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内燃機関始動回転力伝達機構及び内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法 - トヨタ自動車株式会社
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発明の名称 内燃機関始動回転力伝達機構及び内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−30126(P2007−30126A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−220108(P2005−220108)
出願日 平成17年7月29日(2005.7.29)
代理人 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
発明者 芝 利光 / 浅田 俊昭 / 石川 誠 / 鈴木 智章 / 酒井 和人
要約 課題
内燃機関始動回転力伝達機構におけるリング状シール部材に対する回転部材の嵌め込み作業が軸偏心を生じさせることなく容易に実行できるようにする。

解決手段
リングギヤ12での被規制面の開始部位Pa1からシール部材に対する接触開始部位Pa2までの回転軸C方向での距離Daと、規制面の開始部位Pb1から第2オイルシール部材26の接触点Pb2までの距離Dbとの関係がDa<Dbである。このことから軸偏心が生じることなく第2オイルシール部材26に円筒状段差部12aの外周面12eが接触でき、このまま正規の位置までリングギヤ12を移動して配置することができる。したがって軸偏心によって生じる副シールリップ26bの反転や変形が生じない。リングギヤ12に対して組み付けられるアウターレース支持プレートについても同じである。このためオイルシール部材のオイルシール性を悪化させることがない。
特許請求の範囲
【請求項1】
回転伝達機構を介して始動用モーターの回転力をクランク軸に伝達させると共に、内燃機関本体と前記回転伝達機構との間にて内燃機関本体側から供給されるオイルに対するシールを行うリング状シール部材を備えた内燃機関始動回転力伝達機構の組み付け方法であって、
前記リング状シール部材を配置した内燃機関本体に対して、前記回転伝達機構を組み付けるに際して、
前記回転伝達機構の内でシール摺動面を形成している回転部材を、内燃機関側に設けられている規制面により、正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制した後に、前記回転部材を移動させて前記リング状シール部材のシール部位に前記シール摺動面を接触させることを特徴とする内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法。
【請求項2】
回転伝達機構を介して始動用モーターの回転力をクランク軸に伝達させると共に、前記回転伝達機構内部にて内燃機関本体側から供給されるオイルに対するシールを行うリング状シール部材を備えた内燃機関始動回転力伝達機構の組み付け方法であって、
先に内燃機関本体側に取り付けられ前記リング状シール部材を配置した前記回転伝達機構の一部の部材に対して、シール摺動面を形成している回転部材を組み合わせることで内燃機関に内燃機関始動回転力伝達機構を組み付けるに際して、
前記回転部材を、内燃機関側に設けられている規制面により、正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制した後に、前記回転部材を移動させて前記リング状シール部材のシール部位に前記シール摺動面を接触させることを特徴とする内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、前記規制面は、クランク軸の外周面又は該外周面に配置されたベアリングの外周面であり、前記回転部材は、前記クランク軸又は前記ベアリングに嵌合すると共に、前記シール摺動面と同軸の中心孔を備え、
前記回転部材上における前記シール摺動面と前記中心孔との間の回転軸方向での配置関係は、前記組み付けに際して、前記中心孔の少なくとも一部が前記クランク軸又は前記ベアリングに嵌合した後に、前記シール摺動面が前記リング状シール部材のシール部位に接触するように設定されていることを特徴とする内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、前記回転部材上における、回転軸方向での前記規制面による規制開始部位から前記リング状シール部材のシール部位への接触開始部位までの距離が、前記内燃機関側における、回転軸方向での前記規制面の開始部位から前記リング状シール部材のシール部位までの距離よりも小さくすることにより、前記回転部材を、前記リング状シール部材のシール部位に接触する前に正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制できるようにしたことを特徴とする内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法。
【請求項5】
請求項3又は4において、前記内燃機関始動回転力伝達機構は、始動用モーターにより回転されるピニオンギヤを前記回転部材としてのリングギヤに噛み合わせることによりリングギヤを回転させると共に、リングギヤとクランク軸側部材との間にワンウェイクラッチを設けることにより、リングギヤからクランク軸への1方向の回転力を伝達し、逆方向の回転力は伝達を阻止するものであり、
クランク軸の外周面に設けられたベアリングの外周面にリングギヤの中心孔の少なくとも一部を嵌合することにより、リングギヤ上に形成した前記シール摺動面が前記リング状シール部材のシール部位に接触する前に、リングギヤを、ベアリングの外周面を規制面として正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制することを特徴とする内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法。
【請求項6】
請求項3又は4において、前記内燃機関始動回転力伝達機構は、始動用モーターにより回転されるピニオンギヤをリングギヤに噛み合わせることによりリングギヤを回転させると共に、リングギヤと前記回転部材としてのクランク軸側部材との間にワンウェイクラッチを設けることにより、リングギヤからクランク軸への1方向の回転力を伝達し、逆方向の回転力は伝達を阻止するものであり、
内燃機関本体側に前記リング状シール部材を配置したリングギヤが取り付けられている状態で、クランク軸の外周面にクランク軸側部材の中心孔の少なくとも一部を嵌合することにより、クランク軸側部材上に形成した前記シール摺動面が前記リング状シール部材のシール部位に接触する前に、クランク軸側部材を、クランク軸の外周面を規制面として正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制することを特徴とする内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法。
【請求項7】
回転伝達機構を介して始動用モーターの回転力をクランク軸に伝達させると共に、内燃機関本体と前記回転伝達機構との間にて内燃機関本体側から供給されるオイルに対するシールを行うリング状シール部材を備えた内燃機関始動回転力伝達機構であって、
前記回転伝達機構は、前記リング状シール部材のシール部位と摺動状態で接触してオイルシールを行うシール摺動面を有する回転部材を備え、
該回転部材は、内燃機関側に設けられている規制面への接触によって正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制される被規制面を有すると共に、該被規制面の開始部位から前記リング状シール部材のシール部位に対する前記シール摺動面上の接触開始部位までの回転軸方向での距離が、内燃機関側での前記規制面の開始部位から前記リング状シール部材のシール部位までの回転軸方向での距離よりも小さくされたことを特徴とする内燃機関始動回転力伝達機構。
【請求項8】
回転伝達機構を介して始動用モーターの回転力をクランク軸に伝達させると共に、前記回転伝達機構内部にて内燃機関本体側から供給されるオイルに対するシールを行うリング状シール部材を備えた内燃機関始動回転力伝達機構であって、
前記回転伝達機構は、前記リング状シール部材が配置される第1回転部材と、前記リング状シール部材のシール部位に接触するシール摺動面を有する第2回転部材とを備え、
該第2回転部材は、内燃機関側に設けられている規制面への接触によって正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制される被規制面を有すると共に、該被規制面の開始部位から前記リング状シール部材のシール部位に対する前記シール摺動面上の接触開始部位までの回転軸方向での距離が、内燃機関側での前記規制面の開始部位から前記リング状シール部材のシール部位までの回転軸方向での距離よりも小さくされたことを特徴とする内燃機関始動回転力伝達機構。
【請求項9】
請求項7又は8において、前記回転伝達機構は、始動用モーターにより回転されるピニオンギヤから回転力を受けるリングギヤと、クランク軸に設けられたクランク軸側部材と、前記リングギヤと前記クランク軸側部材との間に配置されてリングギヤからクランク軸側部材への始動用モーターによる1方向の回転力は伝達し逆方向の回転力は伝達を阻止するワンウェイクラッチとを備え、
前記リングギヤは請求項7の回転部材又は請求項8の第1回転部材に相当し、前記クランク軸側部材は請求項8の第2回転部材に相当することを特徴とする内燃機関始動回転力伝達機構。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転伝達機構を介して始動用モーターの回転力をクランク軸に伝達させると共に、内燃機関本体と前記回転伝達機構との間にて、又は前記回転伝達機構内部にて、内燃機関本体側から供給されるオイルに対するシールを行うリング状シール部材を備えた内燃機関始動回転力伝達機構に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用などの内燃機関において、始動用モーターからの回転力をクランク軸に伝達するための内燃機関始動回転力伝達機構として、各種回転伝達機構を始動用モーターとクランク軸との間に配置した構成が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような内燃機関始動回転力伝達機構においてはギヤの噛み合い機構やワンウェイクラッチが設けられており、これらの潤滑のために内燃機関側からオイルが供給されている。特に特許文献1の技術では、オイルが始動用モーター側に進入するのを阻止するためにギヤの噛み合い機構とステータとの間にオイルシールを設けている。
【特許文献1】特開2003−83216号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
始動用モーターへのオイル進入防止のみでなく、ワンウェイクラッチやベアリングなどの内燃機関始動回転力伝達機構の内部機構へ内燃機関側からオイルを供給している場合には、内燃機関始動回転力伝達機構内部から変速機側などの外部へのオイル漏れも防止する必要がある。しかし、特許文献1ではこの点の技術については開示されていない。
【0005】
内燃機関始動回転力伝達機構内部から外部へのオイル漏れ防止を実行する場合には、内燃機関始動回転力伝達機構を構成している回転部材と内燃機関との間、又は回転部材同士の間においてもリング状シール部材にてオイルシールを実行する必要がある。
【0006】
しかし、このようなリング状シール部材を用いてオイルシールを行おうとした場合に、内燃機関始動回転力伝達機構の組み付け時に、注意深く作業しないとリング状シール部材のシールリップなどのシール部位が反転したり変形したりしてオイルシール性が悪化するおそれがある。すなわちリング状シール部材のシール部位に対しては、これに摺動する回転部材を嵌め込むことになる。しかし、この嵌め込み作業において、既に配置されているリング状シール部材と回転部材との間で軸偏心が生じると、嵌め込み時の軸方向の摩擦や衝突によりシールリップなどの柔軟なシール部位が部分的に反転してしまったり変形してしまう現象が生じる。
【0007】
本発明は、内燃機関始動回転力伝達機構におけるリング状シール部材に対する回転部材の嵌め込み作業が、軸偏心を生じさせることなく容易に実行できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法は、回転伝達機構を介して始動用モーターの回転力をクランク軸に伝達させると共に、内燃機関本体と前記回転伝達機構との間にて内燃機関本体側から供給されるオイルに対するシールを行うリング状シール部材を備えた内燃機関始動回転力伝達機構の組み付け方法であって、前記リング状シール部材を配置した内燃機関本体に対して、前記回転伝達機構を組み付けるに際して、前記回転伝達機構の内でシール摺動面を形成している回転部材を、内燃機関側に設けられている規制面により、正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制した後に、前記回転部材を移動させて前記リング状シール部材のシール部位に前記シール摺動面を接触させることを特徴とする。
【0009】
このようにシール摺動面が形成されている回転部材を、リング状シール部材のシール部位にシール摺動面を接触させる前に、内燃機関側に設けられている規制面により正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制している。したがって組み付け時において、回転部材は、リング状シール部材に対して軸偏心することなく必ず正規の位置に正確に接触して嵌め込み作業が完了できる。
【0010】
このようにリング状オイルシールに対する回転部材の嵌め込み作業が軸偏心を生じさせることなく容易に実行できるため、リング状シール部材に設けられたシールリップなどのシール部位に反転や変形を生じさせることなく内燃機関始動回転力伝達機構の組み付けができる。
【0011】
請求項2に記載の内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法は、回転伝達機構を介して始動用モーターの回転力をクランク軸に伝達させると共に、前記回転伝達機構内部にて内燃機関本体側から供給されるオイルに対するシールを行うリング状シール部材を備えた内燃機関始動回転力伝達機構の組み付け方法であって、先に内燃機関本体側に取り付けられ前記リング状シール部材を配置した前記回転伝達機構の一部の部材に対して、シール摺動面を形成している回転部材を組み合わせることで内燃機関に内燃機関始動回転力伝達機構を組み付けるに際して、前記回転部材を、内燃機関側に設けられている規制面により、正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制した後に、前記回転部材を移動させて前記リング状シール部材のシール部位に前記シール摺動面を接触させることを特徴とする。
【0012】
このように回転伝達機構内部にて内燃機関本体側から供給されるオイルに対するシールを行うリング状シール部材を備えた場合も同じである。すなわち、回転伝達機構の一部の部材に配置されたリング状シール部材のシール部位にシール摺動面を接触させる前に、シール摺動面が形成されている回転部材を、内燃機関側に設けられている規制面により、正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制している。この回転伝達機構の一部の部材は先に内燃機関本体側に取り付けられている。したがって組み付け時において、回転部材は、リング状シール部材に対して軸偏心することなく必ず正規の位置に正確に接触して嵌め込み作業が完了できる。
【0013】
このようにリング状オイルシールに対する回転部材の嵌め込み作業が軸偏心を生じさせることなく容易に実行できるため、リング状シール部材に設けられたシールリップなどのシール部位に反転や変形を生じさせることなく内燃機関始動回転力伝達機構の組み付けができる。
【0014】
請求項3に記載の内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法では、請求項1又は2において、前記規制面は、クランク軸の外周面又は該外周面に配置されたベアリングの外周面であり、前記回転部材は、前記クランク軸又は前記ベアリングに嵌合すると共に、前記シール摺動面と同軸の中心孔を備え、前記回転部材上における前記シール摺動面と前記中心孔との間の回転軸方向での配置関係は、前記組み付けに際して、前記中心孔の少なくとも一部が前記クランク軸又は前記ベアリングに嵌合した後に、前記シール摺動面が前記リング状シール部材のシール部位に接触するように設定されていることを特徴とする。
【0015】
このようにシール摺動面と中心孔との間の回転軸方向での配置関係により、シール摺動面がリング状シール部材のシール部位に接触する前に、中心孔の少なくとも一部がクランク軸又はベアリングに嵌合することで、回転部材は正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制されるようになる。
【0016】
このような簡易な構成の配置関係により容易にリング状オイルシールに対する回転部材の嵌め込み作業が軸偏心を生じさせないようにできる。したがってリング状シール部材に設けられたシールリップなどのシール部位に反転や変形を生じさせることなく内燃機関始動回転力伝達機構の組み付けができる。
【0017】
請求項4に記載の内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法では、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記回転部材上における、回転軸方向での前記規制面による規制開始部位から前記リング状シール部材のシール部位への接触開始部位までの距離が、前記内燃機関側における、回転軸方向での前記規制面の開始部位から前記リング状シール部材のシール部位までの距離よりも小さくすることにより、前記回転部材を、前記リング状シール部材のシール部位に接触する前に正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制できるようにしたことを特徴とする。
【0018】
このような関係に回転部材の規制開始部位と接触開始部位との配置関係を設定することで、シール摺動面がリング状シール部材のシール部位に接触する前に、回転部材は正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制されるようになる。
【0019】
したがってこのような簡易な構成により容易にリング状オイルシールに対する回転部材の嵌め込み作業が軸偏心を生じさせないようにできる。こうしてリング状シール部材に設けられたシールリップなどのシール部位に反転や変形を生じさせることなく内燃機関始動回転力伝達機構の組み付けができる。
【0020】
請求項5に記載の内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法では、請求項3又は4において、前記内燃機関始動回転力伝達機構は、始動用モーターにより回転されるピニオンギヤを前記回転部材としてのリングギヤに噛み合わせることによりリングギヤを回転させると共に、リングギヤとクランク軸側部材との間にワンウェイクラッチを設けることにより、リングギヤからクランク軸への1方向の回転力を伝達し、逆方向の回転力は伝達を阻止するものであり、クランク軸の外周面に設けられたベアリングの外周面にリングギヤの中心孔の少なくとも一部を嵌合することにより、リングギヤ上に形成した前記シール摺動面が前記リング状シール部材のシール部位に接触する前に、リングギヤを、ベアリングの外周面を規制面として正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制することを特徴とする。
【0021】
このような構成の内燃機関始動回転力伝達機構においても、リングギヤ上に形成したシール摺動面がリング状シール部材のシール部位に接触する前に、ベアリングの外周面を規制面として、リングギヤを、正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制することができる。このことによりリング状オイルシールに対するリングギヤの嵌め込み作業が軸偏心を生じさせることなく容易に実行できるため、リング状シール部材に設けられたシールリップなどのシール部位に反転や変形を生じさせることがない。
【0022】
請求項6に記載の内燃機関始動回転力伝達機構組み付け方法では、請求項3又は4において、前記内燃機関始動回転力伝達機構は、始動用モーターにより回転されるピニオンギヤをリングギヤに噛み合わせることによりリングギヤを回転させると共に、リングギヤと前記回転部材としてのクランク軸側部材との間にワンウェイクラッチを設けることにより、リングギヤからクランク軸への1方向の回転力を伝達し、逆方向の回転力は伝達を阻止するものであり、内燃機関本体側に前記リング状シール部材を配置したリングギヤが取り付けられている状態で、クランク軸の外周面にクランク軸側部材の中心孔の少なくとも一部を嵌合することにより、クランク軸側部材上に形成した前記シール摺動面が前記リング状シール部材のシール部位に接触する前に、クランク軸側部材を、クランク軸の外周面を規制面として正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制することを特徴とする。
【0023】
このような構成の内燃機関始動回転力伝達機構においても、クランク軸側部材上に形成したシール摺動面がリング状シール部材のシール部位に接触する前に、クランク軸の外周面を規制面として、クランク軸側部材を、正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制することができる。このことによりリング状オイルシールに対するクランク軸側部材の嵌め込み作業が軸偏心を生じさせることなく容易に実行できるため、リング状シール部材に設けられたシールリップなどのシール部位に反転や変形を生じさせることがない。
【0024】
請求項7に記載の内燃機関始動回転力伝達機構は、回転伝達機構を介して始動用モーターの回転力をクランク軸に伝達させると共に、内燃機関本体と前記回転伝達機構との間にて内燃機関本体側から供給されるオイルに対するシールを行うリング状シール部材を備えた内燃機関始動回転力伝達機構であって、前記回転伝達機構は、前記リング状シール部材のシール部位と摺動状態で接触してオイルシールを行うシール摺動面を有する回転部材を備え、該回転部材は、内燃機関側に設けられている規制面への接触によって正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制される被規制面を有すると共に、該被規制面の開始部位から前記リング状シール部材のシール部位に対する前記シール摺動面上の接触開始部位までの回転軸方向での距離が、内燃機関側での前記規制面の開始部位から前記リング状シール部材のシール部位までの回転軸方向での距離よりも小さくされたことを特徴とする。
【0025】
このように、回転部材は、被規制面の開始部位からシール摺動面上の接触開始部位までの回転軸方向での距離が、内燃機関側での規制面の開始部位からシール部位までの距離よりも小さくされている。
【0026】
内燃機関始動回転力伝達機構がこのように構成されていることにより、内燃機関へ内燃機関始動回転力伝達機構を組み付ける際には、回転部材は、リング状シール部材のシール部位に接触する前に、被規制面の開始部位が規制面に接触して正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制される。
【0027】
このことにより内燃機関始動回転力伝達機構は、リング状オイルシールに対する回転部材の嵌め込み作業が軸偏心を生じさせることなく実行されて内燃機関に組み付けられていることになる。このため組み付けが完成している内燃機関始動回転力伝達機構は、リング状シール部材に設けられたシールリップなどのシール部位は反転や変形を生じていない。したがって内燃機関始動回転力伝達機構のオイルシール性悪化を防止することができる。
【0028】
請求項8に記載の内燃機関始動回転力伝達機構は、回転伝達機構を介して始動用モーターの回転力をクランク軸に伝達させると共に、前記回転伝達機構内部にて内燃機関本体側から供給されるオイルに対するシールを行うリング状シール部材を備えた内燃機関始動回転力伝達機構であって、前記回転伝達機構は、前記リング状シール部材が配置される第1回転部材と、前記リング状シール部材のシール部位に接触するシール摺動面を有する第2回転部材とを備え、該第2回転部材は、内燃機関側に設けられている規制面への接触によって正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制される被規制面を有すると共に、該被規制面の開始部位から前記リング状シール部材のシール部位に対する前記シール摺動面上の接触開始部位までの回転軸方向での距離が、内燃機関側での前記規制面の開始部位から前記リング状シール部材のシール部位までの回転軸方向での距離よりも小さくされたことを特徴とする。
【0029】
このように第2回転部材は、被規制面の開始部位からシール摺動面上の接触開始部位までの回転軸方向での距離が、内燃機関側での規制面の開始部位から第1回転部材に配置されているリング状シール部材のシール部位までの距離よりも小さくされている。
【0030】
このように構成されていることにより、内燃機関へ内燃機関始動回転力伝達機構を組み付ける際には、第2回転部材は、第1回転部材に配置されているリング状シール部材のシール部位に接触する前に、被規制面の開始部位が規制面に接触して正規のシール摺動位置を通過する回転軸方向移動のみに規制される。
【0031】
このことにより内燃機関始動回転力伝達機構は、第1回転部材上のリング状オイルシールに対する第2回転部材の嵌め込み作業が軸偏心を生じさせることなく実行されて内燃機関に組み付けられていることになる。このため組み付けが完成している内燃機関始動回転力伝達機構は、リング状シール部材に設けられたシールリップなどのシール部位は反転や変形を生じていない。したがって内燃機関始動回転力伝達機構のオイルシール性悪化を防止することができる。
【0032】
請求項9に記載の内燃機関始動回転力伝達機構では、請求項7又は8において、前記回転伝達機構は、始動用モーターにより回転されるピニオンギヤから回転力を受けるリングギヤと、クランク軸に設けられたクランク軸側部材と、前記リングギヤと前記クランク軸側部材との間に配置されてリングギヤからクランク軸側部材への始動用モーターによる1方向の回転力は伝達し逆方向の回転力は伝達を阻止するワンウェイクラッチとを備え、前記リングギヤは請求項7の回転部材又は請求項8の第1回転部材に相当し、前記クランク軸側部材は請求項8の第2回転部材に相当することを特徴とする。
【0033】
内燃機関始動回転力伝達機構は上述のごとくリングギヤ及びクランク軸側部材を用いて構成することができる。このような構成においても、リング状シール部材に対する回転部材や第2回転部材の嵌め込み作業が軸偏心を生じさせることなく容易に実行でき、シールリップなどのシール部位に反転や変形を生じさせずに内燃機関に組み付けることができる。したがってオイルシール性が十分に高い内燃機関始動回転力伝達機構を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
[実施の形態1]
図1は車両用内燃機関の内燃機関始動回転力伝達機構を示し、変速機側へ出力する内燃機関のリア側周辺の断面図を示している。尚、図1では中心軸である回転軸Cよりも上半分を示している。又、内燃機関始動回転力伝達機構においてはシリンダブロック2(内燃機関本体に相当)とクランク軸6を除いては主として切断面のみを示している。
【0035】
シリンダブロック2の後端下方にはラダービームにて回転可能に支持されたクランク軸6の後端が配置されている。このクランク軸6の後端には、フライホイール8、アウターレース支持プレート10(クランク軸側部材に相当)及びリングギヤ12が取り付けられている。
【0036】
図1で上半分を示しているフライホイール8は、中心部が円形に開口した略円板形状であり、アウターレース支持プレート10と接触している側とは反対側には、変速機との間で回転力を伝達するためのクラッチ機構の一部として、リング状にクラッチディスク8aが取り付けられている。尚、クラッチ機構はフライホイール8とは別体に形成されていても良い。
【0037】
図1で上半分を示しているアウターレース支持プレート10は、中心部が開口した円形の平板状に形成されて、前記フライホイール8と共に、中心開口周辺部分にてクランク軸6の後端面6aにボルト締結にて固定されている。このことによりアウターレース支持プレート10は、フライホイール8と共にクランク軸6と連動して回転するように構成されている。
【0038】
図1で上半分を示しているリングギヤ12は、中心部が大きく開口し、径方向にて屈曲部(円筒状段差部12a及び曲げ部12b)を設けた円板であり、中心開口部分にはフランジ状にワンウェイクラッチ14のインナーレース16を備え、外周部にリング状にギヤ部12cを備えている。このリングギヤ12は、インナーレース16の部分で、ワンウェイクラッチ14とは反対側、すなわち中心側にて、ベアリング18を介してクランク軸6の外周に取り付けられている。このためワンウェイクラッチ14が解放状態にある時には、リングギヤ12はクランク軸6の回転とは独立し、自由回転可能である。
【0039】
尚、ベアリング18はクランク軸6の外周に対して圧入にて取り付けられている。そしてワンウェイクラッチ14のインナーレース16は、ベアリング18のアウターレース18aの外周に対してスラスト軸受部18bまで嵌合されている。
【0040】
リングギヤ12のギヤ部12cは、クランク軸6よりも下部側にて始動用モーターのピニオンギヤに常時噛み合わされておりピニオンギヤを介して始動用モーターから回転力を受けることによりリングギヤ12が回転する。
【0041】
アウターレース支持プレート10の外周部分には、リングギヤ12の中心開口部分に取り付けられたインナーレース16に対向して、アウターレース22が設けられている。このインナーレース16とアウターレース22との間には、スプラグ14aを有するケージ14bが配置されていることにより、リングギヤ12とアウターレース支持プレート10との間にはワンウェイクラッチ14が構成されている。したがってインナーレース16は、中心孔の内周面16a側にベアリング18が配置され、この内周面16aとは反対側の外周面16b側にワンウェイクラッチ14が構成されていることになる。
【0042】
このように構成されたワンウェイクラッチ14は、リングギヤ12側からアウターレース支持プレート10へ、始動用モーターのトルクを伝達する一方向での回転の場合には、アウターレース支持プレート10とリングギヤ12とを係合状態とする。このことにより始動用モーターはクランク軸6を回転させることができる。
【0043】
内燃機関が運転を開始することで内燃機関出力によってクランク軸6に連動するアウターレース支持プレート10の回転が、始動用モーターによるリングギヤ12の回転よりも速くなると、リングギヤ12側の回転はアウターレース支持プレート10に対して相対的に逆方向の回転となる。このため、ワンウェイクラッチ14は解放状態となり、ピニオンギヤとリングギヤ12とが常時噛み合い状態でも、内燃機関始動後における始動用モーターの停止は可能となり、始動用モーターの過回転を防止することができる。
【0044】
この内燃機関では、特にベアリング18とワンウェイクラッチ14との潤滑のために、シリンダブロック2あるいはクランク軸6内の油路を介して図示矢印のごとくエンジンオイルが供給されている。しかしワンウェイクラッチ14を間にしてアウターレース支持プレート10とリングギヤ12とが配置されているので、この間のオイル漏れを阻止する必要がある。更にリングギヤ12とシリンダブロック2との間のオイル漏れを阻止する必要がある。
【0045】
このためにリング状の第1オイルシール部材24(リング状シール部材に相当)が、ワンウェイクラッチ14のアウターレース22と、リングギヤ12の円筒状段差部12aとの間に配置されている。この第1オイルシール部材24は、円筒状段差部12aの内周面12dに嵌合することでリングギヤ12側に固定されている。このことで第1オイルシール部材24の内周側に形成されているシール部位としての主シールリップ24aと副シールリップ24bとは、アウターレース22の外周面であるシール摺動面22aに摺動可能に接触している。こうして第1オイルシール部材24はアウターレース支持プレート10とリングギヤ12との間のオイルシールを実行している。
【0046】
更に円筒状段差部12aを挟んで第1オイルシール部材24とは反対側(外側)では、第1オイルシール部材24よりも大径の第2オイルシール部材26(リング状シール部材に相当)が配置されている。この第2オイルシール部材26は、クランク軸6より上方側では主にシリンダブロック2の円弧状シール嵌合部2aの内周面2bに、クランク軸6より下方側では主にオイルパン(内燃機関本体に相当)の後端の内周面に嵌合することで、図示する位置に固定されている。このことで第2オイルシール部材26の内周側に形成されている2つのシール部位である主シールリップ26aと副シールリップ26bとは、円筒状段差部12aの外周面12eに摺動可能に接触している。こうしてリングギヤ12とシリンダブロック2との間のオイルシールを実行している。
【0047】
上述した内燃機関始動回転力伝達機構の組立手順は次のごとくである。
まず、図2に示すごとく、クランク軸6にベアリング18を圧入し、シリンダブロック2の円弧状シール嵌合部2a及びオイルパンの後端部分に、第2オイルシール部材26を嵌合しておく。そしてリングギヤ12を回転軸Cに沿って矢印のごとく移動させる。このことでリングギヤ12の中心側に形成されたインナーレース16の内周面16aをベアリング18に設けられているアウターレース18aの外周面18cに嵌合させ、リングギヤ12に設けられた円筒状段差部12aの外周面12eを第2オイルシール部材26に接触させる。
【0048】
リングギヤ12側のインナーレース16における内周面16aの開始部位Pa1から円筒状段差部12aにおける外周面12eの接触開始部位Pa2までの回転軸C方向での距離を距離Daとする。ベアリング18側のアウターレース18aにおける外周面18cの開始部位Pb1から第2オイルシール部材26の副シールリップ26bの接触点Pb2までの回転軸C方向での距離を距離Dbとする。距離Daと距離Dbとの関係は、Da<Dbである。
【0049】
したがってリングギヤ12を組み付ける際には、リングギヤ12に設けられた円筒状段差部12aの外周面12eが第2オイルシール部材26の副シールリップ26bに接触する前に、図3に示すごとく内周面16aの開始部位Pa1が外周面18cの開始部位Pb1に当接する。その後、図4に示すごとく、インナーレース16の内周面16a(被規制面に相当)がベアリング18側のアウターレース18aの外周面18c(規制面に相当)に嵌合状態となり、リングギヤ12は、図1に示した正規のシール摺動位置を通過する回転軸C方向移動のみに規制される。
【0050】
したがって図5に示すごとく、円筒状段差部12aの外周面12eと第2オイルシール部材26の副シールリップ26bとの接触時には、第2オイルシール部材26とリングギヤ12とは軸偏心は生じていない。
【0051】
図6は、前記図5の工程を経て、リングギヤ12を完全に組み付けた後に、更に円筒状段差部12aの内周面12dに第1オイルシール部材24を嵌合した状態を示している。
この状態に対して、アウターレース支持プレート10を組み付ける。まず、アウターレース支持プレート10を回転軸Cに沿って矢印のごとく移動させる。このことでアウターレース支持プレート10の中心側に形成された中心孔の内周面10aをクランク軸6の外周面6bに嵌合させ、アウターレース支持プレート10に設けられたアウターレース22の外周面であるシール摺動面22aを第1オイルシール部材24に接触させる。
【0052】
アウターレース支持プレート10側の内周面10aの開始部位Pc1からアウターレース22におけるシール摺動面22aの接触開始部位Pc2までの回転軸C方向での距離を距離Dcとする。クランク軸6における外周面6bの開始部位Pd1から第1オイルシール部材24の副シールリップ24bの接触点Pd2までの回転軸C方向での距離を距離Ddとする。この距離Dcと距離Ddとの関係は、Dc<Ddである。
【0053】
したがってアウターレース22のシール摺動面22aが第1オイルシール部材24の副シールリップ24bに接触する前に、図7に示すごとくアウターレース支持プレート10の内周面10aの開始部位Pc1がクランク軸6の外周面6bの開始部位Pd1に当接する。その後、図8に示すごとく、アウターレース支持プレート10側の内周面10a(被規制面に相当)がクランク軸6の外周面6b(規制面に相当)に嵌合状態となり、アウターレース支持プレート10は、図1に示した正規のシール摺動位置を通過する回転軸C方向移動のみに規制される。
【0054】
したがって図9に示すごとく、アウターレース22のシール摺動面22aと第1オイルシール部材24の副シールリップ24bとの接触時には、第1オイルシール部材24とアウターレース支持プレート10とは軸偏心は生じていない。
【0055】
そして図10に示すごとくアウターレース支持プレート10が完全に組み付けられた状態で、フライホイール8がアウターレース支持プレート10をクランク軸6の後端面6aとの間で挟持するように配置されて、ボルトBにて締結される。このことにより内燃機関始動回転力伝達機構の組み付けが完成し、更にクラッチ機構をフライホイール8に対して組み付けることにより図1に示した構成が完成する。
【0056】
上述した構成において、請求項の回転伝達機構はアウターレース支持プレート10、リングギヤ12及びワンウェイクラッチ14の組み合わせに相当する。アウターレース支持プレート10及びリングギヤ12がそれぞれ回転部材に相当し、この内、アウターレース支持プレート10が第2回転部材に、リングギヤ12が第1回転部材に相当する。
【0057】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前述したごとく開始部位Pa1から接触開始部位Pa2までの回転軸C方向での距離Daと、開始部位Pb1から接触点Pb2までの距離Dbとの関係がDa<Dbである。このことから、第2オイルシール部材26の副シールリップ26bに対する円筒状段差部12aの外周面12eの接触は、第2オイルシール部材26の軸に対してリングギヤ12の軸が一致した状態でなされる。すなわち軸偏心が生じることなく副シールリップ26bに円筒状段差部12aの外周面12eが接触する。この状態で、正規の位置までリングギヤ12を移動して配置することができる。
【0058】
したがって軸偏心によって生じる副シールリップ26bの反転、すなわち副シールリップ26bの先端がシリンダブロック2側に向くようなことが生じない。あるいは副シールリップ26bの変形が生じない。又、主シールリップ26aに付いても変形が生じることがない。このため第2オイルシール部材26のオイルシール性を悪化させることなく、容易にリングギヤ12を組み付けることができる。
【0059】
(ロ).前述したごとく開始部位Pc1から接触開始部位Pc2までの回転軸C方向での距離Dcと、開始部位Pd1から接触点Pd2までの距離Ddとの関係がDc<Ddである。このことから、第1オイルシール部材24の副シールリップ24bに対するアウターレース22のシール摺動面22aの接触は、第1オイルシール部材24の軸に対してアウターレース支持プレート10の軸が一致した状態でなされる。すなわち軸偏心が生じることなく副シールリップ24bにアウターレース22のシール摺動面22aが接触する。この状態で、正規の位置までアウターレース支持プレート10を移動して配置することができる。
【0060】
したがって軸偏心によって生じる副シールリップ24bの反転や変形は生じない。更に主シールリップ24aについても変形は生じない。このため第1オイルシール部材24のオイルシール性を悪化させることなく、容易にアウターレース支持プレート10を組み付けることができる。
【0061】
(ハ).上述した(イ)及び(ロ)の効果により、内燃機関始動回転力伝達機構全体としても、より高いオイルシール性状態で製造できる。
[実施の形態2]
本実施の形態の内燃機関始動回転力伝達機構では、前記実施の形態1で用いたベアリングの代わりに、図11に示すブッシュ118を用いて、クランク軸6にリングギヤ112を回転可能に支持している。図11に示したクランク軸6、フライホイール8及びボルトBについては、前記実施の形態1の構成と同一の構成であり、同一の符号にて示している。又、シリンダブロック102、アウターレース支持プレート110、リングギヤ112、ワンウェイクラッチ114、第1オイルシール部材124及び第2オイルシール部材126の構成については基本的には前記実施の形態1と同じである。ただしベアリングの代わりにブッシュ118を用いたことに適合した大きさや形状となっている。
【0062】
ブッシュ118は図12に示すごとくであり、(A)は正面図、(B)は背面図、(C)は斜視図、(D)は平面図である。ここでブッシュ118は短円筒状の基部118aと一方の端部に形成された鍔部118bとを一体として形成されている。更に基部118aの内周面118d側から鍔部118bにかけて連続する溝118cが多数形成されている。
【0063】
このブッシュ118は、リングギヤ112の中心側に設けられたインナーレース116の内周面に、鍔部118bを後方にして圧入されて固定されている。このブッシュ118の内周面118dがクランク軸6の大径部分の外周面6cと摺動することにより、リングギヤ112はクランク軸6に対して回転可能に配置されている。
【0064】
内燃機関始動回転力伝達機構にリングギヤ112が組み付けられた状態では、ブッシュ118の基部118aに形成されている溝118cは、シリンダブロック102内のオイル通路102cから分岐しているオイル吐出穴102dとは、径方向において同一の位置に存在する。このためオイル吐出穴102dからのオイル吐出によりいずれかの溝118c内にオイルを導入できるので、ブッシュ118とクランク軸6との間の潤滑と、溝118cを介してのワンウェイクラッチ114側へのオイル供給とが可能となる。尚、オイル吐出穴102dの開口幅は、リングギヤ112が回転しても常にいずれかの溝118cにオイルを供給できるサイズに設定されている。
【0065】
上述した内燃機関始動回転力伝達機構の組立手順は次のごとくである。
まず、図13に示すごとく、シリンダブロック102の円弧状シール嵌合部102aに第2オイルシール部材126を嵌合しておく。更にリングギヤ112のインナーレース116にブッシュ118を嵌合しておく。そしてリングギヤ112を回転軸Cに沿って矢印のごとく移動させる。このことでリングギヤ112のインナーレース116に取り付けられているブッシュ118の内周面118dをクランク軸6の外周面6cに摺動可能状態で嵌合させ、リングギヤ112に設けられた円筒状段差部112aの外周面112eを第2オイルシール部材126に接触させる。
【0066】
リングギヤ112側であるブッシュ118における内周面118dの開始部位Pe1から円筒状段差部112aにおける外周面112eの接触開始部位Pe2までの回転軸C方向での距離を距離Deとする。クランク軸6の外周面6cの開始部位Pf1から第2オイルシール部材126の副シールリップ126bの接触点Pf2までの回転軸C方向での距離を距離Dfとする。この距離Deと距離Dfとの関係は、De<Dfである。尚、ここで開始部位Pe1から接触開始部位Pe2までの距離Deは、接触開始部位Pe2よりも開始部位Pe1の方が前方にあるので、De<0である。
【0067】
したがってリングギヤ112を組み付ける際には、リングギヤ112に設けられた円筒状段差部112aの外周面112eが第2オイルシール部材126の副シールリップ126bに接触する前に、ブッシュ118における内周面118dの開始部位Pe1が外周面6cの開始部位Pf1に当接する。その後、ブッシュ118における内周面118d(被規制面に相当)がクランク軸6の外周面6c(規制面に相当)に嵌合状態となり、リングギヤ112は、図11に示した正規のシール摺動位置を通過する回転軸C方向移動のみに規制される。
【0068】
したがって円筒状段差部112aの外周面112eと第2オイルシール部材126の副シールリップ126bとの接触時には、第2オイルシール部材126とリングギヤ112とは軸偏心は生じていない。
【0069】
図14は、前記図13の工程を経て、リングギヤ112を完全に組み付けた後に、更に円筒状段差部112aの内周面112dに第1オイルシール部材124を嵌合した状態を示している。
【0070】
この状態に対して、アウターレース支持プレート110を組み付ける。まず、アウターレース支持プレート110を回転軸Cに沿って矢印のごとく移動させる。このことでアウターレース支持プレート110の中心側に形成された中心孔の内周面110aをクランク軸6の外周面6bに嵌合させ、アウターレース支持プレート110に設けられたアウターレース122の外周面であるシール摺動面122aを第1オイルシール部材124に接触させる。
【0071】
アウターレース支持プレート110側の内周面110aの開始部位Pg1からアウターレース122におけるシール摺動面122aの接触開始部位Pg2までの回転軸C方向での距離を距離Dgとする。クランク軸6における外周面6bの開始部位Ph1から第1オイルシール部材124の副シールリップ124bの接触点Ph2までの回転軸C方向での距離を距離Dhとする。この距離Dgと距離Dhと関係は、Dg<Dhである。
【0072】
したがってアウターレース122のシール摺動面122aが第1オイルシール部材124の副シールリップ124bに接触する前に、アウターレース支持プレート110側の内周面110aの開始部位Pg1が、クランク軸6の外周面6bの開始部位Ph1に当接する。その後、アウターレース支持プレート110側の内周面110a(被規制面に相当)がクランク軸6の外周面6b(規制面に相当)に嵌合状態となり、アウターレース支持プレート110は、図11に示した正規のシール摺動位置を通過する回転軸C方向移動のみに規制される。
【0073】
したがってアウターレース122のシール摺動面122aと第1オイルシール部材124の副シールリップ124bとの接触時には、第1オイルシール部材124とアウターレース支持プレート110とは軸偏心は生じていない。
【0074】
そしてアウターレース支持プレート110が完全に組み付けられた後に、図11に示したごとくフライホイール8がアウターレース支持プレート110をクランク軸6の後端面6aとの間で挟持するように配置されて、ボルトBにて締結される。このことにより内燃機関始動回転力伝達機構が完成し、更にクラッチ機構をフライホイール8に対して組み付けることにより図11に示した構成が完成する。
【0075】
上述した構成において、請求項の回転伝達機構はアウターレース支持プレート110、ブッシュ118を嵌合したリングギヤ112及びワンウェイクラッチ114の組み合わせに相当する。アウターレース支持プレート110及びブッシュ118を嵌合したリングギヤ112がそれぞれ回転部材に相当し、この内、アウターレース支持プレート110が第2回転部材に、ブッシュ118を嵌合したリングギヤ112が第1回転部材に相当する。
【0076】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).開始部位Pe1から接触開始部位Pe2までの距離Deと開始部位Pf1から接触点Pf2までの距離Dfとの関係、及び開始部位Pg1から接触開始部位Pg2までの距離Dgと開始部位Ph1から接触点Ph2までの距離Dhとの関係が前記実施の形態1における関係と同じである。したがって前記実施の形態1の(イ)、(ロ)、(ハ)の効果を生じる。
【0077】
(ロ).ベアリングの代わりにブッシュ118を用いているので、内燃機関始動回転力伝達機構の径方向での寸法を小さくでき、軽量化や部品点数の削減に貢献できる。
このことにより各オイルシール部材124,126は径が小さくできてシール摺動面との摺動速度を低くできるので、耐久性が向上し、オイルシール性も更に高まる。
【0078】
更に溝118cがブッシュ118に存在しているので、ワンウェイクラッチ114側にも十分にオイルを供給できる。
ブッシュ118の鍔部118bは、リングギヤ112のインナーレース116に圧入後にも加工により厚さを調節でき、軸方向での寸法ばらつきを低減させることができる。
【0079】
[その他の実施の形態]
(a).前記実施の形態1において、Da<Dbの関係による効果と、Dc<Ddの関係による効果とは、おのおの独立して存在する。したがってDa<Dbの関係のみ満足した内燃機関始動回転力伝達機構として構成することもでき、Dc<Ddの関係のみ満足した内燃機関始動回転力伝達機構として構成することもできる。
【0080】
同様にして前記実施の形態2において、De<Dfの関係とDg<Dhの関係との間についても同じである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】実施の形態1の内燃機関始動回転力伝達機構の断面構成説明図。
【図2】実施の形態1のリングギヤの組み付け説明図。
【図3】実施の形態1のリングギヤの組み付け説明図。
【図4】実施の形態1のリングギヤの組み付け説明図。
【図5】実施の形態1のリングギヤの組み付け説明図。
【図6】実施の形態1のアウターレース支持プレートの組み付け説明図。
【図7】実施の形態1のアウターレース支持プレートの組み付け説明図。
【図8】実施の形態1のアウターレース支持プレートの組み付け説明図。
【図9】実施の形態1のアウターレース支持プレートの組み付け説明図。
【図10】実施の形態1のフライホイールの組み付け説明図。
【図11】実施の形態2の内燃機関始動回転力伝達機構の断面構成説明図。
【図12】実施の形態2のブッシュの構成説明図。
【図13】実施の形態2のリングギヤの組み付け説明図。
【図14】実施の形態2のアウターレース支持プレートの組み付け説明図。
【符号の説明】
【0082】
2…シリンダブロック、2a…円弧状シール嵌合部、2b…内周面、6…クランク軸、6a…後端面、6b,6c…外周面、8…フライホイール、8a…クラッチディスク、10…アウターレース支持プレート、10a…内周面、12…リングギヤ、12a…円筒状段差部、12b…曲げ部、12c…ギヤ部、12d…内周面、12e…外周面、14…ワンウェイクラッチ、14a…スプラグ、14b…ケージ、16…インナーレース、16a…内周面、16b…外周面、18…ベアリング、18a…アウターレース、18b…スラスト軸受部、18c…外周面、22…アウターレース、22a…シール摺動面、24…第1オイルシール部材、24a…主シールリップ、24b…副シールリップ、26…第2オイルシール部材、26a…主シールリップ、26b…副シールリップ、102…シリンダブロック、102a…円弧状シール嵌合部、102c…オイル通路、102d…オイル吐出穴、110…アウターレース支持プレート、110a…内周面、112…リングギヤ、112a…円筒状段差部、112d…内周面、112e…外周面、114…ワンウェイクラッチ、116…インナーレース、118…ブッシュ、118a…基部、118b…鍔部、118c…溝、118d…内周面、122…アウターレース、122a…シール摺動面、124…第1オイルシール部材、124b…副シールリップ、126…第2オイルシール部材、126b…副シールリップ、B…ボルト、C…回転軸、Pa1…開始部位、Pa2…接触開始部位、Pb1…開始部位、Pb2…接触点、Pc1…開始部位、Pc2…接触開始部位、Pd1…開始部位、Pd2…接触点、Pe1…開始部位、Pe2…接触開始部位、Pf1…開始部位、Pf2…接触点、Pg1…開始部位、Pg2…接触開始部位、Ph1…開始部位、Ph2…接触点。




 

 


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