
特許請求の範囲の請求項2に記載の発明は、固定ローラと引張りローラとの間に無端状金属ベルト素材を循環回送自在に巻き掛けておき、圧延ローラが前記固定ローラとの間で前記素材を圧延しつつ前記引張りローラが該素材を引き伸ばす加工を行って、所望の板幅及び/又は板厚を有する所望の周長の金属製無端ベルトを製造する方法において、前記圧延ローラ及び引張りローラに加わる荷重を各別に測定する圧延ローラ荷重測定手段及び引張りローラ荷重測定手段を備え、前記素材の圧延及び引き伸ばし後の前記圧延ローラ及び引張りローラの移動時の前記各測定手段から得られた荷重応答特性を、初期正常時における同様の前記各ローラの移動時の前記各測定手段から得られた荷重応答特性と各々比較して相互間の各ずれ量を求め、次回の加工を、該ずれ量に基づいて補正された荷重制御条件により行うことを特徴とする。
また、特許請求の範囲の請求項3に記載の発明は、上記請求項1又は2に記載の発明において、求められたずれ量が予め設定された閾値を超えたときにその旨を報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
特許請求の範囲の請求項1に記載の発明では、圧延ローラ及び引張りローラに加わる荷重を各別に測定する圧延ローラ荷重測定手段及び引張りローラ荷重測定手段を備え、素材の圧延及び引き伸ばし前の圧延ローラ及び引張りローラの移動時の各測定手段から得られた荷重応答特性を、初期正常時における同様の各ローラの移動時の各測定手段から得られた荷重応答特性と各々比較して相互間の各ずれ量を求め、今回の加工を、該ずれ量に基づいて補正された荷重制御条件により行うようにした。
特許請求の範囲の請求項2に記載の発明では、請求項1と同様の圧延ローラ荷重測定手段及び引張りローラ荷重測定手段を備える。そして、素材の圧延及び引き伸ばし後の圧延ローラ及び引張りローラの移動時の各測定手段から得られた荷重応答特性を、初期正常時における同様の各ローラの移動時の各測定手段から得られた荷重応答特性と各々比較して相互間の各ずれ量を求め、次回の加工を、該ずれ量に基づいて補正された荷重制御条件により行うようにした。
特許文献2に開示された発明では、経時的に変化する要素として、製造ライン運転時に生じる摺動抵抗等、例えば上記ローラの移動時にこれを案内するガイドと上記ローラの回転軸支持体との間の摺動抵抗は考慮されていなかった。しかし、請求項1,2に記載の発明によれば、このような摺動抵抗等も補正される、経時的に変化する要素に含まれることになり、したがって、製品のばらつきや不良品の発生を長期間に亘って充分に防止できる。また、請求項1,2に記載の発明によれば、機械系の各構成要素の経時的変化を補正するために行う、荷重応答特性のずれ量を求める検定に人為的な作業をなくした(自動化した)ので、検定作業に要する手間や時間、更には誤作業による製品のばらつきや不良品発生も皆無となる。上記検定は、製造ラインを運転したまま行われるので、製造ラインを停止させて行う方法に比べて生産性を高めることができる。
請求項1に記載の発明は、上記ずれ量を、素材の圧延及び引き伸ばし前の圧延ローラ及び引張りローラの移動時に求め、今回の加工を、該ずれ量に基づいて補正された荷重制御条件により行うものである。また、請求項2に記載の発明は、上記ずれ量を、素材の圧延及び引き伸ばし後の圧延ローラ及び引張りローラの移動時に求め、次回の加工を、該ずれ量に基づいて補正された荷重制御条件により行うものであって、両発明により、上記ずれ量を求める検定時期を、加工の前又は後のいずれにするかの選択が可能となる。
特許請求の範囲の請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、求められたずれ量が予め設定された閾値を超えたとき(異常時)にその旨を報知するようにしたので、その異常を即座に、かつ低コストで知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、各図間において、同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1は、本発明による金属製無端ベルトの製造方法の一実施形態の説明図である。
この図において、1は無端状金属ベルト素材であり、固定ローラ2と引張りローラ3との間に循環回送自在に巻き掛けられている。
圧延ローラ4は、上記固定ローラ2との間で上記無端状金属ベルト素材1を圧延する径大のローラである。この圧延ローラ4は、圧延ローラ回転用モータ5によって回転され、また、圧延モータ6によってそのローラ面を上記固定ローラ2のローラ面側(矢印イ方向)に所望の力で加圧可能である。圧延ロードセル7は、圧延ローラ4の矢印イ方向への加圧力(圧延荷重)測定手段である。
引張りモータ8は、引張りローラ3に対して、固定ローラ2側とは反対側(矢印ロ方向)に所望の力で引っ張り、無端状金属ベルト素材1を引き伸ばすための張力を付与するモータである。また、引張りロードセル9は、上記引張りローラ3の矢印ロ方向への張力(引張り荷重)測定手段である。リニアゲージ10は、無端状金属ベルト素材1の周長測定用の測定手段である。
【0009】
演算・制御装置12は、無端状金属ベルト素材1を所望の板幅及び/又は板厚を有する所望の周長の金属製無端ベルトに加工(金属製無端ベルトを製造)するために、各モータ5,6,8等を予め設定された値(初期設定値)に従って制御する装置である。
この演算・制御装置12は、図1に示す構成各部(構成要素)における機械系の特性の経時的変化に起因する同構成各部から得られた荷重応答特性の経時的変化を加工毎(各加工回)に検定し、その結果求められたずれ量に基づいて補正する機能も備える。
各機能は、内蔵する制御プログラムが、メモリに記録された各種パラメータ等のデータや、ロードセル7,9、リニアゲージ10等からの出力信号(測定値)を参照して実行されることにより実現される。
【0010】
図1に示す構成において、固定ローラ2と引張りローラ3との間に巻き掛けられた無端状金属ベルト素材1は、同ローラ2,3間において循環回送中に、モータ5により回転されている圧延ローラ4がモータ6により矢印イ方向に加圧されると共に、モータ8により矢印ロ方向に引っ張られる。
この際、圧延荷重、引張り荷重及び無端状金属ベルト素材1の周長は、ロードセル7,9及びリニアゲージ10からの信号を受けた演算・制御装置12によって測定され、無端状金属ベルト素材1は所望の板幅及び/又は板厚を有する所望の周長の金属製無端ベルトに加工(金属製無端ベルトが製造)される。
上述したように、基本的なベルト製造工程は、従来技術と大きく変わるところはないが、本実施形態においては、それに加え、各加工回毎に荷重応答特性の自動検定(ずれ量を求める自動検定)を行い、初期正常時に得られた荷重応答特性との間に予め決められた値を超えるずれが生じている場合に、そのずれを補正するようにした。
【0011】
以下このずれ補正につき、図2のフローチャートを併用して説明する。
図2における各処理(ここではステップ21,33を除く)は、ロードセル7,9からの測定値を受けた演算・制御装置12が実行し、あるいは実行させる。
すなわち、演算・制御装置12は、ステップ21で無端状金属ベルト素材1を製造ラインに投入すると、具体的には、同素材1が固定ローラ2と引張りローラ3との間に循環回送自在に巻き掛けられたこと(加工準備の完了)を確認すると、ステップ22を実行する。加工準備完了の確認は、例えば加工開始のスイッチON信号等が入力されることにより行われる。
【0012】
ステップ22では、一定パターン(予め決められている一定の速度パターン)の早送りにて引張りローラ3を移動する。
ここで「早送り」とは、上記加工準備の完了後、実際に加工を行う〔張力(引張り荷重)を与える〕前に、実際の加工時よりも早い速度でその加工を行う位置まで引張りローラ3を移動することをいう。
ステップ22で行っている早送りが継続する一定時間、ロードセル9の出力信号波形、すなわち検定用の張力測定信号波形(引張り荷重応答特性)は測定され、演算・制御装置12内のメモリに記録される(ステップ23参照)。
【0013】
ステップ24では、一定パターン(予め決められている一定の速度パターン)の早送りにて圧延ローラ4を移動する。
ここでの「早送り」は、上記加工準備の完了後、実際に加工を行う〔加圧力(圧延荷重)を与える〕前に、実際の加工時よりも早い速度でその加工を行う位置まで圧延ローラ4を移動することをいう。
ステップ24で行っている早送りが継続する一定時間、ロードセル7の出力信号波形、すなわち検定用の加圧力測定信号波形(圧延荷重応答特性)は測定され、演算・制御装置12内のメモリに記録される(ステップ25参照)。
【0014】
ステップ26では、初期正常時に、ステツプ22,24と同様に移動して得られ、記録しておいたロードセル7,9の出力信号波形、すなわち基準用の張力測定信号波形及び加圧力測定信号波形(引張り荷重応答特性及び圧延荷重応答特性)を読み出す。
そして、上記検定用の張力測定信号波形を基準用の張力測定信号波形と比較すると共に、検定用の加圧力測定信号波形を基準用の加圧力測定信号波形と比較し、各々相互間に生じた所定の項目(制御対象項目)についてのずれ量を求める。
【0015】
ステップ27では、ステップ26で求められたずれ量(今回の加工に際して求められたずれ量:今回ずれ量)から前回の加工に際して求められたずれ量(前回ずれ量)を引算した値が第1閾値を超えるか否かを判定する。この判定の結果がYesであればステップ28を実行し、Noであればステップ29を実行する。なお第1閾値は、所望の加工精度に応じて決められる許容値に基づき設定されている。
【0016】
ステップ28では、今回ずれ量を元に、加工で用いる荷重制御条件及びロードセル測定値の補正関数を更新する。
すなわち、今回ずれ量が第1閾値を超えた場合には、その今回ずれ量に基づき、それ(今回ずれ量)を補正する荷重制御条件を演算する。また、加工中においてロードセル7,9の出力信号値から同加工中の実圧延力、実引張り力を予測し、各予測値で上記補正演算後の荷重制御条件(加工荷重値)を制御して加工を進行させるための新たな荷重予測式を上記の今回ずれ量に基づいて求め、更新する。
【0017】
ステップ29では、今回ずれ量が、予め設定された第2閾値(例えば初期正常時からのずれ量が累積して一定値を超えた場合におけるその一定値)以下か否かを判定し、この判定結果がYesであればステップ30を実行し、Noであればステップ34を実行する。
ステップ30では、ステップ28で更新した荷重制御条件及び荷重予測式を用いて加工を行う。すなわち、第1閾値を超える今回ずれ量を補正する荷重制御条件を演算し、得られた荷重制御条件により荷重制御を行い、加工を行う。この際、上記荷重予測式により、ロードセル7,9の出力信号値から加工中の実圧延力、実引張り力を予測し、各予測値を用いて上記補正演算後の荷重制御条件、つまり加工荷重値(圧延荷重値、引張り荷重値)の制御がなされ、その制御後の加工荷重値によって加工が行われる。
具体的には、上記補正演算後の加工荷重値を目標値とし、各予測値に基づいて作成されたフィードバック信号を用いて荷重制御を行い、加工が行われる。単純に、各予測値に基づいて作成した加工荷重値を補正演算後の加工荷重値として用いて荷重制御を行い、加工を行うようにしてもよい。
ステップ28で補正処理がされていなければ、つまり、今回ずれ量が第1閾値を超えていない場合であって、かつ、ステップ29で今回ずれ量が第2閾値以下であると判定された場合には、前回の補正(更新)演算後の荷重制御条件及び荷重予測式を用いて上述と同様に荷重制御を行い加工を行う。
【0018】
ステップ31では早送りで引張りローラ3を移動する。
ここで「早送り」とは、実際に加工を行った〔張力(引張り荷重)を与えた〕後に、その実際の加工時よりも早い速度で加工前の位置まで引張りローラ3を移動する(戻す)ことをいう。
ステップ32では早送りで圧延ローラ4を移動する。
ここでの「早送り」は、実際に加工を行った〔加圧力(圧延荷重)を与えた〕後に、その実際の加工時よりも早い速度で加工前の位置まで圧延ローラ4を移動する(戻す)ことをいう。
ステップ33では、製品(加工済みの金属製無端ベルト)を取り出し、その後、処理を終了(正常終了)する。
ステップ34では、ステップ29における判定結果がNo、つまり今回ずれ量が第2閾値を超える異常が発生したとして、その旨を報知し、その後、処理を終了(異常終了)する。報知は、ランプ、ブザー等で行われる。
【0019】
以上述べたステップ21〜34の処理が加工毎に繰り返されることによって、各加工回毎に荷重応答特性の自動検定(ずれ量を求める自動検定)及びこの検定結果に基づくずれ補正が行われる。
これによれば、製品のばらつきや不良品の発生を長期間に亘って充分に防止できるようになる。特に、検定、補正が自動で行われることによっては、検定、補正作業に要する手間や時間、更には誤作業による製品のばらつきや不良品発生も皆無となる。また検定、補正は、製造ラインを運転したまま行われるので、製造ラインを停止させて行う方法に比べて生産性を高めることができる。
また、ステップ34において、ずれ量が予め設定された第2閾値を超えたとき(異常時)にその旨を報知するようにしたので、その異常を即座に、かつ低コストで知ることができる。
【0020】
次に、上記制御対象項目の具体例について図3〜図5を参照して説明する。
図3(パターン301)は、図2中のステップ22又は24におけるローラ3又は4、ここではステップ22における引張りローラ3の早送り(移動)の際の速度パターンを示し、各加工毎に、ステップ22においてこの同じ早送り速度パターン301を用いて早送りを行う。図3中、t0は引張りローラ3の早送り移動開始時点、tnは同じく早送り移動終了時点、t1〜tn-1はt0〜tn間において引張りローラ3が一定速度で早送り移動している期間を示す。後掲図4及び図5も同様である。
製造ライン運転時に生じる摺動抵抗等、例えばローラ3の移動時にこれを案内するガイド(図示せず)とローラ3の回転軸支持体(図示せず)との間の摺動抵抗等の機械系の各構成要素の経時的変化が大きくなり、同各構成要素の応答特性が変化すると、同じ速度パターン301を維持するためにモータ8の発生トルクが変化する。この変化(荷重応答変化)をロードセル9で検出する。
図4(波形401)は、初期正常時における図2中のステップ22において、図3に示す早送り速度パターン301で引張りローラ3を早送りしたときの同ステップ23におけるロードセル9の出力信号波形、つまり張力測定信号波形(初期正常時の引張り荷重応答ft)を示す。
図5は(波形501)は、今回(各加工回)における図2中のステップ22において、図3に示す早送り速度パターン301で引張りローラ3を早送りしたときの同ステップ23におけるロードセル9の出力信号波形、つまり張力測定信号波形(今回の引張り荷重応答ft)を示す。
【0021】
上記荷重応答ftは評価式frkで評価され、区間荷重評価値が求められる。
ここで、上記評価式frkは荷重応答ftの時間tk-1からtkの間の平均値を求める等の関数である。
図4中の区間荷重評価値f0k(k=1〜n)、図5中の区間荷重評価値f1k(k=1〜n)は、下式(1),(2)に示すように時間tk-1からtkの間の荷重応答ftを評価式frkで評価した値である。
f0k=frk(ft,tk-1,tk) …(1)
f1k=frk(ft,tk-1,tk) …(2)
そして、図2中のステップ26のずれ量d、すなわち初期正常時と今回の両引張り荷重応答ft間のずれ量dは、上式(1),(2)で求まる区間荷重評価値f0k,f1kから区間ずれ量dk=f1k-f0kを求め、それぞれの区間ずれ量dk(k=1〜n)から、評価関数fdnを用いて早送り時全体の荷重応答のずれ量を表す値としたもので、次式(3)のように求める。
d=fdn(d1,d2,…,dn) …(3)
このずれ量dは、図2中のステップ27の今回ずれ量(次回加工時における前回ずれ量)及び同ステップ29の今回ずれ量に用いられる。
【0022】
図2中のステップ28の荷重制御条件を表す加工パラメータP1〜Pmは、同ステップ26で求めた区間ずれ量dkを引数とする関数fmを用いて次式(4)のように演算される。
Pm=fm(d1,d2,…,dn) …(4)
この加工パラメータP1〜Pmによる新たな加工パターンを作成(加工パターンを補正)し、この加工パターンを荷重制御条件として用いることで、ずれ量dを補正した加工が行われる(同ステップ30参照)。
また、加工実行中においては、ロードセル9で測定された荷重値(実引張り力)Finと図2中のステップ26で求めた区間ずれ量dkを引数とする関数(荷重予測式)fc(Fin,d1,d2,…,dn)を用い、次式(5)のように加工荷重予測値(実引張り力予測値)Fcを求める。
Fc=fc(Fin,d1,d2,…,dn) …(5)
そして、求められたこの加工荷重予測値Fcを用いて、上述した新たな加工パターンによる荷重制御条件の制御、つまり加工荷重値の操作がなされ、その操作後の加工荷重値で荷重制御することにより、ずれ量dを補正した(ずれをなくした)加工が行われる(同ステップ30参照)。
【0023】
以上は、引張りローラ3に係る荷重制御条件(ずれ量d)の補正の場合について述べたが、圧延ローラ4についても上述した引張りローラ3における場合と同様に荷重制御条件(ずれ量d)の制御が行われ、ずれ量dを補正した加工が行われる。
この場合、図3は、図2中のステップ24における圧延ローラ4の早送りの際の速度パターンに相当する。また図4は、初期正常時における図2中のステップ24において、図3に示す速度パターンで圧延ローラ4を早送りしたときの同ステップ25におけるロードセル7の出力信号波形、つまり初期正常時の圧延荷重応答に相当する。更に図5は、今回(各加工回)における図2中のステップ24において、図3に示す速度パターンで圧延ローラ4を早送りしたときの同ステップ25におけるロードセル7の出力信号波形、つまり今回の圧延荷重応答に相当する。
【0024】
なお、本発明においては、上述実施例に対して次のような変形例が実施可能である。
すなわち、圧延ロードセル及び引張りロードセルによって測定される荷重値(荷重応答特性)の代用として、圧延モータ、引張りモータの各発生トルク値を用いてもよい。
また、引張りローラ、圧延ローラの移動時に、これを案内する各ガイド及びローラ回転軸支持体(図示せず)との間に新たにロードセルを設置し、その荷重応答を圧延ロードセル及び引張りロードセルによって測定される荷重値(荷重応答特性)の代用としてもよい。
荷重制御条件及び荷重予測式の補正(ずれ補正)を、前回補正を実施したときのずれ量と、今回加工時のずれ量の差が第1閾値を超えたときではなく、加工毎(各加工回)毎に行うようにしてもよい。また、荷重応答特性の自動検定(ずれ量を求める自動検定)及びこの検定結果に基づくずれ補正を所定の加工回数毎に行うようにしてもよい。
更に、荷重応答特性の自動検定及びこの検定結果に基づくずれ補正の時期を、引張りローラ、圧延ローラの加工前の移動時ではなく、加工後の移動時(戻し移動時)等、加工前以外の移動時としてもよい。加工後の移動時(戻し移動時)とした場合には、ずれ補正された荷重制御条件による加工は次回の加工時以降となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明方法の一実施形態の説明図である。
【図2】同上方法におけるずれ補正を説明するためのフローチャートである。
【図3】同じくローラの早送り速度パターンを示す図である。
【図4】同じく初期正常時の引張り荷重応答を示す波形図である。
【図5】同じく今回加工時の引張り荷重応答を示す波形図である。
【符号の説明】
【0026】
1:無端状金属ベルト素材、2:固定ローラ、3:引張りローラ、4:圧延ローラ、5,6,8:モータ、7:圧延ロードセル(圧延ローラ荷重測定手段)、9:引張りロードセル(引張りローラ荷重測定手段)、12:演算・制御装置。





 

 


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