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発明の名称 排ガス浄化用触媒の再生方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−29768(P2007−29768A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−212141(P2005−212141)
出願日 平成17年7月22日(2005.7.22)
代理人 【識別番号】100107191
【弁理士】
【氏名又は名称】長濱 範明
発明者 堂前 和彦 / 長井 康貴 / 田辺 稔貴 / 高木 信之 / 平林 武史
要約 課題
高温の排ガスに長時間晒されて粒成長した白金粒子を、比較的低い温度領域であっても短時間で微細な白金粒子に再分散させて触媒活性を復活させることが可能な排ガス浄化用触媒の再生方法を提供すること。

解決手段
ジルコニア及び/又はアルミナと、アルカリ土類金属元素、希土類元素及び3A族元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素との複合酸化物を含む担体と、
特許請求の範囲
【請求項1】
ジルコニア及び/又はアルミナと、アルカリ土類金属元素、希土類元素及び3A族元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素との複合酸化物を含む担体と、
該担体に担持された白金と、
を備える排ガス浄化用触媒に対して、酸素を含む酸化雰囲気中にて加熱する酸化処理、及び還元処理を施すことを特徴とする排ガス浄化用触媒の再生方法。
【請求項2】
前記複合酸化物が、酸素1s軌道の結合エネルギーの値が531eV以下の値を示すものであることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化用触媒の再生方法。
【請求項3】
前記複合酸化物が、ジルコニア及び/又はアルミナと、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ランタン、セリウム、ネオジウム、プラセオジウム、イットリウム及びスカンジウムからなる群から選択される少なくとも一種の元素との複合酸化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化用触媒の再生方法。
【請求項4】
前記酸化処理における温度が500〜1000℃であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒の再生方法。
【請求項5】
前記酸化雰囲気における酸素濃度が1体積%以上であることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒の再生方法。
【請求項6】
前記排ガス浄化用触媒を内燃機関の排気系に装着した状態で、前記酸化処理及び前記還元処理を施すことを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の排ガス浄化用触媒の再生方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、白金を担持した排ガス浄化用触媒の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジンから排出される排ガス中のHC、CO、NOx等の有害成分を除去するために、従来より排ガス浄化用触媒が用いられている。このような排ガス浄化用触媒としては、理論空燃比で燃焼された排ガス中のHC、CO及びNOxを同時に浄化する三元触媒が知られており、一般に、コーディエライト、金属箔等からなりハニカム形状に形成された基材(担体基材)と、基材表面に形成された活性アルミナ粉末、シリカ粉末等からなる担体(触媒担持層)と、この担体に担持された白金等の貴金属からなる触媒成分とから構成されている。
【0003】
ところが、このような触媒活性をもつ白金は、高温(特に800℃以上)の排ガスに長時間晒されると、白金粒子が凝集してシンタリング(粒成長)が生じ、比表面積が減少するため触媒活性が低下するという問題があった。
【0004】
そのため、排ガス浄化用触媒を再生する方法が種々開発されており、例えば特開平7−75737号公報(特許文献1)には、無機多孔質の母材に活性種として貴金属が担持されてなる排ガス浄化用触媒の再生方法であって、前記触媒にハロゲンを作用させて前記母材上で貴金属のハロゲン化物を生成させた後にそのハロゲン化物からハロゲンを脱離させる方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の方法のようにハロゲンを作用させて再生する方法では、触媒を内燃機関の排気系に装着した状態で再生することは非常に困難であり、また、粒成長した貴金属粒子を微細な貴金属粒子に再分散させて触媒活性を復活させる再生処理に要する時間の短縮に限界があった。
【0005】
また、特開2000−202309号公報(特許文献2)には、アルカリ土類金属酸化物及び希土類酸化物から選ばれる少なくとも一種を含む担体と該担体に担持された白金とよりなる排ガス浄化用触媒に対して、酸化処理を行い、次いで還元処理を行う方法が開示されている。しかしながら、特許文献2に記載の方法であっても、粒成長した白金粒子を微細な白金粒子に再分散させて触媒活性を復活させる再生処理に要する時間の短縮と温度の低減という点で必ずしも十分なものではなかった。
【特許文献1】特開平7−75737号公報
【特許文献2】特開2000−202309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高温の排ガスに長時間晒されて粒成長した白金粒子を、比較的低い温度領域であっても短時間で微細な白金粒子に再分散させて触媒活性を復活させることができ、しかも触媒を内燃機関の排気系に装着した状態であってもこのような再生処理が可能となる排ガス浄化用触媒の再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ジルコニア及び/又はアルミナと、アルカリ土類金属元素、希土類元素及び3A族元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素との複合酸化物を含む担体を用い、かかる担体に白金が担持された排ガス浄化用触媒に対して酸化処理及び還元処理を施すことによって、驚くべきことに再生処理に要する時間の短縮と温度の低減が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の排ガス浄化用触媒の再生方法は、
ジルコニア及び/又はアルミナと、アルカリ土類金属元素、希土類元素及び3A族元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素との複合酸化物を含む担体と、
該担体に担持された白金と、
を備える排ガス浄化用触媒に対して、酸素を含む酸化雰囲気中にて加熱する酸化処理、及び還元処理を施すことを特徴とする方法である。
【0009】
上記本発明にかかる前記複合酸化物としては、酸素1s軌道の結合エネルギーの値が531eV以下の値を示すものであることが好ましい。
【0010】
また、このような複合酸化物としては、ジルコニア及び/又はアルミナと、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ランタン、セリウム、ネオジウム、プラセオジウム、イットリウム及びスカンジウムからなる群から選択される少なくとも一種の元素との複合酸化物であることがより好ましい。
【0011】
さらに、上記本発明にかかる前記酸化処理における温度としては500〜1000℃であることが好ましく、また、前記酸化雰囲気における酸素濃度としては1体積%以上であることが好ましい。
【0012】
このような本発明の排ガス浄化用触媒の再生方法は、例えば空燃比制御の一環として実施することができるため、その実施形態としては、前記排ガス浄化用触媒を内燃機関の排気系に装着した状態で前記酸化処理及び前記還元処理を施すという形態が好適に採用され、それによって特別な保守整備を要することなく高い触媒活性を長時間にわたって維持することが可能となる。
【0013】
なお、本発明の排ガス浄化用触媒の再生方法によって再生処理に要する時間の短縮と温度の低減が可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、先ず、本発明の再生方法においては、ジルコニア及び/又はアルミナと、アルカリ土類金属元素、希土類元素及び3A族元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素との複合酸化物(好ましくは、酸素1s軌道の結合エネルギーの値が531eV以下の値を示す、酸素の電子密度が高い複合酸化物)が、白金に対して極めて強い相互作用を示す。そのため、粒成長した状態で担持されている白金粒子と担体との界面で強い相互作用が起こり、酸素を含む酸化雰囲気中にて加熱(好ましくは500〜1000℃で加熱)することによって、白金は担体と複合酸化物及び金属酸化物を形成し、次第に担体表面上に拡がった状態で分散される。その結果、比較的短時間の酸化処理で担体上の白金が酸化物の状態で高分散担持された状態となり(再分散)、次いで還元処理を施すことによって酸化物状態の白金は容易に還元されて金属白金となる。それによって、担体上には微細な金属白金粒子が高分散された状態となり、触媒活性が復活するものと本発明者らは推察する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の排ガス浄化用触媒の再生方法によれば、高温の排ガスに長時間晒されて粒成長した白金粒子を、比較的低い温度領域であっても短時間で微細な白金粒子に再分散させて触媒活性を復活させることができ、しかも触媒を内燃機関の排気系に装着した状態であってもこのような再生処理が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0016】
先ず、本発明にかかる排ガス浄化用触媒について説明する。すなわち、本発明にかかる排ガス浄化用触媒は、ジルコニア及び/又はアルミナと、アルカリ土類金属元素、希土類元素及び3A族元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素との複合酸化物を含む担体、並びにその担体に担持された白金を備えるものである。
【0017】
本発明にかかる排ガス浄化用触媒の担体は、ジルコニア及び/又はアルミナと、アルカリ土類金属元素、希土類元素及び3A族元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素との複合酸化物を含む。このようなアルカリ土類金属元素としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Raが挙げられ、中でも、金属白金及び白金酸化物との相互作用が強く親和性が大きい傾向にあるという観点からMg、Ca、Baが好ましい。また、希土類元素及び3A族元素としては、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Yb、Lu等が挙げられ、中でも、金属白金及び白金酸化物との相互作用が強く親和性が大きい傾向にあるという観点からLa、Ceが好ましい。
【0018】
本発明においては、上述のジルコニア及び/又はアルミナと、アルカリ土類金属元素、希土類元素及び3A族元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素とが複合酸化物を形成している必要がある。すなわち、ジルコニア及び/又はアルミナと、アルカリ土類金属元素、希土類元素及び3A族元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素とが単に共存している状態(例えば、ジルコニア粒子及び/又はアルミナ粒子と、アルカリ土類金属酸化物粒子、希土類酸化物粒子及び3A族酸化物粒子からなる群から選択される少なくとも一つの酸化物粒子とが均一分散している状態)では、後述する酸化処理及び還元処理を施しても担体上の白金は十分に再分散せず、触媒活性は十分に復活しない。
【0019】
本発明にかかる前記複合酸化物を構成するジルコニア及び/又はアルミナと、アルカリ土類金属元素、希土類元素及び3A族元素からなる群から選択される少なくとも一つの元素との比率(組成比)は特に制限されないが、複合酸化物中のジルコニア及び/又はアルミナの比率が10〜90重量%であることが好ましく、30〜90重量%であることがより好ましい。前記複合酸化物中のジルコニア及び/又はアルミナの比率が上記下限未満の場合は後述する酸化処理及び還元処理を施しても担体上の白金粒子は十分に小さくならない傾向にあり、他方、上記上限を超える場合も後述する酸化処理及び還元処理を施しても担体上の白金粒子は十分に小さくならない傾向にある。
【0020】
本発明においては、前記複合酸化物は、酸素1s軌道の結合エネルギーの値が531eV以下の値を示すものであることが好ましく、531〜529eVの値を示すものであることが特に好ましい。前記結合エネルギーの値が531eVを超えている複合酸化物を用いた場合は、白金と担体との相互作用が十分に強くならず、後述する酸化処理及び還元処理を施しても担体上の白金が十分に再分散しない傾向にある。他方、前記結合エネルギーの値が529eV未満の複合酸化物を用いた場合は、白金と担体との相互作用が強くなり過ぎて、後述する還元処理を施しても担体上の白金が活性な状態に戻りにくくなる傾向にある。
【0021】
このような条件を満たす前記複合酸化物としては、例えば以下のもの:
CeO−ZrO−Y:530.04eV
ZrO−La:530.64eV
CeO−ZrO:530eV
CeO−ZrO−La−Pr:529.79eV
が挙げられる。
【0022】
本発明にかかる前記担体は、上述の複合酸化物を含むものであればよく、他の成分としてアルミナ、ゼオライト、ジルコニア等が更に含まれていてもよい。その場合、本発明にかかる担体における前記複合酸化物の比率が50重量%以上であることが好ましい。
【0023】
なお、本発明にかかる前記担体の製造方法は、特に制限されず、例えば以下のような方法によって得ることができる。すなわち、上述の複合酸化物の原料となる諸金属の塩(例えば、硝酸塩)と、更に必要に応じて界面活性剤(例えば、ノニオン系界面活性剤)とを含有する水溶液から、アンモニアの存在下で上記複合酸化物の共沈殿物を生成せしめ、得られた共沈殿物を濾過、洗浄した後に乾燥し、更に焼成することによって前記複合酸化物からなる担体を得ることができる。
【0024】
本発明にかかる排ガス浄化用触媒においては、上述の担体に白金(Pt)が担持されている。上記担体に担持されたPtの担持量としては、担体にPtが担持されてなる排ガス浄化用触媒においてPtの比率が0.01〜10重量%の範囲とすることが好ましく、0.1〜5重量%の範囲とすることがより好ましい。Ptの担持量が前記下限未満では排ガス浄化用触媒としての触媒活性が不足する傾向にあり、他方、前記上限を超えてPtを担持しても触媒活性が飽和すると共にコストが高騰する傾向にある。なお、前記担体に、Ptに加えてPd、Rh等の貴金属や、Cu、Fe、Ni、Co等の卑金属が更に担持されていてもよく、或いはアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類元素から選ばれるNOx吸蔵元素が更に担持されていてもよい。
【0025】
なお、前記担体に白金を担持させる方法は、特に制限されず、例えば、白金の塩(例えば、ジニトロジアミン塩)や錯体(例えば、テトラアンミン錯体)を含有する水溶液を前記担体に接触させた後に乾燥し、更に焼成することによって本発明にかかる排ガス浄化用触媒を得ることができる。
【0026】
また、本発明にかかる排ガス浄化用触媒の形態は特に制限されず、ハニカム形状のモノリス触媒、ペレット形状のペレット触媒等の形態とすることができる。ここで用いられる基材も特に制限されず、得られる触媒の用途等に応じて適宜選択されるが、DPF基材、モノリス状基材、ペレット状基材、プレート状基材等が好適に採用される。また、このような基材の材質も特に制限されないが、コーディエライト、炭化ケイ素、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材が好適に採用される。さらに、このような触媒を製造する方法も特に制限されず、例えば、モノリス触媒を製造する場合は、コーディエライトや金属箔から形成されたハニカム形状の基材に、上述の担体の粉末からなるコート層を形成し、それに白金を担持せしめる方法が好適に採用される。また、上述の担体の粉末に予め白金を担持せしめた後、その白金担持粉末を用いて前記基材にコート層を形成する方法で製造してもよい。
【0027】
次に、本発明の排ガス浄化用触媒の再生方法における酸化処理及び還元処理について説明する。すなわち、本発明においては、上述の排ガス浄化用触媒に対して、酸素を含む酸化雰囲気中にて加熱する酸化処理と、還元処理とを施す必要がある。
【0028】
本発明にかかる酸化処理が行われる酸化雰囲気としては、酸素が少しでも含まれていればそれに相当するモル数の白金を酸化することができるが、酸素の濃度が1体積%以上であることが好ましく、1〜20体積%であることがより好ましい。酸素の濃度が前記下限未満では、担体上の白金の再分散が十分に進行しない傾向にあり、他方、酸素の濃度は高ければ高いほど酸化という観点からは良いが、空気中の酸素濃度を超える20体積%超とするためには酸素ボンベ等の特別な装置が必要となりコストが高騰する傾向にある。また、本発明にかかる酸化雰囲気中の酸素以外のガスとしては、還元性ガスを含まないことが好ましく、窒素ガス又は不活性ガスを用いることが好ましい。
【0029】
本発明にかかる酸化処理における加熱温度は、担持されている金属白金が酸化される温度であればよいが、500〜1000℃の範囲の温度とすることが好ましい。酸化処理温度が500℃未満では、担体上の白金が再分散する速度が極端に遅くなって十分に進行しない傾向にあり、他方、1000℃を超えると担体自体の熱収縮が起こり易くなり、触媒活性が低下する傾向にある。
【0030】
また、本発明にかかる酸化処理に要する時間は、酸化処理温度等に応じて適宜選択され、温度が低ければ長時間必要となり、温度が高ければ短時間でよい傾向にある。酸化処理温度が500〜1000℃であれば、酸化処理一工程あたりの時間は2秒〜1時間程度であることが好ましい。酸化処理時間が2秒未満では担体上の白金の再分散が十分に進行しない傾向にあり、他方、1時間を超えると白金の再分散作用が飽和してしまう傾向にある。
【0031】
本発明にかかる酸化処理は、排ガス浄化用触媒を排気系から取り出して所定の処理装置内で行ってもよいが、内燃機関の排気系に装着した状態で実施することが好ましい。それによって酸化処理工数を大きく低減することができ、しかも酸化処理後に排ガスを流通させることによって白金酸化物を還元させることが容易となる。このように排気系に排ガス浄化用触媒を装着した状態で酸化処理する場合、例えば触媒の上流側に設けられた空気弁から空気を多量に導入したり、混合気の空燃比(A/F)を極めて高くしたり、その逆に燃料の供給量を大幅に減らしたりして、混合気の空燃比(A/F)を極めて高くすることによって実施することができる。また、加熱手段としては、特定の加熱装置によって触媒を加熱してもよいし、触媒上における反応熱を利用して加熱してもよい。
【0032】
上記のように排気系に装着した状態で酸化処理を実行すれば、触媒性能の劣化の程度に対応してリアルタイムで酸化処理を施すことも可能となる。例えば、自動車の運転時間や走行距離に応じて定期的に酸化処理を行ってもよいし、触媒の下流にNOxセンサーやCOセンサーを設けて触媒性能を検出し、その値が基準値を超えた場合に酸化処理を行うようにしてもよい。
【0033】
本発明にかかる還元処理は、水素、一酸化炭素等の還元性ガスが存在する還元性雰囲気下で前記触媒を加熱することによって実施することができる。このような還元性雰囲気としては、還元性ガスが少しでも含まれていればよいが、還元性ガスの濃度が0.1体積%以上であることが好ましい。還元性ガスの濃度が前記下限未満では、担体上の白金が活性な状態に戻りにくくなる傾向にある。また、本発明にかかる還元性雰囲気中の還元性ガス以外のガスとしては、酸化性ガスを含まないことが好ましく、窒素ガス又は不活性ガスを用いることが好ましい。
【0034】
本発明にかかる還元処理における加熱温度は、前記酸化処理により酸化された白金酸化物が還元される温度であればよいが、200℃以上であることが好ましく、400〜1000℃の範囲の温度とすることが好ましい。還元処理温度が200℃未満では、担体上の白金酸化物が十分に還元されない傾向にあり、他方、前記上限を超えると担体自体の熱収縮が起こり易くなり、触媒活性が低下する傾向にある。
【0035】
また、本発明にかかる還元処理に要する時間は、還元処理温度等に応じて適宜選択され、温度が低ければ長時間必要となり、温度が高ければ短時間でよい傾向にある。還元処理温度が300℃以上であれば、還元処理一工程あたりの時間は2秒〜5分程度であることが好ましい。還元処理時間が前記下限未満では担体上の白金酸化物が十分に還元されない傾向にあり、他方、前記上限を超えると白金酸化物の還元作用が飽和してしまう傾向にある。
【0036】
本発明にかかる還元処理も、排ガス浄化用触媒を排気系から取り出して所定の処理装置内で行ってもよいが、内燃機関の排気系に装着した状態で実施することが好ましい。それによって還元処理工数を大きく低減することができ、しかも前記酸化処理後に単に排ガスを流通させることによって白金酸化物を還元させることが可能となる。このように排気系に排ガス浄化用触媒を装着した状態で還元処理する場合、例えば、自動車の排ガス浄化用触媒の場合には、化学量論的に等量比にあるストイキ雰囲気或いは酸素が不足するリッチ雰囲気の排ガスを排ガス浄化用触媒に接触させることによって実施することが好ましい。これにより排ガス浄化用触媒を排気系に装着したまま酸化処理と還元処理を施すことができ、空燃比制御の一環として本発明の再生処理を実施することが可能となる。また、加熱手段としては、特定の加熱装置によって触媒を加熱してもよいし、排ガスの熱を利用して加熱してもよい。
【0037】
なお、前記酸化処理と前記還元処理とがそれぞれ一工程の場合は酸化処理の後に還元処理が施されるが、本発明の再生方法においては前記酸化処理と前記還元処理とを交互に繰り返してもよく、その場合は酸化処理が先であっても還元処理が先であってもよい。また、前記酸化処理と前記還元処理とを交互に繰り返す場合、前者の処理の合計時間と後者の処理の合計時間はいずれも特に制限されない。
【実施例】
【0038】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
<白金再分散試験>
(実施例1)
硝酸セリウム水溶液(CeOとして28重量%含む)179g、オキシ硝酸ジルコニウム水溶液(ZrOとして18重量%含む)256g、硝酸イットリウム14g及びノニオン系界面活性剤(ライオン社製、商品名:レオコン)10gを含有する混合水溶液2000gに25重量%濃度のアンモニア水130gを添加し、室温で10分間撹拌して共沈殿物を得た。次いで、得られた共沈殿物を濾過・洗浄した後に110℃で乾燥し、さらに1000℃で5時間大気中にて焼成してセリウム−ジルコニウム−イットリウム複合酸化物(CeO2-ZrO2-Y2O3)からなる担体を得た。得られた複合酸化物の組成比は、50重量%CeO、46重量%ZrO、4重量%Yであった。また、上記複合酸化物の酸素1s軌道の結合エネルギーの値をXPS(X−ray photoelectron Spectroscopy)により求めたところ、表1に示す値であった。
【0040】
次に、上記担体100gをジニトロジアミン白金の硝酸水溶液(白金濃度:4重量%)に浸漬し、濾過・洗浄した後に110℃で乾燥し、さらに500℃で3時間大気中にて焼成して本発明にかかる触媒(Pt/CeO2-ZrO2-Y2O3)を得た。得られた触媒における白金担持量は2重量%であった。
【0041】
次いで、得られた触媒をH3体積%とN97体積%とからなる雰囲気中において950℃で5時間熱処理することにより、担体上の白金を粒成長させた(耐久試験)。そして、このようにして白金を粒成長させた触媒に対して、O20体積%とN80体積%とからなる酸化雰囲気中において800℃で30分間酸化処理(再分散処理)を施し、白金の再分散を試みた。耐久試験後の白金粒子の平均粒径と再分散処理後の白金粒子の平均粒径を求め、得られた結果を表1に示す。なお、白金粒子の平均粒径は、特開2004−340637号公報に記載されているCO化学吸着法によって求めた。
【0042】
(実施例2)
再分散処理における処理温度を500℃とするようにした以外は実施例1と同様にして白金再分散試験を実施した。得られた結果を表1に示す。
【0043】
(実施例3)
再分散処理における処理温度を1000℃とするようにした以外は実施例1と同様にして白金再分散試験を実施した。得られた結果を表1に示す。
【0044】
(実施例4)
再分散処理における処理温度を600℃、酸素濃度を3%とするようにした以外は実施例1と同様にして白金再分散試験を実施した。得られた結果を表1に示す。
【0045】
(実施例5)
オキシ硝酸ジルコニウム水溶液(ZrOとして18重量%含む)231g及び硝酸ランタン63gを含有する混合水溶液1500gに25重量%濃度のアンモニア水150gを添加し、室温で10分間撹拌して共沈殿物を得た。次いで、得られた共沈殿物を濾過・洗浄した後に110℃で乾燥し、さらに1000℃で5時間大気中にて焼成してジルコニウム−ランタン複合酸化物(ZrO2-La2O3)からなる担体を得た。得られた複合酸化物の組成比は、65重量%ZrO、35重量%Laであった。また、上記複合酸化物の酸素1s軌道の結合エネルギーの値をXPSにより求めたところ、表1に示す値であった。
【0046】
次に、この担体を用いるようにした以外は実施例1と同様にして本発明にかかる触媒(Pt/ZrO2-La2O3)を得た。次いで、この触媒を用いるようにした以外は実施例1と同様にして白金再分散試験を実施した。得られた結果を表1に示す。
【0047】
(比較例1)
担体として市販のγ−Al粉末(グレース社製)を用いるようにした以外は実施例1と同様にして比較のための触媒(Pt/Al2O3)を得た。次いで、この触媒を用い、N雰囲気中において800℃で5時間熱処理することにより担体上の白金を粒成長させるようにした以外は実施例1と同様にして白金再分散試験を実施した。得られた結果を表1に示す。
【0048】
(比較例2)
再分散処理における処理温度を500℃とするようにした以外は比較例1と同様にして白金再分散試験を実施した。得られた結果を表1に示す。
【0049】
(比較例3)
担体として市販のSiO粉末(アエロジル社製)を用いるようにした以外は比較例1と同様にして白金再分散試験を実施した。得られた結果を表1に示す。
【0050】
【表1】


【0051】
表1に示した結果から明らかな通り、本発明の再生方法(実施例1〜5)によれば、耐久試験により粒成長した白金粒子が再分散処理によってその平均粒径が非常に小さくなることが確認された。一方、比較例1〜3では、再分散処理を施しても白金粒子の平均粒径は小さくならず、比較例1及び比較例3では再分散処理により却って平均粒径が大きくなってしまったことが確認された。これは、担体における酸素1s軌道の結合エネルギーの値が531eVより大きく、白金と担体との相互作用が弱いために再分散処理による効果が得られず、却って高温酸化雰囲気によって白金の粒成長が促進されたものと本発明者らは推察する。
【0052】
<白金再分散速度試験>
(実施例6)
実施例1で得られた触媒(Pt/CeO2-ZrO2-Y2O3)を、H3体積%とN97体積%とからなる雰囲気中において800℃で5時間熱処理することにより、担体上の白金を平均粒径が6.7nmとなるまで粒成長させた(耐久試験)。
【0053】
そして、このようにして白金を粒成長させた触媒に対して、H3体積%とHe97体積%とからなる還元雰囲気中における700℃で60秒間の還元処理と、O20体積%とHe80体積%とからなる酸化雰囲気中における700℃で10秒間の酸化処理(再分散処理)とを交互に繰り返す処理を100分間にわたって施し、白金の再分散を試みた。そして、その処理中にPt L3−edge XANES(X−ray Absorption Near Edge Spectra)を1秒毎に測定し、XANESスペクトルのwhite−lineと呼ばれるピークの高さから白金粒子の平均粒径を見積もり、前記処理中における白金粒子の平均粒径の経時変化を調べた。得られた結果を図1に示す。
【0054】
(実施例7)
前記の還元処理と酸化処理とを交互に繰り返す処理における処理温度を600℃とするようにした以外は実施例6と同様にして白金再分散速度試験を実施した。得られた結果を図1に示す。
【0055】
図1に示した結果から明らかな通り、本発明の再生方法(実施例6〜7)によれば、前記の還元処理と酸化処理とを交互に繰り返すことによって白金の再分散が進行し、実施例6では3.6nmまで、実施例7では2.9nmまで白金粒子の平均粒径は小さくなった。また、白金の再分散の速度は、処理温度が600℃の実施例7に比べて、700℃の実施例6の方が速かった。
【0056】
このように、10秒間という短い再分散処理においても、その再分散処理を繰り返すことにより白金粒子の平均粒径が小さくなっていくことから、本発明の再生処理は空燃比制御の一環として実施することができ、触媒を内燃機関の排気系に装着した状態で効率良く再生することが可能となる。したがって、本発明の再生方法によれば、特別な保守整備を要することなく、高い触媒活性を長時間にわたって維持することができることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明の排ガス浄化用触媒の再生方法によれば、高温の排ガスに長時間晒されて粒成長した白金粒子を、比較的低い温度領域であっても短時間で微細な白金粒子に再分散させて触媒活性を復活させることが可能となる。
【0058】
そして、本発明の排ガス浄化用触媒の再生方法は、例えば空燃比制御の一環として実施することができるため、前記排ガス浄化用触媒を内燃機関の排気系に装着した状態で前記酸化処理及び前記還元処理を施すことにより、特別な保守整備を要することなく高い触媒活性を長時間にわたって維持することが可能となる。
【0059】
したがって、本発明は、自動車エンジンから排出される排ガス中のHC、CO、NOx等の有害成分を除去するための排ガス浄化用触媒を長時間にわたって触媒活性の劣化を招くことなく使用するための技術として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】白金再分散速度試験の結果を示すグラフである。




 

 


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