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作業補助装置 - 国立大学法人 名古屋工業大学
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発明の名称 作業補助装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−38059(P2007−38059A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2005−222560(P2005−222560)
出願日 平成17年8月1日(2005.8.1)
代理人 【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
発明者 佐野 明人 / 望山 洋 / 武居 直行 / 菊植 亮 / 藤本 英雄 / 村山 英之 / 満田 建一 / 山岡 正明
要約 課題
予め目標軌道を記憶させずとも対象物を目標軌道に追従させやすいように操作子の操作反力を制御する。

解決手段
作業補助装置10の移動機構11は塗布器具30と操作子18を有している。操作子18は、移動機構11によって移動させる基準点Pの移動位置を指示するために、作業者が並進操作と回転操作を加えることができる。コントローラ22は、操作子18に固定されている基準線(x軸)の方向と並進操作方向のなす角が大きいほど、並進操作に対して大きな操作反力を操作子18に付与するように移動機構11のアクチュエータ群16を制御する。また回転操作に応じて塗布器具30に固定された基準点Pを中心として塗布器具30を回転させる。これにより塗布器具30のx軸方向を目標軌道Lの方向に一致させつつ、基準点Pを目標軌道Lに沿って移動させることが容易になる。
特許請求の範囲
【請求項1】
作業者が対象物に固定されている基準点を目標軌道に沿って移動させる作業を補助する装置であり、
対象物を支持可能であり、支持した対象物を動力を利用して移動させる移動機構と、
移動機構によって移動させる基準点の移動位置を指示するために、作業者が並進操作と回転操作を加えることが可能な操作子と、
操作子の並進操作に抗する反力を操作子に加える反力付与機構と、
反力付与機構が付与する反力を制御する反力付与機構用制御器を備えており、
反力付与機構用制御器は、操作子に固定されている基準線の方向と並進操作方向のなす角が大きいほど、並進操作に対して大きな反力を付与することを特徴とする作業補助装置。
【請求項2】
操作子と対象物が移動機構上の同一の剛体に支持されており、
反力付与機構と移動機構が兼用されていることを特徴とする請求項1の作業補助装置。
【請求項3】
作業者が対象物に固定されている基準点を目標軌道に沿って移動させる作業を補助する装置であり、
対象物を支持可能であり、支持した対象物を動力を利用して移動させる移動機構と、
移動機構によって移動させる基準点の移動位置を指示するために、作業者が並進操作と回転操作を加えることが可能な操作子と、
操作子の並進操作を拘束する拘束機構と、
拘束機構による拘束強さを制御する拘束機構用制御器を備えており、
拘束機構用制御器は、操作子に固定されている基準線の方向と並進操作方向のなす角が大きいほど、並進操作を強く拘束することを特徴とする作業補助装置。
【請求項4】
操作子と対象物が移動機構上の同一の剛体に支持されており、
拘束機構と移動機構が兼用されていることを特徴とする請求項3の作業補助装置。
【請求項5】
移動機構は、操作子の回転操作に応じて対象物に固定されている基準点を回転中心にして対象物を回転させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項の作業補助装置。
【請求項6】
作業者が対象物に固定されている基準点を目標軌道に沿って移動させる作業を補助する装置であり、
対象物を支持可能であり、支持した対象物を動力を利用して移動させる移動機構と、
移動機構を制御する移動機構用制御器と、
移動機構によって移動させる基準点の移動位置を指示するために、作業者が並進操作力と回転操作力を加えることが可能な操作子と、
作業者が操作子に加えている並進操作力を、操作子に固定されている基準線の方向に沿った操作力とそれに交差する方向の操作力に区別して検出する操作力検出器を備えており、
操作子は、回転操作力によって回転させることが可能であり、
移動機構用制御器は、同じ並進操作力に対して、操作子に固定されている基準線の方向には対象物を大きく移動させ、基準線と交差する方向には対象物を小さく移動させることを特徴とする作業補助装置。
【請求項7】
前記移動機構用制御器は、並進操作力を入力値とし、少なくとも摩擦力の項を含む、基準点の運動を規定する運動方程式を計算するアルゴリズムを備えており、
前記運動方程式では、基準線の方向には小さな摩擦力が設定されており、基準線に交差する方向には大きな摩擦力が設定されていることを特徴とする請求項6の作業補助装置。
【請求項8】
操作子と対象物が移動機構上の同一の剛体に支持されていることを特徴とする請求項6又は7の作業補助装置。
【請求項9】
操作力検出器は、回転操作力を検出可能であり、
移動機構用制御器は、検出された回転操作力に応じて対象物に固定されている基準点を中心にして対象物を回転させることを特徴とする請求項6から8のいずれかの作業補助装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者がワークや作業器具などの対象物を目標軌道に沿って移動させる作業を補助する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークや作業器具などの対象物を支持し、モータ等の動力を利用して対象物を移動させる移動機構が知られている。対象物に実現させたい移動量を指示するために、作業者が操作子を操作するという技術も知られている。作業者による操作子の操作量に比例するように移動機構の移動量を制御すれば、作業者の操作によって対象物の移動を制御することができる。この技術によると、重量のある対象物を作業者が軽い力で移動させることが可能となる。
ワークや作業器具などの対象物を目標軌道に沿って移動させたい場合が多く存在する。例えば、ガラスの縁に沿って接着剤を塗布するために、接着剤塗布器具をガラスの縁に沿って移動させたい場合がある。この例ではガラスの縁に沿った軌道が目標軌道に相当する。この場合、接着剤塗布器具の位置のみならず、ガラス面内における接着剤塗布器具の回転方向も重要となる。接着剤塗布器具は重く、作業者が接着剤塗布器具を長時間保持している作業の作業負荷は高い。接着剤塗布器具にはホース類が接続されており、接着剤塗布器具の回転方向を作業者が直接的に調整する作業の作業負荷も高い。このような場合には、モータ等の動力源を利用して接着剤塗布器具の位置と回転方向を変える移動機構を利用し、別に用意されている操作子の位置と回転方向に追従して接着剤塗布器具の位置と回転方向が変化するようにすれば、作業者は軽い力で接着剤塗布器具の位置と回転方向を調整することができる。これによってガラスの縁に沿って接着剤を塗布する作業者の作業負荷が軽減される。
【0003】
作業者が操作子を操作する場合、作業負荷を軽減するためには、作業者が小さな力で操作子を操作できることが好ましい。しかしながら、操作に要する力を単に小さくすることができても操作しづらい状況が生じる。対象物を実際に移動させるときには大きな力が必要とされる作業を、小さな操作力で実施できるようにすると、操作子を操作する作業者が違和感を覚え、操作しづらくなってしまうからである。操作力を適度に調整する工夫が必要とされる。適度な操作力で対象物を移動させることができれば対象物を目標軌道に沿って移動させる作業等がし易くなる。なお、作業者が「操作に要する力」は、作業者が操作子から受ける反力(操作反力と称する)と大きさが同じで向きが逆となる関係にある。従って、操作力を適度に調整するとは、操作反力を積極的に制御することに他ならない。
【0004】
操作反力を積極的に制御することによって、作業者による操作を案内することが可能となる。特許文献1に、予め目標軌道を記憶しておく作業補助装置が開示されている。この作業補助装置は、目標軌道から両側に所定距離だけ伸びている作業エリアと、その外側に隣接するリミットエリアを計算し、操作子の操作によって移動機構に支持された対象物がリミットエリアに侵入する場合には操作子に強い操作反力が加わるようにしている。この作業補助装置によると、対象物が作業エリアを外れてリミットエリアに侵入するような操作をしようとすると、その操作に対して強い反力が働くことになり、作業エリアを外れてリミットエリアに侵入するような操作が抑制される。
【0005】
【特許文献1】特開2005−14133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
目標軌道が既知である場合には特許文献1の技術が有効である。しかしながら、目標軌道が未知である場合には特許文献1の技術を利用することができない。例えば、ガラスの縁に沿って接着剤を塗布する場合、予定外の形状のガラスに対して接着剤を塗布する場合には、特許文献1の技術を利用することができない。
本発明は、目標軌道が未知であっても、目標軌道から外れるような操作に対しては強い操作反力が生じるようにし、もって目標軌道から外れるような操作を抑制する機能を備えている作業補助装置を実現するために創作された。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例えば予定外の形状のガラスの縁に沿って接着剤を塗布する作業が必要とされる場合、作業補助装置には目標軌道が与えられていない。しかしながら、作業者はガラスの形状を視認することによって、目標軌道を把握することができる。
接着剤塗布器具のように方向性を持った作業器具を用いる場合、作業者は作業器具を目標軌道に対して一定の角度に維持しつつ作業器具を目標軌道に沿って移動させなければならない。そのため作業者は、作業器具が目標軌道に対して一定の角度に維持されるように操作子を回転操作する。作業器具を目標軌道に対して一定の角度に維持するということは、対象物に固定されている基準線の方向が、目標軌道が伸びる方向と一致することを意味する。対象物に固定されている直線であって、作業者が目標軌道に沿うように回転させる線を対象物に固定されている基準線と称する。このとき、対象物に固定されている基準線に対応させて、操作子に固定されている基準線を定義することができる。操作子に固定されている基準線の方向から目標軌道が伸びる方向を作業補助装置が把握することができる。
作業器具を目標軌道に対して一定の角度に維持する必要のない場合(例えば方向性のない作業器具を作業補助装置で移動させる場合)でも、作業者は操作子に固定されている基準線の方向を目標軌道が伸びる方向に一致するように操作子を操作する習性を備えている。このために、操作子に固定されている基準線の方向から目標軌道が伸びる方向を把握することができる。この場合には定義した操作子に固定された直線を「操作子に固定されている基準線」と称する。
本発明では、この事象を活用する。操作子に固定されている基準線が向いている方向から目標軌道が伸びている方向を作業補助装置が把握し、作業者が操作する操作子について、目標軌道に沿った操作に対しては軽く操作できるようにする一方、目標軌道から離れようとする操作に対しては大きな操作反力が得られる作業補助装置を実現する。
【0008】
本発明の作業補助装置は、対象物(例えば接着剤塗布器具に例示されるように、基準点が固定されている物体であって、作業補助装置を利用して移動させたい物体をいう)に固定されている基準点を目標軌道に沿って移動させる作業を補助する。
この作業補助装置は、対象物を支持可能であり、支持した対象物を動力を利用して移動させる移動機構と、移動機構によって移動させる基準点の移動位置を指示するために、作業者が並進操作と回転操作を加えることが可能な操作子と、操作子の並進操作に抗する反力を操作子に加える反力付与機構と、反力付与機構が付与する反力を制御する反力付与機構用制御器を備えている。
本発明の作業補助装置では、反力付与機構用制御器が、操作子に固定されている基準線の方向と並進操作方向のなす角が大きいほど、並進操作に対して大きな反力を付与することを特徴とする。
【0009】
ここでいう対象物の基準点は、目標軌道に沿わせたい点を意味し、対象物が例えば接着剤塗布器具であれば、接着剤吐出ポイントをいう。
対象物が異方性を有しない場合であっても、作業者は操作子に固定されている基準線の方向が目標軌道の方向に一致するように操作子を回転させる。このことによって、作業補助装置は目標軌道が伸びる方向を把握することができる。
【0010】
上記構成によれば、作業者は対象物の基準点の移動位置と移動方向を装置に指示するために操作子に並進操作と回転操作を加える。このとき、操作子に固定されている基準線の方向と並進操作方向のなす角が大きいほど、並進操作に対して大きな反力が付与される。
作業補助装置には目標軌道が未知であっても、操作子に固定されている基準線の方向から目標軌道が伸びている方向が判明する。基準線の方向と並進操作方向のなす角が大きいほど、目標軌道が伸びている方向から離れる方向に向けた操作であることがわかる。上記構成によれば、目標軌道が伸びている方向から離れる方向に向けた操作に対しては操作子に大きな反力が付与されるために、対象物の基準点が目標軌道から離れる操作が抑制される。なお、操作子に固定されている基準線の方向は操作子の回転角度から把握することができる。
例えばガラスの縁に沿って接着剤を塗布する作業の場合、接着剤塗布器具をガラスの縁から離れる方向に操作子を操作する場合には大きな反力が操作子に付与されるために、ガラスの縁から離れる方向の操作が抑制される。作業補助装置には未知である形状のガラスが供給されても、操作子に固定されている基準線の方向からガラスの縁が伸びている方向(即ち目標軌道の伸びている方向)が判明し、そのガラスの縁から離れる方向の操作を抑制しながらガラスの縁に沿って接着剤塗布器具を移動させる操作を補助することが可能となる。
【0011】
反力付与機構と移動機構が独立に設けられていてもよいが、反力付与機構と移動機構を兼用することもできる。この場合は、操作子と対象物を移動機構上の同一の剛体で支持する。移動機構で支持されている対象物が操作子を兼用していてもよい。
操作子と対象物が同一の剛体で支持されていれば、移動機構が備えているモータ等の動力と、作業者が加える操作力によって対象物が移動する。モータ等の動力によって対象物を移動させるのに要する力が補助されるので、対象物を移動させるために作業者に必要とされる操作力は軽減される。
対象物を移動させるのに要する力とモータ等から得られる力の差は作業者が加える力に相当する。作業者は、対象物を支持している剛体に取り付けられた操作子を介して前記した「力の差」に相当する反力を受ける。この「反力」が本明細書でいう操作反力に相当する。一つの機構が、モータ等の動力を利用して対象物を移動させる移動機構であり、同時に、作業者に操作反力を感じさせる反力付与機構でありえる。
この構成によると、移動機構と反力付与機構を別々に設ける必要がなく、作業補助装置の機械的構成を単純化することができる。
【0012】
本発明の補助装置は、別の見方をすると、対象物を支持可能であり、支持した対象物を動力を利用して移動させる移動機構と、移動機構によって移動させる基準点の移動位置を指示するために、作業者が並進操作と回転操作を加えることが可能な操作子と、操作子の並進操作を拘束する拘束機構と、拘束機構による拘束強さを制御する拘束機構用制御器を備えており、その拘束機構用制御器が、操作子に固定されている基準線の方向と並進操作方向のなす角が大きいほど、並進操作を強く拘束する装置であると定義することもできる。
拘束機構は、モータ等の動力を利用する代わりに、ブレーキ等の制動装置を利用して構築することもできる。
【0013】
拘束機構を用いる場合も、拘束機構と移動機構を独立に設けることができる。独立に設ける場合には、ブレーキ等の制動装置を利用して拘束機構を構成することができる。モータ等の動力を持たない拘束機構を構成することができる。
拘束機構と移動機構を兼用することもできる。この場合は、操作子と対象物を移動機構上の同一の剛体で支持する。移動機構で支持されている対象物が操作子を兼用していてもよい。
ブレーキ等の制動装置の代わりにモータ等の動力を利用することによって、移動機構と拘束機構を兼用する機構を実現することができる。
【0014】
また本作業補助装置の移動機構は、操作子の回転操作に応じて対象物に固定されている基準点を回転中心にして対象物を回転させることが好ましい。
例えば対象物として接着剤塗布器具を用いてガラスの縁に沿って接着剤を塗布する作業を考えた場合、ガラスの縁に沿って(この場合、ガラスの縁が目標軌道に相当する)塗布器具先端の接着剤吐出ポイント(このポイントが基準点に相当する)を移動させる必要がある。ガラスの2辺の接点である角部では基準点をガラスの縁から外すことなく接着剤の吐出方向を変更させる必要がある。そのような場合に塗布器具の吐出ポイントに固定されている基準点を中心として塗布器具を回転させることによって、吐出ポイントをガラスの縁(即ち目標軌道)から外すことなく塗布器具の方向をガラスの次の縁に沿った方向に変えることができる。このとき、塗布器具の方向をガラスの次の縁の方向に変えるために操作子を回転させるので、操作子に固定されている基準線の方向もまたガラスの次の縁の方向となる。次の縁に沿って塗布器具を移動させる際に、ガラスの次の縁の方向(即ち目標軌道が伸びている方向)から離れる方向に向けた操作に対しては大きな反力が付与されるために、対象物の基準点が目標軌道から離れる操作が抑制される。
即ち、操作子の回転操作に応じて対象物に固定されている基準点を回転中心にして対象物を回転させることによって、目標軌道が曲線部や屈曲部を含む場合であっても、対象物に固定されている基準点を目標軌道から外すことなく、かつ目標軌道に沿った方向へ対象物を移動させる操作を補助することが可能となる。
【0015】
本発明はまた、対象物を支持可能であり、支持した対象物を動力を利用して移動させる移動機構と、移動機構を制御する移動機構用制御器と、移動機構によって移動させる基準点の位置を指示するために、作業者が並進操作力と回転操作力を加えることが可能な操作子と、作業者が操作子に加えている並進操作力を、操作子に固定されている基準線の方向に沿った操作力とそれに交差する方位の操作力に区別して検出する操作力検出器を備えている作業補助装置に具現化することもできる。操作子は、回転操作力によって回転させることが可能である。
この作業補助装置の移動機構用制御器は、同じ並進操作力に対して、操作子に固定されている基準線の方向には対象物を大きく移動させ、基準線と交差する方向には対象物を小さく移動させることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、操作子に同じ並進操作力が加わった場合でもその方向によって対象物の移動量が異なる。並進操作力が操作子の基準線の方向に沿っている場合には対象物が大きく移動させ、操作子の基準線と交差する方向の場合には対象物を小さく移動させる。従って操作子の基準線を目標軌道が伸びる方向に合わせれば、作業者が対象物を移動させる作業に対して基準線の方向(即ち目標軌道が伸びる方向)から外れ難くしつつ作業を補助することができる。
【0017】
移動機構用制御器は、並進操作力を入力値とし、少なくとも摩擦力の項を含む、基準点の運動を規定する運動方程式を計算するアルゴリズムを備えていることが好ましい。そして運動方程式では、基準線の方向には小さな摩擦力が設定されており、基準線に交差する方向には大きな摩擦力が設定されていることが好ましい。移動機構用制御器はアルゴリズムに従って基準点の運動を計算する。計算された基準点の運動が実現されるように移動機構を制御する。移動機構用制御器が移動機構を制御するには、対象物の位置(あるいは速度、あるいは加速度)に着目して制御してもよいし、移動機構が備えているモータ等のトルクに着目して制御してもよい。
例えば移動機構用制御器の制御ロジック内で対象物に固定されている基準点に対して仮想質量や仮想摩擦力を設定した運動方程式を定義する。その運動方程式の力の項に並進操作力を代入して基準点の加速度を計算する。得られた加速度が実現されるように移動機構を制御すればよい。
このとき例えば操作子に固定されている基準線の方向には運動方程式中の摩擦力を小さく設定されており、基準線と交差する方向には運動方程式中の摩擦力を大きく設定されている。従って同じ並進操作力に対して、操作子に固定されている基準線の方向には対象物を大きく移動させ、基準線と交差する方向には対象物を小さく移動させることができる。
【0018】
操作子と対象物が移動機構上の同一の剛体に支持されていることが好ましい。操作子と対象物が移動機構上の同一の剛体に支持されていれば、同じ並進操作力に対して、操作子に固定されている基準線の方向には対象物を大きく移動させ、基準線と交差する方向には対象物を小さく移動させることによって、結果的に操作子に固定されている基準線の方向と並進操作方向のなす角が大きいほど、並進操作に対して操作子から大きな反力が付与されることになる。このことはまた、前記の角度が大きいほど、操作子の並進操作を強く拘束する結果ともなる。
【0019】
操作力検出器は、回転操作力を検出可能であり、移動機構用制御器は、検出された回転操作力に応じて対象物に固定されている基準点を中心にして対象物を回転させることが好ましい。これによって、目標軌道が曲線や屈曲部を含む場合であっても、対象物に固定されている基準点を目標軌道から外すことなく、かつ目標軌道に沿った方向へ対象物を移動させる操作を補助することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本願発明によれば、目標軌道を予め作業補助装置に記憶しておく必要がない。作業補助装置にとっては未知な目標軌道に沿って対象物を移動させる作業を補助することができる。作業者が、目標軌道が伸びている方向に操作子に固定されている基準線の方向を合わせるように操作子を回転させることによって、目標軌道に沿った方向には操作子を軽く操作できる一方、目標軌道から離れる方向には大きな操作力を加えないと操作子を操作できない結果を得ることができる。目標軌道に追従しやすいように操作反力を制御できる。作業者が目標軌道に一致させつつ対象物を移動させる作業を補助する装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
実施例の主要な特徴を列記する。
(第1形態) 対象物は作業器具であり、作業器具をオンオフするためのスイッチ類が操作子に設定されている。作業者は操作子を操作しながら、スイッチ類を操作することができる。
【実施例】
【0022】
図1に本発明に係る一実施例の作業補助装置10の概略図を示す。この実施例における作業補助装置は、塗布器具30を用いてフロントガラスWの周囲に接着剤を塗布する作業を補助する装置である。フロントガラスWの周囲に示した点線Lが接着剤を塗布すべきラインでありこれが目標軌道Lに相当する。
作業補助装置10は、対象物である塗布器具30を支持して移動させる移動機構11と、移動機構11を制御するコントローラ22を備えている。移動機構11は、操作子18をも支持しており、操作子18に操作反力を付与する機構を兼用している。コントローラ22は、操作反力を制御する機能をも併せ持っている。操作子18に操作反力を付与する機構は、同時に操作子18の操作を拘束する機構でもある。操作反力が強い状態は、操作子18の操作を強く拘束する状態でもある。操作反力が弱い状態は、操作子18の操作を弱く拘束する状態でもある。コントローラ22は、拘束状態の強弱を制御する機能をも併せ持っている。
【0023】
移動機構11の基部13は床に固定されている。基部13には支柱13bが固定されている。支柱13bには関節14aを介して可動部12aが揺動可能に連結されている。可動部12aには関節14bを介して可動部12bが揺動可能に連結されている。可動部12bには関節14cを介して可動部12cが揺動可能に連結されている。関節14aは、支柱13bに対して垂直方向と水平方向に揺動可能な2軸の関節である。関節14bと14cは、1軸の関節である。
関節14a、14b、14cの夫々には、関節角を変えるためのアクチュエータ16a、16b、16cが配置されている。アクチュエータ16aは、2軸の関節14aの関節角を変えることができるアクチュエータであり、2本の出力軸を備えている。アクチュエータ16b、16cは、1軸のアクチュエータである。
アクチュエータ群16によって関節群14を動作させることができる。アクチュエータ群や関節群を総称する場合には、添え字a,b,cを省略して説明する。アクチュエータ群16を利用することによって、可動部12cの先端を、移動機構11の可動範囲内の任意の位置へ移動させることができる。また、可動部12cが伸びる方向を任意の向きに向けることができる。
関節14a、14b、14cの夫々には、位置センサ15a、15b、15cが備えられている。位置センサ15はエンコーダ等である。
【0024】
移動機構11の先端の可動部12cには、塗布器具30が固定されている。塗布器具30には接着剤を供給する供給ホース34が接続されている。塗布器具30の先端からは接着剤が吐出する。接着剤をフロントガラスWに設定された塗布ラインL(目標軌道Lに相当する)に沿って塗布するために、塗布器具30はその先端を塗布ラインLに対して一定の傾斜角に保たねばならない。そして塗布器具30はその傾斜角を維持したまま塗布ラインLに沿って移動させねばならない。
塗布器具30の先端に基準点Pを設定する。基準点Pは塗布ラインLに沿って移動させるべき点となる。また基準点Pを座標原点とするローカル座標系xyzを設定する。ローカル座標系xyzは塗布器具に固定された座標系である。ローカル座標系xyzのx軸は、塗布器具30が前記傾斜角を維持したまま塗布ラインLに沿って移動させる方向に設定される。z軸は、x軸に直交するとともに、操作子18と平行に伸びている。y軸は、x軸とz軸に直交している。基準点Pが目標軌道L上に位置し、x軸が目標軌道Lに沿って伸びるとき、目標軌道L上に接着剤を塗布することができる。作業者には、操作子18を操作することによって、基準点Pが目標軌道L上に位置し、x軸が目標軌道Lに沿って伸びる位置関係を維持することが求められている。
【0025】
移動機構11の先端の可動部12cには、力センサ20が配置されており、その上に操作子18が配置されている。
本実施例では、塗布器具30と操作子18が共に移動機構11の先端の可動部12cによって支持されている。可動部12c自体は剛体である。即ち、塗布器具30と操作子18が共に移動機構11上の同一の剛体である可動部12cに支持されている。塗布器具30と操作子18が同一の剛体に支持されているので、ローカル座標系xyzのx軸は操作子18に対しても固定されている。本実施例ではローカル座標系xyzのx軸が「操作子に固定されている基準線」に相当する。
作業者が操作子18に操作力を加えると、その操作力は力センサ20によって検出される。力センサ20はローカル座標系の3軸の各方向に加わる力と各軸回りのモーメントを検出することができる。検出された操作力はコントローラ22に送られる。コントローラ22は、操作力に応じて塗布器具30が移動するように、移動機構11のアクチュエータ群16を制御する。コントローラ22の内部構造と制御については図2により後述する。
【0026】
コントローラ22は、床に固定されている絶対座標系で基準点Pの位置が与えられ、基準点Pの次の移動位置と姿勢が与えられると、与えられた移動位置と姿勢を実現する関節14a、14b、14cの関節角を計算し、計算された関節角に調整する機能を備えている。実際の関節角を計算された関節角に一致させるために、位置センサ15a、15b、15cの検出値が利用される。
【0027】
本実施例では、フロントガラスWがワーク回転支持軸26を介してワーク支持装置24に支持されている。ワーク支持装置24はワーク回転支持軸26によってフロントガラスWを回転軸Cの周りに角速度ωで回転させる。従って接着剤を塗布すべき塗布ライン(目標軌道)Lも回転する。作業者は、回転する塗布ライン(目標軌道)L上に基準点Pを位置させ、しかも回転する塗布ライン(目標軌道)Lが伸びる方向に対して塗布器具30の先端を一定の傾斜角に維持したまま塗布器具30を塗布ライン(目標軌道)Lに沿って移動させねばならない。そのように塗布器具30を移動させるために作業者はローカル座標系xyzのx軸(基準線)の方向が塗布ライン(目標軌道)Lの方向を向くように操作子18を操作する。
【0028】
フロントガラスWが回転するので、作業者はフロントガラスWの周囲を歩き回ることなく、大きなフロントガラスWの周囲へ接着剤を塗布することができる。
フロントガラスWへの接着剤の塗布作業では、基準点Pが目標軌道Lに沿って移動し、かつローカル座標系のx座標の方向が目標軌道Lの方向に一致していることが重要である。目標軌道Lが絶対座標系に対して静止している必要はない。目標軌道Lが絶対座標系に対して回転ないし移動する場合であっても、基準点Pとx軸の方向が目標軌道Lに沿って動けばよい。
【0029】
次に本実施例によるコントローラ22の制御について概説する。
作業者が操作子18を操作すると、その操作力は力センサ20によって検出される。力センサ20からは、ローカル座標系のx、y、z軸方向の力成分と、x、y、z軸回りのモーメント成分に分解されて出力される。検出された操作力はコントローラ22に送られる。コントローラ22では、操作力に応じて塗布器具30が移動するように、移動機構11のアクチュエータ群16を制御する。より具体的には、コントローラ22は操作力の各軸成分に応じた移動量を計算する。計算した移動量だけ塗布器具30の先端に設定された基準点Pが移動するようにアクチュエータ群16を制御する。本実施例では、力センサ20の出力のうち各軸方向の力の成分に応じて基準点Pを並進させる移動量を計算する。力センサ20の各軸の力成分の方向を基準点Pを移動させる方向に対応させる。また、力センサ20の出力のうち各軸回りのモーメント成分に応じて基準点Pを回転させる回転量を計算する。モーメントの方向を基準点Pを回転させる方向に対応させる。
【0030】
次に図2のブロック図を用いて上記概説した機能を実現する作業補助装置10の構成を説明する。作業補助装置10は移動機構11とコントローラ22に大別できる。
移動機構11には、塗布器具30と、操作子18と、作業者が操作子18に加えた力を検出する力センサ20と、移動機構11の各関節14(図1参照)を動作させるアクチュエータ群16と、各関節14の位置(角度)を検出する位置センサ群15が含まれている。なお図2では、移動機構11に配置されている可動部群12と関節群14の図示を省略してある。
【0031】
コントローラ22は、データの記憶モジュールであるデータ記憶部50を有している。また演算モジュールである座標変換部54と移動量計算部56とアクチュエータドライバ60を有している。ここで記憶モジュールは、コントローラ22に内蔵されたメモリやハードディスク装置などである。あるいはコントローラ外部に設置された記憶装置であってもよい。演算モジュールは、コントローラ22に内蔵されたコンピュータのハードウエアとソフトウエアで実現してもよいし、専用の演算を行うハードウエアで実現してもよい。
【0032】
データ記憶部50には、基準点Pが塗布器具30のどこに設定されているかのデータが格納されている。また塗布器具30に設定されたローカル座標系xyzと塗布器具30の形状との相対関係のデータが格納されている。さらに移動機構11の基部13から先端までの可動部群12の幾何学的な連結構造のデータが格納されている。移動機構11に対する塗布器具30の取り付け位置のデータも格納されている。移動機構11に対する力センサ20の取り付け位置のデータも格納されている。
操作子18には作業者によって操作力が加えられる。操作力には力とモーメントがある。加えられた操作力は力センサによって検出される。力センサから出力される力を操作力FIと称し、モーメントを操作モーメントMIと称することにする。操作力FIと操作モーメントMIはともに3次元ベクトル量である。検出された操作力FIと操作モーメントMIは座標変換部54に入力される。
座標変換部54は、機構部データ記憶部に格納された力センサの取り付け位置のデータと塗布器具30に設定されたローカル座標系xyzのデータから、操作力FIと操作モーメントMIをローカル座標系xyzの各軸成分に変換する。操作力FIのローカル座標系xyzのx軸成分をFIxで表す。同様にy軸成分をFIy、z軸成分をFIzで表す。
【0033】
ローカル座標系xyzの各軸成分に変換された操作力FIと操作モーメントMIは移動量計算部56に送られる。移動量計算部56では、操作力FIを基準点Pの移動量に変換する。移動方向は操作力FIの方向と一致させる。また操作モーメントMIを、基準点Pを中心とした対象物の回転量に変換する。回転方向は操作モーメントMIの方向(操作モーメントMIにより生じるトルクの方向)と一致させる。
まず操作力FIを移動量に変換する処理について説明する。本実施例では、次のインピーダンス制御則により操作力FIのローカル座標系xyzの各軸方向の力成分FIx、FIy、FIzからローカル座標系xyzにおける各軸方向の基準点Pの加速度を求める。
FIx=Mp・ddx+Cp・dx+frx ・・・(第1式)
FIy=Mp・ddy+Cp・dy+fry ・・・(第2式)
FIz=Mp・ddz+Cp・dz+frz ・・・(第3式)
上式においてMpは基準点Pでの仮想質量であり、Cpは仮想粘性抵抗係数であり、Frx、fry、frzは各軸の仮想摩擦力である。これらの値は予め設定されており移動量計算部56に記憶されている。また上式においてddxはローカル座標系xyzにおけるx軸方向の基準点Pの加速度であり、dxはx軸方向の基準点Pの速度である。同様にddyはy軸方向の基準点Pの加速度であり、dyはy軸方向の基準点Pの速度である。ddzはz軸方向の基準点Pの加速度であり、dzはz軸方向の基準点Pの速度である。作業前の基準点Pが静止した状態では加速度ddx、ddy、ddzと速度dx、dy、dzは全てゼロである。操作力FIが入力されると移動量計算部56は制御サンプリング毎に上式を計算して加速度ddx、ddy、ddzを求める。加速度を1回積分して各速度dx、dy、dzを求める。この速度dx、dy、dzに制御サンプリング時間Tを掛けた値dx・T、dy・T、dz・Tが制御サンプリング毎の基準点Pの移動量となる。
なお、上式においてローカル座標系xyzのy軸方向の仮想摩擦力fryとz軸方向の仮想摩擦力frzは、x軸方向の仮想摩擦力frxより十分大きな値に設定される。y軸方向の仮想摩擦力fryとz軸方向の仮想摩擦力frzをx軸方向の仮想摩擦力frxより十分に大きな値とすることで、FIx、FIy、FIzが同じ大きさであっても、基準点Pのy軸方向のサンプリング毎の移動量dy・Tとz軸方向のサンプリング毎の移動量dz・Tは、x軸方向のサンプリング毎の移動量dx・Tよりも小さくなる。換言すれば、操作力FIの単位操作力当たりの移動量の大きさは、対象物に固定されているローカル座標系のx軸方向への大きさが、y軸とz軸の方向への大きさよりも大きくなるように設定される。
【0034】
このことは、作業者がx軸方向には操作子18を操作しやすいのに対し、y軸とz軸方向には操作しがたい結果をもたらす。操作子に固定されている基準線(x軸)の方向に沿っては小さな反力しか受けず、よって軽く操作できるのに対し、基準線とのなす角度が大きい方向に向けて操作する場合には大きな操作力が必要とされる。基準線(x軸)の方向に沿ってはほとんど拘束されないのに対し、基準線とのなす角度が大きい方向に向けての操作は強く拘束される。
アクチュエータ群16の出力が、基準線(x軸)の方向に沿っては作業者が小さな並進操作力を加えるだけ大きく移動するのに対し、基準線とのなす角度が大きい方向に並進操作するためには大きな並進操作力が必要とされるように制御されることから、基準線(x軸)に沿った並進操作はほとんど拘束されないのに対し、基準線とのなす角度が大きい方向に向かう並進操作は強く拘束される。
アクチュエータ群16が、基準線(x軸)の方向に沿った並進操作はほとんど拘束されない(操作に要する力が小さくて済む)のに対し、基準線とのなす角度が大きい方向に向かう並進操作は強く拘束される(操作には大きな力を要する)ように制御されると、作業者は目標軌道Lに追従させやすい。基準線(x軸)の方向と目標軌道Lの伸びている方向が一致していることから、目標軌道Lから外れようとする操作は強く拘束されるからである。目標軌道Lに沿った操作に要する力は軽くてすむために(塗布器具30を実際に移動させるに要する力よりも軽い)、作業者の作業負荷が軽減される。
【0035】
次に操作モーメントMIを基準点Pの回りに対象物を回転させる回転量に変換する処理について説明する。ベクトル量である操作モーメントMIから、次式で表されるインピーダンス制御則により基準点Pのローカル座標系xyzの各軸回り回転角加速度ddAを求める。
MI=[Im]・ddA+[Cm]・dA+mr ・・・(第4式)
上式において、[Im]は基準点Pを中心としたローカル座標系xyzの各軸回りの仮想慣性モーメントを表す行列であり、[Cm]は基準点Pを中心とした各軸回りの仮想粘性係数を表す行列である。またmrは基準点Pにおけるローカル座標系xyzの各軸回りの仮想摩擦力を表す3次元ベクトルである。[Im]、[Cm]、mrは予め設定されており移動量計算部56に記憶されている。また上式においてddAは基準点Pにおけるローカル座標系xyzの各軸回りの角加速度を表すベクトルである。dAは基準点Pにおけるローカル座標系xyzの各軸回りの角速度を表すベクトルである。作業前の基準点Pが静止した状態では角加速度ddAと角速度dAの要素は全てゼロである。操作モーメントMIが入力されるとサンプリング周期毎に上記第4式を計算し、角加速度ddAを求める。角加速度ddAを1回積分して角速度dAを求める。この角速度dAにサンプリング時間Tを掛けた値dA・Tが制御サンプリング毎の基準点Pを中心とした対象物の回転量となる。
こうして基準点Pの制御サンプリング毎の並進方向の移動量dx・T、dy・T、dz・Tと回転量dA・Tが求まる。
【0036】
計算された基準点Pの移動量と回転量はアクチュエータドライバ60へ送られる。アクチュエータドライバ60は、データ記憶部50から移動機構11の可動部群12の幾何学的配置のデータを読み込む。同時に位置センサ群15から関節群14の位置データ(回転関節の場合は角度データ)を取得する。アクチュエータドライバ60では、可動部群12の幾何学的配置のデータと関節群14の位置データに基づいて、計算された基準点Pの移動量と回転量を実現するための各関節14の次のサンプリング時の位置を計算する。アクチュエータドライバ60は計算された各関節14の位置を指令値として各関節14に備えられた各アクチュエータ16へ出力する。各アクチュエータ16は指令値に基づいて各関節14を駆動する。その結果、基準点Pは計算された移動量と回転量の分だけ移動(回転)する。
移動量計算部56とアクチュエータドライバ60は上記処理を制御サンプリング毎に実行する。
【0037】
次に図3と図4を用いて基準点Pの動作を例示する。図3と図4では、説明を簡単にするため基準点Pの動きを2次元に限定する。塗布器具30は移動機構11の先端に取り付けられている。また力センサ20も移動機構11の先端に取り付けられている。力センサ20の上方(紙面の垂直上方)に操作子18が取り付けられている。移動機構11は可動部12a、12b、12cと、相互に隣接する可動部12を揺動可能に連結する関節14a、14b、14cで連結されている。関節14aの回転軸(不図示)は絶対座標系XYに固定されており関節14aは移動することなく、可動部12aを回転させる機能を果たす。また各関節14には夫々アクチュエータ16a、16b、16cが配置されている。なお図3と図4には位置センサ群15は図示を省略してある。また図3と図4に示す可動部群12と関節群14のリンク構成は図1の移動機構11を上方から見たときのリンク構成と一致するように描いてある。
図3と図4の移動機構11は3関節(14a、14b、14c)と3リンク(12a、12b、12c)からなる機構である。従ってアクチュエータ群16によって先端に取り付けられた塗布器具30を移動機構11の可動範囲内で任意の位置と姿勢にすることができる。
塗布器具30にはその先端に基準点Pが設定されている。基準点Pが目標軌道Lに沿って移動させたい塗布器具30の部位である。塗布器具30にはこれに固定されているローカル座標系xyが設定されている。図1ではローカル座標系xyzの原点は基準点Pに一致させて示したが、図3と図4ではローカル座標系xyzの原点は力センサ20の中心に位置するように配置されている。また力センサ20に固有の座標系はローカル座標系に一致しているものとする。従って図3と図4の例では、図2に示した座標変換部54は不要となる。ローカル座標系xyのx方向が目標軌道Lに一致させたい塗布器具30の方向に設定してある。即ちローカル座標系xyzのx軸が塗布器具30に固定されている基準線に相当する。また塗布器具30と操作子18はひとつの可動部12c(剛体である)に支持されている。従ってローカル座標系xyzのx軸は操作子18に固定されている基準線でもある。
図3にはまた目標軌道Lが示されている。目標軌道Lは目標軌道L1と目標軌道L2の2つの直線からなる。目標軌道L1と目標軌道L2は点Sで屈曲して連続している。図3では基準点Pが目標軌道Lのうち目標軌道L1上に位置している状態を示してある。なお図3と図4では目標軌道Lは絶対座標系XYに対して静止しているものとする。
図3の状態で作業者は操作子18に対して操作力FIを加える。作業者は基準点Pを目標軌道L1に沿って移動させたいので操作力FIの方向はほぼL1に沿った方向になる。従って操作力FIのうちローカル座標系xyのx軸方向の成分FIxはy軸方向の成分FIyよりも大きくなる傾向となる。
【0038】
操作力FIに対して第1式と第2式から求まる基準点Pの並進方向の移動量dx・T(Tはサンプリング時間)とdy・Tが計算される(図3、図4ではXYの2次元平面に限定しているので第3式は使用しない)。ここでdy・Tを計算するための第2式における仮想摩擦抵抗fryは第1式における仮想摩擦抵抗frxより十分に大きな値に設定されている。その上FIyはFIxよりも小さくなる傾向なのでx軸方向の移動量dx・Tに対してy軸方向の移動量dy・Tは小さな値となる。その結果、基準点Pが目標軌道L1に一致しており、塗布器具30に設定されたローカル座標系xyのx軸方向が目標軌道L1の方向と一致している状態では目標軌道L1の方向と一致しているx軸方向には基準点Pは移動させ易く目標軌道Lに直交する方向であるy軸方向には移動させ難くなる。換言すれば、塗布器具30をy軸方向へ一定量だけ移動させるための操作力FIyは、塗布器具30をx軸方向へ一定量だけ移動させるための操作力FIxよりも大きな値となる。これは即ち、作業者が塗布器具30をy軸方向へ一定量だけ移動させる際に操作子18から受ける反力は、塗布器具30をx軸方向へ一定量だけ移動させるため際に操作子18から受ける反力よりも大きな値となることを意味する。操作子18に固定されている基準線(x軸)の方向と操作力のなす角度が大きいほど作業者は大きな反力を受けることとなる。
作業者は操作力FIを概ね目標軌道L1の方向に加えれば、基準点Pを目標軌道L1から外すことなくかつx軸の方向を目標軌道L1と一致させたまま基準点Pを移動させることができる。
【0039】
図4は塗布器具30bを目標軌道L1に沿って移動させた結果、基準点Pが目標軌道Lの屈曲点Sに到達したときの様子を示してある。移動機構11の構成は図3で説明したものと同一である。塗布器具30が目標軌道L1に沿って移動し、基準点Pが目標軌道L1とL2の屈曲点Sに到達した段階では塗布器具は30bの2点鎖線で示す姿勢となっている。この時点では塗布器具30bのx軸方向は目標軌道L1の方向と一致している。移動機構11は2点鎖線11bで示す姿勢となる。ここで作業者は2点鎖線18bの位置にある操作子18bに対して紙面上で左回転方向の操作モーメントMIを加える。この操作モーメントMIに対して移動量計算部56は基準点Pを中心に対象物30を操作モーメントMIの方向と同じ方向に回転させるサンプリング毎の回転量dA・T(Tはサンプリング時間)を算出する。この回転量dA・Tによって塗布器具30は基準点Pの位置を変えることなくサンプリング毎にdA・Tずつ回転する。塗布器具30に固定されたローカル座標系xyのx軸方向が次の目標軌道であるL2の方向と一致した時点で作業者は操作モーメントMIを加えることを止める。すると塗布器具30は実線30cで示した位置まで回転する。即ち操作モーメントMIを操作子に加えることによって、基準点Pの位置を目標軌道L上の点Sからずらすことなく塗布器具30に固定されているx軸の方向を次の目標軌道L2の方向に向けることができる。このとき移動機構11は実線11cで示した姿勢となる。移動機構の、2点鎖線11bで示す姿勢から実線11cで示す姿勢への移動は、基準点Pを移動させずに塗布器具を2点鎖線30bに示す姿勢から実線30cで示す姿勢へ回転させるための軌跡を描く。この移動機構11の軌跡は、基準点Pを中心として塗布器具30を回転させるようにアクチュエータドライバ60(図2参照)で計算された軌道である。
塗布器具30cに固定されているx軸の方向が次の目標軌道L2の方向と一致した時点で操作者は再びローカル座標系xyzのx軸方向に操作力FIを加える。そうすれば図3での説明と同様にx軸の方向を目標軌道L2の方向に一致させたまま基準点Pを目標軌道L2に沿って容易に移動させることができる。
図3と図4を用いた上記説明は、3次元空間に拡張しても同様に適用可能である。
【0040】
なお、上記では、第1式から第4式の関係を満たすように、基準点Pの位置を求め、その位置を実現するように関節郡14の移動量(関節14が回転揺動の場合は回転角)を決定した。これに代えて、仮想質量Mp、仮想慣性モーメント[Im]を有する基準点Pが第1式から第4式で表される運動方程式に従うように関節群14が発生すべき力(回転揺動の場合はトルク)を計算し、アクチュエータ郡16のトルクを制御してもよい。
以上では、移動機構11が、反力付与機構であり、拘束機構でもある。移動機構11と反力付与機構を別に分けてもよい。分けることによって、実際の塗布器具30から離れた位置にある操作子18を操作することができる。遠隔地で作業者が操作することができる。また、移動機構11が、反力付与機構であり、拘束機構でもあるため、移動機構11を制御するコントローラ11が移動機構用制御器であり、反力付与機構用制御器でもあり、拘束機構用制御器でもある。
【0041】
上記実施例によれば、基準点Pを目標軌道Lに一致させたまま塗布器具30を自由に回転させるようにしている。これにより作業者は基準点Pの位置が目標軌道Lから外れることを気にしなくとも塗布器具30を自由に回転させることができる。基準点Pの位置を目標軌道Lから外れることを気にすることなく所定の方向を目標軌道が伸びる方向に合わせることができる。
その一方で塗布器具30の並進移動についてはローカル座標系xyzにおけるx軸の方向(基準線の方向方向に相当する)に直交する方向には並進移動を制限している。即ち直交する3方向への並進移動に対して1方向のみ並進移動させ易くしている。従って作業者が基準点Pを回転させてひとたびx軸の方向を目標軌道Lが伸びる方向に合わせたならば、作業者は容易に塗布器具30を目標軌道Lが伸びる方向に移動させることができる。
【0042】
なお上記実施例において、塗布器具30が請求項の「対象物」の一態様に相当する。また上記実施例では塗布器具30と操作子18はひとつの剛体である可動部12cに支持されているので、塗布器具30に固定されたローカル座標系xyzのx軸は操作子18にも固定されている。このx軸が請求項の「操作子に固定されている基準線」の一例に相当する。
操作力FIは対象物を並進させるための操作力であり、請求項の「並進操作」および「並進力」の一例に相当する。操作モーメントMIは請求項の「回転操作量」の一例に相当する。操作子18の3軸方向の力成分を別々に検出する力センサ20が請求項の「操作力検出器」の一態様に相当する。さらに回転モーメントMIを検出するときの力センサ20が請求項の「回転操作力を検出可能」な操作力検出器の一態様に相当する。
また第1式から第3式が請求項の「並進操作力を入力値とし、少なくとも摩擦力の項を含む、基準点の運動を規定する運動方程式を計算するアルゴリズム」の一例に相当する。そして第1式がローカル座標系xyzのx軸(基準線)の方向の運動方程式に相当する。そして第2式と第3式が基準線と交差する方向の運動方程式に相当する。従って第1式の仮想摩擦力frxを第2式と第3式の仮想摩擦力fryとfrzより小さく設定することが請求項の「基準線の方向には小さな摩擦力が設定されており、基準線に交差する方向には大きな摩擦力が設定されている」ことの一例に相当する。そして仮想摩擦力frx、fry、frzを上記の大小関係で設定した第1式から第3式の運動方程式よって、請求項の「同じ並進操作力に対して、操作子に固定されている基準線の方向には対象物を大きく移動させ、基準線と交差する方向には対象物を小さく移動させる」ことが実現される。
【0043】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0044】
例えば上記実施例では、操作子に加えられる力を並進操作力とした。また操作子に加えられる操作モーメントを回転操作力とした。その他にも3軸方向の力のみを検出できる力センサを用いてもよい。この場合には力センサが検出する3軸方向の操作力を並進操作力として扱うか回転操作力として扱うかの切替えスイッチを同時に設ける。切替えスイッチを併用することによって、3軸方向の力のみを検出できる力センサであっても対象物を並進させるための並進操作力と対象物を回転させるための回転操作力を別々に検出することができる。
また「並進操作」や「回転操作」は「力」の次元をもつ物理量でなくともよい。例えば目標軌道が2次元平面内に限定される場合には、操作子をジョイスティックのようにスティックを傾斜可能な機器で構成する。このときジョイスティックはスティックの長手方向を軸として回転も可能であるとする。ジョイスティックの直交する2方向夫々に対して傾斜させることを「並進操作」に相当させ、ジョイスティックの長手方向を軸として回転させる操作を「回転操作」に相当させてもよい。この場合にはジョイスティックの夫々の方向への傾斜角によって基準点の移動位置を指示すればよい。このような構成によっても本発明を実現することができる。
【0045】
上記実施例では基準点の運動を規定する運動方程式の一例として第1式から第3式で表した。また回転操作力に応じて対象物を基準点を中心として回転させる際の回転量を第4式で表した。第1式から第3式において、仮想粘性抵抗Cpのy軸およびz軸方向の値をx軸方向の値より大きく設定することも好適である。そのように設定することによって、請求項の「同じ並進操作力に対して、操作子に固定されている基準線の方向には対象物を大きく移動させ、基準線と交差する方向には対象物を小さく移動させること」を実現することができる。
【0046】
請求項の「同じ並進操作力に対して、操作子に固定されている基準線の方向には対象物を大きく移動させ、基準線と交差する方向には対象物を小さく移動させる」ことを実現するには、基準点の運動を規定する第1から第3式を用いることに限られない。その他にも同じ並進力にする基準点の移動量を基準線の方向に対して大きく、基準線と交差する方向には小さくなるような並進力−並進移動量の変換式を用いることができる。簡単な例としては次の式により並進移動量dx、dy、dz(実施例のdx・T、dy・T、dz・Tに相当する)を求めてもよい。
dx=Kx・FIx、 dy=Ky・FIy、 dz=Kz・FIz
上式は操作力FIの各軸の力成分に定数Kx、Ky、Kzを乗じた値を移動量とする変換式である。この場合には、定数KyとKzを定数Kxより十分小さな値に設定する。このように定数を設定することで、請求項の「同じ並進操作力に対して、操作子に固定されている基準線の方向には対象物を大きく移動させ、基準線と交差する方向には対象物を小さく移動させる」ことを実現することができる。
また上記実施例では、操作子18が移動機構11に設置している形態を例示したが、操作子18が移動機構18に固定されておらず、ジョイスティックのように移動機構11とは別体で構成されていてもよい。
【0047】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る実施例の作業補助装置の概略図である。
【図2】作業補助装置のブロック図である。
【図3】目標軌道と目標軌道上を移動する塗布器具の関係を説明する図である(1)。
【図4】目標軌道と目標軌道上を移動する塗布器具の関係を説明する図である(2)。
【符号の説明】
【0049】
10:作業補助装置
11:移動機構
12a、12b、12c:可動部
13:移動機構基部
13b:支柱
14a、14b、14c:関節
15a、15b、15c:位置センサ
16a、16b、16c:アクチュエータ
18:操作子
20:力センサ
22:コントローラ
24:ワーク支持装置
26:ワーク回転支持軸
30:塗布器具
50:データ記憶部
54:座標変換部
56:移動量計算部
60:アクチュエータドライバ
W:フロントガラス
L:塗布ライン(目標軌道)
P:基準点




 

 


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